カテゴリー: メルセデスF1

  • ランド・ノリスの証言でアントネッリ救済 メルセデスF1フロントロウ維持

    ランド・ノリスの証言でアントネッリ救済 メルセデスF1フロントロウ維持

    キミ・アントネッリは、2026年F1中国GPのスプリント予選後に審議対象となったものの、ペナルティを免れ、スプリントでのフロントロウを維持することになった。

    ランド・ノリスはターン1進入時、レーシングライン上にいたアントネッリに遭遇し、無線で「そのラップはプッシュしようとしていたけど、彼が邪魔だった」と報告していた。

    しかし、その後の審議でノリス自身がその周回は実際には「プッシング・ウォームアップラップ」だったと説明したことで、裁定は変わった。

    メルセデスのアントネッリは、この件を受けてスチュワードの調査対象となったが、最終的に処分は科されなかった。

    スチュワードは、ノリスが本当のアタックラップ中だった場合には、アントネッリにペナルティが科されていた可能性が高いことを明確にしている。

    スチュワードは「意味のあるタイムを狙う周回ではなかった」と判断
    スチュワードは裁定理由について、ノリスが意味のあるタイムを記録しようとしていた周回ではなかった点を重視した。

    「言い換えれば、12号車のキミ・アントネッリがピットレーンを出てコースに入った時点で、1号車のランド・ノリスは意味のあるラップタイムを記録するために積極的に走っていたわけではなかった」と説明した。

    さらにスチュワードは、「もし1号車がプッシュラップ中であったなら、当時の12号車の位置関係を考えれば、12号車は不必要に1号車を妨害していたことになっていた」と付け加えた。

    そのうえで、「1号車のドライバーが、自身は12号車に妨害されたわけではない、なぜなら意味のあるラップタイムを狙っていたわけではなかったと明確な立場を示したことを踏まえ、これ以上の措置は取らない」と結論づけた。

    ノリスは3番手のまま スチュワードへの誤認誘導は回避
    ノリスは最終的にアントネッリのすぐ後ろで予選を終えており、もしアントネッリにグリッド降格が科されていれば、自身がフロントロウへ繰り上がる立場にあった。

    それでもノリスは、問題となった周回の性質についてスチュワードに誤解を与えるような主張は行わず、自分が妨害されたわけではないという立場を明確にした。

    仮にそのラップの性質について誤認を招く説明をしていれば、より重大な処分や、マクラーレンのエンジンサプライヤーでもあるメルセデスとの関係にまで影響が及ぶ可能性もあった。

  • ジョージ・ラッセル メルセデスF1好発進も警戒「フェラーリが最も近い」

    ジョージ・ラッセル メルセデスF1好発進も警戒「フェラーリが最も近い」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1開幕戦オーストラリアGPで勝利を挙げたにもかかわらず、中国GPを前に楽観視を戒めた。メルセデスはメルボルンでアンドレア・キミ・アントネッリとの1-2フィニッシュを達成し、新レギュレーション初年度で大きなインパクトを残した。

    それでもラッセルは、フェラーリが実際には見た目以上に接近していたとみている。

    上海ではフェラーリが新たなリアウイングを投入する見通しであり、さらにマクラーレンやレッドブル・レーシングも今後の開発で巻き返してくる可能性があることから、タイトル争いはまだ始まったばかりだと強調した。

    メルボルンでの差は見た目ほど大きくなかった
    「シャルルはメルボルンで僕に本当にしっかり戦いを挑んできたし、VSCの時点では彼が僕の前にいた」とラッセルは語った。

    「もし彼がVSC中にピットインしていたら、僕たちは1-2では終えていなかったと思う」

    「もしかしたら僕が勝利のために彼を抜いていたかもしれないけど、本当に激しい争いになっていたはずだ」

    ラッセルは、オーストラリアでのメルセデス優位が予想以上に大きく見えた背景には、フェラーリの戦略判断もあったと受け止めている。レースリーダーだったシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンが、バーチャル・セーフティカー中にピットへ入らなかったことで、最終的な差は実態以上に広がったという見方だ。

    予選は想定以上 決勝はフェラーリと接戦
    「僕たちは予選で予想以上に速かった。周りも僕たちがあそこまで速いとは思っていなかったと思うけど、日曜日のペースはフェラーリとほぼ互角だった。そちらの方が、僕たちが想定していたものに近い」とラッセルは述べた。

    メルセデスは開幕戦で圧倒的に見えたが、ラッセル自身の認識はそれとは少し異なる。1周の速さでは想定以上の結果が出た一方で、決勝のロングランではフェラーリと拮抗していたというのが実感だ。

