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  • エイドリアン・ニューウェイ 健康問題を告白「仕事との両立に注意が必要だった」

    エイドリアン・ニューウェイ 健康問題を告白「仕事との両立に注意が必要だった」

    エイドリアン・ニューウェイが、2026年シーズンのアストンマーティンの開発を巡って自身の健康問題が影響していたことを初めて認めた。これまで体調不良説がたびたび報じられてきたが、本人が公に認めるのは今回が初めてとなる。

    アストンマーティンはシーズン序盤から苦戦が続き、その背景としてホンダ製パワーユニットの課題や開発の遅れ、組織体制などさまざまな要因が指摘されてきた。その中にはニューウェイの健康状態に関する憶測もあったが、本人は現在は回復していることを明かした。

    ニューウェイが健康問題を初めて認める
    「Motor.es」のインタビューでニューウェイは、自身が昨年から体調面で苦しい時期を過ごしていたことを明かした。

    「今は元気だが、大変な時期だった。昨年は100%の状態ではなかった」

    さらに、体調を考慮しながら仕事を続けていたと説明した。

    「健康と仕事のバランスには、これまで以上に慎重になる必要があった。チームは本当に素晴らしい対応をしてくれた。エンジニアたちとも良い関係を維持できていたし、大きな問題にはならなかったと思う。それだけこのチームのみんなが柔軟で協力的だったということだ」

    ニューウェイは病名などの詳細については明らかにしていない。

    サーキット不在の理由も説明
    ニューウェイは2026年シーズンにグランプリへの帯同が限られていることについても説明した。

    オーストラリアGPとモナコGPには姿を見せたものの、多くのレースではシルバーストンのファクトリーに残って開発業務を優先している。

    その理由についてニューウェイは、自身の「チーム代表」という肩書は実務よりも規則上の意味合いが強いと語った。

    「『チーム代表』という肩書は、一部は形式的なものだ。FIAの規則では、その役職に誰かを任命しなければならない。つまり肩書であって、仕事内容そのものを表しているわけではない」

    エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    週末運営はマイク・クラックが担当
    ニューウェイによれば、アストンマーティンでは役割分担が明確になっている。

    チーム全体の技術的・戦略的な方向性については自身が責任を負い、重要な判断には会長のローレンス・ストロールも関与するという。

    「重要な戦略的判断については私が責任を負う。それがこの仕事の本質だ。もちろんローレンス・ストロールも重要な意思決定には積極的に関わっている」

    一方で、グランプリ週末のチーム運営やメディア対応はマイク・クラックが担当している。

    「サーキットでチームを代表し、メディア対応を行うのはマイクの役割だ。彼はその仕事が非常に優れている」

    ニューウェイは、この体制によって自身はシルバーストンでエンジニアリングや長期戦略に集中できると説明し、ファクトリーで最大限の価値を発揮できる環境になっていると締めくくった。

  • エイドリアン・ニューウェイが現場復帰のF1モナコGPでライバル車を徹底観察

    エイドリアン・ニューウェイが現場復帰のF1モナコGPでライバル車を徹底観察

    アストンマーティンのチーム代表を務めるエイドリアン・ニューウェイが、2026年F1モナコGPで今季2度目となる現場入りを果たした。

    モナコでは数か月ぶりとなる公式インタビューに応じただけでなく、決勝前のグリッドでマクラーレンとアルピーヌのマシンを入念に観察する姿も目撃された。2026年シーズンの苦戦が続くアストンマーティンだが、ニューウェイは水面下で反攻に向けた準備を進めているようだ。

    ニューウェイがマクラーレンとアルピーヌをチェック
    PlanetF1.comの現地取材によると、ニューウェイは決勝スタート前のグリッドでランド・ノリスとオスカー・ピアストリのマクラーレンMCL40を観察した後、ピエール・ガスリーのアルピーヌA526にも目を向けていた。

    F1史上最も成功したデザイナーとして知られるニューウェイは、以前から決勝前のグリッドでライバルマシンを研究することで有名だ。

    マクラーレンには元レッドブルの同僚であるロブ・マーシャルが最高技術責任者兼チーフデザイナーとして在籍しており、ニューウェイが継続的に関心を寄せていることは広く知られている。

    一方のアルピーヌも2026年に大きく飛躍したチームのひとつだ。ルノー製パワーユニットからメルセデス製へ切り替え、フェラーリとマクラーレンで技術責任者を務めたデビッド・サンチェスが設計を主導したA526は、開幕から安定してポイントを獲得している。

