カテゴリー: ピレリ

  • 2025年F1 イギリスGP:シルバーストン・サーキット&タイヤ解説

    2025年F1 イギリスGP:シルバーストン・サーキット&タイヤ解説

    2025年F1 イギリスGPが、7月4日(金)~7月6日(日)の3日間にわたってシルバーストン・サーキットで開催される。公式タイヤサプライヤーのピレリが2025年のF1世界選手権 第12戦 イギリスグランプリのタイヤについて解説した。

    今年はF1世界選手権が誕生してから75周年という節目の年であり、1950年に第1回選手権レースが行われた原点の地シルバーストンは、例年以上に注目を集める。

    これを記念してピレリは特別デザインのポディウムキャップを発表したほか、今大会では昨年よりも一段階柔らかいタイヤ構成を採用し、戦略の幅を広げる狙いでレースに臨む。

    F1が原点へ戻る
    シーズンの中間点で、F1は75年前にすべてが始まった場所へと戻る。ドライバーズ世界選手権にカウントされる最初のグランプリは1950年5月13日に、第二次世界大戦時の軍用飛行場跡地にレイアウトされたシルバーストンで開催された。

    この記念日を称え、ピレリはデザイナーのデニス・デコヴィッチとコラボレーションして、Pirelli Designコレクションの一部として特別仕様のポディウムキャップを製作した。シルバーストン・ポディウムキャップはすでに専用のeコマースプラットフォーム(https://store.pirelli.com/)で購入可能となっている。

    イギリスグランプリ

    コンパウンド
    このイベントにおけるコンパウンドの選択には重要な変更がある。実際、ピレリはC2をハード、C3をミディアム、C4をソフトとして選択しており、これは昨年よりも一段階柔らかい構成である。FIA、F1、そしてチームと共有された目的は、レースにおいてより広い戦略の選択肢を生み出すことだ。2024年には、C3がソフトとして使用されており、雨が降ったレース終盤にごく一部のドライバーによってのみ使用された。今年はミディアムとして、レースの複数のフェーズで重要な役割を果たすことが確実だ。1ストップレースを狙う者にとっては、スティントを非常に注意深く管理しなければならず、全体のレースタイムが長くなることを受け入れなければならない。また、この方程式における考慮事項として、タイヤ交換にかかる時間がそれほど長くないこと(約20.5秒)、そして困難ではあるもののオーバーテイクが可能であることもある。

    イギリスGPF1 イギリスGP

    2024年には
    2024年のF1イギリスGPでは、すべてのドライコンパウンドとインターミディエイトが使用された。17人のドライバーがミディアムでスタートグリッドに並び、例外はオコンと周冠宇でソフトを選択し、ペレスはハードでピットレーンスタートとなった。C2は効果的であり、ドライバーたちはスタートから燃料満載でもプッシュでき、雨が降り始めた際の複雑なコンディションにも対応できた。さらに、ミディアムは最初のピットストップのタイミングにおいて、より柔軟性を提供し、スタート前から雨のリスクがあったことを考慮すると有効だった。

    次に、インターミディエイトが主役となる時が来た。ルクレールやペレスのように早めにグリーンバンドのタイヤへ交換した者たちは、実際に雨が強くなった時には、元のセットが摩耗していたため、もう一度新しいセットへ交換しなければならなかった。しかし、雨は前日のFP3ほど激しくはならず、路面が乾いていくにつれてタイヤの摩耗は早まった。レースの最終局面では、3種類のドライタイヤすべてが同等に機能した。上位勢の中では、各車・ドライバー・タイヤコンパウンドの組み合わせがすべてうまく機能しているのが明確だった:ハミルトンはメルセデスでソフトを履いて優勝し、フェルスタッペンはレッドブルでハードを履いて最速のペースを記録し、ピアストリはマクラーレンでミディアムを履いて非常に競争力があった。

    イギリスグランプリ 2025年のF1世界選手権l

    サーキット
    シルバーストンはこれまでに59回のグランプリを開催しており、モンツァ(74回)を除けば、他のいかなるサーキットよりも多くの世界選手権イベントを開催している。そのレイアウトは長年にわたりほぼ変わらず保たれている。5.861kmという長さを持つこのサーキットは、カレンダーの中でも最長クラスであり、18のコーナー(右10、左8)を擁している。その中には、マゴッツ~ベケッツ~チャペルのような、高速での方向転換が連続する区間が含まれており、スパ・フランコルシャンや鈴鹿に匹敵する非常に高い横方向のGを生む。

    このサーキットは四輪・二輪の各カテゴリーによって通年にわたり使用されており、金曜のFP1から良好なグリップを提供する。また、路面の摩耗レベルは中~低と評価されている。

    夏の盛りに開催されるにもかかわらず、イギリスの天候はしばしば予測困難であり、気温の変化や突発的な風や雨が発生し、昨年のようにレース中に情勢を一変させる可能性がある。

    イギリスGP 2025年のF1世界選手権

    キーワード:アニバーサリー
    シルバーストンはF1の発祥の地であり、1950年5月13日に最初のドライバーズチャンピオンシップ対象レースが開催され、10万人以上の観客を集めた。ピレリタイヤを装着したアルファロメオ158に乗るニーノ・ファリーナがポールポジション、ファステストラップ、そしてF1史上初勝利を記録した。このイタリア人ドライバーは、同年最終戦モンツァでタイトルを確定させ、初代世界チャンピオンとなった。シルバーストンからモンツァへと続く今年のリンクも注目に値する:F1がイギリスでダイヤモンド・ジュビリー(75周年)を祝う一方で、モンツァでのイタリアGP週末には、ピレリの通算500戦目を記念する特別なセレモニーが予定されている。実際にはその節目は前戦のオランダGP・ザントフォールトで達成されるが、ピレリ本社から15kmしか離れていないモンツァで祝われるのは相応しいことだ。

