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  • アストンマーティンF1 “AMR26を日本残留” ホンダ振動問題克服の舞台裏

    アストンマーティンF1 “AMR26を日本残留” ホンダ振動問題克服の舞台裏

    アストンマーティンとホンダが2026年F1シーズンで直面していた“深刻な振動問題”に対し、異例ともいえる対策を講じていたことが明らかになった。

    マイアミGPでは2台とも完走を果たし、フェルナンド・アロンソも「振動は解消された」と手応えを口にした。その裏では、日本GP後にアストンマーティンが1台のAMR26を日本に残し、ホンダのさくら施設で静的テストを行うという異例の対応が取られていた。

    ホンダ単体では発生しなかった“破壊的振動”
    2026年型パワーユニットを巡っては、シーズン開幕当初からアストンマーティン・ホンダが深刻な信頼性問題に苦しんでいた。

    問題の中心にあったのは、シャシーとパワーユニットが組み合わさった際に発生する“ハーモニック共振”だった。ホンダ側のテストベンチでは確認されず、実車に搭載した際のみコンポーネント破損につながる振動が発生していたという。

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治は日本GP時点で、単体テストでは問題が確認されていないことを説明していたが、今回のマイアミGPではその対策が大きく前進した形となった。

    アストンマーティンが日本にAMR26を“置いて帰国”
    今回の改善において大きな役割を果たしたのが、アストンマーティンが日本に1台のAMR26を残したことだった。

    マイク・クラックは、ホンダがさくら施設で実車を用いたダイノテストを実施したことを明かした。

    「我々は1台のレースカーをさくらに残してダイノテストを行った」

    「ホンダは巨大企業であり、こうした問題の解析においてレーシングチーム以上の経験を持っている」

    「実車があったことで、振動の伝達経路を調査できた。これは本物のレースカーでしか確認できない部分だった」

    クラックは、シャシー側とパワーユニット側の両方で対策を進めた結果、マイアミで大きな改善が見られたと説明した。

    アロンソ「今の問題はギアボックス」
    マイアミGP後、フェルナンド・アロンソはパワーユニットについては「問題なかった」と説明。その一方で、新たな課題としてギアボックス挙動を挙げた。

    「問題はなかった。正直、週末を通して問題だったのはエンジンよりギアボックスだった」

    「ダウンシフトやアップシフト時の挙動がかなり奇妙だった。あまりコントロールできていなかった」

    「だからカナダGPへ向けた修正の最優先事項はギアボックスだ」

    アロンソは、重ブレーキングが多いカナダではギアボックス改善が必要になると語っている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    マイアミでアップデートを投入しなかった理由
    マイアミGPでアストンマーティンが空力アップデートを投入しなかった理由も、この信頼性対策にあった。

    シャシーや空力を変更すると、振動問題との因果関係を切り分けづらくなるため、チームはA/B比較を優先。まずは“正常に走れる基準”を確立することを最優先した。

    その結果、スプリントと決勝を通じて大きなトラブルなく走破できたことは、チームにとって大きな前進となった。

    ようやく始まった“本当の開発”
    これまでのアストンマーティン・ホンダは、性能開発以前に信頼性問題への“火消し”に追われていた。

    しかしマイアミで一定のベースラインを確立できたことで、ようやく本来の性能開発やエネルギーマネジメント最適化へ進める段階に入った。

    HRCの折原伸太郎は次のステップについてこう語った。

    「次はエネルギーマネジメントやドライバビリティの最適化に集中できます」

    「まだパワーユニットには改善の余地が多く残されていますが、それが次のステップになります」

    クラックも「ようやく学習できる段階に入った」と説明する。

    「シーズン序盤から我々は走行距離で大きく遅れている」

    「しかし信頼性が確保されれば、他車とレースをしながら多くを学べるようになる」

    「タイヤ理解も含め、ようやく本来の開発サイクルに入れるようになった」

    マイアミGPで見えたのは単なる完走ではない。アストンマーティンとホンダが、ようやく“スタートライン”に立ったことを意味していた。

  • アストンマーティンF1 “異例の問題”で開発停滞 アップグレード遅延を説明

    アストンマーティンF1 “異例の問題”で開発停滞 アップグレード遅延を説明

    アストンマーティンは、2026年F1マイアミGPにAMR26の空力アップグレードを持ち込まなかった理由を説明した。開幕4戦を終えてコンストラクターズ選手権最下位、獲得ポイントなしという厳しい状況にあるなか、チームは新パーツ投入よりも信頼性、振動低減、ドライバビリティ改善を優先している。

