カテゴリー: レッドブル・レーシング

  • マックス・フェルスタッペン、2025年F1王座争いで「心理戦を続けていた」

    マックス・フェルスタッペン、2025年F1王座争いで「心理戦を続けていた」

    マックス・フェルスタッペンは、2025年F1タイトル争いにおいてマクラーレンと激しく競り合う中で、心理戦を「もう必要ない」と語っていたにもかかわらず、実際には駆け引きを続けていたことを認めた。

    10月の時点で、4度のワールドチャンピオンであるフェルスタッペンは、ランド・ノリスやオスカー・ピアストリに対して精神的な揺さぶりをかけているという見方を否定し、ルイス・ハミルトンと激しく争った2021年シーズンと今季を対比していた。

    「当時は、それが僕のやっていたゲームだった。じゃあ、また同じことをやるのか? その必要はない」とフェルスタッペンは当時語っていた。

    「当時は、まだワールドタイトルを一度も獲っていなかった。今はもういくつか持っているし、彼らはまだだ。この段階では、まだ世界チャンピオンになったことがない方が、自然と緊張するものだ」

    しかし、タイトル争いが決着した後にViaplayの取材に応じたフェルスタッペンは、その“マインドゲーム”が実際には止まっていなかったことを認めている。

    インタビュアーは、フェルスタッペンが「自分がマクラーレンに乗っていれば、数カ月前にタイトルを決めていただろう」と発言したことに触れ、それが意図的な挑発だったのかを問いかけた。

    「それはもう、僕の中に自動的にあるものなんだ」

    「ちょっと楽しんでやっている部分もある。だって、そういう発言をすれば、どこにでも書かれるって分かっているからね」

    「言おうが言うまいが、僕は気にしない。時々は好きなんだ。そうすると、相手からリアクションが返ってくる。それも、この世界の一部だからね」

    “必要ない”と言いながら続いていた心理戦
    フェルスタッペンの言葉から浮かび上がるのは、「心理戦を使う必要がない」という自己認識と、「無意識のうちにやってしまう」という実像のギャップだ。4度の世界王者となった今、タイトル未経験のライバルに対して精神的な優位を自覚していながらも、挑発的な発言によって相手の反応を引き出す姿勢は変わっていなかった。

    本人が語るように、それは計算された戦略というよりも、フェルスタッペンの性格やレース哲学の一部として自然に表出するものだ。発言が記録され、反応が返ってくること自体を楽しむ感覚も含め、心理戦は彼にとって切り離せない要素であり続けていたことが、この告白から明らかになっている。

  • マックス・フェルスタッペン、エストリルでメルセデスAMG GT3を極秘テスト

    マックス・フェルスタッペン、エストリルでメルセデスAMG GT3を極秘テスト

    マックス・フェルスタッペンがポルトガルのエストリル・サーキットでGT3マシンをテストしている姿が目撃された。しかもドライブしていたのは、これまでの活動から見ると意外とも言えるメルセデスAMG GT3エボだった。

    このテストが注目を集めた理由は、フェルスタッペンが率いるVerstappen.com Racingの近年のGT活動にある。2025年、同チームはGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCE)エンデュランスにアストンマーティン・ヴァンテージAMR GT3エボで参戦していた。

    ティエリー・フェルミューレンとクリス・ルルハムがハリー・キングとともに耐久レースを戦い、スプリントではエミール・フレイ・レーシングのフェラーリ296 GT3をドライブしていた。

    一方、Verstappen.com RacingのGTWCEエンデュランス参戦は、2 Seas Motorsportとの協力体制で行われており、このチームは独自にメルセデスAMG GT3エボを走らせていた。その流れから、2025年シーズン終了からわずか1週間後、雨に濡れたエストリルでフェルスタッペンがメルセデスAMG GT3エボをテストした背景には、明確な理由があると見られている。

    関係者の話によれば、Verstappen.com Racingは2026年にGTWCEエンデュランスでメルセデスAMG GT3エボを採用する見通しで、わずか1年でアストンマーティンからスイッチする可能性が高いという。

