カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • F1エンジン変更チームも2026年TPC継続へ FIAが旧スペックPU供給義務化

    F1エンジン変更チームも2026年TPC継続へ FIAが旧スペックPU供給義務化

    F1におけるエンジンサプライヤー変更が相次ぐ2026年に向けて、TPC(旧型車テスト)の継続を可能にするための新たなFIA規定が明らかになった。

    現在のエンジン契約が終了するメーカーに対し、旧カスタマーチームに対して引き続きPUを供給するよう義務づける内容で、今後2シーズンにわたって適用される。

    TPC(Testing of Previous Car/旧型車テスト)は、2年以上前のマシンを使用したプライベートテストで、若手育成の場として重宝されてきたが、近年ではマクラーレンが現役ドライバー向けに集中的なテストを実施したり、レッドブルがマックス・フェルスタッペンに旧車での走行機会を設けるなど、開発の一環としての活用も進んでいる。

    しかし、2026年には以下のようにエンジンサプライヤーが大きく変動する:

    ■ ザウバー(アウディ)…フェラーリ → アウディ製PU
    ■ アストンマーティン…メルセデス → ホンダ
    ■ アルピーヌ…自社PU → メルセデス
    ■ レッドブルおよびレーシングブルズ…ホンダ → レッドブル・パワートレインズ製の新PU

    ホンダ F1

    この変更により、これらのチームが旧型車によるTPCテストを続ける上で、現行PUの調達が課題となっていた。だが英オートスポーツ誌が伝えたところによると、FIAはこれに対応する形で、契約終了後の2年間にわたり、PUサプライヤーが旧カスタマーチームに現行エンジンを供給する義務を課す規定を導入したという。

    ただし、供給価格には上限が設けられておらず、TPCは予算制限(バジェットキャップ)の対象外であるため、供給元は自由に価格を設定できる。このため、ある主要PUメーカーは、2026年の供給価格を現行の2倍に設定する旨をカスタマーチームに既に通達しているという。

    これにより、TPCのコストは大幅に上昇することになるが、関係者は次のように話している。

    「予算上限に含まれない支出については、最近のF1チームはあまり節約しようとしていない。だから大きな問題にはならないと思う」

    この新ルールにより、以下のようなPU供給義務が発生する:

    ■ フェラーリ → ザウバー(アウディ)
    ■ メルセデス → アストンマーティン
    ■ ホンダ → レッドブルおよびレーシングブルズ

    なお、アルピーヌは自社製PUを継続使用できるが、現在のF1エンジン部門を維持し続けるかどうかに依存するため、体制次第では外部PUに頼る必要が出てくる可能性もある。

  • ルイス・ハミルトン F1ベルギGP遅延でFIAの対応に苦言「過剰反応だ」

    ルイス・ハミルトン F1ベルギGP遅延でFIAの対応に苦言「過剰反応だ」

    ルイス・ハミルトンは、FIA(国際自動車連盟)がF1ベルギーGPで見せた慎重すぎる対応に不満を示し、前戦シルバーストンでの論争的なスタート手順への「過剰反応」が今回の長時間の遅延につながったと指摘した。

    決勝が行われたスパ・フランコルシャンは、激しい雨に見舞われ、視界不良とコンディションの悪化によってレース開始が1時間以上も遅延。だが、これに対して複数のドライバーが、FIAの対応の遅さを批判しており、その中には7度のワールドチャンピオンであるハミルトンも含まれていた。

    予選では不調に終わったものの、ハミルトンはピットレーンスタートから7位まで追い上げる力強い走りを披露。それでもレース後、彼はスタート遅延に対する不満をあらわにした。

    「明らかにレースの開始は遅すぎたと思う」とハミルトンはモータースポーツ関連メディアに語った。

    「僕はずっと『もう行ける、もう始められる』って言ってたんだ。なのに、彼らは何度も何度も周回を重ねた」

    「たぶん前戦の反省から過剰に反応してしまったんだと思う。あのときは『再スタートが早すぎる、視界が悪すぎる』って僕たちは言った。でも今回は、それとは逆に振れすぎた。ローリングスタートにする必要はなかったよ」

    この「前戦」とは、イギリスGPのことを指す。あのレースではセーフティカー先導のフォーメーションラップ後、FIAが比較的早い段階でレースを開始し、多くのドライバーが不満を抱いていた。

