カテゴリー: F1ハンガリーGP

  • アストンマーティンF1 アロンソ「ハンガリーのアップグレードだけでは不十分」

    アストンマーティンF1 アロンソ「ハンガリーのアップグレードだけでは不十分」

    フェルナンド・アロンソは、アストンマーティンF1がハンガリーGPで投入する大型アップグレードについて、ファンの期待が高まる一方で「それだけでは十分ではない」と強調した。今季初の本格的な空力アップデートは重要な一歩だが、それだけで競争力を取り戻せるわけではないとの認識を示している。

    アロンソは、ハンガリーGPで重視するのは順位ではなく、AMR26の弱点を正しく理解し改善できているかどうかだと説明。2027年以降の飛躍につながる技術的な方向性を確認することが最大の目的だと語った。

    ハンガリーGPのアップグレードだけでは十分ではない
    アストンマーティンF1は、2026年シーズンで唯一、本格的な空力アップグレードを投入していないチームだ。コストキャップの制約を踏まえ、小規模な改良を繰り返すのではなく、大規模なアップデートに開発資源を集中させてきた。

    その待望のパッケージはハンガリーGPで投入される予定だが、アロンソは過度な期待を戒めた。

    「ファンは僕たちがレースに勝ち、タイトル争いをすることを望んでいると思う」

    「でも今年は、どんなアップグレードを投入しても、それだけでは十分ではない。必ず次のアップデートが必要になる。だから、チームは昼夜を問わずマシン改善に取り組んでいることを理解してほしい」

    「僕たちは良くなっていくし、いずれレースにも勝てる。でも今年ではない。今回のアップグレードは計画の第一歩であって、最後の一歩ではない」

    アロンソは、ハンガリーGPでの改善を歓迎しつつも、それで開発を終わらせるべきではないと強調した。

    重要なのは弱点を正しく理解できるか
    今季のアストンマーティンは、予選ではトップ勢から約1秒遅れまで後退している。ホンダ製パワーユニットの振動問題は改善されたものの、依然として競争力不足や信頼性の問題を抱えている。

    そのためアロンソは、ハンガリーGPで求めるものは結果そのものではなく、マシン開発の方向性が正しいことを確認することだと説明した。

    「僕にとって重要なのは、ハンガリーでこのマシンの弱点を理解し、それに対処できていると感じられることだ。特に今回投入される最初の空力パッケージが重要になる」

    「今年のマシンにはドライビング中に非常に特有の問題がある。それが改善され、マシンを限界まで攻められるようになれば、来年へ向けて明確な道筋と良い勢いを得られると思う。それが僕にとって一番大切なことだ」

    アロンソは、短期的な順位よりも、将来につながる技術的な進歩を重視している。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    再建計画は当初から長期戦を想定
    アロンソによると、チームはAMR26の競争力不足が判明した段階で、短期間で解決できる問題ではないと認識していたという。

    「それが第7戦になるのか、第12戦になるのか、それともシーズン終盤になるのかは分からなかった。でも『これが今のスタート地点だ。このままでは十分ではない』ということは分かっていた」

    「ダウンフォースも足りないし、パワーも足りない。ギアボックスも経験も足りない。だから徹底的に分析し、体制を立て直し、計画を作る必要があった」

    この考え方が、アストンマーティンF1が大型アップグレードを一度に投入する開発方針につながった。

    今回のハンガリーGPのアップグレードは、アストンマーティンF1にとって再建への重要な第一歩となる。しかしアロンソは、それだけで問題が解決するとは考えておらず、継続的な開発によって初めて将来的な優勝争いにつながるとの考えを示した。

    【関連】
    ・フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1残留は“ハンガリーGP次第”を否定

  • ミハエル・シューマッハ 2000年F1ハンガリーGP着用レーシングスーツが1600万円で落札

    ミハエル・シューマッハ 2000年F1ハンガリーGP着用レーシングスーツが1600万円で落札

    ミハエル・シューマッハが2000年F1ハンガリーGPで着用したレーシングスーツが、ボナムズ・カーズとシューマッハ・ラウンジの提携によるオンラインオークションで95,650ユーロ(約1,673万円)で落札された。

    この出品は8月29日から9月19日まで開催された「シューマッハ・ラウンジ・オンラインオークション」の一環として9月19日に終了した。

    フェラーリのレーシングスーツは、チームの象徴的な赤に当時のスポンサー(象徴的なマールボロのロゴを含む)が配され、胸にはシューマッハ本人のサインが入っている。オークションハウスによれば、このスーツは実際にハンガリーGP(ハンガロリンク)で使用されたもので、シューマッハはポールポジションからスタートしたが、当時の王者ミカ・ハッキネンの後塵を拝し、2位でフィニッシュした。

    このレースでハッキネンがドライバーズ選手権の首位に立ったが、残り5戦の段階でシューマッハも僅差で追随していた。その後、日本で行われたシーズン終盤のレースでシューマッハが勝利し、フェラーリで初のタイトル、そしてチームと共に積み重ねる5連覇の最初の栄冠を手にした。

