カテゴリー: ル・マン24時間レース

  • 太田格之進 ル・マン24時間参戦決定 Seven x Seven Racingと異色タッグ

    太田格之進 ル・マン24時間参戦決定 Seven x Seven Racingと異色タッグ

    太田格之進が、2026年ル・マン24時間レースにプロトン・コンペティションからLMP2クラスで参戦することが決定した。Seven x Seven Racingとの提携によって実現したもので、6月13〜14日に行われる伝統の耐久レースでル・マン初挑戦を果たす。

    太田格之進は、プロトン・コンペティションの9号車オレカ07・ギブソンをヨナス・リード、ハリー・キングとシェアする。チームはSeven x Seven Racingとの既存パートナーシップを背景に、蛍光イエローを基調とした特別カラーリングも公開した。

    スーパーGT後に急展開したル・マン参戦計画
    太田格之進は今回の参戦経緯について、Seven x Seven Racing代表兼ドライバーの“Bankcy”こと小川潤之から声をかけられたことがきっかけだったと明かした。

    「Seven x Seven Racingのボスである“Bankcy”から連絡をもらいました」

    「スーパー耐久で一緒にレースをしていたので面識はありましたが、そこまで親しい関係ではありませんでした」

    「ル・マンの話を始めたのは5月初旬のスーパーGT富士戦のあとでした。ただ、ホンダを含めたパートナー全員に許可を取る必要がありました」

    「最終的に『ぜひ挑戦してこい』と言ってもらえたので、本当にうれしく思っています」

    太田格之進は2025年にEra MotorsportからIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のLMP2クラスへ参戦した経験があり、プロトン側もその実績を評価していたという。

    「昨年LMP2を経験していますし、チームも僕のパフォーマンスを信頼してくれています」

    「スーパー耐久での走りについても理解してくれていました」

    「ル・マンでは良いパフォーマンスを見せたいですが、まずはこうした縁をいただけたことに感謝していますし、一緒に戦うのが楽しみです」

    太田格之進 ル・マン24時間レース

    ホンダの将来にもつながる重要な挑戦
    太田格之進は近年、アキュラ陣営の一員としてIMSA GTPクラスにも継続参戦しており、今年のデイトナ24時間にもアキュラARX-06で出場した。6月のワトキンスグレン6時間が、現行プログラムで最後の参戦になる見込みだ。

    ホンダ/アキュラのIMSA GTP活動終了が決まる中、太田格之進は今回のル・マン挑戦を将来への布石と位置付けている。

    「この挑戦がホンダプログラムでの自分の将来につながってくれればと思っています」

    「今年限りでIMSA GTPプログラムが終了してしまうのは残念ですが、近いうちに戻ってきてくれることを願っています」

    「もし復帰するなら、自分がドライバー候補の一人になれる可能性もあります。それも今回どうしても挑戦したかった理由のひとつです」

    ル・マン優先で富士24時間は欠場へ
    一方で今回のル・マン参戦により、太田格之進はクラフト・バンブー・レーシングから参戦予定だった富士24時間レースを欠場することになる。ル・マンのテストデーと日程が重複するためだ。

    「6月初旬からフランスに滞在するため、富士24時間には出場できません」

    「理解を示してくれたクラフト・バンブー・レーシングには感謝しています」

    日本トップカテゴリーで磨かれた実力が世界耐久の舞台へ
    スーパーGTとスーパーフォーミュラの第一線で活躍してきた太田格之進にとって、今回のル・マン参戦はキャリアの大きな転機となる。近年はIMSAや耐久レースで海外経験も積み重ねており、LMP2クラスでどこまで存在感を示せるかに注目が集まる。

    Seven x Seven Racingとの異色タッグによって実現した今回の挑戦は、日本モータースポーツ界にとっても大きな話題となりそうだ。

  • マクラーレン 2027年WEC参戦ハイパーカー「MCL-HY」発表 ル・マン復帰へ

    マクラーレン 2027年WEC参戦ハイパーカー「MCL-HY」発表 ル・マン復帰へ

    マクラーレンは、2027年のFIA世界耐久選手権(WEC)およびル・マン24時間レースに投入するFIAハイパーカー「MCL-HY」を発表した。2026年に本格的なテストプログラムを開始し、冬のホモロゲーション取得を経て、2027年のWECデビューを目指す。

    MCL-HYは、マクラーレンがF1、インディカーに続き、世界最高峰の耐久レースへ再び挑むためのマシンとなる。

    同時に、VIP顧客向けの超限定トラックカー「MCL-HY GTR」のベースにもなり、マクラーレンのレース活動と市販車部門を結ぶ象徴的なプロジェクトとして位置づけられている。

    ル・マン復帰を告げるMCL-HY
    マクラーレンが発表したMCL-HYは、ACO/IMSAのLMDhレギュレーションに基づいて開発されるFIAハイパーカーだ。軽量カーボンファイバー製モノコックを採用し、パワーユニットにはツインターボV6レーシングエンジンとハイブリッドMGUシステムを組み合わせる。

    最高出力は最大520kW(707PS)で、駆動はリアアクスルに伝えられる。最低重量は1,030kgとされ、FIA世界耐久選手権とル・マン24時間レースで求められる性能と効率の両立を狙って開発されている。

    2026年のテストプログラムでは、マクラーレン・ハイパーカー・チームのワークスドライバーであるミケル・イェンセンに加え、マクラーレン・ドライバー・デベロップメント・プログラムのグレゴワール・ソーシーとリチャード・フェルシュホーが参加する。さらに、ユナイテッド・オートスポーツのベン・ハンリーも開発経験をチームにもたらす。

    マクラーレン MCL-HY

    M6Aに着想を得たテストカラー
    発表されたMCL-HYは、2026年用のテストリバリーをまとって公開された。そのデザインは、ブルース・マクラーレンがかつてル・マン参戦を夢見たM6GTの源流にあたるマクラーレンM6Aから着想を得ている。

    マクラーレンにとってスポーツカーレースは、1960年代後半から1970年代前半のCan-Amでの支配的な活躍、そして1995年ル・マン24時間レースでのマクラーレンF1 GTRによる伝説的勝利に連なる重要な歴史だ。

    今回のMCL-HYは、その系譜を受け継ぐだけでなく、マクラーレンが再びモナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースから成るモータースポーツのトリプルクラウンに挑むための新たな一歩となる。

