カテゴリー: F1レギュレーション

  • F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

    F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

    FIA、FOM、F1チーム、そしてパワーユニットメーカーは、2027年および2028年に向けたパワーユニット規則の見直しで合意に達した。新世代パワーユニットの基本方針は維持しつつ、内燃エンジン比率を高めることで、近年課題として指摘されてきた過度なエネルギーマネジメントを緩和する狙いがある。

    今回の変更案は、各メーカーやチームの利害が交錯する中でまとめられた妥協案であり、2026年から導入された新規則の運用を通じて明らかになった課題への対応策となる。

    今後は6月23日に開催されるFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)で正式承認が行われる予定だ。

    2027年から段階的に内燃エンジン比率を拡大
    今回の合意では、一度に大幅な変更を加えるのではなく、数年をかけてパワーバランスを調整していく方針が採用された。

    2027年からは燃料流量を5%引き上げることで、内燃エンジン出力は400kWから420kWへ増加する。一方で、電動モーター(MGU-K)の最大出力は350kWから300kWへ引き下げられる。

    ただし、オーバーテイクモードについては現行の350kWを維持し、追い抜き時のパフォーマンス低下は避けられる。また、エネルギー回生能力は250kWから375kWへ大幅に拡大される。

    これにより、現在53%対47%となっている内燃エンジンと電動出力の比率は、2027年に58%対42%へ移行することになる。

    2028年には60対40の比率へ
    さらに2028年には追加の変更が予定されている。

    燃料流量は現行比で13%増加し、内燃エンジン出力は450kWへ到達する見込みだ。エネルギー回生能力も400kWまで引き上げられ、最終的に内燃エンジン60%、電動40%という長期目標のパワーバランスが実現される。

    段階的な導入としたことで、各メーカーは開発計画や予算を調整する時間を確保でき、大規模な規則変更による混乱も回避できる。

    メーカー間の意見対立を経て妥協案に到達
    今回の合意に至るまでには数か月にわたる協議が行われた。

    一部メーカーは内燃エンジン出力の引き上げをより早い段階で実施することを望んでいた一方、別のメーカーは開発コストや短期間での対応の難しさを理由に慎重な姿勢を示していた。

    最終的には性能向上とコスト管理の双方を考慮した妥協案として、段階的な移行プランが採用された。

    FIAは声明で次のように説明している。

    「2026年のF1レギュレーションはFIA、FOM、チーム、自動車メーカー、パワーユニットメーカーが緊密に協力して策定された。今回の修正もその協力関係の延長線上にあり、関係者全員が運用上の課題に対処するために共同でフレームワークを改善したものだ」

    またFIAは、規則変更への対応を支援するため、メーカー向けの財務規則についても柔軟性を持たせる改定を盛り込んだことを明らかにした。

    エネルギーマネジメント負担の軽減が狙い
    今回の見直しの背景には、2026年規則下で顕在化した運用面の課題がある。

    新世代パワーユニットはレース展開の多様化に貢献した一方で、ドライバーからは予選や決勝で求められるエネルギーマネジメントの負担が大きすぎるとの声が相次いでいた。

    また、特定の状況下で発生する大きな速度差についても懸念が示されていた。

    そのためF1関係者は、レギュレーションを全面的に作り直すのではなく、段階的な改善によってパフォーマンスとレース品質を維持しながら問題解決を図る道を選択した。

    世界モータースポーツ評議会で承認されれば、今回の改定はF1ハイブリッド時代の次なる方向性を決定づける重要な転換点となる。

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    ・F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

  • アウディF1が規則変更に反対 「安定性が最優先」 フェルスタッペンに逆風

    アウディF1が規則変更に反対 「安定性が最優先」 フェルスタッペンに逆風

    2027年に向けて議論が続くF1パワーユニット規則の見直しについて、アウディF1が現行レギュレーションの維持を支持する姿勢を明確にした。CEOのゲルノート・デルナーは、コスト効率と開発計画の観点から「安定性」が最も重要だと強調している。

    現在、F1では2026年に導入された新パワーユニット規則の見直しが検討されており、内燃機関と電動出力の比率を実質50対50から60対40へ変更する案が議論されている。

