カテゴリー: フォード F1

  • レッドブルF1 FIAの“V8復活”計画を歓迎 フォードとの連携に自信

    レッドブルF1 FIAの“V8復活”計画を歓迎 フォードとの連携に自信

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムが2030年または2031年までのV8エンジン復活を公言するなか、レッドブルF1のローラン・メキース代表はその構想を歓迎する姿勢を示した。

    2026年から新世代パワーユニット時代に突入したF1では、電動化比率を高めた新規則への評価が分かれており、すでに将来的な“次のエンジン”を巡る議論が加速している。

    FIAは2030年までのV8復活を視野
    F1は2007年にV10からV8へ移行し、その後2014年にターボハイブリッドV6へ変更された。だが、かつての自然吸気エンジン特有のサウンドを懐かしむ声は現在も根強い。

    2026年からは内燃機関と電力を50対50で配分する新世代パワーユニットが導入されたが、ファンやドライバーの間では“音”の喪失を惜しむ意見も続いている。

    そのなかで、FIA会長モハメド・ビン・スライエムはV8復活を強く推進している。

    「それは実現する」とビン・スライエムは語った。

    「2031年には、FIAはパワーユニットメーカーの投票なしでもそれを実行する権限を持つ。それがレギュレーションだ」

    「だが我々は1年前倒ししたい。今や誰もがそれを求めている」

    さらに、仮にメーカー側の合意が得られなくても実施すると強調した。

    「メーカーが賛成しなかったとしても、あと1年待てば実行される。彼らの支持が必要かどうかの問題ではない。実現する」

    「V8は戻ってくる」

    ビン・スライエムは、次世代エンジンでは電動化比率を大幅に下げる構想も示している。

    「ごく小規模な電動化は残るが、主体はエンジンになる」

    「現在のような46対54の比率にはならない。電力は最小限になる」

    F1 V8 レッドブル / フォード

    レッドブルは“新規参入”ゆえの柔軟性
    こうしたFIAの方針に対し、レッドブルF1のローラン・メキース代表は前向きな反応を見せた。

    レッドブルは今季、レッドブル・パワートレインズとして初の自社製パワーユニットを投入。フォードとの提携のもと、新時代への挑戦を続けている。

    メキースは、まだ歴史の浅い自社PU部門だからこそ、新たなルール変更にも柔軟に対応できると語る。

    「レッドブル・パワートレインズとしては、かなり前向きに受け止めている」とメキースはPlanetF1.comなどに語った。

    「我々はゼロからスタートして、このパワーユニットに挑戦してきた。そして出発点としてはかなり良いと思っている」

    「メルセデスと比べると、まだPUパフォーマンスでは不足している部分がある。それでも、ここまで戦える状態に持ってきたスタッフは素晴らしい仕事をした」

    「だから我々は次の挑戦にもワクワクしている」

    さらに、フォードとの関係性にも言及した。

    「我々は背景となる長い歴史を持っているわけではない。そのぶん柔軟で独立性もある」

    「それに、私がミルトンキーンズで毎日乗っているフォード・マスタングにはV8が積まれている」

    「だから、少し先行スタートできるかもしれないね」

    メルセデスは“完全回帰”に警鐘
    一方で、メルセデスF1のトト・ヴォルフ代表は、電動化を極端に縮小する案には慎重な姿勢を示している。

    ヴォルフは、F1が自動車業界の現実世界との接点を失うべきではないと警告した。

    「どうすればバッテリー側から十分なエネルギーを供給し、現実世界とのつながりを失わずに済むのかを考えなければならない」

    「もし100%内燃機関へ振り切れば、2030年や2031年には時代遅れに見えるかもしれない」

    そのうえで、よりシンプルかつ高出力な“次世代ハイブリッド”案を提示した。

    「もっとシンプルにしつつ、“メガエンジン”にする必要がある」

    「例えば内燃機関だけで800馬力を発生させ、さらに400馬力を電力で上乗せするような形だ。そういう方向なら我々も全面的に賛成だ」

  • F1のV8復活論に追い風 フォードとGMも支持表明

    F1のV8復活論に追い風 フォードとGMも支持表明

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムが「実現する」と発言したことで、F1におけるV8エンジン復活論が一気に現実味を帯び始めている。これまで慎重姿勢だったメーカー勢からも前向きな声が相次ぎ、2026年F1レギュレーション導入前にもかかわらず、すでに“次の次”のパワーユニット論争が動き始めた。

    特に注目されるのは、アメリカ勢の明確な支持だ。キャデラックF1として参戦するゼネラルモーターズ、そしてレッドブルと組むフォードの双方が、V8復活に好意的な姿勢を公に示している。