    ハイブリッドを外した顧客向けMCL-HY GTR
    MCL-HYをベースにしたトラックカー仕様のMCL-HY GTRも、レースカーと並行して開発されている。こちらはFIAハイパーカーで義務づけられるLMDhハイブリッドシステムを搭載せず、2.9リッターV6ツインターボ・レーシングエンジンのみで駆動する。

    これにより乾燥重量を抑えつつ、出力は約730PSに達する。マクラーレンはこの仕様について、顧客がより純粋なトラック走行体験を得られるよう、複雑さを減らし、所有しやすさを重視した選択だとしている。

    MCL-HY GTRのオーナーには、単なる車両所有を超えたプログラムも用意される。Project: Enduranceでは、WEC参戦チームのテストと開発、そして2027年ル・マン24時間レースへ向かう過程に参加できる。

    さらに、2年間で6イベントのトラック走行プログラムも組み込まれ、主要国際サーキットでの走行、PURE McLarenイベントでのドライブ、プロドライバーによるコーチング、専属ピットクルー、レースエンジニアリングサポートが提供される。MCL-HY GTRの納車は2027年末に開始される予定だ。

    マクラーレン ル・マン24時間レース

    ザク・ブラウン「3つの世界最高峰シリーズに挑む」
    マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、MCL-HYの発表について次のように語った。

    「何年も、何か月もかけて準備してきて、ついにMCL-HYを世界に披露するところまで来た。マクラーレン・レーシングには今、世界最大級のモータースポーツシリーズに挑む3台のレースカーがそろっている。F1、インディカー、そしてWECだ」

    「これは、マクラーレン、そのパートナー、そしてファンが、モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースというトリプルクラウンにともに挑めることを意味している。我々を際立たせる、唯一無二のクロスシリーズの物語だ」

    マクラーレン・オートモーティブCEOのニック・コリンズは、顧客向けプログラムについて次のように述べた。

    「これはマクラーレンの歴史において非常にエキサイティングな瞬間であり、Project: Enduranceプログラムを通じてこの新たな旅を始められることをうれしく思っている。MCL-HY GTRは、トラック走行を愛する人々に、これまでにないほど身近なFIAハイパーカー体験を提供する」

    「この旅に参加する人々は、マクラーレンの最高の部分を見て、感じることになる。そして、我々のレーシングヘリテージがこれまで以上に未来を形づくっていることを知るはずだ」

    マクラーレン・エンデュランス・レーシングのエグゼクティブディレクターであり、マクラーレン・ハイパーカー・チーム代表を務めるジェームス・バークレーは、次のように語った。

    「MCL-HYの発表は、マクラーレンがスポーツカーレースの頂点へ戻る次章の幕開けを示すものだ。1960年代のCan-Amのルーツを反映し、敬意を払ったテストリバリーから、世界最高水準のチームによって設計・開発されている新しいハイブリッド搭載ハイパーカー、そして1995年のマクラーレンF1 GTRのように、我々の顧客をル・マン総合優勝を目指すマシンのドライビングシートへ戻すトラックカープログラムまで、すべてがつながっている」

    「これは、我々の旅の始まりを意味している」

  • マックス・フェルスタッペン ル・マンでベッテルと共闘に前向き「小さな夢だ」

    マックス・フェルスタッペン ル・マンでベッテルと共闘に前向き「小さな夢だ」

    マックス・フェルスタッペンが、セバスチャン・ベッテルとの“夢”のパートナーシップに前向きな姿勢を示した。舞台はF1ではなく、世界三大耐久レースのひとつであるル・マン24時間レースだ。

    現時点で具体的な計画は存在しないものの、両者は数年前から「いつか一緒に走れたら」という構想を語り合ってきたという。実現には時間と条件が必要だが、4度のワールドチャンピオン同士による共闘は、将来的に現実味を帯びる可能性を秘めている。

    ル・マン参戦は“正しい条件”が前提
    フェルスタッペンは耐久レースへの関心を以前から公言しており、今季後半にはニュルブルクリンク24時間レースへの参戦も予定している。ル・マンへの挑戦については、準備に数カ月から数年単位の時間を要すると見られており、2026年はバルセロナ・カタルーニャGPと日程が重なるため不可能だ。

    ベッテルは2022年限りでF1を引退後、WECポルシェのマシンをテストした経験を持つが、レース参戦には至らなかった。そのベッテルは、フェルスタッペンとの構想について次のように語っている。

    「マックスとは定期的に連絡を取っているし、数年前に“もし実現できるなら、ル・マンを一緒に走ろう”と話したことがある」

    「ちょっとした夢だ」

    これを受け、バーレーンでのプレシーズン前に質問されたフェルスタッペンは、実現の条件を明確にした。

    「ぜひやりたい。でももちろん、勝利を争える状況でなければならないし、正しいチームに所属している必要がある」

    「現時点でいつ実現するかは分からない。でもフェルナンドは75歳まで走るって聞いているから、きっと一緒に走れる年とタイミングは見つかるはずだ」

    アロンソも参戦に含み
    このやり取りに対し、ル・マンを2018年と2019年に制しているフェルナンド・アロンソも独自の“条件”を提示した。

    「私はル・マンで100%の勝率を持っている。もしもう一度やるなら、彼らは完璧な準備をしてこなければならない」

    冗談めかしつつも、その言葉には本気のニュアンスがにじむ。

    ベッテルの今後とレッドブルとの関係
    一方でベッテルの将来については、レッドブルの若手育成プログラム責任者であるヘルムート・マルコの後任候補として名前が挙がっている。しかし本人は選択肢を限定するつもりはないようだ。

    「過去があるからレッドブルには強い愛着がある。でも他のチームでも走った」

    「どことも橋を燃やしたことはないし、今でもみんなと良い関係を保っている」

    「その役割が何か、そして自分に合っているかどうか次第だ。やるなら自分がその気でなければならないし、何か心をくすぐる挑戦である必要がある」

    ル・マンでのフェルスタッペン&ベッテルという構図は、今すぐ現実になる話ではない。しかし両者が“夢”として語り続けている限り、その可能性は消えていない。耐久レースの舞台で4冠同士が肩を並べる日が来れば、それはモータースポーツ史に残る瞬間となるだろう。

