カテゴリー: リバティ・メディア

  • ステファノ・ドメニカリ F1のV8エンジン回帰を“1000%支持” PU内戦が激化

    ステファノ・ドメニカリ F1のV8エンジン回帰を“1000%支持” PU内戦が激化

    2026年F1レギュレーションを巡る“内戦”が、カナダGPを経てさらに激化している。電動化比率を大きく高めた現行PU規則に対し、ドライバーや一部チームから不満が噴出する中、F1 CEOステファノ・ドメニカリは将来的なV8自然吸気エンジン回帰を「1000%支持する」と明言した。

    2027年以降に電動比率を現在より抑えた「60:40」構成へ変更する議論が進む一方で、フェラーリやアウディは慎重姿勢を崩していないとされる。

    そこへマックス・フェルスタッペン、ルイス・ハミルトン、カルロス・サインツらも現行規則への不満を改めて表明し、F1の将来像を巡る政治的対立が表面化している。

    ハミルトンとストロールが現行PUに不満
    ルイス・ハミルトンは、カナダGPで2位表彰台を獲得したにもかかわらず、現在のF1マシンに違和感を隠さなかった。

    「モータースポーツ本来の姿には感じない」とハミルトンは語った。

    「ストレートの最後までエンジンを回し切って、ずっと伸び続ける感覚があった。V8やV10時代はそうだった」

    アストンマーティンのランス・ストロールはさらに踏み込んだ。

    「僕に決定権があるなら、バッテリーなんて一切いらない」とストロールはコメント。

    「運転するのはドライバーだけど、ルールを決めるのはメーカー側なんだ」

    ウィリアムズのカルロス・サインツも、現在検討されている“60:40”案ですら十分ではないとの考えを示した。

    「電動部分は補助的な存在であるべきだ。今みたいに依存するものではない」とサインツは語った。

    「60:40でも、ドライバー視点ではまだ十分じゃない。でも2030年に“本当のレーシング”と“本物のエンジン”が戻るまでの繋ぎにはなるかもしれない」

    マクラーレンとレッドブルは規則変更を支持
    一方で、マクラーレンとレッドブルは早期のルール修正を支持している。

    マクラーレンF1代表アンドレア・ステラは、各メーカーが自チームの利益だけでなくF1全体を考える必要があると強調した。

    「これは個人的利益よりも優先されるべき“共有の利益”だ」とステラは述べた。

    「良いスポーツでなければ、F1のビジネス価値を守れなければ、最終的に全員が損をする」

    表向きにはメルセデスも妥協に前向きな姿勢を見せている。しかしカナダGPで再び高い競争力を示したことで、パドック内では“現行規則維持を最も望んでいるのはメルセデスではないか”との見方も強まっている。

    ラッセルは新世代PUを擁護
    そんな中で、新規則を最も強く擁護したのがジョージ・ラッセルだった。

    ラッセルはカナダGPでアンドレア・キミ・アントネッリと激しいバトルを展開し、それこそが新世代F1の成果だと主張した。

    「こんなバトルは何年も経験していない」とラッセルは語った。

    「2014年のルイスとニコ以来だと思う。この新しいマシンだから可能なんだ。このエンジンだから可能なんだ」

    さらにラッセルは、フェルスタッペンを名指しこそ避けたものの、なぜそこまで急いで規則変更を求めるのか理解できないとも発言した。

    「なぜ誰かがルールを変えたがるのか分からない」とラッセルはコメント。

    「メルボルンでも良いバトルがあった。中国でもそうだった。そして今週末もキミと素晴らしい戦いができた」

    ドメニカリはV8回帰を全面支持
    こうした議論が続く中、F1 CEOステファノ・ドメニカリは、2030年または2031年に自然吸気V型8気筒エンジンへ回帰する構想を改めて支持した。

    「私は1000%V8に賛成だ」とドメニカリは仏『レキップ』紙に語った。

    ドメニカリは、軽量化されたマシンとシンプルなエンジンこそが「モータースポーツの純粋な本質」だと説明している。

    元F1王者エマーソン・フィッティパルディも、将来的な大音量エンジン復活を支持した。

    「F1は常にF1だ」とフィッティパルディは語った。

    「これほど大きな技術変革なのだから、改善すべき部分があるのは当然だ」

    そして、かつての時代で最も恋しいものを問われると、フィッティパルディは即答した。

    「自然吸気エンジンだ。あの素晴らしいサウンドが今は少し失われている」

  • クリスチャン・ホーナーの新F1チーム構想 BYD計画にFOMが慎重な理由

    クリスチャン・ホーナーの新F1チーム構想 BYD計画にFOMが慎重な理由

    クリスチャン・ホーナーと中国EV大手BYDの接触が明らかになったことで、F1パドックでは「12番目のチーム」誕生への期待が再び高まり始めている。しかし、その構想は話題性や資金力だけで実現できるほど単純なものではない。