    フォードとGMがV8支持を明言
    デトロイト・ニュース紙に対し、フォードのレーシング部門責任者マーク・ラッシュブルックは次のように語った。

    「FIAとF1がすでに次のレギュレーションについて議論しているのを見るのは素晴らしいことだ」

    「我々はこのスポーツのステークホルダーであり、自分たちの見解を共有していく」

    「当然ながら、多くの自然吸気V8を生産している企業として、ここでV8を見たいと思っている」

    キャデラックF1の母体となるGMの社長マーク・ロイスも、同様の立場を示した。

    「私はV8とそのサウンドが大好きだ」

    「ただ、V6ハイブリッドに多額の投資をしてきたメーカーへの敬意も持っている」

    「だからF1、FIA、そしてチームが“V8へ行く”と決めるなら、我々は準備ができている」

    メルセデスF1も容認姿勢
    パドック内部でも流れは変わりつつある。メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、V8回帰に対してオープンな立場を示した。

    「我々は新しいエンジンレギュレーションに対してオープンだ」

    「V8エンジンには良い思い出しかないし、我々にとっては“真のメルセデスエンジン”だった」

    その一方で、完全な自然吸気回帰には慎重な姿勢も見せている。

    「もし突然、自然吸気エンジンへ完全回帰するなら、少し時代遅れに見えるかもしれない」

    「おそらく内燃エンジンで800馬力、そこに電動パワー400馬力を組み合わせる形が考えられる」

    これは現在の“電動50%時代”から完全に逆戻りするのではなく、V8+高出力ハイブリッドという折衷案を示唆した発言とも受け取れる。

    V8 / V型8気筒

    レッドブルF1も賛成 フェラーリはコスト削減重視
    新PUプロジェクトに巨額投資を続けるレッドブル・フォード・パワートレインズも、この議論に前向きだ。ローラン・メキースは次のように語った。

    「レッドブル・フォード・パワートレインズは、このアイデアにかなりオープンだ」

    「我々はこの世代のパワートレインをゼロから開発しなければならなかった。同時に、新たな挑戦には興奮している」

    一方、フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、技術思想よりもコスト面を問題視している。

    「異常なほど膨れ上がったエンジン予算を削減することが極めて重要だ」

    “2031年V8回帰”は現実路線になりつつある
    今回の発言群が示しているのは、V8復活論がもはや“懐古主義”ではなく、現実的な政治テーマになっているという点だ。

    FIAはすでに2031年を視野に、より軽量・低コスト・高音量なエンジンへの移行を検討しているとされる。さらに一部では、2026年F1レギュレーションの複雑さやコスト増への不満から、「もっと早い段階で方向転換が起きる可能性」まで囁かれ始めている。

    特に今回、メルセデス、フォード、GMという大手メーカーが相次いで肯定的な姿勢を示したことで、“V8復活”は単なるファン向けの理想論から、一気に現実味を帯び始めた。

  • レッドブルF1「最強エンジン説」を否定 メルセデスにコンマ3秒差と認識

    レッドブルF1「最強エンジン説」を否定 メルセデスにコンマ3秒差と認識

    レッドブルF1は、自社パワーユニットが2026年F1で最強クラスにあるとの見方を否定した。チーム代表のローラン・メキースは、メルセデスが依然として大きく先行しているとし、FIAが各メーカーの性能序列を評価する作業は「良い仕事ではない」と語った。

    焦点となっているのは、追加開発機会を認めるADUOの判定だ。今後1か月以内、カナダGPからモナコGPの間に、どのメーカーが追加アップグレードの権利を得るのかが示される見通しで、各陣営のロビー活動や性能隠しの可能性にも注目が集まっている。

    メキース「メルセデスは我々の大半よりかなり先にいる」
    メルセデスのトト・ヴォルフは今週、ADUOは苦戦しているホンダだけに認められるべきだと主張した。フェラーリ、アウディ、レッドブルは近い水準にあるという見方だ。

    だがメキースは、そうした見方にはライバルによる駆け引きも含まれていると受け止めている。

    「序列を作るゲームについては、バーレーン以来ずっと聞いている。我々はそこに入らないようにしている」とメキースは今週、レッドブル・パワートレインズ訪問時に一部メディアへ語った。

    「それが難しい仕事であることは認識している。我々は単に、自分たちが見ているものを伝えているだけだ」

    「我々が見ているのは、メルセデスが我々の大半よりかなり先にいるということだ。そしてその通り、特にひとつの陣営、つまりホンダが後ろにいる」

    「他の陣営はおそらく我々にかなり近い。フェラーリとアウディだ。そして当然、ホンダはもう少し苦しんでいる」

    「チーム間で公平に正しい内燃エンジン性能を抽出するのは非常に難しい。全体の結果が、おそらく最も公平で、全員がどこにいるのかを示す最良の絵になると思う」

    レッドブルが見るメルセデスとの差「コンマ3秒」
    パドックでは、レッドブルの内燃エンジンがメルセデスに近い、あるいは上回っているとの見方も出ている。しかしメキースは、レッドブル内部のデータはそれを裏付けていないと明言した。

