カテゴリー: メルセデスF1

  • ラッセル メルセデスF1との契約延長遅れは「フェルスタッペンが要因」

    ラッセル メルセデスF1との契約延長遅れは「フェルスタッペンが要因」

    ジョージ・ラッセルは、メルセデスとの新契約がなかなか決まらない理由について、チームがマックス・フェルスタッペンの獲得を目指していることが背景にある可能性を示唆した。

    今季末で現行契約が満了となるラッセルについて、メルセデスの代表トト・ヴォルフは「時間の問題にすぎない」とし、ブラックリーのチームに残留することは既定路線だと示していた。

    しかしヴォルフはレッドブルからフェルスタッペンを引き抜くことにも強い関心を抱いており、シーズン序盤こそその熱意はやや冷めたとされるが、それはラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの好調なパフォーマンスによるものだった。現在、ラッセルはレッドブルのフェルスタッペンに対して19ポイント差で今週末のオーストリアGPに臨んでいる。

    フェルスタッペンは、2026年から施行される新レギュレーション初年度もレッドブルに残留する可能性を示唆しているが、その後の去就は依然として不透明だ。彼の現行契約は2028年末までとなっている。

    フェルスタッペンは、F1が新時代に突入した際にレッドブルがどこまで競争力を維持できるかを見極めたうえで判断を下すとみられており、仮にレッドブルを離れる場合は、どのチームのシートも選び放題になる可能性が高い。

    契約延長の話が進展しない中で、ラッセルはその理由についてフェルスタッペンを追っていることにあると語った。

    「僕からすれば、特に心配することは何もないと思っている。チームとしての姿勢がどこにあるか、それによるんだ」とラッセルはSky Sports F1に語った。

    「今の僕たちは2番手か、もしかしたら3番手かもしれない。少しオーバーパフォーマンスしてるおかげで2番手に見えているだけかもしれない」

    「でもメルセデスというチームは、再び頂点に返り咲くことを目指している。もしトップに返りたいなら、最強のドライバー、最高のエンジニア、最も優れたピットクルーが必要になる。だからメルセデスがそういう人材を求めて動いているのはごく自然なことだ」

    「だからフェルスタッペンのようなドライバーとの会話が続いているのは普通のことだと思う。でも僕としては、今のように結果を出せていれば何も心配することはない。どのF1チームにもシートは2つあるからね」

    マックス・フェルスタッペン メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    さらに他メディアに対してラッセルは、契約延長の遅れがフェルスタッペンに関係しているという認識を改めて語った。

    「トトからはっきりと、僕の今年のパフォーマンスは誰と比べても遜色ないと言ってもらっている」とラッセルは述べた。

    「たった一人、比較対象になるかもしれないドライバーがいる――これは僕の言葉じゃなくて、トトの言葉だけどね。だから僕は将来についてまったく不安を感じていないんだ」

    「でも、どのチームにもシートは2つある。だから彼は、誰をその2人にするかを考える必要があるわけで、それが遅れの理由なんだと思う」

    「今の僕にとってやるべきことはただ一つ、速く走ること。それさえできていれば、心配することは何もない。逆に、速く走れなくなったら、初めて人々が騒ぎ出すんだ」

  • メルセデス F1オーストリアGPで新リアサスペンションが最大の試練に直面

    メルセデス F1オーストリアGPで新リアサスペンションが最大の試練に直面

    カナダとイタリアで異なる結果を見せたメルセデスのアップデート。W16に導入されたリアサスペンションの新仕様が、次戦オーストリアで真価を問われることになる。

    モントリオールでメルセデスは、今年のW16が抱えてきたリアタイヤ表面のオーバーヒート問題を解消するため、エミリア・ロマーニャGPで初導入されたリアサスペンションを再投入した。

    イモラでの初戦で苦戦したことを受け、メルセデスはモナコとスペインの週末ではこの新サスペンションの使用を見送り、比較データを収集することを優先した。イタリアでの低調なパフォーマンスが新サスペンションに起因するものなのか、確証を得るためだった。

    そしてカナダGPで再びこのアップデートを投入。決断の背景には、新サスペンションが追加の問題を引き起こした明確な証拠は得られなかったというチームの分析がある。カナダGPでは路面温度が50度近くに達したものの、ジル・ビルヌーブ・サーキットには高負荷コーナーが少なく、ソフト寄りのタイヤ3種類の管理が比較的容易だった。