    今週末は逆に、フェルスタッペンが「今後クラシックなウェットレースは二度と見られないだろう」と発言するなど、スタート判断の慎重すぎる姿勢が議論を呼んでいた。ハミルトンもこの意見に同意する。

    「僕のマシンもウェット用にセットアップしてあったしね。完全に乾くまで待たれちゃった」と彼は続けた。

    ルイス・ハミルトン ベルギーGP F1

    「スタンディングスタートも可能だった」
    さらにハミルトンは、あのコンディションでもスタンディングスタート(静止状態からの発進)が可能だったと主張する。

    「うん、絶対できたよ。特に最後のほうなんかね」

    「ほとんどドライラインができてたし、スプレーの熱ささえ感じた。間違いなくやれたと思う」

    彼はまた、スパでのFIAの慎重な判断はシルバーストンでの出来事に加え、先頭集団のドライバーたちの意見も影響していると分析している。

    「これはシルバーストンに対する反応だったんだよ。僕たちは前回『再スタートはすべきじゃなかった』って話し合った」

    「それで今回は“視界が悪い”という情報が入った途端、FIAは慎重になりすぎた。でも、前回よりはマシだった。きっと念には念を入れたんだろうけど、結果的に“本物のウェットレース”を楽しめなかったのは残念だ」

    「でも不思議なのは、今年のスパではスプレーがまるで霧の中を走っているみたいだった。これをどうにかしないといけないと思う」

  • F1、ベルギーGPで新たなドライバー識別用Tバーカメラを試験導入

    F1、ベルギーGPで新たなドライバー識別用Tバーカメラを試験導入

    FIA(国際自動車連盟)およびF1のプロモーターであるFormula One Managementは、今週末のF1ベルギーGPでファンがドライバーをより識別しやすくするための新たな試験的取り組みを実施する。

    その内容は、マシンのロールフープ上に設置されている「Tバー」オンボードカメラにドライバー識別用のブランド表示を加えるというもので、タイミングモニターなどで使用されている3文字のドライバー略称(例:VER、HAM、TSUなど)がカメラの側面および上部に表示される。

    このパイロットテストは、FIAとFormula One Managementの共同プロジェクトとして行われ、視認性向上とファンエンゲージメントの強化を狙っている。

    F1ではこれまでにも、マシン上でのドライバー識別を改善する取り組みが試みられてきた。2017年、リバティ・メディアによるF1運営開始直後のスペインGPでは、各チームに対しマシンにより大きなカーナンバーとドライバー略称の表示を義務付ける新指令が導入された。しかし略称の表示義務はその後撤廃され、フォース・インディアのみがシーズン末まで略称表示を継続した(なお同チームは、スペインGPでの未遵守により執行猶予付きの罰金処分を受けている)。

    また、2014年シーズン終了後には、フォース・インディアによってタイヤコンパウンドやファステストラップの情報表示を目的としたデジタルディスプレイ付きTバーカメラもテストされたが、最終的に導入は見送られている。この技術はインディカーで一時的に採用されたが、最終的にはそちらでも廃止されている。

    現在のF1レギュレーションでは、チームに対して以下の識別手段を義務付けている:

    ■ 各ドライバーのカーナンバーおよび氏名の表示
    ■ 同一チームの2台を識別するため、1台目のオンボードカメラは標準色、2台目は「蛍光イエロー」が主体のカラーで塗装
    ■ 車両のノーズ先端にマシンブランドのロゴもしくは名称を最小25mm以上のサイズで表示
    ■ ドライバー名は車体外部に明確に判読可能な形で表示

    今回のTバー表示テストが今後定着するかどうかは未定だが、ファンとの一体感や視聴体験の向上に資するかどうかが鍵となりそうだ。

    F1 ドライバー識別用Tバーカメラ

  • F1とFIA、抗議金の大幅引き上げを検討 レッドブルの抗議が議論の導火線

    F1とFIA、抗議金の大幅引き上げを検討 レッドブルの抗議が議論の導火線

    F1とFIA(国際自動車連盟)は、抗議・上訴・再審請求にかかる保証金の大幅な引き上げを検討している。これは7月23日(水)にロンドンで開催されたF1コミッションの会合で正式に議題として取り上げられたもので、抗議制度が戦略的に乱用されているとの懸念を受けた動きだ。

    会議はF1 CEOのステファノ・ドメニカリとFIAシングルシーターディレクターのニコラス・トンバジスが主導し、現行の保証金額──抗議にはわずか2000ユーロ──では、根拠のない抗議を抑制するには不十分だとの認識が共有された。

