カテゴリー: スクーデリア・フェラーリ

  • ラファエル・カマラ ハースF1加入報道を冷静視「今は何も分からない」

    ラファエル・カマラ ハースF1加入報道を冷静視「今は何も分からない」

    ラファエル・カマラは、自身に浮上している2027年のハースF1加入説について、「今は何も分からない」と冷静な姿勢を示した。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に所属する21歳のブラジル人は、今季FIA F2選手権で好成績を残しており、エステバン・オコンの後任候補として名前が挙がっている。しかし本人は、F1昇格への期待を認めつつも、「今は今年のF2に集中している」と強調した。

    ハースF1加入の噂にも冷静な姿勢
    フェラーリとハースF1の強い関係性から、カマラは2027年にエステバン・オコンの後任として加入する有力候補とみられている。ほかにも候補者の名前は挙がっているものの、フェラーリ育成ドライバーであるカマラへの注目は高まっている。

    2022年からフェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するカマラは、F2デビューイヤーの今季、ここまで4回のポールポジションと2勝を記録するなど、タイトル争いを展開している。

    F2公式サイトのインタビューで、F1昇格の噂について質問されたカマラは、次のように語った。

    「そういう話が出るのはうれしいことだ」

    「現時点では何が起こるかは本当に分からない。でも、夢が近づいていると感じられるのは素晴らしいことだ」

    「でも同時に、そのことばかり考えすぎるわけにはいかない。今はとても重要な選手権を戦っているし、良い結果を残せば、おそらくチャンスはやって来る」

    「だから僕は、本当に今シーズンに集中している」

    ラファエル・カマラ

    F1テスト経験も大きな財産
    カマラはこれまでにフェラーリで複数回にわたりF1マシンのテストも経験している。

    将来のF1参戦については、夢であることを認めながらも、テストではドライバーとしての責任を強く意識していたという。

    「もちろん夢はフルタイムでF1に参戦することだ。でも、その瞬間は本当に感情が込み上げるものだった」

    「同時に、それは仕事でもある。できる限り楽しもうとするけれど、それでも良い仕事をしなければならない」

    F2で結果を残すことが最優先
    カマラは現在、F2ルーキーイヤーながら優勝争いに加わる活躍を見せている。安定した速さを武器に評価を高めており、2027年のF1シート候補として名前が挙がるのも不思議ではない状況だ。

    それでも本人は、将来の噂に気を取られることなく、まずはF2で結果を残すことがF1への最短ルートだと考えている。

    その冷静な姿勢は、フェラーリ育成ドライバーとして着実にステップアップを目指すカマラらしさを物語っている。

  • ルイス・ハミルトンの復活を元F1ドライバーが称賛「再び本来の姿を取り戻した」

    ルイス・ハミルトンの復活を元F1ドライバーが称賛「再び本来の姿を取り戻した」

    2025年にフェラーリ移籍初年度の苦戦を経験したルイス・ハミルトンだが、2026年はスペインGPで移籍後初勝利を挙げるなど復調を印象づけている。

    その復活ぶりについて、かつてF1で活躍した名ドライバーたちが相次いで評価。ゲルハルト・ベルガーやデイモン・ヒルらは、苦しい時期を乗り越えて再び勝利をつかんだハミルトンの精神力と実力を高く称えている。

    ベルガー「ハミルトンは苦境から這い上がった」
    元フェラーリドライバーのゲルハルト・ベルガーは、フェラーリでの初年度に苦戦したハミルトンが再び結果を残し始めたことを喜んでいる。

    「フェラーリが勝つ姿を見るだけで誰もがうれしい。フェラーリは特別な存在だからね」

    「ルイスのこともうれしかった。フェラーリに来て過去の成功を再現したいと思っていたが、技術的にもチームメイトとの比較でも非常に難しい状況に置かれてしまった」

    「昨年は本当に厳しい一年だった。しかし今は再び本来の調子を取り戻しつつあるように見える」

    ヨハンソン「2%の勝機を勝利へ変える能力」
    元F1ドライバーのステファン・ヨハンソンは、スペインGPでのハミルトンの勝利は、王者らしいレースマネジメントだったと分析する。

