カテゴリー: F1レギュレーション

  • 2026年F1レギュレーション、雨天視認性を高めるミラー内LEDを導入

    2026年F1レギュレーション、雨天視認性を高めるミラー内LEDを導入

    2026年のF1レギュレーションは、モノコックが生み出すダウンフォースや新世代ハイブリッド・パワーユニットの活用方法だけを変えるものではない。FIAは技術面の刷新と並行して、安全性の分野でも大規模な見直しを進め、車両をより強固にし、危険な状況下での視認性を高めるための構造的・運用的アップデートを導入した。

    運用面では、雨天時の手順にも継続的な改良が加えられている。現在のF1マシンは、スプレーの中での視認性を確保するため、点滅するリアライトを使用している。

    これに加え、2019年からはリアウイング両端に2基のLEDが装着され、追加の視覚的目印として機能してきた。

    そして2026年から、このシステムはさらに拡張される。新型マシンには、バックミラーの最外側にもLEDが設置されるようになった。狙いは二つある。

    ひとつは、並走時にドライバーへ横方向の発光ポイントを提供することだ。雨天では視界がほぼ失われる場面も多く、横並びの状況で相手車両の位置を把握する助けとなる。

    もうひとつは、スピンを喫したり、ウォータースプレーの中で横向きや斜めに止まった車両を、即座に認識できるようにすることだ。後方からだけでなく、正面や側面からでも車両の存在を示すことで、二次的な接触事故のリスク低減を図る。ミラー内LEDは、他のドライバーが一瞬早くその存在に気づくための明確な光のシグナルとなる。

    F1 レギュレーション フォーミュラ1カー

    バルセロナで行われたテストは、この新しい安全装置が実際に機能する様子を初めて確認できる機会となった。配置を見ると、チームによってLEDの位置には違いがあり、ミラーの最外側に置くケースもあれば、ミラー本体の取り付け位置に合わせて、やや内側、コクピット寄りに設置している例も見られた。

    レギュレーションでは、これらの新しいライトを取り付けるための幾何学的な「ボックス」が定義されており、その範囲内で各チームに一定の解釈の余地が残されている。あわせて、リアのクラッシュストラクチャー内に組み込まれる中央リアライトも見直され、標準部品ながら新しい構成が採用された。2026年仕様では、このリアライト内部に新たなカメラも内蔵されることになる。

  • ロス・ブラウン、2026年F1エンジン論争を一蹴「巧みなレギュレーション解釈」

    ロス・ブラウン、2026年F1エンジン論争を一蹴「巧みなレギュレーション解釈」

    ロス・ブラウンは、2026年F1パワーユニットを巡って浮上している「抜け穴」疑惑について、「レギュレーションの巧みな解釈に過ぎない」と述べ、騒動を冷静に受け止めている。

    かつてフェラーリ、メルセデス、そしてブラウンGPを率い、2022年にF1の第一線から退いたロス・ブラウンは、2026年F1レギュレーション下でのエンジン技術を巡る議論について見解を示した。報道では、一部メーカーが新パワーユニット規則で定められた圧縮比の上限を事実上超える手法を見つけたのではないかとされている。

    この件を受け、FIAは1月22日、各チームの主要技術関係者と会合を開き、新しいパワーユニットおよびシャシー規則について協議を行った。問題視されているのは、ピストンの圧縮比が最大16:1と定められているにもかかわらず、実走行時の熱膨張を利用することで、結果的により高い圧縮比で運転できる可能性がある点だという。

    圧縮比とは、燃焼行程におけるピストン内部の最大容積と最小容積の比率を指す。一般的な市販車では8:1〜12:1程度が主流だが、2026年F1では上限が16:1に設定されている。これは従来の18:1から引き下げられた数値だ。

    2025年後半には、1社または2社のパワーユニットメーカーが、この規則における「グレーゾーン」を見つけたとの報道が浮上した。常温では規則を満たしつつ、走行中にユニットが高温となることで、実質的により高い圧縮比で作動させることが可能になる、というものだ。

    この噂に関連して名前が挙がったのがレッドブル・フォードだが、レッドブル・パワートレインズのテクニカルディレクターであるベン・ホジキンソンは、「何でもない話題が騒がれているだけだ」と否定し、フォードと共同開発した最初のパワーユニットは「合法性を問題にされるほど高い圧縮比ではない」と説明している。

    こうした状況について、ロス・ブラウンは自身の経験を踏まえ、冷静な見方を示した。ブラウンは2009年、ブラウンGPとして参戦した際、レギュレーションの解釈を突いたダブルディフューザーを武器に、予想外のチャンピオン獲得を果たしている。

