カテゴリー: メルセデスF1

  • メルセデスF1が最終日に隠し玉 サドル型リアウイング投入

    メルセデスF1が最終日に隠し玉 サドル型リアウイング投入

    メルセデスは2026年F1プレシーズンテスト最終日、W17に革新的なリアウイング仕様を投入した。キミ・アントネッリが走行を担当したこの新仕様は、レギュレーションで定められた外形許容範囲ギリギリまで攻めた設計思想が色濃く表れた構成となっている。

    今回のアップデートは、テスト最終日に持ち込まれた点も含めて注目を集めた。ライバル勢に研究・解析の時間を与えないため、あえて公開を遅らせた可能性が高いとみられる。

    “サドル型”ミニフラップで実質4エレメント化
    最も目を引くのは、リアウイング外側コーナー部に“サドル”のように配置されたミニフラップだ。この小型フラップは2分割構造となっており、内側の狭い部分は固定セクションに取り付けられ、外側の広い部分はアクティブエアロ作動時に回転する可動セクションと連動する。

    両セクションの後縁にはそれぞれ小型のガーニーフラップが備えられている。特にインボード側は、メイン上段エレメント後縁との近接によって生じる空力的影響に対応するため、湾曲したコーナー形状を採用している。

    このミニフラップは、メイン上段エレメントとの間にスロットギャップを形成しており、さらに内側セクションは独自のミニ・スロットギャップセパレーターで下段要素と接続されている。結果として、この外側領域では従来の3エレメント構成を実質的に4エレメント化するレイアウトとなっている。

    外側セクションはエンドプレートに接続され、独自の“ミニエンドプレート”を形成。その結果、エンドプレート後方にはより大きなノッチ形状が生まれ、チームはここでチップボルテックスの制御を狙っている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    大きく湾曲した新エンドプレート形状
    もう一つの大きな変更点はエンドプレートだ。従来仕様と比較すると、前縁から上端にかけて大きく湾曲したシニュアス形状が採用されている。

    このカーブは上部だけにとどまらず、全体的にスウィープしたプロファイルとなっており、旧世代車両で見られたロールオーバー状の接合部とは異なる設計思想が見て取れる。現行レギュレーションではその意匠は必須ではなくなっている。

    この新しいエンドプレート形状は、内側面の気流と圧力分布に影響を与えるだけでなく、外側から見た前後方向の露出面積にも違いを生み出している。さらに、ウイング要素の許容ボックス領域下部にも形状変更が加えられており、旧設計で見慣れた処理とは異なるアプローチが採用されている。

    アクティブエアロ移行を滑らかにする狙い
    今回の変更は単なるリア荷重増加を目的としたものではない。特に、固定フラップ外側セクションと可動フラップのピボット周辺における気流管理の改善が主眼にある。

    固定部と可動部の境界付近には約2センチの小型エアロタブが追加され、そこにもガーニータブが設けられている。この領域は気流密度が高く、アクティブ機構の作動によって挙動が敏感に変化するゾーンだ。

    狙いは二つある。第一に、ストレート走行時のドラッグ低減性能を、気流密度変化によって損なわせないこと。第二に、フラップが閉じた際のリア荷重の立ち上がりをより緩やかにし、ローダウンフォース状態からハイダウンフォース状態への移行をスムーズにすることだ。

    2026年レギュレーションではストレートラインモードとコーナーモードの切り替えがより積極的に用いられるとみられている。その中でメルセデスは、リアウイング単体の絶対性能だけでなく、“切り替え時の挙動”という動的領域にまで踏み込んだ解決策を提示した形だ。

    テスト最終日に投入されたこの“サドル型”リアウイングは、開幕戦オーストラリアGPに向けたメルセデスの本気度と、空力面での攻勢を象徴するパッケージと言える。

  • FIAがメルセデスF1圧縮比問題で投票実施へ なぜ今“決着”を急いだのか

    FIAがメルセデスF1圧縮比問題で投票実施へ なぜ今“決着”を急いだのか

    2026年F1開幕を前に、パドックで最も頻繁に語られてきた言葉のひとつが「圧縮比」だった。メルセデスのパワーユニットが静的検査では16:1の上限を満たしながら、実走時にはより高い圧縮比に到達できる可能性があるとライバル勢が察知して以降、この問題は技術論争から政治的テーマへと発展した。