    ミハエル・シューマッハ 2000年F1ハンガリーGP レーシングスーツ

    このオークションでは他にも、1995年のベネトンのスーツ(61,360ユーロ=約1,072万円)、2003年フェラーリのレプリカヘルメット(サイン入り、11,520ユーロ=約201万円)が落札され、シューマッハ関連グッズの強い人気を改めて示した。なお、売上の一部はシューマッハ家が2017年に設立した「キープ・ファイティング財団」に寄付されている。

    ドライバー・ラウンジ創設者のリッチ・ソディはイベント後に次のように述べた。
    「我々のボナムズとのパートナーシップは、モンツァでの完売したシューマッハ・ラウンジ、そしてそれに続くオンラインオークションで見事に実を結びました。

    多くの特別な品々が新しいオーナーのもとに渡り、同時にキープ・ファイティング財団のための資金も集められたことを嬉しく思います。

    入札者の皆様のご支援に感謝し、将来また別のグランプリでドライバー・ラウンジを開催できることを楽しみにしています」

  • F1マシンGP技術解説:レッドブルの冷却戦略とマクラーレンの強み

    F1マシンGP技術解説:レッドブルの冷却戦略とマクラーレンの強み

    F1マシンは、猛暑のブダペストで行われるハンガリーGPにおいて、空力効率と冷却性能という相反する課題に直面した。直線が少なく、長いコーナーが続くハンガロリンクでは、ラジエーターへの気流が制限され、ボディワークの開口が必要になる一方、その対応は空力性能低下という代償を伴う。

    ブダペストの夏に加え、直線区間が比較的少ないレイアウト、さらに長いコーナーではフロントタイヤが長時間切られた状態になり、その間はラジエーターのインレットに向かう気流が遮られてしまう。このため、ボディワークを大きく開口する必要が出てくる。

    これは空力面で大きな代償を伴う。そのため、要求の衝突と、性能を最大化しようとする際のリスクは非常に明確だ。

    レッドブルは特に、金曜と土曜の間で冷却レベルを試行しており、ジョルジオ・ピオラの図面からも、彼らがエンジンカバー下端の熱気排出口の面積を大きく増やさざるを得なかったことが分かる。

    特定のラジエーターまわりの冷却能力は、インレットとアウトレットの面積比と、それら周辺の空気圧との関係によって決まる。ラジエーターインレットの形状はモノコックやその周囲のボディワーク形状に依存しているため、セッションごとにインレット面積を変えることは現実的ではない。

    したがって、冷却レベルは必要に応じてアウトレット面積を変えることで調整される。上部ボディのルーバーや、エンジンカバー下端とサスペンションの間の隙間がその手段だ。

    レッドブル F1 ハンガリーグランプリF1ハンガリーGP週末におけるレッドブルのアプローチ詳細

    追加ルーバーもエンジンカバーの排出口も、空力的には不利となる。ルーバーから排出された熱気は、車体表面上のダウンフォース生成を促す気流を乱しながらリア方向へ流れる。一方で、サイドポッドやエンジンカバー両側からの気流がディフューザー出口やビームウイング周辺で合流する地点、つまりもっと後方に熱気を導入すると、そのコストは特に大きくなる。

    通常は、ルーバー面積を最大化し、後方の排出口はできるだけ小さく保つことが好まれる。

    金曜のフェルスタッペン車はまさにその仕様だった。一方、チームメイトの角田裕毅は、ルーバー最大仕様に加え、より大きな後方排出口も備えて走行していた。フェルスタッペンは土曜からこの仕様に変更されており、金曜の彼のマシンが冷却不足だったと判断されたことを示している。

    マシンが冷却不足になると、信頼性を脅かすだけでなく、パワーユニットを全開で稼働できる時間も制限される。そのため、冷却レベルは常に、シャシー側とエンジン側のパフォーマンスエンジニアが共同で慎重に判断する敏感な要素となる。

    レッドブルの冷却選択は、マクラーレンとの興味深い比較にもなった。マクラーレンはボディワークルーバーをあまり使わず、代わりにサイズ調整可能な「冷却イヤー」を排出口として備えている。

    特にモナコで顕著だったが、このMCL39の冷却パッケージは非常に効率的で、同じメルセデス製パワーユニットを搭載する他車よりも、排出口を明らかに小さくできている。

    ブダペストでも、マクラーレンは週末を通じてわずかに拡大した冷却イヤーと、エンジンカバー下の比較的小さな排出口のみで走行した。

    マクラーレンの冷却技術の詳細は依然として秘密だが、その効率性はブレーキ冷却にも及んでいるようだ。全ての要素が調和して機能していることが、このマシンの優れた空力性能を説明する一因となっている。

  • 角田裕毅 レッドブルF1担当エンジニアとの無線が噛み合わず苦戦

    角田裕毅 レッドブルF1担当エンジニアとの無線が噛み合わず苦戦

    角田裕毅(レッドブル・レーシング)は、パルクフェルメ規定違反によるピットレーンスタートとなったハンガリーGPで厳しいレースを強いられた。

    そして決勝中、担当エンジニアのリチャード・ウッドとの無線では、タイヤ状況やピットタイミングを巡って意思疎通が噛み合わない場面が目立ち、戦略面でも歯車が狂った印象が残った。レース後、角田裕毅自身もこのコミュニケーションの問題について言及している。