    「私に説明された限りでは、これは単にレギュレーションの巧みな解釈に聞こえる」とブラウンは語った。

    「もう以前ほど詳しくは分かっていないが、新しいレギュレーションが導入されると、過去を見ても必ず誰かが賢い解釈を見つけてくる。それが起きているだけだと思う」

    フォーミュラ1エンジン F1

    さらにブラウンは、そうした解釈に対して他チームが反発するのも自然な流れだと指摘した。

    「もちろん、抜け穴を見つけられなかった側にとっては、それを不公平だと感じ、抑え込もうとする。その最善の防御は攻撃だ。彼らがやっているのは、まさにそれだ」

    1月22日の会合の具体的な結論については、現時点で公表されていない。ただしFIAは、この会合が純粋に技術的な性質のものであったことを認めている。

    FIAの広報担当者は次のように説明した。

    「新しいレギュレーション導入時には慣例として、2026年仕様のパワーユニットおよびシャシーを対象とした議論が継続的に行われる」

    「1月22日に予定された会合は、技術専門家同士のものだ」

    「FIAは常に、すべての参加者の間でレギュレーションが同じように理解され、適用されているかを確認するため、状況を評価している」

  • エイドリアン・ニューウェイ、2026年F1エンジン規則のFIA判断に激怒

    エイドリアン・ニューウェイ、2026年F1エンジン規則のFIA判断に激怒

    F1のデザイン界のレジェンドであるエイドリアン・ニューウェイが、2026年F1パワーユニット規則に関するFIAの最新判断に激怒していると報じられている。

    ニューウェイは2025年3月にアストンマーティンにマネージング・テクニカル・パートナーとして加入し、その後チーム代表という異例の役職にも就任した。

    ウィリアムズ、マクラーレン、レッドブルでのキャリアを通じて、彼が設計に関わったマシンは25のチャンピオンシップを獲得しており、現在はアストンマーティンをタイトル争いに導くことを目標としている。

    2026年の新レギュレーションは、昨季コンストラクターズランキング7位に終わったアストンマーティンにとって、上位進出のチャンスとなる可能性がある。しかし今回、パワーユニット規則に存在するとされた“抜け道”をめぐるFIAの判断が、ニューウェイの怒りを買ったと伝えられている。

    問題となっているのは圧縮比に関する解釈だ。報道によれば、メルセデスとレッドブルは、エンジン停止時には規定どおり16:1で検査を通過しつつ、走行中には従来上限だった18:1まで圧縮比を高める設計を可能にしているとされる。これにより、最大で約15馬力の上積みが見込めるという。

    FIAはこの件について協議を行った結果、これを「トリック」とは認定せず、合法であるとの判断を下した。仏紙『L’Equipe』は、この裁定にニューウェイが「激怒している」と報じており、ホンダは2026年用パワーユニットにこの手法を採用していないと理解されている。

    アストンマーティン ホンダ F1 国際自動車連盟

    2026年からホンダと新たに組むアストンマーティンは、ニューウェイに加え、2度の世界王者であるフェルナンド・アロンソを擁し、陣容面では期待が高い。一方でホンダは近年までレッドブルと提携し、コンストラクターズタイトル2回、ドライバーズタイトル4回を獲得してきたが、同社のレーシング部門トップである渡辺康治は、先日のエンジンローンチイベントで「新レギュレーションは極めて挑戦的だ」と述べ、楽観的とは言えない見解を示している。

    そのため、アストンマーティンが2026年に再び苦戦する可能性は否定できない。ただしチームとしては、2027年、2028年に向けてチャンピオンシップ獲得を狙う長期的なビジョンを描いている。

  • FIA、2026年F1エンジン規則を巡る訴訟リスク回避を最優先に

    FIA、2026年F1エンジン規則を巡る訴訟リスク回避を最優先に

    FIA(国際自動車連盟)のシングルシーター部門ディレクターであるニコラス・トンバジスは、2026年F1パワーユニット規則に存在するとされる“抜け穴”を巡り、FIAが法廷闘争に巻き込まれる事態を回避することが「最優先事項」だと語った。

    2026年F1シーズンからは、レギュレーションが大きく刷新され、1.6リッターV6ターボハイブリッドは電動要素が大幅に強化される。電気出力は現在の約3倍となり、内燃機関は100%持続可能燃料での走行が認められる。

    一方で、新時代に向けて各チームが優位性を探る中、メルセデスとレッドブルがレギュレーションの抜け穴を突く手法を試しているのではないか、という噂が浮上している。

    問題とされているのは幾何学的圧縮比だ。報道によれば、両チームはエンジン停止時には規定どおり16:1に適合しつつ、走行時には従来認められていた18:1まで圧縮比を高める方法を見つけた可能性があるとされ、これにより約15馬力の上乗せが可能になるとも言われている。

    この件を受け、アウディを含む他のパワーユニットメーカーからは、FIAが規則についてより明確な説明を行う必要があるとの声が上がっている。FIAはこの潜在的な抜け穴と、より広範なレギュレーション変更について協議する会合を開くことをすでに確認している。

