カテゴリー: F1モナコGP

  • 角田裕毅が片山右京の記録に並ぶ 日本人F1最多スタート95戦達成

    角田裕毅が片山右京の記録に並ぶ 日本人F1最多スタート95戦達成

    角田裕毅は、2025年F1モナコGPで自身通算95回目の決勝スタートを果たし、片山右京が保持していた日本人ドライバー最多決勝スタート数に肩を並べた。

    2021年にF1デビューを果たして以降、角田裕毅は着実にキャリアを積み重ね、2025年シーズンからはレッドブル・レーシングの正ドライバーとしてトップチームの一員に名を連ねている。

    この節目となる記録は、日本人ドライバーの歴史に新たな1ページを刻むものであり、F1における日本人の存在感を改めて印象づける出来事となった。なお、角田裕毅は神奈川県相模原市出身で、高校時代は日本大学第三高等学校から和光高等学校へ転校している。奇しくも、日大三高は片山右京の母校であり、和光高等学校は佐藤琢磨の母校でもある。3世代のF1日本代表が、それぞれの足跡でつながる形となったのは興味深い事実だ。

    次戦以降もスタートを重ねれば、角田が単独で日本人最多スタート記録保持者となる見通しであり、その走りは今後の世代にも大きな影響を与えることになるだろう。

    日本人F1ドライバーの出走回数 上位5名
    ■ 1位 片山右京 :97戦出走(95スタート)
    ■ 2位 角田裕毅 :96戦出走(95スタート)
    ■ 3位 佐藤琢磨 :90戦シュッソウ(90スタート)
    ■ 4位 中嶋悟  :80戦出走(74スタート)
    ■ 5位 小林可夢偉:76戦出走(75スタート)

    各ドライバーのF1時代プロフィール
    ■ 片山右京
    1992年にヴェンチュリ・ラルースからF1デビュー。1993年からはティレルに加入し、日本人初のフルシーズン参戦ドライバーとして活躍した。ベストリザルトは1994年ブラジルGPでの5位。堅実な走りとファンへの真摯な姿勢で高い人気を誇った。

    ■ 角田裕毅
    2021年にアルファタウリからF1デビュー。持ち前のアグレッシブなスタイルと成長意欲で注目を集め、2025年にはレッドブル・レーシングに昇格。2024年日本GPでの4位入賞など着実に実績を積み重ねている。

    ■ 佐藤琢磨
    2002年にジョーダンからF1デビュー。2004年にはB.A.Rホンダで表彰台に登壇し、2006年からは日本のスーパーアグリで奮闘。攻めのドライビングで知られ、「No Attack, No Chance」のフレーズで多くのファンに愛された。

    ■ 中嶋悟
    1987年にロータスからF1デビューし、日本人初のフルタイムF1ドライバーとなった。ティレル移籍後も安定したパフォーマンスを見せ、1989年オーストラリアGPでは日本人初のファステストラップを記録した功績を持つ。

    ■ 小林可夢偉
    2009年にトヨタからスポット参戦でF1デビュー。2010年からはザウバーに加入し、2012年日本GPでの3位表彰台は大きな話題を呼んだ。以降もケータハムで参戦するなど、果敢なオーバーテイクで人気を集めた。

    出走数とスタート数が異なる理由
    F1では「出走数(エントリー数)」と「スタート数(決勝スタート数)」は別の記録として扱われる。出走とはそのグランプリに正式登録され、予選または決勝への参加を前提とした記録だが、実際に決勝レースのグリッドに並びスタートしたかどうかで「スタート数」は決まる。

    以下のような状況では、出走記録はあるがスタートにはカウントされない:
    ・ フォーメーションラップ前にマシントラブルなどでリタイアした場合
    ・ フォーメーションラップ中にマシンが停止しスタートに至らなかった場合
    ・ 決勝に進出できなかった(予選失格など)場合
    ・ 決勝直前に体調不良やチーム判断で出走が取り消された場合