    統計コーナー
    7月3日(木)は、第76回イギリスGPの始まりを意味し、イタリアGPとともに、チャンピオンシップカレンダーに常に存在してきた唯一のレースとしての名誉を共有している。このレースはかつて、エイントリー(5回)やブランズ・ハッチ(12回)でも開催された。シルバーストンはまた、COVIDの影響を受けた2020年シーズンにはF1 70周年記念GPも開催している。

    ルイス・ハミルトンは母国GPで最多の9勝を挙げており、現在所属するチーム、フェラーリは18勝で最多勝を記録している。ハミルトンは最多ポール(7回)、最多表彰台(14回)も保持しており、同郷のナイジェル・マンセルはファステストラップ最多記録(7回)を持つ。チーム単位では、フェラーリが最多ポール(16回)、最多表彰台(59回)、最多ファステストラップ(21回)でトップに立っている。

    グレートブリテンは、F1ドライバーを最も多く輩出してきた国であり(179名)、1120レースにおいて少なくとも1人の英国人ドライバーがグリッドに並んだ。ユニオンジャックは20人のワールドチャンピオン、319勝、308ポールポジション、787回の表彰台、282回のファステストラップに掲げられてきた。

  • ピレリ 新型F1ウェットタイヤで「セーフティカー専用」からの脱却を目指す

    ピレリ 新型F1ウェットタイヤで「セーフティカー専用」からの脱却を目指す

    ピレリはF1で長年の課題となっていたウェットタイヤの性能改善に向けて、新たなコンパウンドを開発し、フェラーリのマシンを用いてテストを実施した。新型ウェットタイヤは、現行のフルウェットとインターミディエイトの“クロスオーバー”領域を持つことが特徴で、使用可能な状況を拡大することを目指している。

    近年、F1チームはピレリのフルウェットタイヤの使用を極端に避ける傾向にあり、ほとんど“使われない”存在となっていた。

    昨年のF1ブラジルGPでは激しい雨により予選が日曜朝に延期されたが、当時ルイス・ハミルトンは「こんな状況は馬鹿げている。もっとマシなタイヤを用意すべきだ」と強く批判していた。

    その背景には、現行のウェットタイヤが十分な温度を維持できず、すぐにオーバーヒートを起こしてしまうという問題がある。結果的に、使用は“極端な豪雨時”に限られるが、そのようなコンディションではレース自体が中断されることが多く、事実上「セーフティカー用タイヤ」と化していた。

    こうした状況を打破するため、ピレリはフィオラノ・サーキットにてフェラーリのテスト車両を使った評価走行を実施。ドライバーはシャルル・ルクレールと周冠宇が務めた。

    ピレリのモータースポーツ部門責任者マリオ・イゾラは「今、我々はかなり良い状況にあると思う」とコメント。

    「インターミディエイトタイヤはほぼ2026年向けの仕様として固まりつつある。今は新しいウェットの解決策を検証しているところだ。特に、ウェットとインターのクロスオーバーを今とは異なる位置に再設定し、極端なウェットタイヤでもセーフティカー後ではなく、通常のレースでも使えるようにしたい」

    「視界の問題はウェットでは常につきまとうが、今のところインターもウェットも満足のいく仕上がりになっている」

    タイヤ F1

    パフォーマンス改善の鍵は“クロスオーバーラップ”
    ピレリが追求しているのは、ラップタイムにおける各コンパウンドの“適正使用ウィンドウ”の見直しだ。

    データによれば、従来のフルウェットはドライタイヤ基準で120%程度のラップタイムが使用の目安とされてきた。一方、ドライからインターへ切り替える目安は112%であり、両者の間に大きなギャップが存在していた。

    今年テストされた新ウェットは、ラップタイム基準で118%と、従来より2%の改善にとどまっている。ピレリはこれをさらに116〜115%にまで縮めることを目指しているという。

    「ミュールカーでのテストはドライタイヤ同様、限界がある」とイゾラは述べつつも、「新コンパウンドによってその目標に到達できると期待している」とした。

    一方で、2026年向けのドライタイヤについては早くも厳しい声が上がっており、メルセデスのジョージ・ラッセルは「現行より明らかに悪い」と評価している。ピレリにとっては、ウェットタイヤの改良がその信頼回復のカギとなりそうだ。

  • F1オーストリアGP 決勝 ピレリ総括「3種すべてのタイヤが役割果たした」

    F1オーストリアGP 決勝 ピレリ総括「3種すべてのタイヤが役割果たした」

    真夏の厳しい暑さに見舞われたF1オーストリアGPにおいて、ピレリが供給する3種類のドライタイヤ(C3~C5)は、それぞれの特性を発揮しながら全戦略に貢献した。

    70周を超える高温コンディションの中で、デグラデーションは金曜日のプラクティス時より高まったものの、レース展開においては予測通りの挙動を見せたとピレリは総括している。