    トンバジスはこの問題について、ロイターに対して次のように語った。

    「もちろん、誰もが非常に情熱的で競争心が強い。そうした精神状態にあると、他の見方に対して少し盲目的になることもある。」

    「その結果、自分たちの主張だけが唯一の真実であるかのように提示する人もいる。残念ながら、物事は決してそこまで単純ではない。だからこそ、我々が介入し、明確化する必要がある。」

    「いずれにしても、現在メディアで言われているほど大きな問題だとは私は思っていない。」

    また、もし特定のチームが大きく抜け出した場合、開幕戦オーストラリアGPで抗議が提出される可能性について問われると、トンバジスは次のように述べた。

    「我々は問題なく対処できると考えている。最優先事項は、論争を生まないことだ。初戦後に法廷や公聴会に座るのではなく、レースをしたい。」

    エンジン F1 国際自動車連盟

    報じられているところでは、レッドブルとメルセデスが見つけたとされるこの手法は、1周あたり約0.3秒のアドバンテージをもたらす可能性があるという。

    実際、アウディのマッティア・ビノットは、この幾何学的圧縮比トリックが事実であれば、他チームにとっては「ゲームオーバー」になりかねないと示唆していた。

    この噂が出る以前から、メルセデスは2014年と同様に、大幅なレギュレーション変更を最もうまく乗りこなす立場にあると見られていた。

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPでの勢力図がどうなるかは、現時点では不透明だ。ただし、2025年シーズン終盤とは異なる競争序列になることは間違いなさそうだ。

  • アウディ、2026年F1エンジンレギュレーションを巡りFIAに明確化を要求

    アウディ、2026年F1エンジンレギュレーションを巡りFIAに明確化を要求

    アウディは、2026年F1の新パワーユニットレギュレーションを巡る議論が激化するなか、圧縮比の取り締まり方法についてFIAに明確な判断を求めた最新のメーカーとなった。

    焦点となっているのは、新レギュレーションで内燃機関の圧縮比が18:1から16:1へ引き下げられる点と、エンジンが作動温度に達した後の状態をレギュレーションが十分に想定しているかどうかだ。

    現行レギュレーションでは、圧縮比の測定はエンジン停止時かつ常温条件下で行われると定められている。しかし、ライバル勢の一部は、熱膨張を利用することで、走行中に実質的により高い圧縮比を得られる可能性があると懸念している。

    アウディの2026年マシン発表の場で、テクニカルディレクターのジェームス・キーは、この問題がホモロゲーション制の公平性そのものに関わると語った。

    「我々は、ここでFIAが正しい判断を下すことを信頼しなければならない。新しいレギュレーションでは、平等な競争条件が必要だ」とキーは述べた。

    「もし誰かが巧妙なディフューザーを思いつき、それが好ましくないと判断された場合、他のチームは使えないのに、考案したチームだけがその年いっぱい使える、という状況は受け入れられない。それは理にかなっていない。我々は決して認めない」

    この発言は、2009年のダブルディフューザー問題のように、文言の抜け穴がシーズン中に事実上コピー不能な優位性を生んだ過去のレギュレーション論争を想起させるものだ。

    2026年のパワーユニットは厳格なホモロゲーションとコストキャップの下で運用されるため、グレーゾーンによる性能向上が事実上修正不可能になる事態を、各チームは強く警戒している。

    「もしレギュレーションの意図を回避しているのであれば、何らかの形で管理されるべきだ」とキーは続けた。

    「明白なアドバンテージが存在し、それに対して何もできないままシーズンを戦うことを、誰も望んでいない。我々としては、FIAが正しい判断を下してくれることを願っている」

    フォーミュラ1エンジン 国際自動車連盟ホンダの2026年F1パワーユニット『RA262H

    アウディの立場は、フェラーリやホンダと足並みをそろえるものとみられている。両陣営は、圧縮比を静的検査時だけでなく、常に遵守すべき上限として扱うべきかどうかをFIAに問いかけているとされる。

    ホンダ・レーシング・コーポレーションの社長である渡辺康治は、レギュレーションには解釈の余地が残されていることを認めており、ホンダCEOの三部敏宏も、どの技術コンセプトが許容されるのかについてメーカー側がFIAに確認を求めていると語った。

    「レギュレーションには、すべてが細部まで明確に書かれているわけではない」と三部は述べた。

    「新しいレギュレーションの中で、各パワーユニットにおける新技術の可能性を検討している。解釈の余地は多く、それもまたレースの一部だ。最終的にそれが良いのか悪いのかを決めるのはFIAだ」

    一方で、メルセデスおよびレッドブル・フォード・パワートレインズは、不正が行われているとの見方を否定している。両者は、この状況から利益を得ていると噂されるメーカーの一角とされているが、その指摘を一蹴している。

    レッドブルのエンジン部門責任者であるベン・ホジキンソンは、この論争が過度に誇張されていると繰り返し主張してきた。

    「我々が何をしているかは分かっているし、それが合法であると確信している」とホジキンソンは語った。

    「もちろん、レギュレーションが許す限界まで突き詰めている。それは皆がやっていることだと思う。正直なところ、大した問題ではないというのが私の感覚だ」

    ホジキンソンは、圧縮比の検査が常温条件で行われると定義しているレギュレーション文言を指摘しつつ、すべてのメーカーが熱効率を最大化しようとするのは当然だとも認めている。

