カテゴリー: メルセデスF1

  • メルセデスF1代表が警告「タイトル争いで問題を起こせばドライバーを降ろす」

    メルセデスF1代表が警告「タイトル争いで問題を起こせばドライバーを降ろす」

    メルセデスF1のチーム代表トト・ウォルフは、2026年のF1タイトル争いが激化するなか、キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルに対し、2014年から2016年にかけてのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグのようなチーム内抗争は二度と許さないと明言した。

    現在、メルセデスは2016年以来となるチーム内での本格的なドライバーズタイトル争いを迎えている。

    ランキング首位のアントネッリとラッセルがタイトルを争う一方、フェラーリのルイス・ハミルトンもその間に割って入る構図となっている。

    「二度と同じ過ちは繰り返さない」と断言
    2014年から2016年にかけて、メルセデスではハミルトンとロズベルグのライバル関係が激化し、コース上だけでなくチーム内でも緊張が高まった。その経験を踏まえ、ウォルフは同じ状況を再び招くつもりはないと強調した。

    RacingNews365の取材に対し、ウォルフはチーム内対立が再発する可能性について次のように語った。

    「私はそんなことは絶対に許さない」

    「そんなことは二度と私の下では起こらないし、チームでも起こらない。シンプルな話だ。もしそんなことをするドライバーがいたら、私はそのドライバーを降ろす」

    ウォルフはこれまでも、ハミルトンとロズベルグのタイトル争いからメルセデスは多くを学んだと語ってきた。ただし同様の発言は2015年シーズン開幕前にも行われており、その後も両者の関係はさらに悪化していた経緯がある。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルの不運がポイント差拡大の一因
    現時点ではアントネッリがランキング首位を59ポイント差でリードしているが、ウォルフはこの差が実力だけによるものではないと考えている。

    ラッセルは今季、マシントラブルやセーフティカーのタイミングなど、不運に見舞われるレースが続いており、ポイント差は実際以上に広がっているとの見方を示した。

    ハンガリーGPでもラッセルはスタート時のシステムトラブルに苦しんだ。ウォルフはSky Sports F1に対し、チームの責任を率直に認めた。

    「またしてもジョージのスタートを台無しにしてしまった。これは受け入れられない。我々として十分ではない」

    青旗混乱にも不満「満足できる一日ではなかった」
    ウォルフはハンガリーGPで発生した青旗運用の混乱にも言及した。自動青旗システムの不具合により各チームがドライバーへの情報共有に苦戦したことについて、他チームのエンジニアを「テレタビーズ」と皮肉った発言にも触れ、レース全体への不満を隠さなかった。

    「全体として、今日の状況にはまったく満足していない」

    「でも気持ちが落ち着けば、ドライバーズ選手権では夏休み前にしっかりとしたリードを築けたし、コンストラクターズ選手権でも良い差をつけられていることを実感できるだろう」

    「それは速いマシンと素晴らしいチームのおかげだ。VSCのタイミングのように運が悪かった場面もあったが、信頼性という点ではまだ十分とは言えない」

    メルセデスはドライバーズ、コンストラクターズの両タイトル争いで優位な立場を維持している。しかしウォルフは、チーム内の規律とマシンの信頼性を維持することが、悲願のダブルタイトル獲得に向けた最大の課題だと位置づけている。

  • F1王者争いのアントネッリに法廷問題 元マネージャーが補償求め提訴

    F1王者争いのアントネッリに法廷問題 元マネージャーが補償求め提訴

    2026年F1世界選手権をリードするメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが、元マネージャーのジョバンニ・ミナルディ氏から数百万ユーロ規模の損害賠償を求める訴訟を起こされていたことが明らかになった。

    ミナルディ氏は、アントネッリの幼少期からF1デビュー前までキャリア形成を支えたにもかかわらず、契約に基づく補償が支払われなかったと主張しており、現在イタリア・ボローニャの裁判所で民事訴訟が進行している。

    アントネッリ育成を巡る契約トラブルが法廷へ
    この問題は約1年前から水面下で続いていた。

    ジョバンニ・ミナルディ氏は、名門ミナルディF1チーム創設者ジャンカルロ・ミナルディの息子で、アントネッリの初期キャリアをマネジメントしていた人物だ。

    アントネッリは2014年にミナルディ・マネジメントと契約。当時11歳だったアントネッリのためにフェラーリ・ジュニアプログラムのテスト参加を手配したが、当時のチーム代表マウリツィオ・アリバベーネから「まだ若すぎる」と判断され加入は実現しなかった。

    その後、2018年にメルセデスのジュニアプログラムへ加入。このタイミングでミナルディ氏との関係は終了し、以降はメルセデス代表のトト・ヴォルフがマネジメントを担うことになった。

    数百万ユーロ規模の補償請求
    報道によると、ミナルディ氏はハンガリーGPを前に、F1デビュー前の2025年以前にさかのぼる契約違反を理由として、未払い補償金と契約終了に伴う損害賠償を求める民事訴訟を正式に提起した。