    今季のアストンマーティンは後方グループで苦戦が続いているだけに、ニューウェイが競争力のあるライバル車を観察していたことは興味深い。

    数か月ぶりの公式インタビュー
    ニューウェイはモナコで、オーストラリアGP以来初めて公の場でメディア対応を行った。

    シーズン開幕後はサーキットへの帯同を見送り、ファクトリーでAMR26の開発作業に集中していたという。

    「戻ってこられてうれしい。メルボルン以来初めてのレースだ」

    「ここ数か月はマシンの改良と、夏休み前には投入できる見込みのアップデートの開発に取り組んでいた」

    ニューウェイはそう語り、アストンマーティンが大規模なアップグレードを準備していることを明かした。

    場当たり的な開発をやめたアストンマーティン
    アストンマーティンは2026年シーズン開幕から苦戦が続いている。

    しかしニューウェイによれば、チームはメルボルンでの開幕戦後に開発方針を大きく変更したという。

    「ドライバーたちにとっては長く厳しい期間だ」

    「メルボルンの後、我々は小規模なアップデートを繰り返すのではなく、時間をかけてシステムを整備し、より慎重に研究を進める決断をした」

    「メルボルンに向けてマシンを完成させることにあらゆることが急ぎ足だった」

    「短期的な苦痛は受け入れよう。そしてアップデートを投入する時には大きな前進を果たしたいと考えた」

    その結果として、アストンマーティンは現在の苦戦を受け入れながらも、大型アップデートによる一度の大きな改善を目指している。

    ホンダもパワーユニットの改良を進行
    ホンダ・レーシングの折原慎太郎はモナコGP前の取材で、パワーユニット開発の進捗について言及した。

    折原慎太郎によれば、改善が必要な領域はすでに把握しており、現在はアップグレードに向けた開発作業を進めているという。

    ただし、新しい仕様の投入にはシミュレーション、単気筒試験、V6全体の性能評価、信頼性確認など数多くの工程が必要となるため、実戦投入には時間を要する。

    また、FIAによるレギュレーションの明確化も開発スケジュールに影響を与えているという。

    投入時期について尋ねられた折原慎太郎は、具体的な時期には言及せず冗談交じりに次のように語った。

    「難しいですね。夏と言いたいですが、どこの夏かは言えません」

    「ギリシャの夏なのか、イギリスの夏なのか、日本の夏なのか。申し訳ありません」

    反攻への準備は着実に進行
    モナコGPではフェルナンド・アロンソが10位に入り、アストンマーティンは今季初ポイントを獲得した。

    結果だけを見れば依然として厳しい状況にあるものの、ニューウェイの発言からはチームが短期的な結果よりも中長期的な再建を優先している姿勢がうかがえる。

    そして決勝前のグリッドでは、ニューウェイ自身がマクラーレンやアルピーヌといった競争力のあるマシンを自らの目で観察していた。

    夏休み前に予定される大型アップデートとホンダの開発計画が実を結ぶことができれば、アストンマーティンは後半戦に向けて大きな変化を見せる可能性がある。

  • エイドリアン・ニューウェイ健康不安説を否定 デラロサ「休みなく働いている」

    エイドリアン・ニューウェイ健康不安説を否定 デラロサ「休みなく働いている」

    アストンマーティンF1のアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、最近浮上していたエイドリアン・ニューウェイの健康不安説を否定し、その仕事ぶりとリーダーシップを高く評価した。

    2026年F1シーズン開幕以降、ニューウェイがグランプリ会場に姿を見せていなかったことから、一部メディアでは健康上の問題によってシルバーストンでの業務にも支障が出ているとの報道が流れていた。

    しかしアストンマーティンはこれを否定。ニューウェイ本人もモナコGPに姿を見せ、チームに帯同した。金曜日のFIA公式記者会見に出席したデ・ラ・ロサは、ニューウェイについて問われると、自身がマクラーレン時代に共に働いた頃と何も変わっていないと語った。

    「ニューウェイは何も変わっていない」
    ペドロ・デ・ラ・ロサは、ニューウェイの現状について明確に否定した。

    「エイドリアンに違いは何ひとつ見当たらない」とデ・ラ・ロサは語った。

    「彼は休みなく働いているし、その仕事に対する姿勢は本当に並外れている」

    さらにデ・ラ・ロサは、ニューウェイを特別な存在にしている最大の理由として、ドライバーの意見に耳を傾ける姿勢を挙げた。

    「彼は僕がこれまで一緒に仕事をしてきた誰よりも、ドライバーの話を聞くエンジニアのひとりだ」

    「元ドライバーとして、それは本当に尊敬できることだ」

    「今の時代はデータがすべてのような世界だ。エンジニアに話していても、彼らは画面ばかり見ていて、データが正しいのか、それともドライバーが正しいのか分かっていないこともある」

    2005年オーストラリアGPで見せたニューウェイの凄み
    デ・ラ・ロサは、ニューウェイがいかにドライバーの感覚を重視しているかを示すエピソードとして、2005年オーストラリアGPでの出来事を紹介した。

    当時マクラーレンのテスト兼リザーブドライバーだったデ・ラ・ロサは、走行後にニューウェイからひとつの質問を受けたという。

    「彼は僕に『なぜターン1でこれ以上速く走れないんだ?』と聞いた」

    「僕は『ターン1に進入してステアリングを切るとアンダーステアになってしまうからです』と答えた」

    するとニューウェイは、そのコーナーの頂点でどれくらいステアリングを切っているかを手で示すよう求めた。

    「僕が手で示すと、彼は『6度だな』と言った」

    「そして『風洞では6度以上ステアリングを切る状況になると、クルマが十分なヨーを発生できず、向きを変えられないことが分かっている』と説明した」

    ニューウェイはその情報を持ち帰り、次戦までにフロントウイングへ変更を加えた。

    「次のレースではクルマのステアリング感度が大きく改善されていた」

    「それがエイドリアンなんだ。彼はドライバーの話を聞く」

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アストンマーティン再建への期待
    デ・ラ・ロサは、ニューウェイの最大の強みはアイデアを実際の成果へ結びつける能力にあると語った。

