カテゴリー: メルセデスF1

  • マクラーレンF1 メルセデスの“PU合法トリック”に驚き「知らされていなかった」

    マクラーレンF1 メルセデスの“PU合法トリック”に驚き「知らされていなかった」

    マクラーレンF1は、メルセデスが2026年F1イギリスGP予選で投入した“復活エンジン技”について、事前に把握していなかったことを明かした。この技術はアンドレア・キミ・アントネッリのポールポジション獲得を支えた要素のひとつとされ、カスタマーチームであるマクラーレンにも衝撃を与えている。

    メルセデスはFIAによって禁止された予選時のエンジン制御の利点を、合法的な方法で再現する新たな運用をシルバーストンで導入した。

    マクラーレン代表のアンドレア・ステラは、この運用が自チームでは利用できていない可能性を認めるとともに、メルセデスHPP(ハイパフォーマンス・パワートレインズ)との協議を続けていることを明らかにした。

    メルセデスが復活させた“エンジン技”とは
    メルセデスは、アンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルに対し、スタート/フィニッシュライン直前で意図的にアクセルを戻す特殊なドライビングを実践させた。

    一見するとタイムロスになりそうな操作だが、これは2026年型パワーユニットのエネルギーマネジメントを最適化するためのものだ。

    通常はエネルギー放出終了時に「ランプダウンレート」と呼ばれる制御が働き、出力が毎秒50kWずつ減少する。しかし、アクセル操作を工夫することで、この減衰を避けながらフィニッシュラインまで最大出力を維持できる。

    メルセデスは週末前からシミュレーターでこの走らせ方を徹底的に練習しており、ドライバーが自然に実践できるよう準備を進めていた。

    アントネッリはその難しさについて次のように説明した。

    「簡単ではなかった。このパワーユニットでは、時には不自然に感じるような運転をしなければならない」

    「高速コーナーでは少し長く速度を維持して、アクセルを踏むタイミングを遅らせる。コーナー出口では少し失うけれど、その分エネルギーを多く残せるのでストレート後半で取り戻せる」

    「最初は『なぜアクセルを戻さなければならないんだ?』と思う。でもシミュレーターで何度も練習したことで、今ではほぼ自然にできるようになった」

    ポール獲得を後押しした最後の加速
    GPSデータによれば、最終シケイン出口ではアントネッリとシャルル・ルクレールとの差はわずか0.006秒しかなかった。

    しかし、ストレートではアントネッリの最高速が253km/hに達し、ルクレールより11km/h速かった。

    その後、アントネッリはフィニッシュライン直前でアクセルを戻す操作を行い、最終的に0.175秒差でポールポジションを獲得した。

    このうち約0.169秒は最終シケインからフィニッシュラインまでの区間で築いた差だった。

    もっとも、この特殊な運用だけがポール獲得の決定的要因だったわけではない。通常のエネルギー配分で走れば、シケイン出口時点ではルクレールとの差がさらに開いていた可能性もあり、この技術はアントネッリの優位をより確実なものにした要素と考えられている。

    マクラーレン メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    マクラーレンも「知らなかった」
    このメルセデスの運用はパドック全体に驚きを与えたが、最も意外だったのはカスタマーチームであるマクラーレンも把握していなかったことだ。

    オスカー・ピアストリは予選後、この技術について質問されると次のように語った。

    「彼らがそんなことをしていたなんて知らなかった。それがすべてを物語っていると思う」

    チーム代表のアンドレア・ステラも驚きを隠さなかった。

    「正直、少し驚いた。私たちの間で話題になっていたものではなかった」

    「そもそも私たちが使えるものなのかも分からない。おそらくパワーユニット側に追加の要素が必要なのだろう」

    その一方で、メルセデスHPPとは技術面で協議を続けていると説明した。

    「現在もHPPとは技術的なレベルで話し合いを続けている。この素晴らしいパワーユニットが持つ性能を最大限に引き出せるよう取り組んでいる」

    ベルギーGPで仕様更新を予定
    マクラーレンは現在、メルセデスの最新仕様パワーユニットを使用しておらず、ベルギーGPからアップグレード版を投入する予定となっている。

