タグ: インディカー

  • 佐藤琢磨、2015年シーズンは「個人的にはもちろん悔しい」

    佐藤琢磨、2015年シーズンは「個人的にはもちろん悔しい」

    佐藤琢磨が、インディカー最終戦ソノマのレース週末、そして2015シーズンを振り返った。

    2015年ベライゾン・インディカー・シリーズの最終戦が開催されたソノマでは、多くの人々がジャスティン・ウィルソンの死を悼んだ。誰からも愛されていたイギリス人ドライバーは、この前の週にポコノで行われたレース中に負傷し、帰らぬ人となった。

    一方、No.14 AJフォイト・レーシング・ダラーラ・ホンダに乗る佐藤琢磨は、18番グリッドからスタートして8位でフィニッシュするというスリリングな戦いを演じていた。

    「ジャスティンの悲報を聞いて、まだ数日しか経っていませんでした」と佐藤琢磨。

    「このことで僕たちはとてもショックを受けていたし、ジャスティンの家族のために何かをしたいと思っていました。安全面に関していえば、今後も改善していかなければいけないのはもちろんですが、これはオープン・コクピットのレーシングカーでは常に問題になることです。僕たちはこれまでに様々な分野で安全性を向上させてきましたが、舞い上がった破片の問題を解決するのは容易ではありません」

    「ジャスティンの逝去は僕たちにとってとても大きなことで、個人的にも大切な友人を失うことになりました。彼は誰からも愛されていて、本当に素晴らしい人物でした。ウィルソンの遺族は、No.25 アンドレッティ・オートスポーツのマシーンをソノマで操るドライバーとしてオリオール・セルヴィアを選びました。彼もまた僕のよき友人で、2010年に僕がKVレーシングで走っていたとき、オーバルレーシングでは彼が僕のスーパーバイザー役を務めてくれました。オリオールがジャスティンのマシーンに乗って参戦することは、遺族にとって素晴らしい贈り物になったと思います。そして、僕たちが演じることになるエキサイティングなレースこそ、ジャスティンがいちばん期待していたものだったはずです!」

    この週末に行われたプラクティスやクォリファイで佐藤琢磨が上位に名を連ねることはなかったが、金曜日に行われたセッションの序盤では抜群の速さを示していた。

    「コンディションがめまぐるしく変化するので、ソノマは本当に難しいコースです。風向き、コースが砂地に囲まれていること、グリップの低い路面、丘、そしてそれらが組み合わさった結果、スイートスポットが恐ろしいくらい狭くなっているのだと思います」

    「いまはシーズン中のテストが禁止されていますが、かつてはレースの1〜2週間前にオープンテストが行われていました。今回の金曜日はプロモーターズ・デイと呼ばれていて、3.5時間という長い走行時間が用意されています。けれども、規模の大きな一部のチームは、リーグのスカラシップ・プログラムであるインディ・ライツのドライバーを起用し、現行の空力パッケージを用いたテストを事前に行っていました」

    「セッションの序盤、僕たちは順調で、一時は2番手につけていたほか、長い時間にわたってトップ3かトップ4に入っていました。ところが、コンディションがよくなると、他のドライバーたちが速くなっていきます。もちろん、僕たちも速くなりましたが、他のチームに比べるとそれほどでもなく、このためタイムシート上の順位は少しずつ後退していく結果になりました」

    「土曜日には45分間のセッションが設定されていました。オーバーテイクが難しいソノマではスターティンググリッドが非常に重要なので、僕たちはありとあらゆることを試しました。ここではまずまずの進歩を果たすことができましたが、残念ながら、それは誰にとっても同じことでした!」

    予選では、わずかコンマ数秒差でセグメント2進出のチャンスを逃し、佐藤琢磨は18番グリッドからスタートを切ることとなった。

    「チームメイトのジャック・ホークスワースがエンジン・トラブルに見舞われました。彼に責任があったわけではありませんが、不運にも、僕は彼の直後につけており、装着したばかりのニュータイアの表面には水やオイルがついてしまいました。しかも、コンパウンドはとてもソフトなため、実質的なライフは1周しかありません。やむなく、僕は走行を続けましたが、アタックを始めた直後はこの影響でタイムをロスしていたので、続けてもう1周走ることにしました。ところが、ステファノ・コレッティがピットから目の前でコースインしてきたため、ここでもまたタイムを失うこととなったのです」

