カテゴリー: オリバー・ベアマン

  • ハースF1 ピット設備の差で入賞逃す 小松礼雄「チームの責任ではない」

    ハースF1 ピット設備の差で入賞逃す 小松礼雄「チームの責任ではない」

    ハースF1は、2026年F1スペインGPでエステバン・オコンが11位に終わり、あと一歩のところでポイント獲得を逃した。チーム代表の小松礼雄は、アウディとのピットストップ勝負で順位を失ったことについて、クルーのミスではなく「改善する必要があるのは設備」と説明した。

    マドリンクで行われた決勝で、オコンはQ1敗退から巻き返し、ポイント圏内を争うところまで浮上。

    最終的にはニコ・ヒュルケンベルグに次ぐ11位となり、10位との差でポイントを逃した。オコン自身も「今日はポイントに値した」と悔しさを示している。

    オコン「ポイントに値するレースだった」
    オコンはミディアムタイヤでスタートすると、序盤から順位を上げ、アウディ勢との直接対決に持ち込んだ。

    「がっかりしている。僕たちはもっといい結果に値したし、今日はポイントを獲得するに値するレースだった」

    「スタートでは2台のアウディを抜くことが目標で、それは達成できた。彼らを後ろに抑えるのは難しいと分かっていたけど、ピットストップまでは抑えることができた」

    しかし、そのピットストップがレースの分岐点となった。

    ヒュルケンベルグはオコンの後方からピットに入ったものの、タイヤ交換を終えてコースへ戻った時点では両者の順位が逆転。アウディがピット作業でハースを上回り、ヒュルケンベルグが前に出た。

    オコンは自分の停止位置などに改善できる部分がなかったか確認する必要があるとしながらも、アウディの作業が速かったことを認めた。

    「ピットストップでポジションを失った。自分にもっとできたことがあったのか、もっといい位置に止めることができたのか、それは確認しないといけない」

    「自分としてはまずまずのストップだったと思っていたけど、彼らの方がいいストップをしたんだと思う」

    その後、オコンはヒュルケンベルグを追ったものの、オーバーテイクが難しいマドリンクでは再逆転できず、11位でチェッカーを受けた。

    「僕たちはコース上ですべてを出し切ったし、みんなを誇りに思う。Q1敗退からポイントを争うところまで戻ってきた。それはポジティブだし、残りのレースに向けても励みになる」

    小松礼雄「チームの責任だとは思っていない」
    小松礼雄は、ポイントまであと1ポジションという結果に悔しさを隠さなかった。

    「11位で終わったことには、みんな本当にがっかりしています。ただ、11位でこれだけ悔しがれるポジションまで戻ってきたというのは、すごくいいことだと思います」

    小松礼雄はマシンの状態やドライバー、レース運営については高く評価している。

    「マシンは非常にうまく機能していましたし、ドライバーもいい仕事をしました。現場とリモートのオペレーションも非常に良かったです。今日は自分たちにできることをやったと思います」

    そのうえで、ヒュルケンベルグとのポジション争いを決定づけたピットストップについて言及した。

    「アウディとのピットストップで負けました。ただ、あれがチームの責任だとは思っていません」

    「彼らにもっといいチャンスを与えるために、改善しなければならないのは設備の方です」

    つまり小松礼雄は、タイヤ交換を担当したメカニックの作業そのものを問題視しているのではなく、ピットストップを支えるハードウェア側に改善の余地があるとの認識を示した。

    ハースF1チーム

    アウディはピット作業で10位をつかむ
    一方のアウディ側も、ヒュルケンベルグの10位はピットクルーの仕事によって得られたものだったと強調している。

    ヒュルケンベルグはソフトタイヤでスタートし、VSCを利用してハードタイヤへ交換。オコンの後方からピットに入ったが、素早い作業によって前に出ることに成功した。

    ヒュルケンベルグは「あれがおそらく僕たちのレースで最も重要な瞬間だった」と振り返り、必要なトラックポジションを得られたことが10位につながったと説明した。

    アウディのレーシングディレクターを務めるアラン・マクニッシュも「今日の1ポイントはピットのチームがもたらしたと言わなければならない」と評価。オコンの後ろでピットインしながら前で送り出した作業を称賛した。

    ハースにとっては、まさにその差がポイント獲得の明暗を分けたことになる。

    「巨大なチーム努力」マシンには手応え
    それでも小松礼雄は、F1スペインGPの週末そのものについては前向きな評価を下した。

    「本当にうれしく思っています。チーム全体による非常に大きな努力でした」

    特に、VF-26が決勝を通じて安定して機能したことを収穫に挙げた。

    「マシンには一貫性がありました。以前のような問題もありませんでした。そこから学んでいく必要があります」

    オリバー・ベアマンはPUコンポーネント交換によってピットレーンからスタートし、16位。VSCのタイミングにも恵まれず、ポイント争いには加われなかったが、小松礼雄は「オリーも強くなって戻ってくると確信しています」と語った。

    「だから、ポジティブな週末だったと思います」

    Q1敗退からオコンをポイント争いまで押し上げ、マシンの安定性にも手応えを得たハースF1。一方で、アウディとの直接対決ではピット設備の差が結果を左右した。中団争いでわずかな差が1ポイントを左右するなか、小松礼雄が指摘したピット設備の改善も、今後の競争力を高めるための課題となりそうだ。

  • オリバー・ベアマン F1スペインGP決勝はピットレーンスタート PU交換で裁定

    オリバー・ベアマン F1スペインGP決勝はピットレーンスタート PU交換で裁定

    オリバー・ベアマンは、2026年F1スペインGP決勝をピットレーンからスタートすることになった。ハースF1チームがパルクフェルメ下でFIA技術代表の承認を得ずに複数のパワーユニット(PU)エレメントを交換したことを受け、スチュワードが裁定を下した。

