カテゴリー: F1モナコGP

  • メルセデスF1の“圧縮比トリック”が違法化 FIA新規則で抜け穴を封鎖

    メルセデスF1の“圧縮比トリック”が違法化 FIA新規則で抜け穴を封鎖

    FIA(国際自動車連盟)は技術レギュレーション上の抜け穴を正式に封じ、メルセデスF1のパワーユニットに関する“圧縮比トリック”はもはや合法ではなくなった。新たな規則は6月1日から施行され、モナコGPがその最初の適用レースとなる。

    プレシーズン中、メルセデスHPPは新型エンジンの圧縮比を18:1まで高める方法を見つけたと報じられていた。

    レギュレーション上の上限は16:1だが、当初の文言では圧縮比の測定条件がピットレーン内の外気温時に限定されていたため、走行中にはより高い圧縮比で作動させる余地が生まれていた。

    測定条件の変更で抜け穴を封鎖
    ライバルのパワーユニットメーカーから反発が起きたことを受け、FIAは6月1日からレギュレーションを変更することに合意した。これにより、圧縮比はエンジン周辺温度が130度の状態で測定されることになった。

    メルセデスHPPは、熱で膨張する金属をエンジン設計に用いることで、18:1の圧縮比を実現できる条件を作り出していたと考えられている。

    この抜け穴の封鎖は当初、ハンガリーGP後の8月1日に予定されていた。しかし、その時期は前倒しされ、ヨーロッパラウンド開始に合わせて施行されることになり、モンテカルロでの一戦から適用される。

    メルセデス優位を崩す決定打になるのか
    メルセデスは2026年にここまで開催された5戦すべてで優勝しており、コンストラクターズ選手権ではフェラーリに74ポイント差をつけている。

    ただし、フェラーリ代表のフレデリック・バスールは、圧縮比の抜け穴が閉じられること以上に、ADUOによる開発機会の方が各陣営のメルセデス追撃を早める要素になると見ている。

    ADUOは、パワーユニットメーカーに性能向上アップグレードを認める制度で、トップユニットから2%以内と判断されたメーカーにはシーズン1回、2%以上遅れているメーカーには2回のアップグレードが認められる。

    【関連】
    ・メルセデスF1の“圧縮比トリック”はアウディとポルシェの要求が生んだ?

  • シャルル・ルクレール F1モナコGPで特別スーツ着用「街中に僕の物語がある」

    シャルル・ルクレール F1モナコGPで特別スーツ着用「街中に僕の物語がある」

    シャルル・ルクレール(フェラーリF1)が、母国レースとなる2026年F1モナコGPに向けて特別なレーシングスーツを披露した。

    モナコ出身のルクレールにとって、モンテカルロ市街地コースは単なる開催地ではない。幼少期から慣れ親しんだ街であり、自身の人生とモータースポーツキャリアの原点でもある。フェラーリはモナコGPに合わせ、モナコ国旗をモチーフにした特別デザインのレーシングスーツを公開した。

    今回の特別スーツは、通常のフェラーリの鮮やかなレッドを基調としたデザインとは異なり、アイボリー(オフホワイト)をベースカラーに採用。肩や脇、襟元にはフェラーリ伝統のレッドが配され、モナコ国旗をイメージした赤と白のカラーリングで母国への敬意を表現している。

    また、レーシングシューズやキャップも統一デザインを採用。フェラーリの跳ね馬エンブレムやスポンサーのロゴはそのまま残しながら、通常仕様とは大きく異なる特別なコーディネートとなっている。

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)シャルル・ルクレール(モナコグランプリ)

    モナコGPはルクレールにとって毎年特別な意味を持つ一戦だ。地元ファンの前で戦う唯一のレースであり、コースのあらゆる場所に自身の思い出が刻まれているという。

    「母国でレースをするのは本当に、本当に特別なことだ」

    「子供の頃からバスに乗って通っていた道だし、モナコには何か特別なものがある」

    ルクレールは、市街地コースの各コーナーに自身の記憶が結び付いていると語る。

    「コース上のどのコーナーにいても、子供時代やレースを始めた頃の思い出がある」

    「サーキットの至るところに個人的な物語がある。だからこそ、僕にとって特別な場所なんだ」

    2024年には悲願だった母国モナコGP初優勝を達成したルクレール。2026年も地元ファンの大歓声を背に、特別なレーシングスーツで再びモンテカルロの市街地に挑む。モナコの街とともに成長してきたフェラーリのエースにとって、この週末が特別なものであることに変わりはない。