    ホーナーはレッドブルF1離脱後、F1復帰に向けた複数の選択肢を模索しているとされるが、BYDとの新規チーム構想はその中でも最も野心的なシナリオだ。ただし、現在のF1には、新規参入を歓迎する空気と同時に、“これ以上チームを簡単には増やせない”という現実も存在している。

    FIAは前向きでもFOMは慎重姿勢
    BYDは現在、F1参入について検討を進めているとされ、ホーナーは同社副社長のステラ・リーと複数回にわたって会談を行ったと伝えられている。

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムは以前から、中国メーカーによるF1参入に前向きな考えを示してきた。

    「中国からチームが来るとしよう。FOMが承認すれば、私は100%承認すると考えている。中国が加われば、より多くの収益を生むのではないか。私はそう思う」

    FIAにとって、中国メーカー参入は商業面でも大きな意味を持つ。世界最大級の自動車市場を抱える中国は、F1にとって依然として重要な成長領域であり、BYDのような巨大メーカーが加わる意義は小さくない。

    一方で、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)の姿勢はより慎重だ。

    F1グループCEOのステファノ・ドメニカリは、新規チームについて「極めて重要な意味を持つ申請だけを評価する」と明言している。

    現在のF1は24戦体制へ拡大し、輸送やパドック運営はすでに限界に近づいている。単純にチーム数を増やせば済む段階ではなくなっているのが実情だ。

    既存10チームが警戒する“収益分配”問題
    新規参入が簡単ではない最大の理由は、既存チームの商業的利益に直結するからだ。

    F1の賞金や商業収益は現在の参戦チーム間で分配されているため、新たなチームが加われば、各チームが受け取る取り分は減少する。

    特に近年は、F1チームそのものの企業価値が急騰している。かつては経営難に苦しんでいたチームが、現在では数十億ドル規模の資産として扱われるようになり、既存チーム側は“価値希薄化”を強く警戒している。

    ドメニカリも以前、「投資家は新規参入より既存チーム買収に関心を示している」と語っていた。

    その流れの中で注目されているのが、アルピーヌF1チームの株式を保有するオトロ・キャピタルの持ち分問題だ。

    ホーナー自身もこの案件に関連して名前が挙がっており、メルセデスも関心を示しているとされる。既存チームへの関与であれば、新規参入ほど強い反発を受けにくいからだ。

    BYDが持つ“中国市場”という最大の武器
    BYD側も、F1を単なる広告媒体としてではなく、ブランド価値と技術力を示す場として捉えている。

    副社長のステラ・リーは、F1への関心について次のように語っている。

    「F1が好きなのは、情熱と文化があり、人々がF1にいることを夢見るからだ」

    さらにリーは、F1参入について「議論している」と認めたうえで、自社技術を試す場としても魅力を感じていることを明かしている。

    BYDは現在、EVと新エネルギー車分野で急成長を続けており、中国を代表する巨大メーカーへと成長している。高性能ブランド「仰望(ヤンワン)」では、量産車の最高速記録やニュルブルクリンクでのEVスポーツカー記録も打ち立てている。

    F1側にとって重要なのは、単に資金を持つ企業かどうかではない。

    ■ 新たな市場を開拓できるか
    ■ グローバルブランドとしてF1価値を押し上げられるか
    ■ 技術面でF1と結びつけられるか
    ■ 長期的に継続参戦できるか

    こうした“付加価値”が問われている。

    その意味で、中国市場、EV技術、巨大資本を持つBYDは、FIAとFOMにとって無視しにくい候補であることも事実だ。

    ホーナーが求めるのは“チーム代表”以上の役割
    ホーナーにとっても、BYD構想には大きな意味がある。

    レッドブルF1を黄金時代へ導いたホーナーは、単なるチーム代表ではなく、所有権や株式を伴う形での復帰を望んでいるとされる。

    既存チームへ雇われる立場ではなく、新たなプロジェクトを立ち上げ、自ら経営面にも関与する。その条件に最も近いのが、BYDとの新規参入構想というわけだ。

    もちろん、現時点では正式なFIA新規参入プロセスは存在していない。さらに、既存チーム側の抵抗、FOMの慎重姿勢、物流問題など、越えなければならない壁は多い。

    それでも、F1が今後さらにグローバル市場拡大を目指す中で、中国メーカーとホーナーという組み合わせは、単なる噂話で片付けられないだけの説得力を持ち始めている。

  • クリスチャン・ホーナー 中国BYDと協議 12番目のF1チーム構想が浮上

    クリスチャン・ホーナー 中国BYDと協議 12番目のF1チーム構想が浮上

    クリスチャン・ホーナーが、中国EV大手BYDの副社長ステラ・リーと複数回にわたって会談したことが明らかになり、F1復帰に向けた新たな可能性が浮上している。

    BYDはF1参入に関心を示しており、既存チームの少数株取得ではなく、新たなF1チームとしてグリッド参戦を目指す可能性を探っているとされる。ホーナーにとっては、レッドブル離脱後に求めている所有権や株式を伴う役割と合致する道筋となり得る。