    FIAは現時点で即時介入には否定的で、不正の証拠はなく、この問題は抗議ではなく技術的フォーラムを通じて扱われていると強調している。

    なお、2026年パワーユニットを供給する5社、すなわちメルセデス、レッドブル・フォード、フェラーリ、ホンダ、アウディが参加する会合が木曜日に予定されており、走行状態を想定した動的測定方法も議題の一つになる見込みだ。

  • 2026年F1エンジン開発の現実 レギュレーションとADUOが決める進化の余地

    2026年F1エンジン開発の現実 レギュレーションとADUOが決める進化の余地

    F1パワーユニットの開発凍結は4年間続いたが、その制限が解除されたことで、2026年からは再び開発が可能になった。ただし、その自由度は極めて複雑なレギュレーションによって厳しく管理されている。

    2022年から2025年まで、F1のハイブリッド・パワーユニットは性能に関わる開発が凍結されていた。だが、サステナブル燃料を使用する次世代1.6リッターV6ハイブリッドが2026年から実戦投入され、その開発サイクルが新たに始まった。

    では、この新時代のパワーユニットは、いつ、どのような条件でアップグレードが許されるのか。

    2026年F1パワーユニットレギュレーションのサイクル
    2026年F1では、基本構成こそ従来世代と同じ1.6リッターV6ハイブリッドが採用されるが、その中身は設計思想からして全面刷新となる。

    サステナブル燃料の導入と電動化の強化により、内燃機関(ICE)と電動出力の比率はほぼ50:50に近づいた。パワーユニットレギュレーションがシャシー規則よりも先に確定した点については懸念も示されてきたが、2025年後半にはエンジン形式変更の可能性は完全に否定されている。

    サステナブル燃料を用いたV8やV10への移行案も議論されたものの、各方面で合意に至らず、さらにパワーユニットメーカー各社がすでに多額の投資を行っていたことから、エンジンレギュレーションは2026年から2030年末までの5年間にわたって継続されることが決まった。

    2026年に参戦する5社すべてのパワーユニットメーカーは、3月1日までに新設計のホモロゲーション・ドシエをFIAに提出しなければならない。この書類には、ICE、コントロールエレクトロニクス(CE)、排気系、ターボチャージャー(TC)、エナジーストア(ES)、MGU-K、さらにすべてのPU要素に付随する小部品の詳細が含まれる。なお、新世代パワーユニットにはMGU-Hは存在しない。

    このホモロゲーションは、供給先となるすべてのカスタマーチームにも同一仕様で適用される。例外として認められるのは、燃料サプライヤー、エンジンオイル仕様、そしてシャシーごとの搭載要件に対応するための最小限の変更に限られる。具体的には、配線、排気位置、ターボ位置(元の位置から20mm以内)、ウエイストゲートやポップオフバルブの配置変更などだ。

    FIAは提出から14日以内に設計を承認し、4月1日までに各メーカーは封印用のリファレンス・パワーユニットを提出する義務がある。

    フォーミュラ1エンジン

    パワーユニットの通常アップデートはどう制限されるのか
    2026年から2030年までのPU開発は、厳格なレギュレーションのもとで管理される。いったんホモロゲーションが完了すると、許可された範囲以外の変更は認められず、すべての改良は承認プロセスを経なければならない。

    これらの規則は、コスト抑制、競技の公平性、そして信頼性確保のバランスを目的としている。通常のアップグレードは、テクニカルレギュレーション第3条の範囲内でのみ許可される。

    これとは別に、FIAは性能面で後れを取ったメーカーを救済するため、「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」という制度を導入した。ADUOによるアップグレードも、パワーユニットメーカーの予算上限の枠内で行われる。

    FIAはパワーユニットとエネルギー回生システムを細かく分解し、各コンポーネントごとに「いつ」「どの条件で」開発・変更が可能かをレギュレーション上で定めている。

    そのリストは非常に詳細だ。例えば最初に挙げられるのが「メインICEアセンブリ」で、クランクケース、シリンダーヘッド(燃焼室やポート、インジェクターポート加工を除く)、クランクシャフト、カムシャフト(ローブ形状を除く)、カム駆動系、バルブ、フィンガーフォロワー、内部ギア類、ICEマウントを介してサバイバルセルとギアボックスを結ぶ構造部品などが含まれる。

    この領域は2026年のみ通常開発が許され、2027年から2030年までは原則として凍結される。ただし、ADUO対象メーカーに限り、追加変更が認められる。

    一方で、リスト中の3番目にあたるフライホイールについては、全メーカーが5年間を通じて開発可能とされている。ただし重要なのは、アップグレードは「許可された年の開幕戦」でしか導入できない点だ。2026年中に開発したフライホイールであっても、実戦投入は2027年開幕戦に限られる。