  • フェラーリF1がモナコGP本命に浮上 ストレート不足が強みに変わる週末

    フェラーリF1がモナコGP本命に浮上 ストレート不足が強みに変わる週末

    スクーデリア・フェラーリは2026年F1シーズン序盤で安定感を欠いてきたが、モナコGPを前に一転して本命候補に浮上している。

    カナダGPでルイス・ハミルトンが2位に入ったことで、ストレートスピード不足を抱えながらもコーナー性能に優れるフェラーリの特性が、モンテカルロ市街地で大きな武器になるとの見方が強まっている。

    特に注目されたのは、カナダGP後にマクラーレンのランド・ノリスがフェラーリをモナコのポールポジション候補と明言したことだ。マクラーレン代表のアンドレア・ステラもその見方に同調し、GPSデータ上でもフェラーリのコーナリング性能が際立っていると認めた。

    ストレート不足が目立たないモナコで強みが生きる
    カナダGPはストレートスピードが重要なサーキットであり、フェラーリにとって決して理想的な舞台ではなかった。それでもハミルトンは2位を守り切り、チームの競争力に手応えを示した。

    「ここは本当にストレートスピードが重要なサーキットで、それでもなんとか踏みとどまってこの結果を得られたことを考えれば、これからに向けて間違いなく大きな期待が持てる」とハミルトンは語った。

    ハミルトンは以前から、フェラーリの最大の弱点はパワーユニットにあると繰り返し指摘している。

    「僕たちは周りのチームよりパワーが少ない」

    「たとえオーバーテイクを使っても、彼らはストレートでまだ僕たちよりパワーがある」

    しかし、その弱点はモナコでは大きな問題になりにくい。長いストレートが少なく、低速コーナーと縁石への対応力が問われる市街地コースでは、フェラーリの強みがより前面に出る可能性がある。

    マクラーレンも認めるフェラーリのコーナー性能
    ステラは、フェラーリがモナコで有利と見られる理由をデータ面から説明した。

    「GPSデータを見ると、フェラーリがコーナーで非常に競争力を持っていることは明らかだ」とステラは語った。

    「ここモントリオールの第1セクターでも、それは見えていた」

    「縁石をうまく越えることも非常に重要だ。フェラーリが最も多くタイムを失っているのはストレートだ」

    「しかしモナコにはそのストレートがあまり多くない。だからランドがフェラーリをポールポジションの本命と見るのは正しい」

    2026年F1レギュレーションでは、エネルギーマネジメントに対する不満が続いているが、モナコではその負担も軽くなるとステラは見る。

    「ハードブレーキングのポイントが非常に多いので、ドライバーたちはそこでバッテリーを再充電するのに苦労しないだろう」

    「彼らにとって、再びより自然な感覚になるはずだ」

    「ただし、マシンにとっては完全に新しいチャレンジになる」

    フェラーリ本命でもマクラーレンは対抗馬
    ステラはフェラーリを本命としながらも、マクラーレンもモナコで高い競争力を発揮できると考えている。

    「現在の開発段階では、マクラーレンは中高速コーナーよりも低速コーナーに適している」とステラは認めた。

    「フェラーリを本命と見ているが、マクラーレンも競争力を発揮するはずだ」

    一方、フェラーリ代表のフレデリック・バスールも、カナダでの競争力は予想以上だったと認めている。

    「正直に言えば、ここまで良い状態にあるとは思っていなかった」とバスールは語った。

    「マクラーレンとメルセデスは大きなアップデートを持ち込んでいたので、我々は少し苦戦すると予想していた」

    「だがハミルトンには、両方の予選セッションでフロントロウを争うスピードがあった。彼は猛烈にプッシュし、フェルスタッペンを捕まえた。我々は改善を続けるためにファクトリーで懸命に取り組んでいる」