    レッドブルの抗議が議論の導火線に
    今回の検討の引き金となったのは、レッドブルがメルセデスのジョージ・ラッセルに対して起こした2件の抗議だ。

    1件目はマイアミGPで、レッドブルはラッセルが黄旗下で十分に減速しなかったと主張したが、FIAはこれを却下。
    2件目はカナダGP後に提出されたもので、ラッセルがセーフティカー中に不安定な走行を行ったと訴えたが、これも退けられた。

    こうした一連の抗議が、「現状では費用負担が少なすぎるため、戦略的な嫌がらせとして抗議が乱発されかねない」との不安をチーム関係者や関係筋の間で強める結果となった。

    FIAは公式声明の中で、次のように言及している。

    「抗議、上訴および再審請求の保証金について、金額の見直しを前提とした評価を行うことで合意された。さらに、調査開始に対する料金の導入についても議論された」

    F1 国際自動車連盟(FIA)

    ザク・ブラウン「言うなら金を出せ」
    マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、メルセデスのトト・ヴォルフとともに、制度改革の必要性を強く訴えている一人だ。

    PlanetF1のインタビューでブラウンは、レッドブルを名指しすることなく、「あるチームが、実体のない訴えを競争妨害の手段として用いている」と指摘した。

    「FIAの貴重な時間とリソースが無駄にされている。われわれのような競技団体が、FIAにそんなことをさせている場合じゃないと思う」と語る。

    その上で、抗議は本質的に必要な制度であるとしつつ、軽率な申し立てを抑制するために金銭的なハードルを設けるべきだと強調した。

    「もし他チームに何か言いたいなら、もちろん構わない。ただし、しかるべきプロセスに従って、相応の金を出すべきだ。その金額は簡単には無視できない額であるべきだし、コストキャップの中に含まれるべきだ」

    「もし疑いが事実と判明すれば、その金は返還される。しかし、根拠がなかったり、軽率だったと判断されれば、金は返ってこないし、コストキャップにも影響する」

    「チームが『この抗議に2万5千ドル、あるいは5万ドルかかるけど、単なる嫌がらせのためだけにそれだけ払うか?』と悩むようになれば、その金はむしろ新しいフロントウイングかリアウイングの開発に使った方がいいと思うはずだ。現状は行き過ぎている」

    ブラウンはさらに、FIAに対して誠実でない行動を取るチームに対しては厳しい対応が必要だと訴えた。

    「FIAに対して不誠実な態度をとったり、根拠のない主張をするようなことは、見過ごされてはならない。本当に他チームに不正があると信じているなら、構わない。でも、言うなら金を出せ、ということだ」

  • オリバー・ベアマン フェルスタッペンに同調「F1の厳罰化は本能を奪っている」

    オリバー・ベアマン フェルスタッペンに同調「F1の厳罰化は本能を奪っている」

    オリバー・ベアマンは、F1におけるドライバーの言動やレース中の行動に対するFIAの取り締まりが厳しくなっていることについて、マックス・フェルスタッペンの批判に同調した。

    現F1ワールドチャンピオンであるフェルスタッペンは、FIAが年々増やしている行動規範やレース中の規制が「本能的な判断を妨げている」として批判。今月初めには次のように語っていた。

    「バトルの中で本気で仕掛けられないと感じる瞬間がある。本能的じゃないとさえ感じる」

    「『ここでやっていいのか? それともペナルティを受けるのか?』って考えてしまう。それはもうレースじゃない」

    ハースの新人である20歳のベアマンも、Speed Weekの取材に応じ、フェルスタッペンと同様の見解を示した。彼は2024年にケビン・マグヌッセンが受けたレース出場停止処分を、その象徴的な例として挙げている。

    「マックスの意見に賛成する。マグヌッセンの出場停止はいい例だと思う。違反行為そのものはそこまで重大じゃなかったけど、ペナルティポイントの累積という意味では重かった」

    「正直、かなり厳しかったと思う。たとえばオーバーテイクに失敗して2台ともそのまま直進した場面もあったけど、あれは誰にも被害を与えていない。危険でもなかった。そんな行動に2ポイントも与えられたのは疑問だった」

    ベアマン自身も、地元シルバーストンでのグランプリにおいて赤旗中の違反で10グリッド降格と4ポイントのペナルティを受けている。こうした事例は、今のF1が過剰に厳しい環境になっていることを示している。