    土曜日の午前中に行われたウォーミングアップで佐藤琢磨は好走を見せ、ウィル・パワーに続く2番手につけた。これで、佐藤琢磨の決勝レースでの活躍がより期待されることとなる。2014年のここソノマでも、後方のグリッドからスタートした佐藤琢磨は4位でフィニッシュしていた。けれども、それだけたくさんのマシーンをソノマで追い越すのは不可能に近く、18番グリッドから挽回を図るには、レース序盤に通常とは異なるレース戦略を採る以外に方法がないことは明らかだった。

    「去年、普通とは異なる戦略で走ることがラップタイムと順位を向上させるうえで有効であることに気づきました。このおかげで僕たちは挽回できたのです。そこで今回も第1スティントを短めにしましたが、これ以降は、良い展開に恵まれず、ステイアウトすることでトラックポジションを上げることを選んだ結果、リスタートして6周で僕たちはピットストップする必要に迫られます。しかも、後方を走るほとんどのドライバーも同じ戦略を選択したのです」

    ここから先は戦略が大きな鍵を握るレースとなった。フルコーションが4度ということは、早めにピットストップした者にとって有利になることもあれば、長くコース上を走り続けた者が得をすることもある。さらには、他のドライバーと異なる回数のピットストップを行うという手法も考えられる。「僕はパワー、ファン-パブロ・モントーヤ、ディキシー(スコット・ディクソン)らとサイド・バイ・サイドのバトルを演じていました。楽しいレースでしたが、チャンピオン争いをしているドライバーに対しては特別な注意を払いました。とてもハードな戦いでしたが、僕たちは全力で挑みました」

    最後のピットストップをどちらかといえば遅めに行った佐藤琢磨は21番手につけていたが、彼の前を走る多くのドライバーはもう1度、給油を行う必要があった。彼らの一部は、ジェイムズ・ジェイクスがクラッシュしてフルコーションとなったときにピットストップを実施。レースがリスタートしたとき、佐藤琢磨は12番手となっていた。けれども、この状態は長く続かず、ホークスワースとカルロス・ムニョスのふたりが佐藤琢磨の目前で接触することになる。「あれはきわどいところでした。僕はウィル・パワーのイン側につけていましたが、ターンインを始めたところ、僕の直前でジャックが止まったのです。本当に危ないところでしたが、なんとか避けました」

    佐藤琢磨はこれで10番手。ところがレースが再開されたところで、またもや佐藤琢磨とパワーの目の前でセバスチャン・ブールデとグレアム・レイホールが絡む事故が発生する。ここでブールデは遅れをとることなく走行を続けたが、佐藤琢磨は手負いになったレイホールのインをついてパワーをパスし、8番手に浮上した。さらに、この事故の責任を問われたブールデにドライブ・スルー・ペナルティが科せられ、佐藤琢磨は7番手に浮上したが、ほどなくパワーの逆襲を受けて8番手に後退。結局、このままのポジションで佐藤琢磨はチェッカーを受けることとなった。

    「最後の5周、ウィルは必死になって僕のインサイドに飛び込もうとしていました。言うまでもなく、彼は懸命にチャンピオン争いを戦っていたのです。僕は無理はしませんでしたが、ウィルとのバトルとレースを楽しみました」

    こうして2015年シーズンは幕を閉じ、14位でチャンピオンシップを終えた佐藤琢磨は2016年シーズンの到来を楽しみにしているところだ。

    「個人的にはもちろん悔しいですね。僕たちには何度か優勝するチャンスがあったのに、実現できなかった。それでも、今年デトロイトで表彰台に登れたのは嬉しかったし、タイトルを勝ち取ったディキシーには心からおめでとうと言いたいですね。彼は本当に優れたドライバーだと思います」

    「とてもいいシーズンで、たくさんのことを学ぶことができました。でも、こんなに早くシーズンが終わっちゃうなんて、信じられませんね! ソノマでは、僕たちは基本的に速くありませんでしたが、8位でフィニッシュできたのはよかったと思います。もちろん、8位で満足したことなんか1度もありませんが、今回はこれを受け入れることにします。チームのメンバーは、プラクティスと予選で苦戦したにも関わらず、速いクルマを作り上げるという素晴らしい働き振りを見せてくれました。そして、いつものようにとても苦しいソノマのレースを戦い、楽しみました」

