カテゴリー: マクラーレンF1チーム

  • マクラーレンとアウディ フレディ・スレーターのF1育成契約を巡り争奪戦?

    マクラーレンとアウディ フレディ・スレーターのF1育成契約を巡り争奪戦?

    マクラーレンとアウディが、ジュニアカテゴリーで圧倒的な実績を残してきた英国の新星フレディ・スレーターを巡り、将来の囲い込みを視野に入れた駆け引きを繰り広げている。

    17歳のスレーターは、高級トイレタリーブランド「Baylis & Harding」のオーナー兼マネージングディレクターであるエイドリアン・スレーターの息子で、7歳からカートレースを始めた。

    以降、2023年ジネッタ・ジュニア選手権、2024年イタリアF4、2025年フォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権(FRECA)を次々と制覇。2026年にはトライデントからF3にステップアップする。

    とりわけ2024年のイタリアF4では15勝を挙げ、アンドレア・キミ・アントネッリのシーズン最多勝記録(13勝)を更新。ランキング2位のジャック・ビートンに161ポイント差をつける圧倒的な内容だった。さらに昨季にはAIXレーシングからF3にスポット参戦し、サクヒールでのデビュー戦でいきなり2位表彰台を獲得している。

    どのF1育成プログラムがスレーターを獲得するのか
    ジュニアでの輝かしい戦績を持ちながらも、スレーターは現在、特定のF1育成アカデミーに所属していないフリーの立場にある。だが、その状況は長く続かない可能性が高い。

    F1事情通のジョー・サワードによれば、昨年のサクヒールでの走りが高く評価され、3年目のF3シーズンを戦っていたフェルナンド・アロンソ門下のニコラ・ツォロフと真っ向勝負を演じたことで、「バーレーンでは近いうちにパパイヤカラーを身にまとうのではないかという噂が広がっていた」という。スレーターはADDマネジメントに所属しており、同社はランド・ノリスのマネジメントも手掛けている。

    一方で、状況を変えたのがアウディF1の動きだ。仏誌『Auto Hebdo』によると、アウディはスレーターに強い関心を示しており、2028年にガブリエル・ボルトレトと組ませる将来構想まで浮上しているという。両者が現在の勢いを維持できれば、大きな投資に値すると見られている。

    アウディが有力視される背景には、FRECAで2025年にスレーターに次ぐ2位となり、2026年はF3で同じくトライデントから参戦するマッテオ・デ・パロの存在もある。デ・パロは2025年末にマクラーレンF1の育成プログラム入りが発表されており、これがマクラーレンとアウディの思惑をより複雑にしている。

    ジュニアフォーミュラでタイトルを総なめにしてきたスレーターを、最終的にどのF1陣営が取り込むのか。マクラーレンとアウディによる静かな争奪戦は、今後さらに注目を集めそうだ。

  • マクラーレンF1 レオナルド・フォルナローリをリザーブドライバーに追加

    マクラーレンF1 レオナルド・フォルナローリをリザーブドライバーに追加

    マクラーレンは2026年F1シーズンに向け、リザーブドライバー体制を正式に確定させた。新たにF2チャンピオンのレオナルド・フォルナローリがリザーブドライバーに昇格し、長年テストドライバーを務めてきたパト・オワードと役割を分担する。

    マクラーレンは、2026年F1キャンペーンにおいて2名のリザーブドライバーを常時スタンバイさせる方針を明らかにした。

    これは正ドライバーであるランド・ノリス、オスカー・ピアストリのいずれかが、負傷や病気、あるいは出場停止などの不測の事態でレースに出場できなくなった場合に備えるものだ。

    フォルナローリは、カタールでF2タイトルを獲得した直後にマクラーレンと契約。当初はテスト兼開発ドライバーとしてTPC(旧型車テスト)を担当していたが、今回その役割が拡大され、正式なリザーブドライバーに就任した。今後は集中的なテストおよびシミュレーター・プログラムにも参加する。

    「マクラーレン・マスターカードF1チームのリザーブドライバーとして、マクラーレン・ドライバー育成プログラムの一環で役割を拡張できることを本当にうれしく思う」とフォルナローリは語った。