    BYDが見据える12番目のF1チーム構想
    BYDは現在、アルピーヌF1チームの株式取得をめぐる動きにも関連して名前が挙がっているが、現時点での主な関心は既存チームへの少数出資ではなく、独自のF1チーム設立にあるとされている。

    ホーナーは先週末、南フランスのカンヌを訪れ、BYD副社長のステラ・リーと2日間にわたって複数回の会談を行ったとされる。BYDが公開した「カンヌ・ナイト」の映像にも、ホーナーが同社のゲストとして参加している姿が確認されている。

    リーは先月、F1グループCEOのステファノ・ドメニカリと上海で会談していることを認め、BYDがF1参入の可能性について「議論している」と発言していた。

    「F1が好きなのは、情熱と文化があり、人々がF1にいることを夢見るからだ」

    リーは、F1参入がBYDにとって自社技術を試す機会になるとも語っている。

    ホーナーにとって所有権付き復帰の現実的な選択肢
    ホーナーは2025年夏にレッドブルF1のチーム代表兼CEO職を離れた後、ガーデニングリーブ期間を経て、5月8日以降はF1での活動再開が可能になっている。

    その間、ホーナーはドメニカリやFIA会長モハメド・ビン・スライエムとも複数回会談しているとされ、12番目のF1チーム構想も話題に上がっていたという。レッドブルを成功に導いた実績は、投資家や新規参入を目指すメーカーにとって大きな魅力となる。

    ホーナーは次の役割について、単なるチーム代表職ではなく、所有権や株式を伴うポジションを望んでいるとされる。BYDのような巨大メーカーがF1参入を検討する場合、ホーナーの経験とF1内での人脈は、プロジェクトを現実化するうえで強力な武器になる。

    アルピーヌ株式争奪とは別の“より大きな道”
    ホーナーは現在、アルピーヌF1チームの24%株式を保有するオトロ・キャピタルの持ち分取得をめぐっても名前が挙がっている。ルノー・グループは、単なる受動的投資家ではなく、スポーティング面で関与できるパートナーを求めているとされ、ホーナーはその条件に合う候補と見られている。

    一方で、メルセデスもアルピーヌ株式取得に関心を示しているとされる。アルピーヌはメルセデス製パワーユニットを使用しており、その既存関係が交渉に影響する可能性もある。

    ただし、メルセデスによるアルピーヌ出資案には、共通所有構造への懸念も出ている。マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、FIAに対して共通所有構造を規制する議論を求める書簡を送ったとされ、仮にそうした規制が進めば、メルセデスの選択肢は制限される可能性がある。

    その場合、ホーナーはアルピーヌ側の有力候補としてさらに浮上することになるが、BYDとの新規チーム構想は、それとは別に、より大きな裁量と所有権を伴う復帰ルートとなる。

    FIAとFOMが重視する“価値を加えるチーム”
    FIA会長モハメド・ビン・スライエムは以前、中国からのF1参入案について、適切な条件を満たせばFOMも前向きに受け止めるだろうとの見方を示していた。

    「中国からチームが来るとしよう。FOMが承認すれば、私は100%承認すると考えている。中国が加われば、より多くの収益を生むのではないか。私はそう思う」

    ただし、ビン・スライエムは12番目のF1チームについて、単にグリッドを埋めるためのものではなく、F1の事業と選手権の長期的価値を高める存在でなければならないとも強調している。

    ドメニカリも、新規チームについては慎重な姿勢を示しており、物流面ではすでに限界に近いとして、極めて重要な意味を持つ申請だけを評価する考えを示している。

    BYDは世界有数の自動車メーカーであり、EVやバッテリー技術で強い存在感を持つ。中国市場の戦略的重要性を考えても、BYDが本格的なF1参入案をまとめた場合、FIAとFOMにとって無視しにくい候補になる。

    BYDとホーナーの組み合わせが持つ説得力
    BYDは2025年に世界販売台数を伸ばし、EVと新エネルギー車分野で急速に存在感を拡大している。高性能ブランド「仰望(ヤンワン)」では、量産車の最高速記録やニュルブルクリンクでの電動スポーツカー記録も打ち立てており、F1参入に必要な技術的ストーリーも持っている。