    序盤(1〜10周)

    角田はミディアムタイヤでピットレーンからスタート。天候は曇りで、遠方には雨雲も確認され、終盤の天候変化が懸念された。1周目の終わりには19位のガスリーの真後ろにつける。7周目、全車がDRSトレイン状態でオーバーテイク困難な展開となる。ヒュルケンベルグがフライングで5秒ペナルティを受け、ピットイン後に角田の15秒後方で復帰。

    中盤(11〜40周)

    11周目
    チーム:「タイヤマネージメントはやめてプッシュして」
    角田:「いや、そもそももうタイヤ残ってないんだけど」

    16周目
    チーム:「そろそろピットに備えて」
    角田:「タイヤはまだ大丈夫」

    20周目
    角田:「ピット入るの?」
    (返答なく周回を続ける)

    21周目
    チーム:「ボックス、ボックス」
    フェルスタッペンを先に行かせた後、ソフトに履き替えてコース復帰。

    角田裕毅 レッドブル F1 レッドブル・レーシング

    26周目
    角田:「ペースはどう?」
    チーム:「…うん、まあ…」

    37周目
    角田:「コラピントの前に出るために今入ったほうがいい」
    チーム:「OK、次の周に入ろう」
    翌周ピットインし、ギリギリで前に出ることに成功。

    終盤(41周〜フィニッシュ)

    50周目
    角田:「ヒュルケンベルグ、コース外から抜いてきたよ」
    チーム:「確認中」
    調査の結果、お咎めなし。

    55周目
    角田:「左フロントウィング、壊れてるかもしれない」

    60周目
    チーム:「後ろからコラピントが来てる。守れ!」

    角田裕毅は応戦するも17位でフィニッシュ。無線ではその後何も語らず、マシンを降りて左フロントウィングを確認し、パドックへ去った。

    レース後インタビュー

    角田裕毅はマシンのダメージやペース不足に触れるとともに、レース中のやり取りについても言及。「レース中のやり取りがかみ合っていなかった部分があった。必要な情報がうまく届かなかったり、こちらの意図が伝わらなかった場面があった」と振り返った。

  • F1パワーランキング:2025年F1第14戦ハンガリーGP

    F1パワーランキング:2025年F1第14戦ハンガリーGP

    2025年F1ハンガリーGPは、夏休み前最後の一戦としてハンガロリンクで開催され、タイトルを争うランド・ノリスとオスカー・ピアストリが再び激突した。

    グリッド全体では他にも多くのトップレベルのパフォーマンスが見られたが、今大会のパワーランキングはどのような結果になったのか。最新のスコアとシーズン通算ランキングを以下でチェックしよう。

    F1パワーランキングは、F1.comの5人の審査員がグランプリ終了後に各ドライバーを評価し、週末を通してのパフォーマンスに応じて10点満点で採点。専門家のスコアを平均してレーススコアを作成し、そのスコアは総合パワーランキングのリーダーボードでシーズンを通して集計される。

    1.ガブリエル・ボルトレト(ザウバーF1チーム)
    ボルトレトはF1キャリア最高位となる6位を獲得し、ファン投票によるドライバー・オブ・ザ・デイにも選出された。ルーキーのボルトレトは、この結果に大喜びだった。師匠であるアロンソや4度のワールドチャンピオンであるフェルスタッペンとバトルを繰り広げ、予選では後者を上回った。ここ4戦で3度目の入賞となり、キック・ザウバーも6戦連続でポイント獲得。審査員たちもその走りに大きな印象を受けた。

    2.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)
    アロンソは44歳にして、983年にF1初優勝を飾ったハンガロリンクで健在ぶりを示した。腰の不調でフリー走行1回目を欠場したものの、その後はアストンマーティンのマシンに乗り込み、予選では見事5番手を獲得。決勝では一時ノリスをかわして首位に立った後、ワンストップ戦略で走り切り、今季最高位となる5位を手にした。

    3.ランド・ノリス(マクラーレン)
    ノリスは今季6勝目を挙げ、ポイント差を9に縮めて夏休みに突入した。予選3番手からのスタートで出遅れ、ワンストップ戦略を余儀なくされたが、5位から追い上げて首位に立ち、終盤は摩耗したタイヤとピアストリからの猛追を耐えきって貴重な勝利を手にした。

    4.リアム・ローソン(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)
    ローソンは地味ながらも再びポイントを獲得し、安定感を見せた。ベルギーGPに続き静かに仕事をこなし、8位入賞。ここ7戦で4度目のポイント獲得となった。予選ではチームメイトのハジャーを上回る9番手からスタートし、ワンストップ戦略で最終盤にフェルスタッペンを逆転した。

    5.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
    ピアストリは2位でゴールし、選手権首位をわずかに維持した。レクレールへのアンダーカット狙いで早めのピットストップを行ったが失敗し、2ストップ戦略に縛られる展開に。それでも2度目のピットストップ後は猛追を見せ、レクレールをかわし、残り12秒あったノリスとの差を急速に縮めた。最終盤にはターン1でオーバーテイクを試みたが成功せず、2位でフィニッシュ。夏休み前の時点で僅差の首位を守った。