    ドライバー編成についてはまだ流動的だ。2025年のVerstappen.com Racingは、フェルミューレン(ゴールド)、ルルハム(シルバー)、キング(ゴールド)という構成でゴールドカップに分類されていたが、2 Seasのメルセデスはブロンズカテゴリーだった。FIAのドライバー分類制度では、ブロンズからプラチナまで段階があり、ラインアップの強さによって参戦カテゴリーが決まる。

    エストリルのテストには、メルセデスのファクトリードライバーであるジュール・グーノンも参加していた。プラチナライセンスを持つ彼が加われば、参戦カテゴリーは一気にプロクラスとなる。さらに、2026年にルルハムがシルバーからゴールドへ昇格する予定であることや、ジェネシスからWECハイパーカークラスに参戦予定のダニエル・フンカデラの名前も候補として挙がっている。フンカデラは、フェルスタッペンのシムレースチーム「Team Redline」でバーチャルレースに出場した経験を持つ旧知の仲だ。


    では、なぜフェルスタッペン陣営はメルセデスAMGを選ぶのか。その背景には、ニュルブルクリンク24時間レースへの構想がある。ルルハムはHWAが開発したメルセデスAMG GT3を高く評価しており、フェラーリ296 GT3よりも扱いやすいと感じているという。特にメルセデスは、GT3の中でも最も寛容なマシンとされ、世界屈指の難コースであるノルドシュライフェでは大きな強みとなる。

    ただし、GTWCEで協力する2 Seas Motorsportが、そのままニュルブルクリンク・プログラムを担う可能性は低い。シルバーストーン拠点の同チームには、全長25.378kmのノルドシュライフェでの経験がないためだ。代わって有力視されているのが、ドイツ・アルテンダイツを拠点とするウィンワード・レーシングである。DTM参戦実績を持つこのチームは、2026年にニュルブルクリンク24時間へ初挑戦する可能性があり、メルセデスAMGの豊富なノルドシュライフェ知見を活用できる点が評価されている。エミール・フレイやフェラーリが同地域のスペシャリストでないことも、この見方を後押ししている。

    フェルスタッペンが最近AMG幹部と会談していた事実も確認されているが、それがGTWCEプロジェクトの話だったのか、あるいはニュルブルクリンク24時間への布石だったのかは不明だ。ただ、2 Seasが用意するメルセデスAMG GT3が議題に上ったこと、そしてグーノンがテストで基準ドライバーを務めていることから、フェルスタッペンがフロントエンジンGT3への適応を急いでいるのは確かだ。

    問題はスケジュールである。フェルスタッペン自身、シンガポールGPの際に「多くの要素次第だ」と語り、2026年の新F1レギュレーションによる忙しさとGT3プログラムの両立が鍵になると明かしていた。彼はこれまでノルドシュライフェを3回走っているが、いずれもフェラーリであり、メルセデスAMG GT3ではまだ経験がない。

    さらに、ニュルブルクリンク24時間(5月14〜17日)はF1と直接重ならないものの、NLSの全準備レースと24時間予選はF1週末とバッティングしている。主催者のADAC Nordrheinは、予選イベントの日程変更を否定しており、フェルスタッペンが参加できる可能性はNLSの限られたラウンドに絞られる。

    関係者によれば、フェルスタッペンは少なくとも3月14日のNLS開幕戦に出場できなければ、24時間レース参戦を見送る意向だという。しかしこの日はF1中国GPと重なる。NLS側は当初、日程変更はないとしていたが、最近になって柔軟姿勢を示し始めた。シリーズ代表のマイク・イェーガーは、過密日程の緩和を理由に調整の余地を認めつつも、フェルスタッペン個人のためではないと強調している。

    それでも、フェルスタッペンがNLSへの強い関心を示しているのは事実だ。カレンダー調整が実現すれば、メルセデスAMG GT3でのニュルブルクリンク24時間参戦は、現実味を帯びた選択肢となる可能性が高い。

  • ピエール・ガスリー レッドブルF1降格の“安堵”を告白「サポートはなかった」

    ピエール・ガスリー レッドブルF1降格の“安堵”を告白「サポートはなかった」

    ピエール・ガスリーは、2019年にレッドブルF1からトロロッソへ降格となった当時について、精神的に非常につらい経験だったと認めつつも、「ある意味では安堵を感じた」と語った。