    一方のホーナーは、レッドブルをF1のトップチームへと押し上げた実績を持ち、新規プロジェクトの顔として投資家、FIA、FOM、商業パートナーを説得できる存在だ。

    アルピーヌ株式取得、アストンマーティンとの関係、そしてBYDとの新規チーム構想。ホーナーのF1復帰には複数の道が残されているが、BYDとの連携は、その中でも最も野心的で、F1全体の勢力図を変える可能性を持つシナリオといえる。

    【関連】
    ・BYD アルピーヌF1買収に関心 ルノー旧PU工場も取得検討か

  • MotoGP幹部 F1との“共催週末”に否定的「現実的ではない」

    MotoGP幹部 F1との“共催週末”に否定的「現実的ではない」

    MotoGPとF1の“同時開催構想”について、MotoGP側が現時点で否定的な見解を示した。MotoGPのチーフ・スポーティング・オフィサーを務めるカルロス・エスペレータは、F1との共同開催について「非常に困難」と語り、実現性の低さを強調している。

    F1とMotoGPの双方を傘下に収めたリバティ・メディア体制のもとで、近年は両カテゴリーの連携強化がたびたび噂されてきた。

    特に「同じサーキットで同一週末に開催する」というアイデアはファンの間でも話題となってきたが、MotoGP側は慎重な立場を崩していない。

    MotoGP幹部「現実的ではない」
    カルロス・エスペレータはGPblogのインタビューで、F1との共同開催案について「現在取り組んでいるものではない」と明言した。

    「もしそのダイナミクスを見れば、まず物流面だけでも非常に、非常に困難になる」

    そう語ったエスペレータは、現状ではF1とMotoGPの両方を同時に受け入れられるサーキットが存在しないと説明した。

    「世界中を見渡しても、両カテゴリーのピットボックスや収容能力など、すべてを同時に満たせるサーキットはひとつもない」

    さらに、F1マシンとMotoGPマシンでは求められるコース特性が根本的に異なることも問題視した。

    「トラックレイアウトの観点から見てもそうだ。非常に難しい」

    MotoGPでは安全面の観点からグラベルトラップを重視する一方、F1ではアスファルトランオフが主流となっている。また、縁石や高速コーナーの設計も両カテゴリーで要求が異なるため、単純な共催は成立しにくいという事情がある。

    “商業的メリットも小さい”と指摘
    エスペレータは、共同開催による商業的メリットについても懐疑的な見方を示した。

    「今ある以上に収益化するのは簡単ではない。座席数は座席数のままだ。キャパシティを増やせるわけではない」

    さらに、F1とMotoGPでは観客層やチケット価格帯も大きく異なると指摘した。

    「非常に異なる客層と価格帯が存在している。だから現時点では想像するのは非常に難しい」

    リバティ体制でMotoGP拡大戦略は加速
    その一方で、リバティ・メディアによるMotoGP買収後、MotoGP側が北米市場拡大を重視している点は明確になっている。

    特にアメリカ市場への注力が進められており、近年は都市型イベントや新市場開拓が重要テーマとなっている。実際、F1マイアミGPの市街地コース周辺でMotoGP開催を行う可能性についても協議が行われたことが確認されている。

    エスペレータは2007年にドルナへインターンとして加入し、その後MotoGPの運営中枢へ昇進した人物だ。現在はスポーティングレギュレーション、サーキット選定、カレンダー編成、MotoGPの国際展開などを担う重要ポジションに就いている。

    “F1+MotoGP週末”は理想論の段階か
    F1とMotoGPの共同開催は、リバティ・メディア体制発足以降たびたび浮上してきたテーマだった。しかし今回の発言からは、少なくともMotoGP側が「実務面では非現実的」と判断している実情が見えてくる。

    特に2026年以降のF1は新世代ハイブリッド規則への対応だけでも運営負荷が増しており、MotoGP側も開催地域拡大や新市場開拓を優先している状況だ。

    ファンにとっては夢の“モータースポーツスーパーウイークエンド”構想だが、現場レベルではサーキット設備、安全基準、物流、商業設計など、解決すべき課題があまりにも多いことが改めて浮き彫りとなった。

  • F1“純粋主義者”との距離縮まる? ステファノ・ドメニカリがV8回帰論に言及

    F1“純粋主義者”との距離縮まる? ステファノ・ドメニカリがV8回帰論に言及

    F1のステファノ・ドメニカリCEOが、2026年レギュレーションを巡る“純粋主義者”からの批判に反論する一方で、将来的なV8回帰論にも言及した。

    2026年F1は、50対50のハイブリッド出力配分と大規模なエネルギーマネジメントを軸にした新世代PUレギュレーションを導入。しかし開幕前テストから、「リフト・アンド・コーストが多すぎる」「電動化が行き過ぎている」といった批判が噴出していた。