    しかし、アウディF1やフェラーリはこうした変更に慎重な姿勢を示しているとされる。

    アウディF1 CEO「安定性が重要」
    規則変更の可能性について、デルナーはRacingNews365を含む一部メディアの取材に対し、アウディF1の立場を次のように説明した。

    「我々の立場は規則の安定性を維持することだ。それが非常に明確な見解だ」

    「新規参入メーカーであることも理由のひとつだが、もうひとつはコスト効率だ」

    「最も重要なのはコストキャップを念頭に置くことだ」

    「我々は他社より低い位置からスタートしており、技術開発の成長曲線はより急なものになっている。そのプロセスを考えると、安定性には満足している」

    2026年からワークス参戦を開始したアウディF1は、現行規則を前提に開発と投資を進めてきた。そのため、レギュレーション導入直後の大幅な変更には消極的な姿勢を示している。

    フェルスタッペンの要求に逆風
    アウディF1の立場は、60対40への変更を支持しているマックス・フェルスタッペンにとって逆風となる可能性がある。

    フェルスタッペンはこれまで、現行の50対50配分ではエネルギーマネジメントの負担が大きすぎるとして、少なくとも60対40への変更が必要との考えを示してきた。

    しかし、パワーユニット規則の変更には5メーカー中4メーカーの賛成が必要とされている。アウディF1とフェラーリが反対を維持した場合、2027年からの変更案成立は極めて難しくなる。

    また、フェラーリのカスタマーチームであるキャデラックF1も60対40案に懸念を抱いているとみられており、議論は今後も続く見通しだ。

    2027年に向けて協議継続
    それでもデルナーは、最終的には各メーカーが受け入れられる解決策が見つかるとの見方を示している。

    「議論のプロセスは進行中であり、適切に管理されている」

    「我々も他のエンジンメーカーとともにそのプロセスに参加している」

    「だから2027年には良い解決策が用意されると考えている」

    2026年の新規則導入からわずか1年で方向転換するのか、それとも現行レギュレーションを維持するのか。各メーカーの利害が交錯する中、F1の将来を左右する重要な協議が続いている。

  • マクラーレンF1代表 カスタマーチームの不利を認める「新規則で差が拡大」

    マクラーレンF1代表 カスタマーチームの不利を認める「新規則で差が拡大」

    マクラーレンF1のアンドレア・ステラ代表は、2026年シーズンに入り、チームが初めて「カスタマーチームであることの不利」を実感していると明かした。

    メルセデス製パワーユニットを搭載するマクラーレンは、マイアミGPでダブル表彰台を獲得し、大型アップグレードの効果で上昇気流に乗ったかに見えた。

    しかし、その後のカナダGPとモナコGPではトラブルが続発。ランド・ノリスはカナダでギアボックス故障、モナコではパワーユニット関連の問題によってリタイアを喫した。

    2026年の新規則が浮き彫りにした課題
    ステラは、これまでメルセデスHPP(ハイパフォーマンス・パワートレインズ)との関係に不満を抱いたことはなかったと強調した。

