カテゴリー: フォード F1

  • レッドブルF1 自社製PUは想像以上 アイザック・ハジャー「疑念はすぐ消えた」

    レッドブルF1 自社製PUは想像以上 アイザック・ハジャー「疑念はすぐ消えた」

    レッドブル・レーシングが2026年F1シーズンから投入した自社製パワーユニット「レッドブル・パワートレインズ(RBPT)」は、プレシーズンテストで大きな注目を集めた。

    フォードと共同開発されたこのパワーユニットは、開発段階では懐疑的な見方も多かったが、バーレーンテストではパドック内でも評価を高める結果となった。レッドブルに加入したアイザック・ハジャーも、そのパフォーマンスは予想を大きく上回っていたと明かしている。

    RBPTエンジンは「想像以上」だった
    レッドブルは2026年F1レギュレーションから、レッドブル・パワートレインズ部門を通じて自社製パワーユニットの開発を開始した。これはアメリカの自動車メーカーであるフォードとの協力によるプロジェクトであり、F1においてレッドブルが初めて自らエンジンを製造する挑戦となる。

    しかし2025年シーズン中には、開発が順調ではないという噂も広がっていた。2025年7月には当時のチーム代表クリスチャン・ホーナーが「RBPTが2026年により優れたパワーユニットを作れば既存メーカーにとって恥ずかしいことになる」と語り話題となった。

    その後チーム代表に就任したローラン・メキースも、レッドブルがメルセデスやフェラーリのような既存メーカーとすぐに肩を並べることを期待するのは「ばかげている」と認めていた。

    それでもバーレーンでのプレシーズンテストでは、このRBPTエンジンが大きなサプライズのひとつとなり、パドック内でも称賛の声が上がった。

    テストで一気に消えた疑念
    メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、サクヒールで行われた最初のプレシーズンテストの際、レッドブルはストレートだけで1周あたり1秒速いと主張した。

    またウィリアムズのカルロス・サインツJr.も、テスト序盤の段階でレッドブル・パワートレインズは「誰よりも明確に一歩先を行っていた」と語っている。

    2025年にレーシングブルズで印象的なルーキーシーズンを送ったアイザック・ハジャーは、今季からレッドブル・レーシングに昇格。昨年の開発段階ではRBPTエンジンに懸念を抱いていたものの、現在はその印象が大きく変わったと語る。

    「僕が想像していたよりもはるかに良かった」

    「昨年シーズン終盤の印象はあまり良くなかった。噂もそうだし、チーム内でも完全に満足している感じではなかった」

    「でも1月のバルセロナのシェイクダウン初日で、いきなり110周走ったんだ。だから本当にいい意味で驚いた」

    「プロジェクト開始からまだ3年のチームとしては、とても印象的だ」

    レッドブル・レーシング アイザック・ハジャー

    信頼性への不安も「すぐに解消」
    ハジャーは2026年F1マシンの信頼性について懸念を示していたが、テストを通じてレッドブルの耐久性に対する疑念はすぐに消えたと明かしている。

    バーレーンテスト6日間の総周回数では、レッドブルは672周で3番目に少ない周回数となった。これはキャデラックの568周、アストンマーティンの334周を上回るものの、トップのマクラーレン(817周)には及ばなかった。

    それでもハジャーは、テストを通じて自分の不安が大きく和らいだと語る。

    「正直に言うと、バルセロナでは本当にたくさん疑問があった。でもそれはすぐに消えた」

    「もちろんシーズン中に問題が出ることはあると思う。それは普通のことだ」

    「でも、僕が思っていたよりずっと少ないはずだ」

  • レッドブルF1 フォードPU好発進もメキース「我々はベンチマークではない」

    レッドブルF1 フォードPU好発進もメキース「我々はベンチマークではない」

    レッドブル・レーシングは2026年F1プレシーズンテストで予想外の速さを示し、パドックを驚かせた。しかし、チーム代表ローラン・メキースは開幕を前に、過度な期待を戒めている。

    新生パワーユニットの信頼性と安定した走行が注目を集める一方で、メキースは現時点でメルセデスやフェラーリに対して後れを取っているとの認識を示し、冷静な立場を強調した。

    バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた6日間のテスト序盤、レッドブルは力強いパフォーマンスを披露。完全新規プロジェクトとなるフォードとのパワーユニットが高い信頼性と一定の競争力を示したことで、他チームの警戒を誘った。

    しかし、テストが進むにつれ勢力図は徐々に明らかになり、メルセデスとフェラーリがわずかに抜け出し、レッドブルとマクラーレンが追う構図が示唆された。

    メキースは次のように語った。

    「ピットレーンでは注目を他チームに向けようとする駆け引きがある。我々のアプローチはノイズを抑え、自分たちの作業に集中することだ」

    「我々には膨大な作業が残っている。残念ながら、我々はベンチマークではない。現時点ではトップグループの後ろにいるという強い確信がある」

    レッドブル・レーシング フォード

    一方で、フォードとの新たなパートナーシップがライバルを驚かせたことも認めている。

    「それでも、公平に言えば、完全に新しいプロジェクトであのレベルの一貫性を持って走れたことに、ピットレーンの多くが驚いたのは事実だろう」

    「ミルトンキーンズのスタッフは誇りに思うべきだ」

    「今後の競争は非常に激しくなる。我々が目指すレベルに到達するには多くの時間が必要になる」

    フォードとの新章と現実的な立ち位置
    レッドブルは2026年からフォードと組み、完全自社開発体制で新パワーユニット時代に突入した。初期テストで示した安定性は評価に値するが、メキースの発言は、即座にタイトル争いの中心に立てる状況ではないことを示唆している。

    開幕戦オーストラリアGPを前に、レッドブルは“サプライズの存在”から“真の挑戦者”へと進化できるのか。フォードとの新章が本格的な真価を問われるのは、まさにこれからだ。

  • レッドブルF1 2026年F1内製PU開発を加速 Hexagon計測技術を採用

    レッドブルF1 2026年F1内製PU開発を加速 Hexagon計測技術を採用

    2026年F1新レギュレーション対応に向け、レッドブルF1とそのパワートレイン部門であるレッドブル・フォード・パワートレインズは、Hexagonの先進計測技術を採用したことを発表した。史上最大級のテクニカルルール刷新を前に、高精度計測が新世代1.6L V6ターボハイブリッドパワーユニット開発を支える。

    今回の取り組みでは、設計から製造、検証、トラックサイドでの改良に至るまで、計測技術が中核を担う。2026年型マシン「RB22」には、レッドブル初の内製パワーユニットが搭載される予定だ。

    2026年F1新レギュレーション対応と内製PUプロジェクト
    2026年F1では、車体構造、空力、エネルギー回生システム、パワーユニット仕様が大幅に刷新される。運動性能、競争力、安全性、サステナビリティ向上を目的に、すべてのマシンが再設計される。

    こうした変革に対応するため、レッドブル・フォード・パワートレインズは2021年、ミルトン・キーンズのレッドブル・テクノロジー・キャンパスでF1パワートレインをゼロから開発するプロジェクトを立ち上げた。

    2023年にはフォードが技術パートナーとして参画し、車体開発を担うレッドブルF1と連携しながら、新たな1.6L V6ターボハイブリッドパワーユニットの開発が進められている。

    精密製造と品質保証を支える計測基盤
    レッドブル・フォード・パワートレインズは、Hexagonの超高精度座標測定機「Leitz PMM-C」、次世代スキャナー「Leica Absolute Scanner AS1」、3Dレーザースキャナー、計測ソフトウェアを活用し、製造・試験・組立工程において極めて高い精度での品質保証を実現している。

    パワートレインの製造・試験・組立に不可欠な精度確保、数千点におよぶパワーユニット部品の反復測定、1シーズン30,000件規模の設計変更に対応するデジタル計測基盤の構築、車体およびエネルギー回生システム部品の外観検査への3Dレーザースキャン活用など、開発全工程を支えている。

    Hexagonは車体とパワートレイン双方の品質保証を担うテクニカルパートナーとして、開発から実戦投入までを一貫して支援している。

    レッドブル・レーシング

    テクニカルディレクターの見解
    「Hexagonと追求する“極限の精度”へのこだわりは、このプロジェクトの成功に不可欠でした」とレッドブル・フォード・パワートレインズのテクニカルディレクターであるベン・ホジキンソンは述べた。