    F1.comのインタビューでガスリーは、レッドブルF1在籍時に置かれていた立場や、チーム内の環境について、当時の感情を交えながら詳細に振り返っている。

    ピエール・ガスリーは、2014年にレッドブル・ジュニアチームに加入し、2018年にトロロッソ(現レーシングブルズ)からF1デビューを果たした。

    ルーキーシーズンをドライバーズランキング15位で終え、当時のチームメイトだったブレンドン・ハートレーを25ポイント上回る結果を残したことで、2019年シーズンに向けてレッドブルF1への昇格を勝ち取った。

    しかし2019年シーズン途中、ベルギーGPを前にアレクサンダー・アルボンと交代する形で、再びトロロッソへ降格となった。

    「正直に言うと、悲しかった」とガスリーは語る。

    「2019年、F1での2年目だったが、どこからもサポートはなかった。とても大きなチームで、マックス(フェルスタッペン)を強くサポートする体制になっていた。彼が結果を出している以上、それは正しい判断だ」

    「だが僕は、F1の経験がないフォーミュラE出身の新しいエンジニアと組むことになった。とても奇妙な力関係だった。自分が本当にパフォーマンスを発揮するためのツールを与えられているとは感じられなかった」

    「それでも自分のやり方で戦おうとした。僕は結果を出すためにそこにいるし、戦いたかった。チームは満足していなかったし、僕自身も満足していなかった。なぜなら、自分のポテンシャルを示せないことが分かっていたからだ」

    「だから、ほとんど安堵のように感じた」

    トロロッソ復帰後、最初のレースを迎えたときの心境についても、ガスリーは率直に語っている。

    「いいエネルギーではなかった。自分の仕事をして、ベストを尽くそうとしていただけだが、周囲には多くのネガティブな空気があった」

    「それをすべて受け止めながら、僕はただ運転したかった。それだけだった」

  • ローラン・メキース、レッドブルF1を変える「政治より純粋なレース」

    ローラン・メキース、レッドブルF1を変える「政治より純粋なレース」

    ローラン・メキースは、レッドブルが「純粋なレース」のみに焦点を当て、ライバルに対して「敬意」を払うことが重要だと述べた。

    2025年F1タイトル争いはアブダビGP最終戦までもつれ込んだが、パドックの空気は2021年とは大きく異なっていた。4年前、レッドブルとメルセデスの間には敵対的とも言える緊張感が漂っていたが、2025年の最終戦後、マックス・フェルスタッペンはその見方を一笑に付している。

    「敵対的、敵対的って……誰も殴り合いなんてしていないだろう? 僕は敵対的だとは思わなかった。敵対的というのはかなり極端な言葉だ。ただ非常に競争が激しかっただけで、その時に両チームがお互いを好きではなかったというのは別の話だ。でも敵対的というのは違う。」

    とはいえ、当時のレッドブル代表だったクリスチャン・ホーナーと、メルセデス代表のトト・ヴォルフの間では、数多くの政治的駆け引きが繰り広げられていた。その流れは、マクラーレンがレッドブルの最大のライバルとなった後も続き、フレキシブルウイングやタイヤへの水注入をめぐる示唆が飛び交い、それに対してマクラーレンのザク・ブラウンCEOが“特製の飲料ボトル”で応酬する場面もあった。

    しかし、この夏以降、そうした論争はほぼ姿を消している。アブダビGPを前にした金曜の記者会見で、ブラウンと、7月にホーナーの後任として代表に就任したローラン・メキースが並んで登壇した姿は、その変化を象徴していた。タイトル決定戦を控えた週末にもかかわらず、場の雰囲気は驚くほど友好的だった。

    さらに変化を示す出来事として挙げられるのが、いわゆる「テープゲート」だ。この件の後、メキースはレッドブルがランド・ノリスのピットウォールのテープを剥がす行為をやめると、すぐに明言している。こうしたトーンの変化は、少なからずメキースの影響によるものと見られているが、本人は功績を自分のものとは考えていない。

    「以前のレッドブルが“限界の際”にいたと呼ぶべきかどうかは分からない。我々は非常に強い戦いをしてきたし、それは公正でクリーンな戦いだった。これこそが、我々がレースをしたい形だ。すべてを限界まで攻めるが、競争相手を尊重することは間違いなく大切にしている。」