    しかし、2026年の大幅なレギュレーション変更によって、ワークスチームとカスタマーチームの違いがこれまで以上に顕在化したという。

    「これまでカスタマーチームであることが我々に不利に働いたと感じたことは一度もなかった」

    そう語ったステラは、誤解を避けるためにメルセデスHPPへの批判ではないと前置きした。

    「それは我々がメルセデスHPPにとって優先順位が低いからではない」

    「信頼性問題への対応や、パワーユニット性能を最大限引き出すための取り組みにおいて、同じタイムラインで作業する機会が少ないからだ」

    「施設を共有しながら共同作業を行ったり、シャシー側の実験とパワーユニットの長時間運転試験を組み合わせたりといったことも、ワークスチームの方が有利になる」

    「パワーユニット関連の信頼性や、ワークスチームであることによるメリットは数多く存在する」

    「こうした問題が特に表面化したのは、2026年のような大規模な技術規則変更があったシーズンだからだと思う」

    メルセデスとの関係強化が最優先課題
    ステラによれば、マクラーレンは現在メルセデスHPPとともに問題解決へ向けた包括的な見直しを進めている。

    単に発生したトラブルを個別に修正するだけではなく、情報共有や開発体制そのものを改善する必要があるという。

    「良好な関係があるからこそ、ひとつひとつの問題を検証し、学び、技術的に解決することができる」

    「しかし、次に何が起きるか分からない状況では、個別対応だけでは十分ではない」

    「会議の内容や頻度、情報共有の質、工場と工場、サーキットと工場の連携など、あらゆるプロセスを見直す必要がある」

    「2026年は新しい要素があまりにも多い。我々はこれまで以上のレベルで協力しなければならない」

    ステラによれば、この議論はすでに数か月前から始まっているが、F1では改善策が結果として現れるまでに時間がかかるため、即効性のある解決策ではないという。

    メルセデスへの責任転嫁は否定
    一方でステラは、今回の問題をメルセデス側の責任とする見方を明確に否定した。

    実際、カナダGPでノリスを襲ったギアボックス故障は完全にマクラーレン側の問題だったと説明している。

    「ランドのカナダでのギアボックス問題のように、完全にマクラーレン側の問題もある」

    「だからこそ、我々のパワーユニットサプライヤーに対しては完全に公平でありたい」

    「我々は非常に成功した関係を築いてきたし、その関係はいまも素晴らしいものだ」

    マクラーレンが直面する“レッドブル型”の課題
    今回のステラの発言で注目されるのは、単なる信頼性問題ではなく、2026年のF1がワークス体制の重要性を改めて浮き彫りにしている点だ。

    レッドブルはレッドブル・パワートレインズを設立し、自社開発体制への移行を進めている。マクラーレンCEOのザク・ブラウンも、将来的には独自パワーユニット開発に興味があることを認めている。

    ただし現時点では、マクラーレンにとって最も現実的な解決策はメルセデスHPPとの連携をさらに強化することだろう。

    カナダGPとモナコGPで露呈した信頼性の課題は、単なる不運ではなく、新世代F1におけるワークスチームとカスタマーチームの構造的な差を映し出している可能性がある。バルセロナで迎える次戦バルセロナ・カタルーニャGPは、マクラーレンがその課題にどこまで対応できたのかを測る重要な週末となりそうだ。

  • アウディF1 2027年エンジン規則変更に反対「開発の助けにはならない」

    アウディF1 2027年エンジン規則変更に反対「開発の助けにはならない」

    アウディは、2027年F1パワーユニット規則の見直し案に反対する姿勢を明確にした。内燃エンジンと電動出力の比率を現在のほぼ50対50から、内燃エンジン寄りの60対40へ戻す案をめぐり、モナコでの協議を前に議論が激しくなっている。

    この案は、燃料流量を増やすことで内燃エンジン側に実質50kWを上乗せし、その一方で電動側を50kW削減するというものだ。ファンやドライバーから不評を買っている現在のパワーユニット構成を、2027年から部分的に修正する狙いがある。

    アウディが示した明確な反対姿勢
    アウディCEOのゲルノット・デルナーは、モナコでPlanetF1.comを含む一部メディアに対し、現在の規則を維持したいと語った。

    「我々としては、今あるものを維持したい。理由は2つある」とデルナーはコメント。

    「まず、我々は今のマシンに搭載しているシステムに取り組まなければならない。プロジェクトの中で最適化すべきことが数多くあり、この変更は現在のドライブトレインを最適化していく道筋の助けにはならない」

    「もうひとつはコストキャップだ」

    「その変更によって、我々が資金を投入したい他の領域から予算が奪われることになる」

    「それが我々の見解だ。ただし、FIAがこのプロセスを主導している」

    「我々もそのプロセスの一部であり、今後数日、あるいは数週間のうちに、2027年に向けた解決策とレギュレーションが出てくると考えている」

    妥協よりも現行規則維持を望むアウディ
    2027年に向けた比率変更には、パワーユニット諮問委員会でのスーパー・マジョリティによる支持が必要となる。フェラーリも懸念を示しているが、妥協の余地はあるとみられている。