    ステラは、今回の仕様変更は基本的には信頼性向上が目的だとしながらも、パワーユニットの運用方法には改善の余地があると考えている。

    「性能は細かな運用方法にも大きく左右される」

    「新仕様へのアップグレードで改善されるか様子を見るが、基本的には信頼性向上のためなので、それだけではないと思っている」

    「ストレートスピードを分析すると、空気抵抗の違いを考慮してもまだ説明できない部分がある。その点についてもHPPと議論を続ける必要がある」

    メルセデスの新たな運用だけで、マクラーレンが予選で7秒以上ではなく0.7秒以上遅れた理由をすべて説明できるわけではない。しかし、ハンガリーGPではこの手法の効果がさらに大きくなるとみられており、ワークスチームが持つノウハウをどこまで吸収できるかが、マクラーレン浮上の鍵となりそうだ。

    【関連】
    ・メルセデスF1 FIA禁止の予選テクニックを合法的に復活 新たな手法が判明

  • ジョージ・ラッセル 直線速度不足に苦戦「アントネッリより6km/h遅い」

    ジョージ・ラッセル 直線速度不足に苦戦「アントネッリより6km/h遅い」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1第9戦イギリスGP予選でチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに0.3秒差をつけられた要因として、マシンの直線速度不足を明かした。シルバーストンでは週末を通じてストレートでタイムを失っており、メルセデスも原因究明を続けている。

    ラッセルは予選Q1でルフィールド進入時にタイヤをロックさせてグラベルへ飛び出す場面もあったが、それが予選結果を左右した最大の原因ではないと説明。

    チームメイトやマクラーレン勢と比べて最高速が伸びないことが、週末を通して最大の課題になっているという。

    ストレートで最大6km/hの差
    ラッセルはQ1でのコースオフについて、フロントウイングを修復した後も直線速度不足は改善されなかったと語った。

    「ダメージはなかった。でも週末を通してストレートでかなりタイムを失っている」

    「昨日のQ3ではストレートだけでほぼ0.3秒失っていた。今日の予選でもスピードトラップを見ると、第2セクターではチームメイトより3km/h遅く、第3セクターでは6km/hも遅かった。マクラーレン勢と比べても同じだ」

    メルセデスは原因究明を進めており、当初はブレーキの引きずりを疑っていたものの、現時点では決定的な要因とは断定できていないという。

    「チームは原因を理解しようと懸命に取り組んでいる。今朝は問題を見つけたと思っていて、ブレーキが引きずっているのではないかと考えていた。でも、それが本当の原因かどうかはまだ確信できていない」

    「セッションに入る前から自分だけ不利だと分かっている状況では、すべてがさらに難しくなる」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    空力抵抗が大きい可能性
    現行F1マシンでは、わずかな不具合がパワーユニットやエネルギーマネジメント全体へ影響を及ぼすケースも少なくない。しかしラッセルは、エネルギー展開(デプロイメント)そのものには問題は見られないとの見方を示した。

    「正直なところ、まだよく分からない」

    「デプロイメント自体は正常に見える。ただストレートのスピードだけが足りない。予選の速度データを見ると、空気抵抗の大きいマシンを走らせているように見える。昨日も今日もスピードトラップの数値は同じ傾向だった」

    ラッセルは、この問題がなければポールポジション獲得までは届かなかったとしても、少なくとも優勝争いには加われたと考えている。

    「ポールを獲れたとは思わない。でも昨日も今日も、もっと上位で争えていたはずだ」

    「Q3最初のアタックでトップに立てていたら、流れや考え方も変わっていただろう。でも今日は終始後手に回ってしまった」

    決勝は表彰台獲得を目標
    予選ではアントネッリがポールポジションを獲得した一方で、ラッセルは0.3秒差の4番手に終わった。週末を通じて続く直線速度不足が解消されないまま決勝を迎えることになるが、ラッセルは最後まで上位進出を諦めていない。

    「明日はベストを尽くして表彰台を目指す」

    まとめ
    ラッセルは、アントネッリとの差を生んでいる最大の要因はストレートスピード不足にあると分析している。メルセデスは原因究明を急いでいるものの、予選までに解決には至らず、決勝では不利な状況から追い上げを目指すことになる。

  • キミ・アントネッリ F1イギリスGPで圧巻ポール「先頭アタックはストレスだった」

    キミ・アントネッリ F1イギリスGPで圧巻ポール「先頭アタックはストレスだった」

    キミ・アントネッリは、2026年F1第9戦イギリスGP予選で今季5回目のポールポジションを獲得した。しかし、最終アタックではメルセデスの走行順によってQ3最初にタイムアタックを開始することになり、大きなプレッシャーを感じていたことを明かした。

    それでもアントネッリは難しいコンディションを克服し、フェラーリ勢のシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンを抑えてポールを獲得。メルセデスは2026年シーズン開幕から9戦連続でグランプリ予選ポールポジションを守り抜いた。