    「これは僕のキャリアにおける次の大きなステップであり、チャンピオンシップを制した成功したチームに貢献できることを楽しみにしている。ザク、アンドレア、アレッサンドロにこの機会を与えてもらったことに感謝したい」

    一方、オワードはこれまで通りリザーブドライバーを継続しつつ、アメリカのインディカー・シリーズでマクラーレンの活動を続ける。

    「アロウ・マクラーレンでのインディカーでの主な役割と並行し、マクラーレン・マスターカードF1チームのリザーブドライバーを続けられることをうれしく思う」とオワードは述べた。

    「ここ数年、F1マシンをテストしドライブする中で非常に多くのことを学んできた。その経験をさらに成長と発展につなげていきたい」

    マクラーレン F1

    2026年に向け刷新されたドライバー育成プログラム
    マクラーレンは同時に、2026年シーズンに向けたドライバー育成プログラムの全体像も発表した。2025年末に複数の若手がプログラムを離脱した後、新たな体制が整えられている。

    2026年 マクラーレン・ドライバー育成プログラム一覧
    ■ レオナルド・フォルナローリ:F1リザーブ兼テストドライバー
    ■ パト・オワード:F1リザーブ兼テストドライバー
    ■ リチャード・フェルシュホー:マクラーレン・レーシング テストドライバー(ELMS LMP2参戦)
    ■ マッテオ・デ・パロ:F3(トライデント)
    ■ エラ・ロイド:F1アカデミー(ロダン・モータースポーツ)
    ■ エラ・スティーブンス:F1アカデミー(ロダン・モータースポーツ)
    ■ ドリース・ファン・ランゲンドンク:英国F4/フォーミュラ・ウインター・シリーズ
    ■ クリスチャン・コストヤ:イタリアF4、ユーロ4、F4中東
    ■ エラ・ハッキネン:F4シングルシーター・テストプログラム

    この育成プログラムは、マクラーレンの最高ビジネス責任者であるアレッサンドロ・アルンニ・ブラビが統括している。

    「2026年に向けたレースおよびテストプログラムと並行して、ドライバー育成プログラムのラインアップを確定できたことをうれしく思う」とアルンニ・ブラビは述べた。
    「フォルナローリが我々との育成の一環としてリザーブドライバーに昇格したこと、そしてオワードが引き続きこの役割を担うことは非常に喜ばしい。我々は9名の非常に才能あるドライバーを選抜しており、F1、インディカー、そして将来的なWEC参戦に向け、彼らが成長していく姿を見るのが楽しみだ」

    マクラーレンは2026年に向け、F1だけでなく複数カテゴリーを見据えた長期的な人材育成体制を着実に整えつつある。

  • ニック・デ・フリース、2026年もマクラーレンF1のシミュレータードライバー続投

    ニック・デ・フリース、2026年もマクラーレンF1のシミュレータードライバー続投

    ニック・デ・フリースは2026年もF1に関与し続ける。GPblogの確認によれば、オランダ人ドライバーはマクラーレンの常設シミュレータードライバーの一人として再任された。

    元フォーミュラE世界王者のデ・フリースは、かつて同チームのジュニアドライバーを務めた経歴を持ち、2025年にマクラーレンへ復帰していた。ただし当初、この起用は公式発表されておらず、静かな形でチームに加わっていた。

    マクラーレンでの役割と評価
    CEOのザク・ブラウンが率いるマクラーレンにおいて、デ・フリースは「テスト兼シミュレータードライバー」として契約。レースウイークエンドを含む複数の機会に、ウォーキングのファクトリーでシミュレーター作業を担当し、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリのマシンセットアップ開発を支えた。

    この協力関係は高く評価され、ドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権の両方を制したシーズンを経て、2026年も継続されることが決まった。来季も複数名で構成されるシミュレータードライバーのプールの一員として、ローテーション形式で起用される。

    多忙な並行プログラム
    もっとも、デ・フリースがすべてのグランプリでマクラーレンのファクトリーに常駐できるわけではない。2026年もフォーミュラEでマヒンドラ・レーシングから参戦するほか、世界耐久選手権(WEC)ではトヨタのレギュラードライバーとして活動する予定だ。