    6.シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)
    レクレールは驚きのポールポジションを獲得した。支配的なマクラーレン勢を打ち破る圧巻の一周を披露。決勝でもスタートから首位を守り続けたが、終盤にシャシーの不調が疑われるペース低下に見舞われ、ピアストリとラッセルに抜かれた。さらにラッセルとのバトル中にブレーキング時の進路変更で5秒ペナルティも受けた。

    7.ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    ラッセルは冷静かつ攻撃的な走りで表彰台を獲得した。スタートでノリスをかわし、序盤は首位争いに絡む走りを披露。その後は2ストップ戦略で4位を走行していたが、レクレールのトラブルを突いてターン1で鋭く仕掛け、今季6度目の表彰台を獲得した。

    8.ランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)
    ストロールは今季最高のチーム成績に貢献した。予選ではチームメイトのアロンソと並び3列目を確保し、ポールまで0.2秒差の好走。決勝ではスタートでボルトレトに抜かれ、そのまま順位を戻せず8位でフィニッシュしたが、アストンマーティンにとって今季最高のチーム結果に貢献した。

    9.アイザック・ハジャー(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)
    ハジャーはポイント圏目前でレースを終えた。予選ではQ3進出を果たしたが、チームメイトのローソンには及ばず。決勝では終盤アントネッリを抜けず、惜しくもポイント圏外でフィニッシュ。これで5戦連続で日曜のポイント獲得を逃したが、審査員からは一定の評価を受けた。

    10.マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
    フェルスタッペンは今季最悪の予選順位に終わった。2026年もレッドブル残留を発表した週末だったが、全体的にグリップ不足に苦しみ、予選7番手。決勝は2ストップ戦略で9位に終わった。結果こそ振るわなかったが、常に可能な限りの結果を引き出そうとする姿勢は変わらなかった。

    惜しくもランク外
    ハースのベアマンとウィリアムズのアルボン、サインツがトップ10入りを逃した。ベアマンはQ3進出目前だったがマシントラブルでリタイア。アルボンはQ1敗退で15位、サインツは14位と、ウィリアムズにとって厳しい週末となった。

    2025年のF1世界選手権 ハンガリーグランプリ

  • アストンマーティン、F1ハンガリーGPで躍進 元戦略責任者が要因分析

    アストンマーティン、F1ハンガリーGPで躍進 元戦略責任者が要因分析

    アストンマーティンが先週末のF1ハンガリーGPで見せたパフォーマンスの急上昇が、F1パドックの注目を集めている。チーム・シルバーストンの元戦略責任者であるバーニー・コリンズは、その理由を分析した。

    1週間前のベルギーGPでは低調だったアストンマーティンだが、ブダペストでは予選5番手と6番手を獲得。決勝でもフェルナンド・アロンソが5位、ランス・ストロールが7位に入り、今季最高の週末を記録した。

    これにより、アストンマーティンはコンストラクターズ選手権でも6位に浮上し、夏休みに入った。

    単一パーツの交換がもたらした影響
    Sky Sports F1のポッドキャストでコリンズは、AMR25の設計変更が躍進の引き金になった可能性を指摘した。

    「パドックで話題になっているのは、新しいフロントウイングと旧型フロアの組み合わせで走っているということ。もちろんサーキット特性もあるけど、これまでハイダウンフォースのサーキットでここまでのパフォーマンスは出せていなかった中で、この急激な変化は驚きよ」

    コリンズは、空力パーツ間の複雑な相互作用により、1つの部品変更が全体に波及する可能性を説明した。

    「旧型フロントウイングでは、そこから流れる空気がフロアの性能を十分に引き出せていなかったのかもしれない。新しいフロントウイングによって空気の流れが改善されれば、フロア、ディフューザー、リアウイングまですべてがうまく機能するようになる」

    「特にフロントウイングやフロントブレーキダクトのように、その後方の空力全体に影響を与える部品を正しく機能させれば、短期間でパフォーマンスが向上することもある。これがさまざまなダウンフォースレベルのサーキットで再現されるかは今後確認が必要だけど、アストンマーティンにとっては非常にポジティブな兆しね」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム元アストンマーティン戦略責任者のバーニー・コリンズ

    アロンソ「うれしい驚きだが理由が不明」
    今回の急上昇にファンやチームは沸いたが、2度のワールドチャンピオンであるアロンソは、その速さがなぜ出たのか分からないことに懸念を示した。

    「驚きだね。本当にうれしい驚きだ。良いのは、僕らが競争力を持ち、速かったということ。心配なのは、その理由が分からないことだ」

    「今回のテーマは新しいフロントウイングだった。もしこれでこれだけの性能向上が得られたなら非常に良いニュースだけど、現時点ではその理由を理解する必要がある」

    F1は夏休みに入り、アストンマーティンはこの躍進がハンガロリンク特有の条件による一時的なものか、それとも長期的な上昇の始まりなのかを見極めることになる。

  • フェラーリ F1ハンガリーGPのルクレール問題の陰謀説を否定も原因不明

    フェラーリ F1ハンガリーGPのルクレール問題の陰謀説を否定も原因不明

    フェラーリは、ハンガリーGPでシャルル・ルクレールの勝利を逃す原因となった「奇妙な」問題について、いまだ完全には把握できていない。

    ルクレールは第1・第2スティントでレースを支配していたが、最後のピットストップ後にペースが劇的に低下し、終盤にはオスカー・ピアストリとジョージ・ラッセルに抜かれた。

