カテゴリー: ピレリ

  • ピレリ 2026年F1タイヤ開発で直面する「30%の負荷差」シミュレーション問題

    ピレリ 2026年F1タイヤ開発で直面する「30%の負荷差」シミュレーション問題

    2026年のタイヤコンパウンド最終決定期限が迫る中、ピレリは新型マシンにおける空力負荷の推定値がチームごとに大きく食い違っていることを明らかにした。

    「ドライバーに2026年マシンをシミュレーターで『走らせてすらいない』」と語るチームもあるなど、新レギュレーション下の開発はまるで大規模な思考実験の様相を呈している。

    マシンはより細く軽くなり、アクティブエアロダイナミクスや内燃機関と電動システムの出力比率50:50といった大幅な変更が導入されるため、決定的なシミュレーションモデルが出来上がるまでには時間を要している。

    チームはコンセプトやシミュレーションの精度を数カ月かけて詰めることができるが、タイヤサプライヤーのピレリはより早い締め切りに直面している。最初のデッドラインは9月1日(月)で、この日にフロント25mm、リア30mm細くなる新タイヤの構造を各チームに提示しなければならない。しかしピレリによれば、チームから送られてくるシミュレーターデータは未成熟で、FIAが定める目標値とはしばしば大きな差があるという。その差は最大で30%に達する。

    「負荷に20〜30%の差があると、どれが正しいのか自問することになる」とピレリのチーフエンジニア、シモーネ・ベッラはオランダGP開幕前に英オートスポーツ誌を含むメディアに語った。

    「現時点では当然、最悪のシナリオを想定して対応しなければならない。そうすればどんな負荷にも備えられるからだ。そのうえでシーズン中に確認し、適切な評価をしていくことになる」

    フォーミュラF1カー F1 タイヤ

    タイヤはシーズン前にホモロゲーションされるため、ピレリは一度で正しく仕上げなければならない。さらにシーズン中の開発で負荷が増える可能性にも耐えられる必要がある。2023年にも例があるようにシーズン中の変更は可能だが、F1コミッションでの全会一致、あるいは安全性を理由にFIAが承認する必要がある。実際にはチーム間政治の影響で全会一致は困難なため、安全性を理由とする後者の可能性の方が高い。

    一方、ザウバーのスポーティングディレクター、イニャキ・ルエダは金曜日に、ドライバーをまだ2026年マシンのシミュレーションに「触れさせていない」理由として、ロジスティクスと精度を挙げた。ドライバーが2戦先のためにシミュレーターに入る日程がある場合、2026年用の走行はその時間を奪ってしまう。また彼の言葉によれば、2026年マシンは依然として「大きな速度で」開発中であり、現時点の姿を見せても実車と大きく異なる恐れがあるという。

    「ドライバーをC46(2026年型)に触れさせる日程は把握している」とルエダは述べた。「だが、見せる車が実際に走るものとはまだ大きく異なる恐れがあるので、あまりに早くやりたくはない」

    シミュレーションは10月末から11月初めまで未成熟な状態が続く見込みで、これは12月15日の最終期限(コンパウンド選定)の達成を難しくしている。

    不確実性の背景には、新レギュレーションによる大規模な変化がある。各チームは提示された課題に対して大きく異なる解法を模索しているようだ。

    空力設定の違いに加えて大きく影響する要素のひとつがブレーキローターのサイズだ。現行ではおおむね共通しているが、後輪ディスクを小さくし、エネルギー回生をより多くブレーキに利用しようとするチームもあるとされる。これは重量だけでなく放熱特性にも影響を及ぼし、タイヤ温度に直結する。

    「来年はそうした点でも異なるアプローチが見られるだろう」とベッラは語った。

    「我々はまた、タイヤがどのような温度域になるのかを理解するためにチームと情報交換をしている。ミュールカーでのテストはあまり参考にならない。来年はホイールアセンブリが完全に変わるからだ。

    だが、各チームが前後の温度管理において多様な手法を試みることになるのは間違いないと思う。温度に関しても負荷に関しても、シミュレーションでは収束が見られない。だからこそ、誰が現実に近くて、誰がそうでないのかを理解する必要がある」

  • F1オランダGP ピレリ決勝総括「C2ハードがレースの鍵を握った」

    F1オランダGP ピレリ決勝総括「C2ハードがレースの鍵を握った」

    2025年F1オランダGPは波乱に満ちた展開となり、最後はオスカー・ピアストリが勝利を収めた。ポールポジションからスタートした彼はファステストラップも記録し、スタートからフィニッシュまで首位を守り切り、自身初のグランドスラムを達成した。オーストラリア人ドライバーにとって通算9勝目であり、マネージャーでもある同胞マーク・ウェバー、そして今日リタイアを余儀なくされたチームメイトのランド・ノリスに並んだ。マクラーレンにとっては通算201勝目、ザントフォールトでの5勝目となった。

    マックス・フェルスタッペンは2位に入り、カナダGP以来となる表彰台を獲得した。レッドブルのドライバーにとって、ザントフォールトでは5戦すべてで表彰台に上がっており、通算で3勝と2回の2位を記録している。3位にはレーシングブルズのアイザック・ハジャーが入り、自身初の表彰台を手にした。20歳11カ月3日での快挙は、フランス人最年少、全体では5番目の若さでの表彰台となった。イタリアのチームにとっても、2021年アゼルバイジャンGPでピエール・ガスリーが3位に入って以来となる表彰台だった。