    一方、アウディの姿勢はより強硬だ。デルナーは、規則が決まれば対応するしかないとしながらも、望ましい方向ではないと強調した。

    「まずレギュレーションについての決定が必要だ。そのうえで、それが我々の開発プロセスに何を意味するのか、当然ながら見解を持つことになる」

    「だが、レギュレーションが導入されれば、我々はそれに適応しなければならない。そういうものだ。ただ、我々としてはそれを望んでいない。それは非常に明確だ」

    メーカー誘致のための規則が新たな対立点に
    現在のパワーユニット規則は、アウディを含む新規メーカーをF1に呼び込むために策定された。しかし、その結果として生まれたエンジン構成はファンの支持を得られず、ドライバーからも批判を受けている。

    F1は少なくとも2030年までは現在のパワーユニット構成に縛られる見通しであり、2027年案はその制約の中で、より受け入れられやすい方向へ戻すための現実的な修正案と位置づけられている。

    さらに先の2030年または2031年以降については、よりシンプルなエンジン、さらにはV8復活を求める動きもある。FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、その構想を推進している。

    デルナーは、2030年から2031年に向けた議論についても、FIA主導のプロセスに加わっていると説明した。

    「2030年から2031年に関するレギュレーションの議論はFIAが主導している」

    「我々もそのプロセスの一部であり、良いプロセスが設定されていると思う。これから何が出てくるのかに対して、我々はオープンだ」

    「我々の視点は常に、効率性と持続可能性に焦点を置いたレギュレーションを求めるというものだった」

    「私の好みを聞くなら、シリンダー数よりもターボチャージャー付きエンジンであることの方が重要だ」

    アウディは2026年F1参入に向けて現行規則を前提に開発を進めてきた。その立場からすれば、2027年の早期変更は開発計画と予算配分の両面で負担となる。だが、F1全体としては現在のエンジン構成への不満が高まっており、アウディの反対は、競技の方向性とメーカー側の投資保護がぶつかる象徴的な論点になっている。

  • マクラーレンF1に罰金処分 ノリス車のテープ処置が安全規則違反

    マクラーレンF1に罰金処分 ノリス車のテープ処置が安全規則違反

    ランド・ノリスのマシンがF1モナコGPのフリー走行2回目(FP2)で停止した件を巡り、マクラーレンF1はFIAから3万ユーロ(うち1万ユーロは執行猶予)の罰金処分を受けた。

    問題となったのは、ノリスのマシンが電気系統のトラブルでヌーベルシケイン出口に停止した際、マーシャルがクラッチ切り離しシステム(CDS)を作動できなかったことだ。この影響で迅速な車両回収ができず、セッションは赤旗中断となった。

    空力目的でボタンをテープで覆う
    FIAスチュワードの報告書によると、マクラーレンはCDS作動ボタンの上に透明なテープを貼っていたことを認めた。

    チームは、この処置が空力性能向上を目的としたものだったと説明している。

    スチュワードは次のように指摘した。

    「チームは、空力上の理由からCDSを作動させるために押す必要があるボタンの上に透明なテープを貼っていたことを認めた」

    FIA側は、この措置によって本来の安全機能が失われたと判断した。

    「FIA代表者の見解であり、チーム自身も認めたように、この措置はCDSシステムの目的を完全に無効化するものだった」

    「CDSは保護グローブを着用したマーシャルが迅速に作動させられるよう設計されている」

    さらにマクラーレンも、工具なしではテープを破ってボタンを押せなかったことを認めた。

    「チームは、工具を使わなければ手だけでテープを破ってボタンを押すことは不可能だったと認めた」

    カナダGPのレーシングブルズ事例が判断材料に
    F1技術規則では、マシンが油圧系統、空圧系統、電気系統の故障に見舞われた場合でも、クラッチを切り離せるCDSシステムの搭載が義務付けられている。