    ジョージ・ラッセル メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    中国GPでも最も近いのはフェラーリ
    「メルボルンで見たものを踏まえると、シーズン序盤のこの段階では、フェラーリが僕たちの最も近いライバルになると思っている」とラッセルは語った。

    上海ではフェラーリが“フリップフロップ”型のリアウイングを投入するとみられており、長いバックストレートを持つ中国GPでは武器になる可能性がある。ラッセルも、今週末に向けて最も警戒すべき相手としてフェラーリを挙げた。

    フェルスタッペン マクラーレンも脅威
    「でもマックスはとても速かった。後方から来たし、問題がなければおそらく予選トップ3に入っていたと確信できる」とラッセルは述べた。

    「チャンピオンシップは長いシーズンを通して決まる。このスタートはいい。クルマはうまく機能している。でも、それ以上の意味はあまりない」

    「僕たちは攻め続けなければならない。フェラーリはすぐ後ろにいる。レースでも見たように、彼らはすごく速かった」

    「マクラーレンはウインターテスト以降、まだ大きなアップデートを持ち込んでいないし、今は重量オーバーだと僕たちは考えている」

    「マクラーレンがアップデートを持ち込めば、開発競争はとても速いペースで進むはずだ。僕たちは何ひとつ当然だとは思っていない」

    開幕戦を制したメルセデスに注目が集まるなかでも、ラッセルの視線はすでにその先に向いている。フェラーリの接近、フェルスタッペンの地力、そしてマクラーレンのアップデート。2026年F1シーズン序盤の勢力図は、まだ固まったとは言えない。

  • キミ・アントネッリ F1開幕戦で2位 ブランドル「シューマッハを思い出した」

    キミ・アントネッリ F1開幕戦で2位 ブランドル「シューマッハを思い出した」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2026年F1開幕戦オーストラリアGPでプラクティスの大クラッシュから立て直し、予選フロントロウ獲得と決勝2位という印象的な週末をまとめ上げた。

    この走りはパドックでも高く評価され、マーティン・ブランドルはミハエル・シューマッハを思い起こさせたと絶賛。ジェンソン・バトンも、限界まで攻め続ける姿勢を称賛している。

    週末を通じたアントネッリのパフォーマンスについて、各方面から賛辞が寄せられた。

    ブランドルが見たシューマッハの面影
    マーティン・ブランドルは、スカイスポーツF1のレース後コラムで、メルセデスの強さとアントネッリの立て直しを高く評価した。

    「メルセデスは冬季テストで非常に強く、そのまま“本命”の評価を持ってメルボルンに入ったが、それは正しかった。1周の速さもレースペースも素晴らしかった」とマーティン・ブランドルは書いた。

    「キミ・アントネッリはプラクティスでウォールに激突してマシンを壊したが、チームは彼がQ1でラップを走れるように、ちょうど間に合う形で見事に修復した。マックス・フェルスタッペンのレッドブル・レーシングがリアをロックさせ、まるでハンドブレーキを引いたかのようにバリアに突っ込み、赤旗を出したことで、彼らには少し余裕も生まれた」

    「キミはクラッシュの直後の次のアタックラップで、極めて速い走りを見せた。それを見て、1991年の鈴鹿でミハエル・シューマッハがベネトンのスペアカーをクラッシュさせた場面を思い出した。そのマシンは、その週末には主としてチームメイトのネルソン・ピケに割り当てられていたものだった」

    ラッセルとのタイトル争いも期待
    ブランドルはさらに、アントネッリが今季を通じてジョージ・ラッセルを脅かす存在になると見ている。

    「アントネッリはスタートで出遅れながらも、きっちり2位でフィニッシュした。彼がシーズンを通してジョージに大きなプレッシャーをかけ続けることに、私はまったく疑いを持っていない」

    「もし本当にメルセデスがタイトルを争えるマシンを持っているのなら、彼らの間を分けるのはミスになるだろう」

    アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    苦しい2025年が今に生きる
    アントネッリ自身も、2025年のルーキーシーズンで味わった苦しい時期が、今の自分に大きな学びをもたらしたと語っている。

    「間違いなく、ヨーロッパラウンドは僕にとって難しい時期だった。でも、そこで多くを学んだし、自分自身についても学ぶことができた」とアンドレア・キミ・アントネッリはメルボルンでメディアに語った。