    ポールポジションからスタートしたモナコ出身のルクレールは、4位でフィニッシュした後、チームラジオで繰り返し不満を訴え、マシンを「ドライブ不可能」と表現するほどにフラストレーションを募らせていた。

    フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、ルクレールが勝利を逃す原因となった問題について、現時点では説明がつかないことを認めた。

    「状況はかなり奇妙だった」とバスールはCrash.netを含むメディアに語った。

    「レースの最初の40周は我々がコントロールしていた。第1スティントは支配していたし、第2スティントはやや難しくなったが、それでもまだ対応可能な範囲だった。だが最後のスティントは壊滅的で、非常にドライブが難しかった」

    「バランスがまったくなかった。正直に言って、現時点では何が起きたのか正確には分かっていない。シャシー側に何か壊れたのか、その他の何かがあるのかを調査しなければならない。ある時点では、もう完走すらできないのではと思った」

    「最初の2スティントはかなりうまくいっていたが、最後のスティントでは完全にペースを失い、週末を通してのペースもすべて失われた。非常に厳しかった」

    スクーデリア・フェラーリ

    フェラーリ、根拠のない憶測を否定
    ルクレールがピアストリと争ったシーンなどから、彼のマシンに何が起きたのかを巡ってさまざまな憶測が飛び交った。

    ルクレール自身はレース中に「何か問題を管理していた」と示唆していたが、バスールはその発言が最後のスティントの問題とは無関係であると強調した。

    「それは完全にエナジーマネジメント(エネルギー管理)の話とは別のことだった」とバスールは語った。

    また、最終スティントのピットストップ時に行われたフロントウイングの調整が、挙動の悪化を引き起こしたのではないかという推測についても否定した。

    「最終スティントの1周目で、彼は1秒ほど失った」とバスール。

    「彼は我々に、フロントウイングの調整を間違えたのではないかと聞いてきたが、そうではない。完全にペースを失ったんだ」

    「もしかするとスノーボール効果(悪循環)のようなものかもしれないが、38周目から43周目の間で少なくとも0.8秒は失っていたと思う」

    また、問題がパワーユニットに起因するという見方も否定した。

    「彼が“シャシー”と言ったのは、それがパワーユニットとは関係ないからだ。我々も現時点では何が起きたのか正確には分かっていない」とバスールは述べた。

    レース後、ラッセルはフェラーリがルクレールのプランク摩耗を回避するため、最終スティントでタイヤ空気圧を上げざるを得なかったのではないかという疑念を示した。

    フェラーリは今季、中国GPでルイス・ハミルトンが失格処分を受けた事例を含め、プランク摩耗の問題に直面してきたが、今回の件についてバスールは即座に反論した。

    「これまでペースを失っていたときでも、それはせいぜい2〜3テンポ(=0.2〜0.3秒)のことだった。だが今回は2秒失った。まったくの別問題だ」と彼は応じた。

  • 角田裕毅 F1評論家が苦言「フロントウイングを言い訳にするのは甘い」

    角田裕毅 F1評論家が苦言「フロントウイングを言い訳にするのは甘い」

    角田裕毅の苦戦が2025年F1第14戦ハンガリーGPでさらに深刻化した。レッドブルに昇格して以来、予選Q1敗退、ピットレーンスタート、そして決勝では17位フィニッシュという三重苦に見舞われ、7戦連続ノーポイントというチーム史上初の記録を更新してしまった。

    レース後、角田裕毅は中盤でフロントウイングのガーニーフラップが脱落し、空力バランスが崩れたことを原因に挙げ「レースは事実上、あの瞬間で終わっていた」と説明したが、元F1ドライバーで現在は解説者のマルク・スレールはこの発言を「言い訳」に過ぎないと断じた。

    マルク・スレール「フロントウイングのせいにするのは甘い」
    「フロントウイングの欠陥だけでは言い訳にならない」──マルク・スレールは『Motorsport-Total』の取材にそう語り、角田裕毅の主張を一刀両断した。

    「仮にガーニーフラップが脱落していたとしても、それがレースに決定的な影響を与えたとは言えない。問題はそれ以前から明らかだった。角田裕毅はレース序盤からまったく速さを示しておらず、後方集団に埋もれていた。仮にマシンが完璧でも、ポイント争いに絡める内容ではなかったはずだ」

    事実、角田裕毅は決勝をピットレーンからスタートし、すぐに隊列の最後尾に追いついたものの、アルピーヌ勢(ピエール・ガスリーとフランコ・コラピント)の背後で長時間走行し、抜け出すことができなかった。