    このため、実際のF1記録においては「出走数>スタート数」となることがあり、記録を見る際は両者の違いに留意が必要である。

  • シャルル・ルクレール F1モナコGP決勝「最後まで勝てると信じていた」

    シャルル・ルクレール F1モナコGP決勝「最後まで勝てると信じていた」

    シャルル・ルクレールは、2025年F1モナコGPを再び複雑な心境で終えることとなった。ホームレースで2年連続優勝の期待がかかる中、惜しくもポールポジションを逃し、決勝でもランド・ノリスを攻略できず2位に甘んじた。

    日曜のレースでは、ターン1での立ち上がりから終盤までノリスにプレッシャーをかけ続けたが、マックス・フェルスタッペンが代替戦略でスティントを延長した際に一時的にノリスがペースを落とした場面を除いて、決定的なチャンスは訪れなかった。

    「正直、結果に満足しているかと言えばそうではない」とルクレールは語った。

    「でも、結局レースを失ったのは昨日だ。僕たちはもっといい仕事ができたはずだし、ランドの方がこの週末は優れていた。彼が勝者にふさわしい」

    「去年は子どもの頃からの夢だったホームでの優勝を実現できたけれど、今年は叶わなかった。ただ、この週末を通しての全体的な内容を考えれば、当初の期待を大きく上回っている。正直、トップ10に入れるかどうかも怪しいと思っていたから。結果的に2位で、しかもポールにかなり近かった。だからいい週末だったと思う。でも、やっぱり勝ちたかった」

    モナコGP F1 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリルクレールは母国モナコで再び表彰台に立った

    仕掛けどころを探り続けた78周
    ルクレールは、ノリスを抜くための攻めどころをレース前夜から思い描き、実際に数周にわたってチャンスを伺っていたという。

    「マックスが前に出た終盤は、本当に最後までいけると思っていた」と振り返る。

    「ランドに仕掛けるならどこか、夜中ずっと考えていたし、すべてを賭けてでも勝ちを狙う覚悟はできていた。でも、そのチャンスは最後まで来なかった。2~3周ほど『ここでいけるかも』と思う瞬間はあったけれど、ランドはすぐに察知してしっかり防いできた。だから、結局トライすることもできなかった」

    具体的には「ラスカスで2回、それからフェルモンで1回くらい」狙いを定めていたと明かした。

    また、フェルスタッペンが赤旗を期待してスティントを引き延ばしていたことが、結果的にノリスを追い詰める材料にはなったが、それでも十分ではなかったと述べている。

    さらに今回のパフォーマンスについては、フェラーリのマシン特性がモナコのような縁石走行を重視するコースに合っていたことが奏功したと分析。

    「ここはすごく特殊なトラックだ。縁石を乗り越える要素が多いけど、うちのマシンはそこが得意なんだ。その特性が今回のパフォーマンス向上に役立ったと思う」

    最後に、母国ファンの声援に対しては感謝の気持ちをこう語った。

    「いつも言っていることだけど、フェラーリのドライバーはどこに行っても応援してもらえる。けれど、ここで生まれて、モナコの人たちが自分を後押ししてくれるのはやっぱり特別だ」

    「モナコ出身の人は多くないけど、母国でこれだけのサポートを受けられるのは本当に心が温まる。彼らに1位をプレゼントしたかったけど、それはまた来年の目標にしたい」

  • エステバン・オコン F1モナコGP決勝「この6ポイントはチームにとって大きい」

    エステバン・オコン F1モナコGP決勝「この6ポイントはチームにとって大きい」

    エステバン・オコンは、ここ数戦の厳しく不安定な週末を経て、新たに導入されたF1モナコGPのフォーマット変更の恩恵を大きく受けたドライバーのひとりとなり、ハースとしては開幕戦バーレーンGP以来となるポイント獲得を果たした。

    モンテカルロの狭く曲がりくねった市街地コースでは、2回の義務的ピットストップが導入されたことで、タイヤを長持ちさせるマネジメント主体の走行が抑制され、代わりに多様な戦略が生まれる展開となった。これは、追い抜きが難しいモナコで少しでもレースに動きをもたらすことを狙った措置だった。