    メルセデスとの差について、メキースは「我々は内部的にコンマ3秒差と見ている」と語った。

    その差の大部分は、ADUO判定の基準となる内燃エンジン側にあるという。

    「差を見るのは非常に難しい」

    「先ほど話した差については、我々はより内燃エンジンに起因すると見る傾向がある。電気側の出力はパワー面で上限が決められているからだ」

    「ラップタイムのような大きな差、つまりコンマ単位の実質的なラップタイム差について言えば、それは主に内燃エンジンによって生まれている」

    レッドブル・レーシング

    ADUO判定は「良い仕事ではない」
    一方でメキースは、FIAが各パワーユニットの性能を正確に比較することの難しさも認めている。ターボのサイズ、排気の使い方、背圧の違いなど、各メーカーの設計思想が異なるためだ。

    「我々はそのゲームから距離を置こうとしていると信じたい」

    「だから冬のテストでも、我々は自分たちがどこにいると感じているかを単純に伝えた」

    「現時点で、誰がどこにいるのかを評価する客観的な難しさは高い。非常に高い」

    「それを正しく把握しようとする客観的な複雑さは大きい。内燃エンジン対バッテリーの問題もあるし、根本的な選択もある。小さいターボ、大きいターボ、排気ブローあり、排気ブローなし。つまり背圧あり、背圧なしだ。これをやらなければならないのは、良い仕事ではない」

    性能を隠してADUOの可能性を高めようとする陣営があるかと問われると、メキースはこう答えた。

    「そうは思わない。つまり、メルセデスはかなり大きなアドバンテージを持っているから、誘惑されるかもしれない。それは理解できる」

    「だが、それ以外の全員には選択肢がない」

    「それ以外の全員は、ポイント圏内の位置をかけて戦っている。ただしアーキテクチャが異なるなかで、これらすべての理由により、内燃エンジンの出力を他の陣営と公平な基準で評価するのは非常に難しいかもしれない」

    早期アップグレードには慎重な姿勢
    ADUOが認められれば、理論上は判定直後のレースから大規模アップグレードを投入できる。しかしメキースは、レッドブルがすぐにその道を選ぶ可能性は低いと見ている。

    2026年シーズンに使用できるパワーユニットは4基に限られており、投入時期を慎重に選ぶ必要があるためだ。

    「理論上は、判定の直後のレースからそれを行う権利を得ることになる。だが、我々はそれを行う準備ができているのか? おそらくそうではない。シーズン中に4基のエンジンを扱う必要があるからだ」

    「レギュレーションは、投入する瞬間を選ばせる。だから、それらをまとめて、十分に大きなステップにしようとする必要がある」

    「現実的には、少なくとも我々については、シーズン前半にそれを見ることはないと思う。だが確かにシーズン後半には、2027年のウインドウの前に何かを狙うことになる。2027年には、いずれにしてもアップグレードできるからだ」

    「パワーユニットの亡霊は消えた」
    メキースはメルセデスとの差を認めながらも、レッドブル・パワートレインズの出発点は当初の想定を明確に上回っていると語った。

    新たに自社エンジン製造へ踏み出したプロジェクトにとって、最初から大きく後れを取るリスクは深刻だった。だがその懸念は、現時点では取り除かれたという。

    「明らかに期待を上回っている。非常に明確にだ。我々は、もっと遠い出発点になることを想定して準備していた」

    「競争の世界であり、最強の陣営と比べればコンマ2秒でさえ大きな違いを生む。それでも、それはプロジェクトを2年、3年にわたって大きなリスクにさらしかねないものだった。今、パワーユニットの亡霊は消えた」

    「我々には我々の問題がある。このコンマを取り戻す必要がある。マシンで修正すべきものを修正する必要がある。我々はそれをどうやるか分かっている。それは起きる。マイアミではないが、起きる」

    Source: The Race

  • フォード マスタング コブラジェット2200発表 2200馬力EVが6.86秒で新記録

    フォード マスタング コブラジェット2200発表 2200馬力EVが6.86秒で新記録

    フォード・パフォーマンスは、電動ドラッグレースの限界を押し広げる新型マシン「Ford Mustang Cobra Jet 2200」を発表した。

    ノースカロライナ州シャーロットのzMAXドラッグウェイで開催されたNHRA 4ワイド・ナショナルズで初公開されたこのモデルは、約2200ホイール馬力を発揮する完全電動ドラッグカーであり、早くも6.86〜6.87秒、最高速度221〜222mphという驚異的なパフォーマンスを記録している。