    「すべてをゼロから作り上げる挑戦において、Hexagonの計測技術は必要な公差・品質を確実に実現してくれました。我々は常に1ミリ秒を削り取る戦いを続けています。Hexagonはその戦いを支える最良のパートナーです。」

    「レッドブル・フォード・パワートレインズと初のパワートレイン開発を共にできたことを誇りに思います」とHexagon Portable Metrology Divisionプレジデントのエマニュエル・ヴィクルンドは述べた。

    「パワートレインは極めて厳しい環境下で設計され、ついにトラックで真価を発揮する準備が整いました。F1は常に止まることなく進化します。Hexagonは今後も、精度とスピードが求められるレッドブルF1チームの挑戦を支え続けます。」

    2026年F1は、電動化比率拡大やエネルギーマネジメント強化など大きな技術転換期を迎える。その裏側では、ミクロン単位の精度が勝敗を左右する要素となる。レッドブルF1の内製PUプロジェクトは、計測技術との融合によって実戦フェーズへと歩みを進めている。

  • マックス・フェルスタッペン レッドブルF1自社PUを誇りも「現時点で勝てない」

    マックス・フェルスタッペン レッドブルF1自社PUを誇りも「現時点で勝てない」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)は、2026年F1シーズン開幕を前に、自社初のパワーユニットを投入したチームの仕事ぶりを「誇りに思える」と評価した。一方で、RB22のパッケージ全体としては現時点で勝利を争う段階にはないとの見解も示している。

    レッドブルは2026年の新レギュレーション導入を機に、シャシーだけでなくエンジンマニュファクチャラーとしても参戦。

    フォードと協力し、ゼロから立ち上げたプロジェクトの初号機は、バーレーンテストで大きな信頼性トラブルを起こすことなく走行を終えた。

    「彼らも予想していなかったと思う。エンジンは単純に壊れるだろうと考えていたはずだ」とフェルスタッペンは語った。

    「その点に関しては、僕たちは素晴らしい仕事をしたし、物事をしっかりコントロールできている。間違いなく誇りに思っていい」

    もっとも、開幕戦オーストラリアGPでの勝利については慎重な姿勢を崩していない。メルセデスのトト・ヴォルフやジョージ・ラッセル、さらにウィリアムズのジェームス・ボウルズらがレッドブル・フォードのパフォーマンスを評価する発言をしている中でも、本人は現実的な見通しを示した。

    「パフォーマンス面を見れば、本当にフロントで戦うためにはまだ一歩前進が必要だと思う」

    「現時点では、勝利を争えるとは思っていない。でも現実的であるべきだ。自分たちのエンジンで新レギュレーションに挑む最初の段階で、それが期待値だったわけではない」

    マックス・フェルスタッペン レッドブル F1

    フェルスタッペンは、新レギュレーションの複雑さにも言及し、改善の余地は常に存在すると強調。その中でも「相関性」を重要な課題として挙げた。

    「レギュレーションはとても複雑だから、常に改善できることはある」

    「例えばエンジンそのものの温度や、周囲のコンディションを常に考慮しなければならない。それはエンジンのパフォーマンスに大きな影響を与える。そういった分野では、まだ一歩前進できるはずだ」

    2026年F1シーズンは3月6日、メルボルンで幕を開ける。フェルスタッペンはレッドブルとの10年目のフルシーズンに臨み、自身5度目のワールドチャンピオン獲得を目指すが、その道のりは決して楽観視できる状況ではない。

  • レッドブルF1 2026年PU戦争に“手加減なし”要求 ホモロゲーション撤廃論も

    レッドブルF1 2026年PU戦争に“手加減なし”要求 ホモロゲーション撤廃論も

    2026年F1レギュレーションで導入される新パワーユニット(PU)を巡り、レッドブル陣営が“手加減なし”の開発競争を求めた。PUメーカーにも予算上限(1億9000万ドル)が適用されるなか、レッドブル・パワートレインズ(RBPT)のベン・ホジキンソンは、現行のホモロゲーション制度の見直しに言及した。

    3月1日にFIAへのホモロゲーション(型式承認)が予定される2026年型PUは、承認後の開発自由度が大きく制限される。

    性能面でのアップグレードは5年間のレギュレーションサイクル内で限られたウインドウのみ許可され、さらに成績劣勢メーカーに追加機会を与える「ADUO(追加開発・アップグレード機会)」制度も導入される。