    各チームがこの新ルールに独自のアプローチを試みたなか、オコンのガレージ側が実行した戦略は見事にはまり、予選8番手という好結果を土台に1つポジションを上げ、決勝では7位フィニッシュ。6ポイントを持ち帰る結果となった。

    この順位上昇は、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソがレース中盤でリタイアしたことも一因だが、オコンは16周目と28周目のタイミングで的確にピットインを重ね、中団争いで重要なポイントを手にした。

    エステバン・オコン モナコGP F1 ハースF1チームハースの戦略はオコンにとって完璧に機能し、貴重なポイント獲得に結びついた

    レース後、オコンは次のようにコメントした。

    「週末を通してとてもいい流れだったと思う。予選から決勝まで、一つもミスがなかった」

    「必要なときにすべてをうまくまとめられたから本当にうれしい。チームにとって大きな6ポイントだし、満足している」

    「予選に向けて大きく進歩できたのもポジティブな要素だし、それを他の週末にもどうすれば再現できるのかを考える必要があるね」

    さらに、欧州3連戦の締めくくりとなる次戦に向けて、次のように語った。

    「バルセロナはこことはまったく違うサーキットで、ダウンフォースやエンジンパワーの重要性が高い。何が得られるか様子を見るけど、まずは今回の結果をしっかり喜びたい」

    一方で、チームメイトのオリバー・ベアマンにとって、モナコはやや暗い週末となった。

    ベアマンはFP2中に赤旗が掲示されているにもかかわらずカルロス・サインツを追い越してしまい、10グリッド降格という重いペナルティを科された。その影響もあり、予選ではQ1敗退の17番手となり、決勝は最後尾スタートを強いられた。

    ハースF1チーム モナコGPグリッド降格ペナルティにより、ポイント獲得のチャンスが大きく削がれたベアマン

    決勝では1周目と17周目にピットインする異なる戦略を試みたが、追い上げには限界があり、最終的には12位でレースを終えた。

    ベアマンは次のように語った。

    「自分にできる最大限のことはやったと思う。まずはエステバンにおめでとうを伝えたい。チームがポイントを取れたのは本当にうれしい」

    「自分のガレージ側にとっては難しい週末だったけど、チームとしては成果があった。今回のレース展開では、自分がポイント圏内に入るのは難しかったと思う」

  • レーシングブルズの戦略でローソンは“盾役”に F1モナコGPで「複雑な心境」

    レーシングブルズの戦略でローソンは“盾役”に F1モナコGPで「複雑な心境」

    リアム・ローソンは、F1モナコGPで今季自身最高のパフォーマンスを披露したにもかかわらず、レーシングブルズのチームオーダーによって「少しがっかりした」と語った。

    モナコ市街地で開催された伝統の一戦で、ローソンは8位でフィニッシュし、今シーズン初のポイントを獲得。自身のF1キャリアにおいても最良の結果を収めたが、週末全体の展開には複雑な思いを抱いているという。

    23歳のニュージーランド出身ドライバーは、予選で9番手を獲得。しかし、チームメイトのアイザック・ハジャーが6番手と好位置を確保したことにより、自身の予選パフォーマンスには「もっと良い仕事ができたはず」と振り返った。

    この結果、ローソンは決勝レースで“リアガンナー”としての役割を担うことになり、78周にわたるレースでチームは「完璧に」チームオーダーを実行したと自身も認めている。その戦略により、ハジャーは2回の義務的ピットストップを安全に終え、最終的に6位でフィニッシュすることに成功した。

    この戦略が結果として報われたのかと問われると、ローソンは「チームにとっては、少なくとも1台を確実にポイント圏内に入れるための手段だった」と語り、次のように続けた。

    「要するに、前の2、3台とのレースになって、自分とそれ以降のマシンがひとまとめになるんだ」

    「でも、ウィリアムズも同じことをやってたし、結局みんな同じ状況にいたって感じだね」

    リアム・ローソン モナコGP F1 レーシングブルズ/ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

    フェルナンド・アロンソのリタイアにも助けられたローソンは、最終的にスタート時より1つ上のポジションでチェッカーを受けたものの、「作戦の“受け手”となったこと」に対しては本音を漏らした。