    さらに、サウバーのニコ・ヒュルケンベルグは5周目にピットインし、その時点では角田裕毅から15秒以上後方だったが、角田裕毅の最初のピットストップ(20周目)の直前には前に出ていた。その後、角田裕毅はソフトタイヤで2スティント目に臨んだが、巻き返しの兆しは見られず、37周目にハードタイヤに交換しても順位は動かなかった。

    数字が物語る不振の現実 7戦ノーポイント、4度のQ1敗退
    角田裕毅の低迷は、成績の数字にも如実に表れている。今季5月のエミリア・ロマーニャGP(イモラ)で10位入賞を果たして以来、モナコとハンガリーで17位、オーストリアで16位、イギリスで15位と、下降傾向が続いている。特にオーストリアとイギリスでは、レッドブルのF1参戦20年の歴史で初めて、ドライバーが2戦連続で最下位フィニッシュという不名誉な記録を樹立した。

    また、角田裕毅は今季ここまでQ1敗退が4回。すべてレッドブルに昇格してからの記録だ。序盤5戦ではバーレーンGPでの9位を含め7ポイントを獲得していたが、それ以降の7戦では一度もポイントを得られず、獲得ポイントとノーポイント完走の数が並んでしまった。

    角田裕毅 F12025年F1ハンガリーGPで走行するレッドブルの角田裕毅

    レッドブルのコンストラクターズランキングも厳しい状況だ。現在マクラーレンが559ポイントで首位を独走し、フェラーリ(260pt)、メルセデス(236pt)に続いて、レッドブルは194ポイントの4位にとどまっている。

    角田裕毅の将来は「すべてがオープン」 夏休み明けに判断へ
    この苦境のなか、レッドブルのモータースポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコはハンガリーGP後に、角田裕毅の来季以降の去就について夏の間に検討し、判断すると明言した。

    「すべては未定だ」──マルコはそう語り、現在の契約が2025年限りであることを改めて認めた。

    角田裕毅にとって、フロントウイングの損傷は確かに不運ではあったが、それ以前の走りにも説得力を欠いていたのは否めない。マルク・スレールの批判は厳しいが、内容において的を射ている。夏休み明けの決断に向けて、角田裕毅には“言い訳無用”の反撃が求められている。

  • F1ハンガリーGP 勝者と敗者:ノリスが逆転勝利でタイトル争いを加速

    F1ハンガリーGP 勝者と敗者:ノリスが逆転勝利でタイトル争いを加速

    ランド・ノリスは、ハンガリーグランプリでの1周目に5番手まで順位を落としながらも、粘り強い勝利を挙げ、ドライバーズ選手権の争いを盛り上げた。

    しかし、夏休みに絶好調の状態で入った一方で、ライバルの中には安らかに休めない者もいる。F1.comのローレンス・バレットがブダペストでの勝者と敗者を選出した。

    勝者:ランド・ノリス
    ランド・ノリスの、ハンガロリンクで過去4戦中3勝目を挙げるチャンスは、第1コーナーまでの一連の動きで、好スタートから行き場を失ってP3から5番手へと後退した時点で、厳しいように見えた。

    その順位低下がきっかけとなり、彼は違うことを試みる決断を下し、大胆な1ストップ戦略に切り替えた。これによって、2ストップを選んだライバル勢を出し抜いて首位に立ち、マクラーレンのチームメイト、オスカー・ピアストリからの激しいプレッシャーの中で見事なタイヤマネジメントと防御を見せ、鮮やかな勝利を収めた。

    ハンガリーGP F1 ハンガリーグランプリ / ランド・ノリスランド・ノリスはハンガリーで1ストップ戦略を成功させて優勝を飾った

    これは今季5勝目であり、直近7戦で6回目のトップ2フィニッシュとなった。これで選手権ではピアストリとの差がわずか9ポイントとなり、ますます一騎打ちの様相を呈している。

    敗者:オスカー・ピアストリ
    レース序盤、オーストラリア人のピアストリは2番手を快適に走行し、メルセデスとアストンマーティンを間に挟んで、タイトル争いのライバルであるノリスを抑えていた。

    しかし、レースが進むにつれて、ピレリですら「野心的」と評したノリスの戦略こそが正解であることが明らかになった。ピアストリは勝つためには全力を尽くす必要があると悟った。

    最終盤には、ペースの落ちたルクレールをすぐに追い抜き、ノリスを猛追してプレッシャーをかけた。ターン1で果敢に仕掛けたものの、最終的には抜くことはできなかった。

    それでも、ピアストリはシーズン前半戦を好調に終え、夏休みを前にドライバーズ選手権首位を維持している。

    勝者:マクラーレン
    マクラーレンがドライバー同士のレースを許可したことで、日曜日はモータースポーツそのものが勝者となった。ピアストリによるノリス追撃は、劇的なフィニッシュを演出した。