    双方は和解交渉も行ってきたものの、提示された条件は折り合わず、現在も数百万ユーロ規模とされる請求額を巡って争いが続いている。

    アンドレア・キミ・アントネッリ

    代理人「長年の犠牲に見合う評価がなかった」
    イタリア通信社『Adnkronos』に対し、ミナルディ氏の代理人マッティア・グラッサーニ弁護士は次のように語った。

    「ジョバンニ・ミナルディは今回の件で非常に大きな苦痛を受けた。そして通常の司法手続きに訴える以外の選択肢は残されていなかった」

    「若いドライバーのために費やした長年の仕事、犠牲、投資は、はるかに大きな評価を受けるべきだった。通常の裁判こそ唯一の手段だった」

    さらに訴訟の経緯について次のように説明した。

    「この案件は約1年前から続く非常に複雑な事件で、すでに何度も審理が行われている。ジョバンニ・ミナルディとキミ・アントネッリ、そして未成年だった当時に契約へ関与した両親との間で締結されたマネジメント契約の違反が争点となっている」

    「ドライバーがメルセデスへ移籍した際、アントネッリ側は契約条件がもはや満たされていないと判断し、そこから紛争が始まった」

    「法廷外で解決する機会もあったが、提示された条件は元マネージャー側にとって受け入れられるものではなかった。妥協点は見いだせなかった」

    ヴォルフ代表やラグリュー氏が証言する可能性も
    今後の裁判では、当時アントネッリのマネジメントを引き継いだメルセデス代表トト・ヴォルフや、当時メルセデスの育成部門でドライバー発掘を担当し、現在はレッドブルへ移籍したグウェン・ラグリュー氏が証人として法廷に立つ可能性もある。

    今回の訴訟は、F1ランキング首位で夏休みに入ったアントネッリにとって、コース外で抱える大きな法的問題として注目を集めそうだ。

  • トト・ヴォルフ FIAのブルーフラッグ混乱に激怒「幼稚なエンジニアだ」

    トト・ヴォルフ FIAのブルーフラッグ混乱に激怒「幼稚なエンジニアだ」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、F1ハンガリーGPで発生したブルーフラッグ運用の混乱について、一部チームのレースエンジニアを「テレタビーズ(英国の幼児向け番組のキャラクター)」と痛烈に皮肉り、その対応を厳しく批判した。

    FIAのシステム障害によって通常のブルーフラッグ通知が使用できず、マーシャルの旗と各チームからの無線連絡に頼る異例の運用となったことが、周回遅れのマシンを巡る混乱を招いた。ヴォルフは、エンジニアがドライバーへ適切な情報を伝えなかったことが問題を悪化させたと指摘している。

    FIAのシステム障害でブルーフラッグ運用が混乱
    ハンガリーGPではFIAのシステムに不具合が発生し、自動によるブルーフラッグ通知が使用できなくなった。そのため、各ポストのマーシャルによる旗の掲示と、各チームが無線でドライバーへ周回遅れの状況を伝える方式に切り替えられた。

    この異例の運用は複数の混乱を引き起こした。オスカー・ピアストリが周回遅れのカルロス・サインツJr.を抜こうとした際には接触事故が発生。さらに終盤には、3位争いを繰り広げていたメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリも、複数の周回遅れ車両に進路を妨げられる場面があった。

    ヴォルフ「テレタビーズのようなエンジニアだ」
    Sky Sports F1のインタビューでヴォルフは、ジョージ・ラッセルの厳しいレースを振り返った後、ブルーフラッグ対応にも強い不満を示した。

    「ジョージのレースについて言えば、僕たちとして受け入れられるものではないし、十分ではなかった」

    「それに加えてマーシャリングシステムが機能せず、後方のマシンがルイス(ハミルトン)とキミ(アントネッリ)の争いを妨げていた」

    「ピットウォールに座っていながら、後ろで何が起きているのかをドライバーに伝えないチームのエンジニアがいる。ああいう『テレタビーズ』のようなエンジニアたちの対応は本当にひどい」

    「全体として、この状況にはまったく満足していない」

    ハンガリーGP

    サインツは酌量を主張もピアストリは猛反発
    ピアストリとの接触でペナルティを受けたカルロス・サインツJr.は、ブルーフラッグシステムの不具合を考慮すれば、スチュワードはより寛大な判断を下すべきだったと主張した。

    一方で、ピアストリはその説明を受け入れず、サインツJr.の状況認識の欠如を厳しく非難した。

    「ブルーフラッグの問題があったことは知っていた。でも、マーシャルの旗はすべて掲示されていた」

    「僕はすぐ後ろにいたし、何が起きたのか信じられなかった。周回遅れのマシンに接触されるなんて、レースで起こるとは思わないことのひとつだ」

    「彼が僕を見ていなかったことはどうでもいい。見えていなかったことも、誰も知らせなかったことも、あるいは周囲への認識がまったく欠けていたことも受け入れられない」

    「彼はフェルナンドと最下位争いを、まるでワールドチャンピオン争いをしているかのように戦っていた。そのせいで僕はレースのリードを失った」

    「彼は他人には厳しいことを言うタイプだ。他のドライバーからも、これまで走り方について批判されてきた。今回のようなことをしたなら、一度自分自身を見つめ直した方がいい」