    マクラーレン、25年ぶりのF1オーストリアGPで1-2フィニッシュ達成 ノリスが今季3勝目
    マクラーレンが25年ぶりにF1オーストリアGPで1-2フィニッシュを飾った。2000年にミカ・ハッキネンとデビッド・クルサードが達成して以来の快挙であり、今回はランド・ノリスが優勝、僚友のオスカー・ピアストリが僅差の2位で続いた。3位にはフェラーリのシャルル・ルクレールが入り、表彰台を締めくくった。

    この勝利で、マクラーレンは通算197勝目、今季8勝目、そしてレッドブル・リンクでは通算7勝目となった。特にノリスにとってこのスピールベルクは好相性のサーキットであり、これまでに1勝、1ポール、3回の表彰台、9戦で108ポイントを獲得している。

    タイヤ戦略とレースの展開
    スタート時にはC4(ミディアム)とC5(ソフト)の両コンパウンドが使用され、ピエール・ガスリー、フランコ・コラピント、オリバー・ベアマン、アイザック・ハジャー、ニコ・ヒュルケンベルグの5人がC5を選択した。残る15台はC4でスタートしている。

    レースが進むにつれて、C3(ハード)も投入された。エステバン・オコンは2セットのC3を使用し、ミディアムスタートからの戦略を組み立てた。一方、ハースのオリバー・ベアマンはC3を2セット持ちながらも、最終スティントは再びミディアムを選んでフィニッシュした。

    ハジャー(レーシングブルズ)、ベアマン(ハース)、ランス・ストロール(アストンマーティン)の3人は全コンパウンド(C3/C4/C5)を使用。一方で、キック・ザウバーのヒュルケンベルグはC3を使わずにレースを終えた唯一のドライバーだった。

    なお、カルロス・サインツ(ウィリアムズ)がフォーメーションラップ中にグリッド上でストップしたため、レースは1周短縮された。最長スティントは、ハジャーがC3で記録した41周。C4ではフェルナンド・アロンソが33周を走りきり、いずれも1ストップ戦略でポイントを獲得した。

    オーストリアグランプリ

    ピレリ モータースポーツディレクター マリオ・イゾラのコメント
    「真夏の高温下での初レース週末となり、我々のタイヤは予選でも決勝でも期待通りのパフォーマンスを発揮した。レース中の路面温度は52〜55℃に達し、金曜フリー走行時と比べて15〜20℃高かったため、3種すべてのコンパウンドでデグラデーションは高くなったが、それでも許容範囲内だった。

    すべてのコンパウンドがレースにおいて重要な役割を果たした。序盤には5人のドライバーがC5を選び、ストロールは残り15周でC5を装着するという異なる戦略を採った。予想通り2ストップ戦略が最速だったが、1ストップ勢も競争力を示し、トップ10フィニッシュを果たしている。

    パフォーマンス面ではC3とC4が非常に近く、C5は序盤には有効だったが、7~8周目以降に明確な性能劣化が見られた。

    次戦の舞台はタイヤに厳しいシルバーストンだ。今回はこれまでより1段階ソフトな組み合わせ(C2/C3/C4)を持ち込み、これが戦略にどう影響するかを楽しみにしている。」

  • 2025年F1 オーストリアGP:レッドブル・リンク&タイヤ解説

    2025年F1 オーストリアGP:レッドブル・リンク&タイヤ解説

    2025年F1 オーストリアGPが、6月27日(金)~6月29日(日)の3日間にわたってレッドブル・リンクで開催される。公式タイヤサプライヤーのピレリが2025年のF1世界選手権 第11戦 オーストリアグランプリのタイヤについて解説した。

    F1はカナダを終え、再びヨーロッパへ。夏休み前までに6週間で4戦が予定される激動のヨーロッパラウンドが、今週末のF1オーストリアGPでスタートする。

    通常フォーマットに回帰した週末構成舞台はオーストリアの山岳地帯、シュピールベルクに位置するレッドブルリンク。レッドブルの所有するこのサーキットで、再び白熱のバトルが繰り広げられる。

    過去3年はスプリントフォーマットが採用されていたが、2025年は通常の週末形式に回帰。金曜に2回のフリー走行、土曜午前にFP3、夕方に予選、そして日曜に決勝というスケジュールで進行する。

    オーストリアグランプリ

    タイヤ選択と戦略の焦点
    ピレリが今大会に持ち込んだのは、C3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)という最も柔らかい3種の組み合わせ。これは前年と同様の選択だ。

    レッドブルリンクの路面は古く、摩耗は激しいものの、タイヤの寿命に直結するほどのものではない。コーナー数が少ないため横方向の負荷は小さいが、強めの加減速ポイントが多く、特にリアタイヤの熱管理が求められる。気温・路面温度が高くなりやすいこの時期、オーバーヒートのリスクは大きい。

    2024年のレースでは、大半のドライバーがミディアムタイヤでスタートし、2ストップ戦略が主流だった。ソフトタイヤ(C5)は終盤の一部ドライバーにのみ使用され、主にファステストラップ狙いだった。

    オーストリアGP

    レイアウトと気候変動の複雑さ
    レッドブルリンクは現在のF1カレンダー中、最もコーナー数が少なく(10)、ラップタイムも最短(2020年、バルテリ・ボッタスが記録した1分02秒939が最速)。

    高低差は63.5メートルでスパに次ぐ大きさ。第1セクターは上り勾配のストレート主体、第2セクターはターン3での急ブレーキングから下り区間へ続き、第3セクターは再び上りの後に高速2連コーナーが待ち受ける。3つのDRSゾーンにより、オーバーテイクのチャンスも豊富な、アクション満載のレースが期待される。