    Q3最終アタックは「最初に走るのが好きじゃない」
    アントネッリはQ3最後のアタックで最初にコースへ出ることになったことが精神的な負担だったと振り返った。

    「少しストレスを感じていた。最後のアタックで最初に走るのは本当に好きじゃないんだ。でも最後のラップはすごくクリーンにまとめることができたし、すべてがうまく噛み合った」

    また、この日のシルバーストン特有の強風にも苦しめられたという。

    「風がとても難しかった。突風が強くて予測できなかった。でも予選を通して少しずつ改善できたし、最後にポールを持ち帰ることができて本当に満足している」

    Q2ではブレーキの不具合にも直面
    予選は順調だったわけではない。アントネッリはQ2でフロントタイヤのロックアップに加え、ブレーキペダルのトラブルにも見舞われていたことを明かした。

    「今日は特にターン3でフロントをロックしやすかった。Q2最初のランでもフロントをロックしてしまった」

    「さらにブレーキペダルにも少し問題があった。ブレーキを踏み始めたときに最初は反応せず、そのせいでブレーキングが少し遅れてしまった」

    その後、セットアップを調整したことで改善したという。

    「セットアップを少し変更したことでブレーキングへの自信を取り戻すことができた」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    マシンは変更せずセッティングを最適化
    スプリント予選ではルイス・ハミルトンにポールを奪われたメルセデスだが、一夜で速さを取り戻した理由について、アントネッリはマシン自体は変更していないと説明した。

    「マシン自体はまったく変えていない」

    「変更したのはデファレンシャルやブレーキマイグレーション、それにドライビングだけだ。それらを調整して、自分が予選を通して改善できるセッティングを見つけることができた」

    決勝はフェラーリ勢との戦いを警戒
    スプリント優勝でランキング首位をさらに広げたアントネッリは、決勝でも優勝候補の筆頭だが、2番手ルクレール、3番手ハミルトンのフェラーリ勢を警戒している。

    「もちろん簡単なレースにはならない。後ろにはフェラーリが2台いるし、彼らは間違いなく協力してくるはずだ」

    「彼らのペースはとてもいい。でもスプリントでは僕たちも強かった。明日も同じペースを維持して、いいレースができればと思っている」

    メルセデスは予選での無敗記録を9戦連続へ伸ばした一方、決勝ではフェラーリ勢が強力なライバルとなる。アントネッリがスプリントに続いてシルバーストンを完全制覇できるかが注目される。

  • メルセデスF1 FIA禁止の予選テクニックを合法的に復活 新たな手法が判明

    メルセデスF1 FIA禁止の予選テクニックを合法的に復活 新たな手法が判明

    メルセデスはF1イギリスGPのスプリント予選で、FIAが今季序盤に禁止した予選時のパワーデプロイ戦略と同様の効果を得る新たな手法を導入していたことが明らかになった。

    ドライバーがタイム計測ライン直前でアクセルを戻すという一見不可解な操作によって、規則の範囲内で最大出力をより長く維持していたという。

    ジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリは、スプリント予選のアタックラップ終盤でスロットルを緩める動きを見せており、この戦略は現時点ではメルセデスのみが採用しているとされる。ライバルチームもすでにこの挙動に気付き、注目しているという。

    禁止された予選テクニックを別の形で再現
    今季序盤、メルセデスとレッドブル・レーシングは、バッテリー残量が減少した際に本来適用される出力低下(ランプダウン)を回避し、MGU-Kの最大出力350kWを通常より長く維持する方法を見つけていた。

    通常はバッテリーを使い切ると出力は毎秒50kWずつ減少していく。しかし両チームは、MGU-Kを停止した際にはこのランプダウン規定が適用されないというレギュレーションの例外を利用。いわゆる「コンティニュアス・オフセット」モードを作動させることで、ライバルより短時間ながら50~100kW高い出力を維持し、フィニッシュラインまでの加速性能を高めていた。

    しかし、この手法ではMGU-Kを停止した後に60秒間再起動できないため、コース上で急減速したり停止したりする危険性があるとして安全面が問題視された。

    その結果、FIAは3月末の日本GP終了後、緊急時を除くMGU-Kの意図的な停止を認めない方針を打ち出し、このテクニックは禁止された。

    新たな方法は「スロットルオフ」
    ところがシルバーストンでは、メルセデスが別の方法で同様のメリットを引き出していた。

    『The Race』によると、アントネッリとラッセルはストレートエンドまで350kWの最大出力を維持した後、タイム計測ライン直前でアクセルを戻している。これにより、ランプダウン規定を回避しながら規則を順守できるという。