    「スポーティングフェアネスと競争相手への敬意について言えば、我々は両立できると考えている。限界ぎりぎりで戦いながら、同時に相手を尊重することは可能だ。スポーツとは巨人同士の戦いであり、我々はその戦いに強い覚悟を持って臨んでいる。そして、競争相手を尊重している。」

    ローラン・メキース レッドブル・レーシング

    純粋なレースに集中するという発想
    この姿勢は、ライバルとの関係性だけでなく、レッドブル内部にも好影響をもたらしているとメキースは語る。狙いは、これまで以上に雑音を減らし、集中力を高めることにある。

    「言い換えれば、ここは信じられないほど競争の激しい環境で、競争力を保つためには、自分たちがやっていることを楽しむ必要があると我々は信じている。我々は一生懸命働き、全力で楽しむ。それがレッドブルのスピリットだ。」

    「我々がやってきたのは、グループとして“純粋なレース”に集中できるようにし、周囲の雑音に気を取られ過ぎないようにすることだけだ。我々が本質的に愛しているのは、マシンをサーキットで速く走らせることだ。その一点に集中し、誰よりも強くプッシュし、その過程を楽しもうとしている。」

    この考え方は、エンジニア出身であるメキースのバックグラウンドとも重なる。彼は、マシンを速くすることに直接つながる要素だけに体系的に取り組みたいと考えており、政治的な駆け引きは必ずしもそこに合致しない。そのため、現在のレッドブルでは、そうした要素が以前よりも前面に出なくなっているように見える。

    そして、この流れはレッドブルだけに限ったものではない。マクラーレンのアンドレア・ステラ、ハースF1チームの小松礼雄、そしてアストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイと、近年はエンジニア出身者がチーム代表の役割を担うケースが増えている。それに伴い、公の場での激しい舌戦は徐々に影を潜めつつある。

    トト・ヴォルフはザントフォールトで、「エンターテインメントとしてのF1には、まだ“嫌なやつ”のチーム代表が必要だ」と冗談を飛ばしていたが、2025年後半は、かつてと比べて言葉による戦争が明らかに少なくなっていたのも事実だ。メキースが進める“純粋なレース”への回帰は、そうした時代の変化を象徴する動きと言える。

  • レッドブル2.0が“異端児”ヘルムート・マルコを受け入れなかった理由

    レッドブル2.0が“異端児”ヘルムート・マルコを受け入れなかった理由

    ヘルムート・マルコは20年にわたってレッドブルF1に関わってきたが、その去り方は、いかにも彼らしい静かならぬものとなった。82歳のオーストリア人は、長年の盟友であり同僚だったクリスチャン・ホーナーにわずか数か月遅れて、チームを去ることになった。

    近年のレッドブルでは、オーストリア本社がチームへの統制を強める過程でホーナーが電撃的に解任され、その後に一時的な安定が訪れていた。その中で唯一残っていた“特異点”がマルコだった。

    ホーナーの後任としてローラン・メキースがチーム運営を引き継ぎ、レッドブルGmbHのCEOであるオリバー・ミンツラフに報告する新体制が敷かれたことで、ミルトンキーンズのチームは新章へと踏み出した。だが、「心機一転」を掲げる新文化の中で、マルコはどこに収まる存在だったのか。その答えは明白だった。彼は、もはや適合しなかった。

    “企業的”イメージと相容れない存在
    メキースが対外的に穏健でコーポレート寄りの姿勢を示す一方、マルコのオールドスクールな振る舞いは際立っていた。週末のグランプリ中、広報担当者も同席しない即興的なメディア対応を続け、マイクを向けた記者には誰彼構わず語る姿勢も変わらなかった。

    率直すぎる発言は、これまでも何度となく問題を引き起こしてきた。内部事情、セットアップの選択、使用しているパーツの仕様、さらには戦略の意図まで口にすることもあり、レッドブルの広報陣にとっては悪夢だった。それでも彼は、創業者ディートリッヒ・マテシッツの右腕という立場から、長らく誰にも縛られない存在であり続けた。

    マテシッツ死後に露呈した亀裂
    マルコの発言による“騒動”は、かつての体制下では容認されてきた。2005年当初、マルコはホーナーよりも上位の立場にあり、その力関係が長く続いていたからだ。しかし、2022年後半にマテシッツが亡くなり、ミルトンキーンズ内部で権力闘争が噂されるようになると、状況は変わり始めた。