    「ジャック・ホークスワースを迎えて2台体制で戦った今シーズン、僕たちはさらに強くなり、たくさんのことを学んだと思います。できれば、来シーズンの準備として月末に行われるロードアメリカのテストに参加したいところです。でも、その前に少しだけ休日を楽しもうと思います!」

  • 【インディカー】 スコット・ディクソンが2015年のチャンピオン獲得

    【インディカー】 スコット・ディクソンが2015年のチャンピオン獲得

    インディカー最終戦が30日(日)にソノマで開催され、スコット・ディクソンが、ファン・パブロ・モントーヤと同ポイントで並び、勝利数で上回ったことで2015年のインディカーのチャンピオンを獲得した。

    ポイントリーダーはファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)。スコット・ディクソン(チーム・ガナッシ)は、47ポイント差のランキング3位で週末を迎えた。

    決勝レースでは、スコット・ディクソンが優勝。ファン・パブロ・モントーヤは6位でフィニッシュ。

    この結果、ポイントは556ポイントで並んだが、スコット・ディクソンが3勝、ファン・パブロ・モントーヤが2勝と勝利数の差でスコット・ディクソンが逆転でチャンピオンを獲得。

    スコット・ディクソンは、2003年、2008年、2013年に続いて4度目のチャンピオンとなった。

    「週末のスタートでは、タイトルのチャンスはまだあるとわかっていたし、それが僕たちが望んでいたことだった」とスコット・・ディクソンはコメント。

    「素晴らしい気分だ。なんて言っていいのかわからない。まずはジャスティン・ウィルソンの家族のことを考え、祈っている」

    「タイトル獲得は本当に長い戦いだったし、僕たちは逆転でタイトルを獲得した。信じられない」

  • 佐藤琢磨、最終戦の予選は18番手 / インディカー

    佐藤琢磨、最終戦の予選は18番手 / インディカー

    佐藤琢磨は、インディカー最終戦ソノマの予選を13番手で終えた。

    佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は2回のプラクティスでともにタイムが19番手だったため、新たなセッティングを施したマシンで予選を走った。第1セグメントの2グループ目に組み入れられた佐藤琢磨は、ソフトタイヤ装着で今週の自己ベストとなる1分17秒5599を記録したが、13人中の9番手となって予選の第2セグメント進出はならず。予選結果は18番手だった。

    佐藤琢磨(18番手)
    「残念な予選セッションとなりました。プラクティスからスピードの確保で苦しんでいましたが、予選ではまずハードタイヤで走り、マシンのセッティングが向上している感触を得ることができていたんです。ピットでソフトタイヤにスイッチした私たちは、いい手応えで予選アタックに臨んだのですが、不運にも自分たちのベストのラップでトラフィックに遭遇し、予選の第2セグメント進出を果たせませんでした。ピット出口の辺りで目の前に飛び出してきたマシンがあったんです。昨年の私たちは決勝日のウォームアップセッションでマシンを大幅に向上させました。明日もまた、昨年と同じことを実現する必要があります」

  • 佐藤琢磨、6位でフィニッシュ / インディカー

    佐藤琢磨、6位でフィニッシュ / インディカー

    佐藤琢磨は、インディカー 第15戦 ポコノの決勝レースを6位でフィニッシュした。

    予選9番手だった佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、ハンドリングの定まらないマシンで序盤には20番手以降まで大きく後退したが、ピットストップでマシンセッティングの調整を重ねて少しずつ走りを向上させていき、終盤土壇場でトップ争いに加わり、6位でゴールした。

    レース終盤の180周目、トップを走っていたマシンがクラッシュしたことで飛び散ったマシンの破片がジャスティン・ウィルソン(Andretti Autosport)のヘルメットを直撃した模様で、ウィルソンはアレンタウンの病院にヘリコプターで搬送された。

    佐藤琢磨(6位)
    「ダウンフォース少なめでバランスの悪かったマシンで序盤は苦労し、タイヤの内圧調整も難しく、レースの大半は後方集団で戦っていました。しかし、ピットストップでマシンのセッティングを変更し続け、リスタートもいいものが切れて終盤に一気に上位へと進出できました。残り20周で2番手につけていたときには優勝を狙っていましたが、ストレートでスピードの伸びないセッティングを最後のピットストップで変更できなかったこともあり、6位という悔しい結果になりました。ジャスティン・ウィルソンのことはレースを終えてから知りました。容態がとても心配です。少しでも早く快復してくれることを願っています」