    この方法が成立するのは、技術規則に「ドライバーの要求出力が負(アクセルオフ)」である場合や、「内燃エンジン(ICE)の出力要求が負となり、ドライバー要求を満たすためにERS-K出力をさらに低下させる必要がある場合」は通常のランプダウン条件が適用されないとの例外規定が存在するためだ。

    つまり、バッテリーを350kWで使い切る直前まで最大出力を維持し、最後にアクセルを戻せば、規則違反にならず同様の効果を得られる仕組みとなっている。

    FIA関係者も『The Race』に対し、「スロットルを戻す前の段階で出力低下が1秒間に50kWを超えていなければ、この手法は完全に規則に適合している」と説明している。

    シルバーストン特有のコース特性を活用
    この戦略が機能する背景には、シルバーストンのレイアウトがある。

    最終コーナー「クラブ」からタイム計測ラインまでの距離が比較的短いため、ライン直前まで最大出力を維持する恩恵が大きい。

    GP-Tempoのテレメトリーデータでは、アントネッリとポールポジションを獲得したルイス・ハミルトンを比較すると、クラブ出口まではほぼ同等の速度推移だったものの、最大出力を維持したアントネッリは途中で約7~8km/h速い速度を記録している。

    その後、ライン直前でアクセルを戻したため、計測ライン通過時には逆にハミルトンより約5km/h遅くなった。

    タイム上でも、クラブ出口ではアントネッリはハミルトンより約0.125秒遅れていたが、最大出力を維持した効果で一時は0.002秒差まで接近。しかし最後にアクセルを戻したことで、最終的には0.011秒差でポールポジションを逃す結果となった。

    もし最後まで全開で走っていればポールを獲得できた可能性もあったが、その場合はランプダウン規定への抵触リスクが生じていた可能性がある。

    今後は他チームにも広がる可能性
    今回の手法は現時点でメルセデスのみが採用しているとみられるが、すでにライバルチームもその挙動を把握している。

    FIAも合法との見解を示していることから、シルバーストンのように最終コーナーから計測ラインまでが短いサーキットでは、今後ほかのチームが同様の戦略を採用する可能性もありそうだ。

  • フェラーリF1代表 ヴォルフ発言に反論「レッドブルは天才 フェラーリは不正扱い」

    フェラーリF1代表 ヴォルフ発言に反論「レッドブルは天才 フェラーリは不正扱い」

    フェラーリのフレデリック・バスール代表が、マシン開発を巡るメルセデス代表トト・ヴォルフの発言に反論した。相次ぐアップデート投入について「そのうち資金が尽きるだろう」と皮肉られたことに対し、「フェラーリが開発すれば不正扱いされる」と不満をあらわにしている。

    2026年のフェラーリは積極的なアップデートを続けており、シルバーストンでも新パーツを投入。

    母国戦のルイス・ハミルトンがFP1最速、さらにスプリント予選でポールポジションを獲得したことで、再びフェラーリの開発戦略が話題となっている。

    メルセデス代表の皮肉に「不正扱い」と反発
    オーストリアGP後、メルセデス代表のトト・ヴォルフは、フェラーリが短期間に数多くのアップデートを投入していることについて、「そのうち資金が尽きるだろう」とコメントした。

    これは年間2億1500万ドルのコストキャップ(予算上限)を念頭に置いた発言であり、フェラーリの積極的な開発姿勢を皮肉ったものと受け止められた。

    これに対し、バスール代表はシルバーストンで報道陣に対し、次のように反論した。

    「トト、それもメルセデスからそういう発言が出たのは、かなり皮肉だと思った」

    「レッドブルやメルセデスが開発すれば『天才』と言われる。でもフェラーリが開発すると『不正』になる。この話は少し落ち着くべきだ」

    「私たちはレッドブルや他のチーム以上に多くのパーツを持ち込んでいるわけではない。冗談だったのかもしれないが……」

    さらに、「ヴォルフはフェラーリが不正をしていると言いたかったのか」と問われると、バスール代表は次のように答えた。

    「もし我々がコストキャップを超えていると言いたいのであれば、それはそういう方向の話になる」

    トト・ヴォルフ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    今季は大型アップデートを継続投入
    フェラーリは今季、マイアミで大型アップデートを投入した後、モナコではサーキット特性に合わせた仕様変更を実施。スペインでは8項目に及ぶ改良パッケージを投入し、ハミルトンの今季初優勝につなげた。