    フェラーリが11点、マクラーレンとレッドブルがそれぞれ7点のアップデートを投入し、他チームも少なくとも1点の開発アイテムを持ち込んだ一方で、アストンマーティンはAMR26に空力面の新パーツを用意しなかった。

    空力アップデートより優先された「異例の問題」
    元チーム代表で現在はチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、空力開発の投入時期について明言を避けた。

    「我々はこの数週間、数か月で見てきた。特に、信頼性、振動の低減、ドライバビリティの改善に関して進歩を遂げてきたやり方を考えれば、すでにかなり大きなアップグレードを行ってきたと思う」

    「そして、その方向で作業を続けなければならない。だから、次のレースなのか、その次のレースなのか、あるいはいつになるのかという話には引き込まれたくない」

    「シーズンが始まったとき、我々には多くの問題があった。異例の問題だった。しかし、我々がリソースを投入したスピードはかなり注目に値するものだったと思う」

    「さらに前進できることを期待できるし、そうなると考えている。ただし、埋めなければならない差が大きいことも認めなければならない。これは決して1週間でできる作業ではないかもしれない」

    アストンマーティンの開幕戦からの問題は深刻だった。シーズン序盤は技術的トラブルによって両ドライバーの走行時間が制限され、マイアミGP前までの完走扱いは鈴鹿でのフェルナンド・アロンソの18位のみだった。

    なかでもパワーユニットのバッテリーに起因する振動問題は大きな焦点となり、中国GPではアロンソが不快感を理由にリタイア。アロンソとランス・ストロールの双方が、神経への影響を懸念する状況にまで発展していた。

    マイアミGPでは、アロンソが15位、ストロールが17位でフィニッシュし、チームとして今季初の2台完走を達成した。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「今のパッケージから引き出せるものがまだある」
    フェルナンド・アロンソは、空力アップデートが夏休み明けまで投入されない可能性にも言及している。そうしたなかで、なぜ開発投入を遅らせる価値があるのかを問われたクラックは、現行パッケージの使いこなしがまだ不十分だと説明した。

    「『戦略は何か』『計画は何か』を認識しなければならない」

    「ここトラックでの我々の仕事は、持っているものから最大限を引き出すことだ。マイアミでは、何らかの理由で、すべてが最適だったとは言えないと思う」

    「うまくやったとは思うが、もっと良くできたはずだ。同じことはエネルギーにも当てはまるし、ドライバビリティにも当てはまる」

    「だから、現時点のこのパッケージから引き出すべきものは多い。全員のモチベーションを保ち、その作業を続けることが重要だ。そして、大きなステップが来るのを待つことになる」

    アストンマーティンにとって、空力アップデートの遅れは単なる開発停滞ではなく、AMR26が抱える根本的な問題への対応を優先した結果でもある。信頼性、振動、ドライバビリティという基盤を整えなければ、新パーツを投入しても本来の効果を測ることは難しい。

    ただし、ライバルがすでに大規模なアップデート競争に入っているなかで、アストンマーティンが「大きなステップ」を待つ時間的余裕は限られている。マイアミでの2台完走は前進ではあるが、ポイント圏外という現実は変わっておらず、AMR26が次に示すべきなのは、完走だけでなく競争力の明確な改善となる。

  • アストンマーティンF1 ホンダと進めた振動対策が成果「信頼性で重要な前進」

    アストンマーティンF1 ホンダと進めた振動対策が成果「信頼性で重要な前進」

    アストンマーティンは2026年F1第4戦マイアミGP決勝で2台完走を果たし、今季初めて両車がチェッカーフラッグを受けた。フェルナンド・アロンソは15位、ランス・ストロールは17位でレースを終えた。

    信頼性面での改善が見られた一方で、パフォーマンス不足は依然として課題として残り、チームはカナダGPに向けてデータ分析と開発を進める構えだ。

    クラック『PU振動対策が効果』
    チーフ・トラックサイド・オフィサーのマイク・クラックは、ホンダと進めてきた対策の成果を強調した。

    「我々はインターバルの間、ホンダとともにパワーユニットの振動がシャシーに伝わる問題の改善に取り組んできた。その作業は成果を上げ、今週末は信頼性の面で重要な前進を果たした」