    また、その作動ボタンはドライバーやマーシャルが数秒以内に操作できる位置に設置しなければならない。

    今回の処分は、前戦カナダGPでリアム・ローソンのマシンのCDSが正常に機能しなかったとしてレーシングブルズが罰金処分を受けたケースと同じ条項によるものだ。

    ただしレーシングブルズには3万ユーロのうち2万ユーロが執行猶予となった一方、マクラーレンは1万ユーロのみが執行猶予となり、即時に2万ユーロの支払いを命じられた。

    スチュワードはその理由について、カナダGPでの事例がすでに全チームへの警告になっていたはずだと説明している。

    「前戦で同じ規則違反と処分が科されていた以上、すべてのチームはCDSシステムの重要性を認識しているべきだった」

    安全装置を犠牲にした空力最適化の代償
    今回の裁定は単なる技術違反ではなく、安全装置へのアクセスを空力目的で妨げた点が重く見られた。

    マーシャルが迅速にマシンを回収できなければ、赤旗やセーフティカーの原因となるだけでなく、ドライバーやコース上の作業員の安全にも影響を及ぼす。そのためFIAは近年、CDSシステムに関する違反に対して厳しい姿勢を取っている。

    前戦のレーシングブルズに続き、今回はマクラーレンが同様の問題で処分を受けたことで、FIAが安全関連装置の運用を今後さらに厳格に監視していく姿勢を示した形となった。

  • 2027年F1パワーユニット規則に妥協案浮上 出力増は13%ではなく5%か

    2027年F1パワーユニット規則に妥協案浮上 出力増は13%ではなく5%か

    2027年F1パワーユニット規則を巡る議論が、新たな局面を迎えている。

    FIA(国際自動車連盟)は2026年から導入された内燃エンジン(ICE)と電動システムの50対50という出力配分を見直し、2027年から60対40へ変更する案を推進している。しかし、この計画には大きな反発があり、現在は「13%増」ではなく「5%増」に抑える妥協案が検討されている。

    なぜFIAは出力配分変更を目指しているのか
    2026年の新レギュレーションでは、内燃エンジンと電動システムがほぼ同等の出力を担う設計となった。

    しかし一部サーキットでは、バッテリーの充電不足による「クリッピング」や「スーパークリッピング」が問題視されている。FIAはこれを解消するため、燃料流量を増やして内燃エンジン側の出力を高め、約70馬力の上積みを実現したい考えだ。

    当初、この方向性には6社すべてのパワーユニットメーカーが原則的に同意していた。

    ところが具体的な規則案が示されると状況は一変した。

    メーカー間で意見が真っ二つに分裂
    現在の勢力図は大きく二つに分かれている。

    ■ 賛成:メルセデス、レッドブル・パワートレインズ

    ■ 反対:アウディ、ホンダ、フェラーリ、キャデラック

    記事によると、PUAC(パワーユニット諮問委員会)で必要な「スーパー・マジョリティ(特別多数)」が得られないため、F1コミッションやFIA世界モータースポーツ評議会へ進めることができない状況となっている。