    トト・ヴォルフはバーレーンで、メルセデスが新型パワーユニットの開発過程で常にFIAを関与させてきたと説明し、合法性に疑問はないと強調。「コップの中の嵐」に過ぎないと語った。

    しかしFIAはそれでも投票という手続きを選択した。その背景には、単なる合法・違法の問題を超えたレギュレーションの「意図」を巡る論点があった。

    「この種の問題には常に多くのニュアンスがある。レギュレーションの意図も重要だ。16:1の圧縮比を維持することは、2022年に全メーカーと議論した際の重要な柱のひとつだった」とFIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは説明した。

    「規則の文言をどう解釈するかという問題もある。現行の条文に基づけば、より高い圧縮比を実現する方法が存在することが明らかになった」

    トンバジスは、これは不正行為の問題ではないと明言する。

    「誰かが違法行為をしたという立場をFIAが取ったことは一度もない。だが規則が本来の目的を完全に達していないなら、我々は修正を試みる。意図とは異なる方向に解釈が広がることを望んでいない」

    FIA内部の少人数が、各チームの何百人ものエンジニアと向き合う構図は避けられないという。

    「新しい規則では、チームが意図を超える解決策を見つけるのは避けられない。我々はこの投票によってこの問題に終止符を打ちたい」

    8月導入案と“130度テスト”の意味
    現在の提案は、圧縮比16:1の確認方法を8月1日から変更するものだ。従来の外気温下でのチェックに加え、130度という実走を想定した温度条件での追加検査を導入する。

    可決には5社中4社のパワーユニットメーカーに加え、FIAおよびフォーミュラワン・マネジメントの賛成が必要となるスーパー・マジョリティ方式が採られる。承認後はワールド・モータースポーツ・カウンシルの正式承認を経て発効する。

    トンバジスは、シーズン開幕前の変更は不公平である一方、2027年まで放置するのも妥当ではないと説明した。

    「違法ではないが、意図を超えている。我々はその中間点を探った」

    また、変更が導入されたとしてもエンジン改修は大規模ではないと述べる。

    「圧縮比の差をシリンダー径やストロークに換算すれば、極めて小さな数値だ。すべてを作り直す話ではない」

    ただし、もしメーカーが後半戦に向けて改修を行う場合、そのコストはPU予算上限の対象となる。

    圧縮比 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    実は“勝者”はメルセデスか
    一方で、イタリア側の見方はやや異なる。パワーユニット諮問委員会(PUAC)は来週初めにも8月からの130度テスト導入案を採決するとみられているが、可決はほぼ確実との見方が強い。

    しかし重要なのは、メルセデスが130度条件でも適合しているとされる点だ。先週、HPPブリックスワース拠点で115度の予備検査が行われ、各シリンダーに二重マイクロチャンバーを持つ内燃機関が規定内であることが確認された。

    小さな2ccの副燃焼室に通じる微小孔は、より高温・高圧条件下で閉塞し、ユニットは18:1の圧縮比で作動可能になるとされる。この構造が現行規則の範囲内で設計されている点が、議論の核心だ。

    したがって、もし130度テストが導入されてもメルセデスが大幅な改修を強いられる可能性は低いと見られている。むしろ他メーカーがADUO(追加開発機会)を活用し、マイアミGP後に出力差が2%認定されればアップグレードを申請する構図が現実味を帯びる。

    8月というタイミングは偶然ではない。理論上、追随側が対応策を準備する時間を確保するための猶予期間と解釈できる。

    燃料と“18:1”の戦略的意味
    さらに注目されるのが燃料の問題だ。メルセデスのパートナーであるペトロナスはe-fuelのホモロゲーションをまだ取得していないとされる。圧縮比問題の結論を待って最終仕様を決める戦術的判断だった可能性も指摘されている。