    「楽しい時期ではなかったけれど、あの期間は本当に大きな助けになった。あれを経て、同じ罠に陥らないために何を避けるべきかが分かるようになった」

    バトンも“フェルスタッペン型”と評価
    2009年F1ワールドチャンピオンのジェンソン・バトンもまた、アントネッリの姿勢に強い印象を受けたひとりだった。

    「グリッド上には彼のようなドライバーが何人かいる。そういう意味では、彼は少しマックス・フェルスタッペンに似ていると思う。どのセッションでも、すべてを賭けているからだ」とジェンソン・バトンはスカイスポーツF1に語った。

    「ただ、彼にはしっかり称賛を送るべきだ。マシンについては、すべてを組み直したあとに、十分な時間をかけて確認できたのかは分からない。普通なら、すべては本当にギリギリのところで進むものだからだ」

    「完璧な状態にしたいと思うものだし、そうした部分があちこちで小さな違いを生む。ほんのわずかな積み重ねだ。だから、キミのあのラップは本当に素晴らしかったと思う」

    オーストラリアGPでのアントネッリは、速さだけでなく、クラッシュ直後に気持ちを切り替えて結果につなげた精神面でも強い印象を残した。メルセデスが今季の有力候補であることを示した週末だったからこそ、この2位にはそれ以上の価値がある。

  • マクラーレンF1 「メルセデスとの差は最大1秒」 2026年F1開幕戦で課題露呈

    マクラーレンF1 「メルセデスとの差は最大1秒」 2026年F1開幕戦で課題露呈

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPは、メルセデスの圧倒的なパフォーマンスが際立つレースとなった。ジョージ・ラッセルが優勝し、アンドレア・キミ・アントネッリが2位に入り、メルセデスは完璧なワンツーフィニッシュを達成した。

    一方で2025年のF1世界王者ランド・ノリスを擁するマクラーレンは、アルバート・パークで大きく後れを取る結果となり、アンドレア・ステラ代表は「メルセデスとの差は最大1秒」と認め、2026年F1シーズン序盤は厳しい戦いになるとの見方を示した。

    レースではフェラーリが3位と4位に入りメルセデスを追う展開となったが、ノリスは5位でフィニッシュ。トップからは35.5秒遅れとなった。チームメイトのオスカー・ピアストリは偵察ラップでクラッシュし、決勝をスタートできなかった。

    この結果を受け、マクラーレンは今季序盤の勢力図においてメルセデスとフェラーリの後方に位置する可能性が示唆されている。

    ステラ「パワーユニットの使い方とコーナーグリップが課題」
    マクラーレン代表のアンドレア・ステラは、現在のパフォーマンス差は予選と同様の傾向だったと説明した。

    「今日のギャップは、むしろ昨日の予選で見たものとほぼ同じだった」

    「改善すべきパフォーマンスの要素は大きく2つある。ひとつはパワーユニットの使い方、もうひとつはコーナーでのグリップだ」

    さらにステラは、同じメルセデス製パワーユニットを使用しているにもかかわらず、他チームとの差が出ている点について困惑していると明かした。

    「我々のマシンと同じパワーユニットを使っている他のマシンとの速度差を見ると、まだパワーユニットを十分に活用できていない可能性がある」

    「2026年のレギュレーションで加わった複雑さを踏まえると、その理解を深める必要がある」

    さらにGPSデータの分析では、メルセデスがコーナーでも優位に立っていることが確認できるという。

    「GPSのオーバーレイを見ると、メルセデスは一部のコーナーでも我々より速い」

    「だからこそ優先順位は明確だ。パワーユニットからより多くのパフォーマンスを引き出し、同時にマシン開発を進める必要がある」

    ステラはまた、大きなアップグレードが投入されるまでには数レースを要すると認めた。

    「大きなアップデートが見えてくるまでには、数レースかかるだろう」

    「それまでは現状の仕様のマシンから最大限のパフォーマンスを引き出す必要がある」

    「現時点での差は、コンマ5秒から1秒の範囲にあるように見える」

    マクラーレン メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ノリス「本当の差は50秒ではない」
    2025年F1世界王者のランド・ノリスも、今回の結果が実際の実力差を完全に示しているわけではないと語った。

    「純粋なペースで言えば、僕たちは50秒遅れていたのか? いや、そうではない」

    「もしジョージのようにクリーンなレースができて、これほど多くのバトルをしなくて済んでいたら、もう少し良く見えただろう」

    「だから状況が絶望的だとは思っていない」

    しかしノリスは同時に、マシンの課題が依然として大きいことも認めている。

    「ただ、僕たちは3周でタイヤを使い切ってしまった」

    「フロントのグレイニングの問題は、以前からずっとあるし、新しいマシンになっても変わっていない」

    「まだ理解しなければならないことがたくさんある」

    それでもノリスは、マクラーレンが現状でも中団勢には十分な差を保っていると指摘した。

    「良い点は、後ろのマシンとはかなり差があることだ。レッドブルも似たような状況だ」

    「悪い点は、前のマシンともかなり差があることだ」

    「今日のレースで分かったのは、僕たちのマシンがまだ必要なレベルには全く届いていないということだ」

    「だから、ここから改善していかなければならない」

  • メルセデスF1 W17の優位性はPUだけではない 本当の強さはシャシー

    メルセデスF1 W17の優位性はPUだけではない 本当の強さはシャシー

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPで、メルセデスがライバルに対して大きな優位性を示した。ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリがワンツーフィニッシュを達成したことで、W17のポテンシャルは一気に注目を集めることとなった。