    “純粋主義者”の批判には反論
    ドメニカリはイタリアのRadio 24で、こうした批判の多くは“誇張されている”との考えを示した。

    「私は1990年代からこのスポーツに関わっている。こういうコメントは昔からずっと見てきたので驚きはなかった」

    「特にグリッド後方のチームが、数年前から全員が理解していたレギュレーションの限界を強調していたことは明白だった」

    近年のF1では、“昔ながらのF1”を求めるファンや関係者から、エンジン音の静かさや省エネ走行の増加、複雑化したPUへの不満が噴出している。こうした層はしばしば“純粋主義者”と呼ばれている。

    ただドメニカリは、現在の方向性はメーカー参戦維持のために不可欠だったと主張した。

    「レギュレーション変更には常に理由がある。好きか嫌いかは別として、このタイプのPUが必要だったからこそ、現在のメーカーがF1世界選手権に参戦している」

    一方でV8回帰論にも含み
    しかしその一方で、ドメニカリは次世代PUについては“より伝統的な方向”へ向かう可能性も認めている。

    「次のサイクルでは、メーカー側の状況も変化している。PUはより伝統的な方向へ戻っていくだろう」

    「マシンはより軽くなり、持続可能燃料を使う形になる」

    現在FIA内部では、将来的なV8エンジン復活や、ICE(内燃機関)比率を高める方向性が議論されている。

    これは、大音量エンジンや軽量マシン、よりシンプルなPU、そして“全開”で戦うF1を望む純粋主義者の考え方とも重なる部分が多い。

    つまりドメニカリは、「2026年の方向性は必要だった」と擁護しながらも、「将来的にはより伝統的なF1へ戻る可能性」にも言及した形だ。

    V型8気筒 F1レギュレーション

    “リフト・アンド・コーストは昔からあった”
    2026年序盤に最も議論を呼んだのが、エネルギー節約のためのリフト・アンド・コーストだった。

    しかしドメニカリは、それを“現代F1だけの問題”として扱う風潮にも異論を唱えた。

    「1980年代にもリフト・アンド・コーストは存在していた。それを忘れてはいけない」

    さらに、マイアミGP以降は“技術的議論”そのものが落ち着き始めているとも主張した。

    「最初の3戦、特にマイアミ以降では、純粋主義者向けの技術的議論はすでに消えつつある」

    「我々は来年に向けて対策を講じているし、批判を最小化するための措置も取っている」

    “陰謀論”も否定
    ドメニカリは、2026年レギュレーションが特定メーカーに有利になるよう政治的に作られたという一部の見方についても否定した。

    「私はこのレギュレーションを書いていないし、リバティ・メディアが押し付けたわけでもない」

    「これは数年前にFIAとメーカーの間で合意されたものだ」

    「巨大な陰謀の結果のように語るのは子供じみている。誰の陰謀だ? 何のために?」

    F1人気拡大を強調
    ドメニカリは最後に、現在のF1人気そのものが“失敗論”への反論だと強調した。

    「今のF1は史上最大の人気を誇っている」

    「若者や女性のファン層もかつてないほど拡大している」

    その上で、現在の成功は2026年規則以前から築かれていたとも語っている。

    「これは新しい技術規則のおかげではない。フェルスタッペンのレッドブルが支配していた旧規則時代から、すでにその流れは確立されていた」

  • 南アフリカ大統領がF1視察へ キャラミ復活へ招致活動が本格化

    南アフリカ大統領がF1視察へ キャラミ復活へ招致活動が本格化

    南アフリカによるF1アフリカ開催復活への動きが強まっている。シリル・ラマポーザ大統領が今年後半にF1グランプリを直接訪問する予定で、1993年以来となるキャラミでのF1開催復活に向けたロビー活動が本格化している。

    スポーツ相のゲイトン・マッケンジーは、この訪問が単なる表敬ではなく、F1を南アフリカへ戻すための公式キャンペーンの一環だと説明した。

    「シリル・ラマポーザ大統領閣下は、今年後半に私とともにF1グランプリに参加することに同意した」とマッケンジーはAfrica Businessに語った。

    「これは社交目的ではなく、実務訪問だ」

    「大統領の訪問によって、我々は視察し、関係者と協議し、我々の主張を強化することができる」

    南アフリカは現在、F1のアフリカ復帰を巡り、ルワンダやモロッコと開催候補地争いを繰り広げているとされる。そのなかでもキャラミは有力候補と見られており、歴史ある同サーキットをFIAグレード1基準へアップグレードする計画には、すでにFIAの承認が与えられている。