    FIAは9月13日、ドキュメント63としてベアマンのマシンに関する決定を発表。エナジーストア(ES)、コントロールエレクトロニクス(PU-CE)、MGU-Kがそれぞれ今季4基目に交換されたことに加え、予選Q3のチェッカーフラッグから2時間後に87号車がカバーされていなかったことも確認された。

    ベアマンはピットレーンから決勝スタート
    FIA技術代表からの報告を受けて審議を行ったスチュワードは、ハースF1チームが決勝前のパルクフェルメ期間中に、技術代表の承認を得ないままベアマンのPUエレメントを交換したと認定した。

    交換されたのは、4基目となるエナジーストア、4基目のコントロールエレクトロニクス、4基目のMGU-Kの3項目。FIAは、これらすべての交換がパルクフェルメ下で技術代表の承認を受けずに行われたとしている。

    さらに、ベアマンの87号車については、Q3のチェッカーフラッグから2時間が経過した時点でマシンにカバーが掛けられていなかったことも違反として挙げられた。

    スチュワードは、FIA F1レギュレーションのB8.2.2(B8.2.3との関連)、B3.4.3a、B3.5.3、B3.5.4への違反と判断。ベアマンに対し、F1スペインGP決勝をピットレーンからスタートするよう命じた。

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    PU交換によるグリッド降格は実質的に吸収
    今回のPUエレメント交換は、本来であればグリッド降格ペナルティの対象となる。しかし、パルクフェルメ規定違反によってすでにピットレーンスタートが科されるため、スチュワードは追加のグリッド降格を科しても意味がないと説明した。

    FIAの裁定文には「パワーユニットエレメントの交換は通常であればグリッド降格ペナルティを必要とするが、別の違反によってすでにピットレーンスタートが決まっているため、グリッド降格を科すことは冗長となる」と記されている。

    ベアマンは土曜日のFP3終盤にターン10でコントロールを失ってバリアにクラッシュ。マシンが大きなダメージを受けたため、ハースは予選までに修復することができず、ベアマンはQ1でタイムを記録していなかった。

    その後の修復作業に伴ってPUコンポーネントも交換されたが、その手続きがパルクフェルメ規定に抵触する形となった。

    これにより、ベアマンは初開催となるマドリンクでのF1スペインGP決勝をピットレーンから追い上げることになる。

  • オリバー・ベアマン F1スペインGPで40Gクラッシュ「マシンは速かっただけに痛い」

    オリバー・ベアマン F1スペインGPで40Gクラッシュ「マシンは速かっただけに痛い」

    オリバー・ベアマンは、2026年F1スペインGPのフリー走行3回目(FP3)で約40Gのクラッシュを喫し、マシンの損傷によって予選への出走を断念した。本人にけがはなかったものの、アップデートを投入したハースF1のマシンに強い手応えを感じていただけに「かなりつらい」と悔しさをあらわにした。

    ベアマンはFP3終盤、ターン10で突然リアのコントロールを失ってバリアに激突。大きな衝撃を受けたが、自力でマシンを降りた。

    その後、ハースF1は予選に向けて修復を試みたものの、損傷が激しく、作業を時間内に終えることができなかった。

    ターン10で突然リアを失い40Gの衝撃
    ベアマンはクラッシュについて、古くなったタイヤと突風が重なったことが原因だったと説明した。

    「残念です。今ここに立っているのは本当に悔しいですね。マシンは速かったです」

    「昨日は厳しい一日でしたけど、一晩でいくつか変更を加えて、FP3ではマシンのフィーリングが本当に良くなっていました。でも残念ながら、最後のラップのターン10でやられてしまいました。タイヤが少し古くなっていたことと、自分にとって良くない方向から突風が吹いたことが重なりました」

    データを確認したベアマンも、リアが突然動いたことを強調している。

    「予想していないところでリアを失いました。データも確認しましたけど、マシンのリアが突然動いて、そこに突風が来ていました」

    「残念です。マシンを失わないこと以外に何ができたのかは分かりません。何か明確に間違ったことをしたとは思っていなくて、運が悪かった部分もあります。ただ、走れなかったことが本当に残念です」

    クラッシュ時の衝撃は約40Gに達した。それでもベアマンにけがはなく、チーム代表の小松礼雄も安堵した。

    小松礼雄「40Gの大きなクラッシュだったが無事でよかった」
    チームメイトのエステバン・オコンも、まずベアマンの無事を喜んだ。

    「まず、オリーが無事だったことがうれしい。40Gのクラッシュだったからね。決して小さなものではなかったし、けがをしていてもおかしくなかった。でも、彼は大丈夫だった」

    小松礼雄も、今回のミスだけでベアマンへの評価が変わることはないと強調した。

    「FP3ではマシンに非常に満足していました。ドライバーたちも満足していて、パフォーマンスも出ていましたし、競争力があるように見えていました」

    「FP3の最後にオリーがクラッシュしてしまったのは残念です。ただ、彼は素晴らしいドライバーですし、素晴らしい人間です。我々が今もコンストラクターズ選手権7位にいるのは、いくつかのレースで彼が本当に結果を出してくれたからです。またそういうレースが来ることに疑いはありません」

    「残念ながら今回は競争力のあるマシンを持っている週末に起きてしまいました。でも、こういうことはあります。それがレースです。損傷が非常に大きく、予選までにマシンを準備することはできませんでした」

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    アップデートで改善「マシンが強かっただけに痛い」
    ハースF1にとって特に惜しまれるのは、スペインGPでアップデートパッケージが機能し、VF-26の競争力が上向いていたことだ。

    オコンは予選で13番手を獲得。日本GP以来となる好位置につけ、アップデートによってマシンの挙動が改善していることを確認した。

    「新しいパッケージは今週末かなり良くなっている。パーツ間の一貫性という問題を解決できたし、マシンは健全な状態で、本来のパフォーマンスを発揮していた。そこから最大限を引き出せたと思う」