    2輪・4輪問わず開催頻度が高いサーキットのため、週末初日からラバーが乗っていることも多い。ただし、山間部特有の急変する天候には常に警戒が必要だ。

    2025年のF1世界選手権 オーストリアグランプリ

    タイヤの「ポロシティ(多孔性)」とブリスターのリスク
    F1タイヤは強烈な加減速や高温ストレスにより、表面に微細な空洞=ポロシティが生まれることがある。この状態が悪化すると、タイヤ内部でガスや蒸気が発生し、やがてブリスター(表面の気泡や穴)に進行。とくにラバーが乗っていない状態の路面、高温、多角的なドライビングスタイルではこの現象が顕著となる。

    2025年のF1世界選手権 オーストリアGP

    オーストリアGPの歴史と記録
    今年で第38回を迎えるF1オーストリアGP。F1としては通算40回目のシュタイアーマルクでの開催となる。初開催は1964年、現在のレッドブルリンクにほど近いツェルトヴェク空軍基地でのレースだった。

    1970年からはオーストリアリンク、1997年からA1リンクと名称を変え、2014年以降はレッドブルリンクとして定着。2020年と2021年にはコロナ対応で2連戦が行われ、「シュタイアーマルクGP」も開催された。

    最多勝はマックス・フェルスタッペンの5勝(オーストリアGP4勝+シュタイアーマルクGP1勝)。ポールポジション5回、表彰台8回と、すべての主要部門でトップに立つ。過去には計26人が勝利しており、そのうち11人はF1ワールドチャンピオン経験者だ。

    最多勝チームはメルセデスの7勝。オーストリアGP単体ではフェラーリ、マクラーレン、メルセデスが3勝ずつで並ぶが、2020年のシュタイアーマルクGPをルイス・ハミルトンが制したことで、メルセデスがトータル最多となっている。

    ポールポジションはフェラーリが8回で最多、表彰台数でも29回でトップに立つ。

    チャンピオン争いの行方にも影響
    レースの舞台、チーム戦略、そして変化に富む天候と、あらゆる要素が揃ったオーストリアGP。チャンピオン争いの行方にも大きな影響を及ぼす今週末の戦いから、目が離せない。

  • F1用C6タイヤにドライバー困惑 ピレリが戦略再考を示唆

    F1用C6タイヤにドライバー困惑 ピレリが戦略再考を示唆

    F1公式タイヤサプライヤーであるピレリはドライ用タイヤの選択肢を6種類に拡張したが、最も柔らかいコンパウンドであるC6の性能特性の一部については改善が必要だと認めている。特に、以前は最も柔らかかったC5に対するラップタイムの向上幅が課題となっている。

    「C6コンパウンドはしっかり仕事をしていると言える」と語るのは、ピレリのモータースポーツディレクター、マリオ・イゾラだ。「特にカナダでは、予選の結果は非常に良かったと僕は思っている」

    「C6はC5に非常によく似ているが、その挙動は異なっている。チームはC6を完全に理解するのに苦労している。C5の方がよく分かっていて、ドライバーにより自信を与えるんだ。ただ、C6の方が若干パフォーマンスは高い。C6のピーク性能をうまく引き出すことができればアドバンテージになるが、それが難しい時もある」

    C6導入の主な狙いは、使用される週末において“事実上の予選専用タイヤ”として機能させることだった。グランプリ本戦ではハードとミディアムが使われる想定である。C6とC5はもともとレンジ内で最も柔らかいタイヤだったことから、ピレリはこれによりチームが2ストップ戦略を選ぶ方向に誘導されると考えていた。というのも、昨年のC5はあまり長持ちしなかったからだ。

    しかし、ドライバーからの「タイヤが敏感すぎる」というフィードバックを受け、ピレリは今季のコンパウンドで熱による劣化(サーマル・デグラデーション)を抑える方向に改良した。その結果、ドライバーがより長く全力でプッシュできるようになったが、同時にチームがワンストップ戦略を選ぶ可能性も高くなった。

    そのため、いくつかのレースは退屈な展開となり、並行してC6の扱いが予想以上に難しいことも明らかになってきた。初めて投入された際には、いくつかのチームがC6のピーク性能を引き出せず、あるいはピークがすぐに過ぎて急激に性能が落ちるため、C5よりも速いとは感じられなかった。

    他のチームからは、C6の温度が上昇し、表面が動き始める段階でクルマを通じて得られるフィードバックに違和感があり、ドライバーが困惑していたという報告もあった。その結果、イモラや先週末のモントリオールの予選では、より馴染みのあるC5を選択したチームもあった。

    「カナダでは、予選でC5を使いたがるチームやドライバーもいた。C5の方が快適に感じるからだ」とイゾラは語った。「でもそれによって異なる状況が生まれた。そして同時に、チームはミディアムやハードをより多く持ち込んでいたんだ」

    「通常、予選でソフト(C6)しか使えない場合、チームはハード1セット+ミディアム2セット、あるいはハード2セット+ミディアム1セットの選択になる。これは、レースでハードとミディアムを使いたい場合、戦略の柔軟性を完全には確保できない」

    「ところがカナダでは、一部のチームが予選でミディアムを使ったことで、レースにミディアムを持ち込むことができた。その結果、戦略の幅が広がった」

    タイヤ F1

    つまり、C6は当初想定していた効果は発揮できていないものの、何らかの影響は与えており、それをピレリは“成果”と見なしている。しかしイゾラは、ピレリがシンガポールにC6を持ち込むという以前の方針を見直す可能性があることも認めた。