  • ネルソン・ピケJr. ペンスキーでインディカーをテスト

    ネルソン・ピケJr. ペンスキーでインディカーをテスト

    ネルソン・ピケJr.は、来週、ソノマで開催される特別なルーキーテストでチーム・ペンスキーとともにインディカーをテストする。

    トロントでインディ・ライツに1回限りの参戦をしたネルソン・ピケJr.は、インディカ・タイツで少なくとも50%を走行した場合にチームにつき追加で2日間のテスト日を得られるというシリーズ規約6.2.3の機会を得る。

    テストでは、現在、インディ・ライツでタイトルを争うスペンサー・ピゴットがネルソン・ピケJr.とともに走行する。

    インディ・ライツで首位に立つジャック・ハーベイはシュミット、カーリンのエド・ジョーンズがレイホール・レターマン・ラニガン、マシュー・ブラバムがアンドレッティ、日曜日のレースで優勝したショーン・レイホールは、ナガッシで走行を行う予定となっている。

    彼らには8月13日に2.2マイルのロードコースであるソノマでの走行時間を与えられる。

  • インディカー:ミッドオハイオから新型レインタイヤを導入

    インディカー:ミッドオハイオから新型レインタイヤを導入

    インディカーは、今週末のミッドオハイオから新型レインタイヤを導入する。

    新しいタイヤは、12ヶ月前に導入された先代のタイヤを改善するべく、タイヤ供給元のファイアストーンが開発作業に取り組んできた。

    テキサスのブリヂストンの実験場では、いくつかの実験的なコンパウンドがテストされ、評価されてきた。テストではロードコースとストリートコースでのウェット走行の経験のあるインディカーチームが負荷とスピードに関するデータとの供給に協力した。

    「我々はウェットコンディションによりフィットするようにタイヤを最適化してきました」とブリヂストン・アメリカのチーフエンジニア兼レースタイヤ開発マネージャーのデイル・ハリグルはコメント。

    「新しいレインタイヤの鍵となる特徴は、新しいトレッドコンパウンドです」

    「チームとドライバーにとっては学習プロセスとなるでしょう。我々にとっての最大のチャレンジは、いくつかのサーキットの滑らかなコンクリートです」

    新型レインタイヤは、ファンが識別しやすいようにサイドウォールに施されたシルバーが特徴となる。

    トレッドパターンンと深さは、以前のウェットタイヤ設計が新しい仕様でも保持されている。

  • インディカー:デリック・ウォーカーの辞任を発表

    インディカー:デリック・ウォーカーの辞任を発表

    インディカーは、デリック・ウォーカーが、競技委員長の役割を辞任したことを発表した。

    元チーム代表のデリック・ウォーカーは、2013年に競技委員長に就任。2015年のエアロキット導入を初め、新しいイベントやレースコントロール技術への投資、現在のマシンの安全性改善など、インディカーレースの様々な領域に注力してきた。

    デリック・ウォーカーは「私はインディカーで、チームオーナー、ドライバー、そしてチームと密接に働く機会を評価してきた」とコメント。

    「2シーズン半を負え、他の機会に移行する適切なタイミングだと考えている」

    デリック・ウォーカーは、2015年シーズンが終了する8月末に辞任する。

    インディカーの親会社ハルマン・アンド・カンパニーのマーク・マイルズ最高経営責任者は、インディカーへのデリック・ウォーカーの貢献に感謝の言葉を述べた。

    「我々はデリックの広範囲なレース経験、疲れをしらない努力、インディカーへの情熱から利益を得てきた。彼がいなくなるのは寂しい」

  • 佐藤琢磨 「これほど嫌な気分を味わったことはない」 / インディカー

    佐藤琢磨 「これほど嫌な気分を味わったことはない」 / インディカー

    佐藤琢磨が、インディカー 第13戦 アイオワのレース週末を振り返った。

    前戦が終わってまだ6日しか経っていないというのに、ベライゾン・インディカー・シリーズの一行はミルウォーキーよりもさらに全長が短いアイオワ・スピードウェイを訪れたが、佐藤琢磨にとって残念な結果に終わったことには変わりなかった。