    ベアマン自身も、クラッシュ前のFP3では同じ感触を得ていた。

    「こういうミスをするべきではありませんでした。マシンが強かっただけに、かなりつらいです。でも、明日はチャンスがあると思っています」

    「気持ちを切り替えて、ポジティブな部分を見なければなりません。マシンは速かったですし、明日はできる限り最高の結果を出すために全力を尽くします」

    決勝では同じアップデート仕様で出走へ
    FP3で受けたダメージは予選までに修復できないほど大きかったが、ベアマンは決勝にはアップデート仕様のマシンで出走できると説明している。

    「ダメージはありました。予選までに直すには時間が短すぎましたけど、決勝ではクラッシュする前と同じ仕様のマシンでスタートします」

    予選でタイムを記録できなかったベアマンにとって、F1スペインGP決勝は後方からの追い上げとなる。それでも、FP3までに確認されたVF-26の速さは希望材料だ。アップデートによって改善したマシンの競争力を生かし、失った予選のチャンスを決勝でどこまで取り戻せるかが焦点となる。

  • オリバー・ベアマン ハースF1の大型アップデートを絶賛「昼と夜ほど違う」

    オリバー・ベアマン ハースF1の大型アップデートを絶賛「昼と夜ほど違う」

    ハースF1チームのオリバー・ベアマンは、F1イタリアGPで投入された今季最大規模のアップデートについて、従来のVF-26とは「昼と夜ほど違う」と手応えを語った。

    ハースはモンツァに新しいシャシーとボディワークを含む大規模なアップデートを持ち込み、中団争いへの復帰を目指している。金曜日のフリー走行ではベアマンがFP2で8番手につけ、新パッケージは早くも一定の成果を示した。

    ハースが今季最大規模のアップデートをモンツァに投入
    ハースはシーズン序盤以降、中団グループの中で徐々に後退しており、今回のF1イタリアGPを巻き返しの重要な機会と位置づけている。

    ベアマンは5月のカナダGPを最後にポイントを獲得しておらず、チームメイトのエステバン・オコンも6月初旬のモナコGPを最後に入賞から遠ざかっている。

    チームとして6戦連続ノーポイントとなったことで、ハースはコンストラクターズランキング7位に後退。レーシングブルズとアルピーヌには大きく離され、後方のアウディにも5ポイント差まで迫られている。

    その状況を打開するため、ハースはモンツァで今季最大となるアップデートを投入。新しいシャシーとボディワークが用意され、ベアマンのマシンにはフェラーリのアップデート版パワーユニットも搭載された。

    金曜日の走行を終えたベアマンは、新パッケージから明確な改善を感じ取ったという。

    「いい一日だった。本当にポジティブだったよ。おそらく3月か4月以来、一番いい金曜日だったと思う。だから本当にうれしいし、チームにとって大きな後押しになる」

    FP2を8番手で終えたベアマンは、順位だけでなくVF-26そのもののフィーリングが大きく変わったと強調した。

    「もちろん、コース上でいい位置に入れて、いいトウも使えた。それを予選でも確実に得られるわけではない。でも、マシンの感触は昼と夜ほど違う。それくらい大きなステップを踏むことができた」

    「チームのみんなを本当に誇りに思う。このアップデートが前進になることを期待していたし、そうなる必要もあった。もちろん、それを疑っていたわけではないけど、チーム全員がしっかり仕事をやり遂げたことを本当に誇りに思うよ」

    ベアマン「マシンがより予測しやすくなった」
    ベアマンが特に評価したのは、VF-26の挙動が予測しやすくなった点だった。

    高速のモンツァでは、前戦オランダGPが行われたザントフォールトよりもダウンフォースを削った仕様で走行している。それにもかかわらず、高速コーナーでマシンの安定性が向上しているという。

    ベアマンは「マシンがより予測しやすくなった」と説明。これまでドライバーを苦しませてきた挙動が改善され、限界付近でも自信を持ってVF-26をドライブできるようになったことを示唆した。

    ハースにとっては、単にモンツァのロードラッグ仕様が機能しているだけでなく、大型アップデートによってマシンの基本的な特性そのものが改善されているのであれば大きな収穫となる。

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    オコンは18番手もハース「本来の速さを出せていない」
    一方、エステバン・オコンはFP2で18番手にとどまった。オコンのマシンにはベアマンとは異なり、フェラーリのアップデート版パワーユニットは搭載されていない。

    ただし、ハースの車両エンジニアリング責任者であるホーギー・ニッドは、両者の順位差がそのままマシンのパフォーマンス差を示しているわけではないと説明した。

    「今日はエステバンがベストラップを出すための最適な環境を用意できなかったと思う」

    「多くのマシンがトラフィックに苦しんでいた。FP1では他車に引っかかる場面があって少しまとまりを欠いていたし、FP2ではマシンの右リアにちょっとした問題が発生した」

    「そのため最初のランを走ることができず、セッションを通じて本来の形でペースを上げていくことができなかった。でも、そこは改善していく」

    ベアマンの8番手という結果にはトウの恩恵も含まれており、予選で同じ条件を再現できる保証はない。それでも、本人が「昼と夜ほど違う」と表現するほどVF-26のフィーリングが改善したことは、6戦連続ノーポイントと苦戦するハースにとって明るい材料だ。

    モンツァで投入した今季最大規模のアップデートが予選、そして決勝でも競争力につながるのか。中団争いへの復帰を目指すハースにとって、土曜日はその真価を測る重要な一日となる。