    これにより、従来のEVドラッグカーの記録(202.85mph)を大きく上回り、加速性能・最高速ともに新たな基準を打ち立てた。単なるコンセプトカーではなく、実戦データを伴った“記録更新マシン”として、その存在感を強く印象づけている。

    2200馬力EVドラッグカーが到達した新領域
    コブラジェット2200は、フォードの電動ドラッグプログラムの最新進化形にあたるモデルだ。2020年の1400馬力仕様「コブラジェット1400」、続く1800馬力仕様「スーパーコブラジェット1800」を経て、今回ついに2200馬力へと到達した。

    シャシーはプロモッド(Pro Modified)スタイルを採用し、ダブルフレームレール構造によって剛性を強化。車重は約3325ポンド(約1508kg)で、前モデルより約1100ポンドの軽量化も実現している。

    パワートレインは900ボルトの電動システムを採用し、2基のモーターをサミングギアボックスで統合。4つのバッテリーパック(合計32kWh)を車体各所に分散配置することで、加速時の重量移動を最適化している。

    RACCクラッチと5速ミッションがもたらす制御性能
    最大の特徴のひとつが、フォードが特許を取得したRACC(リバース・アクティング遠心クラッチ)だ。このシステムにより、ゼロ回転からの発進が可能となり、極端なトルクを持つEVでもトラクションを維持しながら加速できる。

    さらに、5速トランスミッションを組み合わせることで、単純なダイレクトドライブでは難しいトルク制御を実現。シフト時にはクラッチスリップを活用し、ホイールスピンを抑えながら効率的にパワーを路面へ伝える構造となっている。

    このアプローチは、従来のEVドラッグカーとは一線を画すものであり、内燃機関系ドラッグマシンのノウハウを高度に融合した設計と言える。

    フォード マスタング コブラジェット2200

    IMSAとNHRAの知見が融合した開発体制
    コブラジェット2200は、単独プロジェクトではなく、フォードのモータースポーツ全体の技術的蓄積を背景に開発された。IMSAやNHRAなど複数カテゴリーで得られたデータや知見が共有され、開発に反映されている。

    実際に車両はフォード・レーシング主導で設計され、MLeレースカーズとの共同で製作。ラスベガスやシャーロットでテストを重ねた後、今回の公開走行へと至った。

    イベント期間中は、エンジニアチームも現地に常駐し、観客や関係者との技術的対話も行われるなど、単なるデモにとどまらない“開かれた開発プロジェクト”としての側面も強い。

    EVドラッグは“実験”から“競技”へ
    コブラジェット1400が「EVでも速い」ことを証明し、1800が「競争力」を示したのに対し、2200はその先の問いを提示している。それは、「専用設計されたEVレーシングカーはどこまで到達できるのか」という点だ。

    すでに6秒台・220mph超という領域に突入したことで、EVドラッグは単なる技術デモの段階を完全に脱した。トラクション制御、重量配分、エネルギーマネジメントといった要素が高度に融合したこのマシンは、内燃機関の常識すら塗り替えつつある。

    zMAXドラッグウェイでの走行は、その進化の“途中経過”に過ぎない。フォードはさらなる記録更新を視野に入れており、このプロジェクトが今後どこまで加速するのか、注目は尽きない。

  • レッドブルF1 ADUO対象でもPU改良見送り検討 シャシー改善優先か

    レッドブルF1 ADUO対象でもPU改良見送り検討 シャシー改善優先か

    レッドブルとフォードが開発を進める初のF1パワーユニットをめぐり、追加開発の権利を得た場合でも、短期的には性能アップグレードを実施しない可能性が浮上している。焦点となっているのは、エンジンそのものの改良ではなく、まずRB22のシャシー側の課題解消を優先するかどうかという判断だ。

    同時に、後れを取ったメーカーに開発機会を与えるADUO(追加開発・アップグレード機会)の適用時期についても、当初想定より前倒しされる方向で調整が進んでいる。

    制度の運用次第では、レッドブルの戦略判断が2026年F1の勢力図を左右する可能性がある。

    レッドブルとフォードはPU改良を急がない可能性
    GPblogによると、レッドブルとエンジンパートナーのフォードは、仮にADUOの対象となった場合でも、短期的にはパワーユニットの性能アップグレードを見送る方向で検討しているという。

    ADUOは、基準とされるエンジンに対して一定以上の性能差があるメーカーに対し、開発機会を与える制度だ。現行の枠組みでは、メルセデスのパワーユニットが基準とされ、そこから2%以上遅れていると判断された場合にアップグレードが認められる。

    ただし、レッドブル陣営では現時点で最大の課題はエンジンではないとの見方が強い。ミルトンキーンズでは、まずRB22のシャシー改善を優先すべきとの判断が共有されているとされる。