    これはチームにとって200回目のグランプリ勝利(この記録を達成しているのはフェラーリのみ)であり、史上2度目となる4戦連続1-2フィニッシュも達成した。

    今季14戦中11勝を挙げ、チーム選手権では299ポイント差で首位を独走しており、王座防衛へ向けて突き進んでいる。

    ハンガリーGP F1 ハンガリーグランプリ / マクラーレンマクラーレンはノリスの優勝でF1通算200勝を達成した

    敗者:シャルル・ルクレール
    シャルル・ルクレールは、キャリア最高の予選ラップのひとつで衝撃的なポールポジションを獲得し、驚きを隠せなかった。

    これはフェラーリにとって今季初のポールであり、ルクレールがハンガロリンクでフロントロウからスタートするのも初めてだった。

    彼はレースをコントロールしていたが、シャシーの不具合でペースが大幅に落ち、最終的に表彰台を守れず4位でフィニッシュした。

    これでルクレールは、直近16回のポールスタートで勝ったのは2024年モナコの1回のみとなり、また、ハンガリーでは過去5回連続でポールシッターが勝利を逃している。

    ハンガリーGP F1 ハンガリーグランプリ / シャルル・ルクレールポールシッターのシャルル・ルクレールはシャシーの問題でペースを落とし4位に終わった

    勝者:メルセデス
    スパでの惨敗を受け、メルセデスは新型リアサスペンションを外し、ハンガリーでは従来仕様に戻した。そしてその判断は功を奏した。

    ジョージ・ラッセルは今季6度目となる素晴らしい表彰台を獲得し、キミ・アントネッリはヨーロッパで初のポイント(10位)を獲得した。

    チーム選手権では3位を維持しながらも、フェラーリとの差を24ポイントに縮めた。

    敗者:ルイス・ハミルトン
    7度のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンは、予選Q2敗退後、自分自身を「役立たず」と評するほど厳しい自己評価を下した。チームメイトがポールを獲得する一方で、彼は予選で敗退した。

    決勝でも順位を上げることができず、12位でフィニッシュ。これは彼にとってハンガロリンクでの過去15年で最悪の結果となった。

    直前3戦で調子を上げていただけに、この結果は特に痛手だった。フェラーリとしても、もっとやれたのではという思いが残る週末だった。

    勝者:アストンマーティン
    前戦ベルギーでの苦戦から一転、アストンマーティンはハンガリーで復活し、金曜プラクティスの最初から速さを見せた。

    フェルナンド・アロンソは、今季チーム最高タイとなる予選5位(ベルギーでは最下位だった)を獲得し、その後の決勝でも見事な走りで同じ順位を守り切った。

    5位はチームにとって今季最高リザルトであり、アロンソにとっては過去14回のうち13回目のハンガリーでの入賞だった。ランス・ストロールも7位に入り、合計16ポイントを獲得してコンストラクターズランキングで6位に浮上した。

    唯一の難点は、なぜベルギーからここまで改善したのか、チームもドライバーも理由がわからないことだ。

    ハンガリーGP F1 ハンガリーグランプリ / フェルナンド・アロンソフェルナンド・アロンソとアストンマーティンはハンガリーで記憶に残る週末を過ごした

    敗者:レッドブル
    この週末、レッドブルは厳しい戦いを強いられた。マックス・フェルスタッペンと角田裕毅は、マシン後方のスライドを抑えることができず、ポールや表彰台争いには絡めなかった。

    フェルスタッペンは今季ワーストの予選8位、角田裕毅はQ1で0.688秒差にもかかわらず4回目のQ1敗退(直近8戦で)を喫した。

    決勝でもフェルスタッペンは9位にとどまり、優勝者から72秒遅れでフィニッシュ。これで4戦連続で表彰台を逃した。

    とはいえ、角田裕毅が予選・決勝ともにフェルスタッペンとの差を大きく縮めたことは、チームにとっての唯一の明るい材料だった。

    ハンガリーGP F1 ハンガリーグランプリ / レッドブル・レーシングフェルスタッペンとレッドブルはハンガリーで厳しい週末を過ごした

    勝者:ガブリエル・ボルトレト
    ガブリエル・ボルトレトは、今季チーム最高の予選7位を獲得し、決勝でもアストンマーティン勢の間に割って入る形で6位フィニッシュを果たした。

    これは直近4戦で3回目のポイント獲得であり、チームの連続入賞記録を6戦に伸ばした。

    敗者:アルピーヌ
    アルピーヌは、2戦連続ポイント獲得から一転、ハンガリーではピエール・ガスリーとフランコ・コラピントがともに苦戦した。

    コラピントは、チームメイトになってから2度目となるガスリーを予選で上回ったが、決勝ではマシンの遅さに苦しみ、17位と18位で完走した。これでチームは依然としてランキング最下位にとどまっている。ガスリーは、2026年に向けて全力を注ぎ込む必要があると語った。

    勝者:リアム・ローソン
    リアム・ローソンは今季3度目となるチームメイトのアイザック・ハジャーを予選で上回り、トップ10スタートを果たした。

    レースでは安定したペースを維持し、最終的に8位でフィニッシュ。直近4戦で3回目のポイント獲得となった。

    彼はレッドブル系チーム勢の中で最上位となり、選手権ではハジャーとの差をわずか2ポイントに縮めた。

  • フェラーリの車高問題がルクレールのF1ハンガリーGP優勝を奪った理由

    フェラーリの車高問題がルクレールのF1ハンガリーGP優勝を奪った理由

    予想外の好結果となった予選でポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールとフェラーリだったが、ハンガリーでは期待したようなレースができず、表彰台を逃して4位に終わった。