  • ハースF1 新フェラーリPUをベアマンだけに投入 小松礼雄「最も公平な方法」

    ハースF1 新フェラーリPUをベアマンだけに投入 小松礼雄「最も公平な方法」

    ハースF1は、2026年F1イタリアGPでフェラーリの最新パワーユニット「ADUO 2」をオリバー・ベアマン車だけに投入する。エステバン・オコンは従来仕様を使用するため、同じチームの2台で異なるPU仕様を走らせる異例の状況となる。

    フェラーリからカスタマーチームに供給された新仕様PUが現時点では各チーム1基に限られていることが理由だ。ハースF1代表の小松礼雄は、モンツァでは新PUの性能をガレージに眠らせておくべきではないと判断。

    そのうえで、最近のアップデートではオコンを優先してきた経緯から、今回はベアマンに新PUを割り当てることが「最も公平」だと説明した。

    ハースがモンツァで「1台だけ」新PUを使う理由
    フェラーリはイタリアGPで、ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities=追加開発・アップグレード機会)を利用した2度目のPUアップデート「ADUO 2」を投入する。フェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールは、ともに新仕様を使用する。

    一方、カスタマーチームに対して現時点で用意された新仕様は各チーム1基のみ。キャデラックはモンツァでは2台とも新PUを使用しないことを選択したが、ハースは違う判断を下した。

    モンツァは長い全開区間を持ち、PU性能がラップタイムに大きく影響するサーキットだ。新仕様を1基しか使えないとしても、その性能向上を活用する価値があるとハースは判断した。

    問題は、ベアマンとオコンのどちらに新PUを与えるかだった。

    小松礼雄によれば、その判断にはシーズン中のアップデート配分が関係している。夏休み前に導入したブレーキの改善やパワーステアリングの変更では、オコンが先に新しいパーツを使用していた。そのため今回はベアマンを優先することで、シーズンを通した公平性を保つことにした。

    前回は2基揃うまで待ったハース
    ハースにとって、1台だけに新仕様PUを投入することは本来望んでいた形ではない。

    フェラーリが6月末のF1オーストリアGPで最初のADUOアップデートを導入した際、ハースは新仕様が2基揃うまで投入を延期し、両ドライバーを同時に切り替えた。

    しかし今回は、モンツァというサーキットの特性が判断を変えた。

    「前回はそうしませんでした。十分な数のエンジンが揃うまで待って、2人のドライバーに同時に導入しました」と小松礼雄は説明した。

    「でも今回は、当然ながらモンツァはパワー感度が非常に高いサーキットです。性能があるのに、それをガレージに置いておくのはもったいないですよね。ただ、もちろん1基しかないというのは非常に難しい状況です」

    「少なくとも2基用意されていれば、その方がよかったです。ただ、フェラーリもエンジンからできる限りの性能を引き出すために全力で取り組んでいます」

    「先ほどお話しした理由から、当然彼らはモンツァで導入したいわけです。そうすると、規則を満たすために必要な最低限の数量しか用意できないということです」

    F1規則ではカスタマーへの「最低1基」で条件を満たす
    ハースが新PUを1基しか受け取っていない背景には、F1技術規則がある。

    新しいホモロゲーション仕様を導入する場合、PUメーカーは、その仕様を初めて使用する大会で「PUメーカーが供給する各F1チームに対して、新しいホモロゲーション仕様のパワーユニットを少なくとも1基」利用可能にすることが求められている。

    つまり、カスタマーチームにも新仕様を提供する義務はあるものの、最初の大会から2台分を揃える必要はない。

    少なくとも1基の供給を義務づけることで、ワークスチームだけが新仕様を使用し、カスタマーチームが性能面で取り残されることを防いでいる。一方ですべてのカスタマーチームに2基ずつ用意することを義務づければ、多数のチームにPUを供給するメーカーほど製造面の負担が増し、新仕様そのものの投入時期が遅れる可能性がある。

    フェラーリは規則上必要な新仕様をハースにも供給したが、その数が1基だったことで、チーム内でどちらのドライバーに割り当てるかを決める必要が生じた。

    小松礼雄「隠された意図はありません」
    こうした状況では、PUの性能差以上にチーム内の公平性が問題になり得る。

    小松礼雄は、オコンが新PUをすぐに使用できないことを喜ばないのは当然だと認めた。そのうえで、重要なのは判断基準を両ドライバーに明確に説明することだと強調した。

    「こういうことについては、透明性を保つしかありません」と小松礼雄は語った。

    「私たちは可能な限り透明で、公平な方法でチームを運営しています」

    「もちろん、毎回すべての人を満足させることはできません。ただ、私たちには隠された意図はありませんし、どちらか一方のドライバーを個人的に優遇するような考えもありません」

    「そういう関係をこれまで築いてきました。当然、エステバンはPU4をすぐに使えないことを喜んではいないでしょう。でも、これがチームにとってベストですし、私たちができる最も公平な方法です」

    今回ベアマンが選ばれたのは、単純にどちらかのドライバーを優遇した結果ではない。ブレーキやパワーステアリングなど直近の開発ではオコンが先行していたため、その履歴まで含めて機会を均等化した形だ。

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    オコンは旧PUで「かなりの損失」と予想
    では、ADUO 2による性能差はどれほどなのか。

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、大幅な勢力図の変化につながるようなアップデートではないとの姿勢を示している。

    「これは正しい方向への一歩だ。今年は小さなゲインの積み重ねが非常に重要だということは分かっている」とバスールは語った。

    一方、旧仕様を使うオコンは、自身が聞いている情報から、新旧PUの差を無視できないものと受け止めている。

    「僕は古いエンジンで走ることになる。だから、かなりの損失になると思う」とオコンは語った。

    フェラーリのアップグレード版PUには、より大型のターボが採用され、そのほかにも出力向上を目的とした重要な設計変更が施されているとみられている。

    フェラーリは2026年シーズン開幕時、レスポンスを重視して比較的小型のターボを選択していた。特にレーススタート時に、レスポンスに優れたPUが大きなアドバンテージをもたらすと考えていたためだ。