  • メルセデスF1代表 WECの性能調整(BOP)を批判 「最速のクルマを作りたい」

    メルセデスF1代表 WECの性能調整(BOP)を批判 「最速のクルマを作りたい」

    F1でのライバルであるマックス・フェルスタッペンに続き、トト・ヴォルフも世界耐久選手権(WEC)の根幹にある「ある原則」に嫌悪感を示した。

    4度のF1世界王者であるフェルスタッペンは、GTカーやトップカテゴリーのプロトタイプマシンでレースをする将来を視野に入れていることを、近年ますます明確にしている。

    レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコは、27歳のフェルスタッペンがフェルナンド・アロンソのように40代までF1を続けるつもりは「絶対にない」と語った。

    「F1を辞めたら、彼はおそらくル・マンに関心を持つだろう」とマルコはオーストリア紙『Kleine Zeitung』に語った。「そして、彼がさらに興味を持っているのがニュルブルクリンク24時間レースだ」

    「だが、あれは茶番だ。今の彼にはトップカテゴリーのクルマでレースをすることが許されていない。ドイツのレギュレーションは、彼が4度の世界王者であることも、初テストでたった3周でラップレコードを更新したことも考慮しない」

    「彼に特例は認められない」とマルコは続けた。「2回のテストか2戦の出場が求められるが、彼はそれをやるだろう」

    ル・マンについても、フェルスタッペンは「最高峰クラスで戦えること」が参戦の条件だと明言している。つまり、ハイパーカーやLMDhといったプロトタイプカテゴリーだ。

    しかしオランダ人の彼は、そのクラスに導入されている「性能調整(BOP)」ルールを好ましく思っていない。

    「今のところ、僕が参戦するにはまだ早いと思う」とフェルスタッペンは最近語った。「新しいレギュレーションが導入されたばかりで、BOPの制度はもっとしっかり整備される必要がある。今はちょっと当たり外れが大きすぎると感じている」

    またフェルスタッペンは、自分がフル装備で80kgあることから、「より軽いドライバーには全く太刀打ちできない」とも述べている。「そこには制限が必要だと思う。1ラップあたり数コンマ秒の差になるからね」

    現在、フェラーリとアルピーヌがWECの最上位カテゴリーで戦っており、マクラーレンも2027年からの参入を計画している。

    ではメルセデスはどうか? F1チームの代表で共同オーナーでもあるトト・ヴォルフも、フェルスタッペンと同様にBOPルールに否定的な見解を示している。

    「我々は膨大な時間と資金、労力を費やして最速のクルマを開発する。そしてその結果、10kgのバラストを積まされるなんて話になる」とヴォルフは『Bloomberg』に語った。

    「私がやりたいのは、ただ最速のクルマを作ることだ」

    ヴォルフはまた、ル・マン中心のこのカテゴリーをより魅力あるものにするためには、F1のような予算上限制度を導入することが鍵になると主張する。

    「もちろんF1にもレギュレーションは存在するが、我々には予選やプレシーズンで“はったり”をかます必要がない。本気の戦いがある。手加減なしの、純粋なレースだ」

    「もしWECでもそうした形が取られるようになれば、ル・マンは間違いなく我々が注目する対象になるだろう。だが今のところ、BOPのように“あなたのクルマは速すぎる”と誰かが判断し、10kgの重りを加えたり他車から取り除いたりするような制度は、我々にとって魅力ではない」

    「現時点では、我々が集中しているのはF1という主要なプラットフォームだ。それが観客の99%を惹きつけており、他のすべては二の次だ」

  • ロバート・クビサ 失われたF1の夢をル・マンで取り戻す アロンソ「誇りに思う」

    ロバート・クビサ 失われたF1の夢をル・マンで取り戻す アロンソ「誇りに思う」

    フェルナンド・アロンソは、元F1ドライバーのロバート・クビサがル・マン24時間レースで優勝したことについて、「今日はモータースポーツにとって良い日だった」と称賛した。

    2011年のラリー事故でF1キャリアが突然断たれたクビサは、フェラーリのWECチームの一員として今回の勝利を収めた。当時クビサはF1でフェラーリ加入が決まっており、実現していればアロンソのチームメイトになるはずだった。

    「本当に嬉しいよ」とアロンソは語った。「彼とは何度かル・マンがいかに特別なレースかを語り合ったことがあるし、彼にはそれを経験する資格がある。彼は我々のスポーツのレジェンドであり、ル・マン優勝を加えたことで、さらに伝説になった」

    「彼が事故で味わった苦しみを知っているからこそ、今日はモータースポーツにとって本当にハッピーな日だ」

    アロンソ自身も2018年と2019年にトヨタでル・マンを連覇しており、今回の勝利をSNSで「ブラボー、ロバート」と祝福した。

    「本当にうれしい。明日、彼に電話するつもりだ。今日は邪魔したくなかった。きっと今はお祝いの最中だろうけど、すごくうれしいし、彼のことを誇りに思う」

    今回のル・マン24時間レースでクビサと共に優勝を果たしたのは、フィル・ハンソンとイェ・イーフェイ。彼らはサテライトチームであるAFコルセの83号車フェラーリ499P LMHを駆り、激戦を制した。特にクビサは最後のスティントを担当し、給水ボトルが故障していたにもかかわらず59周を走り切り、全体の43%の距離を単独でドライブした。

    2011年の大事故以降、F1での道が絶たれたクビサにとって、今回のル・マン制覇はまさに報われた瞬間だった。アロンソがかつて「自分が対戦した中で最高のドライバー」と評した男にふさわしい偉業だ。

    さらに、F1カナダGPと同日に達成されたことも象徴的だ。クビサは2007年のカナダGPで大クラッシュに見舞われたが、翌2008年には同地でF1初優勝を飾っており、これが彼にとって唯一のF1勝利となっている。

    今回のル・マン制覇は、F1時代の最後のチームメイトだったジョージ・ラッセルが同日のカナダGPで優勝したこととも重なった。ラッセルはSNSで「ル・マン優勝おめでとう!本当に嬉しいよ!!」と祝福のメッセージを送っている。

    ロバート・クビサ F1 ル・マン24時間レース

    また、フェラーリでの勝利という点も感慨深い。クビサは2012年にスクーデリア・フェラーリと契約を結んでいたと報じられていたが、ラリー事故によってその夢は絶たれたとされる。