    そのため、開発機会を得たとしても、即座にエンジン改良へ踏み切らず、車体側のパフォーマンス改善を優先する可能性がある。

    ADUO対象外となる可能性も
    一方で、そもそもレッドブルがADUOの対象とならない可能性も指摘されている。

    一部では、レッドブルのエンジンがICE性能では最も優れているとの見方もあり、その場合はADUOの対象から外れる可能性がある。開発機会そのものを得られないシナリオも排除できない。

    この場合、PU改良を見送るという判断は消極策ではなく、制度の枠組みを踏まえた現実的な戦略と位置付けられる。

    ADUOの判断時期は前倒しの方向
    もうひとつの焦点は、2026年F1シーズンにおいてADUOの適用判断をいつ下すかという点だ。

    当初は、4月開催予定だったレースの中止を受け、モナコGP後のシーズン第6戦終了時点で判断する流れが想定されていた。しかしGPblogは、そのタイミングをさらに前倒しし、ひとつ前のラウンド後に判断する方向で調整が進んでいると報じている。

    この件については、FIAとF1チーム代表らの会合での正式発表が見込まれていたが、現時点で明確な言及はなく、最終決定は来週に持ち越される見通しだという。

    レッドブル・レーシング

    フェラーリとメルセデスで分かれる見方
    ADUOをめぐっては、各チームの受け止め方も一致していない。

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、ADUOが「差を縮める機会になることを願っている」と期待を示した。一方で、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、制度の運用次第では本来の趣旨を逸脱しかねないと警戒感を示している。

    ヴォルフは、ADUOは「パワーユニット面で後れを取ったチームが追いつくためのもの」であり、「追い越すためのものではない」と強調している。

    制度設計と開発判断が今後の鍵
    今回の一連の動きが示しているのは、2026年F1においてパワーユニット開発の自由度が増す一方で、それをどう使うかは各陣営の戦略に大きく委ねられているという点だ。

    レッドブルとフォードが、仮に開発機会を得た場合でもすぐにエンジン改良へ動かず、まず車体側の改善を優先するのであれば、ADUOは単なる救済策ではなく、チーム全体の開発配分を映し出す制度として機能することになる。

    さらに、そもそも対象外となる可能性も含め、最終判断の結果次第では各メーカーのシーズン戦略そのものが左右されることになりそうだ。

  • ダニエル・リカルド F1引退の背景「2年で2度解雇 それでもレッドブルに感謝」

    ダニエル・リカルド F1引退の背景「2年で2度解雇 それでもレッドブルに感謝」

    ダニエル・リカルドが、自身のF1キャリアの終焉について語った。2024年シンガポールGPを最後に、正式な発表もないままグリッドを去った形となったが、その経緯と心境を明かしている。

    リカルドは、F1で走っていた最後の2年間で2度の解雇を経験した現実に触れつつ、それでもレッドブルに対して感謝していると語った。自ら引退を決断することの難しさと、外部からの決断がもたらした影響が、その背景として浮かび上がる。

    わだかまりなき引退
    ダニエル・リカルドは、自身の衝撃的なF1引退について再び語った。この別れは極めて異例の形で訪れ、特別なセレモニーもなく、2024年シンガポールGPがキャリア最後のレースであるという正式な発表もなかった。

    このオーストラリア人ドライバーは、勝利数に関係なくパドックに確かな足跡を残した存在であるが、その退場に対して恨みは抱いていない。それどころか、即時解雇という形でレッドブルを去ったことに感謝していると振り返った。この解雇は過去2シーズンで2度目であり、2022年末には契約を1年残しながらマクラーレンのシートをオスカー・ピアストリに譲っている。

    リカルド本人の証言
    36歳のリカルドは、フォードCEOジム・ファーリーのポッドキャスト「Drive」に出演し、当時の心境を語った。

    「結局のところ、僕は解雇された。それがその時の現実だった(2024年シンガポールGP後)。そして振り返ってみると、F1で走っていた最後の2年間で2度解雇されたことになる」

    「それは僕を消耗させた。すべてを注ぎ込んでいたし、本当に疲れ切っていた。でも今になって思えば、レッドブルが僕の代わりに決断してくれたことに感謝している」

    「もしあれがなければ、自分から『もう終わりだ』と言うのはとても難しかったと思う。でもあの時、自分の中で区切りがついた。なぜなら、自分が本来のレベルでパフォーマンスするのが難しくなっていると分かっていたからだ」

    「何かを失ってしまった。それを認めることも大事だと思う」

    「周りには『まだやれる』『君は素晴らしい』と言ってくれる人がいる。でもどれだけ彼らを愛していても、最終的には自分自身で決断しなければならないし、自分に正直である必要がある」