    しかし、この優位性は単純にパワーユニットの性能だけで説明できるものではない。エネルギーマネジメント、ドライビング特性、そしてシャシー性能など複数の要素が組み合わさることで、メルセデスはライバルよりも総合的な競争力を発揮している。

    予想通りの優位性を示したメルセデス
    メルボルンで行われた2026年F1開幕戦は、事前の予想を裏付ける結果となった。メルセデスはフェラーリ、マクラーレン、レッドブル・レーシングに対して明確なアドバンテージを持っているように見える。

    ライバル勢の見立てでは、その差は少なくともコンマ5秒程度に及ぶとされている。ただし、アルバートパークの特性が特定の性能差を強調する傾向があることも事実である。

    予選ではその差がさらに顕著だった。W17は他のトップ3チームに対してコンマ8秒もの差をつけた。一方でフェラーリ、マクラーレン、レッドブル・レーシングの3チーム同士の差はコンマ1秒未満に収まっていた。

    決勝ではやや差が縮まったものの、シルバーアローズに最も迫れたのはフェラーリだけだった。マクラーレンは複数の問題に苦しみ、さらに遅れを取る結果となった。

    鍵はハイブリッドのエネルギーマネジメント
    メルセデスの強みは単一の要素から生まれているわけではない。複数の要素が互いに作用し合い、総合的なパフォーマンスを高めている。

    その中でも特に重要なのがエネルギーマネジメントだ。

    現在のF1では、FIAがリフト&コーストを過度に必要としないようにするため、1周あたり使用できるエネルギー量を7MJに制限している。この状況では内燃エンジンの性能だけでなく、エネルギーの使い方と回収方法が非常に重要になる。

    メルセデスはこの分野でライバルよりも優れた理解を持っているように見える。特にブレーキングゾーンが少ない高速サーキットでは、その優位性が顕著だ。

    エンジンモードを引き上げた瞬間、W17は本来の性能を発揮し始めた。特にストレートでは明確にライバルを引き離すスピードを見せた。

    金曜日には大きく見えていた速度の落ち込みも、土曜日にはより小さく、そして滑らかなものになっていた。過度なリフト&コーストに頼る必要もなく、ラップの他の部分を犠牲にする必要もなかった。

    これはメルセデスがエネルギーマネジメントを極めて正確に解釈していることを示している。同時に、内燃エンジンがピークパワー時にMGU-Kの負担を軽減し、ターボラグ低減にも寄与している可能性がある。

    リフト&コーストではなく“スーパークリッピング”
    W17の特徴のひとつは、バッテリー回収の方法にある。

    メルセデスはリフト&コーストよりも、リアウイングを開いた状態でのスーパークリッピングによってエネルギーを回収するアプローチを取っている。

    現在のレギュレーションでは、ブレーキングなどでのエネルギー回収は最大350kWまで許可されている。一方でスーパークリッピングによる回収は安全上の理由から250kWに制限されている。

    この差は決して小さくない。そのため各チームはどの場面でどの回収方法を使うかを慎重に検討する必要がある。

    フェラーリはリフト&コーストをより多用する傾向があるのに対し、メルセデスはスーパークリッピングを主な充電手段として使用している。特に予選ラップではその傾向が顕著だ。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    異なるドライビング特性が生む差
    この違いはドライビングスタイルにも影響する。

    リフト&コーストを多用する場合、ブレーキングゾーンにはより低い速度で到達する。その結果、コーナー進入時のブレーキング負荷は比較的小さくなる。

    フェラーリがターン6〜7のシケインで非常に高いミッドコーナースピードを示していた理由のひとつがこれだ。

    メルセデスがまだブレーキングフェーズにある時、フェラーリはすでに加速フェーズに近づいている。そのため最低速度をより高く保つことができる。

    一方でW17は逆のアプローチを取る。スーパークリッピングを使うため、ブレーキングをコーナーの奥まで引きずる傾向がある。

    このスタイルで良好なミッドコーナースピードを維持するためには、強力なシャシー性能と優れたバランスが不可欠となる。

    シャシー性能も高いW17
    この点については、マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラも指摘している。