    この新リアサスペンションがジョージ・ラッセルの優勝とアンドレア・キミ・アントネッリの初表彰台にどれほど貢献したかは断定できないものの、メルセデス代表のトト・ヴォルフは「正しい方向には進んでいる」と語る。

    「我々が新しいリアのジオメトリーを導入したのは、リアタイヤ表面のオーバーヒートという特定の問題への対処が目的だった」とヴォルフは述べた。

    「イモラでは期待よりも悪い結果だったから、その後(モナコとバルセロナで)外したのは正しい判断だったと思う」

    「カナダで再導入したのは、開発の方向性が正しいと信じたからだ。ただ、今のレギュレーションの中では、開発が成功するかどうかの見極めは本当に難しい。相関性の問題は我々だけではなく、多くのチームが直面している課題だ」

    「加えて、サーキットのレイアウトやアスファルトの性質といった他の要素もある。クルマが単なる“表彰台に届く”レベルから“圧倒的な勝者”になるための魔法のソリューションなんて存在しない」

    「それでもデータが増えれば、それだけ学びも得られる」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ F1 オーストリアグランプリ

    もしメルセデスがこの新しいリアサスペンションの仕様を維持するなら、オーストリアは真の試金石となる。ヨーロッパが夏の陽気に包まれる中、レッドブル・リンクでは30度前後の気温が予想されており、昨年同様に路面温度が50度を超える可能性もある。

    メルセデスは高温コンディションでリアタイヤ表面にグレイニングが生じ、グリップを失うという弱点を抱えていた。リアがグレイニングを起こすとスライドが発生し、タイヤ表面と内部(カーカス)との温度差が広がって、さらに症状が悪化する。

    仮にこの新サスペンションが、改良された荷重経路によって表面温度とカーカス温度の整合性を改善できているのであれば、オーストリアGPの多彩なコーナーにも十分に対応できるはずだ。

    このサーキットでは、6・7コーナーの連続左コーナーが数少ない長めのコーナーにあたるが、9コーナーも左タイヤに高い負荷がかかるため、スピードの維持が求められる。

    いずれにせよ、これらのコーナーは新サスペンションがタイヤを最適な作動温度帯に保てているかどうかを測る良い試金石になる。今回もC3、C4、C5の3種のタイヤが投入されるため、昨年のタイヤマネジメントとの比較も可能になる。

  • ジョージ・ラッセル 母国F1イギリスGPでメルセデスとの新契約発表の可能性

    ジョージ・ラッセル 母国F1イギリスGPでメルセデスとの新契約発表の可能性

    トト・ヴォルフは、メルセデスの2026年F1ドライバーラインアップを巡る憶測に終止符を打つ準備が整いつつあるようだ。

    オーストリア出身のヴォルフが、好調なジョージ・ラッセルとの契約延長交渉を先延ばしにすることで、マックス・フェルスタッペンに対して“扉を開けている”状態にしていることは明白だ。

    ただし、それと同時に、フェルスタッペンがレッドブルを離脱するという噂が、ここ数週間で大幅に後退していることも比較的明らかである。

    それは、モントリオールでポール・トゥ・ウィンを達成したラッセルにとっては朗報だ。

    「新契約がシルバーストンで発表される可能性があると、多くの人が見ている」と語るのは、独『Auto Motor und Sport』のミハエル・シュミット記者。

    しかし、それは単に“不確実性”という憶測の矛先がラッセルからルーキーのアンドレア・キミ・アントネッリに移るだけかもしれない。

    オーストリア紙『Österreich』も、「もしラッセルが2026年も残留するなら、アントネッリの将来がどうなるかは不透明だ」と報じている。

    ジョージ・ラッセル メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    実際、メルセデスがフェルスタッペンとラッセルのコンビを選ぶ可能性も十分にある。両者の間には過去に激しい確執もあったが、最近では相互の尊敬の念が芽生えてきた兆候も見られる。