    「バルセロナでのレースは、まさにルイス・ハミルトンらしい勝利だった」

    「彼は金曜日の段階で勝てる可能性を感じ取り、レース前から勝つためのプランを組み立て、それを完璧に実行した」

    「正直、あの状況で勝てたドライバーは多くないと思う。しかし彼は何をすべきかを正確に理解し、それをやり切った。それこそがチャンピオンの証だ」

    「彼らは2%しかないチャンスでも勝利へ結び付けられる。マックス・フェルスタッペンも同じタイプのドライバーだ」

    フィッティパルディ「年齢への批判を実力で覆した」
    2度のF1王者エマーソン・フィッティパルディは、自身も年齢による批判を受けた経験があるとして、ハミルトンに共感を示した。

    「ルイスとフェラーリが速さを見せて本当にうれしかった。昨年の状況は、私自身がインディカーやF1で経験したことでもある」

    「年齢を重ねると『もう速く走れない』と言われ始める。昨年は誰もが『ルクレールに勝てない』『年を取り過ぎた』とルイスを批判していた」

    「しかし今の彼は絶好調だ。これはF1にとってもファンにとっても素晴らしいことだ」

    さらにフィッティパルディは、2026年型マシンの特性もハミルトン復活の要因になっていると考えている。

    「今年のマシンは小型化され、ダウンフォースも減っている。その分、速く走らせるのが難しくなり、ドライバーの才能がより際立つ」

    「ルイスはマシンコントロールとフィーリングに優れた非常に才能あるドライバーだ。フェラーリとの2年目を迎え、エンジニアやチームのやり方も完全に理解している」

    ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ

    ヒル「競争心がハミルトンを支えている」
    1996年F1ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルは、ハミルトンほどの競争心を持つ人物なら苦境から立ち直るのは当然だったと語る。

    「本物は最後には必ず浮かび上がってくる。彼を半分に切っても、中身はすべて『競争心』でできているような人間だ」

    「彼は何をやっても勝ちたいタイプで、簡単に諦めることなどない」

    ヒルは、ハミルトン自身がフェラーリの開発にも大きく関与したことが復活につながったと考えている。

    「彼は冬の間に懸命に努力し、自分が望むフェラーリのセットアップをチームへ伝えてきた」

    「フェラーリは莫大な金額を払って彼を獲得した。だから彼は『ただチームのやり方に従うだけではない。自分の求める方向へマシンを作ってもらう』という姿勢を貫いた」

    「彼の実績と影響力を最大限に活用した。それは当然のことだ」

    ブーツェン「敗北から学んだから再び勝てた」
    ティエリー・ブーツェンも、ハミルトンの復活劇を高く評価する一人だ。

    「ルイスはルイスだ。彼はトップにいるべきドライバーだ」

    「昨年は自信やマシン性能など様々な要素が重なって苦しんだ。しかしマシンが改善されれば、すぐに本来の力を発揮した」

    ブーツェンは、ニキ・ラウダの言葉を引用しながら、敗北が成長につながったと指摘する。

    「ニキ・ラウダは『勝っている時には何も学べない。負けた時こそ多くを学べる』と言っていた」

    「勝てない時こそ、自分自身やマシン、チームとの関係まで徹底的に分析し、改善を重ねる。そしてそれを乗り越えた時に再び勝利をつかめる」

    「常に勝ち続けることは不可能だ。だからこそ苦しい経験が次の成功につながるのである。」

  • ルイス・ハミルトン NFL投資が大成功 100億ドル評価目前で資産価値急騰

    ルイス・ハミルトン NFL投資が大成功 100億ドル評価目前で資産価値急騰

    ルイス・ハミルトンは、F1で成功を収めるだけでなく、投資家としても卓越した手腕を発揮している。

    フェラーリから年間約94億円(6000万ドル)の報酬を受け取る7度のF1ワールドチャンピオンは、高級不動産やさまざまな投資資産を保有している。その中でも2022年に行ったNFLチームへの投資は、わずか4年で大きなリターンを生み出しつつある。