    ホジキンソン「制限は十分にある」
    ホジキンソンは、予算上限やダイノ稼働時間制限が既に存在することを踏まえ、さらなる縛りは不要だと主張した。

    「個人的にはホモロゲーションをなくして、手加減なしの戦いをしたい。それが本音だ。ただ、我々は今あるルールの中でやるしかない」

    「コストキャップもあるし、ダイノ時間の制限もある。これ以上の制限は必要ないと思う」

    一方で、PU開発はシャシーよりも“妊娠期間”が長いとも強調する。エンジン部品は高精度金属部品が中心で、製造に最大12週間を要し、耐久試験やレースプールへの展開にも同程度の時間が必要だという。

    「もし開幕戦で他メーカーが優位に立てば、追いつくには相当な時間がかかる」

    「だからこそ差を縮める仕組みは必要で、ADUOはその一部を担っている。ただ、数週間で大きな出力向上を実現するのは簡単ではない。今すぐ20キロワットを追加できるなら、もちろんやる」

    RBPTは“ベンチマーク”か?
    プレシーズンテストではRBPT製PUが高い信頼性とエネルギーマネジメント性能を示し、パドック内で注目を集めた。メルセデスのトト・ヴォルフはRBPTをベンチマークと示唆したが、ローラン・メキースはこれを否定している。

    「ミルトンキーンズの全員に大きな賛辞を送りたい」

    「3年前、PU工場のあった場所はただの空き地だった。そこからバルセロナで初日に100周を走り切るところまで来たのは歴史的なことだ」

    その一方で、メキースは現状に満足していないと強調する。

    「我々はまだベンチマークではない。トップグループの後ろにいる可能性が高い」

    「これから多くの困難な瞬間に直面するだろう。マシンが止まることもあるかもしれない。それもこの戦いの一部だ」

    2026年F1はシャシーとPUの両面で巨大な開発競争となる。RBPTは新規参入ながら好発進を切ったが、真の序列は開幕後の数戦を経て明らかになる。レッドブル陣営が求める“グローブを外した戦い”が実現する日は来るのか。新時代のエンジン戦争は、すでに火ぶたを切っている。

  • フォードが反論 キャデラックF1“唯一のアメリカンプロジェクト”発言に応酬

    フォードが反論 キャデラックF1“唯一のアメリカンプロジェクト”発言に応酬

    2026年F1シーズンの開幕を前に、アメリカ勢同士の火花がパドックで散っている。キャデラックF1が自らを「唯一の真のアメリカンプロジェクト」と位置付けたことに対し、フォードが強く反発した。

    ゼネラルモーターズ傘下のキャデラックは2026年から11番目のチームとして参戦。チーム代表グレアム・ロードンはバーレーンで「築き上げるための良い基盤がある」と語り、米国籍で参戦することを強調してきた。

    近年のF1人気拡大、とりわけNetflixの『Drive to Survive』やマイアミ、ラスベガス開催の影響で、アメリカ市場の存在感は急拡大している。その流れの中で、キャデラックは“ナショナルプライド”を前面に押し出す戦略を取っている。

    しかし、この主張は他の関係者の神経を逆なでした。

    ダン・トゥリス(キャデラックF1チームCEO)は、フォードとGMのプロジェクトは「比較にならない」とし、キャデラックの方がより強い「国家的誇り」の要素を持つと主張した。

    これに対し、フォードは自らのF1での実績を強調する。1967年以降、フォードはエンジンサプライヤーとして176勝に関与。主にフォード・コスワース名義で成功を収め、スチュワートやジャガーを通じてチームを保有した歴史もある。

    パドック関係者は、キャデラックの「純粋なアメリカ性」について次のように皮肉った。

    「マシンはシルバーストンで製造され、チーム代表は英国人、ドライバーはメキシコ人とフィンランド人だ。それが“アメリカ的”だというなら、フィッシュ・アンド・チップスやカルボナーラもアメリカ料理ということになる」

    フォードはまた、キャデラックがレッドブルとの提携を「単なるマーケティング」と表現したことにも強い不快感を示している。

    フォード・パフォーマンスのマーク・ラッシュブルックは次のように語った。

    「フォード・レーシングは125年にわたるモータースポーツの歴史を持つ、アメリカのレーシングチームだ。我々はどの米国メーカーよりも多くのカテゴリー、さまざまな路面で戦ってきた」