    「いつものように、シミュレーションをして、最も多くの戦略パターンが生まれ、かつレース全体の所要時間に大きな差が出ない選択を探すつもりだ」と彼は語った。

    「シンガポールに持ち込むという考えを今も維持しているかは分からない。シンガポールは時により攻撃的な展開になることがあるからね。まだ可能性はあるが、ラスベガスで使う案もある。あそこは非常に寒いから」

    C6がピレリの狙い通り、戦略の差を曖昧にし、ワンストップ戦略の魅力を下げる働きを果たすためには、より“扱いやすく”なる必要がある。そして何より、C5に対して単純にもっと速くなければならない。

    「将来的に僕が望んでいるのは、C5との差がもっと大きいC6だ」とイゾラは語る。「今はだいたい0.2秒差だが、少なくとも0.5秒は必要だ」

    「つまり、今のような劣化レベルを保ちながら、さらに攻撃的な構成にする必要がある。そうすれば戦略の多様性が生まれる。来年に向けては、その目標を持ったC6を開発中だ」

  • 2026年F1用インター&ウェットタイヤのピレリ開発テストをフェラーリが実施

    2026年F1用インター&ウェットタイヤのピレリ開発テストをフェラーリが実施

    ピレリは2026年シーズンに向けたインターミディエイトおよびウェットタイヤの最終開発テストを、フェラーリの本拠地であるフィオラノ・サーキットで2日間にわたって実施した。

    このテストは、スクーデリア・フェラーリHPとの協力のもとで行われ、各種プロトタイプタイヤのコンパウンドや構造の比較に焦点が当てられた。

    テストには、2026年のタイヤサイズに対応するようモディファイされたSF-25マシンが使用され、フェラーリのプライベートコースに設置された散水設備を活用して人工的に濡らされた路面で走行が行われた。

    初日には周冠宇がステアリングを握り、159周を走破。ドライタイヤでのベストタイムは59秒820、インターミディエイトでの最速ラップは1分07秒400だった。2日目はシャルル・ルクレールがテストを担当し、110周を走行。ドライタイヤでのベストは59秒210、インターミディエイトでは1分06秒180を記録した。

    タイヤ F1 フェラーリ

    ピレリのモータースポーツディレクター、マリオ・イゾラは次のようにコメントした。

    「まずは、ホスピタリティと技術的なサポート、そしてドライバーたちの献身的な取り組みに感謝したい。この2日間のテストは非常に有益で、来年のインターミディエイトおよびフルウェットタイヤのオン・トラック開発作業を締めくくることができた。今後はすべてのデータを慎重に分析し、最終仕様を確定する予定だ」

    「レインタイヤの開発は常に難しい。路面状態を一貫して再現するのが困難なうえに、気温も大きな要因となる。今年は特に、使用されたミュールカーが2026年の新レギュレーションに基づいたマシンの荷重や挙動を完全には再現できないため、さらに複雑だった。それでも可能な限りの成果を引き出すことができたと思っている。今回の結果により、来年は性能や作動ウインドウの面で現在よりも優れた製品を各チームに提供できるはずだ」

    2026年に向けた次のテストは、F1イギリスGP後の週にシルバーストンで行われる予定となっている。

  • F1カナダGP決勝 ピレリ総括:C6投入で広がった戦略の幅とハードの強さ

    F1カナダGP決勝 ピレリ総括:C6投入で広がった戦略の幅とハードの強さ

    ジョージ・ラッセルがF1カナダGPを制し、自身4勝目を挙げた。うち3勝はアメリカ大陸でのもので、初優勝は2022年ブラジル、前回は昨年のラスベガス、そしてその間に2024年オーストリアでも勝利を挙げている。今回はキャリア初となるハットトリック(優勝・ポールポジション・ファステストラップ)も達成した。メルセデスにとっては通算130勝目であり、カナダGPでは5勝目となった。さらにアンドレア・キミ・アントネッリが3位に入り、メルセデスにとって完璧な一日となった。イタリア人ドライバーの表彰台は、2009年日本GPでヤルノ・トゥルーリがトヨタで2位に入って以来のこととなる。

    マックス・フェルスタッペンは2位でフィニッシュし、モントリオールでの5回目の表彰台を獲得。今年初めてマクラーレン勢が表彰台を逃す結果となった。前回マクラーレンのドライバーが表彰台に上らなかったのは、昨年のラスベガスGPだった。

    レース当日の展開
    スターティンググリッドおよびピットレーン(ローソンとガスリーはピットレーンスタート)では、11人がミディアムタイヤ、9人がハードタイヤを選択し、陣営はほぼ半々に分かれた。今回使用された2種類の硬いコンパウンドがレースの主役で、終盤にセーフティカーが導入された際、ピアストリ、ストロール、ベアマン、ハジャーの4人がソフトタイヤを履いたが、レースはそのままセーフティカー先導で終了し、ソフトタイヤを使う機会はほとんどなかった。

    最も長いスティントを走ったのは、ハースのエステバン・オコンとウィリアムズのカルロス・サインツで、スタートからハードタイヤで57周を走破。一方、ミディアムタイヤではウィリアムズのアレクサンダー・アルボンが最多となる23周を走った。

    2025年のF1世界選手権 カナダグランプリ

    マリオ・イゾラ(ピレリ モータースポーツディレクター)
    「スタートからフィニッシュまで非常に接戦だった。セーフティカーが出た時点でトップ5の差がわずか7秒以内、しかも残り4周という状況だったことからも、それは明らかだ。