    佐藤琢磨はラップダウンの14番手を走行中に、No.14AJフォイト・ダラーラ・ホンダの右フロント・サスペンションが破損したため、ターン2のウォールに激突。佐藤琢磨が無傷だったことは幸運以外の何ものでもなかった。

    チームがアイオワに持ち込んだショートオーバル用のセットアップは、ロードコースで使われているものと非常に近い内容だったが、状況はまったく異なっていた。

    「率直にいって、誰にとっても非常に大変な週末でした」と佐藤琢磨。

    「ミルウォーキーはほとんどバンクがありませんが、アイオワはハイバンクのコースで、しかもナイトレースとなります。ところが、プラクティスはすべて日中に行われました。ナイトレースのときは夜間のプラクティス・セッションが設けられるのが通常です。したがって、冬の間にアイオワでテストしたほんの数チームだけが、新しいエアロパッケージの開発を行える可能性があったことになります。たしかに、テストは昼の間に行われましたが、気温はずっと低いので、いくつかのことをシミュレーションできたはずです」

    「僕たちのプラクティスはあまりスムーズに進んだとはいえません。45分のセッションが2回だけでは、決して十分ではありません。走り出しの段階では、マシーンのセットアップは完璧とは言いがたい状態だったので、最初のセッションではまずセットアップの煮つめを行い、ようやく安心してドライブできるレベルに近づきました。そこで、プラクティス2ではセットアップをさらに改善するため、いくつかの実験を行いましたが、それらは残念ながら反対の結果に終わりました。エアロの点でもメカニカルグリップの点でも、僕のマシーンは最適化されたことが一度もないまま、セッションは時間切れとなったのです」

    このような状態だったから、予選での15番手という結果は決して悪くなかったといえる。

    「あらかじめ、そこそこにはいい結果が得られるであろうことがわかっているセットアップで予選に臨みました。今季は、僕が先に予選アタックに挑み、この結果を踏まえてチームメイトのジャック・ホークスワースが予選に臨むという形で進んできましたが、今回はジャックが4番手、僕は21番手の出走で、アタックを終えたジャックは、アンダーステアがひどく、またダウンフォースが大きすぎると訴えていました。僕たちはもともと彼よりも軽めのダウンフォースでセッティングしていましたが、ジャックのコメントを受けてさらにウィングを寝かせることにしました。結果的にプラクティスよりは速くなりましたが、スピードは満足できるレベルに達していなかったし、ギアリングも合わせ込むことができませんでした」

    「少なくとも、僕はラップタイムよりバランスのほうが満足できました。これでようやく、『レースに向けて少しいい状態になってきた』という、多少なりともポジティブな感触が掴めたのです。なぜなら、シャシーのメカニカルな部分に関しては、少しはよくなったことを証明できたのですから……」

    レースまでに夜のセッションに向けて最適化した新しいエアロパッケージを準備する時間は、ほんのわずかしか与えられなかった。たしかに今シーズン前半に行われたテキサスはナイトレースだったが、あれはスーパースピードウェイでの開催だったのでまた異なるパッケージが用いられた。夜間は、気温が下がるためにダウンフォースは増え、路面温度も低下するのでタイアのグリップレベルも同様に上がる。しかし、どれほど良くなるかを予想するのはとても難しかった。

    「新しいエアロパッケージのおかげでダウンフォース・レベルは大きく向上しました。けれども、出走したドライバーのなかでいうと、僕は比較的軽めのダウンフォースだったようです。ダウンフォースが大きく不足していることに気づいたのはスタートしてからのことでした。このときは午後7時50分で日没前でしたが、気温は下がり始めていてもまだ華氏80度(約27℃)あり、路面温度は華氏100度(約38℃)でした。しかも、スティントごとに温度は下がっていき、バランスも大幅に変化していきました。もちろん、チームは空気圧を変えて補正しようとしましたが、マシーンは非常にセンシティブな状態でした」

    レースの大半を通じて、佐藤琢磨はリードラップの後方集団か、ときにはラップダウンになりながら周回を重ねていたが、周回遅れになった際には、コーションになってトップがピットインしてもコース上にステイアウトするなどの戦略でリードラップへの返り咲きを図っていた。いずれにせよ、クルマを良い状態にまとめあげるには時間がかかった。