    「それはポジティブだが、このパッケージのポテンシャルを引き出すためには、まだやるべきことが明らかに残っている。ペース向上に向けて引き続き協力していく必要がある」

    アロンソ『重要なのは前進を続けること』
    フェルナンド・アロンソは15位でフィニッシュし、終盤はソフトタイヤで積極的な走りを見せた。

    「今シーズンで初めて2台ともレースを完走できたのは良いことだ。まだ望んでいる位置にはいないが、今週末はより多くのデータを集めることができたし、カナダまでの数週間でそれを分析できる」

    「信頼性に関しては明確な進歩があった。これからはパフォーマンスに焦点を移す必要がある。チームとして努力を続け、辛抱強く取り組んでいかなければならない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    ストロール『信頼性は前進も戦略に課題』
    ランス・ストロールは2度のピットストップを経て17位でフィニッシュした。

    「今シーズンで初めて2台とも完走できたのはポジティブな点だ。マシンでより多くの走行距離を重ねることができたし、今週末は振動も少なかった」

    「振り返るとタイヤ戦略はうまくいかなかったが、信頼性の観点では正しい方向に一歩前進した。今はパフォーマンスに関する問題に取り組む必要があるし、改善すべき領域は多い」

    アストンマーティンは今季初のダブル完走を通じて、信頼性面での改善という明確な成果を示した。ホンダと進めてきた振動対策が実を結び、土台は整いつつある。一方でパフォーマンス不足は依然として大きな課題であり、次戦以降はその解消が問われることになる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 マイアミGPで今季初2台完走「重要な項目をクリア」

    アストンマーティン・ホンダF1 マイアミGPで今季初2台完走「重要な項目をクリア」

    ホンダF1は2026年F1第4戦マイアミGPで、アストンマーティンとともに今季初の2台完走を達成した。フェルナンド・アロンソが15位、ランス・ストロールが17位でチェッカーを受け、信頼性面での前進を示した。

    開幕から課題となっていた振動問題にも改善が見られ、高温環境下でも安定したオペレーションを維持。パフォーマンス面では依然として課題を残すものの、今後に向けた重要な土台を築くレースとなった。

    今季初の2台完走 信頼性改善が成果に
    ホンダにとって今回のマイアミGP最大の収穫は、アストンマーティンとともに今季初めて2台が揃って完走したことにある。

    開幕から続いていた課題のひとつであった信頼性面において、大きなトラブルなくレースを走り切れたことは明確な前進だ。特に高温コンディションの中でも安定した運用ができた点は、これまでの改善の成果を示す内容となった。

    アロンソ15位 ストロール17位も安定感を確保
    フェルナンド・アロンソは15位、ランス・ストロールは17位でフィニッシュ。ポイント圏内には届かなかったものの、両車ともにレースを通して大きな問題なく周回を重ねた。

    結果以上に、週末を通じてマシンを確実に走らせ切れたことはポジティブな材料であり、チームとしての基盤が整いつつあることを示している。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    折原伸太郎「重要な項目をクリアできた」
    Honda F1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、今回の週末を次のように振り返った。

    「今週末を通じて、いくつかポジティブな要素を得ることができました。PUに大きな信頼性のトラブルが発生することなく、2台ともすべてのセッションおよびレースを走り切れたことは前進です」

    「また、振動の問題の改善が信頼性の向上に繋がっており、スプリントレースが行われた土曜日のような高温環境下でも問題なくオペレーションができました」

    「これは小さな一歩ですが、今後パフォーマンス向上に取り組む上での土台になります」

    「引き続き時間は必要ですが、重要な項目をクリアできた有意義な週末だったと考えています」

    次はパフォーマンス領域へ
    信頼性という基礎部分に一定の目処が立ったことで、ホンダとアストンマーティンは次の段階であるパフォーマンス向上へと開発の軸を移していく。

    今回の2台完走は、単なる完走以上の意味を持つ。積み重ねてきた改善が形になり始めた中で、ここからどこまで競争力を高めていけるかが次の焦点となる。

  • アストンマーティンF1 アップデート未掲載に反論「何もしてなかったわけではない」

    アストンマーティンF1 アップデート未掲載に反論「何もしてなかったわけではない」

    アストンマーティン・ホンダF1は、2026年F1マイアミGPの週末において、FIAの公式アップデートリストに変更が記載されなかったことを受け、その見方に対する反論を示した。外から見れば“開発なし”とも受け取られかねない状況だが、チームはこの5週間の中断期間で多くの作業を進めてきたと強調している。