    18:1条件で最大熱効率を引き出せる燃料を投入できれば、出力向上と燃費改善の両立が可能となる。搭載燃料を減らせば車両重量が軽減され、ロングランでのタイヤマネジメントにも利点が生じる。

    トト・ヴォルフはこれを「コップの中の嵐」と表現したが、FIAはシーズン開幕を前に論争を終わらせる必要があったと見る。

    トンバジスは最後にこう語っている。

    「この問題は重要ではあるが、何カ月も騒ぐほどのものかと言われれば、正直そうは思わない」

    FIAが選んだ投票というプロセスは、法的判断ではなく政治的均衡を取るための手段だった。その均衡の中で、少なくとも現時点ではメルセデスが最も有利な位置に立っていると見る向きは少なくない。

  • メルセデスF1代表 圧縮比論争と燃料問題を一蹴「完全なでたらめ」

    メルセデスF1代表 圧縮比論争と燃料問題を一蹴「完全なでたらめ」

    2026年F1プレシーズンを揺るがしているメルセデスのパワーユニット問題と燃料認証を巡る議論について、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフが強く反論した。

    FIAは水曜日、メルセデスのエンジンの合法性を巡り、8月以降にレギュレーション変更を実施するかどうかを問う投票を行うと発表。メルセデスはエンジンが作動温度に達した際の圧縮比制限に関して抜け穴を見つけ、より高い上限を実現したと判断されたことが発端となっている。

    この問題はプレシーズンの主要議題となっており、フェラーリ、レッドブル、ホンダ、アウディが不満を抱いていると報じられている。なお、メルセデスのパワーユニットはマクラーレンなど他チームにも供給されている。

    さらに直近24時間では、2026年開幕戦メルボルンを前に、メルセデス陣営の燃料に関する新たな疑惑も浮上している。持続可能燃料メーカーのペトロナスが、メルセデス搭載チームが使用する燃料の認証およびホモロゲーションをまだ取得していないと広く報じられた。

    こうした報道について、ヴォルフは記者会見で強く否定した。

    「これはまた同じような話だ。圧縮比が違法だと言われたが、完全なでたらめだ。まったくのでたらめだ。そして今度は燃料が違法だという話が出てきたのか?」

    「どこからそんな話が出てくるのか分からないし、また独り歩きしている。明日になればまた別の話をでっちあげるのかもしれないな」

    燃料問題についても、ヴォルフは次のように述べた。

    「またナンセンスだ。これは複雑なテーマでプロセスもあるが……コメントすることすらない」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    一方で、金曜日に予定されている投票で自陣に不利な判断が下される可能性については、比較的冷静な姿勢を示した。

    「私にとってはどちらでも構わない。現行レギュレーションのままでもいいし、FIAから提案された変更案に金曜日の投票で進んでもいい。どちらでも我々にとっては問題ない」

    「最初から言っているが、これはコップの中の嵐のようなものだ」

    「いくつかの数字が出てきたが、それが天井を突き抜けるようなものであれば、誰かが戦う理由も理解できる。しかし最終的には、戦うほどのことではない」

    「このままでも、新しいレギュレーションに変更されても、我々にとって何も変わらない。それはプロセスの一部だ」

    フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールも言及した。

    「まず、現時点で明確な決定はない。2日後にはエンジンをメルボルンへ送らなければならない状況で、これは確かに難しい。しかし全体としてはシステムを信頼するしかない」

    また、マクラーレンのザク・ブラウンは次のように語った。

    「最終的に、スポーツのガバナンスは非常に強固だ。すべてのテストを通過しているので心配はしていない。メルセデスがどんな素晴らしいエンジンを作ろうとも、それを我々のマシンの後方に積み、レースをするだけだ」

  • メルセデスF1圧縮比問題 FIA高温テスト通過も波紋

    メルセデスF1圧縮比問題 FIA高温テスト通過も波紋

    2026年F1シーズン開幕を目前に控え、メルセデスのパワーユニットを巡る圧縮比問題が新たな局面を迎えた。メルセデスF1の「M17 E Performance」エンジンは、FIAによる高温環境下での検証テストを通過し、規定で定められた圧縮比16:1を維持していることが確認された。