    「自分のガレージ側としては、正直言って予選でもう少し良い結果を出すべきだった。だからこそ、こういう展開になってしまったことに少しがっかりしている」

    「でもチームとしては、2台ともポイントを取れたのは本当に良かったと思うよ」

  • カルロス・サインツJr. F1モナコGP新ルールを批判「スロー走行で操作できる」

    カルロス・サインツJr. F1モナコGP新ルールを批判「スロー走行で操作できる」

    カルロス・サインツJr.は、F1モナコGPで導入された「義務的2回ピットストップ」ルールについて批判の声を上げた。このルールがあまりにも簡単に“操作”可能で、ドライバーたちが意図的にペースを落とすことでチームメイトのためにピットの余地を作る展開が見られたからだ。

    実際、ウィリアムズの両ドライバーは中団勢をスローペースで引き留め、ピットに入っても順位を落とさないよう連携。この結果、サインツ自身とアレクサンダー・アルボンの両名がモナコでポイントを獲得することにつながった。

    「結局のところ、クルマが本来出せるペースよりも2~3秒速く走ることを止めているんだ。つまり、レース全体を操作して、その結果にまで影響を与えていることになる」とサインツはレース後に語った。

    「モナコのようなコースでは、それが非常に簡単にできてしまう。他のサーキットだとDRSやストレートがあるから難しいけど、今日は誰にでもできてしまった」

    サインツとチームメイトのアルボンは、メルセデス勢のジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリを後ろに従えて、ポイント圏内でフィニッシュした。

    しかし、この“ブロック”に苛立ったラッセルは、アルボンをコース外から追い越し、シケインをカット。無線では「ポジションを戻すくらいならペナルティを受ける方がマシ」と語った。

    「ラッセルがそうした理由は完全に理解できる。自分もやろうかと思ったくらいだ」とサインツは語り、実際にラッセルには意図的なコースカットとしてドライブスルーペナルティが科された。

    「以前なら、レース操作にはもっと厳しいペナルティが科されていた。いまはクラッシュこそしていないけれど、あまりに遅く走ることでレースを操作しているのは間違いない」

    モナコGP F1 カルロス・サインツJr.

    また、レーシングブルズのリアム・ローソンとアイザック・ハジャーも連携。ローソンが後方のマージンを作る役割を担い、ハジャーがソフトタイヤへ交換した際にはポジションロスを最小限に抑えた。

    ハジャーは最終的に6位でフィニッシュし、ローソンも8位に入ってチームにダブル入賞をもたらした。

  • ルイス・ハミルトン F1モナコGP決勝「誰と争っていたのかも分からなかった」

    ルイス・ハミルトン F1モナコGP決勝「誰と争っていたのかも分からなかった」

    ルイス・ハミルトンは、F1モナコGPを「惨めだった」と振り返り、「どっちつかずの場所にいた」と語った。最終的に5位でフィニッシュしたが、満足感はなかったようだ。

    フェラーリのハミルトンは、決勝前日の予選で今季ベストとなる4番手を獲得し、上り調子を示していた。しかし、マックス・フェルスタッペンの走行を妨害したとして3グリッド降格のペナルティを受け、決勝は7番手スタートとなった。

    モナコで初めて導入された2回のピットストップ義務を戦略的に活用し、ハミルトンはアイザック・ハジャーとフェルナンド・アロンソを上回ってフィニッシュ。これは「できる限りの結果だった」と本人は語っている。

    「3グリッド降格で7番手からスタートして、最終的に5位まで戻せたのは悪くない。自分にとっては最大限の成果だったと思う」とハミルトンはコメントした。

    モナコでのレースが楽しかったかと問われると、「いや、惨めだった」と即答した。

    「モナコのレースって、トップを走っていない限り基本的に面白くない。たとえリードしていても、それほど楽しいとは思えない。終わったあとに多少の達成感はあるけど、それ以外は1位以外は正直空虚だ」

    モナコGP F1 ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリハミルトンは5位でフィニッシュしたが、優勝したノリスとは51秒差があった