    「ニューウェイを特別な存在にしているのは、本当に結果を出すことだ」

    「彼がチームにいるのは素晴らしいことだ」

    「彼は偉大なリーダーであり、僕たち全員にとって本当の刺激になっている」

    「そしてアストンマーティンに加わった多くの若いエンジニアたちにとっても大きなインスピレーションになっている」

    現在のAMR26は、2026年シーズンの中でも期待を大きく下回るマシンとなっている。ニューウェイの長いF1キャリアにも成功だけでなく失敗は存在するが、状況を立て直せる人物がいるとすれば、それはニューウェイ自身だというのがデ・ラ・ロサの見方だ。

    ただし、その成果が現れるまでには時間が必要になるかもしれない。

  • エイドリアン・ニューウェイ争奪戦の真相 マクラーレンF1とジャガーの法廷バトル

    エイドリアン・ニューウェイ争奪戦の真相 マクラーレンF1とジャガーの法廷バトル

    2001年6月1日、F1パドックに衝撃が走った。ジャガー・レーシングは当時マクラーレンの技術責任者だったエイドリアン・ニューウェイの獲得を発表したのである。

    しかし、この発表は後にF1史に残る混乱へと発展する。ニューウェイ本人が翻意し、マクラーレンは「契約延長済み」と反論。ジャガーとマクラーレンは法廷闘争に突入し、最終的にニューウェイは移籍しなかった。

    表面的には“天才デザイナーの争奪戦”だったが、その裏にはマクラーレン内部の権力構造、ジャガーの政治闘争、そしてニューウェイ自身の将来への葛藤が複雑に絡み合っていた。