    吸気系(トランペット、スロットル、プレナム)に関しては、2026年、2027年、2029年は開発可能だが、2028年と2030年は不可とされている。そのため、2027年に開発した新仕様は、2029年開幕戦まで投入できないことになる。

    このような制限をより詳しく知りたい場合は、新テクニカルレギュレーションの付録4を参照する必要がある。

    ADUOはどのように機能するのか
    ADUOは、近年の空力テスト制限に似た考え方を、パワーユニット専用に適用した制度だ。

    付録4第4条で定められた条件を満たすメーカーは、追加のホモロゲーション機会を得ることができる。対象となるのは評価年(Year N)とその翌年(Year N+1)だ。

    ただし、燃料ポンプやインジェクター、ノックセンサー、各種温度・電気・規制センサーなど、一部コンポーネントはADUO対象外とされている。

    FIAは5年間を通じて、各メーカーのICE性能を継続的に監視する。各エンジンについて「ICEパフォーマンス指数」が算出され、メーカーやカスタマーチームから提供されるデータを基に比較評価が行われる。

    この指数が基準を下回った場合、追加アップグレードの権利が与えられる。

    ・最上位ICEから2%以上4%未満遅れている場合
     シーズンNで1回、シーズンN+1で1回の追加ホモロゲーション

    ・最上位ICEから4%以上遅れている場合
     シーズンNで2回、シーズンN+1で2回の追加ホモロゲーション

    ADUOによるアップグレードはシーズン内で累積せず、未使用分は失効する。

    2026年は24戦を6戦ずつ4期に分け、ADUOが認められたメーカーは次の期の初戦からアップデートを投入できる。例えば、開幕6戦後に権利を得た場合、導入可能なのは第13戦からとなる。

    すべての変更について、メーカーは使用予定レースの14日前までに、更新されたホモロゲーション・ドシエを提出しなければならない。

    また、信頼性、安全性、コスト削減、供給問題を理由としたごく小規模な変更については、別途承認のもとで認められる場合がある。ブランド変更や部品番号変更など、性能にほとんど影響しない修正も例外的に許可される。

    このように、2026年F1のパワーユニット開発は「再び自由になった」一方で、実際には極めて厳密に管理されたレギュレーションのもとで進められることになる。

  • FIA、プレシーズンテストで2026年F1新燃料規則を一時的に緩和へ

    FIA、プレシーズンテストで2026年F1新燃料規則を一時的に緩和へ

    FIA(国際自動車連盟)は、F1のプレシーズンテストにおいて、重要な新レギュレーションの一部を緩和することを認める見通しだと報じられている。

    2026年F1シーズンでは数多くの新規則が導入される。その中には、パワーユニットにおける電動出力の比率を大幅に高め、内燃機関と電動出力を50対50で使用することが含まれている。

    これと並行して、F1はネットゼロ目標を達成するため、完全に持続可能な燃料の導入も進めている。ただし、こうした燃料は独自の課題を伴う。

    燃料の開発自体がカーボンニュートラルを確保するために極めて複雑であることに加え、ホモロゲーションの手続きも困難を極める。さらに、コスト面での負担も非常に大きい。

    昨年には、こうした燃料の価格が1リットルあたり最大300ドルに達する可能性があると推測され、1レースウイークエンドあたり最大10万ドル、シーズン全体では約250万ドルに及ぶ恐れがあると報じられていた。

    こうした状況を受け、Auto Motor und Sportによると、FIAは3回のプレシーズンテストプログラム(バルセロナとバーレーンでの2回)に限り、規定に適合しない燃料の使用を認める決定を下したという。

    燃料 F1 国際自動車連盟

    この決定により、メルセデスのペトロナス、フェラーリのシェル、ホンダ/アストンマーティンのアラムコ、レッドブル・パワートレインズのエクソンモービル、アウディのカストロールといった燃料サプライヤーは、新規則による金銭的負担から一定の猶予を得ることになる。

    報道では、この措置は今年限りの例外であり、2027年F1プレシーズンテストからは、FIAが定める正式な規制燃料の使用が義務付けられると付け加えられている。

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、こうした高額なコストが最初に報じられた昨年5月の時点で、関係者全体の経済的負担を軽減する解決策が必要だと訴えていた。

    「この問題を解決するためには、オープンマインドな対話が必要だ」

    ヴォルフはそう語り、柔軟な議論を通じて現実的な解決策を見いだすべきだとの考えを示していた。

  • レッドブルF1、2026年PUの合法性に自信「圧縮比は規則の限界まで攻めた」

    レッドブルF1、2026年PUの合法性に自信「圧縮比は規則の限界まで攻めた」

    レッドブル・レーシングは、2026年F1パワーユニットの圧縮比が規則の範囲内であると確信している。レッドブル・パワートレインズのディレクターであるベン・ホジキンソンは、最近浮上した論争について「何でもないことに対するノイズが多すぎる」と切り捨てた。