    決勝での模様
    スタート時点から全3種類のスリックタイヤが使われた。オープニングスティントでは14人がミディアムを選択し、4人がソフト、2人がハードを装着した。

    C2コンパウンドは最多周回をカバーし、全走行周回のほぼ50%(658周、48.28%)を占めた。次いでミディアム(399周、29.27%)、ソフト(306周、22.45%)が続いた。最長スティントはハースのベアマンがハードで53周を走破。フェルスタッペンはミディアムで最長の30周、ローソンはソフトで25周を走った。

    オランダグランプリ2025年のF1世界選手権

    マリオ・イゾラ(ピレリ・モータースポーツディレクター)
    「事前の予想に反して、このグランプリは最後まで予測不可能な展開となり、数多くのクラッシュやリタイアによるニュートラル化が続いた。ピアストリが勝てたのは、優れたマシンを持っていただけでなく、特に3度のセーフティカー後のリスタートなど、すべての重要な局面を完璧にマネジメントしたからだ。

    タイヤに関しては、昨年よりも柔らかいドライ用コンパウンドを持ち込んだにもかかわらず、3種類すべてがレースで競争力を発揮できたことが最もポジティブな点だった。周回数の分布(上記の通り)を見てもそれは明らかだ。ハードは大半の距離を担い、非常に長いスティントでも良好なパフォーマンスを発揮した。例えばハースの2台は、C2を1セットでレースの3分の2以上を走破した。このコンパウンドはフリー走行3回で見せた挙動よりも決勝で良く働き、リスタート直後からドライバーが全力でプッシュできた。マクラーレンやアストンマーティンのようにレース用に両セットを温存していたチームは、その恩恵を受けることができた。ミディアムとソフトに関してはパフォーマンスがほぼ同等であり、特にソフトにおいてそれは重要な意味を持つ。

    次戦は我々のホームグランプリであるモンツァに移り、今日到達した節目、すなわちF1における500戦目の参戦をファンと共に祝うことになる。我々はモータースポーツの最高峰カテゴリーで最多参戦を果たしたタイヤサプライヤーとなった。この成果は1950年代からピレリで働いてきた多くの人々の情熱、専門性、そして献身の賜物であり、大いなる誇りだ。モンツァからはまた新しいカウントが始まる」

  • F1オランダGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    F1オランダGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2025年F1 オランダGP 決勝で各ドライバーが使用可能な持ちタイヤ数と予想されるタイヤ戦略を公式タイヤサプライヤーのピレリが発表した。

    マクラーレンMCL39は万能型マシンだが中速コーナーを特に得意としており、そうしたレイアウトが多いザントフォールトでその強みを発揮した。予選ではオスカー・ピアストリがランド・ノリスを抑えてポールポジションを獲得し、パパイヤカラーのマシンがフロントローを独占した。

    その後方では「ストロープワッフル戦線」。マックス・フェルスタッペンが3番手につけ、アイザック・ハジャーが見事な走りで並び、2列目を獲得した。以下、ジョージ・ラッセルとフェラーリ勢が続く。

    決勝では異なるタイヤ戦略が入り乱れ、気まぐれな天候も加わって展開を左右しそうだ。ここで、スタート時に考えられる戦術オプションを見ていこう。

    昨年はどうだった?
    2024年のF1オランダGPは、驚くほどシンプルなレースとなった。セーフティカーも赤旗もなく、全車が完走。ランド・ノリスが1ストップのミディアム→ハード戦略で優勝し、トップ6も全員同じ戦略を採用した。

    ノリスは72周のうち28周目にピットインし、27周目に入った2位マックス・フェルスタッペンをカバー。興味深かったのは優勝を決めたオーバーテイクだった。ポールスタートのノリスはT1でフェルスタッペンに先行されたが、18周目に同じコーナーで簡単に抜き返した。ザントフォールトは狭くツイスティなサーキットでオーバーテイク困難との評判だが、2021年にF1が復帰した直後ほど極端ではない。

    昨年は全3種類のコンパウンドが使用され、7位ジョージ・ラッセルはミディアム→ハード→ソフトの2ストップで25周目と54周目にピットイン。同僚ルイス・ハミルトンもソフト→ハード→ソフトの2ストップで23周目と48周目にストップし、ポイントを獲得した。アレックス・アルボンはミディアム→ハード→ミディアムを試み、12周目と54周目にピットイン。ケビン・マグヌッセンは唯一ハードでスタートし、40周目にミディアムへ交換する戦略で18位に終わった。

    今年の最速戦略は?
    昨年の戦略は今年も通用するのか。ピレリは2025年、多くのサーキットと同様にタイヤ配分を1段階ソフト寄りに設定した。そのため1ストップは難しくなるが、2025年のタイヤは若干タフになっている。

    最速は依然としてミディアム→ハードの1ストップと見られるが、今年はミディアムにより長い走行が求められる。理想のピットウィンドウは28〜34周目だ。

    オランダGP F1

    トップ10向けの別オプションは?
    つまり、2台目のマクラーレン向けの別戦略も考えられる。フロントローの2人が順調にスタートすれば、後ろにつけた方があえて別の道を選ぶ展開も想像できる。