    ステラはハイブリッドの使い方に差があることに加え、MCL40は純粋な空力ダウンフォースが不足していると説明した。そしてW17はコーナリング性能でも見た目以上に強力だと評価している。

    これらすべての要素が組み合わさった結果、メルボルンのようなエネルギー管理が重要なサーキットでは、メルセデスの強みが最大限に発揮された。

    次戦の上海はまた異なる挑戦となる。長いストレートはあるものの、高速コーナーやエネルギー回収の機会も多く、シーズンの中でも特にエネルギー要求が厳しいサーキットではないからだ。

  • ウィリアムズF1 メルセデスPU情報不足に不満 開幕戦ノーポイント

    ウィリアムズF1 メルセデスPU情報不足に不満 開幕戦ノーポイント

    2026年F1シーズンの開幕戦オーストラリアGPで、ウィリアムズは厳しいスタートを強いられた。アレクサンダー・アルボンは12位、カルロス・サインツJr.は15位に終わり、チームはポイントを獲得できなかった。

    さらにチーム内部では、メルセデス製パワーユニットを巡る情報共有の不足に不満が出ているとされ、2026年型パッケージの理解不足がパフォーマンス低下の一因となっている可能性が指摘されている。

    ウィリアムズの苦戦「マシンは遅く太りすぎている」
    ジャーナリストのスコット・ミッチェル=マルムはポッドキャスト番組でウィリアムズの現状について厳しい評価を下した。

    「もしウィリアムズを一言で表すなら“ひどい”という言葉だ」

    「マシンは遅いし、予選でも良くない。レースでも競争力がない。そして明らかに重量超過だ」

    「彼らはエンジン関連の情報開示についてメルセデスに不満を持っているようだ」

    しかしミッチェル=マルムは、その問題を今すぐ議論するべきではないとも指摘した。

    「ただし今その話題に触れるべきではないと思う」

    「メルセデス系チームの中で4番手の立場にあるチームが、必要な情報を得られていないと不満を言うのは違う」

    「まずは自分たちの問題に集中すべきだ。特に2026年が重要だとあれほど騒いでいた後ならなおさらだ」

    「重量を減らすことができれば序盤の数戦で大きく改善する可能性はあるし、このパッケージにはポテンシャルがあるかもしれない」

    「シーズン終盤にウィリアムズがミッドフィールドのトップチームになっている可能性だって十分にある」

    「もしそうなれば素晴らしい仕事をしたと言えるだろう」

    「だが、それでも今の位置にいるという事実は変わらない」

    ウィリアムズ F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    メルセデスPU情報不足にマクラーレンも同調
    現在のF1グリッドでは、メルセデスとそのカスタマーチームとの間に明確なパフォーマンス差がある。開幕戦ではメルセデスが1-2フィニッシュを達成する一方、カスタマーチームは苦戦した。

    マクラーレンは10ポイントを獲得し、アルピーヌはピエール・ガスリーのトップ10入りでポイントを確保したが、ウィリアムズは無得点に終わった。

    ウィリアムズのチーム代表ジェームス・ボウルズはレース前、メディアに対して次のように語っている。

    「メルセデスがパワーユニットで行っていることには驚かされた」

    「予選を終えて初めて、我々がどれだけ遅れているのかを実感した」

    「エンジン面ではコンマ3秒ほどの差がある。おそらくそのあたりだ」

    またマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラも、メルセデスのエンジン部門との情報共有について同様の不満を示した。

    「HPP(メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ)との情報共有については、ここ数週間ずっと議論が続いている」

    「テストの段階でも、我々はほとんど“走らせてデータを見る”という形だった。『これが今の状態か、ではそこから対応しよう』という感じだった」

    「だが、それはF1の仕事の進め方ではない」

    「通常はトラックで起きることをシミュレーションし、何が起きるかを事前に把握しておく。何をプログラムしているのか、マシンがどう振る舞うのかを理解しているものだ」

    「だから、カスタマーチームとして言わせてもらうと、マシンの挙動を予測する能力という点で我々は後手に回っていると感じている」

  • ジョージ・ラッセル F1オーストラリアGP“フライング疑惑”の真相 実際は合法

    ジョージ・ラッセル F1オーストラリアGP“フライング疑惑”の真相 実際は合法

    2026年F1オーストラリアGPのスタート直前、ポールポジションから発進したジョージ・ラッセル(メルセデス)のマシンがわずかに前へ動いたように見えたことで、SNS上では「フライングスタートではないか」との議論が広がった。