    「もし昨シーズンの終わりまで走っていたとしても、同じような葛藤を抱えていたと思う。なぜなら、状況がどんどん厳しくなっていると感じていたし、自分が誇れる結果を出すためには、さらに深く掘り下げる必要があったからだ」

    「みんなが自分を気にかけてくれていると信じたい。でも彼らは自分ではないし、自分の置かれている状況を本当に理解することはできない」

    「昨年引退してからは、自分のキャリアについてじっくり考える時間を持つことができた」

    現在、ダニエル・リカルドはフォードのブランドアンバサダーを務めている。

  • ダニエル・リカルド F1引退後フォードと初走行「笑いすぎてあごが痛い」

    ダニエル・リカルド F1引退後フォードと初走行「笑いすぎてあごが痛い」

    ダニエル・リカルドがフォードのデモランで再びステアリングを握った。現在はフォード・レーシングのグローバルアンバサダーを務めるリカルドは、オーストラリアでラプターT1+、マスタングV8スーパーカー、レンジャー・ラプターを走らせ、F1引退後の“ドライブ復帰”を楽しんだ。

    リカルドは2024年シンガポールGPを最後に実戦から離れ、その後モータースポーツからの引退を表明していた。

    フォードは2026年からレッドブルのF1エンジンパートナーを務めることもあり、今回の走行はその関係性を示すものともなっている。

    フォードとリカルドの共同映像では、母国オーストラリアで複数の車両を操る様子が公開された。助手席にはスノーボーダーのスコッティ・ジェームズや音楽家のフィッシャーが乗り込み、スーパーカー王者のブロック・フィーニーも参加した。

    リカルドが取り戻した走る感覚
    ダニエル・リカルドは「ラプターT1+とフォード・マスタングV8スーパーカーに乗った。ブロック・フィーニーと僕で直接対決みたいなこともやって、本当にクールだった」と語った。

    「笑いすぎてあごが痛い」

    「本当に楽しかった。久しぶりに純粋にクルマを楽しむ感覚が戻ってきた感じだった」

    その後は牧場に場所を移し、二輪と四輪を交えたアクティビティにも参加した。リカルドは長時間の集中を要するドライビングについても言及している。

    「長いあいだ集中し続けていたから頭が痛いくらいだ」

    「すごく楽しかった。本当に気に入った。シーケンシャルは片手で運転して、シフトして、左足でブレーキして、右足であおって、さらにハンドブレーキも使う。やることがたくさんあるんだ」

    「正直、ちょっと自分がレジェンドみたいな気分になったよ!」

    一方でリカルドは、モータースポーツ復帰について「怖い」と感じていることも明かしている。ただしバハ1000への参戦には興味を示しており、「学ぶことはたくさんある」と語っている。今回のデモランは、現役復帰ではないものの、リカルドが今もなおドライビングへの情熱を持ち続けていることを示す機会となった。

  • レッドブルとアウディが示す2026年F1パワーユニット成功例

    レッドブルとアウディが示す2026年F1パワーユニット成功例

    2026年F1シーズンは新レギュレーションによるパワーユニット時代の幕開けとなったが、その中でポジティブなスタートを切ったメーカーもある。レッドブル・フォードとアウディは、ともにF1で初めて自社開発のパワーユニットを投入し、開幕から競争力あるパフォーマンスを見せている。

    開幕戦オーストラリアGPでは、ミルトンキーンズ製のエンジンを搭載したマックス・フェルスタッペンが6位、アービッド・リンドブラッドが8位に入りポイントを獲得。

    さらにアウディの初レースでもガブリエル・ボルトレトが9位に入り、上海で行われている中国GPでも両メーカーはトップ10争いに加わっている。

    ゼロから始まったレッドブルのエンジン計画
    レッドブルのパワーユニット計画は2020年までさかのぼる。ホンダがF1プロジェクトからの撤退を発表した後、クリスチャン・ホーナーは市場を調査したうえで、ミルトンキーンズに自前のエンジン工場を設立する決断を下した。

    2025年までは日本のエンジニアが設計したホンダ製パワーユニットを凍結仕様で使用していたが、その運用にはRBパワートレインズのスタッフも関与しており、他チームから引き抜いた人材も多く加わっていた。そして最大の挑戦は、2026年用パワーユニットをゼロから設計・開発し、初年度から一定の成功を収めることだった。多くのライバルは、そのエネルギー回生性能をすでに高く評価している。

    レッドブルのチーム代表ローラン・メキースは次のように語った。

    「まずはミルトンキーンズの工場を称えるべきだ。3〜4年前にはレースチームの隣にある敷地にすぎなかったが、今ではパワーユニットのすべての作業を行う施設になっている」