    チームアンバサダーのペドロ・デ・ラ・ロサは「何もしていなかったわけではない」と明言し、振動対策やドライバビリティ、パワー供給、重量削減といった領域での改良が行われてきたと説明。

    ただし、それらは空力アップデートのように一覧化される性質のものではなく、公式書類には反映されない“見えない開発”である点を強調した。

    アップデート未掲載が招いた誤解
    アストンマーティンのマシンAMR26は、FIAが公開したアップデートリストにおいて変更点が記載されなかった。これは通常、空力パーツなど外部から確認できる改良が対象となるためであり、今回のように記載がない場合は“開発が行われていない”という印象を与えやすい。

    しかし、チーム側はこの解釈を否定する。今回の中断期間では、目に見えるパーツの更新ではなく、内部的な改良やセットアップ領域に重点が置かれていたとされる。

    デ・ラ・ロサ「表に出ない作業がある」
    ペドロ・デ・ラ・ロサは、公式リストの限界について次のように説明した。

    「伝えるべきことはすでにすべて話されている。振動、ドライバビリティ、パワー供給、重量削減に多くの作業を行った。これらはFIAの変更表に要約できるものではない。空力ではないからだ」とペドロ・デ・ラ・ロサはDAZNの取材に対して語った。

    「我々が腕を組んでいたと思う人がいないようにしてほしい。日本にマシンを置いてきて、そのエンジンとギアボックスでテストを行ったことは非常に生産的だった。空力の改善や変更が存在しないからといって、マシンの皮膚の下で作業が行われていないということにはならない」

    この発言が示す通り、今回の開発は“外から見えない領域”に集中している。振動の低減やパワーユニット周辺の最適化などは、構造や組み付け、制御に関わる要素が多く、パーツ単位のアップデートとして記録されにくい。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    コース上の証明が求められる段階
    ただし、こうした主張が評価されるかどうかは、最終的にコース上のパフォーマンスに委ねられる。マイアミのフリー走行では依然として後方に沈む結果となっており、“見えない開発”の成果がすぐに表れる状況ではない。

    デ・ラ・ロサも、まずは現状の変化を慎重に見極める必要があると認めている。

    「まず、変更がレースに向けて正しい方向に進んでいるかを分析しなければならない。そのうえで、何が使えるのかを理解する必要がある。開発プログラムは続いているが、時間を与えなければならない」

    アップデート未掲載という事実と、内部で進められている開発との間に生じたギャップ。アストンマーティン・ホンダF1は、その“見えない作業”を結果として示せるかが問われている。

  • アストンマーティン・ホンダF1 ニューウェイ体制は「広報上のオウンゴール」

    アストンマーティン・ホンダF1 ニューウェイ体制は「広報上のオウンゴール」

    アストンマーティンF1は、エイドリアン・ニューウェイを中心に据えた2026年F1プロジェクトで大きな期待を集めてきた。しかし、AMR26が競争力を示せない状況のなかで、その体制そのものに対する疑問が強まっている。

    元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、ニューウェイをチーム代表の役割に置いた判断に疑問を呈し、さらにジョナサン・ウィートリーのアウディ離脱発表後にローレンス・ストロールが出した声明について、アストンマーティン側の「広報上のオウンゴール」だったと指摘した。

    ニューウェイのチーム代表起用に「想像したことはなかった」
    エイドリアン・ニューウェイは2024年8月にアストンマーティンF1加入が発表され、2025年3月にマネージングテクニカルパートナーとして正式に着任した。そこから2026年F1レギュレーションに向けた新車プロジェクトを主導してきた。

    しかし、AMR26が実戦で競争力を欠いていることが明らかになると、状況は一変した。ニューウェイが巻き返すという期待はなお残っている一方で、批判は増えており、特にニューウェイをチーム代表的な役割に置いた判断に視線が集まっている。