    しかし、オンボード映像とレギュレーションの内容を照らし合わせると、ラッセルのスタートはFIAの規則上まったく問題のない“合法スタート”だったことが明らかになっている。

    スタートシーケンスが始まり赤いライトが点灯していく過程で、ラッセルのメルセデスW17はわずかに前へ転がったように見える。実際、オンボード映像ではフロントタイヤがわずかに動いているのが確認できる。

    ただし重要なのは、5つの赤いライトがすべて消灯してスタートシグナルが出された瞬間、ラッセルのマシンは完全に停止状態に戻っていた点だ。つまり、レースは静止状態からスタートしている。

    2026年F1スポーティングレギュレーションでは、スタンディングスタート時の条件が明確に定義されている。規則B5.11.1によると、ドライバーは赤いライト点灯後からスタートシグナル(ライト消灯)までの間、自身のグリッド位置で静止していなければならない。

    さらに、マシンはスタートボックス内に収まり、フロントタイヤの接地面がグリッドラインの外側に出ていないことも条件とされている。また、トランスポンダーによってスタートシグナル後の最初の動きを検出できる状態である必要がある。

    これらの条件をラッセルのケースに当てはめると、問題は確認されなかった。

    わずかな前進はあったものの、第三の赤いライトが点灯した時点でマシンは再び完全停止しており、スタートシグナル時にも静止していた。また、フロントタイヤがグリッドラインを越えた形跡もなかった。

    ジョージ・ラッセル メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    なお、フロントウイングがグリッドボックスの前方に出ているかどうかはレギュレーション上の判断基準には含まれていない。

    このため、スチュワードが調査を行う必要もなく、ラッセルのスタートは合法と判断される状況だった。

    今回のオーストラリアGPのスタート関連で実際にスチュワードの判断が下されたのは、フランコ・コラピント(アルピーヌ)とニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)の2件のみだった。

    コラピントは15秒ボード表示後にチームメンバーがマシンに触れたため、ストップ&ゴーペナルティを科されている。

    一方、ヒュルケンベルグは自力でグリッドに到達できていなかった。もしそのままスタートしていれば規則違反となる状況だったが、アウディがマシンをグリッドからピットレーンへ押し戻したため、最終的にレースには出走せず違反は成立しなかった。

    結果として、SNSで広がったラッセルの“フライング疑惑”は、オンボード映像の印象による誤解だった可能性が高い。スタート時のわずかな車体の揺れや転がりは珍しいものではなく、今回のケースでもレギュレーション違反には該当しなかった。

  • メルセデスF1圧縮比問題 FIAが16.7:1容認 PU論争が新局面

    メルセデスF1圧縮比問題 FIAが16.7:1容認 PU論争が新局面

    2026年F1シーズンの序盤戦で、パワーユニット規則を巡る新たな技術論争が浮上している。焦点となっているのは、内燃エンジンの「圧縮比」をどの条件で測定するのかという問題だ。

    FIAとエンジンメーカーの協議の結果、2026年6月1日以降はエンジンが高温状態にある場合の測定方法が変更されることが決まり、実質的に最大16.7:1までの“測定許容値”が認められる形になる。この変更は、メルセデスのパワーユニット設計を巡る議論と深く関係していると見られている。

    F1レギュレーションの圧縮比は16:1が基本
    現在の2026年F1レギュレーションでは、内燃エンジンの圧縮比は「16:1」が上限と定められている。この数値は、エンジンを常温状態で測定した場合の基準であり、2026年開幕戦オーストラリアGPで検査を受けたすべてのパワーユニットはこの規則に適合していた。

    しかしパドックでは、メルセデスがシリンダーヘッド内にプレチャンバー(副燃焼室)を導入したことで、実際の運転条件では圧縮比が18:1に近い値まで上昇するのではないかという疑惑が浮上している。

    この数値は2025年まで許されていたレベルであり、ライバルメーカーからは強い懸念が示された。ただし、メルセデスのパワーユニットが実際にそこまで達している証拠は確認されていない。

    PUAC合意でレギュレーションを修正
    この問題を受け、エンジンメーカーが参加するPUAC(パワーユニット・アドバイザリー委員会)で議論が行われ、レギュレーションの該当条項である「C5.4.3」を修正することで合意が成立した。