    今季初のポールポジションだけに、フェラーリにはもっと良い結果が期待されていた。何がうまくいかなかったのか、そして日曜に何を変えることができたのか。その答えはテレメトリーデータが示している。

    またしても逃したチャンス
    マクラーレンが支配する今季、勝利はもちろん、表彰台に上がるチャンスも極めて貴重だ。今やパパイヤカラーのチームにとって1-2フィニッシュ以外は物足りない結果とされ、他チームは残り物を争う状況になっている。

    ルクレールは土曜、Q3で完璧なラップを決め、トップ10の中で唯一タイムを更新して自身とチームに今季初のポールポジションをもたらした。モナコと同様に、ハンガリーはフロントロウからのスタートが大きなアドバンテージとなるサーキットだ。

    ハンガロリンクはオーバーテイクが notoriously difficult(極めて難しい)ことで知られる。短いラップと常に続くトラフィックも相まって、戦略が極めて重要になる。だが、フェラーリを失望させたのは戦略だったのか。

    トップ10の他車と同様、ルクレールはミディアムタイヤでレースをスタートした。FP2のデータやこれまでのレースから予想された最も一般的な戦略は、ミディアムとハードを使った2ストップだった。

    ルクレールはレース序盤を支配
    重要だったのは、ルクレールがターン1で首位を守り、最初のピットストップまでトップを維持したことだ。

    ランド・ノリスはスタートで出遅れ、最初の20周をジョージ・ラッセルの後ろで過ごしたため、勝利候補はルクレールとオスカー・ピアストリに絞られた。

    19周目、ピアストリがルクレールをアンダーカットするためピットイン。モナコ出身のルクレールは翌周に即座に反応し、差は縮まったものの、ピアストリの前でコースに復帰。ルクレールは先頭を維持し、クリーンエアの中でレースをコントロールし続けた。

    一方、ノリスは1ストップ戦略を選択。ステイアウトによって首位に立った。この時点で、20周目前後にピットインしたルクレールやピアストリが1ストップに切り替えるのは既に遅かった。残り50周では、2回目のストップは避けられない状況だった。

    レース中盤もルクレールはクリーンエアを走り、ペースを支配。ノリスとの差を詰めると、ノリスがピットインし、再びルクレールは単独走行に。

    これにより、ルクレールはハードタイヤで非常に安定した2スティント目を走り切った。

    平均ペースはややピアストリに劣ったが、ピアストリが脅威となることはなく、むしろ脅威となったのは1ストップ戦略のノリスだった。ノリスは好ペースで走り、着実に勝利争いに絡んできた。

    スクーデリア・フェラーリ F1 ハンガリーグランプリ シャルル・ルクレール

    勝利目前からの崩壊
    それでも、ルクレールは依然として勝利に最も近い位置にいた。ピアストリとエンジニアの無線でも、フェラーリの16号車が最大の警戒対象であることが明らかだった。そして41周目、ルクレールが2回目のピットインを行った瞬間、全てが崩れ始めた。

    レース後に判明したのは、フェラーリのエンジニアがSF-25の合法性、特にプランク摩耗を非常に懸念していたことだ。これは今季初め、中国GPでルイス・ハミルトンが過度なプランク摩耗で失格になったケースを踏まえたものだった。

    このリスクを減らすため、フェラーリは最終スティントでタイヤ圧を上げる判断を下した。これによりプランクが路面と接触する頻度が減り、失格の可能性も低下する。だが、その結果は以下のグラフが示す通りだった。

    新しいハードタイヤで数周は好調だったものの、ルクレールのペースは急落。テレメトリーでは、3スティント目にピアストリより1周あたり1.4秒も遅かったことが示されている。

    ピアストリに簡単にオーバーテイクされ、さらにラッセルにも急速に追いつかれてパスされるのは時間の問題だった。ルクレールは全く抵抗できなかった。

    パワーユニットも制限、そして疑問
    さらにレース後の情報では、フェラーリはスタートからパワーユニットモードを落として走っていたことも明らかになった。これはトップスピードを抑え、特にターン1進入前のブレーキングでプランク摩耗を抑えるためだった。

    こうした極端なセットアップ変更が本当に必要だったのかは分からない。しかし確かなのは、この判断でルクレールのレースは損なわれたということだ。そして事前準備やレース前の明確な意思疎通があれば避けられた可能性が高い。

    ドライバーは運転スタイルを適応させることができる。ブレーキングを早めたり、強いブレーキングゾーンで早めにアクセルを離すことで摩耗を減らせたはずだ。だが無線からは、チームがルクレールにその自由を与えるほど信頼していなかったことが伺える。

    結局、フェラーリにとっては散々なレースとなった。ルクレールは4位に沈み、ハミルトンも順位を一つも上げられずノーポイントに終わった。

    何より重要なのは、今季繰り返されているコミュニケーション不全が今回も露呈したことだ。シーズン後半戦で巻き返すには、まずこの問題を解決することがフェラーリの最優先事項になるだろう。