    今年は昨年より2ストップが有力だ。理由はタイヤだけでなく、ピットレーン速度制限が60km/hから80km/hへ引き上げられ、ロスタイムが小さくなったためだ。

    金曜のプラクティスではC4ソフトが意外に長く持つことが確認され、多くのチームがフリー走行3回目で4-1-2のタイヤ配分をやめ、5-1-1(ソフト5セット、ミディアム1、ハード1)で予選に臨んだ。フェルスタッペンは決勝用に新品のC4を温存している。

    そのソフトを活かすのに最適なのはスタートだ。そこでのグリップ差は大きい。ソフト→ハード→ミディアムの2ストップは有効で、最初のスティントは13〜19周、その後45〜51周目に2回目のピットが想定される。

    また、マクラーレンとアストンマーティンはハードを2セット残しており、ソフト→ハード→ハードやミディアム→ハード→ハードといった戦略も可能だ。シミュレーションでは後者の方が速く、ドライバーが積極的に攻めやすい。ピットウィンドウは18〜24周目と43〜49周目。これは戦略というより保険だが、赤旗やセーフティカーが出やすいザントフォールトでは悪くない選択肢だ。

    オランダグランプリ

    グリッド後方の戦略は?
    昨年、マグヌッセンが試した逆張りのハード→ミディアムは不発に終わったが、あの時はレースがノートラブルで終わったという異例の状況だった。

    この戦略のピットウィンドウは38〜44周目。ミディアムスタート勢や2ストッパーがピットに入った際にトラックポジションを得て、天候やセーフティカーに恵まれることを期待するしかない。

    いずれにせよ今年の1ストップは安泰ではなく、ソフトをスティントに組み込める可能性がレースに柔軟性をもたらす。ピレリのモータースポーツディレクター、マリオ・イゾラはこう語る。

    「ソフトコンパウンドをレースのどこかで使える可能性があるのは興味深い。もし1ストップを計画していてスティントが十分に長く走れない場合や、何らかの理由で余分なスティントが必要になった場合、ハード1セットとミディアム1セットしかなくても最後にソフトを使うことができる」

    2025年のF1世界選手権 オランダGP

    天気はどうなる?
    週初めの予報は陰鬱だったが、結果は「当たりつつ外れ」だった。確かに毎日激しい雨は降ったが、F1のセッション中は避けられてきた。セッション直前や直後に雨が降り、巨大な積乱雲がトラックに迫っても結局北のフリースラント諸島へそれていった。

    この幸運は続くのか。決勝の予報も金曜・土曜と同様で、雨は降るがタイミングは不明。午前中に降って路面がリセットされる可能性が高く、レース中も40%の降水確率。降れば大雨になる可能性もある。

    9チームにとっては波乱を望む状況だろう。マクラーレンのどちらかも例外ではない。ただ、どちらが挑むかは1周目の結果次第だ。

  • F1オランダGP ピレリ予選総括「2ストップは非現実的、1ストップ勝負へ」

    F1オランダGP ピレリ予選総括「2ストップは非現実的、1ストップ勝負へ」

    2025年F1オランダGP予選は、オスカー・ピアストリが僚友ランド・ノリスをわずか0.012秒差で下しポールポジションを獲得。マクラーレンがフロントローを独占し、3番手にレッドブルのマックス・フェルスタッペン、4番手にはレーシングブルズのアイザック・ハジャーが自己最高位を記録した。全20台が1秒以内に収まる接戦となり、決勝は混戦必至の展開が予想される。

    ピレリのマリオ・イゾラは「2ストップは非現実的で、多くのチームが1ストップを選択するだろう」と分析。

    定石はミディアムでスタートし、ハードで走り切るプランで、雨やセーフティカーの可能性が勝負を大きく左右する見通しだ。ピットレーン速度制限の緩和によってロスタイムは短縮されるものの、トラックポジションの重要性が勝るため、戦略の柔軟性と判断力が決勝の鍵を握る。

    3回のフリープラクティス、そして予選Q1・Q2すべてで最速を記録したランド・ノリス。しかしQ3で僚友オスカー・ピアストリに僅か0.012秒(1分08秒662対1分08秒674、わずか74センチメートル差)で逆転され、ポールポジションを逃した。チャンピオンシップリーダーのピアストリにとってこれが通算5回目のポールで、いずれも今季のもの。マクラーレンにとっては通算173回目のポールであり、ザントフォールトでは3回目となった。

    2列目にはホンダPU搭載車が並び、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が1分08秒925で3番手、レーシングブルズのアイザック・ハジャーが1分09秒208でキャリア最高の4番手を獲得した。

    ピアストリに贈られたピレリ・ポールポジションアワードのプレゼンターはフリオ・クルス。アルゼンチン出身の元サッカー選手で、2003年と2009年にインテルでリーグ制覇を含むタイトルを複数獲得し、翌年ラツィオ在籍時に現役を引退した。「エル・ハルディネーロ(庭師)」の愛称で知られる彼は、授賞式でインテルとピレリの30年のパートナーシップを記念した特別仕様キャップを着用。このキャップは提携開始年にちなみ1995個のみ製作された限定品だ。