    この日ハミルトンは5位に入ったが、優勝したランド・ノリスとは51秒の大差がついた。チームメイトのシャルル・ルクレールはノリスに数秒差まで迫って2位に入っており、その差について問われたハミルトンはSky Sports F1に対して「なぜあんな差がついたのか自分でも分からない。ただそうなっただけだ」と語った。

    「レース中は本当に“どっちつかずの場所”にいた感じだった」とハミルトンは続けた。

    「ペナルティで7番手からスタートして、序盤は2台の後ろでしばらく走っていた。それを抜いてからは、前とは大きなギャップがあって、完全に一人旅だった。誰ともレースしていなかったし、セーフティカーでも出てくれれば展開が変わったかもしれないけど、何も起きなかった。正直、単調なレースだった」

    さらに、レース中の無線でも混乱があったといい、ある時点で「プッシュしろ」と指示された場面に困惑したと明かしている。

    「無線の情報が曖昧で、“これが我々のレースだ”って言われたけど、何を意味しているのか分からなかった。自分がどのポジションを争っているのか、誰と勝負しているのかがはっきりしなかった。その時はとにかく前を追ってプッシュしたけど、あとでデータを見たら、前の集団とは全然差が詰まってなかった。無駄にタイヤを使っただけだったんだ」

  • ウィリアムズ代表 F1モナコGP中にスロー走行戦略をメルセデス代表に謝罪

    ウィリアムズ代表 F1モナコGP中にスロー走行戦略をメルセデス代表に謝罪

    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、F1モナコGPのレース中にウィリアムズ・レーシングのジェームス・ボウルズ代表から届いた「謝罪のテキストメッセージ」について明かした。レース中、ウィリアムズの2人のドライバーがメルセデス勢のジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの前でスロー走行を行ったことについてのやり取りだったという。

    ヴォルフとボウルズは旧知の仲であり、ボウルズはかつてメルセデスでヴォルフの下に勤め、現在はウィリアムズでチーム再建に取り組んでいる。

    2025年のモナコGPでは、新ルールとして全車に2回のピットストップが義務付けられ、各チームは多様な戦略に対応を迫られた。ウィリアムズはカルロス・サインツJr.とアレクサンダー・アルボンが交代でスロー走行を行い、もう一方のドライバーが余裕を持ってピットアウトできるギャップを作るという巧妙な戦術を採用。その結果、アルボンは9位、サインツJr.は10位でフィニッシュし、ウィリアムズにとって4戦連続のダブルポイント獲得となった。

    ヴォルフはレース中のボウルズとのやり取りについて、オートスポーツの取材に対しこう明かした。

    「彼(ボウルズ)からレース中にメッセージが届いたんだ。『申し訳ない』ってね。前の状況から、ああするしかなかったんだろう。私の返事は『分かってる』だった」

    「ジェームスは私の仲間の一人だし、恩着せがましく聞こえてほしくはないが、彼は今やチーム代表として立派にキャリアを築いている。あれは彼がやらなければならなかったことだ。ポイント圏内に2台を持ち込んだわけだしね」

    「最初にああなったのは、レーシングブルズがスロー走行で我々を詰まらせたからだ。だから彼らも同じように対応したんだよ」

    一方ボウルズは、レース中のF1TVのインタビューで、この戦術が本来のレーシングスタイルではないとしながらも、チームの利益を優先した判断だったと述べた。

    スロー走行の影響を大きく受けたのはラッセルで、苛立ちからヌーヴェルシケインでショートカットしてアルボンをオーバーテイクし、結果的にドライブスルーペナルティを受けることとなった。

    ウィリアムズ・レーシング F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ヴォルフは、メルセデスの厳しいレース展開の要因について、予選での不運を挙げる。

    「レーシングブルズのように力以上の結果を出したチームもあった。その位置を守るために、彼らもウィリアムズも戦っていた。我々はその犠牲者だったが、それは予選がうまくいかなかったからだ」

    「我々には速いクルマがあった。キミ(アントネッリ)はバリアに接触したが、それはルーキーにありがちなミス。そしてジョージ(ラッセル)は突然パワーを失った。フロントロー、あるいはそれ以上のポテンシャルはあったはずだ」