    クルサードは、F1でニューウェイの働き方をよく知る人物のひとりだ。1994年にニューウェイ設計のウィリアムズでF1デビューし、1997年から2004年まではマクラーレンで再びニューウェイと仕事をした。さらに2005年にレッドブルへ移籍した後も、同年末にニューウェイが加入し、2009年のクルサード引退まで同じチームで過ごした。

    クルサードはポッドキャスト『Up to Speed』で、ニューウェイについてこう語った。

    「キャリアの大半でエイドリアンと一緒に仕事をしてきたが、彼がチーム代表になる姿はまったく想像したことがなかった」

    「彼は非常に優れた技術的思考を持っている。レーシングドライバーであり、技術的な問題解決の専門家だ」

    その一方で、クルサードはチーム代表に求められる政治的・メディア対応的な側面について、ニューウェイに向いている役割ではないとの見方を示した。

    「チーム代表が常に対処しなければならないF1の政治、そして時にメディアとの間で生まれる政治は、繊細な問題だ。特にエイドリアンの年齢、60代半ばという年齢ではなおさらだ」

    「年月を重ねると、自分が進んでやることと、もうやらないことがあると分かってくる。なぜなら、これから先の道のりは、すでに歩んできた道のりより短いからだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    ストロール声明は「広報上のオウンゴール」
    クルサードは、ジョナサン・ウィートリーをめぐるアストンマーティンの対応についても言及した。

    ウィートリーのアウディ離脱は、ニューウェイの恒久的な後任としてローレンス・ストロール率いるアストンマーティンに加わる将来と関係していると見られている。しかし、アウディがウィートリーの退団を発表した直後、ストロールはアストンマーティンの公式チャンネルを通じて個人声明を出し、ニューウェイが引き続きその役職にとどまると強調した。

    クルサードは、この動きの背景に強い関心を示しつつ、アストンマーティンの広報チームにとっては結果的に逆効果だったと指摘した。

    「これは長期的な戦略だ。だから、ローレンス・ストロールの声明の先にあるものをもっと知りたい。あの声明では、エイドリアンがチームのパートナーであり、株式を持っており、当初の計画を続けていくと再確認していた」

    「私には、これは短期的な戦略だったものを修正しただけのように見える。そして実際には、広報上のオウンゴールになった。多くの人に疑問を抱かせたからだ。『本当にうまくいくのか?』と」

    「今では、我々がすでに思っていたこと、つまり決して機能しないのではないか、という考えを抱かせている」

    アストンマーティンは、ニューウェイ加入、ホンダとのワークス体制、フェルナンド・アロンソの存在によって、2026年F1シーズンの大きな注目チームと見られていた。しかし、現時点では期待が成果に結びついておらず、チームの技術体制とマネジメント構造の両方が問われる状況になっている。

  • アストンマーティン・ホンダF1 マイアミGPで車体軽量化とPU改良も効果限定

    アストンマーティン・ホンダF1 マイアミGPで車体軽量化とPU改良も効果限定

    アストンマーティンはマイアミGPを前に、AMR26に複数の改良を投入した。ホンダ製パワーユニットのハードウェアアップデートに加え、車体の軽量化やドライバビリティ改善など、幅広い対策が施されている。

    ただし、その内容はあくまで最低限の競争力確保を目的としたものであり、ポイント争いに直結するような大幅な戦力向上には至っていない。現場責任者の発言からも、依然として根本的な課題が残されていることが明らかになった。

    振動対策へPUハードウェア改良 さくらの施設で継続開発
    アストンマーティンのトラックサイド責任者マイク・クラックは、今回のアップデートの背景について次のように説明した。

    「我々はレース後にマシンをさくらの施設へ残し、抱えている問題に取り組み続けた。そして今回、信頼性を改善するためのパッケージを持ち込んだ」

    ホンダのトラックサイド責任者である折原慎太郎も、振動対策の進展について言及している。

    「振動を測定するための静的テストを実施し、多くのデータを収集することができました」

    「パワーユニットのハードウェア面でも改善を行っています」

    今回の改良の中心は、これまで問題となってきた振動の低減にある。パワーユニット単体だけでなく、車両全体での対策が進められている。

    軽量化とドライバビリティ改善も同時進行
    アップデートはパワーユニットにとどまらず、シャシー側にも及んでいる。クラックは車両全体の改善についても言及した。

    「我々は信頼性だけでなく、車重やドライバビリティの改善にも取り組んだ。それは大きな課題だった」

    「クルマには変更がある。振動を根本から低減するための取り組みに加え、すべてのシステムでその影響を軽減するための広範なパッケージを導入した」

    ステアリングを含む複数の領域に手が入れられており、ドライバーの扱いやすさ向上も狙いとなっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    それでも遠いポイント圏 首脳陣は現実認める
    今回の改良によってグリッド降格ペナルティが発生することはないが、戦力面での大幅な前進にはつながっていない。