    フェラーリにとってモナコは、パワーユニットの弱点を隠し、コーナリング性能と縁石処理の強みを最大限に生かせる舞台となる。カナダで見せたハミルトンの好走が単発ではなかったのか、それとも市街地でさらに大きな結果につながるのか。モナコGPはフェラーリの2026年F1シーズンを占う重要な一戦になる。

  • ジェンソン・バトンが語るF1モナコGPの魅力「街全体が勝利を祝ってくれる」

    ジェンソン・バトンが語るF1モナコGPの魅力「街全体が勝利を祝ってくれる」

    ジェンソン・バトンは、F1キャリアを通じて長年暮らしたモナコについて、単なる華やかな街ではなく、レーシングドライバーにとって理想的な拠点だったと振り返った。

    2009年のF1モナコGPを制したバトンは、モナコでの勝利を「興奮、アドレナリン、安堵が一度に押し寄せる瞬間」と表現し、フェルナンド・アロンソが今後インディ500に再挑戦すれば、モータースポーツのトリプルクラウン達成の可能性があるとも語った。

    モナコはレーシングドライバーにとって理想的な生活拠点
    ジェンソン・バトンは、モナコにはヨット、華やかさ、ナイトライフという一般的なイメージがある一方で、実際に暮らすとまったく違う側面も見えてくると語る。

    「モナコはいつも、自分にとって小さな別世界のように感じられた」

    「レーシングドライバーにとって、そこは生活の一部になる。F1キャリアを通じて何年もそこに住んでいたけど、モナコを特別にしているのは華やかさ以上に、レーシングドライバーの拠点として本当に素晴らしい場所だということだ」

    フランスとイタリアがすぐ近くにあり、海沿いから山道、イタリア国境付近のカフェまで簡単に移動できる環境は、ドライバーやアスリートにとって理想的だったという。

    バトンは、モナコ在住時代に多くのスポーツ選手やF1のライバルたちと顔を合わせ、一緒にサイクリングすることもあったと振り返る。

    モナコGPは「ミスがまったく許されない」特別な一戦
    バトンにとって、モナコGPは他のどのグランプリとも違う存在だった。

    「F1での勝利はすべて意味がある。でもモナコには、歴史があるからこその特別な重みがある。これまで何人もの偉大なドライバーがここで勝ってきたことを考える」

    「そして、ミスの余地がまったくないことにすぐ気づく」

    予選が週末全体を決めるほど重要である一方、決勝も精神的には極めて厳しい。バトンは、周回を重ねるごとにバリアが近づき、コースが狭くなっていくように感じると表現した。

    「半秒たりともリラックスする機会はない。特に勝利のチャンスがあると分かっているときはなおさらだ」

    2009年の勝利と“スーパーマンデー”
    2009年にモナコGPを制したバトンは、チェッカーを最初に受けた瞬間について、興奮と安堵が同時に訪れるものだったと振り返る。

    「モナコを特別にしているのは、街全体が一緒に祝ってくれることだ」

    「バルコニーの人々、ピットウォールから身を乗り出すメカニック、港のヨットにいるファン、どこを見ても満員のグランドスタンド。公国全体が表彰台の祝福の一部になるように感じる」

    バトンは、2009年の勝利翌日を「スーパーマンデー」と呼び、月曜の正午から深夜、あるいは翌朝早くまで祝ったと明かした。

    トリプルクラウンはアロンソに可能性
    モナコGPは、ル・マン24時間レース、インディ500と並ぶモータースポーツのトリプルクラウンの一角を成す。

    バトン自身はモナコを制しているが、3つすべてを獲得する未来は想像していないという。ル・マンには挑戦したものの勝利には届かず、インディ500については強い敬意を示しながらも「自分向きではない」と語った。

    一方で、フェルナンド・アロンソについては、トリプルクラウン達成に最も近い存在だと見ている。

    「フェルナンドはおそらく、誰よりもトリプルクラウンを達成するチャンスがある。彼はすでにモナコとル・マンで勝っていて、インディでもリードしたことがある。もしもう一度挑戦したいなら、間違いなくチャンスはある」