    ジャガーF1が描いた壮大な青写真
    2001年6月1日、ジャガーはニューウェイ加入を正式発表した。

    当時のチーム代表ボビー・レイホールは、かつてインディカーで共に成功を収めた旧友との再会を強調した。

    「エイドリアンを迎えられることに非常に興奮している」

    「彼が設計したマシンは過去9年間で6度のタイトルを獲得している。ジャガーをF1世界王者へ導く存在になるだろう」

    フォードのモータースポーツ部門を率いていたニキ・ラウダも、この契約を大きな勝利として歓迎した。

    「これはジャガーにとって素晴らしいニュースだ。我々はF1で勝つことに本気で取り組んできたし、今回の契約はその決意を示している」

    当時のジャガーはフォードの全面支援を受けながらも成績は低迷しており、ニューウェイ獲得はプロジェクトの象徴となるはずだった。

    移籍を決断したニューウェイの本音
    発表時点でニューウェイ自身も移籍を認めていた。

    「マクラーレンでの4年間は本当に素晴らしかったし、共に成し遂げた成功を誇りに思っている」

    「しかし最終的には、1984年から知る親友のボビーと再び仕事をする機会と、ジャガーが提示した挑戦があまりにも魅力的だった」

    一方でニューウェイは、移籍が実現するまでマクラーレンに全力を尽くすとも語っていた。

    「その間も私はやるべき仕事を抱えている。レースと選手権を勝ち取るため、マクラーレンに全力を尽くし続ける」

    だが、この言葉は後に本人によって事実上否定されることになる。

    マクラーレン内部で広がっていた亀裂
    この移籍騒動の背景には、ニューウェイとロン・デニスの関係悪化があった。

    2000年シーズン、マクラーレンはフェラーリにタイトルを奪われた。メルセデスエンジンの信頼性問題にも苦しみ、チーム全体に停滞感が漂っていた。

    さらにニューウェイは、マクラーレン特有の管理体制や企業文化に息苦しさを感じていた。

    その象徴的なエピソードがオフィスの壁の色だった。ニューウェイは自室をダックエッグブルーに塗装したが、それを巡ってデニスと衝突した。

    後にニューウェイは自伝『How To Build A Car』の中で、マクラーレンの文化を「管理され過ぎている環境」として振り返っている。

    プールサイドで起きた関係悪化の決定打
    2000年夏、南フランスにあるロン・デニスの自宅で重要な会話が行われた。

    デニスは将来的にチーム運営をエイドリアン・ニューウェイとマーティン・ウィットマーシュへ引き継ぐ考えを示した。

    ただし、いつ実現するのかという具体的な時期は示されなかった。

    ニューウェイは後に、その日の出来事をこう振り返っている。

    「その午後、プールサイドには冷たい風が吹いていた」

    「ロンには多くの長所がある。しかし彼には明確な弱点もある。そのひとつが絶対的で無条件の忠誠心を求めることだ」

    「私がその忠誠心を全面的に示さなかった瞬間から、我々の関係は永遠に変わった」

    さらにニューウェイは皮肉を込めてこう続けた。

    「オフィスを塗り替えることなど大した問題ではなかった」

    「だが彼の提案に対して跪いて感謝しなかったことは、まったく別の話だった」

    法廷闘争へ発展した移籍劇
    ジャガーの発表直後、マクラーレンは強く反発した。

    同日午後に発表された声明で、マクラーレンはニューウェイが移籍しないどころか、2005年まで契約延長していると主張した。

    双方は自らが正当な契約を保有していると主張し、法廷闘争へ発展した。

    レイホールは強気の姿勢を崩さなかった。

    「契約は契約だ。それ以上でもそれ以下でもない」

    「マクラーレンは片方の書類の方が重要だと言いたがっているが、そんなことはない」

    F1メディアには連日、新たな声明や法的文書が届き続け、騒動は泥沼化していった。

    ニューウェイが翻意した理由
    しかし裁判が進むにつれ、ニューウェイ本人がすでに考えを変えていたことが判明する。

    2001年カナダGP決勝日の6月10日、ニューウェイは声明を発表した。

    「ジャガーへの移籍に同意した直後、それが自分にとって正しい選択ではないと気付いた」

    「私はジャガーと、金曜日の朝8時30分までは何も公表しないことで合意していた」

    「そして考えが変わったことを伝えた際、彼らは発表を止めることに同意していた」

    「その時点ではごく少数の人間しか事情を知らなかった。しかし彼らは最終的に発表を行うことを選んだようだ」

    ニューウェイは、移籍を考えた理由についても率直に認めた。

    「私が当初興味を持った理由のひとつは、ボビーと再び仕事をすることだった」

    「おそらくそれによって、通常なら選ばなかった方向へ進もうとしていたのだと思う」

    ジャガー内部の権力闘争への不安
    ニューウェイが最終的に移籍を取りやめた背景には、ジャガー内部の混乱もあった。

    当時のジャガーではレイホールとラウダの間で主導権争いが起きていた。

    ロン・デニスも、その状況をニューウェイに警告していた。

    結果的にその懸念は現実となる。

    レイホールは2001年シーズン終了前にチームを去ることになった。

    ニューウェイは後にこう記している。

    「私がジャガーに興味を持った最大の理由はボビーとの関係だった」

    「チーム代表とテクニカルディレクターの関係は極めて重要だ」

    「私は移籍して、フォードやジャガー内部の権力闘争の駒になるつもりはなかった」

    「それはあまりにも大きなキャリア上のリスクだった」

    残留後も消えなかった不満
    最終的にニューウェイはマクラーレン残留を選択した。

    マクラーレンはジャガーと同額の条件を提示し、将来的にはアメリカズカップなどF1以外のプロジェクトへ関与する自由も認めた。

    しかし関係が修復されたわけではなかった。

    2003年に完成したマクラーレン・テクノロジー・センターについて、ニューウェイは後に「無機質で距離感のある建物だった」と振り返っている。

    さらにロン・デニスとマーティン・ウィットマーシュが導入したマトリックス型の技術組織についても、自身の影響力を制限する試みだったと受け止めていた。

    結果としてニューウェイは、残りのマクラーレン時代を通じて組織への不満を抱え続けることになった。

    2001年の騒動が示した転換点
    この移籍騒動は単なる契約問題ではなかった。

    マクラーレンではロン・デニス体制への不満が表面化し、ジャガーではフォード主導の政治闘争が激化していた。

    エイドリアン・ニューウェイは最終的にマクラーレンへ残留したものの、チームとの関係は以前のようなものではなくなった。

    そして2005年、ニューウェイはついにマクラーレンを離れ、レッドブルへ移籍する。

    後にF1史を大きく変えることになるその決断の原点は、2001年夏のジャガー移籍騒動にあったと言えるだろう。

  • エイドリアン・ニューウェイの“ホンダF1救済策”は成功? FIAルール変更の舞台裏

    エイドリアン・ニューウェイの“ホンダF1救済策”は成功? FIAルール変更の舞台裏

    アストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイが、ホンダの2026年F1パワーユニット開発を巡る状況に大きな影響を与えた可能性が浮上している。

    F1では2026年から新たなPUレギュレーションが導入されたが、ホンダは開幕前から深刻な課題を抱えていると伝えられていた。そんな中、FIAは5月に開発支援制度「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」を拡充し、新たな救済枠を設けた。

    ホンダ向けとも言われる新たな救済措置
    ADUOは2026年に導入された制度で、メーカー間の性能差が長期間固定化されることを防ぐことが目的だ。

    従来は基準エンジンから2%以上遅れているメーカー向けの支援枠と、4%以上遅れているメーカー向けのより大きな支援枠の2段階が用意されていた。

    しかしFIAは今月、この制度に新たなカテゴリーを追加。基準性能から10%以上遅れているメーカーに対して、さらに大きな開発支援を与えることを決定した。

    パドックでは、この措置は事実上ホンダを念頭に置いたものだとみられている。

    メルセデスが2026年型PUのベンチマークと考えられている一方、プレシーズン段階ではホンダが約80馬力以上遅れているとの推定もあった。

    今回の制度変更により、ホンダは開発予算上限が数百万ドル規模で引き上げられ、性能向上に向けた追加開発が可能になった。

    ニューウェイ発言がパドックで波紋
    こうした流れの背景として注目されているのが、ニューウェイが開幕戦オーストラリアGP前に行った異例の発言だ。

    ニューウェイは当時、アストンマーティンとホンダが直面している問題について非常に率直に語った。

    特にバッテリー不足については「恐ろしい」と表現し、さらにPU由来の振動が深刻で、ドライバーが長時間走行すると神経への影響が懸念されるレベルだと明かした。

    通常、こうした技術的な問題はチーム内部に留められることが多いため、パドック関係者の間では大きな話題となった。

    アストンマーティン内部でも「話し過ぎではないか」と受け止める声があったとされる。

    意図的な“危機アピール”だったのか
    一方でパドックでは別の見方も存在する。

    ニューウェイは当初のADUO制度だけではホンダの立て直しには不十分だと考えており、FIAや関係者に追加支援の必要性を認識させるため、あえて問題の深刻さを強調したのではないかという見方だ。