    「今はほんの些細なことでポイントがどんどん加算される。ドライバーとしてはホイール・トゥ・ホイールの戦いがしたいし、それを見たいと思っているファンも多いはず。もちろん不公平な動きがあれば罰せられるべきだけど、もっと適切なバランスが必要だと思う」

    さらにベアマンは、「本能」よりも「罰を恐れる気持ち」が前に出てしまう場面もあると語る。

    「レース中にふと、ガイドラインの一文が頭をよぎって、それで相手を先に行かせてしまうことがある。それって自然じゃない」

    「その場の判断は一瞬で求められる。FIAの5ページにわたるドキュメントを思い出してる余裕なんてない」

    「FIAの考え方自体は理解しているし、接触やバトルに対して一貫性を求めるのも当然。でも、それをすべての状況に当てはめるのはやっぱり難しいと思う」

  • F1がV8回帰で得るかもしれない利益とは? FIA会長スライエムの構想

    F1がV8回帰で得るかもしれない利益とは? FIA会長スライエムの構想

    F1が再び自然吸気エンジンに回帰する可能性が、今、静かに議論され始めている。

    FIA(国際自動車連盟)会長モハメド・ビン・スライエムは、次世代パワーユニットにV8エンジンの導入を検討すべきだと提言しており、この動きがF1にとって思いがけない追い風となる可能性がある。

    EV万能論からの揺り戻し
    自動車業界では長らく「完全電動化」が潮流とされてきたが、最近ではその勢いに陰りも見え始めている。高額な価格、充電インフラの未整備、そして一部消費者の心理的な抵抗感──こうした要因が、内燃機関の再評価を促しているのだ。とりわけ欧州では、中国から流入する安価なEVに対抗する術を模索する中で、従来型エンジンへの依存を完全に断ち切ることのリスクも再認識されつつある。

    この潮流の中、F1が持つ象徴的な意味合いも変化しようとしている。現行レギュレーションでは2026年から電動化と内燃比率を50:50に設定するが、これはチームやファンからの評価が分かれている。FIAは将来的にこの比率を80:20あるいは90:10で内燃寄りに変更する案も視野に入れており、そこにV8エンジンという「折衷案」が浮上してきた。

    現実的なV8回帰のシナリオ
    かつてのV10やV12エンジンに比べ、V8は依然として多くの市販車メーカーが採用する現実的な構成だ。コスト面でも利点があり、パフォーマンスと魅力的なエンジンサウンドを維持しつつ、持続可能燃料との組み合わせによってカーボンニュートラルを実現できる可能性もある。

    こうした動きの中、ホンダ・レーシングの渡辺康治社長は、F1の将来のパワーユニット規定に関する議論について「現在は一時的に停止している」と語り、メーカーとしてはまず2026年の新レギュレーションに向けた準備に集中していると明らかにした。

    FIAは今年4月、持続可能な燃料で駆動するV10エンジンなども視野に入れた将来的な技術規定の検討に向け、各エンジンメーカーとの非公開会合を実施。その後、少なくとも2029年までは現行の持続可能性重視の方針を維持することが発表されていた。

    これを受けて渡辺氏は、日本の報道機関の取材に対し、今後の議論が完全に終了したわけではないとしつつも、当面は2026年に導入される電動化と内燃機関が半々となる新規定への対応が最優先であると述べた。

    またホンダとしては、F1が今後もモータースポーツの最高峰であり続けることを望んでおり、そのために「どのようなパワーユニットの形がふさわしいのか」を引き続き考えていく姿勢を示した。

    FIAのシングルシーター部門を率いるニコラス・トンバジスも、「持続可能性と技術の自由度のバランスを取ることは容易ではないが、コスト削減を常に最優先に考えるべきだ」と述べ、メーカー各社にも合理化の提案を求めている。

    スライエム会長はこの構想について「準備には3年かかる。2029年には導入可能な形にしたい」と語っており、実現には中長期的な調整が必要とされるが、すでにFIA内では具体的な議論が進められているという。

    モハメド・ビン・スライエム FIA(国際自動車連盟)会長

    統一部品によるコスト削減
    エンジン構造だけでなく、ギアボックスやハイブリッドシステムの標準化も議論の俎上に上っている。これにより、設計・開発・製造にかかるコストを大幅に抑えることが可能になる。過去にもECU(エンジン制御装置)の共通化が実現されており、その際に懸念された性能差や不公平は現実には起こらなかった。