    オランダGP F1 2025年のF1世界選手権

    トラック上の一日
    FP3では6名のドライバーがハードタイヤを使用し、コラピントとガスリー(アルピーヌ)、オコンとベアマン(ハース)、ヒュルケンベルグとボルトレト(ザウバー)が走行。マクラーレンとフェラーリのドライバーはC2を1周のみスクラビングした。予選では全車がソフトタイヤを使用。C4は最初のアタックから最大性能を発揮し、2回目で同等のタイムを出せたのは、セッション中の路面進化によるものだった。

    マリオ・イゾラ(ピレリ・モータースポーツディレクター)
    「ここザントフォールトはオーバーテイクが非常に難しいサーキットであり、予選結果がレースの行方を決める上でいつも以上に重要になる。マクラーレン勢は他より優位に立っているようだが、その2人の差はわずか0.012秒。さらに残り18人が同一秒以内に収まっており、接戦かつ予測不能なレース展開が期待できる。天候の変化やセーフティカーの可能性も加われば、要素は一層複雑になるだろう。

    シミュレーション上は2ストップがわずかに有利だが、実際にはオープニングラップでのポジションが極めて重要なため、多くのチームは1ストップを狙うはずだ。我々はミディアムでスタートし、ハードで走り切る戦略が最も可能性が高いと考えている。2ストップを選ぶ場合は3種類すべてのコンパウンドを使うだろう。ハードを2セット残しているのはマクラーレンとアストンマーティンのみだ。

    また、ピットレーン速度制限が時速60kmから80kmに引き上げられたことで、ピットストップに要する時間は約22秒から19〜20秒に短縮される。とはいえ、それでも2ストップを積極的に選ぶほどの魅力にはならない。昨年もここザントフォールトではアンダーカットが非常に有効であることが確認されており、それも戦略を練る上で考慮すべき要素となる」

  • F1オランダGP ピレリ初日総括「戦略は1ストップも2ストップも開かれている」

    F1オランダGP ピレリ初日総括「戦略は1ストップも2ストップも開かれている」

    ピレリにとって特別な週末が幕を開けた。オランダGPは、同社にとってフォーミュラ1世界選手権における通算500回目のグランプリ参戦となる記念の舞台であり、他のどのタイヤサプライヤーも成し遂げていない記録だ。記念イベントの一環として、全ドライバーのマシンと全てのドライタイヤには特別なロゴが掲出されている。このロゴは、2月18日にロンドンで行われたF1創設75周年記念イベントで披露されたものである。

    初日のザントフォールトでは、複数のマシンがコースアウトしバリアにクラッシュする場面もあり、両セッションとも赤旗中断が発生した。ラップタイムに注目すると、ランド・ノリスが明確な速さを示し、FP1を1分10秒278、FP2を1分09秒890で最速。2回目のセッションでは、ノリスとチームメイトのオスカー・ピアストリ(1分09秒979)がそろって1分10秒の壁を突破したが、その間に割って入ったのはアストンマーティンのフェルナンド・アロンソで、1分09秒977を記録した。

    初日のトラック上の状況
    2回目のセッションでは雨の可能性があったものの、ウェットタイヤが使用されることはなかった。今大会で使用可能なハードタイヤ2セットのうち1セットを実際に投入したのは、延べ9人。FP1では角田裕毅が使用し、FP2ではシャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン、ジョージ・ラッセル、リアム・ローソン、アイザック・ハジャー、アレクサンダー・アルボン、カルロス・サインツが走行に使用した。レーシングブルズのフランス人ドライバー(ハジャー)はC2タイヤで1周も走行できず、走り始めてすぐにテクニカルトラブルでマシンを停めざるを得なかった。同様の事象はFP1のメルセデスのイタリア人ドライバー(アントネッリ)にも起き、序盤にグラベルへ飛び出した。

    2回目のセッションでは、アントネッリはソフトタイヤ(C4)に専念し、2セットを投入。この結果、残りの週末を通してハード2セット、ミディアム2セットを保持する唯一のドライバーとなった。他の10人は、ミディアム2セットとハード1セットという組み合わせを選んでおり、もちろん予選で使用されるソフトは別に残している。

    F1 オランダGP タイヤ

    シモーネ・ベラ(ピレリ チーフエンジニア)
    「非常に興味深い一日になった。2回のフリー走行は複数回の中断で制約を受けつつも、各チームは利用可能な時間を最大限に活用しようと努めていた。今日の最大の収穫は、3種類すべてのコンパウンドがレースにおいて役割を果たせそうだということだ。ハードは最も耐久性が高く摩耗も少なかったが、今日のような気温条件ではウォームアップやパフォーマンス面でやや不利になる可能性がある。ミディアムはパフォーマンスとデグラデーションのバランスが最も良好で、ソフトもいくつかのマシンではロングランで競争力を示した。C4は、C3からのステップとして我々が予想していた以上に大きなパフォーマンス向上をもたらし、しかも先に触れたようにロングランでも大きな問題はなかった」

    「トラックは、風で飛ばされた砂が走行ライン上から除去されるにつれて、セッションを通じて大きく改善された。セッション間の改善はそれほど顕著ではなかったが、その間に走ったサポートレースは1カテゴリーのみだったことも影響している。タイヤ使用に関しては、残り週末をミディアム2セットとハード1セットで臨むか、C3を重視するかでチームの戦略がほぼ半々に分かれた点が興味深い。これにより、3回目のフリー走行は特に注目されるだろう。戦略面では、これまで以上に1ストップと2ストップの選択肢が拮抗しており、ソフトが有効なオプションとなった今、その傾向は一層強まっている」