    「その後はトラックの“楽しい”部分でレースをする羽目になったが、あの位置では何もできなかった」

    「ブレーキングで5.5秒も遅いと、まったく別のトラックにいるような感覚になる。違うブレーキングポイントで、ジョージもクルマを止めるのが難しくなって直進してしまった。あれはフラストレーションの表れだろう。何か違うことをしようとした。でもドライブスルーは覚悟していたし、10秒ペナルティで済めばと思っていた。結局、結果は変わらなかった」

    ヴォルフはさらに、戦略判断についても誤りはなかったと主張し、モナコ特有のフォーマット変更の必要性にも言及した。

    「今朝は戦略についてかなり面白い議論をした。『早めにピットに入って、追い上げればいい』と私が言ったんだ。DTMではうまくいった戦略だった。最後尾から勝ったこともある」

    「でも、我々の戦略チームの賢い人たちは、モナコではそれが通用しないと示してくれた。実際、早めにピットに入った他の車を見ても、それで状況は変わらなかったよ」

  • F1モナコGP:レーシングブルズのルールの盲点を突いた大胆作戦を検証

    F1モナコGP:レーシングブルズのルールの盲点を突いた大胆作戦を検証

    F1モナコGPで導入された新ルール「2回のピットストップ義務化」は、先頭集団の展開にはあまり変化をもたらさなかったが、中団争い、特にポイントを狙うチームにとっては大きな波乱要因となった。

    その中で最も早くこのルールの“隙”を突いたのが、レーシングブルズだった。ファエンツァ拠点のチームは、この戦略変更を巧みに利用して、今季ベストとなるリザルトを手にした。

    チームワークが決め手に
    今回のモナコGPでレーシングブルズは貴重なダブル入賞を果たし、コンストラクターズランキングでハースと6位争いを繰り広げる形となった。ルーキーのアイザック・ハジャーは力強い予選を経て見事6位でフィニッシュし、リアム・ローソンも今季初ポイントを獲得。さらに予選Q3進出も今季初だった。

    モナコの予選ではマシンの競争力が特に重要となるが、今回のレーシングブルズはその点でも手応えを見せていた。また、予選でルイス・ハミルトンがマックス・フェルスタッペンを妨害したことでグリッド降格処分を受けた結果、ハジャーは5番グリッドからのスタートとなった。

    レース序盤から、レーシングブルズは明確なチーム戦略を取っていた。2人のドライバーが近接して走行していたことで、ペースコントロールと戦略の実行が非常に効果的になった。

    モナコのコース特性として、前の車を抜くには1周あたり少なくとも4秒以上速く走らなければ現実的にオーバーテイクできないとデータが示している。そのため、ローソンはハジャーの「バッファー」として完璧な役割を果たすことになった。

    レーシングブルズ モナコGP F1

    ローソンが後方集団をコントロール
    グラフではその様子が明確に表れている。黄の破線がハジャー、白がローソン、青がウィリアムズ勢を示しており、バーチャル・セーフティカー解除直後からローソンとハジャーのギャップが広がり始め、その後方の集団との間にも差が生じていく。

    13周目にはそのギャップが20秒を超えていた。モナコでのグリーンフラッグ下のピットストップには19~20秒かかるため、レーシングブルズは迷わずこのタイミングでハジャーをピットインさせた。

    ハジャーは新品のソフトタイヤを装着し、クリアエアでプッシュ。計画通り2度目のストップに備える戦略だ。

    >レーシングブルズ F1 モナコグランプリ

    「あえて遅く走る」ことが戦略だった
    第2スティントでもハジャーはローソンやその後ろの集団に対し、1周あたり4~5秒のペース差を維持し続けた。一方、ローソンは意図的にさらに遅いペースで走行した。

    一見すれば「遅かった」ように見えるローソンだが、戦略的にはそれこそが求められた動きだった。チームメイトのためにギャップを広げつつ、後続に抜かれず、ミスもしない――それが絶対条件だった。

    ハジャーはこの第2スティントで5周のみ走行し、2度目のストップを実施。その後ローソンが一気にペースアップし、ラップタイムのグラフでもその変化が明確に示されている。