    今回の検証では、エンジンを115度まで加熱したのち分解し、75度の状態で計測が行われた。FIAはこの条件下で技術的適合性を確認し、設計の合法性を承認している。

    “第2マイクロチャンバー”が論争の火種に
    問題の焦点は、メルセデスの燃焼室設計に組み込まれた「第2マイクロチャンバー」の存在だ。この構造は常温時に16:1の圧縮比を保証する一方、高温・高圧状態では機能が停止する設計とされる。

    メルセデス側はあくまでレギュレーションの範囲内だと主張しているが、ホンダ、フェラーリ、アウディ、レッドブル・パワートレインズといった他メーカーは懸念を示している。特に、検証時の温度条件が実際の走行状況を正確に再現していないのではないかという点が争点となっている。

    FIAは事前にメルセデスと協議したうえで設計を承認したが、ライバル陣営は「トラック上での実運用環境を反映していない」と反発している。

    圧縮比 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    バーレーンでF1委員会が協議へ
    この問題はバーレーンで開催されるF1委員会で正式に議題に上がる見通しだ。フェラーリF1代表フレデリック・バスールは、少なくともオーストラリアで正式抗議を行う考えはないと明言している。

    現在検討されている対策のひとつが、高温圧縮比をリアルタイムで監視するセンサーの導入である。これにより、レース中の実際の圧縮比変化を常時モニタリングできる可能性がある。
    一方で、チャンピオンシップの商業権保持者であるリバティ・メディアは、新レギュレーション時代の幕開けに法的紛争が発生する事態を避けたい意向だ。妥協案として、メルセデスに新基準へ適応するための猶予期間を与える案も浮上しており、最大6戦のグレース期間が議論されている。

    勢力図を左右する可能性
    F1委員会での採決結果は、2026年勢力図を大きく左右する可能性がある。決定はメルセデスだけでなく、そのカスタマーチームであるマクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌにも直接的な影響を及ぼす。

    新時代のパワーユニット競争は、開幕前からすでに政治的・技術的駆け引きの様相を呈している。バーレーンでの協議がどのような結論に至るかが、2026年F1シーズン序盤の力関係を決定づけることになりそうだ。

  • メルセデスF1燃料に懸念 ペトロナス承認はオーストラリアGPに間に合うか

    メルセデスF1燃料に懸念 ペトロナス承認はオーストラリアGPに間に合うか

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPを前に、メルセデス陣営に新たな懸念材料が浮上している。燃料サプライヤーであるペトロナスの2026年仕様燃料が、FIAの最終承認に間に合わない可能性があると報じられた。

    開幕まで3週間を切るなか、持続可能燃料への完全移行という大改革の影響が、早くもパワーユニット戦線に影を落としている。

    承認プロセス長期化で“暫定燃料”の可能性
    イタリアメディアは、バーレーンテストのパドック内で「ペトロナスは認証取得へ時間との戦いに直面している」との噂が広がっていると伝えた。

    仮にメルボルンまでに正式承認が完了しなかった場合でも、メルセデス勢8台の出走自体が脅かされることはないとみられる。ただし“暫定燃料”の使用を余儀なくされる可能性があり、その場合パフォーマンスへの影響は避けられない。

    2026年からF1は持続可能燃料を導入するが、プレシーズンテストでは最終仕様を使用していない。FIAは外部検査官を起用し、製造工程のすべてを監視しているため、今年は承認プロセスが大幅に長期化しているという。

    勢力図にも影響か 圧縮比問題も浮上
    メルセデスはバルセロナのシェイクダウン終了時点では2026年タイトルの最有力候補と目されていた。しかしその優位性は、急速に揺らぎつつある。

    今週のF1委員会では、メルセデスが用いているとされる燃料圧縮比の“トリック”が議題に上がる見通しだ。この手法は1周あたり複数コンマ秒の利益を生むと考えられており、禁止となればエンジン側の変更を迫られる可能性がある。

    燃料承認問題とレギュレーション解釈の不透明さが重なれば、メルセデスおよびカスタマーチーム(マクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌ)にとって、開幕戦は決して安泰とは言えない状況になる。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ 燃料