    F1、フォーミュラE、WECという三つのトップカテゴリーを横断するプログラムを抱えながらも、デ・フリースは2026年もマクラーレンの重要な技術的支援役としてF1の舞台に関わり続けることになる。

  • マックス・フェルスタッペン マクラーレンF1のチームオーダーは「魂を売る行為」

    マックス・フェルスタッペン マクラーレンF1のチームオーダーは「魂を売る行為」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)は、昨季マクラーレンが採用したチームオーダーについて、「魂を売る行為だ」と強く否定的な見解を示した。

    2025年シーズン、マクラーレンF1はタイトル争いの中で、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリの両名に平等なチャンスを与える方針を掲げ、いくつかの場面でチームオーダーを実施した。特にモンツァでは、ピットストップの遅れで順位を落としたノリスのため、ピアストリにポジションを譲る指示が出され、物議を醸した。

    当時、この指示に無線で驚きを示していたフェルスタッペンは、スイス紙『Blick』の取材に対し、もし自分が同じ立場だったとしても従わなかったと断言した。

    「絶対にしない。はっきりした理由もなく一度でもやってしまえば、魂を売ることになる」

    「そうなれば、チームは君に対して何でもできるようになる。そして忘れてはいけないのは、ピアストリもタイトル争いの真っ只中にいたということだ」

    フェルスタッペンは終盤戦で力強い追い上げを見せたものの、最終的にはタイトル獲得者のノリスにわずか2ポイント及ばず、ランキング2位でシーズンを終えた。

    マックス・フェルスタッペン レッドブル・レーシング

    シーズン中には、タイトルを逃す要因となった複数の出来事も話題に上がった。そのひとつがカタールGPでのアンドレア・キミ・アントネッリのミスで、これによりノリスが終盤にポジションを上げ、貴重なポイントを加算する結果となった。

    それでもフェルスタッペンは、この件についてメルセデスの若手ドライバーを責める姿勢は見せていない。

    「残念ながら、あの場面でキミがミスをして、それが大きな影響を与えた」

    「でも、ミスはこのスポーツの一部だ。限界で戦っていて、最高のマシンに乗った相手がすぐ後ろにいれば、なおさらだ」

    「プレッシャーの中でキミが少しワイドに行き過ぎてしまったのは残念だが、起こり得ることだ。怒ってはいない」

    この発言は、タイトル争いにおけるチームオーダーの是非と、ドライバーとしての主体性をめぐる議論を改めて浮き彫りにしている。

  • マクラーレンに迫る2026年F1レギュレーション 「ワークス力」が主導する懸念

    マクラーレンに迫る2026年F1レギュレーション 「ワークス力」が主導する懸念

    マクラーレンF1は、2026年F1レギュレーションがもたらす大きな転換点を前に、新たな懸念と向き合っている。近年はシャシー開発力と運営力を武器に復権を果たしてきたが、次世代規則では、その成功モデルが通用しなくなる可能性がある。

    軽量化、アクティブエアロ、電動比率の拡大を柱とする2026年F1は、パワーユニットとシャシーの一体設計を強く求めるレギュレーションだ。「ワークス力」が競争力を左右する時代において、カスタマーチームであるマクラーレンF1は、構造的に不利な立場に置かれるリスクを抱えている。

    2026年F1レギュレーションは、単なる新時代の幕開けではない。勢力図そのものを「シャシー主導」から「メーカー主導」へと押し戻す可能性を秘めている。

    F1はこれまでも、創意工夫が支配する時代と、工業力が支配する時代を行き来してきた。2009年、突如現れたブラウンGPが両タイトルをさらったシーズンは前者の象徴であり、2014年のレギュレーション変更でメルセデスが圧倒的優位を築いた時代は後者の典型だ。

    ハイブリッド時代初期、メルセデスはパワーユニットとシャシーを完全に一体化させることで、5年近く続く支配を確立した。その後、技術が収束し、カスタマーチームも洗練された1.6リッターV6を使えるようになると、序列は次第に平坦化する。