    反対派が懸念する技術的な問題
    反対派の主張は単なる政治的駆け引きではない。

    出力を約70馬力増やす場合、現在設計されているパワーユニットでは対応が難しくなる。

    まずV6エンジンそのものを再設計する必要が生じる。

    さらに現在のギアボックスも限界近くまで軽量化・最適化されているため、トランスミッションの再設計が必要になる可能性が高い。

    問題はそれだけではない。

    燃料流量が増えれば現在の燃料タンク容量では不足する恐れがあり、シャシー設計そのものにも手を加えなければならなくなる。

    つまり影響はエンジン単体ではなく、マシン全体に及ぶというわけだ。

    時間不足も大きな障害
    技術面以上に深刻なのがスケジュールである。

    現在はすでに2026年シーズンの中盤に差し掛かっており、多くのメーカーはADUO(性能差是正のためのアップデート制度)への対応にリソースを割いている。

    エンジン開発は半年程度で完了できるものではない。

    そのためホンダやアウディなどは、2027年向けの大規模改修とADUO対応を同時進行させることに強い懸念を示している。

    メルセデスとレッドブルが有利になるとの見方
    反対派には別の警戒感もある。

    現状で競争力の高いパワーユニットを持つメルセデスとレッドブル・パワートレインズは、ADUOによる大幅な性能改善を必要としていない。

    そのため2027年用パワーユニット開発へより多くの人員や資金を投入できる可能性がある。

    一方で他メーカーは性能改善と新開発を並行して進めなければならず、開発競争で再び差が広がるリスクがある。

    ADUOの目的が勢力均衡の実現にあることを考えると、この懸念は無視できない。

    浮上した「5%増」の妥協案
    こうした対立を受け、現在は中間案が検討されている。

    それが出力増加幅を13%ではなく5%程度に抑える案だ。

    この案であればエンジン、ギアボックス、燃料タンク、シャシーの全面的な再設計を回避できる可能性がある。

    そして2028年に正式なホモロゲーションを実施する際に、当初予定していた13%増へ段階的に移行するという考え方である。

    背景にあるV8移行構想
    今回の議論の裏側では、将来的な自然吸気V8エンジン復活構想も影響している。

    現在の計画では2030年までパワーユニットを凍結する方向だが、一部では2.6リッター自然吸気V8エンジンに小型KERSを組み合わせた新世代パワーユニットを2029年にも前倒し導入する可能性が取り沙汰されている。

    そのためメーカー側には、短期間しか使用しないかもしれない2027年仕様のために大規模投資を行うことへの抵抗感もある。

    モナコが重要な交渉の場に
    現時点では最終決定には至っていない。

    ただし各メーカーによる妥協点探しは続いており、モナコで行われる協議が重要な転換点になる可能性がある。

    現在はメルセデスとレッドブル・パワートレインズが当初案を支持し、アウディとホンダが妥協案を推進。フェラーリは依然として反対姿勢を維持しているが、最終的には妥協案側へ加わるとの見方もある。

    最大の敵は時間だ。

    交渉が長引けば長引くほど、2027年に向けた設計変更の余地は失われていく。今回の議論は単なる出力配分の問題ではなく、F1の次世代パワーユニット時代の勢力図そのものを左右する重要な分岐点となりそうだ。

  • 2026年F1レギュレーションはトップドライバーから何を奪ったのか?

    2026年F1レギュレーションはトップドライバーから何を奪ったのか?

    元F1チーム代表のフランツ・トストは、2026年F1レギュレーションによってトップドライバーたちの持つ本来の強みが発揮しづらくなっているとの見解を示した。

    2026年から導入された新世代パワーユニットは、内燃エンジンと電気エネルギーの出力比率を50対50とする構成が特徴となっている。

    しかし、この変更によってドライバーは以前のように限界まで攻める走りが難しくなり、マックス・フェルスタッペンをはじめとするトップドライバーから不満の声が上がっている。

    「遅らせてブレーキを踏む」武器が失われた
    トロロッソ時代にフェルスタッペンを起用した経験を持つフランツ・トストは、『15 Love – der Business Podcast』で、新レギュレーションが特に才能あるドライバーに不利に働いていると説明した。

    「内燃エンジン50%、電気50%という配分が問題を引き起こすことは以前から分かっていた」

    2026年マシンでは、ストレートで使用するエネルギーを確保するため、ドライバーはコーナー進入前から早めにアクセルを戻し、エネルギーを温存しながら走行する必要がある。

    その結果、従来のように限界までブレーキングを遅らせてタイムを稼ぐことが難しくなった。

    「しかし、特別な才能を持つドライバーたちにとって、この規則は不利だ。なぜなら現在のレギュレーションでは、もはや最後の瞬間までブレーキングできないからだ」

    トストによれば、以前なら100メートル看板付近まで攻められたコーナーでも、現在は20~30メートルほど早くアクセルを戻し、マシンを転がすようにコーナーへ進入しなければならない。

    そのため、トップドライバーが得意としてきた「ブレーキングで差をつける技術」が発揮しにくくなっているという。

    フェルスタッペンやアロンソの強みが薄れる理由
    トストは、こうした影響を受ける代表的なドライバーとしてマックス・フェルスタッペン、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、フェルナンド・アロンソの名前を挙げた。

    「マックス・フェルスタッペン、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、フェルナンド・アロンソのようなトップドライバーは、まさにブレーキングポイントとコーナー頂点へ向かう速度によってパフォーマンスを引き出している。そして当然ながら立ち上がり加速でもだ」