    フェラーリのハミルトンに1つポジションを譲った以外、作戦は見事に成功。ハジャーはすでに2度のピットを終えた状態で理想的なポジションに戻っており、アロンソにも順位を守れていた可能性が高かったが、アロンソがリタイアしたことで、そのポジションはローソンのものとなった。

    ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム F1 モナコGPビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム F1 モナコグランプリ

    戦略は他チームにも波及
    興味深いのは、このレーシングブルズの戦略をウィリアムズが後に模倣した点だ。彼らはローソンの後方にいたため、先に同じ作戦をとることができなかった。

    ウィリアムズも同様に後方のドライバーがペースを落とし、前方のアレクサンダー・アルボンに“無料の”ピットウインドウを作り出した。

    ローソンも同じ戦術を活用して、ポジションを落とさずに2度目のピットを完了。第2スティントではソフトタイヤで9周を走行し、再びクリーンエアに戻った後は力強いペースで前を追った。

    モナコGP F1 2025年のF1世界選手権

    完璧な連携で今季最高の結果
    結果としてレーシングブルズは、この新ルールを最大限に活かした形で大成功を収めた。完璧なコミュニケーション、戦略の遂行力、そして好位置からのスタート――これらが揃ったことで、2025年シーズンのベストリザルトを手にした。

    その根幹には、予選での好パフォーマンスとマシンの競争力があったことは言うまでもない。

    決勝レースのペース比較では、マクラーレン、フェラーリ、レッドブルに次いでレーシングブルズは4番手に位置しており、ファエンツァのチームにとっては大きな達成となった。

  • ランド・ノリス F1モナコGP優勝「夢が叶った でも課題もまだ残っている」

    ランド・ノリス F1モナコGP優勝「夢が叶った でも課題もまだ残っている」

    ランド・ノリスは、モナコGPで自身初となるモナコ制覇を達成し、「夢のひとつを叶えた」と語った一方で、「まだ取り組むべき課題がある」と冷静な自己評価も忘れなかった。

    ノリスはポールポジションからスタートし、オープニングラップのサン・デボーテで両フロントタイヤをロックさせながらも先頭をキープ。その後も2回の義務的なピットストップを挟みつつ実質的なレースリードを維持し、終盤にはマックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールの挟み撃ちという緊張の展開を見事に凌ぎきった。

    「信じられない気分だ」とノリスは喜びを語った。

    「モナコでの勝利はすごく特別だし、子どもの頃から夢見ていたことだった。今日はそれを叶えることができた。もちろん簡単じゃなかった。レースは長くて過酷だったし、最後の数周は特に神経を使った。後ろにはシャルルが迫っていて、前にはまだピットインしていないマックスがいたからね。どうにかしてギャップをコントロールしながら、リスクを最小限に抑える必要があった」

    「マックスがレースをスローにしたとき、シャルルが接近してきたのが一番厄介だった。でも、チャンスを与えないようにギャップをマネージしつつ、必要なときにプッシュして、必要なときにクールダウンするよう心がけていた。難しい戦いだったけど、勝てて本当に嬉しいし、チームもとても喜んでいる。今日は最高の夜になると思う」

    この勝利は、ノリスにとって今季2勝目であり、オーストラリア開幕戦以来となる勝利。これにより、ドライバーズランキングで首位のチームメイト、オスカー・ピアストリとの差をわずか3ポイントに縮め、タイトル争いに再び名乗りを上げた。

    モナコGP F1 ランド・ノリス マクラーレンノリスがマクラーレンに勝利をもたらし、ピアストリも表彰台を獲得

    予選での復調がもたらした自信、そして冷静な自己分析
    しかしノリスは、今回の勝利がすべてを解決したわけではないと語る。

    「週末を通して小さな前進はあった。でも、それで全てが整ったというわけじゃない。まだ取り組むべき点はたくさんある」

    「チーム側には僕が最大限の力を発揮するために必要な“要素”を揃えてもらう必要がある。クルマが速いのは間違いない。でも、去年との違いもあるし、自分がベストを尽くせるようなセッティング面でのサポートが必要なんだ」