    「F1においても、我々は最も成功したアメリカのエンジンメーカーであり、かつては自前のチームも持っていた。ハースとともに、我々はアメリカとファン、ディーラー、サプライヤー、従業員を代表していることを誇りに思う」

    キャデラック F1

    特に注目されるのは、ここでハースF1チームに言及しつつキャデラックの名を出していない点だ。

    ラッシュブルックは、フォードがレッドブルのパワーユニット計画において、想像以上に深く関与していることも明かした。

    「当初の合意は主に電動化部分に焦点を当てていた。内燃機関は当初、我々の優先事項ではなかった」

    「しかし市販車の計画が変化する中で状況は変わった。現在ではディアボーンの先端製造施設や3Dプリンターで、内燃機関側の実部品も数多く製造している」

    フォードCEOのビル・フォードも以前、次のように反論している。

    「我々のレッドブルとの提携がマーケティング活動だというのは、事実とかけ離れている。むしろ逆だ」

    「彼らはフェラーリ製エンジンを使っている。キャデラック製エンジンではない。GMの社員がレースチームにいるかどうかも分からない。もしマーケティングに見えるものがあるとすれば、それはそちらだ」

    一方で、グレアム・ロードンはこの対立を前向きに捉えている。

    「GMとフォードの間には長年にわたる健全なライバル関係がある。ハリウッド映画にまでなったほどだ」

    「そのライバル関係は続くだろう。F1ファンは一定の対立構図を好む。ただし行き過ぎない範囲で、だ。これはF1にさらなる興味の層を加えるものになる」

    NASCARやル・マン24時間など数々のカテゴリーで競ってきた両社だが、2026年は初めてF1の舞台で真正面からぶつかるシーズンとなる。

    アメリカ市場拡大の波に乗るF1。その中心で、フォードとキャデラックの“デトロイト対決”が新たな物語を生み出そうとしている。

  • リアム・ローソン レッドブルF1エンジン“1秒差”説を一蹴「そんなに速くない」

    リアム・ローソン レッドブルF1エンジン“1秒差”説を一蹴「そんなに速くない」

    2026年F1プレシーズンテストのバーレーンで、レッドブル陣営の新パワーユニットを巡る“1秒差”発言が波紋を広げている。メルセデスのトト・ヴォルフが「最大で1秒のアドバンテージがある」と示唆したことに対し、レーシングブルズのリアム・ローソンも笑い飛ばす形で応じた。

    今季からレッドブルはフォードと提携し、自社開発のパワーユニットを投入。バルセロナでのシェイクダウンを経て、バーレーンテストでも注目を集めているが、その評価を巡っては駆け引きも始まっている。

    「1秒もみんなより速いって? それ誰が言ったの?」

    ヴォルフの名前を聞かされたローソンは笑いながらこう返した。

    「なんてことだよ」

    もっとも、ローソンは新パワーユニットの初期段階での働きそのものを否定しているわけではない。

    「メルボルンに行けば分かると思う」

    「正直に言って、今のところパワーユニットはとても、とても順調に動いている。それは良いことだ」

    リアム・ローソン レッドブル F1

    ただしテスト特有の不確定要素にも言及し、現時点での数値比較には慎重な姿勢を示した。

    「でもパフォーマンスの数値という点では、他のチームが何をしているのか全く分からないから、とても判断が難しい」

    さらにローソンは、ポテンシャルには自信を示しつつも、誇張された優位性には距離を置く。

    「パフォーマンスの観点では、明らかに堅実だと僕たちは思っている。でも、みんなより1秒速いとは言わない」

    「でも、すぐに分かるよ。今のところはすべて順調だ」

  • カルロス・サインツJr. 2026年F1エンジンは「レッドブル・フォードが一歩先」

    カルロス・サインツJr. 2026年F1エンジンは「レッドブル・フォードが一歩先」

    カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)は、2026年F1プレシーズンテスト初日の走行データを踏まえ、レッドブル・フォードのパワーユニットが現時点で「明確に一歩先を行っている」との見解を示した。