    初めてのモナコGPで起きたヘアピンの接触
    バトンは最後に、自身初のモナコGPにも触れた。初めてモナコを走ったのは、実はF1マシンでのレースだったという。

    その年、バトンはペドロ・デ・ラ・ロサとレース序盤にヘアピンで接触した。

    「今でも彼は、あれは自分のコーナーだったと言っている。でもヘアピンのアウト側から抜こうとするのは、うまくいくはずがなかった」

    バトンはその出来事を今では笑い話として振り返っており、デ・ラ・ロサについては今年後半の別の「Jenson’s Journal」で改めて登場すると予告した。

  • F1モナコGPでアクティブエアロ禁止 FIAが“ストレートモードなし”を決定

    F1モナコGPでアクティブエアロ禁止 FIAが“ストレートモードなし”を決定

    2026年F1モナコGPでは、今季から導入されたアクティブエアロの「ストレートモード」が使用されないことが明らかになった。

    FIA(国際自動車連盟)はモナコ市街地コースにストレートモードゾーンを設定せず、安全性を優先する判断を下した。これにより、2026年シーズンで初めてストレートモードが全面的に使用されないグランプリとなる。

    アクティブエアロとは何か
    2026年の新レギュレーションでは、従来のDRS(ドラッグ・リダクション・システム)に代わり、可動式のフロントウイングとリアウイングを活用するアクティブエアロが導入された。

    ドライバーは指定された「ストレートモードゾーン」に入ることでウイング形状を変化させ、空気抵抗を減らして最高速度を向上させることができる。

    ただし、FIAは各サーキットごとに安全性やコース特性を評価した上でゾーンを設定している。

    モナコで禁止された理由
    モナコGPでは、スタート・フィニッシュストレートを含め、ストレートモードゾーンは一切設置されない。

    FIAはコース内の加速区間やブレーキング区間において、ストレートモード作動時にマシンの安定性へ悪影響を及ぼす可能性があると判断した。

    また、FIAの基準ではストレートモードの作動区間は最低3秒間継続する必要があるが、モナコにはその条件を満たす区間が存在しないとみられている。

    特に市街地コース特有の狭さやガードレールとの距離を考慮し、安全性が最優先された格好だ。

    モナコグランプリ

    オーバーテイクモードは使用可能
    一方で、2026年マシンに搭載されている「オーバーテイクモード」はモナコでも使用可能となる。

    作動ポイントは最終コーナー付近に設定されており、ドライバーは追加の電力を利用して前車への攻撃を試みることができる。

    ただし、アウディのガブリエル・ボルトレトは、モナコではエネルギー回生量が多くバッテリー不足に陥りにくいことから、大きな効果は期待しづらいとの見方を示している。

    「正直に言えば、モナコでオーバーテイクするのは難しいと思う。モナコでは回生が非常に多いから、エネルギー不足に悩まされることはほとんどない」

    「ストレートモードも使えないと理解しているので、ウイングの効果もなくなる」

    「昨年より少しでもレースが面白くなればいいと思うが、今のF1マシンは依然として大きく、オーバーテイクは簡単ではない。過去と大きく変わるとは思わないが、間違っていることを願っている」

    2025年導入の2ストップ義務も廃止
    なお、昨年のモナコGPで導入された義務的な2ストップルールは、ドライバーから賛否両論の評価が寄せられたことを受けて2026年は廃止された。

    そのため今年のモナコGPは、ストレートモードなし、2ストップ義務なしという形で開催されることになる。

    アクティブエアロという2026年最大の技術革新のひとつが封印されることで、モナコは他のグランプリとは異なる特殊なレースウイークとなりそうだ。

  • 映画『オーシャンズ11』新作 1962年F1モナコGPで“史上最大の強盗”描く

    映画『オーシャンズ11』新作 1962年F1モナコGPで“史上最大の強盗”描く

    人気クライム映画『オーシャンズ11』シリーズの新作が、1962年のF1モナコGPを舞台にした強盗劇として制作されることが明らかになった。2025年公開の映画『F1/エフワン』が世界的ヒットを記録した中、F1は再び映画の主要な題材として注目を集めている。

    今回の新作は、『オーシャンズ11』の物語以前を描く作品で、ダニー・オーシャンの原点に迫る内容となる。シリーズの主人公を形作った背景として、彼の両親が物語の中心に据えられる。