    ただし、ハイブリッド関連の部品については、ブランドごとの独自性や研究投資を重視するメーカーの抵抗が予想される。とはいえ、それが観客の目に触れる技術ではない以上、コスト削減の大義が支持を集める可能性は高い。

    燃料供給の一本化とその難しさ
    さらに、スライエム会長は「燃料の一社供給」案も示している。これは持続可能燃料の高騰(現在1リットルあたり約275〜300ドル)を背景に、コスト負担の軽減を目指した提案だ。だが、燃料メーカーにとってはパフォーマンスとの結びつきがブランド訴求の要であり、反発も予想される。

    たとえばフェラーリと長年提携するシェルは、同社のV-Powerブランドの技術力をF1で実証してきた。もし燃料が他社製に置き換われば、表面上は提携を継続していても、実態との乖離がブランドイメージに影響を及ぼしかねない。

    変革の本質は「備え」にある
    F1は今、人気・商業ともに絶頂期にある。だが、スライエム会長が繰り返し強調するのは「だからこそ、今が備えるべき時だ」という視点だ。地政学的リスクや経済の先行き不透明さを踏まえれば、F1が安定性と柔軟性を兼ね備えた技術構成へと移行することは、将来への強固な布石となる。

    V8回帰の構想は、単なる郷愁ではない。コスト、サウンド、技術バランス、そして持続可能性──そのすべてを見据えた上での、戦略的な選択肢である。F1がその道を選ぶとき、かつての「熱狂」は再び現代の現実と結びつくことになるかもしれない。

  • F1元スチュワードのティム・メイヤーがFIA会長選の公約の第一弾を発表

    F1元スチュワードのティム・メイヤーがFIA会長選の公約の第一弾を発表

    F1元スチュワードのティム・メイヤーは、次期FIA(国際自動車連盟)会長選への出馬を表明して以降、初の正式な選挙公約「インパクト・マニフェスト(影響重視の公約)」を発表し、現FIA体制に対して明確な対立姿勢を打ち出した。

    彼は、公約の冒頭で「我々の使命は、現FIA指導部に代わる説得力ある選択肢を加盟クラブに提供することだ」と述べ、FIAの倫理的かつ効果的な運営を強調した。

    今回発表された内容はFIA全体のガバナンス体制に焦点を当てたもので、「ガバナンス」ではなく「インパクト(影響力)」に言葉を置き換えるという演出も含まれている。プレゼン資料では「FIAのガバナンスは国際評価で継続的に低下中」と主張し、2028年までに「世界のスポーツ統治機関の上位20%」にFIAを押し上げると宣言している。

    「支配型」から「サービス型」への転換を宣言
    メイヤーの改革案は、「支配型カルチャーからサービス型カルチャーへの転換」を掲げ、いくつかの段階的マイルストーンを提示している。

    ■ 初日(Day 1):「会長の過剰な権限を撤廃」
    執行委員会や監査委員会に対する会長の即時解任権の削除を含む。

    ■ 100日以内:「会長の執行権限を再構築」
    会長はFIAの象徴的な存在とし、実務執行から距離を置く。また、各加盟クラブの成長を支援する「助成金サポート部門」や、財務監査の独立委員会を設置。「真実と和解の仕組み」を創設し、過去の内部的な圧力・倫理違反などを外部の第三者の手で調査できる体制を整えるという。

    この「真実と和解」の枠組みは「報復ではなく癒やし」を目的とし、「外部支援を伴うプロセス」として提案されている。

    F1依存の脱却と財政改革も目指す
    1年目の目標としては、FIAの経費の効率化、収益の一定割合を加盟クラブへの投資に振り向けること、そして特定カテゴリー(暗にF1)への過度な依存を減らす収益多様化戦略を掲げた。ただし、FIAは商業部門と統治部門を明確に分離する義務があるため、ここは制度上も慎重な対応が求められる部分だ。

    実際、現体制が世界ラリークロス選手権の商業権を取得すると発表した際には、競争法上の問題が浮上していた。

    選挙制度改革にも踏み込む
    2〜4年目にかけては、加盟クラブの拡大や成長支援に注力しつつ、ジャン・トッドおよびビン・スライエム体制下で導入された「現職優遇」の制度の見直しにも言及。特に、選挙直前のルール改変を抑制するため、「あらゆる規約変更は120日前に公表され、加盟クラブによる議論と理解の機会を確保すべき」としている。