    すでにメルセデス代表トト・ヴォルフも同様の評価を口にしており、サインツはその見立てを裏付ける形で、2026年型ハイブリッド時代の核心が「エネルギーマネジメントの統合」にあると指摘した。

    「まだ本当に初期段階けど、昨日のGPSデータで判断するなら、現時点ではレッドブル・フォードがやっていたことは他より明確に一歩先だった」とサインツは語った。

    「小さな差ではなく、はっきりとした差だったし、とても印象的だった」

    さらにサインツは、新レギュレーション初年度という状況を踏まえ、仮に開幕戦の時点で最速かつ最も信頼性の高いエンジンを実現しているなら、それは称賛に値すると述べた。

    「まったく新しいレギュレーション、新しいエンジン、新しい人員体制で開幕戦に来て、最速かつ最も信頼性の高いエンジンを持ち込むことができたなら、帽子を取って称賛するしかない。少なくとも昨日見せていたものは本当に印象的だった」

    実際、GPSデータ上ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がロングラン中に効率的にバッテリーを再充電し、ストレートで350kWの電力を十分に展開。周回ごとにライバルより高い最高速を記録していたことが示されている。

    もっとも、サインツは冬季テスト特有の条件差や走行プログラムの違いにも言及し、まだ結論を出す段階ではないと強調する。

    2026年レギュレーションでは、電動モーター由来の出力が従来比で3倍に拡大し、総出力の最大50%を占める。一方でバッテリー容量は据え置きのため、ドライバーは1周の中でエネルギーを何度も使い切る可能性がある。

    そのためバーレーンでは、低速コーナーであえて低いギアを選び、回転数を高めてエネルギー回生を最大化する走行が見られた。これはドライビング技術の問題だけでなく、パワーユニット制御ソフトウェアが周回データを学習し、回生と展開を最適化していくプロセスとも密接に関係している。

    カルロス・サインツJr. レッドブル・レーシング

    サインツは、この「回生」と「コーナリング性能」の最適化こそが鍵だと語る。

    「今回のレギュレーションの鍵は、両者を分けることではなく、統合することにある」

    「昨日見た限りでは、レッドブルはまさにそれを実現しているように見えた。ドライバーに妥協を強いることなくね」

    さらに彼は、パワーユニット、ギアボックス、そしてドライバーの好みが一体化した“閉じた円”として機能する必要性を強調した。

    「クルマが特定のシフトダウンを求めてくるなら、我々はそれを実行する。だからこそ、バーレーンで300周、400周と走る中で、ドライバビリティとパフォーマンスを高めるあらゆるテクニックを試していくことになる」

    「パワーユニットとギアボックス、そしてドライバーの好み。そのすべてがひとつの閉じた円でなければならない。どれかひとつでも理想通りでなければ、そこで問題が生じる。だから全員が適応し、正しい方法を見つける必要がある」

    2026年F1は単なる出力競争ではない。電力回生と展開、シャシーとの統合、そしてドライバーの感覚までを含めた“総合制御競争”の様相を呈している。

    その第一印象として、少なくともサインツの目にはレッドブル・フォードが最も洗練されたパッケージを提示しているように映っている。

  • メルセデスF1代表「ベンチマークはレッドブル」 2026年PU勢力図に異変

    メルセデスF1代表「ベンチマークはレッドブル」 2026年PU勢力図に異変

    2026年F1バーレーンテスト初日、メルセデスのトト・ヴォルフが発した一言がパドックに衝撃を与えた。現時点でのパワーユニットのベンチマークは、メルセデスではなくレッドブルだという。

    圧縮比を巡る議論が続く中での発言だけに、戦略的な駆け引きと見る向きもある。しかしデータが示す内容は、単なる心理戦だけでは説明できない。

    「パワーユニットのベンチマークか? レッドブルだ」とヴォルフは明言した。

    2026年シーズン開幕を前に、最大の論争は圧縮比問題だが、ヴォルフが言及したのはそれとは別の側面だった。メルセデスを率いる立場として注意を逸らす意図がある可能性は否定できない。それでも、ミルトンキーンズで初めて製造されたレッドブルのパワーユニットが示している完成度には、明確な評価を与えている。

    ベン・ホジキンソンの指揮のもとで進められてきたプロジェクトは、バルセロナからサクヒールにかけてのテストで想定以上のパフォーマンスを示した。とりわけ注目されているのがエネルギーマネジメントである。