    今回のブルーフラッグ運用の混乱は、FIAのシステム障害だけでなく、各チームの情報伝達にも課題があったことを浮き彫りにした。ヴォルフの厳しい批判は、レース運営とチーム双方の改善を求める声として波紋を広げそうだ。

  • アントネッリの武器「攻撃的なターンイン」と2026年F1マシンとの相性

    アントネッリの武器「攻撃的なターンイン」と2026年F1マシンとの相性

    2026年F1シーズンの主役となっているアンドレア・キミ・アントネッリ。6勝・6ポールポジションを記録し、ドライバーズランキング首位で夏休みを迎えることが決まった。

    その快進撃は単なる才能だけでは説明できない。2026年型マシンの特性と、アントネッリならではの攻撃的なドライビングスタイルが高いレベルで噛み合っていることが、各チームやタイヤメーカーの分析から明らかになってきた。

    2026年F1マシンは「攻めるドライバー」が有利
    2026年のF1マシンは、従来のグラウンドエフェクトカーとは性格が大きく異なる。

    ダウンフォースは減少した一方で、空力バランスはより素直になり、ドライバーが積極的にマシンを動かせる特性を持つようになった。しかし、その代償としてブレーキングしながらステアリングを切る「複合入力(コンバインドフェーズ)」はこれまで以上に難しくなっている。

    その理由の一つが、空気抵抗削減を目的にさらに細くなった2026年仕様のタイヤだ。

    ピレリ・モータースポーツ責任者のダリオ・マラフスキは、その特徴を次のように説明している。

    「コーナー進入では、ブレーキングとステアリングという複数の入力を同時に行う必要があります。この状態ではフロントタイヤをロックさせずに走らせることが非常に難しく、前輪がロックしなくてもリアが不安定になることがあります」

    さらにタイヤの接地面積が小さくなったことで、グリップを失う瞬間が従来より突然訪れるようになり、ドライバーにはより繊細なコントロールが求められている。

    アントネッリの「攻撃的なターンイン」が武器
    こうしたマシン特性に対し、アントネッリは独自のドライビングスタイルで対応している。

    彼の最大の特徴は、コーナー進入時にステアリングを素早く大きく切り込み、意図的にフロントタイヤを限界まで使うことだ。

    マラフスキは、この操作について次のように説明する。

    「一部のドライバーは、コーナー進入でフロントタイヤを意図的に飽和させます。非常に素早くステアリングを切ることで、一時的にマシンをアンダーステア気味にし、その間にリアタイヤを安定させるのです」

    「その後、フロントタイヤが徐々にグリップを取り戻し、結果として安定した旋回につながります。ただし、この走らせ方はタイヤ温度や摩耗にも大きな影響を与えます」

    アントネッリ自身も、自らのスタイルについて率直に語っている。

    「これは僕のスタイルそのものです。ブレーキングから旋回までの時間をできるだけ短くして、コーナーをハンカチで包むようにコンパクトにまとめようとしています」

    「最後の瞬間までブレーキを残して、一気にステアリングを切る。かなり攻撃的な走り方ですね」

    このスタイルでは通常よりも大きな舵角を使い、低速から中速コーナーでマシンを素早く回転させることができる。

    実際、スパ・フランコルシャンではラ・ソースや最終シケインで、その特徴的な操作がオンボード映像からも確認できた。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ラッセルとの違いをライバルも注目
    同じメルセデスを駆るジョージ・ラッセルとの違いは非常に明確だ。

    ラッセルは従来から、滑らかで段階的にステアリングを切るスタイルを得意としてきた。この走り方はグラウンドエフェクトカーでは高い効果を発揮したが、2026年型マシンでは必ずしも最適とは言えなくなっている。

    マクラーレンF1代表のアンドレア・ステラも、その違いに注目している。

    「ラッセルとアントネッリではステアリング操作が明らかに異なる。オンボード映像を見れば一目瞭然だ」

    さらにステラは、アントネッリの優位性はマシン性能だけでは説明できないと分析する。

    「モナコやカナダで彼が見せた速さは、空力性能だけでは説明できません。タイヤの使い方やドライビングスタイルが大きく影響しています」

    そして2026年マシンについて、こう結論付けている。

    「今年のマシンは常に攻め続けることを要求しています。ステアリング操作を滑らかにし、フロント主体で丁寧に旋回させようとしても、ラップタイムには結び付きません」

    才能だけではない「2026年仕様」への適応力
    もちろん、アントネッリの速さはドライビングスタイルだけで説明できるものではない。セットアップやタイヤマネジメント、卓越した才能も重要な要素だ。

    それでも、2026年マシンが求める「積極的に攻める運転」と、アントネッリ本来の攻撃的なスタイルが見事に一致していることは、多くの関係者が認めるところとなっている。