    実際、ニューウェイはメディア露出が極めて少ない人物として知られる。そのニューウェイが自ら詳細な問題点を語ったことで、ホンダの置かれた厳しい状況は一気にF1界全体へ共有された。

    結果としてFIAは新たな救済カテゴリーを創設し、ホンダは追加予算を獲得した。

    もちろんニューウェイの発言と制度変更の因果関係が公式に認められているわけではない。しかしパドックでは「ニューウェイが意図的に流れを作ったのではないか」という見方が広がっている。

    ホンダの逆襲はここから始まるか
    興味深いのは、ホンダがこれまで性能向上よりも信頼性対策を優先してきたとみられている点だ。

    今回の追加支援によって開発余力が生まれれば、本格的なパフォーマンス改善に着手できる可能性がある。

    かつてマクラーレンとの苦闘を経て、レッドブルとの黄金期を築いたホンダは、一度大きく出遅れた状況から巻き返した前例を持つ。

    2026年の苦戦が一時的なものに終わるのか。それともアストンマーティンとの新プロジェクトが長期的な苦戦に陥るのか。ニューウェイの“マスタープラン”が真価を発揮するかどうかは、今後数カ月の開発成果によって明らかになりそうだ。

    Source: F1 OVERSTEER

  • エイドリアン・ニューウェイが190万円寄付 F1界が名コーチ救済へ結束

    エイドリアン・ニューウェイが190万円寄付 F1界が名コーチ救済へ結束

    エイドリアン・ニューウェイが、腎不全と闘う著名ドライバーコーチのロブ・ウィルソンを支援する募金活動に1万ポンド(約190万円)を寄付したことが明らかになった。F1関係者や現役ドライバー、元ドライバーらも続々と支援に加わり、モータースポーツ界全体で“知られざる名コーチ”を救おうという動きが広がっている。

    ウィルソンはF1ファンにはあまり知られていない存在かもしれないが、パドックでは伝説的なドライバー育成コーチとして高い評価を受けてきた人物だ。

    キミ・ライコネンやニコ・ロズベルグをはじめ、ファン・パブロ・モントーヤ、デビッド・クルサードなど数多くのトップドライバーを指導してきた。

    F1ドライバーが頼った“秘密兵器”ロブ・ウィルソン
    現在73歳のウィルソンは、イギリスのブラントソープ飛行場で一般的なロードカーを使った独自のドライビング指導で知られる。

    その中心にあるのが「フラットカー哲学」と呼ばれる考え方だ。4輪へ均等に荷重をかけることでクルマの挙動を安定させ、より速く、そして再現性の高いラップタイムを実現するという理論である。

    近年ではキャデラックF1のセルジオ・ペレスやバルテリ・ボッタス、アストンマーティンのランス・ストロールら現役ドライバーも指導を受けてきた。

    ニューウェイ自身も長年の友人として知られ、今回の募金活動では最高額クラスとなる1万ポンドを寄付した。

    F1界の著名人が続々と支援
    募金ページによると、ニューウェイ以外にも多くのF1関係者が寄付を行っている。

    ■ エイドリアン・ニューウェイ:1万ポンド(約190万円)
    ■ ザク・ブラウン:7500ポンド(約143万円)
    ■ バルテリ・ボッタス:5000ポンド(約95万円)
    ■ スティーブ・ロバートソン:5000ポンド(約95万円)
    ■ セルジオ・ペレス:4298ポンド(約82万円)
    ■ カルン・チャンドック:2000ポンド(約38万円)
    ■ ジョナサン・ウィートリー:950ポンド(約18万円)

    そのほかにもマクラーレンやアウディ、アストンマーティンの関係者、さらにはNASCARやWRCなど他カテゴリーの著名人物も支援に名を連ねている。

    命を救うための募金活動
    ロブ・ウィルソンは約2年間にわたり腎不全を患い、腎臓移植を待っている状態にある。

    募金ページによると、生体腎移植の提供者が現れたものの、ドナーとなる医師の診療所運営代替費用や術後の支援費用など、多額の関連費用が必要になるという。

    主催者は「この募金は文字通りロブの命を救うためのものだ」と説明している。

    執筆時点で募金総額は16万2621ポンド(約3090万円)に達しており、目標額18万5000ポンド(約3515万円)まであとわずかとなっている。

    なぜこれほど多くの関係者が支援するのか
    今回の募金活動が大きな反響を呼んでいる背景には、ウィルソンが長年にわたり見返りを求めることなく多くのドライバーや関係者を支えてきたという事実がある。

    募金ページでも「ロブは常に真っ先に手を差し伸べ、助言を与え、人を紹介してきた人物だった」と紹介されている。

    F1の表舞台に立つことは少なかったが、その影響力はグランプリの勝者や世界王者たちの背後に存在していた。今回の支援の輪は、そんな“パドックの名脇役”に対するF1界からの恩返しと言えそうだ。

  • エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイを語るとき、F1界では必ずと言っていいほど「空気が見える男」という表現が使われる。

    その象徴的な言葉を広めたのは、当時レッドブルのチーム代表だったクリスチャン・ホーナーだった。「ニューウェイは空気を見ることができる男だ」という表現は、彼の空力感覚を神格化する比喩として定着した。

    だが、本人はそのイメージを笑いながら否定している。

    2024年のポッドキャスト出演時、ニューウェイは「もちろん空気なんて見えない」と語った。

    それでも彼は、“見えているように感じさせる”何かを持っている。

    その本質は、現代F1のエンジニアリングが失いつつある“感覚的理解”にある。

    CFD以前の世代だからこそ身についた“想像力”
    ニューウェイがキャリアを築いた時代には、現在のような高度なCFD(数値流体解析)やCAD(コンピューター設計)は存在しなかった。

    設計者はドラフターに向かい、風洞実験を繰り返しながら、自分の頭の中で空気の流れを想像するしかなかった。

    ニューウェイはその時代を生き抜いた。

    だからこそ彼は、コンピューターが答えを出す前に、“どう流れるべきか”を直感で組み立てる癖が身についている。

    本人も「理解し、視覚化しようとする」と語っているように、彼の武器は計算能力ではなく“イメージ化能力”だ。

    これは単なるロマン主義ではない。

    むしろ、現代F1において極めて希少な能力になっている。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイが特別なのは“空力”ではなく“全体像”を見ているから
    ニューウェイが本当に優れているのは、単純なダウンフォース量の追求ではない。

    彼は「マシン全体のバランス」を最優先に考える。

    それが最も分かりやすく現れたのが、2022年のグラウンドエフェクト時代の幕開けだった。

    多くのチームが“最大ダウンフォース”を追求した結果、激しいポーパシングに苦しんだ。

    一方でニューウェイは、空力数値だけではなく「安定したプラットフォーム」の重要性を重視し、自らサスペンション設計に深く関与した。

    その結果、レッドブルRB18は他チームほど深刻なバウンシングに苦しまず、マックス・フェルスタッペンは2022年に15勝を挙げる支配的シーズンを築いた。

    翌2023年には、F1史上でも屈指の圧倒的マシンへと進化する。

    ここで重要なのは、ニューウェイが“空力だけ”を見ていなかったことだ。

    多くのライバルがCFDの数値を追い続ける中、彼は「ドライバーが扱えるか」「姿勢変化で破綻しないか」という現実側を見ていた。

    現代F1が失いつつある“職人的直感”
    この記事が面白いのは、単なるニューウェイ賛美で終わっていない点にある。

    むしろテーマは、「技術進化が人間の感覚を奪っているのではないか」という問題提起だ。

    スマートフォンが記憶力を代替し、AIが文章を代替し、CFDが空力感覚を代替する。

    便利さと引き換えに、人間は“自分の頭で補完する能力”を失いつつある。

    F1の設計現場も同じだ。

    現代の若いエンジニアはCADやシミュレーションに極めて強い。

    しかしニューウェイ世代のように、“頭の中で空気を流す”訓練は受けていない。

    だからこそ、ニューウェイのような人物は再現不可能とも言われる。

    彼の才能は「知識量」ではなく、「感覚」「経験」「直感」「芸術性」の複合体だからだ。

    レッドブル低迷が“ニューウェイ不在”を際立たせた
    この記事が強く示唆しているのは、ニューウェイ離脱後のレッドブルの変化でもある。

    2024年にニューウェイ退団が発表された後、レッドブルは次第に“他チームと同じ方向”へ進み始めた。

    ピエール・ワシェ自身も、後に「ドライバー向けではない特性を導入してしまった」と認めている。

    つまりニューウェイは、単に速いマシンを設計していたわけではない。

    「何をやってはいけないか」を知っていた。

    それが最大の価値だった。

    F1では、多くの場合“見えているもの”より、“他人が見落としているもの”のほうが重要になる。

    そしてニューウェイは、その“見落とし”を察知できる数少ない設計者だった。

    “最後の鉛筆世代”が去った後に残るもの
    ニューウェイはいずれ鉛筆を置く。

    そのときF1は、おそらくさらに高度なシミュレーション時代へ進んでいる。

    だが同時に、“感覚でマシンを理解する設計者”は減っていく可能性が高い。

    この記事が言いたいのは、「ニューウェイは空気が見える」という神話ではない。

    “コンピューターに頼り切らず、自分の頭の中で考え抜く能力こそが、本当の差を生む”ということだ。

    そして、それこそがエイドリアン・ニューウェイという存在の本質なのかもしれない。

    Source: PlanetF1

  • エイドリアン・ニューウェイ F1引退寸前だった ホンダが翻意の決め手

    エイドリアン・ニューウェイ F1引退寸前だった ホンダが翻意の決め手

    エイドリアン・ニューウェイがかつてF1からの引退を真剣に考えており、ヨット設計に移るつもりだったという舞台裏が明らかになった。だが、その考えを変えたのが、レッドブルとホンダの提携だったとされている。

    現在はアストンマーティンで再びホンダのパワーユニットと関わる立場にあるニューウェイだが、その再会は期待通りの船出にはなっていない。2026年F1シーズン序盤の苦戦によって、名設計者とホンダの関係は再び注目を集めている。