    新しい規定では、圧縮比16:1の上限は維持されるものの、測定条件が以下のように変更される。

    ■2026年5月31日まで
    エンジンが常温状態で測定

    ■2026年6月1日~12月31日
    常温および油温130度の状態で測定

    また、運転条件下で圧縮比が16:1を超えるよう設計された機構や部品の使用は禁止されることも明記された。

    高温測定では16.7:1まで許容
    ただし、合意の詳細にはもうひとつ重要なポイントがある。

    高温状態で圧縮比を測定する際、測定誤差を考慮した“許容範囲”が設定されており、その結果として最大16.7:1までの値が容認される可能性があるという。

    ここで言う130度とはエンジンオイルの温度を指しており、実際のレースコンディションに近い状態で検査を行うことになる。

    このため、メルセデスの6気筒エンジンがこの許容範囲内に収まるのか、それともシリンダーヘッドの設計変更が必要になるのかが大きな焦点となっている。

    メルセデスは改修不要と主張
    メルセデス側は、現在の設計のままでもレギュレーションに適合すると主張している。

    一方でライバル陣営は、プレチャンバーの充填効率を調整するためにシリンダーヘッドの小さな穴を拡大するなど、何らかの改修が必要になる可能性があると見ている。

    圧縮比16:1という基準は、パワーユニット規則を策定する段階でアウディやポルシェが強く要求したものでもあり、この技術的な駆け引きはメーカー間の政治問題にも発展している。

    圧縮比 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    6月1日という日程の意味
    今回の規定変更が6月1日から適用されるのは偶然ではない。

    F1では24戦のシーズンで使用できるパワーユニットは3基のみと定められており、1基あたりの理論寿命は約8レースとなる。

    その8戦目にあたるのが6月7日に開催されるモナコGPであり、もしメルセデスが設計変更を行う場合でも、次のエンジンである「PU2」から導入すれば通常のローテーション内で対応できる。

    また、圧縮比を活用して発熱量を最大化する設計を前提に開発されたペトロナスの持続可能燃料についても、仕様変更が行われる可能性があると見られている。

    ライバル勢はADUOの活用を検討
    もしメルセデスのパワーユニットが性能面で優位に立つ場合、ライバルメーカーはADUO(開発追随措置)を利用して差を縮めることが可能だ。

    この制度では、基準となるパワーユニットより2%以上出力が低いと認定された場合、FIAの承認を得て6気筒エンジンの改修を行うことができる。

    その申請は第6戦マイアミGP以降に可能となり、承認は第12戦ベルギーGPで行われる見込みだ。実際のアップデート投入は、続くハンガリーGPからになる可能性が高い。

    序盤戦での“逃げ切り”を狙うメルセデス
    メルセデスは2026年F1開幕戦オーストラリアGPでワンツーフィニッシュを達成し、すでに競争力の高さを示している。

    チーム代表のトト・ヴォルフはフェラーリを最大のライバルとして警戒しているが、同時にシーズン序盤でポイント差を広げることを狙っているとも見られる。

    同じメルセデス製パワーユニットを搭載するマクラーレンでさえ、まだエネルギー回生の最適な管理方法を完全には理解できておらず、現時点ではワークスチームに後れを取っている状況だ。

    とはいえ、マクラーレンがこの課題を解決すれば、再びメルセデスにとって大きな脅威になる可能性も高い。2026年F1シーズンの勢力図は、パワーユニットを巡る技術戦争とともに今後も大きく揺れ動くことになりそうだ。

  • マクラーレンF1 メルセデスPU情報不足で苦戦 開幕戦で格差露呈

    マクラーレンF1 メルセデスPU情報不足で苦戦 開幕戦で格差露呈

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPで、マクラーレンはメルセデスの圧倒的なパフォーマンスの前に苦戦を強いられた。メルセデスがジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリによるワン・ツー・フィニッシュを達成する一方、ランド・ノリスは5位に終わり、優勝争いには加わることができなかった。

    マクラーレンはパワーユニット供給元であるメルセデスから提供される情報が不足している可能性を示唆しており、2026年F1新レギュレーション下でワークスチームとカスタマーチームの間にあるパフォーマンス差が浮き彫りになった形だ。

    マクラーレンはPU運用で後手
    アンドレア・ステラ(マクラーレン チーム代表)は、メルセデスのエンジン部門であるメルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)との情報共有に不満を示した。

    「HPPと“もっと情報を共有してほしい”という議論は数週間前から続いている」とステラは語った。

    「テストの段階から、僕たちは基本的にコースに出て走り、データを見て『これが現状だ』と理解し、そこから対応するという状況だった」

    「それはF1のやり方ではない。F1ではコース上で起きることは事前にシミュレーションする。何が起こるのか、どうプログラムしているのか、マシンがどう振る舞うのかを理解しているものだ」