    しかし、その後スタート手順に変更が加えられたことで、ライバルが抱えていたターボラグによる不利が大幅に縮小した。その結果、小型ターボによってフェラーリが得ていた相対的なアドバンテージも失われた。

    そこで今回の新仕様では、より大型のターボを採用することで、全体的な出力を高める方向へと進んだと考えられている。

    その差が勢力図を一変させるほど大きなものになる可能性は低いものの、パワー感度の高いモンツァでは、旧仕様と新仕様の違いが通常以上に表れやすい。

    ハミルトン「必要な差のすべてではない」
    ハミルトンも、新PUだけでフェラーリのパフォーマンス不足がすべて解消されるわけではないと認めている。

    「少しでも助けになる」とハミルトンは語った。

    「ここまでのシーズンでは、前戦のような短いサーキットでさえ、レースでは1周あたり4コンマを失っていた。それはものすごく大きな差だし、今年はここまでずっとそれを抱えてきた」

    「これは前進だ。僕たちが必要としている差のすべてを埋めるものではないけど、そうなることは分かっていた。でも毎週末、少しずつ新しいものが投入されてマシンに加わっていくのを見るのはうれしい。僕たちがまだプッシュし続けていることが分かるし、勝つために必要なものを持っていると今も強く信じている」

    異なるPU仕様が生むモンツァでの比較
    ハースがモンツァで選んだのは、2基が揃うまで待つという意味での完全な平等ではなく、限られた1基をすぐに投入してチーム全体のパフォーマンスを最大化することだった。

    前回のADUOアップデートでは2台分が揃うまで待ったが、モンツァではPU性能の重要度が高い。新仕様によって得られる可能性のあるゲインを使わずに週末を戦うことは、ハースにとって得策ではないとの判断だ。

    一方で、新PUをベアマンだけに与えれば、オコンとの間に性能差が生じる可能性がある。オコン自身が「かなりの損失」と表現している以上、予選や決勝で両者の結果を単純に比較する際にはPU仕様の違いを考慮する必要がある。

    同時に、同じハースのマシンで新旧フェラーリPUが走ることで、ADUO 2が実戦でどれほどの効果をもたらすのかを確認できる貴重な機会にもなる。

    高速・高出力型のモンツァで新仕様がどこまでラップタイムに寄与するのか。ベアマンとオコンの「PU分割」は、ハースのチーム内事情だけでなく、フェラーリがADUO 2で実際にどれほどの性能向上を果たしたのかを測るうえでも注目すべきポイントとなる。

  • ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1チーム代表の小松礼雄は、オリバー・ベアマンの成長について「まだ限界が見えていない」と高く評価した。一方で、将来のF1ワールドチャンピオン候補と断言するには、勝利や表彰台を争えるマシンを手にしたときのパフォーマンスを見る必要があるとも慎重な姿勢を示している。

    21歳のベアマンは、ハースでフル参戦2年目を迎え、2025年メキシコGPで4位、今季中国GPで5位に入るなど存在感を高めてきた。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員でもあり、将来的にスクーデリア・フェラーリのF1シートを獲得することを目標に掲げている。

    「オリーの限界はまだ見えていない」小松礼雄が評価
    小松礼雄はPA通信の取材に対し、ベアマンの潜在能力について非常に高い評価を口にした。

    「僕には、オリーの限界がまだ見えていません」

    「現時点では制限のようなものは感じていないですね。ただ、彼はまだ一度も表彰台に上がっていませんから、ここで僕が『ワールドチャンピオンになれるドライバーです』と言うつもりはありません」

    小松礼雄が重要視しているのは、ベアマンがより競争力のあるマシンを手にしたときに、どこまで能力を引き出せるかという点だ。

    「次のレベルに進んだとき、例えば競争力のあるマシンを手にして、コンスタントに表彰台や優勝を争えるようになったときに初めて、本当にワールドチャンピオンになれるだけの力があるのかを見ることができます」

    「そこまで行けば、彼は間違いなく素晴らしい力を発揮してくれると思っています」

    21歳とは思えない成熟度「チームをどう鼓舞するか考えた」
    小松礼雄がベアマンを高く評価する理由は、純粋な速さだけではない。厳しい状況に直面した際の精神的な成熟度や、チーム全体を意識した振る舞いにも強い印象を受けているという。

    その象徴として挙げたのが、今季マイアミGPでの出来事だった。

    ハースはシーズン序盤に好調なスタートを切っていたが、マイアミではベアマンが自身に責任のない状況で苦しいレースを強いられ、さらにピットストップでもチーム側のミスが発生した。

    それでもベアマンは苛立ちを爆発させるのではなく、無線を通じてチームを励ます姿勢を見せた。

    「彼の性格について言えば、物事がうまくいっていないときでも、ただフラストレーションを溜めるようなことはありません」

    「21歳ですからね。もちろん大人ではありますけど、それでもまだ若いですし、チームの中でも最年少クラスです」

    「マイアミでは本当にフラストレーションの溜まるレースでした。彼自身には何の落ち度もなく、できることをすべてやっていました」

    「それなのに僕たちがピットストップでもミスをして、ずっと後ろに引っかかることになってしまった。彼には何もできなかったんです」

    それでもベアマンの頭に浮かんだのは、自身の不運を嘆くことではなかったという。

    「それでも彼はすぐに切り替えて、『じゃあ、このチームをどうやって鼓舞しよう?』という方向に考えたんです」

    「そこには素晴らしい状況認識と成熟度が表れていると思います」

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    ハースは「両手両足を縛られているような状態」
    一方、小松礼雄はベアマンを支えるハース自体が、ライバルと同じ条件で戦えているわけではないことも強調した。