    特にグリップの低い路面では、タイヤを積極的に使い切る能力が大きな武器となり、その適応力が今季の6勝という圧倒的な結果につながっている。

    2026年の新レギュレーションは、マシンだけでなくドライバーにも新たな適応を求めている。その変化を最も早く、そして最も高いレベルで自分の武器に変えたのが、現在ランキング首位を走るアンドレア・キミ・アントネッリなのである。

  • 「トップ・オブ・ザ・パック」説は誤り メルセデスF1がラッセル失速の真因を説明

    「トップ・オブ・ザ・パック」説は誤り メルセデスF1がラッセル失速の真因を説明

    ジョージ・ラッセルのF1ハンガリーGPでのスタート失敗について、メルセデスが当初の見解を修正した。レース直後には2026年型パワーユニット特有の「トップ・オブ・ザ・パック(Top of the Pack)」現象が原因と考えられていたが、その後の詳細な解析により、実際にはグリッド上での回転数制御(レブコントロール)の異常だったことが判明した。

    このトラブルによりラッセルはスタートでアンチストールが作動し、大きく出遅れた。それでも最後尾近くから追い上げて7位まで挽回したが、タイトル争いでは再び痛いポイントロスとなった。

    「トップ・オブ・ザ・パック」説が浮上した理由
    レース直後、ラッセルはマシンがスロットル操作に反応しなかったと説明していた。

    「アクセルを踏んで回転数を維持していたんだけど、スタートの約4秒前に突然エンジン回転が勝手に上下し始めたんだ」

    「僕はスロットルを調整して対応しようとしていたけど、まったく反応しなかった。エンジンがスロットル入力に応答していなかった」

    チーム代表のトト・ヴォルフも当初は異常な挙動を認めていた。

    「約10%のスロットル開度で突然エンジン回転が最大まで上がり、その後アクセルを戻すと今度は失速した。こうしたミスがあまりにも多いことには本当に満足していない」

    これらの症状から、チーム内では2026年型パワーユニット特有の「トップ・オブ・ザ・パック」現象が発生した可能性が疑われた。クールダウンルームで映像を見たアンドレア・キミ・アントネッリも、当初は同じ見解を示していた。

    「トップ・オブ・ザ・パック」とは何か
    「トップ・オブ・ザ・パック」は、2026年F1マシンの複雑なスタート手順で発生する可能性がある現象だ。

    ドライバーはスタート前に数秒間エンジンを高回転で維持し、排気エネルギーを蓄えてターボを立ち上げる必要がある。これは発進直後、時速50kmまではMGU-Kによる電力アシストが使用できないため、その間の加速性能を確保する狙いがある。

    しかし、この間にバッテリーが満充電状態、いわゆる「トップ・オブ・ザ・パック」になると、MGU-Kがエンジンへ負荷をかけられなくなる。その結果、ターボが十分に立ち上がらず、エンジン回転だけが急上昇し、燃料流量やスロットル開度が制限されて正常なスタートができなくなることがある。

    マクラーレンのパフォーマンス担当テクニカルディレクター、マーク・テンプルは以前、この仕組みについて次のように説明していた。

    「ターボはエンジンに負荷がかかっている方がうまく立ち上がる。停止状態で空ぶかししても十分な負荷は得られない」

    「MGU-Kはエンジンに負荷を与えながらバッテリーを充電できるが、バッテリーが満充電になるとその負荷をかけられなくなり、ターボも十分に立ち上がらなくなる」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    実際の原因は回転数制御の異常
    しかし、メルセデスがレース後に実施した詳細なデータ解析により、「トップ・オブ・ザ・パック」説は否定された。

    実際には、グリッド上でエンジン回転数を一定に保つレブコントロール機能に異常が発生し、回転数が大きく変動していたことが原因だった。

    ラッセルはその変動を抑えようとスロットル操作を繰り返していたが、不運にもスタートシグナルが消えた瞬間のスロットル開度は約10%しかなかった。そのため十分な駆動力を得られず、アンチストールが作動してしまった。

    また、今回の問題にはハンガロリンク特有の長いスタートシーケンスも影響した可能性がある。ハンガリーGPでは青色ライト点灯から赤シグナル消灯まで約13秒を要し、前戦ベルギーGPの約10秒より長かった。

    ラッセルは、チーム全体で原因究明を進めていると語った。

    「もちろん問題は起きているけど、チーム全員が同じように悔しがっている。僕と同じくらい腹を立てているよ」

    「自分たちに原因がないのか、こうしたミスにつながる要素がないのかを徹底的に見直さなければならない」

    「こんなシーズンは僕のキャリアで経験したことがない。F1だけでなく、レース人生全体を通じても初めてだ」

    今回の解析により、メルセデスはラッセルのスタート失敗が当初疑われた「トップ・オブ・ザ・パック」現象ではなく、回転数制御システムの異常によるものだったと結論づけた。2026年の新レギュレーション下ではスタート手順が極めて複雑化しており、わずかな制御の乱れがレース全体を左右することを改めて浮き彫りにした。