    主演のマーゴット・ロビーは、ワーナー・ブラザースの2027年公開ラインナップのプロモーション映像の中で、作品の概要について次のように語っている。

    「ダニー・オーシャンがラスベガスに足を踏み入れる前、彼のすべてを教えたのは両親だった。最盛期の彼らが、1962年のモナコGPで壮大な強盗を成功させる様子が描かれる」

    舞台となるモナコGPは、1929年に初開催され、1950年のF1世界選手権創設時からカレンダーに組み込まれてきた歴史あるレースだ。モンテカルロ港を囲む市街地コースで行われるこのイベントは、現在でもF1を象徴する存在として知られている。

    1962年のレースでは、ニュージーランド出身のブルース・マクラーレンがクーパー・クライマックスで優勝している。この勝利の翌年、マクラーレンは自身の名を冠したチームを創設し、後にF1を代表する存在となった。

    映画の中でこのレースがどの程度ストーリーに組み込まれるかは現時点で明らかになっていないが、実在の歴史的イベントとフィクションを組み合わせた構成は、シリーズの新たな方向性を示すものとなりそうだ。

    オーシャンズ11 F1 モナコグランプリ

    F1と映画の結びつきが強まる背景
    近年、F1はエンターテインメント分野との連携を強めている。2025年の映画『F1/エフワン』は、ブラッド・ピット主演、ルイス・ハミルトンがプロデューサーとして参加し、世界興行収入6億ドル超を記録する成功を収めた。

    同作の続編制作も進められており、F1を題材とした映像作品は今後さらに増えていくとみられる。その中で今回の『オーシャンズ11』新作は、実在のレースを舞台に据えた異色のクライムストーリーとして注目される。

    F1という舞台が、競技そのものだけでなく物語の背景としても存在感を高めている点は、今後のコンテンツ展開を占う上でも重要な動きとなりそうだ。

  • F1モナコGP 2ストップ義務を撤廃 2025年の混乱受け1年で方針転換

    F1モナコGP 2ストップ義務を撤廃 2025年の混乱受け1年で方針転換

    2026年F1レギュレーションの改訂により、モナコGPで義務付けられていた「決勝で3セットのタイヤ使用(実質2ストップ)」規定が撤廃された。導入からわずか1年での終了となる。

    この特別ルールは、オーバーテイクが極端に困難な市街地コースの展開を活性化させる目的で2025年に試験導入されたものだった。しかし結果的には戦略的な“隊列コントロール”を助長し、評価は大きく割れることになった。

    戦略操作がレースを支配した2025年
    2025年のモナコGPでは、中団チームを中心に一方のマシンが意図的にペースを落とし、後続を抑え込むことでチームメイトにピットストップの余裕を与える戦術が横行した。

    レーシングブルズはリアム・ローソンを“ロードブロック”として活用し、アイザック・ハジャーの上位フィニッシュを守った。結果的にその影響はフェルナンド・アロンソやエステバン・オコンにも波及した。

    ウィリアムズも同様の戦術をより極端な形で実行。アレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.の位置関係を利用して隊列をコントロールし、ダブル入賞を確保した。

    ジョージ・ラッセルが膠着状態を打破するために意図的にシケインをカットする場面もあり、戦略合戦はレースの本質を揺さぶる展開となった。

    「ショー」と「スポーツ」の間で揺れた評価
    専門家の見解は分かれた。

    スコット・ミッチェル=マルムは「レース本来の姿ではない」と厳しく批判。ベン・アンダーソンは「モナコの悪い側面を誇張しただけ」と断じた。

    ゲイリー・アンダーソンは「実質的に何も変わらなかった」とし、上位勢の順位変動がほぼなかった点を指摘した。

    一方でエディ・ストローは「ショーとしては向上したが、スポーツとしては疑問が残る」と分析。ジョン・ノーブルは「完璧ではないが退屈な前年よりは良かった」と一定の評価を与えた。