    デトロイトで行われたシーズンローンチをもって、レッドブル・パワートレインズとフォードのパートナーシップは公式にスタートした。

    ただし、実際にはミルトンキーンズのレッドブル・キャンパスで、このエンジンプロジェクトはすでに4年間にわたって進められてきた。

    新規参入のパワーユニットが開幕からどれほど競争力を発揮できるのかという疑問は依然として残っている。特に、2026年規則では電動出力の比率が大幅に高まり、この分野においてF1での経験が相対的に少ないレッドブルとフォードにとっては不安材料とも見られている。

    しかし、バルセロナでのウインターテストを前に、パドックの注目は内燃エンジン、なかでも圧縮比に集中してきた。圧縮比とは、シリンダー内の最大容積と最小容積の比を指す。従来のレギュレーションでは18:1だったが、2026年からは16:1に引き下げられている。これは、新規メーカーにとって参入しやすくすることなどを目的とした変更だ。

    他のメーカーは、メルセデスとレッドブル・パワートレインズが、FIAが現在行っている唯一の確認方法である「常温・静止状態でのテスト」では16:1の上限を満たしている一方、エンジンが高温で作動している状態では、より高い圧縮比を実現できる可能性があることに気付いたという。

    これを受け、アウディ、フェラーリ、ホンダは共同でこの問題をFIAに提起した。その結果、この件は1月22日に予定されている技術専門家との会合の議題に含まれることとなり、新レギュレーションの空力面を含む複数のトピックが議論される予定だ。

    シーズンローンチに先立ち、ベン・ホジキンソンは一部メディアに対し、レッドブルの新パワーユニットがレギュレーションに適合していることに自信を示した。

    「いくつかのパワーユニットメーカーが、他チームで何か巧妙なエンジニアリングが行われているのではないかと神経質になっているのだと思う。正直なところ、どれほど真に受けるべきか分からない。私は長い間この仕事をしてきたが、ほとんどはただのノイズに過ぎない。自分たちのレースに集中するだけだ」

    「自分たちが何をしているかは分かっているし、それが合法だということには自信がある。もちろん、レギュレーションが許す限界まで持っていっている。それは誰もがやっているはずだ。率直な感覚としては、本当に何でもないことに対するノイズが多すぎるだけだ。最終的には、全員が16に落ち着くと思っている」

    レッドブル フォーミュラ1エンジン F1レギュレーション

    論点となっているのは、パワーユニットメーカーごとに参照している技術規則の条文が異なる点だ。技術規則C5.4.3条では、チェックはエンジンが静止し、常温にある状態でのみ行われると規定されている。このため、メルセデスとレッドブル・パワートレインズは、その条件下では規則を順守していると主張できる。

    一方でライバル勢は、「F1マシンは競技中、常に本規則のすべてを順守しなければならない」と定めたC1.5条を根拠に挙げる。圧縮比16:1が明記されている以上、走行中も同様に適用されるべきだという見解だ。

    ホジキンソン自身は、そもそも新PU規則に圧縮比が盛り込まれている点について、技術的な観点から懐疑的だ。

    「純粋に技術的な観点から言えば、圧縮比の上限は低すぎる。我々には燃焼を十分に速くする技術があるので、この圧縮比は明らかに低い。実際、我々が実現している燃焼速度であれば18:1でも成立する。つまり、圧縮比の0.1ごとにパフォーマンスが存在するということだ。測定される限界まで、15.999を狙うべきだと、どのメーカーも本当は考えているはずだ」

  • マクラーレンに迫る2026年F1レギュレーション 「ワークス力」が主導する懸念

    マクラーレンに迫る2026年F1レギュレーション 「ワークス力」が主導する懸念

    マクラーレンF1は、2026年F1レギュレーションがもたらす大きな転換点を前に、新たな懸念と向き合っている。近年はシャシー開発力と運営力を武器に復権を果たしてきたが、次世代規則では、その成功モデルが通用しなくなる可能性がある。

    軽量化、アクティブエアロ、電動比率の拡大を柱とする2026年F1は、パワーユニットとシャシーの一体設計を強く求めるレギュレーションだ。「ワークス力」が競争力を左右する時代において、カスタマーチームであるマクラーレンF1は、構造的に不利な立場に置かれるリスクを抱えている。

    2026年F1レギュレーションは、単なる新時代の幕開けではない。勢力図そのものを「シャシー主導」から「メーカー主導」へと押し戻す可能性を秘めている。

    F1はこれまでも、創意工夫が支配する時代と、工業力が支配する時代を行き来してきた。2009年、突如現れたブラウンGPが両タイトルをさらったシーズンは前者の象徴であり、2014年のレギュレーション変更でメルセデスが圧倒的優位を築いた時代は後者の典型だ。

    ハイブリッド時代初期、メルセデスはパワーユニットとシャシーを完全に一体化させることで、5年近く続く支配を確立した。その後、技術が収束し、カスタマーチームも洗練された1.6リッターV6を使えるようになると、序列は次第に平坦化する。