    2020年代後半には、再び「シャシーがものを言う」時代が戻ってきた。その象徴が、メルセデスPUを使いながらフロントランナーに返り咲いたマクラーレンだった。

    しかし、2026年はその流れを反転させる危険性をはらんでいる。

    2026年F1は“ワークス過多”の時代
    2026年は、10年以上ぶりに「ワークスがカスタマーを上回る」構図で新レギュレーションを迎える。

    アウディF1は完全なファクトリー体制で参戦し、ホンダは単なる供給元ではなく、アストンマーティンF1との正式なパートナーとして復帰する。レッドブルはフォードと組み、自前のパワーユニットをミルトンキーンズで製造するという、ハイブリッド時代初の新規PUプロジェクトに挑む。

    これに加えて、フェラーリF1とメルセデスF1が存在する。さらに、レッドブル・パワートレインズの恩恵を直接受けるレーシングブルズまで含めれば、最大6チームが「ファクトリー主導のエコシステム」に属する計算になる。

    カスタマーチームは、まさにこのタイミングで少数派になる。

    なぜ2026年はワークス有利なのか
    2026年の技術規則は、軽量シャシー、アクティブエアロ、電動比率の増大という三本柱で構成されている。意図された狙いは、戦略の多様化とエネルギーマネジメントの単純化だ。

    だが、その副作用として、パワーユニットとエアロの統合度が、かつてないほど重要になる。

    アクティブエアロは、現行のDRSに代わり、コーナリング用の高ダウンフォース形態と、ストレート用の低ドラッグ形態を切り替える。その切り替えは、空力だけでなく、どれだけ電動パワーを同時に使うかという制御と直結する。

    また、MGU-Hの簡素化により、MGU-Kとバッテリーがマシン挙動を左右する比重は一段と高まる。エネルギー配分は、もはや独立した性能要素ではなく、空力特性と不可分な存在になる。

    この「循環型の設計思想」は、ワークスチームが最も得意とする領域であり、カスタマーチームが最も苦しむ部分でもある。

    マクラーレン F1

    初期設計がすべてを決めるリスク
    2026年の最大の特徴は、初期アーキテクチャの選択が、レギュレーション周期全体を縛りかねない点にある。

    冷却要求、バッテリー配置、排気レイアウト、空力モード切り替え時の挙動。これらはすべて、初期段階で決めたパワーユニット構成に強く依存する。

    ワークスチームは、PU冷却やバッテリー配置を、アクティブエアロの二面性を前提に設計できる。一方、カスタマーチームは、他社の優先順位で作られたPUに、自分たちの空力哲学を後から合わせるしかない。

    成熟したレギュレーション下であれば、その制約は「工夫」で乗り越えられる。だが、2026年のようなハードリセットでは、その制約自体が致命的な足かせになり得る。

    アウディ参戦が示す時代の方向性
    この流れを最も象徴しているのがアウディだ。

    アウディは、単にエンジンを供給するという選択肢も持っていた。それでもザウバーを掌握し、エンジン、シャシー、エアロ、オペレーションを一体化する道を選んだ。

    それはマーケティング以上に、「フルスタック統合こそが勝利への道」という明確な意思表示だ。2010年代初頭のメルセデスと同じ設計思想であり、2026年が統合型レギュレーションであるなら、その恩恵を最も受けやすい存在でもある。

    マクラーレンF1に突きつけられる現実
    マクラーレンF1の近年の成功は、安定したレギュレーションと収束したPU環境があってこそ成り立っていた。既知のメルセデスPUを前提に、空力哲学を磨き上げることで、ワークス勢に並び、時に凌駕することができた。

    しかし2026年は、その前提が崩れる。

    カスタマーチームが勝つためには、継承された制約を帳消しにするほどのシャシー概念か、異例なほど密接に要望を汲み取ってくれるPUサプライヤーが必要になる。

    グリッド構成、レギュレーションの性質、そして開発戦略を総合すると、F1は再び「メーカーの時代」に近づいているように見える。

    2026年は、単なる新ルール元年ではない。F1が再び、工業力そのものを競う選手権へと回帰する転換点になる可能性がある。

  • アレックス・パロウ 「フェルスタッペンならマクラーレンF1で楽勝だった」

    アレックス・パロウ 「フェルスタッペンならマクラーレンF1で楽勝だった」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)は2025年F1ドライバーズ選手権で、わずか2ポイント差でタイトルを逃した。