    引退寸前の決断を変えた転機
    F1ジャーナリストのマーク・ヒューズは『Undercut』ポッドキャストの中で、ニューウェイが一度はF1から離れるつもりだったと明かした。

    「実際、エイドリアンはもう終わりだと言っていて、ヨットを設計しに行くつもりだった」

    「だが、ルノーからホンダへの変更があって、彼らが戻ってきたことで、彼は『この人たちは本気だ。本当に競争力を求めている』と感じた。それが彼を呼び戻したんだ」

    エイドリアン・ニューウェイ ホンダF1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    再タッグに高まった期待と現実
    ニューウェイは2025年3月にアストンマーティンへ加入し、シルバーストンのチームをタイトル争いに引き上げる役割を託された。

    そして2026年からアストンマーティンはホンダのパワーユニットを搭載しており、ニューウェイにとっては再びホンダと仕事をする体制となった。

    しかし、その新体制はここまで順調とは言い難い。

    ホンダの2026年型パワーユニットは信頼性と出力の両面で課題を抱えているとされ、ニューウェイが関わるAMR26のシャシーも完成度に課題を残している。

    その結果、アストンマーティンは厳しい序盤戦を強いられており、日本GPでフェルナンド・アロンソがチェッカーを受けたのが唯一の完走となっている。現時点では、選手権ポイント獲得も容易ではない状況だ。

    ニューウェイの役割と今後の焦点
    ニューウェイは当初、アストンマーティンでマネージング・テクニカル・パートナーとして加入したが、その後はチーム代表の役割も担っているとされる。

    今後、ニューウェイがこの兼務を続けるのか、それとも専任のチーム代表が起用され、設計とパフォーマンス開発に専念する体制に戻るのかも焦点となる。

    ホンダとの関係がかつてニューウェイをF1に引き戻した要因だったのであれば、現在の苦戦はその再タッグの価値が問われる局面でもある。アストンマーティンがどこまで立て直せるか、その行方が注目される。

  • エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティンF1チーム代表退任説が浮上

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティンF1チーム代表退任説が浮上

    エイドリアン・ニューウェイは、2026年シーズン序盤の深刻な不振を受け、アストンマーティンのチーム代表としての役割から退く可能性が浮上している。

    ホンダ製パワーユニットで迎えた新時代のスタートは苦しいものとなり、チーム内では緊張と失望が広がっていると指摘されている。スペインの著名ジャーナリストであるアントニオ・ロバトは、ポッドキャストで現状について言及した。

    「現在のアストンマーティンには大きな緊張がある。失望も大きく、神経質な状況になっている」

    「問題は振動だけではない。もっと深刻な根本的問題がある」

    ロバトはその原因として、ホンダのパワーユニットが「50馬力以上の出力不足」にあると指摘している。

    その問題は中国GPでも明らかとなった。フェルナンド・アロンソは強い振動に苦しみ、ステアリングを握るのも困難な状態となりリタイアに追い込まれた。

    アストンマーティンのトラックサイド責任者マイク・クラックは当時の状況を説明している。

    「彼は33周を走り切った。これまで連続してそれだけ走れたことはなかった」

    「フェルナンドは『勝利争いをしているなら耐えられるが、そうではない状況なら簡単な判断だ』と話していた」

    さらにレース中には象徴的な場面もあった。セルジオ・ペレスのキャデラック搭載マシンがストレートでアロンソを軽々と抜き去り、アロンソがコクピットから手を振る場面も見られた。

    「キャデラックはストレートで毎周、アストンマーティンよりコンマ5秒速かった」とロバトは述べている。

    こうした状況を受け、チームのマネジメント体制にも疑問の声が上がっている。ニューウェイは従来の設計業務に加え、チーム代表という新たな役割を兼任している。

    「現時点ではリーダーシップが欠けているとも言える」

    「近いうちに新しいチーム代表が就任するだろう」

    ロバトはそう指摘し、すでに後任探しが進められていると語った。

    「彼らは探している。過去3年で3人の代表が交代しており、ニューウェイはその役割を果たしていない。そもそも彼がやるべきではない」

    「彼は自分の得意分野に専念すべきだ」

    後任候補としては、レッドブルのクリスチャン・ホーナーの名前も取り沙汰されている。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    一方で、マイク・クラックはチームの進歩を強調する。

    「進歩していると言えば笑われるかもしれないが、我々は多くを学んでいる」

    「走行とレースを通じて多くのことを理解した」

    また、振動問題そのものがパフォーマンス差の主因ではないと説明する。

    「振動は主に信頼性に影響している。我々が秒単位で遅れている原因ではない」

    パフォーマンス改善の鍵は、FIAが認めるADUO規則のもとでのパワーユニット開発にあるとした。

    「もし早い段階で改善ができれば、もちろん助けになる」

    さらに、中国GPでランス・ストロールの素っ気ない受け答えが話題となった件についても擁護している。

    「ドライバーたちは多くのエネルギーを注いでいる」

    「彼らはプロのアスリートだが、人間でもある。今は非常に難しい状況だ」

  • エイドリアン・ニューウェイのAMR26に衝撃 「非常に過激」とF1ライバル代表

    エイドリアン・ニューウェイのAMR26に衝撃 「非常に過激」とF1ライバル代表

    アストンマーティンの2026年F1マシンAMR26は、エイドリアン・ニューウェイが同チームに加わって以降、初めて全面的に関与したマシンとして注目を集めている。

    1月にバルセロナで行われた非公開シェイクダウンで初走行を迎えると、パドックではその独創的な設計が大きな話題となった。

    中でも注目を浴びているのがリアサスペンションだ。ウィリアムズのチーム代表を務めるジェームス・ボウルズは、このAMR26のサスペンション構成について「非常にエクストリームだ」と評し、ニューウェイの設計思想に強い印象を受けたと語っている。