    ホンダ側はFIAのADUO適用の可能性について問われても、「いくつかアイデアはあります」と述べるにとどめ、具体的な方向性は明かさなかった。

    一方でクラックは現状を冷静に受け止めている。

    「シーズン中に大きく差を縮めるのは非常に難しい。これは開発競争だ。我々は競争力を持つチームであり、グリッド後方にいるべきではない」

    「改善は必要だが、同時に現実的でなければならない。経験豊富な2人のドライバーが後方にいる状況にはフラストレーションがあるし、それをマネジメントしなければならない」

    改良は確かに進んでいる。しかし、それは巻き返しというよりも“最低ラインへの復帰”に近い。AMR26の根本的な課題は、依然としてチームの前に立ちはだかっている。

    Source: AS

  • アストンマーティン・ホンダF1に拡大する課題 ギアボックスにも新たな懸念

    アストンマーティン・ホンダF1に拡大する課題 ギアボックスにも新たな懸念

    アストンマーティン・ホンダの2026年F1シーズン序盤の苦戦は、ホンダ製パワーユニットや冷却面の課題だけにとどまらない可能性がある。スペイン紙『Marca』によれば、アストンマーティンが今季から導入した初の自社製ギアボックスも、新レギュレーション下で要求される負荷に苦しんでいるという。

    シルバーストンを拠点とするアストンマーティンは、これまでメルセデスから供給を受けていたトランスミッションから自社設計へと切り替えた。

    しかし、エネルギー回生の比重が高まった2026年F1では、パワーユニット、ギアボックス、ドライバーの操作が密接に連動するため、ひとつの弱点が車全体のパフォーマンスに波及しやすい状況になっている。

    回生重視のドライビングがギアボックスに新たな負荷
    2026年F1のドライビングで重要な特徴のひとつが、エネルギー回生を最大化するための積極的なダウンシフトだ。ブレーキング中やコーナー進入時に、時には1速まで落とすような操作が使われ、バーレーンテストではマックス・フェルスタッペンがいち早くこのテクニックを習得したドライバーのひとりとされた。

    一方で、この操作はギアボックスとパワーユニットの統合に大きな負荷をかける。カルロス・サインツは、この繊細なバランスについて次のように語っている。

    「パワーユニット、ギアボックス、そしてドライバーの好みの統合は、閉じたループでなければならないと強調したい。その2つ、あるいは3つの要素のうちひとつでも望み通りに機能しない瞬間に、問題が始まる。だから全員が適応し、正しい道を見つけなければならない」

    『Marca』によると、アストンマーティンのギアボックスは現在の形式で求められる高回転・低ギアでのコーナリングやブレーキングの負荷に「対応できていない」とされる。同紙が引用した専門家は、全面的な再設計には最大6か月を要する可能性があり、解決は7月頃までずれ込む可能性があると指摘している。

    この時期は、フェルナンド・アロンソが以前から語っていた「アストンマーティンが本当に競争力を発揮するのはシーズン後半になる」という見立てとも重なる。

    ホンダPUの振動問題が耐久性にも影響か
    もうひとつの懸念材料とされているのが、ホンダの内燃エンジンだ。報道では、高回転域で大きな振動が発生しているとされ、この問題がギアボックスの耐久性にも影響している可能性がある。

    2026年F1エンジンはすでに3月1日にホモロゲーションを迎えており、開幕序盤においてハードウェア面での大幅な仕様変更は事実上不可能な状況となっている。パフォーマンスを引き出すためのソフトウェア更新は進められているが、開幕数戦では物理的なエンジン仕様は変わらない見通しだ。

    シーズン後半には、成績が劣るメーカーを対象としたFIAのバランスメカニズムによって部分的な救済が得られる可能性もある。ただし、パドック内では、アストンマーティンが何らかの出力差を2027年まで抱える可能性もささやかれている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    デ・ラ・ロサ「すべてはパッケージ」
    アストンマーティンのチームアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、特定の部品だけを原因とする見方には踏み込まなかった。