    さらにオーストリアでは4項目のアップデートと、ADUO制度に基づく初のパワーユニット性能向上版を導入。決勝ではハミルトン5位、シャルル・ルクレール8位に終わったものの、シルバーストンでは新たなアップデートを持ち込み、FP1最速とスプリント予選ポールという好スタートを切っている。

    「アップデートだけで速くなるわけではない」
    シルバーストンの公式記者会見では、フェラーリの開発について質問が相次ぎ、バスール代表は次第に苛立ちを見せた。

    ヴォルフ本人と話したかと問われると、「その話はしない方がいいと思う」とだけ答えた。

    さらに、ライバル勢がフェラーリを話題にすることはチームへの評価だと思うかとの質問には、冷静さの必要性を強調した。

    「もちろんそういう面はある。でもオーストリアの後のコメントも忘れてはいけない」

    「バルセロナでは我々がトップだと言われた。オーストリアではまったく駄目だと言われた。そしてFP1が終わっただけで、他チームの燃料搭載量も分からない段階なのに、『アップデートは魔法だ』と言われる」

    「もう少し落ち着くべきだ」

    さらに、マシン性能はアップデートだけでは決まらないと説明した。

    「我々はまだマシン開発の初期段階にいる。セットアップやタイヤマネジメントには、アップデート以上に大きな改善余地が残っている」

    「アップデート自体は機能していても、セットアップを間違えれば競争力を失うこともある。だからこそ冷静でいることが大切なんだ」

    フェラーリの積極的な開発は今季の大きな話題となっており、ライバル勢からも注目を集めている。バスール代表は、開発の成果を過度に予算や不正と結び付ける見方に強く反発し、マシンの競争力はアップデートだけで決まるものではなく、セットアップやタイヤマネジメントを含めた総合力で決まると強調した。シルバーストンで好スタートを切ったフェラーリが、その実力を週末を通じて証明できるかにも注目が集まる。

  • キミ・アントネッリ フェラーリF1躍進を警戒「驚異的な前進を遂げた」

    キミ・アントネッリ フェラーリF1躍進を警戒「驚異的な前進を遂げた」

    キミ・アントネッリは、F1イギリスGPのスプリント予選でルイス・ハミルトンにわずか0.011秒差でポールポジションを逃したものの、メルセデスとして十分に戦える手応えを得た。一方で、フェラーリの急速な競争力向上を認め、「驚異的な前進を遂げた」と警戒感を示した。

    ハミルトンはFP1からスプリント予選のSQ1、SQ2、SQ3まで全セッションでトップタイムを記録し、母国シルバーストンで圧巻の速さを披露。ドライバーズランキング首位を走るアントネッリは、その勢いを強く意識している。

    フェラーリの進化とハミルトンを警戒
    アントネッリは、フェラーリがここ数戦で大きくパフォーマンスを向上させたと評価し、スプリントでも厳しい戦いになると予想した。

    「フェラーリは驚異的な前進を遂げた。だから間違いなく厳しい戦いになる。それにルイスも絶好調だからね」

    それでも、その状況を前向きに受け止めている。

    「でも、それは良いことだ。僕たちはそういう挑戦が好きだし、その中でベストを尽くしたい。もちろん勝負を挑むし、全力を尽くすつもりだ。簡単ではないけれど、十分に良い結果を出せる可能性はあると思っている」

    現在アントネッリはランキング首位を維持しており、ハミルトンとのポイント差は46点となっている。

    マシン調整で一気に改善
    スプリント予選では、SQ1で思うようなフィーリングを得られず7番手に終わったが、セッション間のセットアップ変更が奏功したという。

    「正直、SQ1ではあまり良い感触がなかった。でも少しだけバランスを調整したら、SQ2では昼と夜くらい違う状態になった」

    その結果、一気にトップ争いへ復帰できたと振り返る。

    「突然ペースを取り戻せた。SQ3では少しタイムを残してしまった部分もあったけれど、それでも良いラップだった。残念ながらルイスには本当に僅差で届かなかったけれど、まずは彼を祝福したい」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) イギリスグランプリ

    決勝へ向けて巻き返しを狙う
    メルセデスはジョージ・ラッセルも5番手に終わり、ハミルトンから0.3秒以上離される結果となった。一方、アントネッリはわずか0.011秒差まで迫っており、スプリントでは優勝争いに加わる有力候補とみられている。