    あるレッドブル関係者は、フェルスタッペンとアントネッリのペアは「あり得ない」と語る。

    「もしヴォルフがフェルスタッペンを起用すれば、2人のドライバーを同時に入れ替えることになる」

    「フェルスタッペンはアントネッリを潰すだろう」

    フェルスタッペンと親交の深いことで知られる元F1ドライバー、ロバート・ドーンボスも、「フェルスタッペンがレッドブルに残留するというのはまだ確定事項ではない」とZiggo Sportで警告する。

    「舞台裏ではまだ何かが動いている」

    「ジョージ・ラッセルはレースに勝っている。だったらなぜ、彼にすぐ契約を出さないのか?」

    「僕は強く疑っている。何かが今年中に起こるはずで、ラッセルは契約を待たされ続けるかもしれない。ヴォルフがマックスを獲得できなかった時に初めて、ジョージに行くんじゃないかとね」

  • メルセデスF1代表 フェラーリF1で苦戦のハミルトンを擁護「彼を見限るな」

    メルセデスF1代表 フェラーリF1で苦戦のハミルトンを擁護「彼を見限るな」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフが、2025年シーズンにフェラーリへ移籍して以降思うような成績を残せていない元チームメイト、ルイス・ハミルトンを擁護した。

    ヴォルフはハミルトンのドライビング能力に疑問の余地はないと強調し、シーズン後半の巻き返しに期待を寄せている。

    12年間にわたってメルセデスに在籍し、6度のタイトルをともに獲得してきたハミルトンは、今季フェラーリへと電撃移籍。しかし、マラネロでの新生活は厳しいものとなっており、第10戦終了時点で獲得ポイントは79にとどまり、ドライバーズランキングは6位。チームメイトのシャルル・ルクレールや旧ライバルのマックス・フェルスタッペンを追う展開が続いている。

    ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ

    「ルイス・ハミルトンを決して見限るな」
    ヴォルフはポッドキャスト番組『Bloomberg Hot Pursuit』に出演し、ハミルトンの近況について次のように語った。

    「人間はそんなに簡単にドライビングスキルを失うものではない。2021年の彼は素晴らしかった。その後レギュレーションが変わって少し難しくなったが、それでも非常に高いレベルで走り続けていた」

    「チームを移ったからといって、急に腕が落ちるわけではない。誰でも適応には時間がかかる。クルマのキャラクターも全然違うし、エンジニアリングチームも一新されて、まずは信頼関係を築かなければならない」

    「それに加えて、クルマの開発にも継続的に関わって、自分のドライビングスタイルに合わせる必要がある」

    「イタリア人スタッフ中心のチームに、イギリス人の彼が”パラシュート降下”で加わったような形だ。それには時間がかかる」

    また、ヴォルフはハミルトンがシーズン後半に調子を上げる傾向があることを指摘し、「彼を早々に見限るべきではない」と警鐘を鳴らす。

    「これまでの傾向を見れば、ルイスはシーズン序盤に調子をつかみ、後半で一気に力を発揮してきた。だからこそ、彼を過小評価すべきではない」

    ルイス・ハミルトン メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    友情と信頼で築かれたパートナーシップ
    ハミルトンの移籍によって、F1史上最も長く成功したドライバーとチームの関係は一区切りを迎えたが、ヴォルフは二人の絆が変わっていないことを強調した。

    「もちろん今は異なるチーム同士で、グローブを外して戦っている。しかしトラック外では一緒に過ごすことも多いし、長年築いてきた友情は失いたくない」

    「F1で12年も続いたドライバーとチームの関係なんて、他のスポーツでもめったに見られない。クルマの開発においても彼の経験は計り知れない。ルイス・ハミルトンのような存在を失うのは、どんなチームにとっても痛手だ」

    現在のF1カレンダーには残り13戦が予定されており、ハミルトンとフェラーリが巻き返す時間はまだ残されている。ヴォルフの言葉通り、後半戦に”復活”したハミルトンがタイトル争いに食い込む可能性も、決してゼロではない。フェラーリが彼のポテンシャルを最大限に引き出せれば、物語は再び動き出す。

  • F1ルーキーのキミ・アントネッリ 高校卒業試験に合格 「プロモッソ」と報告

    F1ルーキーのキミ・アントネッリ 高校卒業試験に合格 「プロモッソ」と報告

    F1ルーキーのアンドレア・キミ・アントネッリが、世界中のサーキットで他のマシンを抜き去るように、母国イタリアで高校の卒業試験も難なく突破した。

    18歳のメルセデスF1ドライバーであるアントネッリは、月曜日にInstagramのストーリーで「プロモッソ(合格)」という一言とともに、月桂冠をかぶった自身の写真を投稿し、卒業を報告した。