  • 2025年F1 オランダGP:ザントフォールト・サーキット&タイヤ解説

    2025年F1 オランダGP:ザントフォールト・サーキット&タイヤ解説

    2025年F1 オランダGPが、8月29日(金)~8月31日(日)の3日間にわたってザントフォールト・サーキットで開催される。公式タイヤサプライヤーのピレリが2025年のF1世界選手権 第15戦 オランダグランプリのタイヤについて解説した。

    今週末のF1オランダGPは、ピレリにとって記念すべき節目となる。イタリアのタイヤメーカーがF1世界選手権に公式参戦してから通算500戦目を迎える。その物語は1950年5月13日、F1世界選手権初戦となったイギリスGP(シルバーストン)にさかのぼる。

    この日、ピレリタイヤを装着した4台のアルファロメオと4台のマセラティが出走し、優勝したジュゼッペ・ファリーナを筆頭に、ルイジ・ファジオーリ、レグ・パーネルのアルファ勢が表彰台を独占した。それ以来、ピレリは499戦に参戦しており、3つの時代に分けられる。1950年から1958年、1981年から1991年(ただし1987年と1988年を除く)、そして2011年以降はFIA F1世界選手権のグローバル・タイヤ・パートナーとして現在に至っている。

    ザントフォールトでは記念イベントが行われ、翌週に開催されるイタリアGP(モンツァ、ピレリがタイトルスポンサーを務める)でもセレモニーが続く。オランダGPでは、すべてのマシンとスリックタイヤに「500GP」の特別ロゴが入る。このロゴはF1創設75周年を祝った2月18日のロンドンイベントで初披露された。モンツァではF1、FIA、ピレリの首脳陣に加え、チーム関係者とドライバーも集合写真を撮影する予定だ。

    オランダグランプリ F1

    コンパウンド
    今年のオランダGPでは昨年よりも柔らかいコンパウンドが選択された。チームにはハード(C2)、ミディアム(C3)、ソフト(C4)が提供される。2024年はC1、C2、C3だった。FIAとプロモーターとの協議の結果、この変更は1ストップが主流となっていたレースを2ストップ戦略へ誘導する狙いがある。さらにFIAはピットレーンの速度制限を従来の60km/hから80km/hに引き上げ、ピット作業の時間短縮を実現。シミュレーションによれば1ストップが依然として速いが、ザントフォールトはオーバーテイクが難しく、直線が少ない狭いレイアウトのため、この傾向は続くと見られる。

    オランダGP F1

    2024年の例
    昨年は16台がミディアムでスタートし、ハミルトン、角田裕毅、ボッタスの3台がソフト、マグヌッセンはピットレーンからハードでスタートした。全体の4分の3が1ストップ戦略で、ハードに交換。マグヌッセンはミディアムに交換した。メルセデス勢は2ストップで、ハミルトンはC3を2セット、ラッセルは1セットを使用。角田裕毅、ボッタス、周冠宇は3種類すべてを使用し、アルボンはミディアム→ハード→ミディアムで走った。

    最長スティントはヒュルケンベルグがハードで57周。ピアストリはミディアムで33周を走破。ハミルトンはソフトで24周を走った。

    オランダGP F1 2025年のF1世界選手権

    ザントフォールト・サーキット
    コース全長は4.259km。北海沿岸の砂丘地帯を走り、首都アムステルダムから40km弱の場所にある。14の中低速コーナー(左4、右10)があり、第3コーナーと最終コーナーはそれぞれ19度、18度のバンクが施され、インディアナポリスよりも急勾配となっている。これによりタイヤには大きな縦方向・横方向の荷重がかかり、マシンとタイヤのセットアップ管理が重要になる。必要とされる空力ダウンフォースはブダペスト並みに高く、路面のグリップは低めで、海風による砂の堆積でさらに悪化する。北海に近いため天候は変わりやすく、夏の終わりには気温も20℃を下回ることが多い。

    オランダグランプリ 2025年のF1世界選手権

    キーワード:エネルギー密度
    エネルギー密度とは、物質の体積または質量に含まれるエネルギー量を指す。F1タイヤでは、走行中に路面との接触や変形・摩擦から発生するエネルギーが吸収・蓄積・放出されることを意味する。コーナー数が多い、あるいは速度が高いほど、タイヤにかかるエネルギーは増大し、熱に変換されゴムの温度を上昇させる。これがグリップ、デグラデーション、性能に直結する。適切なエネルギー密度管理は、温度を最適ウィンドウに保つために不可欠で、バランスが悪い場合はグレイニングやブリスターの原因にもなる。総エネルギー量としては鈴鹿、ルサイル、シルバーストン、スパの方が厳しいが、ザントフォールトは「エネルギー密度」が最も高い。これはコースが短く、コーナー数が多く、直線でタイヤを休める機会が少ないためだ。

    統計コーナー
    今回でF1世界選手権としてのオランダGPは35回目。1952年の初開催からすべてザントフォールトで行われてきた。現在のレイアウトは2021年に導入され、1985年以来の復活開催となった。

