タグ: ヘルムート・マルコ

  • レッドブル2.0が“異端児”ヘルムート・マルコを受け入れなかった理由

    レッドブル2.0が“異端児”ヘルムート・マルコを受け入れなかった理由

    ヘルムート・マルコは20年にわたってレッドブルF1に関わってきたが、その去り方は、いかにも彼らしい静かならぬものとなった。82歳のオーストリア人は、長年の盟友であり同僚だったクリスチャン・ホーナーにわずか数か月遅れて、チームを去ることになった。

    近年のレッドブルでは、オーストリア本社がチームへの統制を強める過程でホーナーが電撃的に解任され、その後に一時的な安定が訪れていた。その中で唯一残っていた“特異点”がマルコだった。

    ホーナーの後任としてローラン・メキースがチーム運営を引き継ぎ、レッドブルGmbHのCEOであるオリバー・ミンツラフに報告する新体制が敷かれたことで、ミルトンキーンズのチームは新章へと踏み出した。だが、「心機一転」を掲げる新文化の中で、マルコはどこに収まる存在だったのか。その答えは明白だった。彼は、もはや適合しなかった。

    “企業的”イメージと相容れない存在
    メキースが対外的に穏健でコーポレート寄りの姿勢を示す一方、マルコのオールドスクールな振る舞いは際立っていた。週末のグランプリ中、広報担当者も同席しない即興的なメディア対応を続け、マイクを向けた記者には誰彼構わず語る姿勢も変わらなかった。

    率直すぎる発言は、これまでも何度となく問題を引き起こしてきた。内部事情、セットアップの選択、使用しているパーツの仕様、さらには戦略の意図まで口にすることもあり、レッドブルの広報陣にとっては悪夢だった。それでも彼は、創業者ディートリッヒ・マテシッツの右腕という立場から、長らく誰にも縛られない存在であり続けた。

    マテシッツ死後に露呈した亀裂
    マルコの発言による“騒動”は、かつての体制下では容認されてきた。2005年当初、マルコはホーナーよりも上位の立場にあり、その力関係が長く続いていたからだ。しかし、2022年後半にマテシッツが亡くなり、ミルトンキーンズ内部で権力闘争が噂されるようになると、状況は変わり始めた。

    チームの顔がホーナーであることが強まる中、マルコは一歩も引く意思がないことを公言し、自身の去就は「ホーナー氏ではなく自分が決める」とまで語っていた。彼はまた、ホーナーが権力を掌握するのを「できる限り阻止した」とも明かしている。

    2025年、均衡の崩壊
    マクラーレンの圧倒的な強さが露呈した2025年半ば、さらにマックス・フェルスタッペン流出の噂が渦巻く中で、ミンツラフは決断を下した。ホーナーは切られ、新体制が発足する。

    皮肉なことに、その変化を後押しした一人がマルコだった。しかし結果として、彼自身が長年守られてきた不安定な均衡を崩すことになった。レッドブル上層部の狙いは、「個人ではなく缶(ブランド)を中心にしたチーム」へと再定義することだった。

    独断専行が招いた決定打
    ホーナー退任後、マルコは事実上“自由”な状態となり、独断で物事を進め始めたとされる。オランダGPの時点でアイザック・ハジャーに昇格を告げたことや、アイルランド人ドライバーのアレックス・ダンをジュニアに契約した件はいずれも、メキースやミンツラフに相談なく進められたという。

    ハジャーの昇格自体は最終的に了承されたものの、その進め方は新体制の理念に真っ向から反していた。ダンの契約は最終的に解消され、高額な代償を伴ったとも伝えられている。

    度重なる問題発言
    シンガポールGPでは、マルコの私生活に関わるパドックでの振る舞いが、レッドブルGmbHのタイ側大株主であるチャルーム・ユーヴィディヤを怒らせたとされる。

    さらにカタールGPでは、アンドレア・キミ・アントネッリが意図的にミスを犯し、ランド・ノリスを通したと示唆する発言をテレビ中継で行い、物議を醸した。これは、レース中の感情的な無線発言とは異なり、事後に繰り返し語られた点で問題視された。

    “自らの決断”という公式見解の裏側
    アブダビGP後、公式には「マルコ自身の決断による退任」と説明された。ミンツラフも声明でその決断を惜しむ言葉を並べている。しかし実際には、ホーナーの退任が決まった時点で、マルコの立場も終わっていたと見る向きは多い。