    F1のステファノ・ドメニカリCEOは最近、複数のアフリカ候補地との協議が続いていると認めた一方で、短期的に契約がまとまる可能性は高くないとの見方も示している。

    それでもマッケンジーは、アフリカでF1を開催する意義を強調した。

    「アフリカの若いモータースポーツファンの世代全体が、自分たちの裏庭でF1レースを見たことがない」

    「我々はそれを変えるつもりだ」

  • F1の商業価値が急上昇 2026年第1四半期収益は53%増

    F1の商業価値が急上昇 2026年第1四半期収益は53%増

    F1の商業面が、2026年シーズン開幕とともに大きな成長を見せている。F1を運営するリバティ・メディアは、第1四半期(1〜3月)の売上高が前年同期比53%増となる6億1700万ドル(約962億円)に達したことを明らかにした。

    2025年の同期間は4億300万ドルだったが、2026年は日本GPまでが集計期間に含まれたことに加え、バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によるカレンダー変更が収益認識を前倒しにしたことで、大幅な増収につながった。

    営業利益も前年の2800万ドル赤字から、1億700万ドル(約167億円)の黒字へと大きく改善している。

    2026年F1カレンダー変更が収益増を後押し
    リバティ・メディアによると、今回の増収には「開催レース数が前年同期より1戦多かったこと」「シーズンベース収益の認識割合が高まったこと」「契約料の増額」が大きく影響したという。

    2025年は3月終了時点でオーストラリアGPと中国GPの2戦のみが終了していた。一方、2026年は日本GPも含めた3戦が終了しており、22戦制シーズンのうち、より大きな割合の収益が第1四半期に計上された。

    さらに、バーレーンGPとサウジアラビアGPが開催されなかったことで、年間契約ベースの収益配分にも変化が生じた。今回の決算内容は、リバティ側が両GPの今季復帰を現時点では想定していないことを示唆している。

    メディア権料とスポンサー収入も拡大
    収益増加は開催料だけではない。メディア権料とスポンサー収入も拡大した。

    リバティ・メディアは、改訂されたカレンダー構成と商業契約の強化によって、放映権収入とスポンサー収入が増加したと説明している。

    ホスピタリティ部門では、パドッククラブ需要の拡大や新たなプレミアムサービス導入が寄与。さらに、レース数増加によって輸送・渡航関連収益も増加した。

    加えて、ライセンス事業やラスベガスの「グランプリ・プラザ」関連事業も成長を続けている。

    ステファノ・ドメニカリ

    AppleやSkyとの大型契約も追い風
    F1 CEOのステファノ・ドメニカリは、2026年シーズン序盤の競争激化が商業面にも好影響を与えていると説明した。

    「今季はコース上でもコース外でも刺激的なスタートとなった。オーバーテイクは増え、シーズン序盤から非常に競争力の高い展開になっている」とドメニカリは語った。

    さらに、米国市場でのAppleとの提携開始や、Skyとの長期契約更新、新規スポンサー契約についても言及している。

    「我々のビジネス全体でポジティブな勢いが続いている。アメリカではAppleとの提携が好調なスタートを切り、長年のパートナーであるSkyとの複数年契約も更新した。さらに、スタンダードチャータードやマーシュを含む新たな商業パートナーシップも加わった」

    F1は“スポーツ”から“巨大エンタメ産業”へ
    今回の決算は、F1が単なるモータースポーツを超え、世界的エンターテインメントビジネスとして拡大を続けている現状を改めて示した。

    特にアメリカ市場では、Appleとの連携強化やラスベガス事業の拡大が進んでおり、リバティ・メディアはF1をNFLやNBA級のグローバルスポーツブランドへ成長させる戦略を加速させている。

    一方で、ドメニカリは競技面の改善にも引き続き取り組む姿勢を強調した。

    「我々はファンとのつながりをさらに強化し、FIAやチームと協力しながら、レースそのものをより良いものへ進化させ続ける」

    2026年のF1は、サーキット上の戦いだけでなく、ビジネス面でも過去最大級の成長局面に突入している。

  • BYDはなぜF1を狙うのか EV専業ではない実像と参入の現実

    BYDはなぜF1を狙うのか EV専業ではない実像と参入の現実

    BYD副社長ステラ・リーが、F1 CEOステファノ・ドメニカリと会談し、将来的な参入について「協議している」と認めたことで、中国の電動車大手によるF1参入構想が現実味を帯びてきた。

    一方で、「EVメーカーならフォーミュラEではないか」という見方も少なくない。しかし、この認識は現在のBYDとF1の実態を十分に捉えているとは言い難い。

    BYDは“EV専業”ではない PHEV用エンジンを内製
    BYDは2022年に純内燃機関車の生産を終了し、現在はEVとプラグインハイブリッド(PHEV)に特化している。

    ただし重要なのは、PHEV向けに内燃エンジンを自社開発・生産している点だ。これらのエンジンは従来型の主動力ではなく、電動システムと組み合わせて効率を最大化するためのユニットとして設計されている。