    「エイドリアンのサスペンションの選択は、本当に印象的だ。正直に言って、とてもエクストリームだと思う。」

    「彼はウィッシュボーンを、正直言って“そこに置くべきではないのでは”と思うような場所に配置している。でも、実際にやってのけている。」

    ボウルズは、AMR26がニューウェイにとってアストンマーティン移籍後初のF1マシンである点にも触れ、その設計がパドック全体の視線を集めた理由を説明した。

    「バルセロナで初めて走ったとき、パドックは完全に立ち止まった。あのマシンはそれだけ注目を集める存在だった。」

    AMR26の設計については、技術的観点からも高い評価が寄せられている。メルセデスのジョージ・ラッセルも、同車のリアサスペンションに言及し、2026年型マシンの中でも際立った存在だと語っている。

    「誰もがあのリアサスペンションに目を奪われていたと思う。見た目としては本当に印象的だ。」

    「でも、セクシーさを競うレースじゃない。どれだけ速く走れるかの勝負だ。」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム F1 エイドリアン・ニューウェイ

    ライバル代表が見たAMR26の「異質さ」
    ボウルズ自身も、AMR26のリアサスペンションについて、エンジニアリングの観点から高く評価している。

    「エンジニアリングという視点で見れば、本当に見事だと思う。」

    一方でボウルズは、バルセロナでのテスト全体を振り返り、他チームについても言及している。特にレッドブル・フォードのパワーユニットの信頼性、フェラーリSF-26の一貫性、そしてメルセデスW17の堅牢性を称賛した。

    「まず、レッドブルには本当に感心した。特にパワーユニットだ。ゼロから作り上げて、あれほどの信頼性を実現するのは並大抵のことじゃない。」

    「次にフェラーリだ。絶対的な速さには疑問符が付くかもしれないが、立ち上がりからの一貫性は本当に素晴らしい。」

    「そしてメルセデスだ。私は長くあそこにいたから分かるが、彼らはレギュレーション変更を正しく捉え、堅牢で信頼性の高いパッケージを持ち込むのが本当にうまい。」

    「テスト開始から1日ほどでレースシミュレーションをこなしているのを見ると、本当に印象的だ。」

    その上で、再びアストンマーティンとニューウェイの仕事ぶりに話題を戻した。

    「最後にアストンだ。本当に印象的だ。」

    「エイドリアンはとにかく創造的なデザイナーだ。自分なら設計したくないと思うようなウィッシュボーン配置を、彼は実現している。」

    「ただ、それこそが今シーズンに必要な“物語”なんだと思う。」

    ボウルズは、2026年シーズン序盤に勢力図を判断する難しさにも触れている。

    「正直なところ、現時点で序列を語るのは難しい。今見ているマシンが、メルボルンで見るマシンと同じとは限らないからだ。」

    「それがシーズン序盤を面白くしている。」

    さらにボウルズは、ニューウェイの設計アプローチを改めてこう表現した。

    「エイドリアンについては、さっきも少し触れたが、我々のフロントウィッシュボーンも少し違ったアプローチを取っている。」

    「でも、彼が行った方向性は……とにかく非常に印象的で、創造的で、そしてエクストリームだ。」

    「正直に言えば、あの設計の責任者にはなりたくないね。」

    こうした評価の背景には、ニューウェイ自身がAMR26について「開幕戦までに非常に大きく変わる」と語っている点もある。2026年は新シャシー、新パワーユニットという大改革の初年度であり、開発競争はシーズン序盤から激化すると見られている。

    ウィリアムズもまた、2026年型マシンFW48のサスペンション構成について慎重な姿勢を取っている。ボウルズはフロントサスペンションが「やや異なる」と認めつつも、詳細を伏せてきた。

    2026年F1で分かれたサスペンションの選択
    実際、ウィリアムズが発表したショーカーやレンダリング画像では、一部のサスペンションアームが意図的に省かれていたことが後に明らかになっている。

    その後、ウィリアムズはFW48がフロントにプルロッド、リアにプッシュロッドを採用していることを正式に認め、シルバーストンでのシェイクダウン走行時の初画像を公開した。

    この構成により、ウィリアムズは2026年シーズンにおいて、前後で異なる方式を採用する唯一のチームとなっている。

    多くのチームは前後ともプッシュロッドを選択しており、ダブルプルロッドを採用しているのはアルピーヌとキャデラックのみだ。

    AMR26の“極端”とも言えるサスペンション設計は、2026年F1の技術的多様性と開発競争の激しさを象徴する存在となっている。ニューウェイの創造性が、実際の競争力としてどこまで結実するのか。その答えは、開幕戦オーストラリアGPで明らかになる。