    インディカー王者のアレックス・パロウは、もしフェルスタッペンがマクラーレンF1に乗っていたなら、2025年のF1タイトルはシーズン終盤を待たずに決まっていたはずだと断言し、マクラーレンの両ドライバーに対して辛辣な見解を示した。

    ウォーキングを拠点とするマクラーレンF1は、2025年に27年ぶりとなるダブルタイトルを達成し、ランド・ノリスがアブダビで行われた最終戦でドライバーズ選手権を制した。

    ノリスの戴冠は、シンガポールGPで確定していたコンストラクターズ選手権連覇に続く成果だった。

    一方で、このタイトル争いは、オスカー・ピアストリの成績低下という流れの中で決着した。ピアストリは8月時点で34ポイントのリードを築いていたものの、それを守り切れず、最終的にはノリス、そして復調したマックス・フェルスタッペンに次ぐランキング3位に終わった。

    フェルスタッペンは、オーストラリア人ドライバーに対して一時は100ポイント以上の差をつけられていたが、終盤にかけて圧巻のパフォーマンスを重ね、王座防衛を逃した差はわずか2ポイントまで縮まった。

    年初にマクラーレンとの間で法的紛争を抱えていたアレックス・パロウは、同チームのF1での成功について言及する中で、現在のF1で最も偉大なドライバーはフェルスタッペンだと称賛した。

    マックス・フェルスタッペン F1 マクラーレン

    「もしマックス・フェルスタッペンが2025年にマクラーレンをドライブしていたなら、彼はシーズン終了の2か月前にはワールドチャンピオンになっていただろう」とパロウは『Mundo Deportivo』に語った。

    「それについては完全に確信している。今のグリッドで、そういうことができるのは彼だけだと僕は思っている」

    このスペイン人ドライバーは、2024年に自身4度目のインディカー王座と、初のインディ500制覇を成し遂げている。

    そのパロウは、もし支配的なマクラーレンMCL39をドライブしていたなら、自身もタイトル争いができたと思うかと問われ、次のように答えた。

    「それは分からない。でも自分の能力は信じているから、答えはイエスになると思う」

    「僕がF1をドライブしたのは2022年のテキサスでの1回の週末だけだ。だから、2025年のマクラーレンでどうなっていたかを語るのは難しい」

  • マクラーレンF1は2026年もタイトルを狙える 追われる側の準備

    マクラーレンF1は2026年もタイトルを狙える 追われる側の準備

    マクラーレンは、コンストラクターズ選手権を連覇した直後の2026年を迎える。成功の代償として「追われる立場」になったことは間違いないが、チーム内部では新時代でも再びタイトル争いができるという確信が共有されている。

    グラウンドエフェクト時代の最終局面で、マクラーレンはF1のベンチマークとなった。最大の強みは、ファクトリーで得られるデータとサーキット上の挙動の相関精度だ。設計・シミュレーション・実走のズレを極限まで減らす体制が、パフォーマンス最適化の基盤になっていた。

    2026年は、空力とパワーユニットの両面で完全に新しい世代のマシンが登場する。予算制限の中でこの変化に対応するのは容易ではなく、しかも2025年はマックス・フェルスタッペンとの激しいタイトル争いもあった。紙の上では、マクラーレンにとって厳しい条件が並んでいるように見える。

    それでも、チーム代表のアンドレア・ステラは、状況を楽観視している。

    2025年のタイトル争いを、2026年の犠牲にしなかった
    F1は常に優先順位の競技だ。限られた資金とリソースを、目先のアップデートに使うのか、それとも将来に振り向けるのか。2025年は多くのチームが早い段階で開発を切り上げ、2026年F1レギュレーションに集中した。

    この判断は、中団チームにとっては比較的容易だった。アストンマーティンやアストンマーティンのように、将来的にトップ争いを目指すチームは、2025年を早めに見切っても大きな痛手はなかった。