    「最初のスティントでは空気圧が高すぎ、コースのどこでもタイアがスライドするような状態でした。空気圧を少し下げた第2スティントはいい感触でしたが、第3スティントは少し欲をかいて空気圧を下げすぎ、スタビリティが失われてしまいました。第4スティントは空気圧を戻したところ最初のスティントと同じような状態となり、第5スティントで最終的に問題を解決できました。これでようやくバランスのいいマシーンに仕上がったのですが、ここまでに250ラップ近くを費やしていました」

    ある周回では、ホークスワースがトップで佐藤琢磨が2番手となり、AJフォイト・レーシングの1-2体制ができあがったが、その直後に佐藤琢磨は最後のピットストップを行うこととなった。そして261周目に悪夢のような出来事が起きる。

    「とてもエキサイティングで、いかにもアイオワらしいレースでした。接戦の連続で、僕は前に行ったり後ろに行ったり、ショートオーバルらしい忙しい戦いでしたが、最後のスティントはとてもいいペースで周回でき、目の前のグループに追いついていきました。ターン2のいちばんバンピーなところにやってきたとき、右フロントのプッシュロッドが壊れ、マシーンが激しくボトミングしました。僕にはどうすることもできませんでした」

    「2011年のテキサス以降、これほど嫌な気分を味わったことはありません。とてもアグレッシブなラインで必死にコーナリングしている最中に、なんの予兆もアクシデントはなく起きました。ラップタイムは18秒ほどで、しかも5Gを越える横Gがかかる、シリーズ中もっとも厳しいコースのひとつです。それが、5Gがかかっている真っ最中、200mph(約320km/h)のスピードでアウト側に突き進み、ほとんど減速できないままウォールに激突したのだから信じられません。おそらく、衝突するまでに1秒くらいしかかかっていないでしょうが、実際にはもっと長く感じられました! 『これはひどいことになるぞ』って思いました。正直、怖いとも覆いましたが、SAFERウォールと頑丈なモノコックのおかげで、ケガを負わずに済みました」

    「ものすごくガッカリしました。いずれにしても、いい成績は残せなかったでしょうが、頑張ってくれたメカニックたちのためにも完走したいと思っていました」

    実は、サスペンション・トラブルに見舞われたのは佐藤琢磨だけではなく、ポイントリーダーのファン-パブロ・モントーヤも同じようなアクシデントでリタイアに追い込まれていた。

    「インディでジェイムズ・ヒンチクリフは右フロント・サスペンションのロッカーが壊れるトラブルに遭いました。そこでインディカー・シリーズは強化されたロッカーとサスペンション・ブラケットの使用を義務づけました。これはとてもうまくいきましたが、事故の原因を探るためにも、強度計算の詳細を調べないといけないでしょう。モントーヤの話を聞いたところ、アクシデントの原因はふたりともプッシュロッドの破損であったように思われます。ひと晩に2回も事故を起こすとは、多すぎるといわざるを得ません」

    2015年シーズンのインディカー・シリーズも残すは3戦。2週間後には美しいミドオハイオのロードコースでレースが繰り広げられる。「幸運にも、メカニックたちはミドオハイオ前にテキサスに戻ってマシーンの準備をすることができます。まるでイギリスのオウルトンパークのようなこのコースが僕は大好きです。最初の2シーズンはとても力強い走りを見せることができ、その後はいい成績を残せませんでしたが、このコースはいつでも楽しめます!」

  • 佐藤琢磨 「歯車がかみ合わなかった」 / インディカー

    佐藤琢磨 「歯車がかみ合わなかった」 / インディカー

    佐藤琢磨が、インディカー 第12戦 ミルウォーキーのレース週末を振り返った。

    手応えと失望。ミルウォーキーで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズの一戦で佐藤琢磨とAJフォイト・レーシングが経験したことは、このふたつの言葉に集約できる。No.14 ダラーラ・ホンダはリードラップで14位フィニッシュを果たしたが、この結果はミルウォーキーの週末に彼らが示した恐ろしいまでのパフォーマンスをまったくといっていいほど反映していない。

    ミルウォーキー・マイルのレーススケジュールは驚くほどコンパクトなものだった。土曜日には最初のプラクティスのみを実施。2回目のプラクティスは日曜日に行い、そのまま予選、決勝になだれ込むという日程である。