    各陣営も苦戦 燃料戦争は水面下で激化
    問題を抱えているのはペトロナスだけではない。昨年末には、フェラーリ陣営のシェルが2026年仕様燃料で誤りを犯したとの報道もあった。また、アストンマーティンと組むアラムコについても、経験不足を懸念する声がある。

    レッドブル・パワートレインズはエクソンモービルと提携し、アウディはカストロールと協業。巨大石油化学企業同士の競争も、2026年F1の新たな戦場となっている。

    タイトルパートナーでもある燃料企業への公的批判は、チーム代表にとって容易ではない。だが、持続可能燃料という新時代の中で、エンジン開発と並ぶ“見えない勝負”がすでに始まっているのは間違いない。

    オーストラリアGPのグリッドに並ぶその瞬間まで、燃料を巡る時間との戦いは続く。

  • マクラーレンF1 メルセデスPUを分析「ICEは非常に優秀」

    マクラーレンF1 メルセデスPUを分析「ICEは非常に優秀」

    2026年F1バーレーンテストで、レッドブルのパワーユニット(PU)が見せたストレートでのデプロイメント性能が大きな注目を集めている。マクラーレンはそのエネルギー運用能力を評価しつつも、メルセデスPUの強み、とりわけ内燃エンジン(ICE)の完成度を高く評価している。

    バーレーンでの初日から、レッドブルのPUは各ストレートでのエネルギー展開、いわゆるデプロイメントにおいて非常に興味深い数値を示し、他チームより明確に高い最高速を記録した。

    その差は2日目には大きく縮小し、半分以下にまで減少したものの、依然として印象的なパフォーマンスを見せている。

    特に注目を集めたのは、エネルギーの使い方の一貫性だ。どれだけ回収できるかだけでなく、どこでどのように使うかが重要となる。レッドブルは直線での回転数設定も比較的アグレッシブに見え、2日目にはライバル勢も接近したが、ピーク値には届かなかった。

    マクラーレンのテクニカルディレクター(エンジニアリング担当)であるニール・ホールデイは、レッドブルの進歩を評価しつつも、メルセデスHPPへの信頼を強調した。

    「デプロイメントのレベルを見る限り、レッドブルは本当に素晴らしい仕事をしたと思う。ゼロからスタートして今のポジションにいるのは信じられないことだ。我々に供給されているPUを用意するために、メルセデスHPPが懸命に取り組んできたことも知っているし、今季競争力を持つために必要なデプロイメントを我々が手にできると疑っていない」

    ホールデイは、最初の1日半のデータを見る限り、レッドブルがストレート終盤で一定のマージンを持っているように見えると認めた。ただし、その差はトト・ヴォルフが示唆したほど大きくはないという。

    「現時点では彼らとどう改善できるかを理解するために取り組んでいる。レッドブルに近づくために活用できる機会はある。小さなギャップはあるように見えるが、我々のPUは他の領域で有利だと思う。最終的にはバランスするはずだ」

    マクラーレン メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    また、マクラーレンは内燃エンジンそのものの性能について、メルセデスが非常に優れたユニットを仕上げたと評価している。

    「メルセデスは本当に、本当に非常に優れたICEを作り上げたと思う。これは過去数年からの進化でもある。現時点ではパワー、空力抵抗、デプロイメントを切り分けて判断するのは非常に難しいが、我々が見ている限りでは素晴らしい仕事をしている。ただ、全体像を解釈するのはまだ難しい」

    さらにホールデイは、マクラーレンの2026年型マシンについて、シミュレーターよりも実走行でのパフォーマンスが良好だったと明かした。

    「最大の驚きは、実際の走行結果やマシンの挙動がシミュレーターで見ていたものと完全には一致しなかったことだ。実車の方がシミュレーターより良いパフォーマンスを示した。これは我々にとってポジティブなことだ。もちろん、その情報を使ってシミュレーターをより現実に近づけるための改良も進めている」