    戦略面では2ストップが最速で、ハードタイヤが最も効果的だった。1ストップ戦略も可能ではあったが、正直に言えば、それは主に後方スタートのドライバーにとっての選択肢であり、失うものが少ない立場にある彼らに適していた。一方で前方グリッドからスタートしたドライバーたちはすべてのスティントで攻め続けることができたため、タイヤの使用順やスティントの長さに違いが生まれ、非常に激しいレースとなった。最も有効だったのはハードコンパウンドだったが、金曜日のフリープラクティスではザウバーしか使っておらず、データが少ない中での評価だった。ミディアムは、初日より気温が上昇したこともあり、やや苦戦を強いられたようだ。

    今回が今シーズン3回目のC6投入となった。ここで収集したすべてのデータを詳細に分析し、夏休み後に再度投入するかどうかを検討していく。今回も明らかになったように、C6とC5の絶対的な性能差はごくわずかで、0.1~0.15秒程度にとどまっていた。ただし、昨日も述べたように、より広いコンパウンドの選択肢があったことで、チームにとっては戦略の自由度が高まったのは確かだ。仮にC6がなかった場合は、昨年と同じC3、C4、C5を持ち込むことになっていたはずで、その場合は1ストップ主体の単調なレースになっていた可能性が高い。

    最後に個人的なことを言えば、イタリア人ドライバーが表彰台に立ったことをとても嬉しく思う。ピレリが2011年にF1に復帰して以来、今回が初めてのことだ。そして興味深いのは、ピレリタイヤを装着したイタリア人ドライバーがトップ3に入ったのは、今回が初めてではなく、最後にそれが起きたのは1991年のモントリオールで、ステファノ・モデナがティレル・ホンダで2位に入ったときだった。そのレースの勝者はネルソン・ピケ(ベネトン・フォード)で、彼もまたピレリタイヤを使用していた。

    我々の作業は来週も続く。2026年用ウェットタイヤの重要な開発テストが控えており、フェラーリのフィオラノ・サーキットで行われる予定だ。6月19日に周冠宇が走行し、20日にはシャルル・ルクレールが担当する。」

  • 2025年F1 カナダGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2025年F1 カナダGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2025年F1 カナダGP 決勝で各ドライバーが使用可能な持ちタイヤ数と予想されるタイヤ戦略を公式タイヤサプライヤーのピレリが発表した。

    9戦続いたマックス・フェルスタッペンとマクラーレン勢による土曜の激闘に終止符を打つように、カナダでは新たな展開が訪れた。モントリオールで2年連続となるポールポジションを獲得したのは、ジョージ・ラッセルだった。

    ピレリは今季、コンパウンドの選択を1段階柔らかくしており、グレイニングの発生と複数回のピットストップが予想される。また、ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでは毎年のようにセーフティカーが登場する傾向がある。各チームはタイヤ選択で異なるアプローチを取っており、今日のレースは戦略バトルが熾烈を極めそうだ。

    2023年と昨年には何があったのか?
    昨年はマックス・フェルスタッペンが優勝し、ランド・ノリスとジョージ・ラッセルが続いた。しかし、そのレースでは2度のセーフティカー導入があり、レースの大部分がウェットコンディションで行われたため、2025年の参考にはなりにくい。

    ただし重要なのは、レース終盤の多くのドライバーがC4コンパウンド(今年でいうところのハードタイヤ)で最大28周の長いスティントをこなしたことだ。

    したがって、2023年のレースのほうが参考になる。あれから路面が再舗装されており、グレイニングは増える見込みだが、2025年のタイヤはよりグレイニングに強くなっているため、同じような条件下での戦いになると見られている。あの年はC3とC4を使った1ストップと2ストップ戦略が入り混じる展開だった。

    フェルスタッペンは、ミディアム→ハード→ミディアムという2ストップ戦略で勝利。1回目のピットストップはセーフティカー中の12周目、2回目は42周目に行った。3位のルイス・ハミルトンも同様だったが、2回目のストップは40周目だった。フェルナンド・アロンソはやや異なる戦略で、ミディアム→ハード→ハードの順で走って2位に入った。

    エステバン・オコン(8位)とランス・ストロール(9位)もアロンソと同じ戦略を採ったが、彼らの周囲は1ストップ勢が多かった。フェラーリ勢のシャルル・ルクレールとカルロス・サインツは、いずれもミディアム→ハードの1ストップで、ピットインはそれぞれ39周目と38周目だった。アレックス・アルボンはこのバージョンを変則的に用い、12周目のセーフティカー中に唯一のピットストップを行い、7位でフィニッシュした。

    セルジオ・ペレス(6位)とバルテリ・ボッタス(10位)は逆の戦略、ハード→ミディアムで走行。ペレスは37周目、ボッタスは36周目にピットインした。唯一ソフトタイヤを使ったドライバーはピエール・ガスリーで、ソフト→ハード→ハードという戦略を採り、10周目と33周目にタイヤ交換を行った。

    カナダGP F1

    今年の最速戦略は?
    ピレリが今年C6を持ち込んだ理由について、チーフエンジニアのシモーネ・ベッラは「C3、C4、C5では1ストップレースになると考えたから」と説明している。

    金曜の走行データに基づくシミュレーションでは、その狙いは成功しており、想定される主な戦略はすべて2ストップとなっている。最速と見られるのはミディアム→ハード→ハードの戦略で、1回目のピットインは15~21周目、2回目は39~45周目の間に行われる見込みだ。