    カナダGPでF1初表彰台となる3位を獲得したアントネッリは、その後、ボローニャ近郊のカザレッキオ・ディ・レノにある自宅に戻り、卒業試験に臨んだ。

    「それなりにプレッシャーがあった。というのも、勉強する時間があまり取れなかったから」とアントネッリは先週、筆記試験の初日を終えた後に記者団に語っていた。

    好きな科目については「英語が一番得意だから、好きなんだ」とコメントしている。

    試験は筆記と口頭の両方が含まれており、アントネッリは「オーストリアGPまでに全部終わらせたかった。そうすれば、レースに完全に集中できるから」と述べた。

    アンドレア・キミ・アントネッリ

  • アンドレア・キミ・アントネッリが証明 メルセデスF1の決断と賭け

    アンドレア・キミ・アントネッリが証明 メルセデスF1の決断と賭け

    メルセデスF1代表トト・ヴォルフは、フェラーリへ移籍するルイス・ハミルトンの後任として10代のルーキー、アンドレア・キミ・アントネッリを起用する決断がリスクを伴うものであったと認めた。

    グラウンドエフェクト時代においてメルセデスがその王座を追われたとはいえ、F1史上最も多くの記録を持つドライバーが空けたシートは、常に激しく争われるものだった。

    ヴォルフは一時マックス・フェルスタッペンへの接近を試み、レッドブルのクリスチャン・ホーナーを怒らせる結果となったが、その他にも複数の候補が取り沙汰された。最終的にフェルスタッペンは残留を決断し、F2のプレマからF1に昇格したのはアントネリだった。彼は最も厳しい注目の的に置かれることとなった。

    だが、マイアミGPのスプリントレースでポールポジションを獲得した際に巻き起こった熱狂的な支持は、彼という人間、そして彼のF1におけるポテンシャルを如実に物語っていた。「たとえミスが出るとしても、そのリスクを取る覚悟はあった」とヴォルフは熱っぽく語った。「そして今、その勇気は報われている」

    18歳のアントネッリは、F1世界選手権におけるいかなる形式のレースでもポールポジションを獲得した最年少ドライバーとなった。マシンを降りた彼をまず迎えたのはメルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルだった。そしてガレージに戻ると、ヴォルフやレースエンジニアのピーター・ボニントンらが祝福していた。

    このポールはフルレースではなく土曜のスプリントに向けたものであったため、ヴォルフはそれを「ミニポール」と表現したが、それでもマイアミ・ガーデンズで“いつかではなく、ついにその時が来た”という空気が漂った。

    イモラのすぐそばで生まれ育ったアントネッリは、11歳のときにメルセデスのドライバー育成プログラムに加入。才能あるスカウト、グウェン・ラグリュのもとで早くから頭角を現した。

    その瞬間からアントネッリの将来は明るかったが、2025年シーズンに向けて7度の世界王者ハミルトンの後任に指名されるという噂が流れ始めると、少なくとも外部の人間の間では驚きの声が上がった。

    正式発表は8月末だったが、その前から事実上の公然の秘密だった。だがその発表は、イタリアGPのFP1で彼がクラッシュするという衝撃的な出来事によって、ややかき消された形になった。

    「それをミスだったとは言いたくないが、彼がどれだけのプレッシャーにさらされるのか、我々の見通しが完全ではなかったとは思う」とヴォルフは語った。

    「彼はテストでは見事だった。何千kmにも及ぶ走行でも一度もミスをしていない。だが、イタリア人の若者が、18歳で、モンツァで、しかも初めてのF1セッションで、発表を目前に控えていた。すべてが重なっていた」

    「彼はピットアウト直後のラップから速く、それを見せてくれた。だが、その時点のトラックコンディションやマシンに対しては速すぎた。野心、モチベーション、スキル、そして経験――それらのバランスの問題だった。FP1はあくまでFP1であり、それが彼にとって精神的にダメージになることは分かっていた」

    F2のCEOブルーノ・ミシェルは、アントネッリの実力を間近で見てきた。今季F1に昇格した何人かのうちの1人として彼の成長を見守ってきた人物であり、モンツァでのクラッシュに対するヴォルフの対応にも感心している。