    マット・ビアは「チームは常に抜け道を見つける。モナコは土曜にドラマが集約される特異な1戦として受け入れるべきだ」と総括している。

    モナコグランプリ F1

    F1は“実験終了”を選択
    今回の規定改訂により、モナコGPは通常通りの2セット使用義務へと戻る。

    2024年に問題視された赤旗中の“無料タイヤ交換”問題への対策は別途検討が必要だが、2ストップ義務は単年実験で幕を閉じた形だ。

    30戦規模へ拡大した現代F1において、1戦くらい土曜重視のグランプリがあってもいいのか。それとも、さらなる改革が必要なのか。

    モナコは再び、その存在意義を問い直されている。

  • F1モナコGP:ルイ・ヴィトンが2026年からタイトルスポンサー就任

    F1モナコGP:ルイ・ヴィトンが2026年からタイトルスポンサー就任

    F1でもっとも華やかな一戦として知られるモナコGPが、2026年からさらにラグジュアリーな装いとなる。ルイ・ヴィトンがモナコGPのタイトルスポンサーに就任し、レース名称は「Formula 1 Louis Vuitton Grand Prix de Monaco」となることが発表された。

    複数年契約により、この新名称は2026年6月4日から7日に開催される第83回大会から使用される。ルイ・ヴィトンが2025年にF1の公式パートナーとなった流れを受け、同ブランドのF1への関与はさらに深まることになる。

    モナコとルイ・ヴィトンの長い関係
    ルイ・ヴィトンとモナコの関係は、今回が初めてではない。2021年から2024年にかけて、同ブランドはモナコ自動車クラブと提携し、特製のトロフィートランクを表彰台に提供してきた。

    このトランクは、2021年と2023年のマックス・フェルスタッペン、2022年のセルジオ・ペレス、2024年のシャルル・ルクレールによる母国初勝利、そして2025年のランド・ノリスの勝利を彩ってきた。2026年大会は、ルイ・ヴィトンの特製トロフィートランクが登場する6年連続のモナコGPとなる。

    2026年のレースウィークエンド期間中、ルイ・ヴィトンはサーキット各所で大規模なブランディングを展開する予定で、ブランドのビジュアルアイデンティティとF1の世界観を融合させた特別な演出が施される。

    また、モナコ自動車クラブは大会公式ポスターを刷新。スタート/フィニッシュラインを前面に押し出し、表彰台とルイ・ヴィトンのトロフィートランクを脇に配置するという、従来の構図を打ち破るデザインを採用した。

    モナコグランプリ

    旅とスピードが結ぶブランドのDNA
    このパートナーシップは、旅とスピードという共通の歴史を持つ両者の関係性を象徴するものでもある。ルイ・ヴィトンのモータースポーツとの結びつきは19世紀末にまで遡り、ジョルジュ・ヴィトンが自動車用トランクを手がけたことに始まる。

    その後も同ブランドは、アメリカズカップ、FIFAワールドカップ、バロンドール、パリ2024五輪・パラリンピックなど、世界的スポーツイベントのためにトロフィートランクを制作してきた。

    1929年に初開催されたモナコGPは、今なおF1で最も格式高いイベントであり、歴史、精密さ、そして名声が交差する特別な舞台だ。

    ルイ・ヴィトンは、2024年に初のモナコGPタイトルスポンサーとなった同じLVMHグループのタグ・ホイヤーに続く存在となり、すでに「Formula 1 Louis Vuitton Australian Grand Prix」のタイトルパートナーも務めている。

    2026年からのモナコは、ただ豪華に見えるだけではない。その名そのものに“ラグジュアリー”をまとうことになる。

  • F1モナコGP 2035年まで開催契約を延長 歴史的レースの未来確保

    F1モナコGP 2035年まで開催契約を延長 歴史的レースの未来確保

    F1は、モナコ自動車クラブ(Automobile Club de Monaco)との既存契約(2031年まで)を拡大し、モナコGPの開催契約を2035年まで延長すると発表した。

    1950年の世界選手権初年度からカレンダーに組み込まれてきたモナコGPは、F1における最も伝統的なレースのひとつであり、数々の歴史的瞬間を生み出してきた。

    モンテカルロの狭く曲がりくねった市街地コースは、ドライバーに極限の集中力と技術を要求する一方、その華やかさと特別な舞台設定によって、世界でも有数のスポーツイベントとして知られている。