    「だから、チームとしても僕自身としても、まだやるべきことはある。でも昨日の予選にはとても誇りを持っている」

    ノリスはQ3で1分9秒954という驚異的なラップを記録し、シャルルからポールポジションを奪取。それは自身にとって予選での苦戦が続いた中での“復活”でもあった。

    「正直に言うと、今日の勝利より昨日の予選の方が感情的だった。もちろん、モナコでの勝利は素晴らしい。でも、僕にとっては予選で調子を取り戻せたことのほうが意味があった」

    「今シーズンはずっと予選で苦しんでいた。ジェッダではQ3でクラッシュもしたし、自分の得意分野であるはずの予選で苦戦するのは本当に辛かった。でもようやく昨日、自分らしい走りができた」

    「相手はオスカー、シャルル、マックスと、世界でも最高レベルのドライバーたち。そんな彼らと戦うには、自分も常に最高の状態でいないといけない。そのための努力をどれだけ積み重ねてきたかは、自分とチームだけが知っている」

    「だからこそ、この結果には大きな意味があるし、僕にとっては一歩前進なんだ」

  • オスカー・ピアストリ F1モナコGP決勝「これが悪い週末なら悪くない」

    オスカー・ピアストリ F1モナコGP決勝「これが悪い週末なら悪くない」

    オスカー・ピアストリはF1モナコGPを3位で終え、2戦連続でモンテカルロの表彰台に立った。チームメイトのランド・ノリスが優勝したことで、ピアストリはドライバーズ選手権のリードを3ポイントに縮められる結果となったが、それでも「悪くない週末だった」と前向きな姿勢を見せた。

    「もちろん優勝できたらもっと良かったけど、週末は少しトリッキーだった」とピアストリは語る。「フリー走行はずっとバタバタしていて、自信がないまま予選に入った。でもかなり近づけたし、あと少しだった」

    「ここでは予選がすべてだ。決勝では基本的にその順位で終わることになる。だから、全体としてはまずまず満足している。ポイントも取れたし、またモナコで表彰台に上がれた。悪くない週末だったと思う」

    金曜のフリー走行2回目ではサン・デボーテでフロントからバリアに接触。予選中もバリアすれすれのシーンがあったが、それでも3番手タイムを記録して好位置を確保した。

    決勝では序盤、マックス・フェルスタッペンがタバコ・コーナー手前で仕掛けてきた際に接触寸前となるシーンもあったが、ピアストリは冷静に対処。フェルスタッペンが前方でのアクシデントによるダブルイエローで減速したピアストリの背後に迫っていた中での防御だった。

    「(レース展開は)ほぼ想定通りだった」とピアストリは語る。「後方ではいろいろあったみたいだけど、僕の位置からは想定通りだった。昨年と比べてペースが上がっていて、運転している側としては少しタフだった」

    「金曜日や昨日よりも今日のクルマの感触は良かったか」と問われると、「クルマの感触は悪くなかったけど、決勝では限界までプッシュすることはない。予選のときのほうが満足度は高かった」とコメント。リズムに乗れなかったことが週末の流れを難しくしたとも振り返った。

    モナコGP F1 オスカー・ピアストリ マクラーレン

    一時はフェラーリのシャルル・ルクレールを逆転する可能性を探り、ピット戦略で仕掛けたが実らず。「最初のピットストップで逆転を狙ったけど、ピット作業が少し遅れてしまった。でも、結果には大きく影響しなかったと思う」と冷静に分析した。

    また、今回初めて導入されたモナコでの義務的2回ピットストップ制度については、次のように語った。

    「確かに何度か緊張感のある場面はあった。セーフティカーのタイミングを見て自分がその“ウィンドウ”の内か外かを調整しなきゃいけなかったからね。でも、上位勢に関して言えば大きな変化はなかった。仮に終盤で赤旗が出てフェルスタッペンが勝っていたら、全く別の話になっていたかもしれない」

    スペインGPに向けては、「また来週に向けて準備して、さらに強くなって戻ってくるよ」と意気込みを語った。