    ジム・クラークがロータスで4勝を挙げ最多勝。3勝のジャッキー・スチュワート、ニキ・ラウダ、マックス・フェルスタッペンが続く。ポールポジションはフェルスタッペンとルネ・アルヌーが3回で最多。表彰台はクラークとラウダが6回でトップ。チーム別ではフェラーリが8勝で最多、次いでロータス6勝、マクラーレン4勝。マクラーレンは昨年ノリスが優勝した。ポール数はロータス8回、フェラーリ7回。表彰台はフェラーリが26回、ロータスが16回となっている。

  • ピレリF1 「2025年にフルウェットは1度も使われないかもしれない」

    ピレリF1 「2025年にフルウェットは1度も使われないかもしれない」

    ピレリの代表マリオ・イゾラは、2025年の残りシーズンでフルウェットタイヤが1度も使われない可能性があると認めた。たとえ雨が降ってもだ。

    スペイン紙『Diario Sport』に語ったイゾラは、高い水しぶきを生むグラウンドエフェクトカーと、レースディレクターによる極端な安全優先の判断が重なり、現代のF1では従来の雨天レースが事実上なくなっていると説明した。

    「今シーズン、我々がウェットタイヤを使うことはないかもしれないと100%確信しているわけではない」と彼は語った。「水しぶきのレベルが非常に高く、それが視界を損なっているんだ」

    これらの発言は、一連の雨に影響されたグランプリ、特にベルギーでのレース後に出てきたものだ。そこでは視界不良が原因でアクシデント、セーフティカー、レースの遅延が発生している。イゾラは、シルバーストンのようなレースではインターミディエイトがうまく機能したものの、ドライバーたちは依然として視界に苦しんでいたと指摘した。

    「誰もドライバーに危険を冒させたくはない」と彼は説明した。

    ピレリ F1 タイヤ

    ピレリは依然としてインターミディエイトとフルウェットの両方を提供しているが、現行レギュレーション下では後者が二度と使われない可能性がある。実験的なホイールカバーなどで状況改善を試みたが、これまでのところ失敗に終わっている。

    一方で、2026年には新しいレギュレーションによりタイヤの小型化と空力の見直しが導入され、水しぶきの量が減るかもしれないと期待が残っている。

    「来年のマシンは変わる」とイゾラは述べた。「水しぶきも少しは減るかもしれない」

  • ピレリ 2025年F1残り10戦のタイヤ選定を発表 … 戦略多様化へ変更多数

    ピレリ 2025年F1残り10戦のタイヤ選定を発表 … 戦略多様化へ変更多数

    ピレリは2025年F1シーズンの残り10戦に向けたタイヤコンパウンドの選定を正式発表し、戦略の多様化とレース中のアクション増加を狙った複数の重要な変更を導入する。

    この発表はFIAおよびF1と連携のもと行われたもので、ザントフォールトやバクーでのソフト寄りの選定を含み、他の数戦でもラインアップが見直されている。年間を通して収集したデータ、シミュレーション解析、そして複数回のピットストップを促すという継続的な目標に基づき決定された。

    ■ ザントフォールト:2024年より1段階ソフトに
    オランダGPでは、昨年のC1〜C3(最もハードな組み合わせ)から一段階ソフトなC2(ハード)・C3(ミディアム)・C4(ソフト)が選定された。昨年は1ストップが主流だったが、今年は戦略にバリエーションが生まれる可能性がある。

    ■ バクー:新コンパウンドC6を再投入
    バクーでは、2025年から導入されたC6がソフトとして使用され、C4(ハード)・C5(ミディアム)との組み合わせとなる。2024年のC3〜C5構成よりソフト化されたことで、低デグラデーションかつセーフティカーの多いバクーにおいても戦略幅が広がる見込みだ。

    ■ オースティン&メキシコ:”段差”構成を再採用
    スパで試験的に導入された「段差」のある構成が、アメリカGPとメキシコGPでも導入される。具体的には、ミディアムとソフトは昨年と同じながら、ハードタイヤを1段階ハード側に変更。オースティンではC2→C1、メキシコではC3→C2へと見直される。

    ■ サンパウロ:C5除外で安定性重視
    2024年にC5がレースに適さなかったことを受け、ブラジルGPでは昨年同様のC2〜C4を使用し、超ソフトなC5は排除される。

    ■ その他の開催地は昨年と同様
    以下の5戦では2024年と同じコンパウンド構成が維持される:

    ・モンツァ
    ・シンガポール
    ・ラスベガス
    ・アブダビ
    ・カタール(高い横Gと摩耗に対応するため、C1〜C3の最もハードな組み合わせ)

    タイヤ F1

    ■ マリオ・イゾラのコメント
    ピレリのモータースポーツ部門責任者マリオ・イゾラは、次のように語った。

    「すべての残りレースに向けてコンパウンド選定を事前発表するのは、チームにとって最適な準備を可能にするためだ」

    「変更点はいずれもFIAとプロモーターと協議し、データとシミュレーション解析に基づいて決定された。常に一貫した目的があり、それは1ストップと2ストップ戦略のバランスを取り、エキサイティングで見応えのあるレースを提供することにある」

    「唯一の正解があるわけではないが、現実のレース状況を見つめなければ、確かな答えは得られない」

    C6コンパウンドは今年初めにデビューし、ピレリのドライ用スリックタイヤのラインアップは7種類に拡充。これにより、各サーキットの特性や戦略目標に応じた柔軟な選定が可能になっている。