    従来のF1では、ドライバーはコーナー進入でギリギリまでブレーキングを遅らせ、より高い速度を維持しながらアペックスへ向かうことでタイムを削っていた。

    しかし2026年マシンでは、エネルギー回生と使用量の管理が重要となり、ドライバーは積極的に攻めるよりも効率を優先しなければならない。

    トストは、この変化によってドライバー個人の能力差が見えにくくなったと考えている。

    FIAとFOMは問題を認識している
    一方で、FIAとFOMもこうした問題を把握しているとトストは明かした。

    「FOMとFIAはそのすべてを理解している。問題も認識している」

    実際、FIAはマイアミGP前にエネルギーマネジメント関連の調整を実施し、ドライバーがより自由にプッシュできるよう一部ルールを修正した。

    トストは今後も追加の調整が行われると予想しているが、その過程では政治的な駆け引きが障害になる可能性があると指摘する。

    現在のレギュレーションによって利益を得ているチームは、自らの優位性を失うような変更に賛成しない可能性があるからだ。

    ドライバーの技術と電動化のバランスが焦点
    2026年F1は技術革新を重視したレギュレーションとしてスタートしたが、その一方でドライバーの能力がどこまで結果に反映されるべきかという議論も活発化している。

    特にフェルスタッペンのような「限界ブレーキング」で差を生み出してきたドライバーにとって、現在の50対50パワー配分は大きな制約となっている。

    今後のシーズンを通じてFIAとFOMがどの程度レギュレーションを調整するのか、そしてドライバーの技術を再び際立たせる方向へ進むのかが注目される。

  • F1コミッションが2027年F1レギュレーション修正を承認 TPC規則も見直し

    F1コミッションが2027年F1レギュレーション修正を承認 TPC規則も見直し

    F1コミッションは、2026年2回目の会合を開き、2027年F1シーズンに向けた複数の変更で合意した。会合にはFOM会長兼CEOのステファノ・ドメニカリも出席した。

    2026年F1レギュレーションの大幅変更を受け、F1コミッションの会合は安全性とレースの質を高めることを目的として行われている。議論の詳細は公表されていないが、FIA(国際自動車連盟)は主要な論点をまとめたメディア向け概要を発表した。

    今回の発表では、2027年F1シーズンに向けたさまざまな変更が確認された。2027年F1テストの日数を3日間から4日間へ延長する大きな変更から、各コンポーネントに関する小規模な修正まで幅広い内容が含まれている。

    2027年F1テストを1日延長
    2027年F1シーズン前のプレシーズンテストは、これまでの3日間から4日間へ拡大される。これは各チームにとって重要な変更となる。

    テストは3月に中東で開幕するシーズンを前に、バーレーンで実施される可能性が高い。

    現在はパワーユニットにおける内燃機関と電動出力の比率を50対50から60対40へ変更する議論も続いており、この案が承認された場合、追加される1日間のテストは各チームにとって非常に重要な準備期間となる。

    TPC規則も見直し
    TPC(Testing of Previous Car/旧型車テスト)に関する規則変更も承認された。

    新たな規則では、翌年のF1世界選手権で開催されるサーキットにおけるテストに制限が設けられる。

    これにより、各チームはテストプログラムの計画を見直す必要があり、旧型車を活用した走行機会の運用にも影響を与える可能性がある。

    空力とボディワークにも小規模修正
    空力およびボディワーク関連のコンポーネントについても小規模な変更が合意された。

    ただしFIAは、これらの変更内容について詳細を公表していない。

    2026年F1レギュレーション導入後も競技面や安全面の最適化は継続されており、今回の修正もその一環とみられる。

    今回F1コミッションで合意されたすべての規則変更は、今後FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)の承認を経て正式決定される。

  • レッドブルF1代表メキースが擁護 フェルスタッペンのエンジン規則批判に理解

    レッドブルF1代表メキースが擁護 フェルスタッペンのエンジン規則批判に理解

    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、2027年に向けて議論されているF1エンジン規則の見直しについて、マックス・フェルスタッペンの懸念に理解を示しながら、最終的には各メーカーが合意に達するとの見方を示した。

    2026年の新世代パワーユニットは、内燃機関と電動出力を50対50で分担するコンセプトで導入されたが、現在は2027年から内燃機関比率を高める「60対40案」が議論されている。