  • レッドブルF1 ジュニア育成責任者にメルセデスのグウェン・ラグルーを招聘

    レッドブルF1 ジュニア育成責任者にメルセデスのグウェン・ラグルーを招聘

    レッドブル・レーシングは7月27日(月)、2027年からグウェン・ラグルーをレッドブル・ジュニア・プログラムのディレクターに任命すると発表した。

    ラグルーはメルセデスで11年間にわたり若手育成部門を率い、ジョージ・ラッセルやアンドレア・キミ・アントネッリらをF1へ送り出した実績を持つ。2025年末に退任したヘルムート・マルコの後任として、レッドブルの将来を担う若手ドライバーの発掘・育成を指揮することになる。

    メキース代表「F1最高の人材育成者の一人」
    レッドブル・レーシングのCEO兼チーム代表を務めるローレン・メキースの直属となるラグルーは、2027年からチームのリーダーシップ・チームにも加わる。

    メキースはラグルーの加入について、次のように歓迎した。

    「グウェンはF1界でも最高の人材育成者の一人だ。若手ドライバーを育てるうえで彼が持つ専門知識、リーダーシップ、そして情熱を私は身をもって知っている」

    「レッドブル・ジュニア・プログラムは、これまでもレッドブルの成功の礎だった。その指揮をグウェンに託すことは、次世代のF1人材育成を今後も重視していくという我々の姿勢を示すものだ」

    メキースはまた、20年以上にわたってジュニア・プログラムを築き上げたヘルムート・マルコの功績にも改めて敬意を表した。

    「今日あらためて、20年以上にわたってジュニア・プログラムを創設し率いてきたヘルムート・マルコの並外れた貢献に感謝したい」

    「彼のビジョン、献身、そして卓越した才能を見抜き育てる能力によって、このプログラムはF1のベンチマークとなった。その功績は計り知れない」

    さらにメキースは、ラグルーの招聘がチーム全体の強化策の一環であることを強調した。

    「オラクル・レッドブル・レーシングの新たな時代を築くうえで、グウェンのような人材を迎え入れることは我々の目標達成に不可欠だ」

    「組織のあらゆる分野で優れた人材を集め、高い競争力を持つ組織づくりを進めている。グウェンはその重要な一員となる。これまで築いてきた強固な土台をさらに発展させ、将来に向けてプログラムを進化させていく」

    レッドブル・レーシング グウェン・ラグルー

    メルセデスから新たな挑戦へ
    ラグルーは今回の決断について、メルセデスでの11年間を振り返りながら、新たな挑戦への意欲を語った。

    「オラクル・レッドブル・レーシングに加わることは、私にとって刺激的な新しい章の始まりだ」

    「メルセデスで忘れられない11年間を過ごしたあと、個人としてもプロフェッショナルとしても成長を続けるために、新たな挑戦を受け入れるべきタイミングだと感じた」

    また、レッドブルの育成システムの歴史と実績を高く評価した。

    「レッドブル・ジュニア・プログラムは、モータースポーツ界で最も尊敬され、成功を収めてきたドライバー育成プログラムのひとつだ」

    「F1史に残る数多くの才能を輩出してきた。その優秀なチームを率い、新たな歴史を築く機会を得られたことは本当に光栄だ。ローレンをはじめ、チーム全員と仕事ができることを楽しみにしている。この機会を与えてもらえたことに心から感謝している」

    最後にラグルーは、レッドブルの育成哲学をさらに発展させる決意を示した。

    「この素晴らしい土台の上に、プログラムが築いてきた偉大な伝統をさらに発展させ、未来に向けて進化させていきたい。そして、この20年間レッドブルが繰り返し実現してきたように、次世代のF1優勝ドライバーや世界チャンピオンを発掘し、育成し、送り出していきたい」

    レッドブル・ジュニア・プログラムはこれまでに、セバスチャン・ベッテル、マックス・フェルスタッペン、ダニエル・リカルド、カルロス・サインツ、ピエール・ガスリーら数多くのトップドライバーを輩出してきた。ラグルーはメルセデスでラッセルやアントネッリらを育てた経験を生かし、2027年から次世代スターの発掘・育成という重要な役割を担うことになる。

  • キミ・アントネッリ F1ハンガリーGPで3位「ダメージを最小限に抑えられた」

    キミ・アントネッリ F1ハンガリーGPで3位「ダメージを最小限に抑えられた」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1ハンガリーGPで3位表彰台を獲得し、ドライバーズ選手権でのリードをさらに拡大した。

    メルセデスにとって厳しい週末となったハンガロリンクだったが、アントネッリは戦略をうまく生かして上位争いを展開。タイトル争いのライバルを上回る結果を残し、サマーブレイク前に理想的な形で前半戦を締めくくった。

    戦略でつかんだ3位表彰台
    予選ではマクラーレン勢やフェラーリ勢に及ばず4番手だったアントネッリ。しかし、黄旗区間での違反により3グリッド降格ペナルティを受け、7番グリッドから決勝に臨んだ。

    これまでのようなフロントロースタートとは異なる状況だったが、メルセデスは他車とは異なる戦略を選択。ライバルがピットストップを行う間に順位を上げた。

    当初は1ストップ戦略を目指したものの、タイヤの摩耗が限界に近いと判断され、最終的には2回目のピットストップを実施。その後、バーチャルセーフティカー(VSC)のタイミングでフェラーリ勢がピットインしたことで再び3位に浮上した。