    「キミは信じられないほどの才能を持っている。だからF1に来て、モンツァでFP1を走ってクラッシュしたのは…まぁ、そういうこともあるよね」とミシェルは肩をすくめる。「あの時は初めてマシンに乗った日だった。トトの反応は素晴らしかった。“気にするな、それでいい”と言った。プレッシャーを増やすようなことはしなかった」

    「彼らはプレッシャーの対処法を知る必要があるのは確か。キミはトップチームに来たわけだから、結果を出さないといけない。そして比較対象には、ずっと前からチームにいるジョージがいる。他のルーキーたちは、彼のようなマシンを手にしたいと思っているはずだよ」

    ミシェルがF2で見てきたルーキーの1人であり、今季からF1に昇格したのがオリバー・ベアマンだ。彼は昨季プレマでアントネッリのチームメイトだった。

    「去年F2で一緒に戦っていて、僕たちはお互いを高め合っていた。本当に厳しいシーズンだったけど、彼のスピードは明白だった」と20歳のベアマンは語った。「だからF1に行くことは疑ってなかった」

    「もちろん、偉大でとても速いチームメイトを相手にしているけど、彼はすでにジョージにかなり接近している。でも僕にとっては驚きじゃない。時間の問題だと思っていた。彼は本当に才能がある」

    モンツァでのクラッシュ直後で契約書のインクが乾かぬうちにも関わらず、メルセデスはメキシコのFPとアブダビでのシーズン後テストでもアントネッリを走らせた。

    「ここにいることは素晴らしい機会であり、特権だ。今できることを最大限に活かそうとしているだけ」とアンドレア・キミ・アントネッリは語る。

    その頃にはすでにハミルトンはメルセデスでの最後のグランプリを終えており、そこで6度のドライバーズタイトルを獲得したチームを離れていた。アントネッリは自らのF1キャリアに向けた準備を本格化させており、「自分は“後継者”ではない」と強調していた。

    「自分が彼の代役だと言うのは正しくないと思う。彼はこのスポーツにあまりにも多くのことを成し遂げてきた。僕はあくまで“次のメルセデスドライバー”というだけで、自分自身のストーリーを作りたい」

    「確かにメルセデスで走るというのは大きな責任だ。トップチームだからね。でも同時に、ここにいられるのは素晴らしいチャンスであり、特権だ。だから今この瞬間を最大限に活かすようにしているんだ」

    アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    アントネッリはオーストラリアGPでのF1デビュー戦で4位に入賞し、中国ではスプリント7位、決勝6位という結果を残した。だが、その可能性を最も感じさせたのは日本だった。

    このレースでは6位に終わったものの、フェルスタッペンの圧巻のパフォーマンスが話題をさらう中で、アントネッリはF1史上最年少で「ラップリード」と「ファステストラップ」の両方を記録した。

    それが「潜在能力の片鱗」だったとすれば、アメリカではその能力が一気に開花した。マイアミでのスプリント予選では金曜午後を通して速さを見せ、1分26秒482というタイムで最後のマクラーレン勢の猛追を振り切った。

    この記事が掲載されたのは『Autosport』2025年7月号だったが、その後アントネッリはカナダGPで初表彰台を獲得。レース序盤でチャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリをオーバーテイクし、そのまま3位を守りきった。

    マイアミでのその1周のタイムは、メルセデスのガレージに歓喜を爆発させた。ラッセルに背中を叩かれたアントネッリのもとには、父のマルコも駆けつけており、母とは後に感動的な電話を交わした。

    「私たちはひとつの家族だ」と父のマルコは笑顔で語った。「人生では努力することが大事だと、僕たちは常に伝えてきた。言い訳する前に理解しようとしなさいって。僕らはごく普通の家族で、毎日働いているだけ。でもキミはそれを理解してくれていて、だからこそこの結果は私たちにとって本当に大きな喜びだ」

    ヴォルフはこの成果について、控えめな祝福を示しながらも、アントネッリを疑問視していた批判的な声に対して言及した。

    「“ウィリアムズなどで準備の1年を過ごさせるべきだ”という声は多かった。F1関係者の中からさえもあった」と彼は言う。

    「だが、我々にとっては明確だった。彼に“準備の1年”を我々自身のチームで過ごさせたかった。来年には新レギュレーションが導入されるし、その時点で彼がすでにすべてのサーキットを知っている状態にしたかった」