    ステラは、2026年の新しいパワーユニット時代において、マクラーレンが初めて後手に回っていると感じていると明かした。

    「正直に言って、我々がメルセデスのカスタマーチームになって以来、マシンの挙動を予測する能力や、どう改善できるかを事前に理解する能力という点で、後手に回っていると感じたのは今回が初めてだ」

    PUポテンシャルを活かしきれていない可能性
    ステラは、メルセデスPUにはまだ引き出されていないパフォーマンスがある可能性を指摘した。

    「いくつものデータを重ねて分析した結果、我々がチームとしてやるべき仕事があることは明らかだ」

    「特にHPPのエンジニアと協力して、このパワーユニットのポテンシャルをもっと引き出さなければならない」

    「HPPが引き出しているパフォーマンスを見ると、まだ利用できる余地が残っているように見える」

    ただし、その差が設定やドライバー操作によるものなのか、あるいはカスタマーチームでは解決できない構造的な要因なのかは現時点では分からないとしている。

    「これが我々の設定やドライバー操作の問題なのか、それとももっとシステム的な要因なのかは、さらに分析する必要がある」

    マクラーレン F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    トト・ヴォルフ「全員を満足させることはできない」
    メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは、エンジンサプライヤーがすべての顧客チームを満足させることは難しいと説明した。

    「新しいレギュレーションが導入されると、学ばなければならないことは非常に多い」

    「ギアボックスやサスペンション、そしてパワーユニットでも同じだが、開発の勾配は非常に急だ」

    「すべてのチームを満足させる形で展開することはできない。ただ、我々としては良いサービスを提供しようとしている」

    ピアストリのクラッシュの背景
    マクラーレンにとっては、オスカー・ピアストリがホームレースでスタートできなかったことも大きな痛手だった。

    ピアストリはグリッドへ向かう途中でクラッシュを喫し、レースをスタートすることができなかった。ステラは原因について複数の要因が重なった結果だと説明している。

    「主な要因は3つある。まずタイヤが冷えていたことだ。ホイールスピンが起きると非常に突然になる」

    「そこに縁石に乗ったことが重なった。この縁石は彼が毎周使っていたものだが、タイヤが冷えている状態では難しくなる」

    「さらにシフト後の振動やトルクの増加が影響した。パワーユニットの挙動としては想定内だが、グリップが限界の状況では扱いが難しくなる」

    ステラは、ピアストリがこの経験を糧に中国GPで巻き返すと期待している。

    「オスカーは精神的にとても強いドライバーだ。この経験を糧にして、さらに集中し、決意を強めて中国GPに臨むだろう」

  • ジョージ・ラッセル FIAに安全対策要請 新F1マシンのストレートモードに懸念

    ジョージ・ラッセル FIAに安全対策要請 新F1マシンのストレートモードに懸念

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1オーストラリアGPを制したものの、新レギュレーションで導入された「ストレートモード」に安全面の懸念があるとして、FIAに改善を求めた。

    アルバート・パークでポールポジションから勝利を挙げたラッセルは、レース序盤にシャルル・ルクレール(フェラーリ)と激しい首位争いを展開。その際、ストレートモード作動時にフロントのダウンフォースが急激に失われ、大きなアンダーステアが発生したと明かした。

    ラッセルは、低ダウンフォース仕様に切り替わる際のフロントウイングの挙動が急激すぎると指摘し、安全面の観点から改善が必要だと訴えた。

    「今日のレースを経験して実際にバトルをしてみて、FIAにお願いしたいのは一つだけだ」とラッセルは語った。

    「ストレートモードを開いたとき、フロントウイングがあまりにも急激に落ちないようにしてほしい」

    「ストレートモードを開くと大きなアンダーステアが出る。シャルルの後ろにいて、スリップストリームから外れようとしたとき、まるでフロントウイングが機能していないように感じた」

    ストレートモードは「かなり危うい」
    ラッセルの懸念は、レース直後に語ったコメントとも一致している。彼は新しいシステム、とりわけコーナー付近での使用が非常に扱いにくかったと振り返った。

    「少し改善する必要があると思う。正直言って、かなり危うかった」

    メルボルンで特に問題となったのは、ターン8からターン9へ向かう長い高速区間だった。この区間には4番目のストレートモード作動ゾーンが設置されていた。

    週末にはこのゾーンを巡って議論が起きていた。金曜夜のドライバーブリーフィングを受け、FIAは土曜朝にゾーン4を削除する決定を下したが、各チームがFP3前の作業負担を理由に反発したため、すぐに撤回された。

    GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)のディレクターでもあるラッセルは、今後のレースでもより慎重な運用を採るべきだと考えている。

    「安全という観点から見れば、それはレースをより安全で、より良いものにするはずだ」

    「その変更を行うことにデメリットはないと思う」