    「すべてがぎゅっと凝縮されていたので、とても難しい週末でした」と佐藤琢磨。「いくつかのことは試せても、その解析に必要な十分な時間がなかったので、エンジニアの視点からいえばとても難しかったと思います。このため、基本的なセットアップをまとめるうえで、土曜日のプラクティスは非常に重要だと考えられました」

    このセッションで佐藤琢磨は終盤までトップに立っていたものの、最終的には3番手となった。

    「マシーンの調子は最高でした。最終的に煮詰めるにはもう少し試すべきことが残っていましたが、数周するとこの点も解決し、ニュータイアでも僕たちは非常にコンペティティブでした。チャンピオンシップでトップ10に入っているドライバーたちは追加のタイアを投入しなかったので、タイムそのものについてはあまり心配しませんでしたが、僕たちはとてもいいポジションにいたし、ホンダのエアロはショートオーバルで素晴らしい性能を発揮していたのです」

    土曜日の午前中に行われたプラクティスで佐藤琢磨は5番手となった。「このプラクティスはとても忙しく、残り45分間で予選シミュレーションとレースセットアップの両方を行わなければいけませんでした。そこで、ニュータイアを装着した1周目に予選トリムの確認を行いましたが、このときはバランス、スピードともにとても満足がいくものでした。ただし、レースに向けてはダウンフォース・レベルを変更しなければいけません。異なるスプリングを用いたサスペンション・セッティングを試さなければいけないほか、新しいエアロパッケージは車高の調整に対して非常に敏感に反応します。ところが、僕たちはダウンフォースを大きめにしたレースセットアップには満足できませんでした。通常、ほかのドライバーの直後につくとアンダーステアになるものですが、このときはオーバーステアに転じていたのです。これは、フロントウィングの空力効率が非常に高いということを証明しているいっぽうで、リアのダウンフォースは乱気流の影響を受けて大幅に減少するために起きるものと推測されました。このままでは誰かを追うのが極めて難しいため、別のパッケージングを考えなければいけませんでしたが、残念ながらセッションは時間切れとなってしまったのです」

    それでも、少なくとも予選では好成績が望めそうだったが、No.14をつけたマシーンは13番グリッドから決勝に臨むという不本意な結果に終わったのである。「ミルウォーキーではオーバーテイクが難しいので、予選結果がとても重要です。けれども、得られた結果は僕たちが期待したようなものではありませんでした。気温はプラクティスの時点からあまり変わらなかったのですが、午後1時の路面温度は午前10時よりも大幅に上昇していました。このため、僕たちはコースのグリップレベルを読み違えてしまったのです。おかげでグリップ不足によりマシーンはスライドを始め、物理的にはまるでコーナーをクリアできないような状態でした。そこで、僕はダウンシフトを始めとする、すべてのテクニックを使いました。この状態にはペンスキーでさえ手こずっており、ウィル・パワーは僕の後ろというポジションに終わりました。つまり、正しいバランスを得るのが本当に難しかったのです」

    スタートの段階で、マシーンは大きくバランスを崩しており、ひどいオーバーステアを示していた。「スタートではひどい目に遭い、いくつも順位を落としたほか、勢いも失なってしまいます。数周して状況が落ち着いてからは、後ろのドライバーを押さえ込むためにありとあらゆる手段を駆使しました。フロントのアンチロールバーはいちばん硬めにし、ウェイトジャッカーはいちばん右側に設定したほどです。5周の間にすべてのツールを使い切ってしまいました。最初のピットストップまでの残る45周は、とにかく粘り続けることだけでした。それにしても、本当に長いスティントでした!」

    そのピットストップで佐藤琢磨はタイムをロスしてラップダウンとなったものの、フロントのフラップとタイアの空気圧を調整した結果、ハンドリングは見違えるように改善されたのである。これが通常のレース展開であれば、コーションの前後で適切な戦略を駆使すればリードラップに返り咲くことができるところだが、このときはトップを走るセバスチャン・ブールデがほかのドライバーとは異なるタイミングでピットストップを行っており、ステイアウトを選択したのである。「彼らの戦略に腹を立てることはできませんが、これには本当に参りました。1ラップ遅れとなったことで、僕たちのレース展開は決まったも同然となりました。リスタート後のブールデのペースは速く、やはりペースが速かった僕と彼のふたりが後続を引き離す格好となりました」