    チームの顔がホーナーであることが強まる中、マルコは一歩も引く意思がないことを公言し、自身の去就は「ホーナー氏ではなく自分が決める」とまで語っていた。彼はまた、ホーナーが権力を掌握するのを「できる限り阻止した」とも明かしている。

    2025年、均衡の崩壊
    マクラーレンの圧倒的な強さが露呈した2025年半ば、さらにマックス・フェルスタッペン流出の噂が渦巻く中で、ミンツラフは決断を下した。ホーナーは切られ、新体制が発足する。

    皮肉なことに、その変化を後押しした一人がマルコだった。しかし結果として、彼自身が長年守られてきた不安定な均衡を崩すことになった。レッドブル上層部の狙いは、「個人ではなく缶(ブランド)を中心にしたチーム」へと再定義することだった。

    独断専行が招いた決定打
    ホーナー退任後、マルコは事実上“自由”な状態となり、独断で物事を進め始めたとされる。オランダGPの時点でアイザック・ハジャーに昇格を告げたことや、アイルランド人ドライバーのアレックス・ダンをジュニアに契約した件はいずれも、メキースやミンツラフに相談なく進められたという。

    ハジャーの昇格自体は最終的に了承されたものの、その進め方は新体制の理念に真っ向から反していた。ダンの契約は最終的に解消され、高額な代償を伴ったとも伝えられている。

    度重なる問題発言
    シンガポールGPでは、マルコの私生活に関わるパドックでの振る舞いが、レッドブルGmbHのタイ側大株主であるチャルーム・ユーヴィディヤを怒らせたとされる。

    さらにカタールGPでは、アンドレア・キミ・アントネッリが意図的にミスを犯し、ランド・ノリスを通したと示唆する発言をテレビ中継で行い、物議を醸した。これは、レース中の感情的な無線発言とは異なり、事後に繰り返し語られた点で問題視された。

    “自らの決断”という公式見解の裏側
    アブダビGP後、公式には「マルコ自身の決断による退任」と説明された。ミンツラフも声明でその決断を惜しむ言葉を並べている。しかし実際には、ホーナーの退任が決まった時点で、マルコの立場も終わっていたと見る向きは多い。

    より企業色の強い環境において、制御不能な存在が許容される余地はなかった。新体制がフェルスタッペン陣営からも全面的な信頼を得ているとされる中、かつてのような“守護”も存在しなかった。

    戦いの終わり
    退任後、マルコはホーナーを「嘘つき」と非難するなど、攻撃的な発言を続けている。だがそれは、長年続いた権力闘争の終章に過ぎない。

    彼は、マテシッツ亡き後の戦いに勝ったと思ったのかもしれない。しかし実際には、戦場に少し長く立っていただけだった。

    「戦争は、始める時は選べるが、終わり方は選べない」

    マキャヴェリの言葉が、いまのヘルムート・マルコの立場を象徴している。

    Source: PlanetF1

  • 角田裕毅のF1アブダビGPペナルティにシュタイナーが異議「これはレースだ」

    角田裕毅のF1アブダビGPペナルティにシュタイナーが異議「これはレースだ」

    2025年F1最終戦アブダビGPで科された角田裕毅への5秒ペナルティについて、元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーが異論を唱えた。

    角田裕毅はヤス・マリーナ・サーキットで行われた2025年F1シーズン最終戦において、ランド・ノリスとのポジション争いの中で5秒のタイムペナルティを受けた。

    角田裕毅は防御の際に複数回ラインを変え、結果としてノリスをコース外へ押し出す形となった。ノリスはコース外に出た状態で角田裕毅を追い越したが、「コース外での追い越しおよびアドバンテージ取得」については調査のみでお咎めなしとなった。

    スチュワードは、ノリスには角田裕毅の走行によって他に選択肢がなかったと判断し、ノリスを不問とする一方で、角田裕毅にペナルティを科した。

    シュタイナー「何も起きるべきではなかった」
    この裁定について、ギュンター・シュタイナーはノリスが無罪放免となった点には同意しつつも、角田裕毅への処分には納得していない。

    「本当なら、もうひとつペナルティを出すべきだろう。あのブレーキング中の動きが、アブダビでは急に流行り始めたんだから」と、シュタイナーは『The Red Flags Podcast』で皮肉を込めて語った。