    「ミスが出ることは最初から分かっていた。でも彼は着実に成長を続け、大きなミスもしていない。それらの積み重ねた走行距離が、今こうして実を結んでいる。それこそが彼をこのレベルで走らせている要因なんだ」

    一方、ハミルトンの後を継ぎチームリーダーの役割を担っているラッセルも、アントネッリの活躍には驚いていないと語った。自身はF1で7年目、メルセデスでは4年目を迎えている。

    「彼は週を追うごとに学んでいる。だから、これからの進化が楽しみだ」とラッセルは言う。

    「僕は彼の実力を知っていたから、最初のレースでのあのパフォーマンスも驚きじゃなかった。でも他の人たちは驚いたかもしれないね」

    「彼は特別なドライバーで、猛烈に努力している。F1は簡単じゃない。でも純粋なスピードに関しては、彼は間違いなくそれを持っている」

    「もちろん彼はまだ経験が浅いし、僕が7年かけて得てきたものはまだ持っていない。でもこれからもっとパフォーマンスを引き出してくるだろう。これまでのスタートとしては、かなり良いものだったと思うよ」

    アントネッリにとって忘れられないモンツァの悪夢を払拭したかったであろうイモラの週末は、F1で最も厳しいものとなった。彼はラッセルのQ3タイムからほぼ1秒遅れの13番手に終わり、決勝ではスロットルトラブルによりリタイアした。

    しかしこの週末から、F2からF1へのステップアップには、オンとオフの両面で新たな課題があるという教訓を得た。

    「F3やF2でもプレッシャーを学ぶことはできる。でもF1ではまったく次元が違う。露出も視線も、すべてがずっと大きい」とミシェルは指摘する。

    アントネッリが最近Netflixのドキュメンタリー番組に登場したこともあり、母国GPのイモラでは彼への注目は過熱状態に達していた。レース後、彼自身もその影響を認めている。

    「ファンからの応援は本当にありがたいし、大好きなんだけど、自分のエネルギーの管理がうまくできていなかった。それが明らかに走りのパフォーマンスに影響した」と彼は認めた。

    「でも、すごくいい勉強になった。なぜなら、自分でもそれを感じていたから。いつもほどリラックスできていなかったし、少し緊張しながら走っていた。だから次の“ホームレース”に向けて、とてもいいレッスンになったと思う」

    続くモナコでも苦戦は続いた。予選ではヌーベルシケインで壁に接触し15番手スタート。決勝ではウィリアムズのブロックとメルセデスの疑問の残る戦略も重なり、18位という結果に終わった。

    頂点にいると、人生の流れはあまりにも速い。しかしアントネッリ自身のスピードも、それに追いついているようだ。

  • ジョージ・ラッセル「なぜマクラーレンF1に迫れているか分からない」

    ジョージ・ラッセル「なぜマクラーレンF1に迫れているか分からない」

    ジョージ・ラッセルは、今シーズンのF1世界選手権でマクラーレンの両ドライバーとどれだけ接近しているかについて「正直よく分からない」と明かした。

    メルセデスのラッセルは、ポールポジションから圧倒的な走りを見せ、F1カナダGPで優勝を飾った。最も接近した挑戦者はマックス・フェルスタッペンだった。

    一方で、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリの両マクラーレンドライバーは、チームの基準から見て精彩を欠いた走りで、ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでは苦戦を強いられた。

    ピアストリは3番グリッドから4位にとどまり、ノリスは67周目のスタート・フィニッシュストレートでピアストリと接触し、自らリタイアを喫するという痛恨の展開で、チームの午後はさらに悪化した。

    ドライバーズ選手権で現在4位につけているラッセルは、ノリスとの差が40ポイント、ピアストリとの差が62ポイントに縮まったが、タイトル争いに本格的に絡んでいるとの見方を否定した。

    「正直なところ、マックスと僕がどうやって彼ら2人にこんなに接近できているのか、あまりよく分かっていない」とラッセルはMotorsport Weekなどのメディアに語った。