    フェルスタッペンは現行レギュレーションの方向性に批判的な立場を取っており、自身の将来にも関わる問題として注視している。

    競争力よりもF1全体の利益を優先すべき
    メキースはカナダGP後、GPblogなどの取材に対し、パワーユニットメーカー間の対立が続いている状況について楽観的な見方を示した。

    「正しい解決策を見つけられると楽観視している。レースを改善することに、多くの人が賛同するようになると思う」

    さらに、規則変更による競争力への影響よりも、F1というスポーツ全体の利益を優先すべきだと強調した。

    「スポーツにとって重要なこととなれば、最終的には自分たちの競争力にどのような影響があるかという考えを脇に置き、正しい方向へ進むための決断を下すと思う」

    「最終的にはそこに到達すると考えている」

    “一度で解決すべき問題”との認識
    メキースはまた、2027年規則として議論されている60対40案そのものへの賛否よりも、問題を根本的に解決することが重要だと語った。

    現在の議論では、電動出力比率の高さによるエネルギーマネジメントやストレートでのパワー不足が懸念されており、FIAや複数のチームが見直しを求めている。

    メキースは「60対40かどうか」よりも、「同じ議論を繰り返さないこと」の方が重要だと説明した。

    「投資額の大きさは、このスポーツの規模を考えれば大きな問題ではないと思う」

    「こう言わせてもらうなら、我々はこの問題を一度で解決すべきだと思う。そして毎回繰り返し議論するテーマにしてはならない」

    フェルスタッペンの主張を後押しする発言
    今回の発言は、2026年レギュレーションへの懸念を公然と示してきたマックス・フェルスタッペンの立場を、チーム代表として事実上支持した形とも受け取れる。

    メキースは具体的な数値目標には踏み込まなかったものの、「改善すべき部分が存在する」という認識を明確に示した。

    「コース上では素晴らしい戦いが展開されている。非常に多くのポジティブな要素がある」

    「しかし改善したい部分もあり、そのために戦うべきだと思う」

    2027年に向けた規則見直しは、F1の将来像だけでなく、フェルスタッペンをはじめとするトップドライバーやメーカー各社の長期的な参戦方針にも影響を与える重要な議題となっている。

  • メルセデスF1の“圧縮比トリック”が違法化 FIA新規則で抜け穴を封鎖

    メルセデスF1の“圧縮比トリック”が違法化 FIA新規則で抜け穴を封鎖

    FIA(国際自動車連盟)は技術レギュレーション上の抜け穴を正式に封じ、メルセデスF1のパワーユニットに関する“圧縮比トリック”はもはや合法ではなくなった。新たな規則は6月1日から施行され、モナコGPがその最初の適用レースとなる。

    プレシーズン中、メルセデスHPPは新型エンジンの圧縮比を18:1まで高める方法を見つけたと報じられていた。

    レギュレーション上の上限は16:1だが、当初の文言では圧縮比の測定条件がピットレーン内の外気温時に限定されていたため、走行中にはより高い圧縮比で作動させる余地が生まれていた。

    測定条件の変更で抜け穴を封鎖
    ライバルのパワーユニットメーカーから反発が起きたことを受け、FIAは6月1日からレギュレーションを変更することに合意した。これにより、圧縮比はエンジン周辺温度が130度の状態で測定されることになった。

    メルセデスHPPは、熱で膨張する金属をエンジン設計に用いることで、18:1の圧縮比を実現できる条件を作り出していたと考えられている。

    この抜け穴の封鎖は当初、ハンガリーGP後の8月1日に予定されていた。しかし、その時期は前倒しされ、ヨーロッパラウンド開始に合わせて施行されることになり、モンテカルロでの一戦から適用される。

    メルセデス優位を崩す決定打になるのか
    メルセデスは2026年にここまで開催された5戦すべてで優勝しており、コンストラクターズ選手権ではフェラーリに74ポイント差をつけている。

    ただし、フェラーリ代表のフレデリック・バスールは、圧縮比の抜け穴が閉じられること以上に、ADUOによる開発機会の方が各陣営のメルセデス追撃を早める要素になると見ている。

    ADUOは、パワーユニットメーカーに性能向上アップグレードを認める制度で、トップユニットから2%以内と判断されたメーカーにはシーズン1回、2%以上遅れているメーカーには2回のアップグレードが認められる。

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