    アントネッリは「僕たちは明日に集中する」と語り、17周のスプリントでハミルトン、そして大きく戦闘力を高めたフェラーリに挑む姿勢を示した。

    【関連】
    ・F1イギリスGP スプリント予選 結果・タイムシート:ハミルトンがポール

  • ジョージ・ラッセル メルセデスF1の失速に困惑「何か辻褄が合っていない」

    ジョージ・ラッセル メルセデスF1の失速に困惑「何か辻褄が合っていない」

    ジョージ・ラッセルは、F1イギリスGPのスプリント予選で5番手に終わり、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリやポールポジションを獲得したルイス・ハミルトンとの差に困惑を示した。

    マシンの感触自体は悪くなかったにもかかわらず、タイムが伸びなかった理由について「少し奇妙だ」と語り、原因究明の必要性を強調した。

    またラッセルは、前戦オーストリアGPではパワーユニットやエネルギーマネジメント面で苦戦していたフェラーリが、シルバーストンでは一転して最速争いを演じたことにも驚きを隠さなかった。「何か辻褄が合っていない」と率直な見解を示し、決勝グリッドを決める土曜日の予選へ向けて改善を目指す考えを語っている。

    スプリント予選でも見えたペース不足
    シルバーストンで行われた唯一のフリー走行では、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリから約0.4秒遅れとなったラッセル。そのセッションではルイス・ハミルトンが最速タイムを記録し、フェラーリ勢が好調な滑り出しを見せていた。

    スプリント予選でもその流れは変わらず、ハミルトンがポールポジションを獲得。アントネッリが2番手、マックス・フェルスタッペンが3番手、シャルル・ルクレールが4番手に続き、ラッセルは5番手にとどまった。タイム差は再びハミルトンから約0.4秒だった。

    ラッセルは予選後、今季を象徴するような展開だったと振り返った。

    「正直に言えば、今年ずっとこんな感じなんだ。いつも後手に回っている」

    「普段はQ3で一段階パフォーマンスを上げられることが多いけど、今日はそうならなかった。3番手までは本当に僅差だったけど、それでもルイスやキミにはかなり離されていた。その理由を理解しないといけない。少し奇妙だ」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    マシンの感触は悪くない
    一方で、マシン自体のフィーリングは決して悪くなかったという。

    「正直、クルマの感触はかなり良かった。そこまで悪くはなかったよ」

    「このサーキットではもっと扱いづらくなると思っていたけど、実際にはかなり乗りやすかった。高速コーナーでも速さは感じていた。でも、さっきも言ったように、相対的なラップタイムが足りていない。もっと重要な土曜日に向けて、その理由を理解する必要がある」

    フェラーリの速さに「何か辻褄が合っていない」
    ラッセルはさらに、前戦オーストリアで苦戦していたフェラーリがシルバーストンでは一転して最速争いを繰り広げていることにも驚きを示した。

    「彼らはパワーユニットとエネルギーマネジメントで苦しんでいたはずなのに、ここでは現時点で一番速そうに見える。本当に驚いている」

    「フェラーリのシャシーが優れていることは以前から分かっていた。でも、何か辻褄が合っていないように感じる」

    「もし予想するとしたら、先週はフェラーリが速くて、今週は僕たちが速いと思っていた。もちろんキミは素晴らしい仕事をしたけど、それでも今日は一日を通してフェラーリのほうが優勢だった」

    【関連】
    ・F1イギリスGP スプリント予選 結果・タイムシート:ハミルトンがポール

  • ジョージ・ラッセル 他チームの積極開発に警鐘「終盤に代償を払うかもしれない」

    ジョージ・ラッセル 他チームの積極開発に警鐘「終盤に代償を払うかもしれない」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1シーズン序盤で各チームが積極的なアップグレード競争を繰り広げていることについて、シーズン終盤に「代償を払うかもしれない」と警鐘を鳴らした。

    2026年の新レギュレーション導入後、メルセデスは新型パワーユニットと空力コンセプトでライバルをリード。フェラーリなど各チームは差を縮めるために開発を加速させているが、ラッセルは予算上限とのバランスが今後の勝負を左右すると見ている。