    より企業色の強い環境において、制御不能な存在が許容される余地はなかった。新体制がフェルスタッペン陣営からも全面的な信頼を得ているとされる中、かつてのような“守護”も存在しなかった。

    戦いの終わり
    退任後、マルコはホーナーを「嘘つき」と非難するなど、攻撃的な発言を続けている。だがそれは、長年続いた権力闘争の終章に過ぎない。

    彼は、マテシッツ亡き後の戦いに勝ったと思ったのかもしれない。しかし実際には、戦場に少し長く立っていただけだった。

    「戦争は、始める時は選べるが、終わり方は選べない」

    マキャヴェリの言葉が、いまのヘルムート・マルコの立場を象徴している。

    Source: PlanetF1

  • レッドブルF1、ヘルムート・マルコ退任の育成部門後継者にギヨーム・ロクラン

    レッドブルF1、ヘルムート・マルコ退任の育成部門後継者にギヨーム・ロクラン

    ヘルムート・マルコの退任を受け、レッドブルはギヨーム・“ロッキー”・ロクランがレッドブル・ジュニアチームにおける主要な窓口となったことを、GPblogに対して正式に認めた。

    長年にわたり、マルコはセバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンといったスターを輩出してきた育成組織の中核を担ってきた。才能の発掘から契約管理、ジュニアカテゴリーとの密接な関係構築まで、その影響力は絶大だった。

    マルコ退任後に生じた空白
    マルコ在任中は、有望な若手ドライバーが疑問や不安を抱えた際、直接相談できる存在が明確だった。しかし彼の退任後、誰がその役割を担うのかは不透明なままだったという。

    GPblogの取材によれば、直近数日間において、ドライバーのマネージャーや家族、そして本人たちが、ジュニアチームに関する案件について「誰に連絡すべきなのか分からない」状況に置かれていた。

    12月から1月にかけては、どのドライバーを育成プログラムに残すか、新たに誰を迎え入れるか、そして各ドライバーに最適な参戦カテゴリーをどう設定するかといった重要な判断が下される時期だ。育成部門にとって極めて重要な数か月である。

    “ロッキー”が単独で指揮
    こうした状況を受け、レッドブルはGPblogに対し明確な回答を示した。ギヨーム・ロクランは引き続きドライバー・アカデミーの責任者を務めるが、今後はマルコのサポートなしに、その役割を単独で担うことになる。

    ロクランはレッドブル・レーシング内部では広く知られた存在であり、かつてはセバスチャン・ベッテルのレースエンジニアを務めていた人物だ。技術面と現場運営の双方を熟知する彼が、マルコ退任後の育成プログラムを実務面から統括していく体制が整った形となる。

    マルコという象徴的存在が去った後も、レッドブルはジュニア育成の意思決定を止めない。その実権は、“ロッキー”の名で親しまれてきた実務家へと、静かに引き継がれた。

  • ヘルムート・マルコ、セバスチャン・ベッテルのレッドブルF1後任説を否定

    ヘルムート・マルコ、セバスチャン・ベッテルのレッドブルF1後任説を否定

    ヘルムート・マルコ博士は、アドバイザー職を離れた直後、レッドブルでセバスチャン・ベッテルが自身の後任に就くのではないかという憶測を最終的に否定した。

    82歳のオーストリア人であるマルコは、言葉の自由を取り戻したことをすでに楽しんでいる様子で、これまでで最も辛辣な攻撃として、元チーム代表クリスチャン・ホーナーを激しく批判したことでも知られている。

    ベッテルが、ドイツ人ドライバーが4度の世界王者に輝いたこのチームで何らかの役職に就く可能性について問われると、マルコは断定的な姿勢を示した。

    「私は強く疑っている」とマルコは語った。

    「彼には十分な支持がない。特に、彼の立場、いわば反モビリティ的な姿勢を考えると、組織の中で主導権を握るのは難しいだろう」

    ベッテルがレッドブルで新たな役割を担いながら、レース現場で環境問題への啓発活動を続ける可能性があるのではないかと示唆されると、マルコは率直にこう返した。

    「しかし、それではドライバーのパフォーマンス向上にはつながらない」

    現在は思ったことをそのまま口にできる立場となったマルコは、かつてシーズン中には後継者候補として思い描いていたものの、ベッテルには自分の職を務めるだけの器はないとも認めている。