    F1実況のアレックス・ジャックは、「これはロバート・クビサにとって歴史的瞬間」と称賛。「フェラーリでF1を走る夢は事故で潰え、2021年にはLMP2クラスで最終ラップのリタイアという悲劇も経験した。だが今日、その復活劇がついに完結した」と綴った。

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールもクビサの勝利を喜んだ。バスールはF3やフォーミュラ・ルノー時代からクビサと関係があり、近年もアルファロメオでリザーブドライバーとして共に過ごしていた。

    「私とロバートの関係はとても近い」とバスールは語る。「彼はモータースポーツ界において“異星人”のような存在だ。今回のような状況でル・マンを制し、チームを牽引する姿は想像を超えている。本当に素晴らしい成果だと思うし、彼がこれまでキャリアに注いできた努力を思えば、今日の結果は心から嬉しい」

    なお、アロンソとクビサはともに、今世紀にF1とル・マンの両方で優勝した数少ないドライバーであり、現役F1ドライバーでル・マン優勝経験があるのは、2025年時点でザウバーのニコ・ヒュルケンベルグただ一人である。

  • トヨタ ル・マンで苦闘 7号車が6位 8号車はトラブルを乗り越え16位完走

    トヨタ ル・マンで苦闘 7号車が6位 8号車はトラブルを乗り越え16位完走

    FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦、第93回ル・マン24時間レースの決勝が、現地時間6月15日(日)午後4時、フランス・サルト・サーキットでゴールを迎えた。

    トヨタのワークスチーム「TOYOTA GAZOO Racing(TGR)」は、6度目のル・マン制覇と、初参戦から40周年の節目を勝利で飾るべく挑んだが、ライバル勢の強力なレースペースとアクシデントに阻まれ、表彰台には届かなかった。

    GR010 HYBRIDの7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース)は、予選16番手からスタート。1周目に他車と接触して車体にダメージを負い、さらにピットでのスピード違反により50秒のストップ・アンド・ゴー・ペナルティを受けたが、着実に挽回して6位でチェッカーを受けた。

    一方の8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)は、序盤から上位を走行。好調なペースで夜間には一時首位にも立ったが、残り4時間のピットアウト直後に左前タイヤが脱落するトラブルが発生。20分以上を要する修復の末、7周遅れの16位で完走した。

    今回のル・マンには33万人を超える観客が集結。8つのマニュファクチャラーから21台のハイパーカーが出場し、フェラーリが2年連続優勝を果たした。TGRは終盤まで粘りを見せたものの、レースペースと信頼性の差を埋めきれなかった。

    次戦となるWEC第5戦「サンパウロ6時間レース」は、7月13日(日)に決勝が行われる予定だ。

    トヨタ ル・マン24時間

    小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
    「はじめに、今年のル・マンへの挑戦を支えてくださったファンの皆様、パートナーの皆様、そしてトヨタの従業員全員に心から感謝申し上げます。厳しいレースになることは予想していましたが、実際はそれ以上に厳しい戦いとなりました。勝利を目指して全力を尽くしましたが、残念ながらその機会は訪れませんでした。フェラーリに3連敗してしまい、非常に悔しい思いです。来年はもっと強くなって、違うマインドで戻ってきたいと思っています」

    マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
    「6位という結果はもちろん望んでいたものではありませんが、16番手からのスタートを考えると、これが精一杯だったと思います。この順位まで上がることができたのは、チーム全体の努力のおかげです。もっと良い結果を期待していただけに残念ではありますが、チームは常に全力を尽くして戦いました。今回は勝利に届きませんでしたが、来年に向けてさらに強くなって戻ってこなければなりません」

    ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)
    「このル・マンというレースでは、やはり優勝こそがすべてだと思っています。我々は本当に頑張りましたが、スピードが不足していました。今回は比較的クリーンなレース展開で、セーフティカーも1度だけでしたから、上位争いには純粋なレースペースが必要でした。我々にはそれがありませんでしたが、それもレースの一部です。すべてを出し切って戦いましたので、後悔はありません」

    セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
    「我々にとって、間違いなく悔しいレースでした。もっと良い結果を目指していましたし、上位争いもできると考えていました。ペースは安定していましたし、ペナルティもなく順調でしたが、メカニカルのトラブルで上位争いからは脱落してしまいました。あの問題がなければ、5位前後でフィニッシュできていた可能性もあったと思います。今後はしっかり分析して、来年に向けて改善していきます」

    ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
    「このレースでは上位を狙っていましたし、勝利を目指して全力で挑みました。しかし、我々のレースペースは足りず、信頼性の問題にも苦しめられました。それでもチームは素晴らしい努力を続けてくれましたし、夜間には一時的に首位を走ることもできました。この2週間、チームの皆が全力を尽くしてくれたことに感謝しています。数日後にはもう次に向けた準備を始めます」

    平川亮(8号車 ドライバー)
    「本当に厳しい24時間でしたが、チーム一丸となって最後まで戦い続けました。私のスティント中にトラブルが発生してしまい、不運な結果となってしまいましたが、今できることは次のサンパウロ戦に向けて準備を進めることです。ファンの皆様、スポンサーやパートナーの皆様、そしてチームとトヨタの皆様に心から感謝申し上げます。2026年のル・マンに向けて、今からスタートです。一緒に頑張っていきましょう」

    トヨタ ル・マン24時間レース

    WEC第4戦 ル・マン24時間レース 最終結果(ハイパーカークラス上位)

    1位 No.83 AFコルセ(フェラーリ 499P)/ロバート・クビサ、イーフェイ・イエ、フィル・ハンソン 387周
    2位 No.6 ポルシェ・ペンスキー(ポルシェ 963)/マット・キャンベル、ケビン・エストレ、ローレンス・バンスール +14.084秒
    3位 No.51 フェラーリAFコルセ(フェラーリ 499P)/ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョビナッツィ +28.487秒
    4位 No.50 フェラーリAFコルセ(フェラーリ 499P)/アントニオ・フオコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセン +29.666秒
    5位 No.12 キャデラック・JOTA(キャデラック V-Series.R)/アレックス・リン、ノルマン・ナト、ウィル・スティーブンス +2:18.639
    6位 No.7 TOYOTA GAZOO Racing(GR010 HYBRID)/マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ニック・デ・フリース 386周(+1Lap)
    16位 No.8 TOYOTA GAZOO Racing(GR010 HYBRID)/セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮 380周(+7Laps)