    2020年代後半には、再び「シャシーがものを言う」時代が戻ってきた。その象徴が、メルセデスPUを使いながらフロントランナーに返り咲いたマクラーレンだった。

    しかし、2026年はその流れを反転させる危険性をはらんでいる。

    2026年F1は“ワークス過多”の時代
    2026年は、10年以上ぶりに「ワークスがカスタマーを上回る」構図で新レギュレーションを迎える。

    アウディF1は完全なファクトリー体制で参戦し、ホンダは単なる供給元ではなく、アストンマーティンF1との正式なパートナーとして復帰する。レッドブルはフォードと組み、自前のパワーユニットをミルトンキーンズで製造するという、ハイブリッド時代初の新規PUプロジェクトに挑む。

    これに加えて、フェラーリF1とメルセデスF1が存在する。さらに、レッドブル・パワートレインズの恩恵を直接受けるレーシングブルズまで含めれば、最大6チームが「ファクトリー主導のエコシステム」に属する計算になる。

    カスタマーチームは、まさにこのタイミングで少数派になる。

    なぜ2026年はワークス有利なのか
    2026年の技術規則は、軽量シャシー、アクティブエアロ、電動比率の増大という三本柱で構成されている。意図された狙いは、戦略の多様化とエネルギーマネジメントの単純化だ。

    だが、その副作用として、パワーユニットとエアロの統合度が、かつてないほど重要になる。

    アクティブエアロは、現行のDRSに代わり、コーナリング用の高ダウンフォース形態と、ストレート用の低ドラッグ形態を切り替える。その切り替えは、空力だけでなく、どれだけ電動パワーを同時に使うかという制御と直結する。

    また、MGU-Hの簡素化により、MGU-Kとバッテリーがマシン挙動を左右する比重は一段と高まる。エネルギー配分は、もはや独立した性能要素ではなく、空力特性と不可分な存在になる。

    この「循環型の設計思想」は、ワークスチームが最も得意とする領域であり、カスタマーチームが最も苦しむ部分でもある。

    マクラーレン F1

    初期設計がすべてを決めるリスク
    2026年の最大の特徴は、初期アーキテクチャの選択が、レギュレーション周期全体を縛りかねない点にある。

    冷却要求、バッテリー配置、排気レイアウト、空力モード切り替え時の挙動。これらはすべて、初期段階で決めたパワーユニット構成に強く依存する。

    ワークスチームは、PU冷却やバッテリー配置を、アクティブエアロの二面性を前提に設計できる。一方、カスタマーチームは、他社の優先順位で作られたPUに、自分たちの空力哲学を後から合わせるしかない。

    成熟したレギュレーション下であれば、その制約は「工夫」で乗り越えられる。だが、2026年のようなハードリセットでは、その制約自体が致命的な足かせになり得る。

    アウディ参戦が示す時代の方向性
    この流れを最も象徴しているのがアウディだ。

    アウディは、単にエンジンを供給するという選択肢も持っていた。それでもザウバーを掌握し、エンジン、シャシー、エアロ、オペレーションを一体化する道を選んだ。

    それはマーケティング以上に、「フルスタック統合こそが勝利への道」という明確な意思表示だ。2010年代初頭のメルセデスと同じ設計思想であり、2026年が統合型レギュレーションであるなら、その恩恵を最も受けやすい存在でもある。

    マクラーレンF1に突きつけられる現実
    マクラーレンF1の近年の成功は、安定したレギュレーションと収束したPU環境があってこそ成り立っていた。既知のメルセデスPUを前提に、空力哲学を磨き上げることで、ワークス勢に並び、時に凌駕することができた。

    しかし2026年は、その前提が崩れる。

    カスタマーチームが勝つためには、継承された制約を帳消しにするほどのシャシー概念か、異例なほど密接に要望を汲み取ってくれるPUサプライヤーが必要になる。

    グリッド構成、レギュレーションの性質、そして開発戦略を総合すると、F1は再び「メーカーの時代」に近づいているように見える。

    2026年は、単なる新ルール元年ではない。F1が再び、工業力そのものを競う選手権へと回帰する転換点になる可能性がある。

  • 2026年F1で注目すべきは“燃料” シェルが明かす新レギュレーションの盲点

    2026年F1で注目すべきは“燃料” シェルが明かす新レギュレーションの盲点

    2026年F1レギュレーションでは、パワーユニットやアクティブエアロといった分かりやすい変化の裏で、もうひとつ重要な要素が静かに存在感を高めている。それが「燃料」だ。

    持続可能燃料の義務化に加え、化学エネルギーのフローを直接制限する新規則によって、燃料は単なるエネルギー源ではなく、マシン設計そのものを左右する要因になりつつある。