    この提案は、6月の総会で選挙規定が一部改正された際に、オーストリア自動車クラブなどから「議論不十分」との批判が出たことを受けたものだ。

    副会長リストとスポーツ・モビリティ政策は未公表
    メイヤーは、「提案内容へのフィードバックを加盟クラブから募る」というオープンソース型の戦略形成を強調しているが、まだ重要な構成要素が欠けている。それが、スポーツおよびモビリティ分野に関する具体策と、副会長候補のリストだ。

    関係者によれば、副会長チームはすでに内定しているが、反対勢力による牽制や妨害を避けるため、現時点では匿名とされている。これは、2013年にデビッド・ワードがジャン・トッドへの対立候補を断念した背景として、北米のモータースポーツクラブ12団体のうち11団体がすでにトッド支持を表明していたことが教訓となっているという。

    今後、加盟クラブが支持候補を決めるにあたっては、倫理やガバナンスの理念も重要ではあるが、より実利的な「我々に何をしてくれるのか」が判断材料となる。したがって、メイヤーが提示するモビリティおよびスポーツ政策の中身こそが、今後の勝敗を左右する決定的要素となるだろう。

  • セバスチャン・ベッテル F1後の進路は「まだ検討段階」 FIA会長就任には慎重

    セバスチャン・ベッテル F1後の進路は「まだ検討段階」 FIA会長就任には慎重

    セバスチャン・ベッテルは、将来的にFIA(国際自動車連盟)の会長に就任するという考えについて、「今の時点で語るのはプロフェッショナルではない」と慎重な姿勢を示した。これは、ロス・ブラウンがかつて彼をFIA会長候補として挙げたことを受けての発言だ。

    「FIA会長の責任について、僕は十分に理解していない」とベッテルは独Auto Motor und Sportに語った。

    「F1の視点から見えるのはその一部だけだ。少しは理解しているけど、評価できるほどではない。だから、今『想像できる』なんて言うのはプロらしくないと思う」

    現在38歳のベッテルは、F1復帰の可能性をすでに否定しているが、ル・マンやWEC(世界耐久選手権)参戦には依然として含みを持たせている。

    「本当に恋しく思うのは競争だ。重要な決断を下さなければならない、あの緊張感のある瞬間がね」と彼は語った。「でも、それが“もう何にも乗らない”という意味ではない」

    ベッテルは今もレッドブルとの関係を保っており、将来的にヘルムート・マルコのアドバイザー職を引き継ぐ可能性についても完全には否定していない。

    「ヘルムートとは長年の付き合いだし、今も連絡を取っている」と彼は明かした。「もしその話がより具体的になったら、まずはその仕事がどんな内容なのかを把握する必要がある。そのうえで、どうするかを決めるだろうね」

    また、ベッテルはマーク・ウェバーがオスカー・ピアストリに対して行っているような若手ドライバーのメンタリングにも意義を見出している。

    「若い才能にとって、助けてくれる存在がいるというのは非常に価値がある」とベッテルは述べた。「ブレーキングポイントを教えるとかではなく、メンタル面でのサポートが重要なんだ。次のハミルトンやシューマッハを作ることではなく、その人自身の強みを引き出す手助けをするということだ」

  • マクラーレン FIAに苦言「F1ドライバーの発言の自由を取り戻すべき」

    マクラーレン FIAに苦言「F1ドライバーの発言の自由を取り戻すべき」

    マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは、FIA(国際自動車連盟)と協議し、F1ドライバーが自由に意見を述べられる環境を取り戻す意向を示した。

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムによる発言や振る舞いへの厳格な対応方針は、これまで多くの反発を招いてきた。スライエム会長はイギリスGPの場で「ドライバーの声に耳を傾け、スポーティングコードのセクションBを修正し、罰則を緩和した」と主張した。

    しかし、依然として国際スポーティングコード第12.2.1.f条には、以下のような表現が残されている。

    「FIA、その機関、構成員、役員、またはモータースポーツの利益およびFIAが擁護する価値に対し、道徳的損害や損失を与える言動、文書、発言など」

    この曖昧な条項が残されている限り、F1ドライバーにとっては自由に意見を述べることがリスクを伴う状態が続く。

    現在ランキング首位に立つオスカー・ピアストリも、イギリスGPでセーフティカー中のブレーキ行為により10秒ペナルティを科された直後、怒りをにじませながらも口を慎んだ。