    メルセデスは開発ペースを維持
    2026年のF1は、新たなパワーユニットと空力レギュレーションが導入され、メルセデスが開幕から高い競争力を発揮してきた。

    ここまで行われた8戦のうち7勝を挙げ、唯一の敗戦はフェラーリが制したスペインGPのみとなっている。

    ライバル勢が巻き返しを狙って大型アップグレードを相次いで投入する一方で、メルセデスも着実に改良を続けているが、その投入時期については慎重な姿勢を崩していない。

    ラッセル「終盤に代償を払うかもしれない」
    ラッセルは、ライバル勢の積極的な開発ペースに驚きを隠さなかった。

    「ここまで毎戦マシンは本当に安定している」

    「いくつかのチームがこれほど多くのアップグレードを投入していることには驚いている。もしかすると、シーズン終盤にはその代償を払うことになるかもしれない」

    これは、F1の予算上限制度のもとで開発費が厳しく管理されていることを踏まえた発言だ。序盤で開発資源を使いすぎれば、終盤に必要な改良やトラブル対応に十分な予算を残せなくなる可能性がある。

    大型アップデート投入は夏休み以降を予定
    メルセデスは現時点で開発計画を明確に描いており、大型アップグレードを急ぐ考えはないという。

    「アップグレードの計画は決まっている。夏休み前に投入する予定はない」

    「そしてサマーブレイク中に状況を見直して、少し早めに投入するかどうかを判断することになる」

    「結局はバランスの問題だ。トト(・ヴォルフ)が話していたように、他チームがこれほど多くのアップグレードを投入していることには、僕たちも少し驚いている」

    メルセデスは現在の競争力に自信を持ちながらも、シーズン後半と2027年以降を見据え、開発リソースを慎重に配分する戦略を維持する構えだ。

  • メルセデスF1 イギリスGP展望「勢力図は急速に変化している」

    メルセデスF1 イギリスGP展望「勢力図は急速に変化している」

    メルセデスは2026年F1第9戦イギリスGPを前に、チーム代表のトト・ヴォルフが現在のタイトル争いの厳しさを強調した。前戦オーストリアGPではダブル表彰台を獲得したものの、その勢いがそのままシルバーストンでも通用する保証はないと警戒している。

    本拠地ブラックリーからほど近いシルバーストンは、チームにとって事実上のホームレースだ。しかしヴォルフは「重要なのは雰囲気ではなくパフォーマンス」と語り、接戦が続く2026年シーズンでは一瞬の油断も許されないとの認識を示した。

    ホームレースでも重要なのは結果
    メルセデスにとってシルバーストンは特別な舞台だ。チーム本部のあるブラックリーまでは約9マイル、パワーユニット部門のブリックスワースまでも約20マイル余りと、最も本拠地に近いグランプリとなる。

    トト・ヴォルフ代表は、その特別な週末であっても勝負を左右するのは純粋なパフォーマンスだと強調した。

    「シルバーストンはカレンダーの中でも特別なレースのひとつだ。素晴らしいサーキットであり、ファンは独特の雰囲気を作り出してくれる。そしてファクトリーからわずか数マイルしか離れていないこともあり、私たちにとってはホームレースのような存在でもある」

    「しかしコースに出れば重要なのは雰囲気ではなくパフォーマンスだ」

    毎戦変化する勢力図を警戒
    前戦オーストリアGPではダブル表彰台を獲得したメルセデスだが、ヴォルフはそれが次戦でも再現できるとは考えていない。

    「オーストリアではダブル表彰台という良い結果を残せた。しかし、それがそのまま次のレースでも続くと考えられる状況ではない」

    「現在のグリッドは非常に接近している。勢力図はあまりにも速く変化し、ある週に競争力があったものが翌週にはまったく違って見えることもある。それが今のF1の現実だ」

    さらに各チームの開発競争が勢力図を絶えず変えていると説明し、一貫性こそがメルセデス最大の武器だと語った。

    「今は非常に接近した開発競争が続いている。あるチームが一歩前進すれば、他のチームもすぐ対応し、順位は圧縮されたり入れ替わったりする」

    「今シーズンここまで私たちの強みは一貫性だった。それは規律を守り、基本を確実に積み重ねてきた結果だ」

    「私たちは引き続きミスなく週末を運び、可能な限りマシンの性能を向上させ、コース上で取りこぼしをしないことに集中していく」

    エネルギー管理が勝負の鍵
    リザーブ兼サードドライバーのフレデリック・ベスティは、シルバーストン特有の高速レイアウトが2026年型マシン「W17」の真価を測る重要なテストになると分析した。

    「シルバーストンはシーズンを代表するイベントのひとつだ。チームのファクトリーから最も近いレースであり、ジョージにとっても母国グランプリという特別な意味を持つ」

    「高速コーナーが数多く続く素晴らしいサーキットであり、W17の実力、そして現在のパフォーマンスレベルを測る明確な指標になる」

    また2026年レギュレーションでは、長いストレートと高速コーナーの組み合わせによってエネルギー回生の機会が限られるため、デプロイメント管理が重要になると指摘した。