    つまりBYDは、完全な電動専業メーカーではなく、「電動と内燃を統合したパワートレイン」を扱う技術企業である。

    現在のF1も“電動主体のハイブリッド競技”
    この点は、現在のF1の技術方向性とも重なる。

    2026年F1レギュレーションでは、パワーユニットの出力配分は内燃エンジンと電動側で「50対50」に近い構成となり、電動化の比率は過去最高レベルに達している。

    この配分はすでに見直し議論が始まっており、2027年以降には「60対40」への転換案も浮上しているが、それでもF1が電動と内燃の融合技術を競うカテゴリーである点に変わりはない。

    つまり現在のF1は純粋な内燃機関の競技ではなく、電動技術を中核としたハイブリッドカテゴリーであり、BYDの技術領域と一定の重なりを持つ。

    新規チーム設立は可能か 技術面では“土台あり”
    BYDはPHEV用エンジンと電動システムを統合したパワートレインを量産しており、この点を踏まえれば理論上はF1パワーユニット開発に必要な基盤技術を持っていると見ることもできる。

    もちろん、F1のパワーユニットは極めて特殊であり、市販車の延長で参入できるものではない。ただし、「内燃機関を持たないメーカーではない」という点は、参入可能性を議論するうえで無視できない要素だ。

    参入ルートは複数 買収や資本参加が現実的
    一方で、BYDがF1に関与する形は新規チーム設立に限らない。

    F1への新規参入は極めてハードルが高く、キャデラックのケースでも巨額の資金が必要とされた。こうした状況を踏まえると、既存チームの買収や資本参加といったルートの方が現実的な選択肢となる可能性がある。

    さらに、パワーユニットメーカーとしての関与や、タイトルスポンサーとしての参入といった形も考えられ、関わり方は多様だ。

    中国市場と資本が後押しする可能性
    近年のF1はアメリカ市場での成功を背景に、さらなる商業拡大を重視している。その中で、中国市場の存在感も無視できない。

    BYDのような中国の大手電動車メーカーが関与する場合、その影響は技術面にとどまらず、スポンサーシップや資本投下を通じたチーム運営にも及ぶ可能性がある。

    F1ではチーム価値の高騰が続いており、新規参入よりも既存チームへの投資や買収の方が現実的なケースが増えている。その文脈において、中国資本の関与は特異なものではなく、むしろ自然な流れとも言える。

    フォーミュラEではなくF1という選択肢
    「BYDならフォーミュラEではないか」という見方は直感的ではあるが、現在の技術構造を踏まえると必ずしも適切とは言えない。

    BYDは電動技術に加え、内燃エンジンとの統合領域でも実績を持つ。その技術は、電動と内燃の融合を前提とする現在のF1パワーユニットと方向性が重なる部分がある。

    BYDのF1参入構想はまだ初期段階にあるが、単なるEVメーカーの話として片付けるには不十分であり、技術・資本・市場の三要素が交差する動きとして捉える必要がある。

  • BYDがドメニカリとF1参入を協議 副社長ステラ・リー「技術を試す本当の機会」

    BYDがドメニカリとF1参入を協議 副社長ステラ・リー「技術を試す本当の機会」

    BYDの副社長ステラ・リーは、上海でF1 CEOのステファノ・ドメニカリと会談したことを認め、将来的なF1参入について「協議している」と語った。

    中国の電気自動車大手であるBYDは、F1が12番目のチーム枠を残すなかで参入候補として浮上している。FIA会長モハメド・ビン・スライエムも12チーム体制を支持しており、その中に中国とアメリカのチームを含めたい考えだとされる。

    BYD副社長がF1参入協議を認める
    ステラ・リーは3月のF1中国GPでドメニカリと面会した。F1のグリッドは今季、キャデラックの加入によって11チームに拡大したが、規則上は12番目のチームが参入できる余地が残されている。

    「上海でステファノ・ドメニカリとお会いしました」とリーはSportMediasetに語った。

    「私はF1が好きです。F1には情熱があり、文化があり、人々はF1にいることを夢見ています」

    「はい、それは我々が協議していることです。自分たちの技術を試す本当の機会だと考えています」

    BYDは電動化技術を中核とする自動車メーカーであり、F1の技術競争をブランドと技術の実証の場として捉えている。ただし、SportMediasetはBYDのF1参入について「決まっているわけではない」とも伝えている。

    BYD F1

    FIA会長は12チーム体制と中国チームを支持
    モハメド・ビン・スライエムは、F1が12チーム体制になることを望んでいるとされる。特に、アメリカのチームに加えて、中国からのチームがグリッドに加わることを支持しているという。

    F1は新規参入に対し、シリーズに「本物の価値」を加えることを条件としている。キャデラックも、ゼネラルモーターズがアンドレッティの参入計画を引き継ぐ形になって初めて、F1から最終的な承認を得た。