    復帰の意思は否定、エンジン計画には関心
    マルコは、自身が再びアドバイザーとして戻る可能性についても完全に否定した。その理由として、フランツ・トストのコメントスタイルを巡る最近の批判があり、そうした状況では職を受けられないと説明している。

    「何のために?」と彼は問いかけた。

    その一方で、フォードの支援を受けるレッドブルの新エンジンプロジェクトについては、大きな関心をもって見守るつもりだと付け加えた。

    「すべてにはリスクが伴うが、自前のエンジンが機能しなければならない。そこに関わる人たちが何とかするだろう」

    レッドブル・オーストリアへの不満
    マルコは、自身の退任を発表したレッドブル・オーストリアのプレスリリースについても、容赦なく批判した。問題となったのは、その決断のタイミングだった。

    「詳細には触れたくないが、あの出来の悪いプレスリリースは読んですらいない」と彼は語る。

    「ただ、短期間のうちにチーム内で多くのことが変わった。人のことはよく分かっているつもりでも、結局はまったく違っていたと気づくものだ」

    さらに彼は、マックス・フェルスタッペンがタイトルを失ったから退任を決めたという見方を否定した。

    「そう言われているように、マックスがタイトルを失ったのを待って辞めたわけではない」とマルコは強調する。

    退任決断の真相
    マルコは、自身の決断が「形を取り始めた」のは、前週のカタールGPの週末だったと説明した。

    「自分自身では長い間考えていなかった。だが、カタールで辞めるという考えが芽生え始めた。それで驚きだったのだ」

    「私は迷うタイプではない。どちらかと言えば決断が早い。アブダビでの最終戦を前にした木曜日、あの週末が最後になると決めた。つまり、レースとその結末を迎える前に決断していた」

  • ヘルムート・マルコ告白「レッドブルF1掌握を狙ったホーナーの汚い駆け引き」

    ヘルムート・マルコ告白「レッドブルF1掌握を狙ったホーナーの汚い駆け引き」

    ヘルムート・マルコは、クリスチャン・ホーナーがレッドブルF1を掌握するために「汚い駆け引き」を行っていたと告白した。長年続いたチーム内部の権力争いの実態を明かし、ホーナー解任に至るまでの経緯を赤裸々に語っている。

    マルコによれば、この内紛はマックス・フェルスタッペンのタイトル争いにも影響を及ぼしたという。ホーナーとの決別が遅れたことで、2025年の世界王座を逃す結果につながったとし、レッドブルF1の舞台裏で起きていた緊張関係を詳細に振り返った。

    アブダビGP直後、レッドブルとヘルムート・マルコが、20年以上に及ぶ協力関係に終止符を打ったことが明らかになった。契約は残っていたが、即時の決別だった。マルコは昨夏、レッドブルのスポーツ部門を統括するオリバー・ミンツラフと協議のうえ、同じく20年以上チームを率いてきたレッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーを解任する決断を下していた。

    ホーナーの解任により、レッドブル内部で続いていた権力闘争は終結したように見えたが、マルコ自身は「実際は大げさに書かれすぎていた」と語る。

    「メディアでは常にそう描かれてきたが、個人的な問題ではなかった」と、82歳のオーストリア人であるマルコはオランダ紙『De Limburger』に語っている。

    「私は2005年にディディ(故ディートリッヒ・マテシッツ)とともにレッドブル・レーシングを立ち上げた。ホーナーをチーム代表に任命し、私は監督役として関わってきた。権限は原則として常にオーストリア側にあり、最終決定は我々が行っていた」

    マテシッツは2022年10月に亡くなった。

    「その年の初め、オーストリアGP前に行われたパーティーを覚えている。ディディは出席していたが、健康状態は良くなかった。その場でクリスチャンが私のところに来て『彼は年末までもたない』と言ったんだ」とマルコは振り返る。

    「そこからクリスチャンは、レッドブルのタイ人共同オーナーであるチャレム・ユーヴィディヤと急速に距離を縮め始めた。ディディがその年の後半に亡くなると、クリスチャンはユーヴィディヤの支援を得て、組織を掌握しようとあらゆる手を尽くした。私は“オーストリア側”を代表して、それを阻止するために全力を尽くした」