    一方で、レッドブル・レーシングとマクラーレンの事情はまったく異なる。両者はドライバーズタイトルをかけてシーズン終盤まで戦っており、簡単に開発を止めることはできなかった。

    レッドブル・レーシングは、RB21の開発を最後まで続ける「オールイン」を選択した。その結果、角田裕毅のマシンにはほとんどアップデートが投入されず、フェルスタッペンにリソースが集中した。この判断は、2026年F1マシンの開発の一部を犠牲にすることを意味していた。

    2021年にも似たアプローチで成功した前例はあるが、今回については、ローラン・メキース体制のレッドブル・レーシングが失われた時間を取り戻そうとしている段階だ。

    対照的に、マクラーレンは2025年のタイトル争いが、2026年への準備を遅らせることを許さなかった。

    ステラは2025年末、次のように説明している。

    「むしろ、2025年後半にレッドブル・レーシングが与えてきたプレッシャーは、僕たちにとって重要な挑戦だった。なぜなら、その時点で我々はしばらく前から開発を止めていたからだ」とアンドレア・ステラは語った。

    「マクラーレンのテクニカルチームは特に強い。私がF1で26年間キャリアを積んできた中でも、最も強力な技術部門のひとつだ」

    「現行レギュレーションの細部がそのまま将来に当てはまるわけではないが、仕事の進め方、基準、マシン開発へのアプローチ、技術的な目標設定は引き継がれる。それが、2026年シーズンに向けて我々を楽観的にさせている理由だ」

    マクラーレン F1

    不安定なF1の中で、稀有な安定性
    F1に変化はつきものだが、直近18か月は例年以上に激動だった。トップチームの内部でも、大きな組織変更が相次いでいる。

    レッドブル・レーシングは、2026年から自社製パワーユニットを投入する。チームは「メーカー化=出遅れ」ではないと強調し、積極的な人材獲得によって競争力を確保できると考えている。それでも、カスタマーチームからメーカーへ移行する難易度が極めて高いのは事実で、新レギュレーション周期を前に不確実性が残る。

    フェラーリでは上級技術者の離脱があり、アストンマーティンも新しい経営・技術体制が本格的に機能するかは未知数だ。

    その中で、マクラーレンは「いつも通り」が続いている。2025年から2026年にかけて、組織的な継続性を保っている数少ないトップチームのひとつだ。

    同様に高い継続性を持つメルセデスも、マクラーレンを最大級の脅威として見ている。チーム代表のトト・ヴォルフは、ポッドキャスト「Beyond The Grid」で次のように語った。

    「敵はまず身内にいる。2025年、メルセデスのパワーユニットを使って、マクラーレンはより良いチームだった」とトト・ヴォルフは述べた。

    「仮に2026年のパワーユニットが優れていたとしても、我々はウィリアムズ、マクラーレン、アルピーヌを倒さなければならない」

    「実際、彼らの中には、コンストラクターズ選手権で下位だった分、風洞でより多くの開発時間を使えたチームもある。我々が気づいていない革新を持ち込んでくる可能性もある」

    「だから、たとえメルセデスのパワーユニットが最強だったとしても、何ひとつ当然だと思ってはいけない。美容院で飛び交う噂話に、踊らされる理由はないんだ」

    新時代のF1では、技術力だけでなく組織力と継続性がより強く問われる。マクラーレンが2026年でもタイトルを狙えると信じる理由は、まさにその「変わらない強さ」にある。

  • オスカー・ピアストリ、2026年は「自分のために走れ」 元F1王者の助言

    オスカー・ピアストリ、2026年は「自分のために走れ」 元F1王者の助言

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、2026年F1シーズンに向けて、チームの「チームファースト」方針に対して、より自己中心的な姿勢を取るべきだと元F1世界王者から助言を受けた。

    オーストラリア人ドライバーのピアストリは、8月時点で築いていた34ポイントのリードを失い、最終的にチームメイトのランド・ノリス、そしてマックス・フェルスタッペンに次ぐランキング3位で2025年シーズンを終えた。