  • F1出身ロバート・クビサがル・マン24時間レース制覇「とても特別な日だ」

    F1出身ロバート・クビサがル・マン24時間レース制覇「とても特別な日だ」

    2021年に最終ラップで勝利を逃した経験を持つ元F1ドライバーのロバート・クビサが、ついに悲願のル・マン24時間レース制覇を果たした。レース後の記者会見で、クビサはこの勝利が「とても特別な日だ」と語った。

    AFコルセのフェラーリ83号車で参戦したクビサは、フィル・ハンソン、イエ・イフェイとともにトップチェッカーを受けた。表彰台直後、サルト・サーキットのメインピットビルで行われた記者会見に臨んだクビサは、興奮と安堵の表情を浮かべながら次のように語った。

    「間違いなく今日は感情的な1日になると思う。今はまだ疲れとアドレナリンが混じっていて、少し休んで、この瞬間を味わいたい。とても特別な日だし、正直言って、勝てるとは思っていなかった」

    クビサにとってル・マン初挑戦は2021年だった。当時、LMP2クラスをリードして最終ラップに突入したが、まさかのマシントラブルによりフィニッシュ目前でストップ。優勝目前で勝利を逃すという衝撃的な結末に見舞われた。

    「2021年に初めてル・マンを走ったときから、このレースを本当に楽しんでいた。最終ラップでLMP2の勝利を逃すという劇的な結末にはなったけど、それでも楽しかったし、まるでカートで走っていた子どもの頃に戻ったようだった。ただ違ったのは、僕はもう36歳だったってことだけだ」

    「でもこの週末が与えてくれた感情は、特別なものだった」

    当時のチームメイトだったイエ・イフェイと、今回も共にAFコルセの83号車で勝利を分かち合ったことも、感慨深さをさらに深めた。

    同じく勝利を収めたチームメイトのフィル・ハンソンも、レース終盤まで気を緩めることができなかったと語る。

    「ロバートの言葉に共感するよ。今はまだ感情が湧いてくるというより、ただただ安堵している」

    「レース最後の数分間は本当に緊張の連続だった。実は、2021年に彼らが最終ラップで止まったとき、僕はそのすぐ後ろを走っていたからね。だから、ル・マンがどれほど非情になり得るかを僕は知っている」

    「だから今回は、車が物理的にフィニッシュラインを越えるまで、一切喜ばなかったし、気を抜かなかった。本当にホッとしているよ。正直、彼ら2人はちょっとジンクスがあるんじゃないかと思っていたくらいだ」

    ロバート・クビサ F1 ル・マン24時間レース

    今回のレースで、ハンソンとイエはそれぞれ9スティント、約6時間半〜40分を走行。一方のクビサは15スティント、計13時間以上にわたってステアリングを握り、1人でレースの半分以上を走り抜いた。なお、ル・マンで1人のドライバーが走行できる最大時間は14時間のため、クビサはその上限に迫る献身的なドライビングで勝利に貢献した。

    この勝利により、ロバート・クビサはル・マン24時間レース総合優勝を果たした初のポーランド人ドライバーとなった。かつてF1で大事故から復活を果たし、今度はル・マンでもドラマティックな勝利を飾ったその姿は、まさに執念と情熱の結晶だった。

  • ル・マン24時間レース:クビサがフェラーリで優勝 ポルシェが1-2-3体制を阻止

    ル・マン24時間レース:クビサがフェラーリで優勝 ポルシェが1-2-3体制を阻止

    ロバート・クビサ、フィル・ハンソン、イェ・イフェイのトリオが、第93回ル・マン24時間レース(2025年FIA世界耐久選手権第4戦)でセンセーショナルな勝利を収めた。

    AFコルセの83号車を駆る3人は完璧なレース運びを見せ、20年前にチャンピオン・レーシングが勝利して以来となる、ル・マン総合優勝を果たしたカスタマーチームとなった。

    2位には#6 ポルシェ・ペンスキー963が入り、3位には#51 フェラーリAFコルセ499Pが続いた。なお、終盤には#50の姉妹車フェラーリ499Pを駆るアントニオ・フオコがコースオフを喫し、大きくタイムを失うというドラマもあった。

    マンタイはLMGT3クラスでタイトル防衛に成功。マンタイ・ファーストフォーム・ポルシェのリヒャルト・リーツ、ライアン・ハードウィック、リカルド・ペラのトリオが、#21 VISTA AFコルセ・フェラーリ296 LMGT3(アレッシオ・ロヴェラ、フランソワ・エリオー、シモン・マン組)との激しいバトルを制した。

    LMP2クラスは、ヤクブ・シミェホフスキ、トム・ディルマン、ニック・イエロリー擁するインター・ユーロポール・コンペティションが、極めてドラマチックな最終1時間を経て勝利を収めた。

    イエロリーは、最終1時間にピットレーン速度違反のペナルティを受けた後、残り20分で#48 VDSパニス・レーシングのオレカ・ギブソン(エステバン・マッソン)をオーバーテイク。マッソンが問題を抱える中、イエロリーはフォード・シケインで逆転に成功し、LMP2優勝を手にした。

    ポーランドのチームは、過去3年間で2度目のLMP2タイトルを獲得。また、AO by TFスポーツのルイ・デレトラズ、デイン・キャメロン、PYハイエット組が、LMP2クラスのプロ/アマタイトルを獲得し、クラス3位でレースを終えた。

    2025年 ル・マン24時間 決勝結果(総合)

    1位 #83 フェラーリ(AFコルセ)
    2位 #6 ポルシェ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)
    3位 #51 フェラーリ(フェラーリAFコルセ)
    4位 #50 フェラーリ(フェラーリAFコルセ)
    5位 #12 キャデラック(キャデラック・ハーツ・チームJOTA)
    6位 #7 トヨタ(トヨタ・ガズー・レーシング)
    7位 #5 ポルシェ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)
    8位 #38 キャデラック(キャデラック・ハーツ・チームJOTA)
    9位 #4 ポルシェ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)
    10位 #35 アルピーヌ(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)
    11位 #36 アルピーヌ(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)
    12位 #94 プジョー(プジョー・トタルエナジーズ)
    13位 #009 アストンマーチン(アストンマーチンTHORチーム)
    14位 #99 ポルシェ(プロトン・コンペティション)
    15位 #007 アストンマーチン(アストンマーチンTHORチーム)
    16位 #8 トヨタ(トヨタ・ガズー・レーシング)
    17位 #93 プジョー(プジョー・トタルエナジーズ)
    18位 #20 BMW(BMW MチームWRT)
    19位 #15 BMW(BMW MチームWRT)
    20位 #311 キャデラック(キャデラック・ウィーレン)
    21位 #101 キャデラック(キャデラックWTR)