    「今はすべてがパッケージだ。新しいレギュレーションでは、ブレーキング性能がストレートスピードに影響する。なぜなら、ブレーキング中にどれだけ回生できるか、そしてブレーキング時の安定性が非常に大きな意味を持つからだ」

    「コーナーの頂点でもう1段ギアを落とすことができれば、次のストレートでより多くのエネルギーを使える。僕たちは、全体としてマシンをもっと堅牢にする必要があるだけだ」

    この発言が示すのは、アストンマーティン・ホンダの問題が単なるエンジン出力や冷却不足ではなく、ブレーキング、回生、ギア選択、車体安定性まで含めた統合性能の課題であるという点だ。

    アロンソは後半戦の改善に期待
    一方で、フェルナンド・アロンソは公には楽観的な姿勢を崩していない。

    「マシン発表のとき、僕たちはシーズン序盤に遅れを取るかもしれないが、後半戦は良くなるはずだと言った。今でもその意見は変わっていない」

    「メルボルンに持ち込むマシンは、テストしているものとは大きく異なるものになる。僕たちには30年のF1経験を持つ人物がいる。エイドリアン・ニューウェイはその間ずっと支配してきた。だから、いずれ僕たちは最高のマシンを手にする。時間の問題だ」

    アストンマーティン・ホンダにとって、2026年F1シーズン序盤は想定以上に複雑な課題との戦いになっている。ホンダPUの振動、ギアボックスの耐久性、回生を軸にした新しいドライビングへの適応。そのすべてがひとつのパッケージとして機能しなければ、アロンソが見据える後半戦の反攻も現実にはならない。

  • ニューウェイの“極端設計” アストンマーティンF1 AMR26の狙いと代償

    ニューウェイの“極端設計” アストンマーティンF1 AMR26の狙いと代償

    2026年F1シーズンに向けて投入されたアストンマーティンのAMR26は、エイドリアン・ニューウェイによる設計思想が色濃く反映されたマシンだ。日本GPからマイアミGPまでのインターバルを利用した技術分析により、その構造がこれまで以上に大胆であることが明らかになっている。

    現時点でのパフォーマンスは苦戦が続いているものの、その設計には明確な意図が存在する。

    特に空力効率を極限まで追求した構成は、従来のセオリーを大きく逸脱するものであり、成功すれば大きなアドバンテージを生む一方で、実装には高いリスクを伴う。

    極端なアンダーカットが生む空力ポテンシャル
    AMR26の最大の特徴のひとつが、モノコックとサイドポッドの間に設けられた大きなアンダーカットだ。これはグリッド上でも最も大きい部類に入り、リアのコークボトル形状へ向かう気流を加速させる狙いがある。

    この設計により、フロア下の空気の流速を高め、結果としてマシン全体のダウンフォース増加が期待されている。ただし、そのためには気流が剥離しないよう精密な制御が不可欠であり、設計の難易度は極めて高い。

    さらに、サイドポッド内部のラジエーターは、空力形状に合わせて横方向・縦方向の両方に湾曲させられている。これにより外側のボディワークは極端なダウンウォッシュ形状を実現しているが、そのぶん内部パッケージングは非常にタイトになっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム AMR26

    一体型サスペンションという大胆な選択
    フロントサスペンションでは、上下のウィッシュボーンを左右分割せず、1本の構造としてノーズを貫通させる“一体型”を採用している。現行グリッドでは唯一の構成だ。

    この設計は空力的には有利とされる。構造をスリム化できることで気流の抵抗を減らし、よりクリーンなエアフローを確保できる可能性がある。また剛性が高まれば、タイヤ接地の精度向上にもつながる。

    一方でデメリットも明確だ。単一構造であるがゆえに荷重集中によるたわみが大きくなりやすく、それを抑えるための補強が重量増につながる可能性がある。また左右独立の調整ができないため、セットアップの自由度は制限される。

    さらに、損傷時の交換作業も複雑で時間がかかるという実用面での弱点も抱えている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム サスペンション

    マルチリンク化で弱点を補う設計思想
    AMR26のサスペンションは、見た目こそウィッシュボーンだが、実際にはマルチリンク構造となっている。前後のアームが独立してハブに接続されることで、ステアリング時のタイヤ接地特性をより細かく制御できる。