    「彼らは明らかに最も支配的なマシンを持っている。でも、僕たち2人は毎週末、手持ちのパッケージで最大限の結果を引き出し続けている。とはいえ、彼らが今のようにポイントを取りこぼし続けるとは思えない」

    「もちろん、それが続いてくれれば嬉しいけど、昨年のランドのように純粋な速さでチャンピオン争いに加われるとは思っていない。今日のような結果、あるいは今日のような展開が続かない限り、僕たちがそこに加わることはないと思う」

    ラッセルは今シーズン、マクラーレンの“パパイヤカラー”の2台にレース距離で近づくことができているが、タイトル争いには懐疑的な姿勢を崩していない。

    マクラーレン ジョージ・ラッセル F1

    「オーストリアでも再現できるかは“時が教えてくれる”」
    来週のF1オーストリアGPは、マクラーレンが再び強さを発揮すると予想されるサーキットであり、レッドブル・リンクの高速コーナー群はレッドブルRB21にも有利に働く可能性がある。

    より“通常型”のサーキットに加え、気温が高くなることが見込まれており、冷涼なコンディションで力を発揮する傾向のあるメルセデスW16にとっては、厳しい戦いになるかもしれない。

    ラッセルは昨年の同GPで、終盤に起きたノリスとフェルスタッペンの接触をうまく利用して優勝しており、再び勝利を収められるかについては慎重な姿勢を見せた。

    「時が教えてくれる。時が教えてくれる」とラッセルは語った。「去年オーストリアで勝ったから、もしかしたら良い前兆かもしれないね」

  • トト・ヴォルフ メルセデスF1の「プルオーバーのジンクス」を自ら打破

    トト・ヴォルフ メルセデスF1の「プルオーバーのジンクス」を自ら打破

    トト・ヴォルフは、F1カナダGPでのメルセデスの支配的な勝利の後、自身が「メルセデスのプルオーバーに騙された」と語った。

    メルセデスは以前から、気温・路面温度の低いコンディションで優れたパフォーマンスを発揮しており、タイヤ温度をうまく制御できることで知られている。実際、モントリオールの金曜と土曜は特に冷涼だった。

    しかし決勝日には、路面温度がほぼ50度にまで上昇したにもかかわらず、ジョージ・ラッセルはポールポジションから快勝。キミ・アントネッリも4番手スタートから3位表彰台を獲得し、通常はタイヤマネジメントに優れるマクラーレンのオスカー・ピアストリを終盤にかけて抑え切った。

    この予想外の展開について、ヴォルフは自身の「メルセデスのジャンパー(プルオーバー)」にまつわるジンクスに言及した。

    「私はプルオーバーを着ているときにはパフォーマンスが良くなるという相関関係があると思っていた。つまり、それは寒いということだ」とヴォルフはRacingNews365を含むメディアに語った。

    「ところが今回は、路面温度が50度もあったのに、我々は支配的だった。クルマには新しいサスペンションを含むいくつかの変更が加えられていて、それを現場のチームがうまくマネジメントしてくれたことに本当に満足している。そして、ファクトリーでも開発が進められていて、それがしっかりとクルマに届いている」

    「ただ、コースレイアウトにも注目すべきだと思う。モントリオールは昔から我々に合っている。典型的な高速コーナーが少ないので、我々が熱いコンディションで苦しむ要因が少ない」

    「それが一つ目の理由。そして二つ目は、モントリオールの路面がかなりスムーズで摩耗が少ないことだ。つまり、我々のマシンが苦手とするリアタイヤのデグラデーションをあまり受けないということだ」

  • メルセデスF1代表 マクラーレン同士討ちに警告「この映画は見たことがある」

    メルセデスF1代表 マクラーレン同士討ちに警告「この映画は見たことがある」

    メルセデスF1の代表トト・ヴォルフが、F1カナダGPで起きたランド・ノリスとオスカー・ピアストリの接触事故を受け、マクラーレン内部で高まる緊張について自身の見解を語った。

    このインシデントは、今季初めてマクラーレンの2人のドライバーが直接的に接触した場面となり、チーム内選手権争いが激しさを増す中で起きた出来事だった。

    ノリスがレースリーダーのピアストリに対して仕掛けた遅めのオーバーテイクが失敗に終わり、自身がバリアに突っ込む結果となった今回のアクシデントは、2016年にメルセデス内で起きたルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグのタイトル争いを思い出させる出来事として比較されている。ヴォルフにとってはまさに身をもって経験した戦いだ。