  • マクラーレン WEC新チーム「マクラーレン・ユナイテッドAS」を正式発足

    マクラーレン WEC新チーム「マクラーレン・ユナイテッドAS」を正式発足

    マクラーレン・レーシングは6月14日、1995年のル・マン24時間レース初参戦初優勝からちょうど30年の節目となる記念日に、FIA世界耐久選手権(WEC)ハイパーカークラスへの本格参戦に向けた新チーム「マクラーレン・ユナイテッドAS(McLaren United AS)」を正式に発足した。これはマクラーレンが1995年にJ.J.レート、ヤニック・ダルマス、関谷正徳の3人のドライバーとともにF1 GTRでデビュー戦優勝を飾った伝説的勝利を記念する形での発表となった。

    新チームは、マクラーレンとユナイテッド・オートスポーツの共同運営により編成される。両チームはともにザク・ブラウンCEOが所有する企業グループに属しており、今回のパートナーシップは長期的な耐久レースプログラムの基盤を築くものとされている。

    2027年からWECのハイパーカークラスに参戦するマクラーレンの新型マシンは、LMDhレギュレーションに準拠したシャシーをダラーラが製作。パワートレインには、マクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブが共同開発したV6ツインターボエンジンを搭載し、ATM社の協力により供給される。

    ザク・ブラウンはその理由について「当初IMSAのLMDh規定に合わせたが、いまやLMHも含めた柔軟な対応が可能になっている。我々としては世界中の耐久レースに挑戦できるプラットフォームを選びたかった」と語っている。

    この新たな耐久レース体制を率いるチーム代表(Team Principal)には、フォーミュラEでジャガーTCSレーシングを率いてきたジェームス・バークレイが就任。バークレイは、現在のフォーミュラEシーズン終了後となる2024年9月にチームに正式合流し、マクラーレン・レーシングのエグゼクティブ・リーダーシップチームの一員として、CEOであるザク・ブラウン直属で活動する。

    バークレイは2016年にジャガーのフォーミュラE参戦を主導して以降、同チームを勝利に導き、1991年以来の世界選手権制覇も達成した豊富な経験を持つ。ブラウンは「マクラーレン・レーシングがWECに復帰するこの新たな章において、ジェームスのリーダーシップは極めて重要だ」と語った。

    「彼とは長年の知己であり、モータースポーツ界における豊富な経験を高く評価している。フォーミュラEでの成功実績もあり、何より“レーサー”だ。商業的な感覚も持ち合わせており、成功に必要な要素をすべて備えている。まさに理想的な人材だ」

    マクラーレン・ユナイテッドASジェームス・バークレイがマクラーレン・ユナイテッドASのチーム代表に就任

    ハイパーカークラスへの参戦を決断した理由については、次のように述べた。

    「F1やインディカーでの我々の強さがあること。そして新たなプラットフォームの成功が見え始めている今、このタイミングは絶好だと判断した」

    マシンのテストはまだ行われていないが、近くファンに向けたプレビューの発表を予定しているという。

    「まだマシンのテストはしていないが、開発は順調に進んでいる。ジェームスの指揮のもと、チームの未来が形になっていくのを楽しみにしているし、2027年仕様のレースカーをファンに初披露する日が待ち遠しい」

    また、ル・マン現地では6月14日午前10時(CEST)より、マニュファクチャラーズ・ビレッジにて、2027年型ハイパーカーの初公開イベントが行われる予定で、ザク・ブラウンCEO自らがプレゼンテーションを行う。

    ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシング CEO):
    「マクラーレンのWEC復帰は、我々にとってまったく新しい、そして極めて刺激的なチャプターの始まりだ。1995年の勝利は我々の歴史の中でも象徴的な瞬間であり、再びル・マンの頂点に挑む準備が整いつつある。ジェームスのリーダーシップのもと、マクラーレン・エンデュランス・レーシングはすぐに競争力あるチームとして確立されると確信している。ファンの皆さんに新型車をお披露目できることを心から楽しみにしている」

    ジェームス・バークレイ(マクラーレン・ユナイテッドAS チーム代表):
    「このような伝統あるブランドの一員になれることを誇りに思う。マクラーレンが体現するレーシングスピリットと成功への情熱には常に感銘を受けてきた。世界最高峰の舞台で戦えるチームを築き上げ、マクラーレンの革新性と情熱を代表する存在になりたい」

  • 2025年ル・マン24時間レースに元F1ドライバー19人が参戦

    2025年ル・マン24時間レースに元F1ドライバー19人が参戦

    F1パドックが次戦カナダGP開催地モントリオールへと移動する中、かつてF1で活躍した多数の顔ぶれが、6月14日(土)から15日(日)にかけて開催される2025年のル・マン24時間レースに挑もうとしている。

    この有名な耐久レースでは、現役F1ドライバーの中にも過去に栄光をつかんだ者たちがいる。ニコ・ヒュルケンベルグは2015年にポルシェで優勝を果たし、フェルナンド・アロンソはトヨタの一員として2018年と2019年に連覇を達成した。

    では、今年のレースに参戦する19人の元F1ドライバーたちの中から、彼らの足跡をたどる者は現れるのだろうか?以下に候補者たちを紹介する。

    ■ フェリペ・ナッセ/パスカル・ウェーレイン – #4 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ
    まずハイパーカークラスに登場するのは、フェリペ・ナッセとパスカル・ウェーレインという2人の元F1ドライバーを擁するチーム。彼らはニック・タンディと共にポルシェ963をドライブする。

    ナッセは2015年と2016年にザウバーでF1を戦い、デビュー戦となったオーストラリアGPでいきなり5位入賞を果たした。これは彼のF1キャリア最高位であり、2016年の母国ブラジルGPでは、その年のザウバー唯一のポイントも獲得している。