    終盤は新品ソフトタイヤを履くフェラーリ勢の猛追を受けたが、ハードタイヤでポジションを守り切り、さらにルイス・ハミルトンがピットレーン速度違反によるタイムペナルティを受けたこともあり、3位フィニッシュを果たした。

    「厳しいレースだった。オーバーテイクが本当に難しかったから、戦略で勝負するしかなかった」とアントネッリは振り返った。

    「最初は1ストップを狙っていたけど、チームから『タイヤが限界に近い』と言われてピットに入った」

    「その後、バーチャルセーフティカーが出てフェラーリ勢がピットインした。僕はハードタイヤで、彼らはソフトタイヤだったから、本当に厳しい展開になると分かっていた。でも、何とか後ろに抑えることができた」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ランキング首位を50ポイント差に拡大
    メルセデスはハンガロリンクでライバル勢に後れを取った。ジョージ・ラッセルもスタート直後のアンチストール作動による後退から7位まで挽回したものの、本来の速さは示せなかった。

    それでもアントネッリは3位を獲得し、ラッセルとハミルトンの両タイトル争いのライバルを上回るポイントを獲得。ランキングではフェラーリ勢に対して50ポイントのリードを築き、ラッセルとの差もさらに9ポイント広げた。

    シーズン前半を理想的な形で終えたことについて尋ねられると、アントネッリは満足感を口にした。

    「いや、正直ここまでとは思っていなかった。もちろん、とても嬉しいよ。サマーブレイクに入る最高の形になった」

    「今日はダメージを最小限に抑えられたレースだったと思う。後半戦は間違いなく厳しくなるから、これからもプッシュし続けなければならない。僕たちはベストを尽くすつもりだ」

    ハンガロリンクでは苦戦を強いられたメルセデスだったが、アントネッリは難しい週末を表彰台という最高の形で締めくくり、タイトル争いでもさらに有利な立場を築いてサマーブレイクを迎えることになった。

  • ジョージ・ラッセル F1ハンガリーGPスタート失速「エンジン回転が勝手に上下」

    ジョージ・ラッセル F1ハンガリーGPスタート失速「エンジン回転が勝手に上下」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1ハンガリーGP決勝のスタートで大きく順位を落とした原因について、スタート直前にエンジン回転数が異常な挙動を示し、アンチストール(エンスト防止機能)が作動したためだったと明かした。

    6番グリッドからスタートしたラッセルは、シグナル消灯と同時にマシンが加速せず、一気に最後尾まで後退。それでも見事な追い上げを見せて7位まで挽回したが、またしてもメルセデスの技術的トラブルに見舞われる結果となった。

    スタート直前にエンジンが異常な挙動
    ラッセルによると、異変はスタートシグナルが消灯する約4秒前に発生したという。

    「回転数を維持するためにアクセルを踏んでいたんだけど、スタートライトが消える4秒くらい前に、突然エンジン回転が勝手に上下し始めたんだ」

    「アクセルで調整しようと反応していたけど、まったく効かなかった。つまりエンジンがアクセル操作に反応していなかったんだ」

    その結果、クラッチをつないだ瞬間にマシンは失速し、アンチストールが介入。一気に最後尾付近まで後退した。

    レース後、同様のトラブルを経験したことがあるかと問われたラッセルは、新品のパワーユニットで発生した予期せぬ問題だったと説明した。

    「いや、初めてだ。今回は新品のエンジンだった。プレシーズンテストで似たような症状を見たことはあったと思う。でも詳しい原因は分からない」

    トト・ヴォルフ「ミスが多すぎる」
    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフも、エンジン制御の異常が原因だったことを認め、チーム側の度重なるトラブルに強い不満を示した。

    「またジョージに問題が起きてしまったようだ」

    「10%ほどアクセルを開けたところでエンジン回転が最大まで跳ね上がり、その後アクセルを戻すと今度は失速した。こうしたミスがあまりにも多すぎることに、本当に満足していない」

    「それがスタートで順位を落とした理由だ。その後は非常にいいレースをした。トラフィックをうまく処理し、獲得可能だった最大限の結果を持ち帰ったと思う」

    「失望する段階は過ぎた」
    ラッセルはレース後、自身の2026年シーズンについて「失望する段階はもう過ぎた」と率直な心境を語った。

    「毎回起こることにいちいち失望していたら、毎日失望し続けることになる。だから前向きでいようとしている」

    「また技術的な問題でレースが完全に台無しになってしまった。でもポジティブな点もある」

    「レースペースは本当に良かった。チームからも誰にも引けを取らないペースだったと言われた。そんな感触はここ2〜3戦はなかったからね」

    「そこは前向きに受け止めたい。でも今シーズンに起きたことを並べていくと、本当に信じられないくらいだ」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    不運が続く2026年シーズン
    今回のトラブルは、ラッセルにとって今季続く不運の新たな一例となった。

