2026年F1イタリアGPの決勝に向け、ピレリは1ストップ戦略が最も競争力の高い選択肢になるとの分析を示した。ミディアムからハードが理論上の最速戦略となる一方、ソフトを使うパターンとの差も小さく、3種類すべてのコンパウンドが実戦で十分に機能するとみている。
モンツァでは予選でもタイヤが大きな焦点となった。ピエール・ガスリーがソフトタイヤで1分21秒786を記録し、自身初のF1ポールポジションを獲得。
ジョージ・ラッセルを0.060秒、オスカー・ピアストリを0.180秒差で抑えた。高温下でもデグラデーションは限定的で、決勝では各チームのスタート位置やマシン特性によって戦略が分かれる可能性がある。
ガスリーがソフトで自身初のF1ポール
F1イタリアGP予選は気温35度を超え、路面温度が49度に達する厳しい暑さのなかで行われた。決勝も同様のコンディションが予想されている。
予選では大半のドライバーがソフト(C5)を使用したが、Q1序盤ではラッセルとリアム・ローソンがミディアム(C4)を選択。ラッセルはC4でQ1最速タイムを記録し、ローソンはその後C5に交換してタイムを更新した。
最終的にポールポジションを獲得したのはアルピーヌのガスリーだった。自身のF1初優勝を飾ったモンツァで1分21秒786をマークし、キャリア初のポールポジションを手にした。
2番手のラッセルは1分21秒846、3番手のピアストリは1分21秒966。ガスリーはソフトタイヤのグリップを最大限に引き出し、僅差の争いを制した。
FP3ではラッセルが1分22秒219でトップ。ルイス・ハミルトンが2番手、マックス・フェルスタッペンが3番手に続いた。このセッションで使用されたのはミディアムとソフトのみで、アレクサンダー・アルボンは同じソフト1セットで最多19周、ガスリーは同じミディアム1セットで最多17周を走行した。
最速はミディアムからハードの1ストップ
ピレリ・モータースポーツ・ディレクターのダリオ・マラフスキによれば、シミュレーションでは1ストップが最も競争力の高い戦略となっている。ただし、複数の戦略の総レースタイムは非常に接近しているという。
「我々のシミュレーションでは、モンツァでは1ストップ戦略が最も競争力の高い選択肢になることが示されている。ただし、総レースタイムという点では、いくつかのバリエーションが非常に接近している」
「スタートタイヤの選択は、それぞれのマシンの特性だけでなく、グリッド位置に応じて各チームがどのような戦略的アプローチを採用したいかによって決まる可能性が高い」
理論上の最速はミディアム(C4)でスタートし、24~30周目にピットストップを行ってハードへ交換、そのままフィニッシュまで走り切る戦略だ。
「ミディアムは最も高い柔軟性を提供するように見える。レース序盤でも後半でも、セーフティカーなどによるニュートラリゼーションが発生した場合に対応することができる」
「机上で最も速い戦略はC4でスタートし、24~30周目にピットストップを行い、ハードに交換してチェッカーフラッグまで走るものだ」

ミディアムからソフトでも差は約2秒
一方、ミディアムからソフトへつなぐ戦略も十分に成立する。ピレリの試算では、レース全体で最速戦略との差は約2秒にすぎない。
「代替案としては、30~36周目にミディアムからソフトへ交換する戦略があり、レース全距離では約2秒遅いと推定している」
予選で中心となったC5ソフトについても、ピレリは決勝で十分に使用可能だと評価している。特にスタート直後の高いグリップを生かし、ターン1までの長いストレートで順位を上げたいドライバーにとって魅力的な選択肢になる。
「C5はレースでも完全に使用できることが証明されており、より高い初期グリップを生かして、ターン1へ向かう長いストレートでポジションを上げたいドライバーにとって興味深い選択肢になる可能性がある」
「この場合、最適なピットストップのウインドウは19~25周目となり、そこからハードでチェッカーフラッグまで走ることになる」
3コンパウンドともデグラデーションは限定的
戦略の自由度を高めているのが、モンツァで確認された低いタイヤデグラデーションだ。ピレリによれば、3種類すべてのコンパウンドで重大な摩耗や大幅なパフォーマンス低下は確認されていない。
「今日収集したデータでは、3種類すべてのコンパウンドでデグラデーションが限定的であることが確認された。重大な摩耗や大きなパフォーマンス低下の兆候もない」
「昨日確認されたグレイニングも限定的なままで、スティントマネジメントに大きな影響を及ぼすことはないと予想している」
モンツァ特有のレイアウトもタイヤ管理を容易にする要因となる。長いストレートが多い一方でトラクションへの要求が比較的小さく、リアタイヤの温度上昇を抑えやすい。
「このサーキットは長いストレートを持ち、トラクションへの要求が比較的低いため、リアタイヤの温度をコントロールするうえでも有利に働き、グランプリを通して最適な熱管理を促してくれる」
「したがって、各チームには複数の戦略的な選択肢がある。3種類すべてのコンパウンドが完全に使用可能であり、レースがどのように展開するかによって、それぞれ異なるチャンスをもたらすことができる」
デグラデーションが小さく、最速とされるミディアム→ハードだけでなく、ミディアム→ソフトやソフト→ハードも現実的な選択肢となるF1イタリアGP。タイヤそのものの寿命よりも、グリッド位置、スタートでの順位変動、セーフティカーなどのレース展開に合わせてピットストップのタイミングをどう組み立てるかが、勝敗を左右するポイントになりそうだ。