    ハースは2016年にF1へ参戦して以来、グリッドで最も規模の小さいチームとして活動してきた。2026年シーズンも11チーム中7位につけているが、ジーン・ハースの所有するチームはF1のコストキャップ上限まで予算を使える状況にはなく、アップデート競争では大規模チームに後れを取らざるを得ない。

    2024年からチーム代表を務める小松礼雄は、現在のハースを「両手両足を後ろで縛られている」ような状態だと表現した。

    「僕のチームを見ると、本当に両手両足を後ろで縛られた状態で戦っているように感じます」

    「今シーズンの最初に、彼らがどうやってあれだけのマシンを作り上げ、信頼性とパフォーマンスを実現したのか、本当に説明できないくらいです」

    限られたリソースの中でも、ハースはシーズン序盤に高い競争力を示した。

    小松礼雄によれば、少なくともシャシー面では一時期レッドブル・レーシングを上回っていたという。

    「シャシーだけを見れば、シーズン序盤は僕たちの方がレッドブルより良かったです」

    しかし、豊富な開発力を持つトップチームとの差は、その後急速に表面化した。

    「ただ、やはりレッドブルはレッドブルです。4月頃に彼らがマシンへ投入したパフォーマンス向上の量は、とんでもないものでした」

    「そもそも僕たちは、あの位置にいられるような状況ではなかったんです」

    限られた予算と開発リソースの中でも存在感を示しているハースにとって、ベアマンの成長は今後の大きな武器となる。小松礼雄は現段階でタイトル候補という言葉を使うことには慎重だが、表彰台や優勝を争える環境を手にしたとき、ベアマンがさらに高いレベルへ到達する可能性には強い期待を寄せている。

  • オリバー・ベアマン ハミルトン復調に複雑「僕のF1での将来には理想的ではない」

    オリバー・ベアマン ハミルトン復調に複雑「僕のF1での将来には理想的ではない」

    オリバー・ベアマンは、ルイス・ハミルトンが2026年のF1で復調を遂げたことについて、将来的なフェラーリ昇格を目指す自身にとっては「理想的ではない」と認めた。一方で、21歳という年齢を考えれば焦る必要はなく、現在所属するハースで経験を積むことにも大きな価値があると考えている。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)出身のベアマンは、現在ハースでF1に参戦している。

    将来的なフェラーリのレギュラードライバー候補として以前から名前が挙がっているが、ハミルトンの復活によって、そのタイミングは遠のく可能性がある。

    ハミルトン復活を喜ぶ一方で「僕の将来には理想的ではない」
    ハミルトンは2025年、フェラーリ加入初年度に苦しいシーズンを過ごした。その状況から、ベアマンが早い段階で後任候補になるのではないかとの見方も強まっていた。

    しかし、2026年にF1のテクニカルレギュレーションが大きく変更されると、ハミルトンは競争力を取り戻した。バルセロナではフェラーリ加入後初となるグランプリ優勝を達成し、現在はアンドレア・キミ・アントネッリに次ぐドライバーズランキング2位につけている。

    ベアマンはF1公式ポッドキャスト『Beyond the Grid』で、ハミルトンの復活について次のように語った。

    「F1ファンとして、それに僕はルイスのファンでもあるから、彼が今のようなレベルで走っているのを見るのはすごくクールだ」

    「バルセロナで彼が表彰台の一番上に立つ姿を見られたのは、イギリスのF1にとってもかなり特別な瞬間だった。表彰台にはイギリス人が3人いて、僕たちがこれまで見てきたなかで最高のドライバーが1位だった。本当に特別なことだと思う」

    ただし、その活躍が自身のフェラーリ昇格という観点では歓迎すべき材料ばかりではないことも理解している。

    「もちろん、僕の将来という意味では理想的ではない。でも、僕はまだ若い。まだ21歳だし、それほど急いでいるわけじゃない」

    「当面ハースに残ることも、僕にとって悪いことではないと思っている。このチームで学べることはたくさんあるし、まだ達成できることもたくさんある」

    ベアマンにとって、ハースでの時間は単なるフェラーリ昇格までの待機期間ではない。F1ドライバーとして成長し、自身の価値を高める重要な過程でもある。

    2024年にフェラーリからF1デビュー
    ベアマンとフェラーリの関係は、育成ドライバーという枠だけにとどまらない。

    2024年F1サウジアラビアGPでは、虫垂炎によって欠場したカルロス・サインツJr.の代役として急きょフェラーリのマシンをドライブ。これがベアマンにとってF1デビューとなった。

    準備時間がほとんどない状況での参戦だったが、ベアマンはその機会を生かし、将来のフェラーリ候補として存在感を高めた。その後ハースでフル参戦を開始し、フェラーリとの関係を維持しながらF1で経験を積んでいる。

    現状では、2027年もハースで戦う可能性が高いとみられている。ハミルトンが2026年に復調していることを考えれば、フェラーリが短期的にドライバーラインアップを変更する必要性も薄れている。

    それでもベアマン自身の最終目標は変わっていない。

    オリバー・ベアマンとルイス・ハミルトン

    「目標はいつかフェラーリのドライバーになること」
    ベアマンは、いつの日かフェラーリのレギュラードライバーになることが自身の目標だと明言する。

    「僕の目標は、いつかフェラーリのドライバーになること。それは変わらない」

    ただし、フェラーリのシートが空くまで無期限に待ち続けるつもりもない。

    「もちろん、シートが空くのを3年、4年、5年と座って待ち続けたいわけではない。何の保証もないからね。それでは自分の一番いい時期を無駄にしてしまう可能性がある」

    その発言からは、フェラーリへの強い思いと同時に、F1ドライバーとして自らのキャリアを最優先する姿勢もうかがえる。

    「僕の究極の目標は、少し利己的かもしれないけど、それでいいと思っている。それが僕がここにいる理由だから。僕はワールドチャンピオンシップを争いたい」

    「だから、それがどこであっても、そのチャンスを得られるなら僕はつかむ」

    フェラーリだけを待つつもりはないベアマン
    ベアマンの発言で重要なのは、フェラーリ昇格への意欲を改めて示しながらも、それを唯一のキャリアパスとは考えていない点だ。