    最終的にそれは成功したが、その代償がホーナーの解任だった。その決断は、マルコにとって決して勝利ではなかったという。

    「いいや」と彼は言う。「我々は何か手を打たなければならなかった。なぜなら、コース上でのパフォーマンスが落ちていたからだ。もしもっと早く決断していれば、今年は立て直しも早まり、マックス・フェルスタッペンは世界チャンピオンになっていたはずだ。私はそれを確信している」

    フェルスタッペンは夏休み明け、一時は絶望的とも言える状況からタイトル争いに返り咲き、最終的には世界王者ランド・ノリスにわずか2ポイント差でシーズンを終えた。

    「だが、ホーナーとの最後の数年間は決して気持ちのいいものではなかった」とマルコは続ける。

    「汚い駆け引きが行われていた。セルジオ・ペレスの時代に、私が『メキシコ人はオランダ人やドイツ人より集中力に欠ける』と言ったとされる件を覚えているか? あれは捏造だ。おそらく彼らの側によるものだ」

    「同じように、2024年に私が『我々のパワーユニット開発が遅れていて、そのせいでフォードをスポンサーとして失う可能性がある』と広めたとも言われたが、そんなことは一度も言っていない。だが、ホーナーはそれを口実に私を停職に追い込もうとした。マックスがジェッダで私をかばったから、実行されなかった」

    最終的に、ホーナーはユーヴィディヤの支持を失った。

    「我々は次第に、ホーナーがあらゆることについて嘘をついていた証拠を示せるようになった」とマルコは語る。

    「チャレムがそれに気づいた時、彼も考えを改めたんだ」

  • ヘルムート・マルコ、レッドブルF1強制退任説を否定「圧力は一切なかった」

    ヘルムート・マルコ、レッドブルF1強制退任説を否定「圧力は一切なかった」

    ヘルムート・マルコは、20年間在籍したレッドブルから「追い出された」とする報道を否定し、自身の退任はあくまで自発的な決断だったと強調した。

    82歳のマルコはRTLの取材に対し、次のように語っている。

    「いいえ、私は決して辞めるよう圧力をかけられたわけではない」

    そのうえで、決断のきっかけはアブダビGPだったと説明した。

    「アブダビの最終戦が、自分の中で『今がやめる正しいタイミングだ』と思った瞬間だった」

    ミンツラフCEOとの協議と決断
    マルコは、月曜日にドバイでレッドブルのCEOであるオリバー・ミンツラフと会ったことを明かした。

    「私は自分の意思を伝えた。多少の議論のあと、彼はそれを受け入れた。引き留めようとはしたが、私の決意が固いことを理解した」

    マルコは、日常業務からは完全に退くものの、「中立的な観客」として「1戦か2戦」だけグランプリを訪れる可能性があるとも述べている。

    部分的残留案を拒否し“完全撤退”を選択
    オーストリア放送協会ORFに対しては、次のように付け加えた。

    「この件については、誰とも事前に話していない。夕食の前にミンツラフに自分の希望を伝えた。部分的に残る案も検討されたが、『やるなら完全にやる』と私は言った」

    さらに、レッドブルの筆頭オーナーであるチャレーム・ユーウィッタヤーも協議に加わり、最終的な結論は「友好的なものだった」と説明した。

    フェルスタッペンへの報告と別れの感情
    マルコは翌朝、マックス・フェルスタッペン本人に退任を伝えたという。

    「そこにはある種の哀愁があった。彼との関係は、私がこれまで築いたドライバーとの関係の中で最も近いものだった。意見が対立することも、ほとんどなかった」

    タイトル結果にかかわらず“区切り”だった
    さらに、オーストリア紙『Krone』に対しては、タイトル争いの結果に関係なく、引き際としてふさわしい時期だったと語っている。

    「もしタイトルを獲っていたとしても、引退するには良いタイミングだった。獲れなかったという事実も、私にとっては同じくらい十分な理由だった」

    ノリスへの評価と今後への懸念
    新王者ランド・ノリスについて、マルコは次のように評価した。

    「彼はミスをしなかった。我々と同じくらい良い後半戦を過ごしていた。批判する点は何もない」

    また、ドイツ紙『Bild』は、レッドブルがマルコに対し、2026年分の年俸全額、約1,000万ユーロを退職金として支払うと報じている。

    同紙のコラムニスト、ミヒェル・ミレフスキーは、マルコやクリスチャン・ホーナーといった大物の離脱によって、F1には「キャラクターの空白」が生まれつつあると警鐘を鳴らした。ピットウォールに立つ強烈な個性としては、もはやトト・ヴォルフだけが残り、あとはエンジニア出身の代表が並ぶ時代になっていると指摘している。