    そのうえで、次のように本音を明かしている。

    「いや、実際には何も起きるべきではなかった。これはレーシングだ。これこそ我々が見たいものだし、観客やファンが望んでいるものだ。スチュワードが目立とうとしてペナルティを出し、注目を集める必要なんてない。これはフェアだったし、これはレーシングだ」

    「角田裕毅は限界ギリギリで走っていたと思うが、ランド・ノリスも同じく限界だった。すべてはうまく収まり、素晴らしいバトルを見せてくれた」

    ペナルティ乱発への強い不満
    シュタイナーは、近年のF1におけるペナルティの多さそのものにも不満を示している。

    「私はずっと言っているが、もしこういうことをすべて禁止してしまったら、一体誰がレースを見に行くんだ?」と疑問を投げかけた。

    「彼らにはそれが分かっていない。なぜなら、スチュワードとして自分たちがスポットライトを浴びたいだけだからだ」

  • アイザック・ハジャー F1デビューで「初めてモータースポーツで生計が立った」

    アイザック・ハジャー F1デビューで「初めてモータースポーツで生計が立った」

    レッドブル・レーシング加入が決まっているアイザック・ハジャーは、2025年シーズンが自身にとって初めて、モータースポーツで実際に収入を得られた年だったことを明かした。

    フランス人ストリーマーのザック・ナニの配信に出演した21歳のハジャーは、F2でランキング2位となり、その後レーシングブルズでF1に到達するまでの道のりが、収入源どころか大きな経済的負担だったと率直に語っている。

    「実際にモータースポーツで生計を立てられるようになったのは、F1に来た今年、2025年が初めてだった」

    F2でランキング2位に入ったことで報酬があったのかと問われると、ハジャーは即座に否定した。

    「いいや。シーズンごとにお金を払わなければならない、かなり複雑な仕組みなんだ」

    ハジャーは、レッドブルの支援を受けていても、F1への道が依然として過酷な金銭的現実に支配されていたことを説明している。

    「もちろん、レッドブルは助けてくれる。アカデミーに所属して、F1の環境に身を置けるし、金銭的なサポートもある」

    「でも、F3とF2は自分では到底まかなえないコストがかかる。母がスポンサーを探してくれて、シーズンの一部を賄い、残りをレッドブルがカバーしてくれた」

    「すべてを話すことはできないけど、昨年までずっと金銭的には休む間もなかった。レッドブルがいなければ、そこで終わっていた」

    2026年にはF1最高額年俸ドライバーであるマックス・フェルスタッペンと並ぶことになるハジャーは、こうしたコストの壁が自身のキャリア初期に与えた影響についても振り返った。

    「カートの最初の2シーズンは本当に楽しかった。でも、本格的なカテゴリーに進んでからは、楽しめたとは言えない。あれは本当に嫌な記憶だ」

    「自分よりもはるかに多くの資金を持つ子どもたちと戦わなければならなかったからね」

    さらに、経済的な立場についても誤解を避けるように付け加えている。

    「誤解してほしくないけど、僕の両親は裕福だ。でも、F1の世界ではそれでも見えない存在なんだ」

    「サッカーなら、誰でもスパイクを買って始められる。でもカートは始めるだけでも大変で、そこから本格的なステージに進むとなると、正直言って常軌を逸している」

  • リアム・ローソン、レッドブルF1復帰の可能性に言及「考えたことはなかった」

    リアム・ローソン、レッドブルF1復帰の可能性に言及「考えたことはなかった」

    リアム・ローソン(レーシングブルズ)は、2026年F1シーズンに向けたレッドブルF1のドライバー選考期間中、自身がトップチームへ復帰する可能性について「まったく考えていなかった」と明かした。ローソンは来季もレーシングブルズで走ることが決まっており、レッドブルF1への再昇格は実現しなかった。

    2025年シーズン序盤、マックス・フェルスタッペンのチームメイトとしてレッドブルF1で開幕を迎えたローソンは、わずか2戦でレーシングブルズへ降格。その後は姉妹チームで再び安定したパフォーマンスを取り戻し、来季のシートを確保した。