    デンバー・ブロンコスへの投資価値が急騰
    2022年、ルイス・ハミルトンはウォルマート創業家のロブ・ウォルトン氏が率いる投資グループの一員として、NFLのデンバー・ブロンコスを46億5000万ドル(約7300億円)で買収した。当時としては北米スポーツ史上最高額での球団売却だった。

    投資グループには元米国務長官のコンドリーザ・ライス氏らも参加し、ハミルトンは少数株主として名を連ねた。

    当時から将来性の高い投資と評価されていたが、その後のNFL市場の急成長によって、保有する持ち分の価値は想定を上回るペースで上昇している。

    NFL球団は100億ドル時代へ
    NFLではテレビ放映権収入の急拡大を背景に、球団価値が過去に例を見ない勢いで上昇している。

    その象徴となったのが、スーパーボウル王者シアトル・シーホークスの売却だ。2026年、コースラ家が96億1200万ドル(約1兆509億円)で買収し、北米スポーツ史上最高額を大幅に更新した。

    この売却以前から、デンバー・ブロンコスとシアトル・シーホークスはほぼ同等の価値を持つ球団と評価されていた。

    フォーブスが2025年に発表したNFL球団価値ランキングでは、ブロンコスは68億ドル(約1兆678億円)、シーホークスは67億ドル(約1兆519億円)と査定されていた。しかし実際の売却額は、その評価を約50%も上回る水準となった。

    この結果を受け、ブロンコスをはじめとする複数のNFL球団は現在100億ドル(約1兆5700億円)規模の価値を持つとみられている。ハミルトンが保有する株式も、この4年間でほぼ倍の価値になったと考えられており、その上昇は今後も続く可能性が高い。

    絶妙だった投資タイミング
    ハミルトンは、NFLの放映権ビジネスが大きく成長するタイミングで投資を行った。

    NFLは2021年、CBS、FOX、Amazon、ESPNなどと総額1110億ドル(約17兆4270億円)に及ぶ11年間の大型放映権契約を締結。リーグ全体の収益は急速に拡大している。

    契約期間はまだ半分にも達していないが、NFLのロジャー・グッデル・コミッショナーは放送局との契約見直しを望んでいると報じられており、さらなる放映権料の引き上げが期待されている。

    収益が増えればオーナーへの利益配分も拡大し、球団価値はさらに押し上げられる見通しだ。現在は球団の少数株式を外部投資家へ売却することも認められており、市場価値の上昇を後押ししている。

    F1チームの価値上昇とも共通する流れ
    NFLの急成長は、近年のF1にも通じるものがある。

    Netflixの人気シリーズ『Drive to Survive』やリバティ・メディアによるF1買収以降、F1人気は世界的に拡大。テレビ放映権や開催権料、グッズ販売収入が増加し、さらにコストキャップ導入によってチームの収益性も改善した。

    その結果、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは保有株の一部を約3億ドル(約471億円)で売却し、チーム全体の企業価値は59億7000万ドル(約9373億円)と評価された。

    ハミルトンはサーキットで数々のタイトルを獲得してきたが、投資家としても優れた判断力を発揮している。2022年のデンバー・ブロンコスへの出資は、その先見性を示す代表例となり、NFL人気の拡大とともに今後も資産価値を伸ばしていく可能性が高そうだ。

  • フェラーリF1代表 後半戦の最優先課題「開発ペース維持が最も重要」

    フェラーリF1代表 後半戦の最優先課題「開発ペース維持が最も重要」

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、2026年シーズン後半戦でチームにとって「最も重要」なのは現在の開発ペースを維持し続けることだと強調した。

    フェラーリは前半戦を好調に戦い、コンストラクターズランキングでは2位につけている。ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールがそれぞれ1勝ずつを挙げ、ドライバーズランキングではハミルトンが首位アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を50ポイント差で追っている。

    前半戦は「スペインGPが転換点」
    バスールは、夏休み前までのシーズンを振り返り、スペインGPを境に流れが変わったと説明した。

    「前半戦は、おそらく2つの段階に分けられると思う」

    「最初はスペインGPまでだ。その間の4〜5戦では、メルセデスが圧倒的に速く、我々より100ポイント近く多く獲得していた」

    「しかし、おそらくスペインGP以降は状況が変わり、この4〜5戦では我々の方がメルセデスより多くのポイントを獲得できた」

    フェラーリは今季、大規模アップグレードを一度に投入するマクラーレンやレッドブルとは異なり、小規模な改良を毎戦投入し続ける方針を採用している。その積み重ねが、シーズン中盤以降の巻き返しにつながったとみられる。