    残すところ40周少々となったところで佐藤琢磨はトップ10まで挽回し、残り36周でブールデがピットストップを行うとリードラップに返り咲いた。さらに、フィニッシュまで残り17周のときにフルコーションとなったところで全ドライバーがニュータイアを求めてピットストップを行い、レースは非常に興味深い状況となった。どのドライバーも似たようなコンディションのタイアを装着することで接戦が期待されたのである。

    ところが、佐藤琢磨はリアタイアの装着に手間取ってピットアウトが遅れた結果、15番手からレース終盤の戦いに臨む形となる。そしてフィニッシュ間際にカルロス・ムニョスをオーバーテイクしたところで佐藤琢磨のレースは幕切れとなった。

    「誰もが同じような状態のタイアを履いていたのでオーバーテイクはとても難しく、結果的に1台しか抜けませんでした。オーバーテイクを実現するには、他のドライバーとは異なるコンディションのタイアを履いていなければいけないのです。僕はいつもミルウォーキーのレースを楽しんできたし、1マイル・オーバルは大好きですが、この日ばかりは歯車がかみ合いませんでした」

    ミルウォーキーの滞在時間は極めて短いものだったが、このレースが終わるとわずか数日のインターバルでもうひとつのショートオーバルコースであるアイオワ・スピードウェイを訪れることになる。これまで、佐藤琢磨がアイオワで数々の好レースを演じてきたことは、皆さんもご存知のとおりである。

    「アイオワには切り立ったバンクがあるし、ナイトレースとして開催されるので、ミルウォーキーとは大きく異なった展開となるでしょう。アイオワでもミルウォーキーと同じパッケージングを用いる予定ですが、密集したレースを防止するため、ダウンフォース・レベルは恐らく制限される見通しです。できれば、ライバルたちと十分に戦えるコンペティティブなマシーンに仕上げたいところです。もっとも、ミルウォーキーではホンダとシボレーのパッケージがほとんど似たようなパフォーマンスを示したので、この点は大いに期待できると考えています」

  • 佐藤琢磨、ミルウォーキーの予選は13番手 / インディカー

    佐藤琢磨、ミルウォーキーの予選は13番手 / インディカー

    佐藤琢磨は、インディカー 第12戦 ミルウォーキーの予選を13番手で終えた。

    シリーズ第12戦の舞台となるザ・ミルウォーキー・マイルは、1903年からレースが開催され続け、”伝説のオーバル”というニックネームが冠せられたショートオーバル。

    今年のミルウォーキーでは、予選と決勝を同じ日に行うスケジュールが採用され、スターティンググリッドを競い合う予選は、日曜日の午後12時半から行なわれた。

    朝から晴天に恵まれたミルウォーキーは、予選開始時の気温が26℃まで上がった。朝から太陽が照りつけ続け、路面温度が大きく上がったことで、グリップが下がり、ドライビングがより一層難しいコンディションとなった。

    佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、土曜日のプラクティス1で3番手につけるスムーズな週末のスタートを切った。予選前のプラクティスでマシンをさらにファインチューニングすることに成功した佐藤琢磨だったが、予選ではコンディションの変化に対する調整が完璧ではなかった。アタック1周目は21秒6090、平均時速169.8636マイルとすばらしい数字を記録したが、2周目が21秒8166、平均時速167.487マイルと大きくダウンし、2周の合計タイムは43秒4256、平均時速168.288マイルで予選13番手となった。

    佐藤琢磨(13番手)
    「2度のプラクティスではともにいいタイムを出せていましたが、予選では気温、路面温度ともに高くなり、マシンが滑りやすいコンディションとなっていました。特に、コースのイン側の色の濃い舗装の部分が熱を帯び、グリップを失っていました。私たちのマシンは、プラクティス時よりもグリップが低くなっており、思っていた通りの走りができませんでした。決勝レースは夕方のスタートなので、コンディションがまた変わると思いますが、スタート時はまだ暑さが残ったままとなるでしょう。予選で得た情報、データを基に決勝用のマシンにセッティングを施します。暑い中ではオーバーテイクも難しいでしょうが、マシンのセッティングも含めて対処を行い、全力で戦います」