    午前中にマックス・フェルスタッペンが行ったレースシミュレーションでは、ストレートでの最高速が他チームを明確に上回った。しかもそれは単発のアタックラップではなく、連続周回にわたり安定して再現されていた。

    「正直に言って、ここまで競争力があるとは思っていなかった。本当に素晴らしい仕事をしている。マシンとパワーユニットは現時点でベンチマークだ。そしてそのマシンにはマックスが乗っている。非常に手強いパッケージだ」

    確認を求められても、ヴォルフは言葉を濁さなかった。

    「その通りだ。今この瞬間、彼らがベンチマークだ。今朝のマックスの走行を見れば、全てのストレートでより多くのエネルギーを使えていることが分かる。我々だけでなく、全チームに対してだ。それも1周だけではない。連続したスティント全体でだ」

    さらにこう続けた。

    「単発のラップでは以前から兆候はあった。しかし今日は10周連続で同じエネルギーの可用性を維持していた。ただし、まだここはテスト初日だ。状況は変わるかもしれない。それでも今日に限れば、彼らのポテンシャルに疑いはない。我々はまだあそこまでエネルギーをコントロールできていない」

    レッドブル・レーシング

    この評価が冷静な現状分析なのか、それとも圧縮比問題を巡る駆け引きの一部なのかは、今後の絶対的なパフォーマンス比較が明らかにするだろう。

    しかしパドック内の声も興味深い。圧縮比問題でメルセデスに対抗姿勢を示している他メーカー陣営も、レッドブルのパワーユニットが持つ潜在能力についてはヴォルフと同様の見解を示しているという。

    信頼性もまた重要な要素だ。フェルスタッペンは初日だけで100周以上を走破し、アイザック・ハジャーも同様に周回数を重ねた。走行距離とパフォーマンスの両立は、新レギュレーション下では大きな意味を持つ。

    2026年F1の新時代は、単なる圧縮比論争では測れない。エネルギー管理という見えにくい領域で、すでに明確な差が生まれている可能性がある。

    その差が実力差なのか、高度な心理戦なのか。答えはテストの残り日程、そして開幕戦メルボルンで明らかになる。

  • マクラーレン「レッドブル・フォードのエンジンは2026年F1最大級のサプライズ」

    マクラーレン「レッドブル・フォードのエンジンは2026年F1最大級のサプライズ」

    マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、先月バルセロナで実施されたプレシーズン・シェイクダウンテストを振り返り、新たに投入されたレッドブル・フォードのF1パワーユニットについて「非常に、非常に強力だ」と評価し、2026年F1における大きな驚きの一つだと語った。

    このエンジンを搭載したマシンのうち、タイムシート上で最上位だったのはマックス・フェルスタッペンのレッドブルで、順位は7番手。最速だったルイス・ハミルトン(フェラーリ)からは1.238秒遅れだった。

    ただし、シェイクダウンのラップタイム自体に大きな意味はなく、レッドブル・パワートレインズが初めて手がけたパワーユニットは多くの周回数をこなし、パフォーマンス面でも有望な兆しを示した。

    「バルセロナのテストで何が一番驚きだったかと聞かれれば、レッドブル・フォードのエンジンは本当に、本当に強力に見えた。彼らには脱帽だ」とブラウンは語った。

    「速そうだっただけでなく、信頼性も非常に高かった」

    「全体的な信頼性もとても印象的だった。非常に洗練されていて、新しく、まだ成熟していないレギュレーションの初期段階としては、驚くほどだ。全チームがこれだけ多くの走行距離を稼げたのは素晴らしいことだ」

    「だから際立っていたのは、(レッドブルの)フォードエンジンと、こうした高度な新ルールのもとでの全体的な信頼性だと思う」

    マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラも、レッドブルのパワーユニットの出来を高く評価しており、メルセデス、フェラーリと並んで「良いスタートを切った3社のうちの1つ」だと述べている。

    ディフェンディングチャンピオンであるマクラーレンにパワーユニットを供給するメルセデスは、現時点で得られる限られた情報から判断する限り、最も強力なパッケージを持っていると広く見られている。一方で、その設計上の優位性を問題視するライバル陣営が、ルール変更を求めて動いている点は依然として不透明だ。