  • F1ハンガリーGP ピレリ決勝総括:ノリスは「例外」 1ストップ成功の背景とは

    F1ハンガリーGP ピレリ決勝総括:ノリスは「例外」 1ストップ成功の背景とは

    ハンガロリンクで行われたF1第14戦ハンガリーGP決勝は、マクラーレンの1-2フィニッシュで幕を閉じた。

    これは4戦連続、今季6度目の1-2であり、通算では56回目となる。優勝を飾ったランド・ノリスは、マクラーレンにとって通算200勝目という金字塔を打ち立てた。F1史上チーム勝利数ではフェラーリ(248勝)に次ぐ2位となる。

    2位にはチームメイトのオスカー・ピアストリが続き、3位にはメルセデスのジョージ・ラッセルが入り、英語圏ドライバーによる“オール・アングロフォン”表彰台が完成した。ラッセルにとっては今季6度目、キャリア通算では21度目の表彰台である。

    ■ 決勝の展開とタイヤ戦略
    レースでは3種類すべてのコンパウンドが使用された。スターティンググリッドでは、大多数の15台がミディアムを選択。アレクサンダー・アルボン、カルロス・サインツ、ニコ・ヒュルケンベルグの3名はソフトを選び、ルイス・ハミルトンとピエール・ガスリーはハードでスタートした。

    戦略面では、10台が1ストップ、9台が2ストップを選択するという拮抗した内容に。最長スティントはエステバン・オコンで、ハードタイヤで55周を走破。また、ガブリエル・ボルトレトとリアム・ローソンはミディアムで最長の40周を記録。角田裕毅はソフトで17周を走行した。

    ハンガリーGP F1 2025年のF1世界選手権4戦連続1-2、戦略を分けたマクラーレン勢

    ■ ピレリ モータースポーツ部門ディレクター マリオ・イゾラのコメント
    「今季前半戦の締めくくりにふさわしい、非常に興味深いレースとなった。3人のドライバーが勝利を争い、最終的にノリスがチームメイトのピアストリを僅差で下して優勝した。両者は異なる戦略を採り、ノリスは1ストップ、ピアストリは2ストップだった。

    理論上は2ストップのほうが速かったが、金曜フリー走行に比べて気温が約10度低かったことにより、3種類すべてのコンパウンドで熱劣化が抑えられ、両戦略のギャップが幾分縮まった。

    正直なところ、我々としては2ストップが最適だったと感じている。実際、5位に入ったフェルナンド・アロンソが築いたラッセルとの差を見れば、それは明らかだろう。ただしノリスは例外で、オープニングラップ終了時に5番手に後退していたことから、リスクを取って1ストップを選んだ。

    ミディアムとハードの性能差が小さく、また各車のレースペースが拮抗していてオーバーテイクが難しかったこともあり、あの時点では常識にとらわれない戦略を試す価値があった。

    とはいえ、異なる戦略が優勝争いに絡んだことで、後半は特に戦術面で面白い展開となった。絶対的な見どころは少なかったかもしれないが、内容は十分に緊張感のあるものだった。

    我々にも夏休み前の最後の仕事が残っている。8月5日(火)と6日(水)の2日間、ここハンガロリンクで2026年仕様タイヤに向けたテストを実施する。主な目的は、9月1日までに公認を受ける必要がある構造の検証と、C3〜C5に相当する柔らかめのコンパウンド開発だ。

    テスト初日はマクラーレン(ノリス)とレーシングブルズ(ローソン)が協力。2日目はフェラーリがルクレールを起用し、アルピーヌは両日とも参加。初日はアロン、2日目はフランコ・コラピントとガスリーが走行予定だ」

    ハンガリーグランプリハンガリーGP F1

  • 2025年F1ハンガリーGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2025年F1ハンガリーGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2025年F1ハンガリーGP 決勝で各ドライバーが使用可能な持ちタイヤ数と予想されるタイヤ戦略を公式タイヤサプライヤーのピレリが発表した。

    2024年F1ハンガリーGPの予選はマクラーレン勢の一騎打ちになると見られていたが、最後の最後でシャルル・ルクレールが現れ、そのポールポジションを“かっさらった”。この表現以外に適切な言葉が見当たらないほどの鮮やかな逆転劇だった。フリー走行1回目から、予選トップはパパイヤカラー(マクラーレン)で塗られていたのだ。

    予選後のマクラーレン陣営は、落胆というよりも困惑した様子だった。彼らのマシンは一発の速さで群を抜いており、ロングランペースもそれに劣らないように見える。ただし、ここハンガロリンクではオーバーテイクが難しく、チーム内の戦略バトルには新たな“スカーレットの変数”が加わることになった。

    中団では、すでに戦略的な賭けが動き出している。いくつかのチームは日曜の決勝を犠牲にして土曜の順位取りに全振りし、トップチームは昨年の勝利戦略をあえて避け、ザウバーに至っては完全に独自路線を突き進んでいる。これだけでも興味深いのに、さらに天候による波乱のリスクも加わるというのだから、期待は高まるばかりだ。