    ハミルトンが2025年の苦戦から立ち直り、2026年に優勝争いへ戻ったことで、ベアマンが近い将来フェラーリへ昇格するための空席は見えにくくなった。だが、21歳のベアマンにはまだ時間があり、ハースで経験を重ねること自体が将来の選択肢を広げることにつながる。

    フェラーリの赤いレーシングスーツを着てF1世界選手権を戦うことは今も最大の目標だ。しかし、数年間にわたってただその機会を待つのではなく、タイトルを争えるチャンスが別の場所に現れれば、それを選ぶ覚悟もある。

    ハミルトンの復活によってフェラーリへの最短ルートは狭まったかもしれない。それでもベアマンにとって最終的に重要なのは「フェラーリに乗ること」だけではなく、「F1ワールドチャンピオンを争うこと」である。

  • オリバー・ベアマン F1離れた新ビジネス モナコで自転車ショップ&カフェ開業

    オリバー・ベアマン F1離れた新ビジネス モナコで自転車ショップ&カフェ開業

    ハースF1チームのオリバー・ベアマンが、モナコ近郊で友人たちと自転車ショップ兼カフェをオープンしたことを明かした。F1ドライバーとしてのトレーニングをきっかけに深めてきたサイクリングへの情熱を、21歳にして新たなビジネスへと発展させている。

    2026年のF1シーズンに向けたトレーニングにも自転車を積極的に取り入れてきたベアマン。今回の店は単なる投資ではなく、自ら運営にも関わる「パッションプロジェクト」だという。

    サイクリストが多く集まるモナコ周辺の山岳エリアという立地を生かし、自転車だけでなくコーヒーや自家製ケーキを楽しめる拠点を目指している。

    モナコの山に自転車ショップをオープン
    オリバー・ベアマンはF1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』に出演し、友人たちと始めた新たな事業について語った。

    「何人かの友人と一緒に自転車ショップをやっているんだ。モナコの上のほうにショップをオープンした。サイクリングがすごく盛んなエリアなんだ。本当にクールだし、今のところすごくうまくいっていて、みんな喜んでいるよ」

    モナコ周辺は海岸線から山岳地帯まで変化に富んだ道路が広がり、多くのプロスポーツ選手がトレーニングに利用する環境でもある。モナコに住むベアマン自身も、日常的に周辺の山道へ自転車で走りに出ている。

    その仲間には、ウィリアムズのカルロス・サインツJr.や、ツール・ド・フランス5勝を誇るタデイ・ポガチャルもいるという。

    「ビジネスというより情熱から始めたプロジェクト」
    ベアマンにとって今回のショップは、F1とは別の収入源を作ることだけが目的ではない。仲間たちと共通するサイクリングへの情熱が出発点になっている。

    「僕たち全員にとって、どちらかというと情熱から始めたプロジェクトなんだ。みんな本当にサイクリングが好きだし、ショップをどう運営するかについて自分たちの意見を反映できるのもいいところだね」

    F1ドライバーにとってサイクリングは、心肺機能や持久力を鍛えながら身体への衝撃を比較的抑えられるトレーニングのひとつだ。ベアマンも2026年シーズンに向けたフィジカル作りの中で自転車に乗る機会を増やし、それが今回の事業につながった。

    ショップにはカフェも併設され、山岳ルートを走るサイクリストが途中で立ち寄れる場所になっている。

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    自家製バナナブレッドとケーキにもこだわり
    自転車だけではなく、カフェで提供するメニューにもベアマンたち自身のこだわりが反映されている。

    「僕たちオリジナルのバナナブレッドがあるし、ケーキも自分たちのものなんだ。だからいいよね。楽しいよ」

    特にサイクリストにとって重要なコーヒーには力を入れている。ただし、ベアマン本人は意外にもコーヒー好きではないという。

    「一番大事なのはそこだね。僕たちはおいしいコーヒーに力を入れている。でも僕自身はコーヒーがそんなに好きじゃないんだ」

    「ただ、コーヒーがものすごく重要だということは分かっているし、サイクリストはコーヒーにすごくこだわるんだ。それは僕が学んだことのひとつだね!」

    一方、自信を持って勧められるのがスイーツだ。

    「僕が好きなのはケーキだね。うちにはおいしいケーキがある。それは誇りに思っているよ」

    2026年F1では18ポイントでランキング13位
    新たなビジネスをスタートさせた一方、ベアマンの2026年F1シーズンは浮き沈みのある展開となっている。

    開幕戦オーストラリアGPと第2戦中国GPで合計17ポイントを獲得して好スタートを切り、カナダGPでも1ポイントを追加した。しかし、日本GP、モナコGP、スペインGPではリタイアを喫し、直近4戦ではトップ10圏外でのフィニッシュが続いている。

    ここまで18ポイントを獲得し、ドライバーズランキングでは13位につけている。

    F1という極めて競争の激しい世界で戦いながら、自身のトレーニングから生まれたサイクリングへの情熱を仲間たちとの事業へ発展させたベアマン。モナコの山道を走るサイクリストにとって、21歳のF1ドライバーが携わるショップ兼カフェは新たな立ち寄りスポットとなりそうだ。

  • オリバー・ベアマン アストンマーティンF1移籍を否定「フェラーリが夢のチーム」

    オリバー・ベアマン アストンマーティンF1移籍を否定「フェラーリが夢のチーム」

    オリバー・ベアマンは、2027年にフェルナンド・アロンソがアストンマーティンF1を離れた場合の後任候補として自身の名前が取り沙汰されていることについて、「フェラーリが夢のチーム」と語り、移籍の可能性を否定した。