    一方、ウェーレインは2016年にマノーからF1デビューを果たし、オーストリアGPで10位に入りチームに唯一のポイントをもたらした。翌2017年にはザウバーに移籍し、さらに5ポイントを加えたものの、2018年にはシャルル・ルクレールにその座を譲ることとなった。

    その後ウェーレインはフォーミュラEへと戦いの場を移し、2023/24シーズンにはチャンピオンを獲得。今回がル・マン初挑戦となる。

    ル・マン24時間 F1 フェリペ・ナッセ/パスカル・ウェーレイン2016年当時の元F1ドライバー、ナッセとウェーレイン。彼らは今年のル・マン24時間レースでチームメイトとなる

    ■ 小林可夢偉/ニック・デ・フリース – #7 トヨタ・ガズーレーシング
    #7トヨタ・ガズーレーシングの2人のドライバーもF1ファンにはおなじみの顔だ。小林可夢偉は2009年末にトヨタからF1デビューを果たし、その後3シーズンにわたりザウバーでレースを続けた。その中でも特筆すべきは、2012年の日本GPで母国ファンの前で3位表彰台を獲得したことだ。

    2014年にはケータハムでF1に復帰したが、その後は耐久レースに専念。2021年にはル・マンで優勝し、さらに4度の2位入賞経験も持つ。

    そんな小林とチームを組むのが、ニック・デ・フリースだ。彼は2022年のイタリアGPでウィリアムズの代役としてF1初出走を果たし、即座にポイントを獲得して注目を集めた。しかし2023年にアルファタウリ(当時)からフル参戦を果たすも、シーズン途中でダニエル・リカルドと交代となった。

    その後は再びフォーミュラEとWECに参戦しており、今回はマイク・コンウェイと共にGR010ハイブリッドをドライブする。

    ル・マン24時間 F1 小林可夢偉/ニック・デ・フリースデ・フリースと小林(写真は元チームメイトのホセ・マリア・ロペスと共に)。彼らは2024年のル・マンで2位に入賞している

    ■ セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー – #8 トヨタ・ガズーレーシング
    小林と同様に、#8トヨタ・ガズーレーシングの2人もF1出身かつル・マン優勝経験者だ。セバスチャン・ブエミは2009年から2011年にかけてトロ・ロッソでF1を戦い、2010年の中国GPでは両フロントタイヤが同時に脱落するという奇怪なアクシデントでも話題を呼んだ。

    その後は他のカテゴリーで成功を収め、2015/16年にはフォーミュラEチャンピオンを獲得。さらにル・マン24時間レースでは4勝を挙げ、これは歴代最多タイとなっている。

    その記録を並ぶのがチームメイトのブレンドン・ハートレーだ。彼は2017年末にトロ・ロッソからF1デビューを果たし、2018年にはフル参戦を経験。ル・マンでは2022年に最後の勝利を挙げている。

    この2人に加わるのが、現ハースF1リザーブドライバーの平川亮だ。

    ル・マン24時間 F1 セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー2022年の優勝以来、再び頂点に立てるか――ブエミ、ハートレー、平川のトリオが挑む

    ■ ウィル・スティーブンス – #12 キャデラック・ハーツ・チームJOTA
    ウィル・スティーブンスのF1キャリアは短かった。2014年の最終戦アブダビGPでケータハムからデビューし、翌2015年はマノー・マルシャでフル参戦。イギリスGPでの13位が最高成績だった。

    F1を離れてからは耐久レースに転向し、2017年にはLMGTE AMクラスで、2022年にはLMP2クラスでル・マン優勝を果たしている。今年はハイパーカークラスに挑み、ノーマン・ナトーとアレックス・リンと共にキャデラックをドライブする。

    ル・マン24時間 F1 ウィル・スティーブンス2015年、マノー・マルシャから参戦したスティーブンス。今ではル・マン優勝経験者のひとりだ

    ■ ケビン・マグヌッセン – #15 BMW MチームWRT
    F1のなかでも比較的近年のレース経験を持つのがケビン・マグヌッセン。2021年にはLMP2クラスでル・マン初参戦を果たしており、今回はBMW MチームWRTの#15をドライブする。チームメイトはドリス・ヴァントールとラファエレ・マルチェッロ。

    2024年シーズン限りでハースのシートを失ったマグヌッセンは、現在他カテゴリーに活動の場を移している。F1では2014年のデビュー戦(マクラーレン/オーストラリアGP)でいきなり2位に入るなど、通算185戦に出走した実績を持つ。

    ル・マン24時間 F1 ケビン・マグヌッセン「F1の10年間は特権だった」――マグヌッセンが振り返るキャリア

    ■ ミック・シューマッハ – #36 アルピーヌ・エンデュランス・チーム
    2022年にマグヌッセンがF1に復帰した際、チームメイトとなったのがミック・シューマッハだ。彼にとってF1での2シーズン目となった2022年は、数回のポイント獲得もあったが、翌2023年のシート確保には至らなかった。

    2024年末にメルセデスF1のリザーブドライバーの役目を終えた後、シューマッハはWECへの専念を決意。今年はアルピーヌの一員としてフレデリック・マコヴィエッキ、ジュール・グーノンとともに参戦し、ここまで2度の表彰台を獲得している。

    ル・マン24時間 F1 ミック・シューマッハ2024年にF1リザーブを離れたシューマッハは、WECに集中している

    ■ セバスチャン・ブルデー/ジェンソン・バトン – #38 キャデラック・ハーツ・チームJOTA
    #38キャデラック・ハーツ・チームJOTAには、さらに2人の元F1ドライバーが名を連ねている。地元ル・マン出身のセバスチャン・ブルデーは、1999年の初出場以来、幾度もル・マンに挑戦してきたベテランであり、2016年にはLMGTE Proクラスで優勝も果たしている。

    F1では2008年にトロ・ロッソからデビューしたが、翌2009年途中でハイメ・アルグエルスアリに交代される形でF1キャリアを終えた。

    そのチームメイトは、F1でより輝かしい実績を持つ2009年ワールドチャンピオン、ジェンソン・バトンだ。17シーズンにわたりF1で活躍し、通算15勝、8回のポールポジション、50回の表彰台という記録を持つ。

    バトンにとってル・マン参戦は今回が4回目であり、これまでの最高成績は2024年大会での9位。F1ワールドチャンピオンとしてル・マン優勝を果たした5人に続く6人目となれるか注目が集まる。