    なお、レーシングブルズではアービッド・リンドブラッドが新たに加入し、アイザック・ハジャーが角田裕毅に代わってレッドブルF1へ昇格することが決まっている。

    レッドブルF1復帰の可能性について問われたローソンは、RacingNews365などの一部メディアに対し、次のように語った。

    「正直なところ、今年はそのことを本当に考えたことがなかった。特に僕が戻ってきた直後は、かなり難しい数レースが続いていたからね。」

    「シーズン前半は、とにかく自分の居場所を取り戻して、このマシンに慣れることに集中していた。」

    「プレシーズンの最初の段階で、マシン開発の流れに参加できなかった部分もあって、シーズン中に僕にとって少し扱いやすくするための変更も実際に加えた。」

    「だから正直に言って、レッドブルF1に戻ることは、まったく考えていなかったんだ。」

    ローソンは現在のレーシングブルズでの立場に満足しており、まずは与えられた環境で結果を積み重ねることに集中している姿勢を強調した。

  • レッドブルF1、2026年マシン『RB22』で前後ともにプッシュロッド採用の噂

    レッドブルF1、2026年マシン『RB22』で前後ともにプッシュロッド採用の噂

    2026年F1シーズンに向けて投入される新型レッドブルRB22が、前後ともにプッシュロッド式サスペンションを採用する――そんな主張が浮上している。

    来季のF1は、シャシー規則とエンジン規則が同時に変更される大改革の年となる。50%の電動化、完全な持続可能燃料、そしてアクティブ・エアロダイナミクスの導入など、F1史上でも最大級のルール変更が実施される予定だ。

    2026年シーズンからレッドブルF1は、新設されたレッドブル・パワートレインズ(RBPT)部門を通じて初めて自社製パワーユニットを投入する。このプロジェクトは、米国メーカーのフォードとの協業で進められている。

    レッドブルは2023年初頭にフォードとの技術提携を発表し、これにより長年のパートナーであったホンダは、2026年からアストンマーティンF1と組む道が開かれた。

    レッドブル・レーシングと姉妹チームのレーシングブルズは、1月25日にデトロイトで開催されるフォードのシーズンローンチイベントに揃って登場する予定だ。これは、バルセロナで行われるF1 2026年シーズン最初のテストの2週間弱前にあたる。

    そして、4度のワールドチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンと、新加入のアイザック・ハジャーがドライブする新型RB22に関する、最初の設計上の噂が浮上した。

    伊メディア『Auto Racer』の報道によれば、RB22はフロントとリアの両方にプッシュロッド式サスペンションを採用するという。

    もしこれが事実であれば、ミルトンキーンズのチームは、2022年から2025年にかけてのグラウンドエフェクト時代に大きな空力的アドバンテージをもたらしてきた、フロント・プルロッドという長年の哲学を捨てることになる。

    2026年に向けてF1がグラウンドエフェクトカーからフラットボトム構造へと移行することで、サスペンションの挙動におけるメカニカルな単純性と予測可能性の重要性が高まり、この変更を後押しする要因になると見られている。

    また、プッシュロッド式サスペンションは新しいパワーユニットのレイアウトにも適応しやすく、従来のプルロッド式と比べてパッケージング面での利点をもたらす可能性がある。

    PlanetF1.comが先月報じたところによれば、フェラーリF1も「プロジェクト678」とコードネームが付けられたF1 2026年型マシンで、ダブル・プッシュロッド設計へ転換するとの噂がある。

    これが事実であれば、フェラーリF1は2010年以来初めて、リアにプルロッド式サスペンションを採用して戦うことになる。

    一方で、新型RB22を巡る最大の不確定要素は、RBPT-フォード製エンジンのパフォーマンスだと考えられている。

    メルセデスF1がF1 2026年に向けた準備で他陣営より進んでいるという噂は以前から根強く、4月のある衝撃的な報告では、他のメーカーはいずれも新エンジン開発において程度の差こそあれ苦戦していると伝えられていた。

    FIAは10月、いくつかのメーカーが苦戦していることを事実上認める形で、「追加開発およびアップグレード機会(ADUO)」と名付けられた新たなセーフティネット制度を導入した。これは、困難に直面しているメーカーが2026年に向けて挽回できるよう支援するための仕組みだ。