    エネルギー運用で印象的なレッドブルに対し、メルセデスPUはICE性能や他の領域での優位性を武器に対抗する構図だ。2026年F1の勢力図は、デプロイメント戦略と内燃エンジン性能の総合力によって大きく左右されることになりそうだ。

  • アルピーヌF1 メルセデスPUの圧縮比問題で反論「不満なら抗議すればいい」

    アルピーヌF1 メルセデスPUの圧縮比問題で反論「不満なら抗議すればいい」

    アルピーヌF1は、2026年F1シーズン開幕を前に浮上しているメルセデス製パワーユニットの圧縮比を巡る議論について、明確な立場を示した。チームのスポーティングディレクターであるスティーブ・ニールセンは、メルセデスのパワーユニットはレギュレーションに完全に準拠していると強調している。

    問題となっているのは、メルセデスのパワーユニットが静的テスト時の常温環境では規定通り16:1の圧縮比を満たしている一方で、実走行時にはより高い圧縮比に達し、出力向上につながっているとされる点だ。

    他のエンジンメーカーは、開幕前に圧縮比の管理方法を見直すべきだと主張しており、パドックでは政治的な駆け引きが続いている。

    ルノー製パワーユニットの自社開発を終了し、今季からメルセデスのカスタマーチームとなったアルピーヌにとって、この問題は直接的な関係を持つ。ニールセンはバーレーンでメディアに対し、次のように語った。

    「レギュレーションは非常に明確だ。常温で測定すると書いてある。130度との間でウィンドウを設けるべきだという声もあるが、レギュレーションにはそんなことは書かれていない」

    「F1の政治は新しいようで実は昔からある。大きなレギュレーション変更があれば、あるチームは一つの道を選び、別のチームは別の道を選ぶ。私の個人的な意見では、レギュレーションは圧縮比をいつ測定するかについて非常に明確であり、私は何も心配していない」

    「我々はメルセデスに全面的な信頼を置いている。彼らは明確なレギュレーションのもとで誠実にパワーユニットを開発した。我々はそれに満足しているし、統括団体が正しい判断を下すと信じている」

    「それほど確信があるなら抗議すればいい」
    来週には公式会合が予定されており、開幕戦オーストラリアGPを前に何らかの妥協点を探る動きもあるとされる。法的な抗議合戦に発展することは避けたいとの空気もある。

    それでもニールセンは、強い不満を持つライバルに対し挑発的な姿勢を見せた。

    「抗議する権利はあるだろう。しかし本当にそれほど強く感じているなら、リスクを取って実際に行動すればいい」

    一方で、ニールセンはこの問題が開幕戦の話題を独占することは望んでいないと語る。

    「FIAがメルボルン前に立場を示すかは分からない。個人的には示してほしい。メルボルンでの話題が圧縮比であってほしくはない」

    「我々には新しく美しいマシンがある。その話題であってほしい。だが年配の人間なら、ブラウンGPのダブルディフューザーの件を思い出すだろう。大きなレギュレーション変更の時には、こうした話は時折起こるものだ」

    アルピーヌF1チーム メルセデス 圧縮比

    レギュレーション変更はより大きな問題を招く可能性
    ニールセンは、自身の立場がメルセデス製パワーユニットを搭載するチームの利益と重なっていることを認めつつも、より本質的な問題があると警告した。

    「もっと根本的な問題は、明確に書かれたレギュレーションがこのような形で疑問視されることだ。もし明確に定められたレギュレーションが圧力によって変更されるなら、何が限界なのか分からなくなる」

    「チームは多大な時間と資金を善意で投じている。安全性以外の理由で、明確に書かれたレギュレーションが後から変更される世界に入るなら、それはこれまでとは全く違う世界だ」

    「圧縮比の議論そのものは一つの問題にすぎない。だが本当に問うべきなのは、明確に書かれたものが、気に入らないという理由で変更され得るスポーツを望むのかどうかだ。それに答えるべきはFIAだ」

    なお、既に成立しているレギュレーションを変更するには、パワーユニット諮問委員会において5メーカー中4メーカーの賛成に加え、FIAおよびFOMの同意が必要とされている。