    「ここで何か言えば、年間出場停止になるかもしれない」とピアストリは苦笑まじりに語った。

    「あまり多くは言わないよ。問題になるからね」と続けた。

    マックス・フェルスタッペンも同様に、FIA記者会見で以前より静かな態度を見せており、当該条項の存在が彼の発言を抑制していると見られている。

    マクラーレン F1

    ステラ代表はピアストリの慎重な姿勢を支持しつつも、次のようにFIAに提言している。

    「F1のようにヒートアップしやすい環境では、ドライバーにはまず映像を確認してから発言するよう助言している」

    しかし、ドライバーが正当な意見すら述べられない状態は問題だと強調した。

    「公正な意見すら問題視されるなら、それは別の次元の話だ」

    「この点は見直す必要がある。我々はFIAと協力してそれを行うつもりだ」

    「対立する意図はまったくない。この点においてはすべての関係者の利害は一致している」

    「我々は常にFIAおよびスチュワードと協調的な立場を取っている」

    F1における自由な意見表明とスポーツマンシップとのバランスは、今後の大きな論点になりそうだ。

  • F1 2029年にV8エンジン復活? FIA会長「目標は50%以上のコスト削減」

    F1 2029年にV8エンジン復活? FIA会長「目標は50%以上のコスト削減」

    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、F1が2029年シーズンにも大幅にコストを抑えたV8エンジン規定へ移行すべきだと改めて主張した。また、F1グリッドに12番目のチームが加わる可能性についても語っている。

    シルバーストンで開催されたF1イギリスGPの週末、ビン・スライエムはFleet Streetのジャーナリストに対し、より安価なエンジンフォーミュラへの早期移行が必要であり、それは2029年にも実現可能だとの見解を示した。2026年に導入される次世代パワーユニットからわずか3年後の見直しとなる。

    「我々にとって、V8は実現に向けて進んでいる」とビン・スライエムは述べた。

    「チーム側も前向きだし、私は非常に楽観的で満足している。FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)も協力的で、チームもこれが正しい道だと認識しつつある」

    「早く進めなければならない。準備には3年かかる。だから2029年には何かしらの形で実現していたい。ただし、燃料は非常に高価だし、それにも注意を払う必要がある。ギアボックスも非常に高額だ」

    「今のエンジンはとにかく複雑で、信じられないほどコストがかかる。R&D(研究開発費)は2億ドルに達しており、エンジン単体でもおよそ180万~210万ドルかかっている。だからこそ、シンプルなV8に移行すればどうなるか見てみたい」

    FIA 国際自動車連盟 F1 V型8気筒 エンジン

    この発言は、今季序盤にFIA幹部が主張した「安価なエンジンの必要性」と一致している。当時はバーレーンで現行および将来のパワーユニットメーカーが集まり、話し合いが行われた。

    その会合では、F1の将来のエンジン規定において電動化の要素と持続可能な燃料は継続すべきという認識が共有され、具体的なフォーミュラは今後の協議に委ねられた。ただし、それ以降は正式な議論は行われていない。

    なお、将来的なパワーユニットの変更にはFIAとFOM(商業権保有者)の合意に加え、メーカー間の「スーパー・マジョリティ(特別多数決)」の支持が必要だ。

    当初はV10エンジンを望んでいたビン・スライエムだが、より実用性が高く軽量なV8エンジンに小規模なハイブリッドシステムを組み合わせる案の方が現実的と考えを改めている。これにより、最低重量のさらなる削減にもつながる可能性がある。

    「多くの自動車メーカーがV8エンジンを市販車にも使っているので、商業的にも理にかなっている」とビン・スライエムは説明した。

    「目指すのはすべてにおいて50%以上のコスト削減だ」

    さらに、F1のグリッドに12番目のチームが加わる可能性についても触れた。FIAはかつてゼネラルモーターズ(GM)とキャデラックによる2026年参入を目指す動きを後押ししていたが、現在は中国からの参戦に期待を寄せているという。ただし、現時点では具体的な申請はない。

    「タイミングが整えば、改めて“エクスプレッション・オブ・インタレスト(EOI)”を公募することになるだろう」とビン・スライエムは述べた。

    「我々は既存チームを混乱させるためにやるわけではない。単に枠を埋めるためでもない。F1ビジネスを維持・発展させる価値をそのチームが持っているかが重要なんだ」