    トップ10に向けた別の選択肢は?
    予選でミディアムタイヤが速かったことは、決勝戦略にも影響を与えている。フェラーリとマクラーレンはこのタイヤに懐疑的だったため、ミディアムの使用は1セットにとどめたが、他チームには柔軟性がある。

    「これはあまりあることではないが、フェルスタッペン、メルセデス、アストンマーティン、アルピーヌ、ウィリアムズはハードとミディアムを2セットずつ(アストンは3セット)持っている」と語るのは、ピレリのモータースポーツディレクター、マリオ・イゾラ。

    「各チームはレース中に戦略を変更する柔軟性を持っている」とし、最も有力な代替案としては、ミディアム→ハード→ミディアムのパターンを挙げている。この場合、1回目のピットインは18~24周目、2回目は43~49周目が想定される。

    カナダグランプリ

    ソフトタイヤについてはまだ触れていないが、ピレリの示す「3番目に速い戦略」はソフト→ハード→ハードだ。

    理論上はやや遅いが、1スティント目でロケットスタートを決めてアンダーカットを狙いたいドライバーには適しているかもしれない。今日は特にそれが有効だと見られている。2ストップが前提となっているが、カナダではグレイニングのリスクも高く、それにより第1スティントを早めに切り上げる必要が出てくる可能性がある。

    また、早い段階で赤旗が出た場合、2セットのハードタイヤで事実上の1ストップレースに持ち込む手もある。

    標準的なソフト→ハード→ハード戦略では、1回目のピットは9~13周目、2回目は36~42周目となる。

    今年のマクラーレンは通常、スティントを長く取りライバルを凌駕する戦略を好んでいるが、7番手スタートのランド・ノリスはもう少し派手な手を打とうとしているかもしれない。彼は決勝ペースで最速と見られており、波乱を起こす存在になり得る。

    カナダGP 2025年のF1世界選手権

    グリッド後方の戦略は?
    1ストップ戦略はここでは成立しそうにない――ただし、今年すでにこの予測が外れたこともある。カナダではタイヤ性能差があればオーバーテイクは比較的容易であり、1ストップ勢は2ストップ勢に呑み込まれる可能性が高い。

    スペイングランプリのように3ストップが再び登場する可能性は? ジル・ヴィルヌーヴのピットレーンは非常に短く、これにより3ストップも現実味を帯びる。P17スタートの地元ストロールのように、ミディアムタイヤを3セット持つドライバーに向いている戦略だ。

    そして天候は?
    カナダGPは例年、灼熱か豪雨になることが多いが、今年は…穏やかだ。雨の予報はなく、最高気温は24℃前後。絶好のレース日和である。

    注目すべきは、週末で最も暑い日になるという点だ。金曜のロングラン時と比べて、路面温度は約8℃高くなる見込みであり、これによってデグラデーションが増すなら、3ストップ戦略がより魅力的になる。
    2025年のF1世界選手権 カナダGP

  • F1カナダGP 予選 ピレリ総括:C5派とC6派が交錯したタイヤ戦略の攻防

    F1カナダGP 予選 ピレリ総括:C5派とC6派が交錯したタイヤ戦略の攻防

    ジョージ・ラッセルがF1カナダGPのポールポジションを獲得。昨年に続いて2年連続でモントリオール予選の最速ドライバーとなり、2024年と同様にフロントローにはマックス・フェルスタッペンが並ぶことになった。

    昨年は両者が1分12秒000の同タイムを記録し、ラッセルが先にタイムを出したことでポールを獲得したが、今年は明確な差がついた。ラッセルが記録した1分10秒899に対し、フェルスタッペンは1分11秒059と0.160秒届かなかった。

    今回のポールはラッセルにとってキャリア6回目で、今季初。メルセデスにとっては通算142回目、カナダGPでは6度目のポールポジションとなる。

    2列目にはマクラーレンのオスカー・ピアストリが1分11秒120で3番手、4番手にはメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリ(1分11秒391)がつけた。

    ポールポジション賞のプレゼンターを務めたのは、カナダの競泳スター、サマー・マッキントッシュ。2024年のパリ五輪で200mバタフライ、200m・400m個人メドレーで金メダル、400m自由形で銀メダルを獲得した。わずか数日前の6月8日から12日にかけて行われたカナダ代表選考会では、400m自由形、200m・400m個人メドレーで3つの世界記録を打ち立てている。

    土曜のトラック上の展開

    フリー走行3回目では、ほとんどのドライバーがソフトタイヤ(C6)を使用。フェルスタッペン、アントネッリ、ラッセル、ストロール、アロンソ、コラピント、ガスリー、ローソン、ハジャー、アルボン、サインツ、ヒュルケンベルグ、ボルトレトらがC6のみに集中して走行した。一方で、メルセデス、アストンマーティン、レーシングブルズの各チームは、ハードタイヤを1セット以上スクラブインしていた。

    予選では珍しくミディアムタイヤ(C5)が多用され、フェルスタッペン、アントネッリ、ラッセル、ストロール、アロンソ、コラピント、ガスリー、アルボンの8名がC5を用いてタイムアタックを実施。通常よりもソフトコンパウンドの使用頻度が下がる展開となった。