  • セバスチャン・ベッテル レッドブルF1退団のヘルムート・マルコに感謝と敬意

    セバスチャン・ベッテル レッドブルF1退団のヘルムート・マルコに感謝と敬意

    4度のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルが、長年レッドブルを支えてきたヘルムート・マルコの引退表明を受け、心のこもった賛辞を贈った。マルコの退任は、ベッテル自身のタイトル獲得の歩みを含む、F1での20年にわたる一つの章の終わりを意味する。

    レッドブルは今週初め、モータースポーツ部門を20年間率い、厳格なドライバープログラムで知られたマルコが、アドバイザー職から退くことを発表した。

    その間、82歳のマルコは20人のドライバーをF1に昇格させ、セバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペンがグランプリウイナーとなった。ベッテルとフェルスタッペンはさらにその先へ進み、2人で計8回のワールドタイトルと124勝を積み重ねている。

    マルコの後継者候補と噂されたこともあったベッテルは、このニュースに驚いたと認めた。

    「正直、誰よりも驚いた」とベッテルはF1 Insiderに語った。

    「ヘルムートの今後の人生に幸多からんことを願っているし、十分にふさわしい引退引退だと思う。彼はレッドブル・レーシングとトロロッソの成功を築いた設計者だ」

    「ドライバー選考だけでなく、チーム編成や人事、戦略に関する重要な決断も、すべて彼を通じて行われていた」

    マルコの苛烈とも言える才能発掘のパイプラインを通じて、ベッテルは有望なジュニアからレッドブル初のワールドチャンピオンへと成長した。その後に続いた4連覇により、2人の名前はF1の歴史の中で永遠に結び付けられることとなった。

    ベッテルの賛辞は、その絆を映し出している。感謝の念と同時に、現代のレッドブル体制に対するマルコの計り知れない影響力への認識が込められている。

    セバスチャン・ベッテルとヘルメット・マルコ(レッドブル・レーシング)

    フェルスタッペンへの連絡で明かされたマルコの胸中
    一方のマルコは、自らF1へ導き、レッドブルのもとで4度の世界王者となったマックス・フェルスタッペンに、この決断を伝えた時のことを語っている。

    フェルスタッペンは、アブダビで行われた会合で、マルコがレッドブルGmbHのCEOであるオリバー・ミンツラフに辞意を伝えたことを知らされていなかった。後にマルコは個人的にフェルスタッペンへ電話をかけたという。

    「普通の会話ではなかった」とマルコはORFに語った。

    「どこか物悲しさがあった。彼は、これほどの成功を収めるとは想像もしていなかったと言っていた」

    「すべてのものには終わりがあり、彼の将来の幸運を祈った。すると彼は、きっとどこかでまた会えるだろうと言ってくれた」

  • ヘルムート・マルコが語ったリンドブラッドF1昇格「18歳だが25歳の成熟度」

    ヘルムート・マルコが語ったリンドブラッドF1昇格「18歳だが25歳の成熟度」

    アービッド・リンドブラッドは2026年のF1シートを獲得したが、それは決して順風満帆なF2シーズンを経ての結論ではなかった。今季中盤には不安定な戦いも見られたにもかかわらず、ヘルムート・マルコは18歳のルーキーを強く推し、レーシングブルズでのデビュー決定に至った。

    アブダビではスプリントで好走を見せ、さらに金曜日には角田裕毅のレッドブルをドライブしてFP1を走行。26周を重ね、結果は15番手だった。

    リンドブラッド「満足できる走りではなかった」
    セッション後、リンドブラッドは自身のパフォーマンスを率直に振り返った。

    「セッション自体について言えば、僕としてはあまり満足できる内容ではなかった。もっと良い仕事ができたはずだし、来年に向けて取り組むべき課題が見えた」

    「F1とF2の両方を同じ週末に走るのは初めてで、バランスを取る必要があった」

    マルコが語る“18歳抜擢”の理由
    それでもなお、マルコはリンドブラッドの2026年デビューを強く推し、より経験のある角田裕毅はレッドブルのリザーブドライバーへ。背景について、マルコは次のように説明した。