    7月のイギリスGPを前に、チーム代表として最後のレースを控えていたクリスチャン・ホーナーは、来季に向けたRBPT-フォードエンジンの立ち位置について示唆を与えていた。

    ホーナーはPlanetF1.comなどのメディアに対し、2026年に初挑戦となるレッドブルF1とフォードが、もし競争力のあるエンジンを作り上げたとすれば、それはメルセデスや他の既存エンジンメーカーにとって「恥ずかしいこと」になるだろうと語った。

    ホーナーの発言は後任のローラン・メキースによっても繰り返され、イタリアGPの場で彼は、レッドブルF1とフォードが最初からメルセデスやフェラーリのレベルに並ぶと期待するのは「ばかげている」と述べている。

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフが、レッドブルF1の挑戦を「エベレスト登山」に例えたことに対し、メキースはPlanetF1.comなどの取材に次のように応じた。

    「トトがエベレストを登るような挑戦だと言ったのは正しいと思う。それが現実だ。

    自分たちでパワーユニットを作るという決断を下すこと自体、レッドブルがやったように、正気の沙汰とは言えないほどだ。関われるのは信じられないほどの挑戦だ。

    こういう常識外れなことをやるのがレッドブルで、それは良い気分でもあるが、どれほど常軌を逸した挑戦かを我々は過小評価していない。

    彼らは90年もの間、こうしたことをやってきたわけだから、最初からフェラーリやメルセデスと同じレベルに行けると思うのは、我々の側からすれば愚かだ。

    それはばかげている。

    だが、このプロジェクトはレッドブル流に、可能な限り最高のレベルで進められている。我々は一歩ずつ前に進んでいる。

    パワーユニットだけでなく、それを取り巻く体制――人材やインフラ――も含めて、できるだけ早く立ち上げようとしている。

    そして言ったように、来年は正しいレベルに到達するために、多くのハードワークと、眠れない夜が続く1年になると予想している。

    だが、これは非常にレッドブルらしい挑戦であり、我々はそれを愛している。

    どの位置にいると思っているかについて数字を出すつもりはない。誰も数字を持っていないと思うからだ。ただ、トトが言ったように、我々が山を登り始めていることは分かっている」

  • レッドブルF1、ヘルムート・マルコ退任の育成部門後継者にギヨーム・ロクラン

    レッドブルF1、ヘルムート・マルコ退任の育成部門後継者にギヨーム・ロクラン

    ヘルムート・マルコの退任を受け、レッドブルはギヨーム・“ロッキー”・ロクランがレッドブル・ジュニアチームにおける主要な窓口となったことを、GPblogに対して正式に認めた。

    長年にわたり、マルコはセバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンといったスターを輩出してきた育成組織の中核を担ってきた。才能の発掘から契約管理、ジュニアカテゴリーとの密接な関係構築まで、その影響力は絶大だった。

    マルコ退任後に生じた空白
    マルコ在任中は、有望な若手ドライバーが疑問や不安を抱えた際、直接相談できる存在が明確だった。しかし彼の退任後、誰がその役割を担うのかは不透明なままだったという。

    GPblogの取材によれば、直近数日間において、ドライバーのマネージャーや家族、そして本人たちが、ジュニアチームに関する案件について「誰に連絡すべきなのか分からない」状況に置かれていた。

    12月から1月にかけては、どのドライバーを育成プログラムに残すか、新たに誰を迎え入れるか、そして各ドライバーに最適な参戦カテゴリーをどう設定するかといった重要な判断が下される時期だ。育成部門にとって極めて重要な数か月である。

    “ロッキー”が単独で指揮
    こうした状況を受け、レッドブルはGPblogに対し明確な回答を示した。ギヨーム・ロクランは引き続きドライバー・アカデミーの責任者を務めるが、今後はマルコのサポートなしに、その役割を単独で担うことになる。

    ロクランはレッドブル・レーシング内部では広く知られた存在であり、かつてはセバスチャン・ベッテルのレースエンジニアを務めていた人物だ。技術面と現場運営の双方を熟知する彼が、マルコ退任後の育成プログラムを実務面から統括していく体制が整った形となる。

    マルコという象徴的存在が去った後も、レッドブルはジュニア育成の意思決定を止めない。その実権は、“ロッキー”の名で親しまれてきた実務家へと、静かに引き継がれた。