    前戦ベルギーGPではオープニングラップで電力デプロイメントに問題が発生して順位を落とし、その後ルイス・ハミルトンとの接触も喫した。

    さらに今季は、カナダGPで首位走行中のパワーユニット故障、モナコGPで本来受ける必要のなかったピットレーン速度違反によるドライブスルーペナルティ、シルバーストンでのストレートスピード不足、日本GPでバーチャルセーフティカーのタイミングに勝利のチャンスを阻まれるなど、不運が続いている。

    それでもハンガリーGPでは最後尾付近から7位まで追い上げ、メルセデスW17のレースペースには確かな手応えを得た。チームはスタートトラブルの原因究明を急ぐとともに、後半戦に向けて信頼性の改善が求められる。

  • ジョージ・ラッセル F1ハンガリーGP予選で水漏れ「タイヤに水鉄砲を撃たれていた」

    ジョージ・ラッセル F1ハンガリーGP予選で水漏れ「タイヤに水鉄砲を撃たれていた」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1第11戦ハンガリーGP予選でメルセデスW17に発生した水漏れについて、「タイヤに水鉄砲を撃たれているような状態だった」と明かした。

    メルセデスは原因がターン4の縁石を乗り越えた際に発生した可能性が高いと説明し、決勝に向けてパワーユニットを今季4基目へ交換したことも明らかにした。

    ラッセルは予選で7番手を獲得したものの、セッション終了後にマシンをコース脇へ停止。今季はベルギーGPでのソフトウェア不具合に続く信頼性トラブルに見舞われたが、決勝では金曜日に示したロングランのパフォーマンスを生かして挽回を狙う。

    ターン4の縁石で水漏れ発生
    メルセデスはハンガリーGPの週末を通じ、1周の速さでフェラーリやマクラーレンに後れを取っていた。オーバーテイクが難しく、予選順位が重要となるハンガロリンクで、ラッセルはQ3最初のアタックで7番手につけた。

    ラッセルは最後のアタックへ向かったが、ターン13でマックス・フェルスタッペンがスピンしたことで黄旗が提示され、タイム更新を断念。そのまま7番手で予選を終えた。

    しかし、チェッカーフラッグ後にマシンの異常が発生し、メルセデスからマシンを停止するよう指示を受けたラッセルはターン1付近でW17を止めた。

    予選後、ラッセルは水漏れが発生していたことを明かした。

    「水圧を失って、水漏れが起きていた。コース上で止まったときには、マシンから大量の水が漏れていた」

    「どこから漏れたのかはまだ分からない。明日に影響しないことを願っている」

    その後、メルセデスの調査により、水漏れはターン4で縁石を大きく乗り越えた際に発生した可能性が高いことが判明した。

    チーム代表のトト・ウォルフは次のように説明した。

    「ジョージは水漏れで運が悪かった。期待外れのセッションだった」

    「水漏れは縁石に乗った際に発生したようだ」

    「タイヤに水鉄砲を撃たれていた」
    ラッセルによると、水漏れは最後のアタックにも影響を及ぼしていたという。

    「大きな影響はなかったと思う。ただ、水漏れがあって、タイヤ温度のデータを見ると、最後のラップではタイヤに水が噴きかかっていた。だから最後のラップはひどいものだった」

    「おそらく、それには理由があったと思う。タイヤに水鉄砲を撃たれているような状態だったからね。それでグリップが増えるわけではない」

    水がどのタイヤにどの程度かかっていたかは明らかにされていないが、タイヤ表面の温度を下げ、グリップ低下を招いた可能性がある。

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    予選ペース不足はタイヤの課題
    ラッセルは、水漏れだけが7番手という結果の原因ではないと認めた。

    メルセデスは今週末を通して予選でタイヤを適切な作動温度まで持っていくことに苦戦しており、それが1周のパフォーマンス不足につながっていたという。

    「実際のところ、今週末はずっとペースがなかった」

    「レースペースではかなり強そうに見えている。予選用セットアップと決勝用セットアップの間で正しいバランスを取れたのか。それが明日になれば分かると思う。今日は一日中、タイヤを作動させるのに苦労していた」

    さらに金曜日のデータを踏まえ、決勝への期待も口にした。

    「昨日は予選シミュレーションではもっと差があったけど、レースペースでは僕たちが最速だった。つまり問題はマシンというよりタイヤにあるということだと思う」

    「予選仕様に振ればもっと速いマシンにできたかもしれない。でも、その代償として決勝のパフォーマンスを失っていただろう」

    「明日になれば、そのバランスが正しかったか分かる。このサーキットではオーバーテイクはとても難しいから、もっと前からスタートできれば良かった」

    今季4基目のPU投入 夏休み明けの降格リスクも
    メルセデスは予選後、ラッセルのパワーユニットを今季4基目へ交換したことを明らかにした。

    規定の使用枠内での交換となるため、今回の交換によるグリッド降格ペナルティは科されない。

    しかし、今後5基目の内燃エンジン(ICE)を投入した場合は、自動的にグリッド降格ペナルティを受けることになる。

    アンドレア・キミ・アントネッリもすでに4基目のパワーユニットを使用しており、メルセデス勢は夏休み明け以降のどこかでエンジン交換による降格を強いられる可能性が高まっている。