    「レッドブルは若いドライバーにチャンスを与え、育てることで知られている。18歳の彼は完璧に準備ができている」

    「デビュー以来、すべてのジュニアカテゴリーで上位に入ってきた。アービッドはとても成熟している。18歳の身体の中に25歳がいるようなものだ」

  • ヘルムート・マルコ アストンマーティンF1加入説は「馬鹿げた噂」

    ヘルムート・マルコ アストンマーティンF1加入説は「馬鹿げた噂」

    レッドブルがヘルムート・マルコ(82歳)のモータースポーツアドバイザー退任を正式発表した翌日、マルコ本人がオーストリア紙『Kleine Zeitung』の取材に応じ、自身の言葉で“20年の終止符”の理由を明かした。

    チーム側は今回を「解任ではなくマルコの意思による退任」と説明。オリバー・ミンツラフは「ヘルムートから年末で役職を終えたいと申し出があった。彼の決断を深く残念に思う。これは特別な時代の終わりだ」とコメントしている。

    ■ 決断の引き金は「フェルスタッペンの逆転タイトル逸」
    マルコは、最終戦アブダビでの僅差の敗北が決断を左右したと明かした。

    「今季、私は最初に、そして後にはジャンピエロ・ランビアーゼとともに、チームの中で最後までタイトルを信じていた存在だった。大きな熱意とコミットメントをもって取り組んでいただけに、うまくいかなかったことは非常に大きな失望だった。この失望が、今が退くのに良いタイミングだと思わせたのだ」とマルコは語った。

    ■ 「良好な関係のまま離れる」
    マルコは今回の別れが円満であることを強調する。

    「レッドブルとは最良の関係のまま離れるし、今後もサーキットで時々姿を見ることになるだろう。チームは非常に良い体制が整っているし、混乱を残していくわけではない。全体がうまく機能しており、いくつかの分野では必ずさらに良くなるはずだ」

    ■ 後任人事は「レッドブルが決めること」
    レッドブルはすでに「後任ポジションは置かない」と発表しているが、セバスチャン・ベッテルの名前が噂として取り沙汰され続けている。

    「それはレッドブルが決断すべきことで、私がコメントする立場にはない。私は月曜日にドバイで退任を伝えただけだ。彼らは急ぐ必要はないし、最良の解決策を探すことになるだろう」

    ■ フェルスタッペンは「少し悲しんでいた」
    ジュニア時代にマルコが発掘し、強力な関係を築いてきたマックス・フェルスタッペンは、今回の知らせに感情を揺らしたという。

    「彼は少し悲しんでいたと言えるだろう。我々はこれまで共に過ごしてきた素晴らしい時間を思い返していた」

    フェルスタッペンは後にInstagramで「僕たちは夢見たすべてを共に成し遂げた」と投稿している。

    ■ 「マックスの将来が不安定になることはない」
    マルコはフェルスタッペンがチーム残留に揺らぎはないと強調する。

    「いや、まったくない。マックスは成功したいだけでなく、調和のとれた環境で成功したいと願っている。それを失えば、彼は翌日にでも辞めるだろう。しかし彼はまだそんな年齢ではない」

    一方で、マルコが独断で動いたとか、アストンマーティンに接触したなどの憶測は明確に否定した。

    「そんなことはしていない。他チームに関わるつもりもない。それらはすべて馬鹿げた噂で、主に英国メディアが流しているだけだ」

    ■ “黄金の握手”と報じられた退職金
    ドイツ『Bild』は、マルコが2026年までの契約を満額支払われると報道。退職金は1,000万ユーロ規模の“ゴールデンハンドシェイク”であり、ベッテルとフェルスタッペンを発掘した功績への評価だとしている。

    ■ ランビアーゼは2026年も継続へ
    また噂されていたジャンピエロ・ランビアーゼ(GP)の将来については、関係者の見立てでは「2026年も引き続きレースエンジニアを務める見通し」とされている。