    一方で、新規チームとしてF1に参入するハードルは極めて高い。キャデラックの参入に際しては、既存10チームに対する反希薄化手数料として3億5800万ポンドが必要になったとされ、チーム設立や運営コストを含めれば、BYDにとっても大きな判断となる。

    新規参入か既存チーム買収か
    BYDがF1参入を進める場合、新規チームを立ち上げるだけでなく、既存チームを買収する選択肢も浮上している。

    報道では、BYDがアストンマーティンを買収候補として見ているとの見方がある。ローレンス・ストロールが売却を検討する段階に近づいているとみられているためだ。

    また、レッドブルがレーシングブルズをBYDに売却する可能性も伝えられている。ただし、このファエンツァ拠点のチームには中国のライバルである吉利も関心を持っているとされ、BYDと吉利はいずれも、F1参入する場合には新チーム設立を好むともみられている。

    BYDのF1参入はまだ構想段階にあるが、ステラ・リーが「協議している」と明言したことで、単なる噂から一歩進んだ。F1がアメリカに続いて中国メーカーを迎えることになれば、グリッド拡大だけでなく、シリーズの商業的・技術的な重心にも大きな変化をもたらす可能性がある。

  • ステファノ・ドメニカリ F1ルール見直しへ方針転換か ベアマン50G事故が警鐘

    ステファノ・ドメニカリ F1ルール見直しへ方針転換か ベアマン50G事故が警鐘

    2026年F1レギュレーションを巡り、F1 CEOステファノ・ドメニカリの姿勢に変化の兆しが見えている。日本GPで発生したオリバー・ベアマンの50Gクラッシュが、安全性への懸念を一気に顕在化させた。

    開幕前まで「レースに問題はない」として変更に消極的だったFIAとF1首脳部だが、この事故を契機に、早期のルール見直し議論が現実味を帯びてきている。

    「レースに問題なし」からの転換点
    日本GP以前、FIAとステファノ・ドメニカリは2026年レギュレーションに対して強気の姿勢を崩していなかった。

    ポッドキャスト番組での証言によれば、関係者の認識は明確だった。

    「レースは問題ない。何も問題はない」

    「対応するのは予選だけだ。予選は完全におかしいが、レースに関しては各チームが適応すべきだ」

    「現時点で最適化されていないだけだ。ハンガリーまで待とう」

    この時点では、変更はハンガリーGP以降とされ、シーズン序盤での介入には否定的な立場が取られていた。

    ベアマン50G事故が突きつけた現実
    しかし、鈴鹿でのベアマンのクラッシュが状況を一変させた。

    50Gという衝撃は、単なるドライバーのミスではなく、現行レギュレーション下のマシン特性が生み出したリスクとして受け止められている。

    ドライバーやファンの間では、この事故を「警告」とする見方が広がり、安全性を軽視しているのではないかという批判も強まった。

    当初は変更に慎重だったFIAとドメニカリも、この出来事を受けて方針の再考を迫られているとみられる。

    関係者の見方では、ハンガリーGPまで待つとされていたスケジュールが前倒しされ、マイアミGPに向けた対応が検討される可能性もあるという。

    シミュレーション結果は「効果なし」
    一方で、ルール修正の難しさも浮き彫りになっている。

    FIAはエネルギー回生(ハーベスティング)やデプロイメント制御の調整を検討してきたが、技術的な検証では有効な改善は確認されていない。

    さらに、ESPNのネイト・ソーンダースによれば、FIAが実施した複数のシミュレーションでも結果は限定的だった。

    「ラップ全体で制御したいという意図はあるが、そもそもそういう設計ではなかった」

    「いくつかのシミュレーションを試したが、多くのコースで効果は最小限、あるいは変化はなかった」

    この結果により、マイアミGPでの大幅な変更導入は現実的ではないとみられている。

    安全性と競技性のジレンマ
    今回の問題は単なる技術課題にとどまらない。

    電動エネルギーへの依存度が高まった現行レギュレーションは、レースの在り方そのものに影響を及ぼしている。

    オーバーテイクの質やドライビングの自由度に違和感を覚える声が上がる一方で、安全性とのバランスも問われている。

    一部のドライバーからは内燃エンジン主体への回帰を求める声も出ているが、現実的には短期間での方向転換は難しい。

    結果としてFIAは、安全性、競技性、そして技術的制約という三つの要素の間で、極めて難しい判断を迫られている。

    ベアマンの50G事故は、2026年F1のレギュレーションが抱える課題を一気に浮き彫りにした出来事となった。

    ドメニカリとFIAがどのタイミングで、どこまで踏み込んだ修正に踏み切るのか。その判断が今後のシーズンの質を左右することになる。