    「この映画は見たことがある」とヴォルフはマクラーレンの接触について問われて語った。「私はその映画の中で、実際に出演していた俳優だった」

    「難しいのは、F1ドライバーというのは勝つため、チャンピオンになるために訓練され、そういうふうに調整されている存在だからだ」

    2016年の教訓:ルールは早期に設定すべき
    ヴォルフは、自身が経験したハイリスクなチームメイト同士のライバル関係を振り返り、事態が手に負えなくなる前に、チームとして明確な方針を定めることの重要性を強調した。

    「ここが肝心なところだ。どう対処するのかを事前に決めておく必要がある」とヴォルフは語った。

    「コンストラクターズ選手権がかかってくると、話はより複雑になる。ドライバーたちは『我々はコンストラクターズ選手権を獲らなければならない、だからポイントを取る必要がある』という主張もできてしまうからだ」

    「ただ、この場合、彼ら(マクラーレン)はコンストラクターズ選手権で大きくリードしているから、チャンピオンを獲れるかどうかなんて議論するまでもない。だからこそ、状況はより厄介だ」

    マクラーレンは現在、コンストラクターズ選手権で圧倒的なリードを築いているが、ドライバー間の競争が激化することで、その優位性が損なわれるリスクもある。

    マクラーレン F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    異なる性格、同じリスク
    ハミルトンとロズベルグの一件と比較される今回の状況だが、ヴォルフは、マクラーレンのドライバーたちの性格は当時のメルセデスとは異なると指摘した。

    「彼らの性格は当時のうちのドライバーたちとは全然違う」とヴォルフは言う。「けれども、それを管理するには強いマネジメントが必要だ。我々はそれを経験の中で学んだし、彼ら(マクラーレンの首脳陣)もいずれ必ず乗り越えていくだろう」

    ノリスとピアストリは、チーム内での選手権争いが激化している中でも、強固な関係を維持すると公言している。レース後、ノリスは接触の責任を全面的に認め、チーム無線で謝罪した。

    注目が集まる中、アンドレア・ステラ代表がこの事態をどうマネジメントするか、そして“あの映画を見たことがある”人物からのアドバイスが、マクラーレンのタイトル獲得に向けた道を軌道に乗せる手助けとなるのかが問われている。

  • キミ・アントネッリ F1初表彰台の翌日に高校で期末試験に挑戦

    キミ・アントネッリ F1初表彰台の翌日に高校で期末試験に挑戦

    多くのF1ドライバーがニューヨークでレッドカーペットを歩き、マックス・フェルスタッペンがスパでGT3カーに乗り込んでいた一方で、アンドレア・キミ・アントネッリは学校に戻っていた。

    モントリオールで初めての表彰台を祝ったばかりのこの童顔のイタリア人ティーンエイジャーは、ただ家に帰っただけだった。「ラグーのパスタを作ってあげるつもり。彼の大好物なのよ」と、18歳のアントネッリの母ヴェロニカは伊『ガゼッタ・デロ・スポルト』に語った。

    「レースがすべてじゃない。私はいつだって、彼には勉強を終えてほしいと思っているの」

    実際、アントネッリはモントリオールからイタリアに直行し、地元ボローニャ近郊にある公立の技術・商業高校ガエターノ・サルヴェミーニ校で同級生たちと合流した。

    最初の期末試験を終えて学校から出てきた彼は、翌日は英語の最終試験を受ける予定だと明かした。「英語は一番得意な科目なんだ」とアントネッリは笑った。

    「一番苦手なのは、ずっと数学だった」

    残す最後の試験は口頭プレゼンテーションだ。それが終われば、次のF1レースの舞台であるオーストリアに向かうことになる。

    レッドブル・リンクで100%の力を出すのと、試験で100%の結果を出すのとでは、どちらを選ぶかと聞かれたアントネッリは、笑顔でこう答えた。「両方じゃダメ?」

    F1で成功し、富を築く運命にあるように見える今も彼が学校に通い続けている大きな理由は、母の存在だという。

    ヴェロニカ・アントネッリはこう断言した。「彼がドライバーであるかどうかなんて関係ない。私にとって一番の誇りは、良い子に育ってくれたことなの」