  • ジョージ・ラッセル 2026年F1マシン批判に反論「時間を与えるべき」

    ジョージ・ラッセル 2026年F1マシン批判に反論「時間を与えるべき」

    バーレーンで行われた2026年F1プレシーズンテストで、メルセデスのジョージ・ラッセルが新世代マシンへの評価について慎重な姿勢を示した。マックス・フェルスタッペンが「アンチ・モータースポーツ」「ステロイド版フォーミュラE」と厳しく批判する中、ラッセルは「判断するには早すぎる」と擁護した。

    2026年F1マシンは出力の50%を電動モーターから得るハイブリッド構成となり、エネルギー回生とバッテリーマネジメントがラップ全体を通じて極めて重要な要素となっている。

    ドライバーはストレートで過度なリフト&コーストを行い、低速コーナーでは回転数を高く維持して回生を促すなど、従来とは異なる走らせ方を求められている。

    「僕は前進だと思っているし、物事には常にチャンスを与えるのが好きだ」とラッセルは語った。

    「このレギュレーションの中に入ってまだ4日間だ。3年以上続く規則で、最初の数か月での進歩は莫大なものになるはずだ」

    「クルマはずっと運転しやすい。僕は小型世代のF1マシンを2回しか運転したことがなかったが、軽くて小さいことで、これほど俊敏に感じられるとは思わなかった。それは非常にポジティブだ」

    一方で、パワーユニットの複雑さについても言及した。

    「エンジンは非常に複雑だ。正直に言えば、ドライバーよりもエンジニアの方が頭を悩ませていると思う。ただ、バルセロナとバーレーンはおそらくエンジンにとって最も楽なサーキットだ。メルボルンやジェッダのような場所に行くまでは何も言いたくない。あそこではエネルギー面でずっと厳しくなるだろう」

    ラッセルは、現在の回転数管理がもたらす運転特性についても率直に語っている。

    「唯一の課題は、コーナーで非常に短いギアを使わなければならないことだ。ここバーレーンでは通常、ターン1は3速だが、今は回転数を高く保ち、ターボを回し続けるために1速を使わなければならない。何度もシフトダウンすると、まるでハンドブレーキのように感じることもある」

    「それが少し厄介で、直感的ではない部分だ。ただ、350kWフルで得られるパワーは議論の余地がない。そしてこれも今後数か月で大きく進歩するはずだ。だから時間を与える必要がある」

    ジョージ・ラッセル フォーミュラ1カー

    また、2026年F1レギュレーションが誕生した背景にも触れた。電動化への流れが強まる中、アウディやホンダといったメーカーの参入を促す狙いがあったことを踏まえ、全体像で評価すべきだと強調する。

    「人生と同じで、すべての項目を満たすことはできない。EUでは電動車両への大きな推進があり、それがアウディの参入にとって重要な要素だった。そこは考慮しなければならない」

    「現在のF1が素晴らしい状況にあることは誰も否定できない。もちろん最高のクルマ、最速のクルマ、最高のレースを望んでいるが、全員を満足させる方法があるかどうかは分からない」

    最後に、世界王者ランド・ノリスの発言にも触れつつ、フェルスタッペンへの皮肉も忘れなかった。

    「僕たちはこの立場にいられること自体が特権だ。正直に言えば、僕はただ勝ちたいだけだ。最近たくさん勝っているドライバーにとっては、ただ最高で楽しいクルマを望むだけだろう。だから彼はノルドシュライフェに行けばいいと思う」

  • メルセデスF1代表 アントネッリの自動車事故で「傷ついたのは自尊心だけ」

    メルセデスF1代表 アントネッリの自動車事故で「傷ついたのは自尊心だけ」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2026年F1シーズン開幕を前に支給された社用車のメルセデスAMGで単独事故を起こした。幸いにも負傷者はおらず、チーム代表トト・ヴォルフはバーレーンでこの件についてユーモアを交えて語った。

    アントネッリが受け取ったのは、約22万5000ドルとされる希少なメルセデスAMG GT63 PRO 4MATIC+ モータースポーツ・コレクターズ・エディション。