    シーズンを通して、マクラーレンが掲げる両ドライバー平等の原則が、いくつかの場面でピアストリに不利に働いた。モンツァでは、ピットストップのミスでポジションを落としたノリスを助けるため、2位を譲るよう指示されている。

    さらに、タイトル争いの行方を左右したのがカタールGPだった。レース序盤にセーフティカーが導入された際、ピアストリとノリスはステイアウトを選択。一方でフェルスタッペンはピットインし、1セット25周というタイヤ使用制限の中で優位に立った。この判断がピアストリの勝利を奪い、アブダビ最終戦での逆転タイトルの可能性も失わせる結果となった。

    こうした一連の出来事について、1996年のF1世界王者であるデイモン・ヒルは、ポッドキャスト番組でピアストリに同情を示している。

    「彼はカタールの後、おそらくこれ以上ないほど落ち込んでいたと思う。あそこで何が起きたのか、信じられなかったはずだ」

    「不運もあったし、マクラーレンが公平であろうとした判断のせいで、彼はチャンスを失った。例えばモンツァだ。ランドがピットストップで失敗して、彼はポジションを返すよう求められた」

    「タイトルを争っている相手にポイントを譲るなんて、相当な決断だ。あれを見て彼は、『もう二度とやらないかもしれない』と思ったはずだ」

    オスカー・ピアストリ マクラーレン F1

    ヒル自身も、ウィリアムズ時代にはジャック・ヴィルヌーヴと平等な立場で戦い、またそれ以前にはアラン・プロストやアイルトン・セナの“ナンバー2”としての役割も経験してきた。

    その65歳の元王者は、2026年に向けてピアストリがマクラーレンのいわゆる「パパイヤ・ルール」を脇に置き、自分自身を最優先に考えるべきだと続けた。

    「来年、もし僕が彼の立場なら、『チームのことは大好きだし感謝している。でも、自分のことを考えなければならない』と言うだろう」

    「『これは僕のキャリアだ。もしポイントをチームメイトに返せと言われたら、なぜそうしなければならないのか考える必要がある』」

    「『去年はそれをやった。その結果、世界選手権を失った可能性があるんだから』」

    2026年シーズン、ディフェンディングチャンピオンとなるノリスを相手に、ピアストリがどこまで自己主張を強めるのか。その姿勢が、初タイトル獲得への鍵を握ることになりそうだ。

  • ランド・ノリス F1王者までの残り2周は「マシンのネジ1本まで心配になった」

    ランド・ノリス F1王者までの残り2周は「マシンのネジ1本まで心配になった」

    ランド・ノリスは、シーズン最終戦アブダビGPの残り2周で、自分の頭の中に何が浮かんでいたのかを振り返った。初のF1ドライバーズタイトルに向けて走っていた、その最中の思考だ。

    マクラーレンのノリスは、ヤス・マリーナ・サーキットで3位に入り、勝利したマックス・フェルスタッペンにわずか2ポイント差でタイトルを奪った。オスカー・ピアストリとともにMCL39でシーズンを支配してきたが、終盤にフェルスタッペンが猛追し、三つ巴の緊張感あふれる最終決戦となっていた。

    「人生で最大のレースを前にした1週間は、どう振る舞えばいいのか分からなかった」とノリスは振り返る。

    「すごくワクワクしているべきなのか、怖がるべきなのか分からなかった。かなり緊張すると思っていた。僕は毎レース、毎回の予選で緊張するし、それは普通のことだと思っている」

    「自分には少しカオスすぎるんじゃないかと思っていた。でも実際にクルマに乗り込むと、かなり準備ができていると感じた。とても落ち着いていた。ただの仕事の日みたいな感覚だった。頭の中では『これだ、時が来た』と分かっていた」

    一方で、本人はそれが普通のグランプリのように感じられたとも語っている。

    「本当に、普通のレースみたいに感じた」

    しかし周回が進むにつれ、思考は次第にさまよい始めた。

    「残り2周になると、時間が少し遅くなる。クルマの中のネジ1本、ボルト1本、ワイヤー1本まで考え始める。すべてがうまくいっているからこそ、『何が起きるか分からない』って考えてしまう」