    2024年には地元出身のシャルル・ルクレールが、F1史上初めてモナコ人として母国GPを制覇し、歴史に名を刻んだ。今年はランド・ノリスが初めてモナコで勝利を収めている。現役グリッドの中では、フェルナンド・アロンソ、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンが複数回の勝利経験を持ち、アイルトン・セナ、アラン・プロスト、ミハエル・シューマッハ、ニキ・ラウダ、ジャッキー・スチュワート、グラハム・ヒルといった往年の名ドライバーたちとともに栄光のリストに名を連ねている。

    モナコGP F1モナコGPは1950年からF1世界選手権の一部となっている

    観客向けのホスピタリティも拡充されており、パドックやF1パドッククラブに大規模な投資が行われている。今年は初めて、F1のグローバルパートナーであるMSCクルーズのEXPLORA II号がポール・エルキュール港に停泊し、パドックの目の前からイベントや観戦体験を提供した。

    F1のステファノ・ドメニカリ会長兼CEOは次のように述べた。
    「モナコの街並みはF1創設期からそのエンジン音を響かせてきました。この素晴らしいイベントを2035年まで延長できることを発表でき、大変うれしく思います。モナコGPは、ドライバーやファンすべてに愛される象徴的なレースであり、世界で最も華やかな公国ならではの雰囲気に包まれています。アルベール2世公、モナコ自動車クラブのミシェル・ボエリ会長、そしてこの歴史的パートナーシップの長期的な未来を確保するために尽力されたすべての方々に特別な感謝を申し上げます」

    モナコ公国のアルベール2世公は次のように語った。
    「モナコGPの2035年までの更新は、公国が深く結び付いてきたスポーツと歴史の伝統を継承するものです。この新たな契約は我々の共同の成功、F1との卓越した協力関係、そして国際モータースポーツ界におけるモナコの唯一無二の地位を証明するものだと歓迎いたします」

    モナコグランプリF1会長兼CEOのステファノ・ドメニカリは、モナコを「世界で最も華やかな公国というロケーションによって独自の雰囲気を持ち、すべてのドライバーとファンに愛される象徴的なレース」と称した

    モナコ自動車クラブのミシェル・ボエリ会長はこう述べた。
    「アルベール2世公の揺るぎない支援、そしてドメニカリ氏の継続的な信頼に心から感謝いたします。我々は今回の4年間の延長に大変喜んでおり、これはF1とモナコ公国の強固で永続的な関係を反映しています。この合意は、1929年に始まったモナコGPが世界中のファンを惹きつけ続ける比類なきイベントであり続けることを再確認するものです。また、F1コミュニティと多くのボランティア、そしてモナコの諸機関の尽力が、この特別なイベントの成功に不可欠であることも強調したいと思います」

    2026年に行くべき理由
    モナコに匹敵するイベントは存在しない。1世紀近くにわたり、公国の狭く曲がりくねった市街地は、正確さと勇気を試す究極の舞台を提供してきた。華やかさはすぐそこ、ガードレールはさらに近く、ミスの余地はほぼない。F1マシンが豪華ヨット、五つ星ホテル、王宮のすぐそばを駆け抜ける光景は他にない。港、カジノ・スクエア、トンネル──そのすべてが絵はがきのような光景を形作る。6月開催のため、温暖な気候、長い日照時間、街全体がレースやパーティー、ヨットイベント、セレブの姿で活気づく。

    フランス・リビエラでの休暇とF1観戦の組み合わせ以上に素晴らしいものはあるだろうか。モナコはF1の伝説的瞬間の舞台であり続けてきた。1988年、アイルトン・セナがアラン・プロストに1.4秒差をつけた伝説的な予選ラップは、セナ本人が「意識を超えた状態に達していた」と語るほどのものだった。1982年には、雨とリタイアが入り乱れる中、終盤に5人のリーダーが入れ替わる大混乱の結末を迎え、1996年にはオリビエ・パニスが唯一のF1勝利を挙げ、完走はわずか4台というレースとなった。

    2016年にはダニエル・リカルドがピット作業の失敗で勝利を逃す悲劇に見舞われ、2018年にようやく雪辱を果たした。さらに近年では2024年、シャルル・ルクレールが母国でついに悲願の初勝利を挙げ、劇的な幕開けとなった。