    昨年はどうだったのか?
    2024年のハンガリーGPでは、トップ8台がC3(ハード)とC4(ミディアム)を使った2ストップ戦略を採用。優勝はオスカー・ピアストリで、F1初勝利をマーク。2位にはランド・ノリスが続き、マクラーレン勢が1-2フィニッシュを飾った。両者ともにミディアム→ハード→ミディアムの戦略を採っていた。

    3位のルイス・ハミルトンはミディアム→ハード→ハードで走り切った。

    このレースでは、スティントの最適長を狙うよりもアンダーカットの威力が際立った。たとえば、ハミルトンが16周目に最初のピットインを行うと、ノリスが17周目、ピアストリが18周目に続き、ポジションを維持した。

    2回目のピットストップ時には、マクラーレン勢はハミルトンよりも大きなギャップを築いており、ハミルトンが40周目に再度ピットに入っても、すぐには反応せず、ポジションとタイヤ差の両方を維持する展開に持ち込んだ。さらには、スマートなチームオーダーを使って、3年ぶりの1-2フィニッシュを確実なものにした。

    また、下位グリッドからスタートしたセルジオ・ペレスとジョージ・ラッセルはハードタイヤでスタートすることで挽回。ペレスは13番手スタートからハード→ミディアム→ミディアムの28周ロングスティントを活かして7位まで浮上。17番手スタートのラッセルもハード→ミディアム→ハードで8位に入り、33周目までピットインを引き延ばした。

    角田裕毅は9位フィニッシュで、唯一の1ストップ勢の中で最速だった。戦略はミディアム→ハードで、29周目に1度だけピットイン。10位のランス・ストロールは唯一ソフトタイヤを使った上位フィニッシャーで、ソフト→ミディアム→ハードの三段構え。オープニングの14周はやや短めで、その後45周目までロングスティントを走った。2025年においても、こうしたアプローチは注目に値する。

    ハンガリーGP F1

    では今年の最速戦略は?
    2025年の決勝で最速と見られているのは、ミディアム→ハード→ハードの2ストップ戦略。最初のピットウィンドウは16〜22周目、2回目は40〜46周目に設定されている。

    昨年成功したミディアム→ハード→ミディアムも候補となるが、この構成を実現できるのはガブリエル・ボルトレトとニコ・ヒュルケンベルグのみ。今大会、2セットのミディアムを温存しているのはザウバーだけで、マクラーレン、フェラーリ、メルセデス、フェルスタッペン、アルピーヌはすべてハードを2セット選択している。

    ピレリのチーフエンジニア、シモーネ・ベッラはこう語る。

    「今年はC3とC4のパフォーマンス差が小さく、レース中のマネジメント次第では差がコンマ2秒程度しかない。昨年はC4の性能差が大きく、しかも耐久性に劣っていたため、C4を選ぶ価値が高かった。今年はそのバランスが変わっている」

    ハンガリーグランプリ

    ハードを2セット持っている場合の代替プランは?
    ハードタイヤの耐久性を活かして、オープニングにソフトを履く戦略もある。C5ソフトはスタート直後のグリップに優れ、序盤でポジションを稼げる可能性がある。その後はすぐにアンダーカット合戦に突入する。ソフト→ハード→ハードの理想的なピットウィンドウは、8〜14周目と38〜44周目。

    ただし、アンダーカットの利点と同時に高いデグラデーション(摩耗)も考慮すべき点だ。過去のレースでは、若いタイヤで後方から迫るマシンのグリップが優位に働き、最終セクターでのトラクション差からターン1でのオーバーテイクが成立している。

    ハンガリーGP F1 ハンガリーグランプリ

    ハードもミディアムも2セットないチームは?
    アストンマーティン、レーシングブルズ、ハース、ウィリアムズ、そして角田裕毅は、予選に向けてソフトタイヤ5セットを最大投入したチームだ。アストンマーティンは2023年以来となる2台そろってのトップ6スタートを果たしており、この判断は一概に間違いとは言えない。ただし、決勝の選択肢は限定される。

    その中でもソフト→ミディアム→ハードの戦略には可能性がある。こちらも最初のピットは8〜14周目、その後は32〜38周目に2回目のストップを想定。

    一方、ロングショット(大穴)となるのは1ストップ戦略。ミディアム→ハードで、25〜31周目にピットイン。金曜のロングランデータでは2ストップに対して約10秒遅いとされているが、気温が下がる予報もある中で、再評価されつつある。

    もちろん、これらは“捨て身の賭け”というわけではない。1ストップ勢が不利になる展開なら、ソフトに履き替えてスプリントフィニッシュに持ち込むという“バリアント”も残されている。

    で、天気はどうなる?
    予選で混乱を招いた風は再来し、今回は雷雨、落雷、不規則な豪雨といった“仲間”を引き連れてくる見込みだ。午前中には雨が予想されており、午後には確率が下がるとはいえ、決勝スタート時点での降雨確率は依然として40%。完全に“コインの裏表”次第だ。

    とはいえ、確実なのは気温の低下であり、これが各チームのシミュレーションモデルを大きく狂わせる要因となる。

    ピレリのモータースポーツディレクター、マリオ・イゾラは次のように述べている。

    「今週末に見られたデグラデーションは、我々が予測していた水準と一致しており、理論上はミディアム→ハード→ハードが最速戦略だ。ただし、朝に雨が降って路面がリセットされれば……予測不能な状況が生まれる可能性もある」
    2025年のF1世界選手権 ハンガリーGP