    「そんな小さなことを考え始めたあと、最初にゴーカートに乗った日のことを思い出した。小さなテニスコートみたいな場所で、スリックタイヤを履かせて、ドーナツターンをして遊んでいた」

    「そこから先の年月が、ラップを走りながら頭に浮かんだ。本格的なレースに進んで、ヨーロッパに渡って、2014年の世界選手権、フォーミュラ4、ジネッタ、ニュージーランド、ヘレス、F3、F2。運転しながら、変なことをしないように気をつけつつ、頭の中に次々と映像が流れていった」

    「そういう全部を思い浮かべながら、ただそれを覚えておこうとしていた」

    ランド・ノリス マクラーレン

    最終セクターに差しかかったとき、ノリスの思考は家族へと向かった。

    「ホテルの下をくぐるあたりまで、だいたいそんな感じだった」

    「突然、ガレージにいる母の姿が浮かんだ。その瞬間が、この1年で初めて『何が起きているのか』『これから何が起きるのか』を実感し始めた瞬間だった」

    「最後の4コーナーでは、ガレージにいる両親、兄弟、姉妹の姿を思い浮かべていた。最終コーナーを立ち上がると、そこから感情と実感が一気に押し寄せてきた」

    「この18年間すべてが、この一瞬につながっていた」

  • アレックス・ダン、マクラーレンF1との決別を説明「正しい決断だった」

    アレックス・ダン、マクラーレンF1との決別を説明「正しい決断だった」

    アレックス・ダンは、マクラーレンのドライバー育成プログラムを離脱した判断について、「正しい決断だった」と語った。

    アイルランド出身のダンは、FIAフォーミュラ2でロダン・モータースポーツに所属し、2勝を挙げてランキング5位でシーズンを終えた。ウォーキングを拠点とするマクラーレンの支援を受けるなかで結果を残し、そのパフォーマンスが評価され、2025年のF1レースウイークエンドでは、タイトル獲得マシンMCL39を駆ってオーストリアとイタリアのFP1に出走する機会を得ていた。

    しかし20歳のダンは10月、周囲に衝撃を与える形で同プログラムからの離脱を選択した。背景には、レッドブル・レーシングへの移籍の噂が広がっていたこともあった。

    その後、レッドブルの元アドバイザーであるヘルムート・マルコがダンの獲得を独断で決めたものの、最終的には承認されなかったという話も伝えられた。ただし、ミルトンキーンズのチームを含め、他の育成プログラムへの加入は実現していない。それでもダン自身は、F1に到達するために最良の立場にいると確信している。

    「僕にとっては目標とプランがあって、それはF1ドライバーになることだ」と、ダンはballs.ieに語った。

    「自分が把握していた選択肢の中で、F1に行くために必要な決断をした。それだけの話だと思っている」

    さらに、決断が自身の意思によるものだったことを明かしている。

    「実際には僕自身の決断だった。父と話し合ったとき、彼は100%確信しているわけではなかった。普段は彼のほうが100%確信しているんだけどね」

    「でも僕自身は、これは正しい決断だと感じているし、それについてとても納得している。これから先も、きっと悪くない状況にいられると思っている」

    ダンは2026年シーズンもロダン・モータースポーツからF2に参戦する予定で、F1と同時に3月6〜8日の週末にメルボルンで開幕を迎える。

    なお、ダンとアルピーヌF1チームとの間で協議が行われているとの未確認情報もある。一方で、F2でのライバルであるレオナルド・フォルナローリとリチャード・フェルシュホーはマクラーレンの育成プログラムに加わっている。

    マクラーレン F1 アレクサンダー・ダン

    育成離脱という賭け
    マクラーレンという安定した育成環境を自ら離れる決断は、若手ドライバーにとって大きなリスクを伴う。一方で、ダンはFP1での実走経験とF2での実績を武器に、自身のキャリアを主体的に切り開く道を選んだ形だ。育成枠に残ることよりも「F1に行くための最短ルート」を優先したという本人の言葉どおり、この判断が将来どのような結果につながるのかが注目される。