    現行レギュレーションでは、V6エンジンのシリンダー内の最大圧縮比は16:1と規定されており、これは外気温で測定されることになっている。しかし、メルセデスはエンジンが高温状態で作動する際、この数値を事実上超える手法を見つけたのではないかと見られている。

    ただしブラウンは、これを「典型的なF1の政治」だとして一蹴し、メルセデスが得ているとされる優位性を過小評価した。さらに、エンジンの合法性については、メルセデス代表トト・ヴォルフの見解にも同調している。

    「このエンジンはレギュレーションに完全に準拠する形で設計されている。それがこのスポーツの本質だ」とブラウンは語った。

    「過去に見てきたダブルディフューザーのような事例と何も変わらない。ルールの範囲内で成立しているということだ」

    「競合が主張するほど大きなアドバンテージがあるとは思っていない。ただ、彼らの仕事は、何らかの優位性があると感じれば、それをストーリーに仕立てることだ。現実としては、エンジンは完全に合法で、すべてのテストをクリアしている。HPP(メルセデスのハイパフォーマンス・パワートレイン部門)は良い仕事をしていると思う」

    「これはメルセデスの話題だ。我々はパワーユニットを設計・製造しているわけではない。HPPは我々が非常に関心を持っていることを理解していて、情報共有はしてくれるが、パワーユニットのワーキンググループに参加しているわけではないので、そこでの議論には関与していない」

    またブラウンは、ルール変更によって自チームおよび他のメルセデスPU搭載チームがレースに出走できなくなる可能性についても否定した。

    「オーストラリアでメルセデスのチームがグリッドに並ばない、なんてことは想像できない」とブラウンは語った。

    「そうした話し合いに我々は関与していないので、パワーユニットの観点からどんな変更が必要になるのかも分からない。ただ、オーストラリアでは間違いなくすべてのメルセデス勢がグリッドに並ぶだろう」

    FIAの立場
    メルセデスのライバル陣営は、開幕戦までにF1のエンジンルールを変更する提案に取り組んでいるとされており、FIAのシングルシーター部門責任者であるニコラス・トンバジスは、3月初旬のオーストラリアGPまでにこの問題を解決したいという意向を改めて示している。

    「我々は、この問題をどう解決するかについて多くの時間を費やして議論してきた」とトンバジスは、FIAのYouTubeチャンネルで公開されたQ&Aセッションで語った。

    「もちろん、シーズン開幕までに解決することが我々の意図だ」

    「論争は望んでいない。人々には、法廷やスチュワードルームではなく、サーキット上で競い合ってほしい」

    トンバジスは、2026年に向けて圧縮比の上限が18:1から16:1に引き下げられた理由について、新規参入メーカーが既存メーカーと競争できるよう支援するためだったと説明した。また、大きなレギュレーション変更の際に、チームがグレーゾーンや抜け穴を探すのは自然なことだとも述べている。

    「新規参入のメーカーは、既存メーカーに比べて大きく遅れた状態からスタートしている。そのため、彼らが公平な競争条件で参戦できるよう、いくつかの仕組みを用意する必要があった」とトンバジスは語った。

    「そうでなければ、コストキャップや各種制限がある中で、彼らは常に追いつくのに苦労することになっていただろう」

    「それでもなお、彼らにとっては非常に大きな挑戦であることに変わりはない。決して簡単な仕事ではない。だからこそ、新規参入の条件の一つとして、ある程度の簡素化やコスト削減を図る必要があり、その一つが圧縮比だった」

    「かつての18:1という上限は、正直言ってほとんど意味をなさない数値だった。そこに到達すること自体がほぼ不可能だったからだ。それを16:1に下げたのは、一種の妥協だった」

    「もちろん、エンジニアたちは非常に賢く、常に優位性を追求している。エンジンが高温で作動している際に、この圧縮比を実質的に高める方法を見つけた者もいる」

    「これは数字と統計の問題であり、新しいレギュレーションが導入されれば、こうした議論の余地が生まれるのは避けられない。これまでも常にそうだった」

    「ただ一つ変わった点があるとすれば、我々はこの選手権を、ルール解釈の争いではなく、最高のドライバー、最高のエンジニア、そしてチーム同士が競い合う場にしたいと強く考えているということだ」