    これにより、トーやキャンバー、キャスターといったセットアップ要素をより独立して調整できるようになり、一体型サスペンションの弱点を補う狙いがある。

    結果として、極端な空力設計と機械的な制御精度の両立を図る構成となっているが、その成立には膨大なデータ解析と精密な設計が不可欠となる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム 設計思想

    “成功すれば革命”だが成立は困難な設計
    AMR26は、空力効率を最優先に据えた結果として、従来の設計バランスを大きく崩したマシンとなっている。各要素は理論的には高いポテンシャルを持つが、それらを実走で成立させるには非常に高い完成度が求められる。

    現状のパフォーマンス不足は、その“極端さ”ゆえの難しさを示しているとも言えるが、裏を返せば開発が進めば大きく化ける余地を残している構成でもある。ニューウェイが描いたこの挑戦的なコンセプトが、今後どこまで現実の速さへと結びつくかが焦点となる。

    Source: Formula1.com

  • アストンマーティン・ホンダF1 振動問題に光明 ニューウェイの解決策が浮上

    アストンマーティン・ホンダF1 振動問題に光明 ニューウェイの解決策が浮上

    アストンマーティンは、速さを秘めながらも深刻な振動問題に苦しんでいる。ホンダ製パワーユニットに起因するこの問題は、フェルナンド・アロンソのパフォーマンスに大きな影響を与えており、シーズン序盤の低迷の一因となっている。

    4月のインターバル期間を迎えた現在、チームはこの根本的な欠陥の解消に全力を注いでいる。エイドリアン・ニューウェイが主導する開発作業は、今後の戦力図を左右する重要な局面に入っている。

    振動が奪うパフォーマンスと信頼性
    アストンマーティンのマシンは、エンジン由来の振動がシャシー全体に伝わる構造的な問題を抱えている。この振動は単なる不快要素にとどまらず、ドライビング精度やタイヤマネジメントに直接的な悪影響を及ぼしている。

    ステアリング操作の精度低下によりコーナリングでの再現性が損なわれ、結果としてタイヤの摩耗が進行。これにより戦略の自由度が制限され、予定外のピット戦略を強いられるケースも生じている。

    さらに、振動はドライバーの身体にも負担を与え、長期的な健康リスクすら懸念されている。ニューウェイもこの問題を「根本から断つ必要がある」と認識している。

    日本で見えた“解決策”と新たな課題
    日本での走行において、ホンダは改良型ステアリングロッドを投入した。このパーツはエンジン振動の周波数を吸収し、ステアリングへの伝達を抑える設計となっていた。

    アロンソは初期走行後に「クルマが普通に感じられる」と述べており、振動が大幅に軽減されたことが確認された。ラップタイムの改善も見られ、方向性としては正しいアプローチだった。

    しかし、この新パーツは耐久性に問題を抱えていた。短時間で素材疲労が進行し、週末を通して使用できないことが判明。チームは安全面を考慮し、従来仕様へと戻す判断を下した。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイが進める再設計
    現在、アストンマーティンのファクトリーでは、より高い耐久性を持つ素材の検証が進められている。振動を抑えつつ剛性を維持することが開発の焦点となっている。

    ニューウェイとアロンソの連携により、シャシー全体の安定性を高める方向での見直しも進行中だ。単なる部品交換ではなく、車体全体のバランスを含めた再設計が求められている。

    この問題は単なる一時的な不具合ではなく、ホンダとの統合コンセプトそのものに関わるテーマとなっている。ここで確立される解決策は、シーズン後半の競争力を左右する基盤となる。

    マイアミGPが試金石に
    チームの次なるターゲットはマイアミGPだ。ここで改良型ステアリングシステムの最終仕様を投入し、レース距離に耐えうるかを検証する計画となっている。

    新パーツが安定して機能すれば、本来の空力性能を引き出すことが可能となる。現状では振動が気流の安定性にも影響を及ぼしており、ハイダウンフォース領域での性能発揮を妨げている。

    この問題が解消されれば、アロンソは本来の競争力を取り戻し、中団上位争いへ復帰する可能性が高まる。逆に解決が遅れれば、シーズンを通じて苦戦を強いられるリスクも残る。

    アストンマーティンにとって、この数週間の開発は単なる改善ではなく、シーズンの流れを決定づける分岐点となっている。