    フェラーリ育成ドライバーとしてハースF1から参戦する21歳のベアマンは、これまで支えてきたフェラーリへの忠誠心を強調。「いつかフェラーリのF1ドライバーになること」が自身の目標であり、現時点では他チームへの移籍は考えていないと明言している。

    アロンソ後任候補の噂を否定
    イギリスでは、フェルナンド・アロンソが2027年限りで現役を退く場合、アストンマーティンF1がオリバー・ベアマンの獲得を検討する可能性が報じられている。

    21歳のベアマンは今季ハースF1で好スタートを切ったものの、ここ6戦はノーポイントが続いている。一方で、フェラーリにはシャルル・ルクレールが長期契約を結び、2026年に復調したルイス・ハミルトンも残留の意思を示しているため、近い将来にフェラーリのレースシートを獲得するのは容易ではない状況だ。

    それでも、ポッドキャスト『Beyond The Grid』で将来について問われたベアマンは、アストンマーティン移籍の可能性を即座に否定した。

    「僕はフェラーリが与えてくれたすべてに強くコミットしている。彼らは僕がF3に加入したときから支えてくれたし、今ここにいるのもフェラーリのおかげなんだ」

    「フェラーリが僕の夢のチーム」
    ベアマンは、自身の最終目標は今も変わらずフェラーリでF1を戦うことだと改めて強調した。

    「だから僕はフェラーリに本当に大きな恩義を感じている」

    「僕にとってフェラーリは夢のチームだ。僕がフェラーリの一員だからというだけではなく、おそらく世界で最も象徴的なブランドだからね」

    「だから目標は、いつかフェラーリのF1ドライバーになることだ。それが今の僕の考えだし、その先のことは今後どう展開していくかを見ていくことになる」

    オリバー・ベアマン アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    将来的なアストンマーティン入りは否定せず
    もっとも、ベアマンはアストンマーティンF1の将来性そのものを否定したわけではない。

    エイドリアン・ニューウェイを迎え、ホンダとのワークス体制を築くアストンマーティンについては、高く評価している。

    「アストンマーティンは今は難しい時期にある。でも、いつか信じられないほど強いチームになると確信している」

    「ただ、現時点で僕がアストンマーティンのことを考えているというわけではない」

  • オリバー・ベアマン フェラーリF1に固執せず「王座を争えるならどこへでも行く」

    オリバー・ベアマン フェラーリF1に固執せず「王座を争えるならどこへでも行く」

    オリバー・ベアマンは、レース優勝やF1世界選手権を争えるチャンスがあるなら、フェラーリの育成プログラムを離れる可能性もあることを示唆した。

    現在21歳のベアマンは、厳しいシーズンを送るハースで存在感を示しており、チームは契約継続を望んでいるとみられている。一方で、エステバン・オコンの後任候補としてF2王者レオナルド・フォルナローリやフェラーリ育成のラファエル・カマラの名前も取り沙汰されている。

    また、フェルナンド・アロンソの将来が不透明なことから、アストンマーティン移籍の可能性も噂されている。

    しかし、アロンソのマネジメントにも関わるフラビオ・ブリアトーレは、現時点で来季以降について決定はないと説明した。

    「フェルナンドはアストンマーティンでレースをしている」

    「以前と比べてアストンマーティンは大きく前進したように見えるし、彼自身もチームに満足している」

    「それ以上に言うことは何もない。彼はアストンマーティンのドライバーであり、シーズン終了時点でもアストンマーティンのドライバーだ」

    ハミルトン復調でフェラーリ昇格はより困難に
    ベアマンは、ルイス・ハミルトンが2026年シーズンに復調したことで、自身のフェラーリ昇格への道が以前より厳しくなったことも認めた。

    「もちろん、自分の将来という意味では理想的な状況ではない」

    「でも、僕はまだ若い。まだ21歳だし、そこまで焦っているわけではない」

    「当面ハースに残ることも、僕にとって悪いことではない」

    一方で、ハースにはさらなる競争力向上を求めている。

    「メキシコや他のレースで味わえたような好調な状態を、もう一度取り戻したい」

    「僕との最初のシーズンだけ良かったチームとして終わりたくない。またパフォーマンスを改善して、多くのポイントを獲得できることを願っている」

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    夢はフェラーリ しかし最優先は世界王者
    ベアマンはフェラーリ加入が今でも夢であることを強調した一方、それだけに固執するつもりはないと明言した。

    「フェラーリは夢のチームだ。いつかフェラーリのドライバーになることが僕の目標であることに変わりはない」

    「でも、3年も4年も5年もシートが空くのを待ち続けたいとは思わない。保証なんてないし、自分にとって一番いい時期を無駄にしてしまう可能性もある」

    そして、自身の最大の目標は世界タイトル獲得だと語った。

    「僕の究極の目標は少し自分勝手かもしれない。でも、それでいいと思っている。それが僕がここにいる理由だからだ。僕は世界選手権を争いたい」

    「もしどこかでそのチャンスが得られるなら、その機会をつかむ。フェラーリがその環境を用意できず、別のチームで戦うことになるなら、それも人生だ」

    アストンマーティンとの噂について問われると、ベアマンは将来性を認めながらも、現時点では移籍先として考えているわけではないと語った。

    「いつかアストンマーティンが非常に強いチームになることは間違いないと思う」

    「でも、現時点でそのチームを目指しているわけではない」

    ベアマンはフェラーリへの憧れを隠さない一方で、キャリアの最優先事項は世界タイトル獲得だと強調した。ハースで成長を続けながらも、将来的に優勝やタイトル争いができる環境が他チームにあるなら、その機会を逃さない姿勢を明確に示している。