    「メルボルンに行ったとき、僕たちはエンジンについてほとんど話さなかった。レッドブル・フォードのパワーユニットで走るのが初めてだったことさえ忘れてしまうほどだった。これは驚くべき節目だし、忘れてしまうほど問題がないというのは良い兆候だ」

    「間違いなく歴史的な出来事だ。新しい基準を打ち立てたと言えるし、4年前にゼロから開発を始めたすべての人々の功績だ」

    F1エンジン

    F1初参戦のアウディが直面する課題
    一方、アウディのケースはさらに特異だ。同社はこれまで公式にF1へ参戦した経験がなく、2026年からシャシーとパワーユニットの両方を自社で開発する完全ワークス体制で参戦している。

    しかしモータースポーツでの実績は豊富で、ル・マン24時間レースではディーゼルやハイブリッド車で13勝を記録し、2024年のダカール・ラリーでは電動パワートレインで総合優勝を果たしている。

    チーム代表ジョナサン・ウィートリーはこう語った。

    「F1に参入するというのはブランドの選択だけではない。シャシーとエンジンの両方を開発するメーカーになるという挑戦でもある」

    「ノイブルクの工場が短期間で成し遂げたことは信じられない。膨大な作業量と努力、そしてエネルギーが注がれている。サーキットやテストで見つかった問題への答えを探し、それを解決してきた。我々は新しいシャシーと新しいパワーユニットを同時に統合している」

    走行距離の差という現実
    レッドブルは同じパワーユニットを使用する2チーム、合計4台のマシンをグリッドに送り出している。一方でアウディは、ガブリエル・ボルトレトとニコ・ヒュルケンベルグの2台のみでデータを収集している。

    現時点では他チームへのエンジン供給を検討する段階にはないが、走行距離の不足が開発速度に影響することはチームも認めている。

    「カスタマーへ供給できる段階に到達するまでには、まだ長い道のりがある」とウィートリーは語る。

    「テストでのメルセデスのエンジンの走行距離を見ると、我々がかなり信頼性の高いプログラムで達成できた距離の4倍にもなる。つまり彼らは我々より速いペースで学習しているということだ」

    「ただ、我々はまだプロジェクトの初期段階だ。目標は強力なライバルになることであり、競争力のある形でそれを実現することだ」

    「現代のF1パワーユニットは信じられないほど複雑だ。現代のF1エンジンを作ることは本当に困難だが、同時に非常にエキサイティングでもある。技術が我々に猛烈なスピードで学習することを要求してくる」

  • アービッド・リンドブラッド F1デビュー戦8位「レッドブルとフォードは驚異的」

    アービッド・リンドブラッド F1デビュー戦8位「レッドブルとフォードは驚異的」

    アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)は、2026年F1オーストラリアGPで8位に入り、デビュー戦でいきなりポイント獲得という印象的な結果を残した。18歳のリンドブラッドはメルボルンでF1史上4番目の若さでデビューを果たし、その初戦をトップ10フィニッシュで飾った。

    予選9番手からスタートしたリンドブラッドは、スタートで大きく順位を上げると、1周目には一時3番手まで浮上する強烈な出だしを見せた。

    最終的にはオリバー・ベアマンとの争いに敗れて順位を守れなかったものの、ルーキーとしては非常に力強いレース内容だった。

    リンドブラッド「週末を通してマシンを最大限に引き出した」
    「とても特別な一日だった」とリンドブラッドは語った。

    「この週末は本当にミスをしていないと思う。ほぼすべてのセッションでマシンのポテンシャルを最大限に引き出せた」

    「スタートも良かった。チームがいい仕事をしてくれたし、僕は自分の手順に集中してやるべきことをやった。ライトが消えた瞬間から、空いているスペースをすべて探して、積極的に仕掛けていった」

    アービッド・リンドブラッド ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

    RBPTとフォードのパワーユニットを高く評価
    プレシーズンテストではハースF1チームやアルピーヌが中団の有力候補と見られていたが、レーシングブルズは開幕戦で強い競争力を示した。

    その背景についてリンドブラッドは、レッドブル・パワートレインズとフォードの提携によるパワーユニットを高く評価した。

    「これは僕たちにとってもチームにとっても驚きだったと思う。彼らは本当に素晴らしい仕事をしてくれた」

    「この週末にはとてもいいアップグレードもあった。RBPTとフォードは驚異的な仕事をしていると思う」

    「レッドブルは新しいエンジンを作り上げた。信頼性があるだけでなく、パフォーマンスも非常に高い。おそらくグリッドでもトップクラスのエンジンだと思うし、僕たちにとってとても効率的だ」