    ラッセルは現在、ランキング首位のチームメイトであるアントネッリに50ポイント差をつけられている。一方で、アントネッリは予選後に黄旗区間で十分に減速しなかったとして3グリッド降格処分を受けたため、ラッセルは決勝を6番グリッドからスタートすることになった。

    水漏れという新たなトラブルに見舞われたメルセデスだが、決勝ではロングランで示した競争力を生かし、上位進出を目指すことになる。

  • メルセデスF1 スパで発覚のソフトウェア不具合は2台共通 ラッセル側で深刻化

    メルセデスF1 スパで発覚のソフトウェア不具合は2台共通 ラッセル側で深刻化

    メルセデスは、F1ベルギーGPでジョージ・ラッセルのパワーユニットのエネルギー供給に影響したソフトウェア上の不具合が、キミ・アントネッリのマシンにも存在していたことを明らかにした。ただし、使用していたパワーユニットの走行距離の違いにより、ラッセル側でより深刻な影響が表れたという。

    不具合は、パワーユニットのエネルギー供給を制御するソフトウェアに関するものだった。

    2台には同一のコードが搭載されていたが、アントネッリが比較的新しいパワーユニットを使用していた一方、ラッセルのユニットは走行距離が多く、ソフトウェアの問題と重なったことでエネルギー供給性能が大きく低下した。

    シルバーストンでも兆候 スパで問題が顕在化
    メルセデスの副テクニカルディレクターを務めるシモーネ・レスタは、チームが不具合を特定するまでに直面した技術的な難しさについて説明した。

    「誰もが知っている通り、パワーユニットに関しては非常に複雑な新レギュレーションになっている」

    「まだかなり初期の段階だ。ここまで10戦を終えただけで、学ぶべきことは数多くある。我々自身も、HPPの仲間たちとともに、今も多くのことを学んでいる」

    「ソフトウェアにバグが見つかり、それに対応しなければならなかった。シルバーストンの時点ですでに兆候はあったが、スパでは問題がより明確になった」

    スパ・フランコルシャンは、パワーユニットによるラップタイム差が特に大きくなりやすいサーキットのひとつである。長い全開区間を持つため、エネルギー供給の不足は最高速や加速性能に直接的な影響を及ぼす。

    「スパはパワーによるラップタイム差が最も大きいサーキットのひとつだ。ブダペストを迎えるにあたり、ようやく問題を理解し、解決できたと考えている」

    同じ不具合でもラッセルへの影響が大きかった理由
    レスタは、2台に同じソフトウェアが搭載されていたことを認めた上で、パワーユニットの使用状況など、複数の要因がラッセルの苦戦を悪化させたと説明した。

    「ソフトウェアはすべてのマシンで同じであり、この問題もすべてのマシンに存在していた。ただ、ジョージへの影響はキミよりも大きかった」

    「直近数戦のパフォーマンスを比較する際には、キミがより新しいパワーユニットを使用していたことも考慮しなければならない。当然ながら、新しいパワーユニットは走行距離の多いユニットよりも常に少し性能が高い」

    「今後数戦ではジョージ側にも新しいパワーユニットが投入されるため、この状況は変わってくる」

    パワーユニットは使用距離が増えるにつれて性能や効率がわずかに低下する。今回のケースでは、ソフトウェアの不具合に加え、ラッセルとアントネッリのパワーユニット使用計画が異なる時期にあったことが、両者の差を拡大させた。

    「つまり、さまざまな要素が少しずつ重なっていた。ソフトウェアの問題もあったが、キミとジョージのプログラムが異なる段階にあったことも関係している。最終結果を見る際には、それらすべてを合算して考える必要がある」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルの指摘が原因究明を後押し
    スパではエネルギー供給不足によってラッセルの直線速度が低下し、オープニングラップのケメルストレートでルイス・ハミルトンとの接触につながった。ラッセルはこの事故によってレースをリタイアしている。

    結果は厳しいものとなったが、メルセデスは、問題を詳細に分析し、エンジニアにフィードバックを続けたラッセルの役割を高く評価している。

    「まずチームとして、我々に問題を提起し、集中すべき改善点を示してくれたジョージに本当に感謝している」

    「彼は状況を理解し、問題点を我々に伝えるという点で非常に良い仕事をしてくれた。我々は最終的に解決策を特定し、このレースに向けて修正を施すことができた。チームのために取り組んでくれたジョージに感謝している」

    「もちろん、彼も我々が問題の根本原因を突き止め、解決できたことを喜んでいる。良いチームワークだった。決して簡単な作業ではなかった」

    「新レギュレーションの下では、まだ学ばなければならないことが数多くある。それでも、今回の対応は一歩前進だ」

    メルセデスはハンガリーGPに向けてソフトウェアの修正を完了した。さらに今後はラッセル側にも新しいパワーユニットが投入される予定であり、チームは再び2台が同等の条件で戦えるようになると期待している。