    ル・マン24時間 F1 セバスチャン・ブルデー/ジェンソン・バトン元F1ドライバーのバトンとブルデーは、アール・バンバーとともに#38キャデラック・ハーツ・チームJOTAで参戦

    ■ アントニオ・ジョビナッツィ – #51 フェラーリAFコルセ
    ル・マン24時間レースの勝利経験者であるアントニオ・ジョビナッツィも参戦する。彼は2017年にザウバーで2戦、2019年から2021年まではアルファロメオからF1にフル参戦。ブラジルGPでの5位がF1での最高成績となっている。

    その後はフェラーリF1のリザーブドライバーを務めつつ、2023年にはフェラーリAFコルセとしてWECにフル参戦。ル・マンではその年に見事総合優勝を果たした。今年もアレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラドと組んで参戦し、現在WEC選手権でも首位を走る。

    ル・マン24時間 F1 アントニオ・ジョビナッツィジョビナッツィは、2023年にピエール・グイディ、カラドとともにル・マン優勝を経験している

    ■ ロバート・クビサ – #83 AFコルセ
    ロバート・クビサのF1キャリアはまさにジェットコースターだった。2006年から2010年までに1勝を含む好成績を残すも、2011年のラリー事故で重傷を負い長期離脱。その後、2019年にウィリアムズからF1復帰を果たしたが、思うような結果は残せなかった。

    それでも耐久レースでは好調で、LMP2クラスで2度のヨーロピアン・ル・マン・シリーズ王者に輝いている。今年はAFコルセからイエフェイ・イェ、フィリップ・ハンソンとともに参戦する。

    ル・マン24時間 F1 ロバート・クビサロバート・クビサは波乱のF1人生を経て、耐久レースで再び輝きを放つ

    ■ ポール・ディ・レスタ/ジャン-エリック・ベルニュ – #93 プジョー・トタルエナジーズ
    ポール・ディ・レスタは2011年から2013年までフォース・インディアでF1に参戦し、最高位は2012年と2013年の4位。2017年にはウィリアムズから1戦限りの代役出走も経験した。

    F1引退後は解説者としても活躍しつつ、耐久レースに参戦。2020年にはLMP2クラスでル・マン優勝も果たしている。今年は#93プジョー・トタルエナジーズで、同じく元F1ドライバーのジャン-エリック・ベルニュとチームを組む。

    ベルニュはレッドブル・ジュニア出身で2012年から2014年にかけてトロ・ロッソでF1を戦った。F1後はフォーミュラEに転向し、2度のチャンピオンに輝いた実績を持つ。ル・マンには今回が5回目の参戦となる。

    ル・マン24時間 F1 ポール・ディ・レスタ/ジャン-エリック・ベルニュベルニュとディ・レスタ(2012年の写真)は、F1では別のチームで戦っていたが、現在はWECで同じチームに所属している

    ■ ストフェル・バンドーン – #94 プジョー・トタルエナジーズ
    #94のプジョー・トタルエナジーズをドライブするのはストフェル・バンドーンだ。ベルギー出身のバンドーンは2017年にマクラーレンからF1にフル参戦し、2018年まで在籍したが、非力なマシンに苦しみ、2019年にはシートを失った。

    その後はフォーミュラEに転向し、2021/22シーズンにはチャンピオンを獲得。現在はアストンマーティンF1チームのリザーブドライバーも務めている。WECではロイック・デュバルとマルテ・ヤコブセンとともに#94で参戦する。

    ル・マン24時間 F1 ストフェル・バンドーンF1では苦戦したバンドーンだが、その後フォーミュラEや耐久レースで着実な実績を重ねている

    ■ ジャック・エイトケン – #311 キャデラック・ウィーレン
    ジャック・エイトケンは、ここに挙げられた中で最も短いF1キャリアを持つドライバーかもしれない。彼は2020年のサヒールGPで、ジョージ・ラッセルがメルセデスに代役出走した際にウィリアムズから代走し、16位で完走した。

    現在は3回目となるル・マン参戦に備えており、#311キャデラック・ウィーレンでは、現F1リザーブドライバーのフェリペ・ドルゴヴィッチ、フレデリック・ヴェスティとともに出場する。

    ル・マン24時間 F1 ジャック・エイトケンエイトケンは2020年のF1出場後、様々なカテゴリーで活動している

    ■ アンドレ・ロッテラー – #18 IDECスポール
    #18 IDECスポール(LMP2クラス)には、アンドレ・ロッテラーが名を連ねる。彼は2000年代初頭にジャガーF1のテストドライバーを務めていたが、F1レースデビューは2014年のベルギーGP。ケータハムから出走したものの、マシントラブルでわずか1周でリタイアとなった。

    ル・マンではこれが13回目の参戦であり、これまでに3度の総合優勝経験を持つ。しかし今回初めてトップクラスではなくLMP2での出場となる。チームメイトはジェイミー・チャドウィックとマティス・ジョベール。

    ル・マン24時間 F1 アンドレ・ロッテラー3度のル・マン制覇経験を持つロッテラー、今年はLMP2で挑む

    ■ ピエトロ・フィッティパルディ – #22 ユナイテッド・オートスポーツ
    同じくLMP2に参戦するのがピエトロ・フィッティパルディ。2020年のバーレーンGPで起きたロマン・グロージャンの大事故の代役として、フィッティパルディはハースから2戦F1に出場した。

    その後もアメリカのストックカーやインディカーなど多くのシリーズに参戦しており、現在もハースF1のリザーブを継続しながら、今年はユナイテッド・オートスポーツからル・マンに出場。レンガー・ヴァン・デル・ザンデ、デイヴィッド・ハイネマイヤー=ハンソンとチームを組む。

    ル・マン24時間 F1 ピエトロ・フィッティパルディフィッティパルディはハースF1のリザーブとしての活動を続けつつ、耐久レースでも経験を積んでいる

    ■ 特別言及
    LMGT3クラスに出場する元F1ドライバーはいないが、F1ドライバーの息子が参戦予定だ。ルーベンス・バリチェロの息子、エドゥアルド・バリチェロが今年ル・マン初参戦を果たす。

    また、このカテゴリーではMoto GPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシにも注目したい。彼は今年2回目のル・マン参戦となるが、F1との縁も深く、2019年にはルイス・ハミルトンとのマシンスワップを経験し、2006年にはフェラーリのテストも行っている。