    「こういうプロジェクトに挑戦するのはレッドブルくらいだと思う。本当に印象的だし、これだけ競争力があるのを見るのはとてもクールだ」

  • レッドブルF1 オーストラリアGP予選「フォードとのパートナー関係に満足」

    レッドブルF1 オーストラリアGP予選「フォードとのパートナー関係に満足」

    レッドブル・レーシングは2026年F1オーストラリアGP予選で、アイザック・ハジャーが3番手を獲得する一方、マックス・フェルスタッペンはQ1でクラッシュを喫してタイムを記録できず、20番手に沈む波乱の展開となった。チームにとっては明暗が大きく分かれる予選となった。

    フェルスタッペンはターン1のブレーキングでマシンのリアがロックし、そのままスピンしてグラベルを抜けバリアにヒットした。

    本人に大きな問題はなかったが、挙動は極めて異常で、ドライバーエラーというよりマシン側の問題が疑われている。一方でハジャーはQ3まで順調に進み、最後のアタックでフェラーリ勢とマクラーレン勢を上回る自己最高位の3番手をつかんだ。

    メキース「予選3番手は大きな報酬」
    チーム代表のローラン・メキースは、ハジャーの3番手を高く評価した。

    「このスポーツがどれほど難しく競争の激しいものか、我々は全員が分かっている。だからこそ今日の予選3番手は、ここ4年間にわたって舞台裏で積み重ねてきたハードワークに対する大きな報酬だ」とメキースはコメント。

    「それはもちろんパワーユニット面だけでなく、新しいレギュレーションに対応するためのシャシー面の努力も含まれている」

    「今日はアイザックにとって素晴らしい一日だった。予選3番手は彼にとって非常に大きな瞬間だ」

    「彼は冬の間に信じられないほどの努力を積み重ねてきたし、その努力がこうした結果に結びついたのを見るのは、彼自身にとってだけでなくチーム全体にとっても特別なことだ」

    「マックスに起きたことはもちろん非常に不運だった。最も重要なのは彼が無事だということだ」

    「現時点では何が起きたのかを完全には理解できていない。彼が対処しなければならなかったグリップの喪失は非常に激しく、異常に見えた」

    「我々はデータをより深く掘り下げ、すべてを慎重に分析する必要がある」

    「今夜はミルトンキーンズにいる全員が、我々にこれほど力強いシーズンのスタートをもたらしてくれたことを非常に誇りに思っている」

    「パートナーとしてフォードが我々とともにいてくれることにも非常に満足しているし、我々のレッドブル・フォードのパワーユニットを搭載した2台がトップ9に入ったのを見るのも嬉しい」

    「明日もまた多くを学ぶ一日になることは分かっているし、チームとしてその学びをできるだけ早く自分たちのものにすることに集中している」

    レッドブル・レーシング フォード F1 オーストラリアGP

    ハジャー「チームでのキャリアに完璧なスタート」
    3番手を獲得したアイザック・ハジャーは、最終アタックに手応えを感じていたと振り返った。

    「この結果にはとても満足している。最後のラップでフィニッシュラインを越えた時、良いラップだったと分かった」とハジャーはコメント。

    「チームでのキャリアにとって完璧なスタートになった」

    「予選に入る時点では、こういう結果は予想していなかったので本当に嬉しい」

    「走るたびに改善していくことができた。Q1最初のラップから最後のラップまで、マシンも自分自身も毎回良くなっていった」

    「昨日は欠けていた一貫性を見つけることができたし、シャシーとパワーユニットの両方で強いマシンをずっと感じていた」

    「明日に向けて強いポジションを手に入れることができた。後ろのマシンを抑えられるかどうかを見ていきたい」

    フェルスタッペン「今まで経験したことがない」
    一方、Q1でクラッシュしたマックス・フェルスタッペンは、マシンの異常な挙動を説明した。

    「今日のクラッシュはとても奇妙だった。ターン1でブレーキを踏んだ瞬間にリアアクスル全体が完全にロックした」とフェルスタッペンはコメント。

    「自分は大丈夫だし、それが一番重要なことだ」

    「メディカルセンターに行って手の検査も受けたが、すべて問題なかった」

    「チームと話をしてデータを確認し、何が起きたのかを突き止める必要がある。こんなことは今まで経験したことがない」

    「アイザックは予選で素晴らしい仕事をした。おめでとうと言いたい」

    「明日は後方からスタートして前に進んでいくことになる」

    「もちろん理想的ではないが、6位か7位は目指せると思う。ただ、オーバーテイクがどれほど簡単なのかはまだ分からない」

    レッドブル・レーシングにとって開幕戦予選は、歓喜と痛手が同時に訪れる結果となった。ハジャーの3番手は新時代への大きな追い風となる一方、フェルスタッペンのトラブルは決勝に向けた大きな課題を残した。決勝ではハジャーが表彰台争い、フェルスタッペンが後方からの挽回を狙う展開となる。