    その盲点を指摘するのが、シェルのモータースポーツ技術責任者ヴァレリア・ロレッティだ。彼女は、2026年以降のF1では燃料の「密度」が車重、燃料搭載量、さらには燃料タンクの配置やマシン形状にまで影響を与えると説明する。エンジン性能だけでなく、シャシーや空力設計とも密接に結びつく燃料開発は、新時代F1の見えにくい勝負どころになろうとしている。

    シェル 2026年F1で燃料がマシンを形作る
    2026年F1レギュレーションの大変革において、燃料は最も重要な要素のひとつとなる。理由は2つある。ひとつは、燃料が高度な持続可能性を求められ、もはや化石由来原料から合成できないこと。もうひとつは、技術規則そのものが、従来とは異なる要素に重点を置くようになったことだ。

    エンジンに投入できるエネルギーフローが制限されることで、勝負の鍵は燃料の「密度」に移る。車重や車体サイズを抑えるための重要なファクターであり、この点についてヴァレリア・ロレッティ(シェル モータースポーツ・テクノロジー・マネージャー)は、FormulaPassionに対して次のように説明している。

    密度の重要性
    従来、燃料で最も重要だった指標はエネルギー含有量、すなわち燃焼によって放出され、駆動力へと変換できる化学エネルギーだった。旧世代のパワーユニットでは、この値は非常に狭い範囲に制限され、さらに単位時間あたりに噴射できる燃料量にも上限が設けられていた。

    しかし2026年規則では、燃焼室に噴射される燃料そのものではなく、化学エネルギーの流量が直接制限される。これにより、フェラーリF1 のパートナーでもあるシェルを含め、燃料サプライヤーにとって優先順位が大きく変わった。

    「エネルギー含有量だけでなく、密度も重要です」とロレッティは語る。「燃料の質量流量は規制されていません。つまり、一定の体積の中に含まれるエネルギーが少なければ、より多くの燃料が必要になり、その分重量が増えるということです」。

    エネルギー密度が高ければ、同じエネルギーフローを確保するために必要な燃料量は少なくて済む。その結果、タンクを小型化でき、重量配分や空力的パッケージングに有利となる。

    燃料がマシン形状を左右する可能性
    「理論的には、さまざまな解決策が考えられます」とロレッティは続ける。「燃料の作り方次第で、マシンの形状、たとえば燃料タンクの配置そのものを変えるという発想にまで踏み込めるのは、これが初めてだと思います」。

    高いエネルギー密度は、グランプリの全距離を走り切るために搭載する燃料量を減らすことにもつながる。レース仕様での車重が軽くなり、消費量もさらに抑えられる。「少なければ少ないほど良い」とシェルのデリバリー・マネージャーは断言する。「エネルギーフローに上限がある以上、高密度の燃料は確実にアドバンテージになります」。

    F1レギュレーション スクーデリア・フェラーリ シェル

    2026年は大きなチャンス
    ロレッティは、2026年燃料の開発が密度だけにとどまらないことも強調する。

    「温度、燃焼圧力、空燃比……燃料とエンジンの関係を定義するすべてのパラメータが重要です。私たちは化学者として、分子構造、燃焼化学、燃焼速度、効率といった知識を基に特別な燃料を開発しますが、それだけでは足りません。エンジニアの知識と組み合わさる必要があります。燃焼特性の違いが、エンジン側にどんな影響を与えるのかを理解しなければならないのです」。

    新しいパワーユニットはV6という基本構成こそ従来と同じだが、その内部で起きていることは大きく異なる。2026年規則では圧縮比やターボ圧の制限が変更され、点火は従来の最大5回から1回へと簡略化される。燃焼の様相そのものが変わり、その制御方法も一新される。

    「レギュレーションが変わり、燃焼の熱力学に手を入れられるたびに、私たちにとっては改善と再構築のチャンスになります」とロレッティは語る。「エンジニアがどこを目指し、どのパラメータを変えたいのかを共有してくれることで、私たちは燃料の配合をどう始めるべきかが見えてくるのです」。

    進化する開発手法
    2026年は、シェルとフェラーリが75年にわたる協力関係を継続する新たなサイクルでもある。その間、燃料開発の手法は大きく変化してきた。

    「2000年代初頭までは、すべてがラボ作業でした。経験豊富な人たちが感覚で配合を決め、パラメータを測定していました。30~40種類の候補を作り、その中から10種以下に絞り込み、エンジンテスト用に量産していたのです」。

    現在はエンジンテスト自体が制限され、デジタルモデルが主役となった。「モデルを使って、特定の性能面で最大の成果を出せる可能性が高い候補を選び、パラメータごとに最適化できます」。

    空力開発と同様、燃料でも重要なのは仮想モデルの相関性だ。ロレッティはこう締めくくる。「実際にレースで使っている燃料を選ぶために、私たちは100万回以上のシミュレーションを行いました。それでも最終的には検証テストが必要です。モデルが常に正しいとは限らないからです。これは、シェルのモデルとフェラーリのエンジニアが使うモデルが相互に影響し合う、終わりのない循環なのです」