    2026年には新レギュレーションが導入され、モナコがヨーロッパラウンドの開幕戦を飾る予定だ。歴史的瞬間を現地で体感できる絶好の機会となるだろう。港沿いのヨットから屋上テラスまで、モナコは最も特別なF1観戦体験を提供する。F1エクスペリエンスによる2026年の観戦パッケージはすでに販売開始されており、パドッククラブやチャンピオンズクラブのオプションも用意されている。

    モナコGP F1 モナコグランプリ

  • F1モナコGP:2ストップ義務ルールを2026年も継続する背景をFIAが説明

    F1モナコGP:2ストップ義務ルールを2026年も継続する背景をFIAが説明

    F1モナコGPで義務付けられている2回のピットストップ規則が2026年のレギュレーションに戻ってくることになった。しかし、その背景はどうなっているのか?FIAがその経緯を説明する。

    モナコGPをよりファンにとってエキサイティングなものにする試みとして、FIAは今年、新たに2回の義務的なピットストップを課すルールを導入した。

    オーバーテイクが事実上不可能なモンテカルロの市街地では、少なくとも戦略的な駆け引きを増やすという発想だった。

    しかし実際には、この新ルールは予期せぬ結果を招いた。

    レーシングブルズやウィリアムズのようなチームは、この規則を巧みに利用し、1台を意図的に集団を抑える役割に回すことで、チームメイトに1回、場合によっては2回の「フリー」ピットストップの恩恵を与えたのだ。これによりレース後のパドックでは議論が巻き起こった。これはF1が目指すべき姿なのか──モータースポーツの頂点で、意図的なスロードライブが報われるべきなのか?

    ドライバーたちは今後のさらなる「レース操作」に警鐘を鳴らす

    こうした議論を受けると、モナコでの2ストップルールが2026年のスポーティングレギュレーションに戻ってきたことは、ある意味で驚きかもしれない。

    FIA世界モータースポーツ評議会による電子投票の結果、第6.3.6条は次のように改訂された。「モナコでのレースでは、各ドライバーは任意の仕様のタイヤを少なくとも3セット使用しなければならない」

    依然として全3種類のコンパウンドを使う義務はないが、3セットの使用義務は自然とモナコGPでの2回のピットストップを意味する。

    一部のチーム、特にウィリアムズにとって、このニュースは驚きだった。カルロス・サインツは公国でのレース後、最も声高に意見を述べたドライバーの一人で、この戦術を「レース操作」と呼んだ。

    「マシンが出せるペースよりも2、3秒速く落として走っている。結局のところレースを操作し、その結果を少し操作しているんだ」

    「将来的にこういうことができないようにする方法を見つけるべきだと思う。なぜなら、これから先、毎年のようにこうしたことをするチームが増える気がしているし、やがて度を越してしまうと思うから」

    モナコグランプリ F1 モナコGP

    FIAの反応:チームからのより良いアイデアに前向き
    この件について、FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスはオートスポーツ誌とのインタビューで状況を説明した。「まず第一に、我々は今年見られたことが必ずしも繰り返すべきこと、目指すべきことだとは考えていない。対処すべき問題はある」

    「現時点では、2026年のルールにはまだモナコでの2回のピットストップが含まれているが、今は8月で、来年のモナコは6月だ。我々の意図はスポーティング・アドバイザリー・コミッティーでさらに議論することだ」

    このルールは現時点では存在するが、固定されたものではない。トンバジスはこう付け加えた。「常に我々の意図は、何ができるかを見極めることだ。明らかに問題の根源はサーキットにあり、オーバーテイクがほぼ不可能、もしくは不可能であることだ。それがこれらの問題の根本原因であり、1ストップか2ストップかというのは二次的な側面にすぎない。それは常にそう考えてきた」

    「明らかにチームへの要望は、創造的で建設的であってほしいということだ。我々FIAは特定の解決策に固執していない。もしそれを改善できる提案があるなら、我々は間違いなくそれを支持する。このテーマは、今後のスポーティング・アドバイザリー・コミッティーやF1委員会の会合で議論されることになるだろう」