    だが、受領からわずか数日後、イタリア・セラヴァッレでガードレールに衝突した。

    「彼は誰よりも恥ずかしがっていると思うし、それが一番大事なことだ」とヴォルフはスカイスポーツ・ドイツに語った。

    「まず私が気にしたのは、誰かがけがをしていないか、彼自身が無事か、あるいは他の誰かが巻き込まれていないかということだった。だが、そうではなかった」

    「素晴らしいクルマにとっては残念だが、結局はクルマだ。たとえ最高のAMGだったとしてもね」

    この特別仕様車は世界限定200台。ブラックのボディに、2024年型F1マシンから着想を得たシルバーアローのハンドペイント、そしてターコイズのペトロナスカラーが施されている。

    アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    事故はメルセデスの公式声明でも確認された。

    「土曜日の夜、サンマリノの自宅近くでキミが交通事故に巻き込まれた」とチームは説明した。

    「キミの通報により警察が現場に出動した。関与したのは1台のみで、車両には損傷があったが、キミにけがはなかった」

    事故は、アントネッリがバーレーンのプレシーズンテストに向けて渡航する直前に発生していた。

  • メルセデスF1 バーレーンテストで信頼性課題 それでもW17に光明

    メルセデスF1 バーレーンテストで信頼性課題 それでもW17に光明

    メルセデスは2026年F1プレシーズンテスト最初の3日間を終え、最終日は改善の兆しを見せたものの、全体としてはフラストレーションの残る一週間となった。信頼性トラブルにより走行時間を失い、十分なプログラム消化には至らなかったが、パフォーマンス面では一定の手応えも得ている。

    アンドレア・キミ・アントネッリは走行が制限される中で週最速タイムを記録し、ジョージ・ラッセルも安定したロングランを実施。

    W17の基本的なポテンシャルは示された一方で、運用ウインドウの狭さと信頼性の改善が急務であることも明確となった。

    「チームとして厳しいテストだった。特に僕にとってはそうだった」とアンドレア・キミ・アントネッリは語った。

    「信頼性の問題がいくつか発生し、最初の2日間で30周強しか走れなかった」

    「今日はようやくバーレーンで本当にマシンを理解することができた初めての午後だった。タイムアタックの作業を進め、ほぼレースシミュレーションも完了できた」

    「フラストレーションの残る一週間だったが、レースウイークに問題が出るよりは今出た方がいい。チームはすでに解決策に取り組んでおり、来週はより強い状態で戻ってきたい」

    ラッセルはトラブルなく午前を走り切り、半日で約80周を重ねた。とはいえ、3日間合計ではメルセデスは下位グループの走行距離にとどまっている。

    「これまでの2日間よりはるかに生産的な一日だった」とジョージ・ラッセルは述べた。

    「失った走行時間を取り戻すことが重要だった。ショートランとハイフューエルランの両方に取り組み、午前の最後にはレース距離シミュレーションも実施できた」

    「信頼性の問題に苦しんだ一週間だったし、パフォーマンスもまだ理想には達していない。ただ今日はマシンバランスが改善し、ペースも妥当なレベルだった」

    「バルセロナよりもライバル勢が強く見えるのは明らかだ。我々にはやるべきことがある」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    トラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンも、ガレージ滞在時間の長さを認めた。

    「今日がこのテストで最も良い一日だったが、それでも望んでいた以上にガレージで過ごす時間が長かった」

    「初回テストで目標は達成できず、多くの作業を来週に持ち越すことになった。フラストレーションはあるが、シーズン開幕前に課題へ正面から向き合うことが重要だ」

    パフォーマンス面については一定の前進を認めている。

    「ペースに関しては確かな進歩があった。ただしバーレーンではバルセロナに比べ、W17を最適な作動ウインドウに保つのが難しかった」

    「来週に向けたベースは整っているが、よりスムーズなテストをこなしたライバル勢の方が現時点では有利な立場にある。我々はその差を縮めなければならない」

    信頼性という明確な課題を抱えながらも、純粋な速さそのものは悲観的な状況ではない。バーレーンで露呈した弱点をどこまで修正できるかが、メルボルンでの勢力図を左右することになりそうだ。