    「長いストレートと高速コーナーによってエネルギー回生の機会は少なくなる。そのため1周を通じたデプロイメント管理がこれまで以上に重要になる。レースには間違いなく新たな要素が加わるだろう」

    「オーバーテイクも多く、ファンにとって素晴らしいレースになるはずだ。マゴッツやベケッツのような高速区間は特に見応えがあるだろう。僕自身も週末をとても楽しみにしている」

    イギリスGP トリビア
    ■ シルバーストンでは2021年以来2度目となるスプリントフォーマットが実施される。

    ■ 全長5.891kmのシルバーストンは、スパ、ラスベガス、ジェッダ、バクーに次ぐF1カレンダー5番目のロングサーキット。

    ■ マゴッツ、ベケッツ、チャペルなど伝統的なコーナー名を持ち、エンジニアがコーナー番号ではなく名称で呼ぶ数少ないサーキットのひとつ。

    ■ スタートからターン1まで約650mあり、2026年カレンダーでも屈指の長い全開区間となる。

    ■ メルセデスは2010年のワークス復帰以降、シルバーストンで9勝を挙げている。

    ■ 2013年から2020年まで8年連続でポールポジションを獲得。ルイス・ハミルトン、ニコ・ロズベルグ、バルテリ・ボッタスが記録した。

    ■ ジョージ・ラッセルは2014年BRDC F4開幕戦のシルバーストンでフォーミュラカー初優勝を飾った。

    ■ キミ・アントネッリは2024年のF2シルバーストン大会で初優勝を記録した。

    ■ フレデリック・ベスティも2023年のF2シルバーストン大会で優勝経験を持つ。

    【関連】
    ・2026年F1イギリスGP テレビ放送時間・配信日程(フジテレビNEXT・FOD)

  • キミ・アントネッリ メルセデスF1無線で自己嫌悪「ひどいレースだった」

    キミ・アントネッリ メルセデスF1無線で自己嫌悪「ひどいレースだった」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2026年F1第8戦オーストリアGPで3位表彰台を獲得したものの、レース後のチーム無線では「ひどいレースだった。スタートも最悪だった」と自らの走りを厳しく評価した。

    ランキング首位を維持しているアントネッリだが、5連勝が途絶えたバルセロナ・カタルーニャGPに続き、オーストリアGPでも思い描いたレースを展開できず、終盤のペースを評価されながらも序盤のミスを強く悔やむ様子を見せた。

    表彰台でも納得できなかったアントネッリ
    決勝では3位でチェッカーを受けたアントネッリだったが、レースエンジニアのピーター・ボニントン(ボノ)から祝福を受けると、自らのレース内容を厳しく振り返った。

    ボノは「よくやった、キミ。3位だ。あと少しだった」と労いの言葉を掛けた。

    しかしアントネッリは「ひどいレースだった。スタートも最悪だった」と返答。スタート直後の走りを強く悔やむ様子を見せた。

    ボニントンが「序盤については後で振り返ろう」と応じると、アントネッリは「でも終盤のペースは良かった?」と確認。これに対しボニントンは「終盤のペースはかなり良かった」と評価している。

    序盤の失敗を最後まで引きずっていたことが、このやり取りからもうかがえた。

    タイトル争いで求められる精神的な成長
    アントネッリはシーズン序盤、5連勝を達成してタイトル争いをリードしてきた。しかし直近2戦では、バルセロナ・カタルーニャGPのリタイアとオーストリアGPでの苦戦により、これまでのような圧倒的な流れは失われつつある。

    オーストリアGPの予選でも、赤旗後のQ3でラッセルが逆転ポールを獲得する展開となり、週末を通してフラストレーションを抱えていた様子も伝えられていた。

    それでも、終盤には速いレースペースを見せて3位表彰台を確保したことは、ダメージを最小限に抑えた結果とも言える。

    今後はラッセルとの戦いも本格化
    これまでアントネッリはルイス・ハミルトンとのタイトル争いを意識する発言をしてきたが、オーストリアGPを制したラッセルもランキングで差を縮め、メルセデス内部での争いも一段と激しくなってきた。

    若干19歳のアントネッリには高い速さがあることはすでに証明されている。一方で、チャンピオン争いでは速さだけでなく、不調な週末でも冷静にポイントを積み重ねる精神的な強さも求められる。

    シルバーストン以降の後半戦は、アントネッリがトップドライバーへと成長できるかを占う重要な局面となりそうだ。