  • ヘルムート・マルコ、レッドブルF1退団が正式発表

    ヘルムート・マルコ、レッドブルF1退団が正式発表

    レッドブルGmbHは、20年以上にわたりレッドブルのF1活動を支えてきたモータースポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコが2025年シーズン末で組織を離れることを正式発表した。アブダビGP週末から続いていた去就の噂に終止符が打たれ、ひとつの大きな時代が幕を下ろす。

    発表によれば、マルコ本人が長年の活動に区切りをつける決断を下したという。

    2025年のタイトル争いではマックス・フェルスタッペンがわずか2ポイント差で王座を逃しており、この結末が自身のタイミングを見極める大きなきっかけにもなったと語っている。

    マルコ「今が私にとって正しいタイミングだ」
    マルコは声明の中で、レッドブルでの20年以上に及ぶ年月を振り返り、次のように述べた。

    「私は60年にわたってモータースポーツに関わってきた。そしてレッドブルで過ごした20年以上は、並外れていて非常に成功した旅だった」

    「多くの才能ある人々とともに築き上げ、共有してきた時間は本当に素晴らしい。私たちが共に成し遂げてきたことのすべてが誇りだ」

    「今シーズンはタイトルを僅差で逃し、私の心を大きく動かした。私自身にとって、非常に長く、濃密で、成功した章を終えるべき正しい瞬間が訪れたと気づかせてくれた」

    「チームの今後の成功を願っているし、来年も2つの世界選手権タイトルを争うと確信している」

    ミンツラフCEOは「ヘルムートから今年で役職を終えたいという申し出があった。20年以上にわたって極めて影響力のある人物であり、彼の離脱は特別な時代の終わりを意味する」とコメント。

    また、マルコの“才能を見抜く力”“明確な決断を下す勇気”“ゆるぎない情熱”を称賛し、「話し合いを重ねる中で、本人にとって最適な時期なのだと理解した。彼が残してくれた功績への敬意と感謝が、寂しさを上回る」と述べた。

    レッドブルにとって極めて大きな転換点
    マルコの離脱は、レッドブルにとって技術部門やドライバー育成を含めた組織構造の“基盤”に関わる重大な変化となる。長年、レッドブルのドライバー選考・プログラム方針・レース運営の根幹に関与してきた人物であり、その不在はチーム内勢力図を大きく塗り替える可能性が高い。

    2026年には新レギュレーションの導入とチーム体制の変革が重なるため、マルコの決断はレッドブルの将来像を再構築するきっかけにもなり得る。チームとしては、新時代に向けてどのように権限や役割を再配置するかが注目される。

  • ヘルムート・マルコ アレックス・ダンと独断契約でレッドブルF1が解除金負担?

    ヘルムート・マルコ アレックス・ダンと独断契約でレッドブルF1が解除金負担?

    ヘルムート・マルコが2025年シーズン中にレッドブル内部の意思決定プロセスを無視し、複数のドライバー契約を独断で進めたことで深刻な対立を招いていたとオランダの地方紙『De Limburger』が報じた。

    同紙によると、マルコは夏にアービッド・リンドブラッドをレーシングブルズへ単独でサインさせたのに続き、年末にはアレクサンダー・ダンとも契約を締結したという。

    しかし、これらはレッドブル経営陣やチーム代表ローラン・メキース、さらにCEOオリバー・ミンツラフの事前承認なしに行われたもので、特にダンに関しては「育成プログラムの対象外」と既に判断されていたという。

    レッドブル側はこの動きに激怒し、マルコへ即時の契約破棄を命令。ダンはレッドブルのドライバーとして発表されることはなかったものの、高額の報酬が支払われており、契約解除には「数十万ユーロ規模の費用」が必要だったと同紙は伝えている。

    アレックス・ダン

    さらに同紙は、マルコが最近、イタリアの若手キミ・アントネッリを公に非難した一件も、内部の混乱を広げたと指摘。マルコは「アントネッリがカタールGPでランド・ノリスを意図的に前に行かせた」と主張したが、翌日にはレッドブルの強い圧力を受けて謝罪したという。しかしその後、アントネッリにはSNS上で千件を超える殺害予告が届いたとされ、事態は深刻化した。

    記事はまた、レッドブルが夏にクリスチャン・ホーナーを解任した背景には「レーシング部門の安定化」があったと指摘。しかし、マルコを巡る一連の混乱は収まらず、最終的に同社がマルコへ“功労への感謝”を示しつつチームから離脱させる方向へ動く一因になった可能性があるとしている。