    カナダGP F1 2025年のF1世界選手権 カナダグランプリ

    マリオ・イゾラ(ピレリ・モータースポーツディレクター)のコメント

    「非常にスリリングな予選だった。現在のF1ではこれが”通常運転”になりつつある。Q3残り27秒の間に、4度もポールシッターが入れ替わったのだからね。

    ドライコンディションのセッションで、ミディアムタイヤでポールが決まるのは極めて珍しい。最後にそれが起きたのは2020年のポルトガルGPで、あのときはルイス・ハミルトンだった。今日は4人のドライバーがC5でQ3ベストを記録しているが、それも週末の流れを考えれば当然だろう。今朝の走行で多くのドライバーがソフト(C6)ばかり使っていたのは、それを最大限に引き出すためか、あるいは新品のミディアム(C5)を予選に温存するためだったはずだ。

    イモラで初登場した今年のコンパウンドレンジを見ていても、C6とC5の性能差は小さい。せいぜいコンマ1秒~コンマ15秒程度だし、C6はピーク性能を発揮するウインドウがかなり狭い。そのため、モントリオールのような縁石や壁が多く難しいトラックでは、信頼感のあるC5を選ぶドライバーが多くなる。実際、Q3では多くのベストラップに“イエローマーク(=C5)”が並んでいた。

    2025年のコンパウンド拡張は、タイヤ使用戦略の多様化という副次的な効果も生んでおり、それは明日の決勝にも反映されるだろう。

    戦略面では、やはり2ストップがもっとも現実的だ。ミディアムとハードの組み合わせが主流になるだろう。1ストップも理論的には可能だが、成功する見込みは低く、特にこのサーキットではオーバーテイクも可能なため、1ストップ戦略はあまり魅力的ではない。C6はスタート用には有効な選択肢になり得る。たとえば、新品のハードを2セット温存しているドライバーが、短い第1スティントを狙っている場合や、序盤のセーフティカーを期待しているようなケースだね。」

  • F1カナダGP初日 ピレリ総括:ラッセル最速 メルセデスPU勢が上位独占

    F1カナダGP初日 ピレリ総括:ラッセル最速 メルセデスPU勢が上位独占

    ジョージ・ラッセルがF1カナダGP初日の走行を最速で締めくくった。メルセデスのドライバーはフリー走行2回目で1分12秒123を記録し、2番手のランド・ノリス(マクラーレン)に0.028秒差をつけてトップに立った。メルセデスにとっては好調な1日で、アンドレア・キミ・アントネッリも1分12秒411で3番手に入り、上位を固めた。

    注目すべきは、タイムシートの上位7名が全員メルセデス製パワーユニットを搭載したマシンをドライブしていたことだ。

    一方で、シャルル・ルクレールとランス・ストロールはFP2でタイムを記録できなかった。フェラーリのルクレールはFP1でのクラッシュによるマシンのダメージにより午後のセッションを欠場。地元のストロールはターン7の出口でウォールに接触し、左フロントのサスペンションを破損した。

    オン・トラックの動向
    FP1では、レーシングブルズとザウバーの2チームだけがミディアムタイヤを使用し、他の16名のドライバーはソフトタイヤで走行した。FP2でもザウバー勢は再び注目を集め、ハードタイヤを投入。一方、アロンソはC6コンパウンドを2セットのみ使用した。

    カナダGP F1 2025年のF1世界選手権 カナダグランプリ

    ピレリ チーフエンジニア シモーネ・ベッラのコメント
    「今日は非常に興味深い初日となった。理由は複数ある。今回で3回目の投入となる新型C6コンパウンドについて、特性を改めて確認することができた。絶対的なパフォーマンスにおいては、C5と非常に近いが、それでも総合的に見ればC6のほうが速い。

    ただし、今日の最速タイムがミディアムで記録されたことは、それ自体はあまり重要ではない。なぜなら、2回のセッションを通して路面状況が大きく変化しており、セッション間でも進化が見られたからだ。

    さらにラッセルは通常とは異なるアプローチを採り、最初にソフト、次にミディアムを使用した。そのためミディアム走行時には、ラバーが乗ってグリップの上がった路面の恩恵を受けていた。

    また、比較的涼しい気温条件の中でも、C6は1周目以降も良好なパフォーマンスを回復できていた。これは注目すべき点だ。

    実際、気温は今後の評価において重要な要素となる。決勝が行われる日曜日は、今日よりも晴れて暖かくなる見込みで、気温は今日の午後よりも10度ほど高くなる可能性がある。なお、決勝は14時スタートだが、今日のFP2は17時に行われた。

    タイヤ運用に関しては、金曜日としては異例のアプローチを採ったチームもあった。ミディアム2セット+ソフト2セットを使ったチームもいれば、すでにハードを投入したチームもある。一方、多くのチームはC5を1セット、C6を3セット使用した。

    今日のグレイニングはかなり顕著だったが、今後改善されるはずだ。もっとも、決勝で完全に解消するかはまだ不明である。

    デグラデーションに関しては、ミディアムとハードがともに良好な性能を示していた。ただし、先述のとおり気温の上昇が影響を及ぼす可能性がある。

    戦略面においては、10チーム中9チームがハードを2セット温存していることから、これが決勝で主力タイヤになるのはほぼ確実だ。ソフトは出番がないだろう。

    明日のフリー走行3回目を経て、予選に向けてミディアムの使い方やソフトのマネジメントがどのように行われるのか注目だ。

    現時点でのシミュレーションでは、2ストップ戦略が最も速いとされており、今のところそれを覆す要素はない。ただし、より多くの情報が得られるのは明日の午後になる。」