    課題は実行力とパワーユニット開発
    一方で、バスールはさらなる改善が必要な分野としてレース運営とパワーユニットを挙げた。

    「今日(ハンガリーGP終了時点)を基準に結論を出すなら、改善すべきなのは実行力だと言える」

    「ただ、シーズン開幕からここまでを見れば、その実行力は我々の強みでもあった」

    「エンジン面を改善しなければならないことは理解しているし、それは進めていく。ただし、エンジンはシャシーよりも開発の反応が遅く、改善には時間がかかる」

    フェラーリは今季導入されたADUO(追加開発機会)制度を利用して、すでに1回目のパワーユニットアップグレードを投入。シーズン後半には2回目の改良も予定されている。

    スクーデリア・フェラーリ

    「開発ペースを維持することが最重要」
    バスールは、残りのシーズンで最大のテーマは開発を止めないことだと改めて強調した。

    「最も重要なのは、この開発ペースを維持し続けることだ」

    「マクラーレンは我々とは異なる哲学を採っている。大型アップグレードを投入し、そのたびに非常に大きな前進を遂げている。直近ではマイアミかカナダだったと思う」

    「我々は違うアプローチを選んでいる。毎戦のように新しいパーツを投入し続ける方法だ」

    「この勢いを維持しなければならない。残りは11戦か12戦か、正確な数は分からないが、まだ多くのレースが残っている」

    「シャシーにはあらゆる面で改善の余地がある。だから、この開発スピードを維持し続けなければならない」

    大型アップグレードで一気に性能を引き上げるライバルとは対照的に、フェラーリは継続的な進化を積み重ねる開発哲学を貫いている。バスールは、この積み重ねこそがタイトル争いを続けるための最大の鍵になるとの考えを示した。

  • シャルル・ルクレール フェラーリF1に積極開発を要求「攻め続けなければならない」

    シャルル・ルクレール フェラーリF1に積極開発を要求「攻め続けなければならない」

    フェラーリのシャルル・ルクレールは、2026年F1で激化するアップデート競争を勝ち抜くためには、現在の積極的な開発姿勢を維持することが不可欠だと強調した。

    2026年は新レギュレーション導入によって各チームの開発余地が大きく広がり、アップデートによる性能向上が過去数年よりも大きく現れるシーズンとなっている。

    フェラーリもマイアミGPやスペインGPで大規模アップデートを投入し、オーストリアGPでは新型パワーユニットを投入するなど、開発競争の先頭を走ってきた。

    新レギュレーションで激化する開発競争
    2022年から続いたグラウンドエフェクト規定の最終年となった2025年は、多くのチームが開発の限界に近づき、アップデートによる性能向上は徐々に小さくなっていた。

    しかし2026年はシャシーと空力コンセプトが全面的に刷新され、ダウンフォース生成もフロア主体からウイングの比重が高い設計へと変化。その結果、各チームはアップデートによって大きな性能向上を得られる状況となり、開発競争は例年以上に激しさを増している。

    その中でもフェラーリは、積極的なアップデート投入でライバルとの差を縮めようとしている。

    ハンガリーGPで露呈した一貫性の課題
    しかしハンガリーGPでは事前の優勝候補という評価に反し、ルクレールが4位、ルイス・ハミルトンが5位に終わった。

    コンストラクターズランキングでは首位メルセデスに72ポイント差をつけられ、ドライバーズランキングでもハミルトンは首位アンドレア・キミ・アントネッリに59ポイント差を追う状況で、フェラーリには巻き返しが求められている。

    ルクレールはレース後、SF-26の挙動には一貫性を欠く難しさがあると説明した。

    「スタートで代償を払ってしまったし、レース全体を通して特別に速かったわけでもなかった」

    「ハードタイヤでの最初のスティントは悪くなかったし、最後のソフトタイヤでのスティントもかなり良かった。でも良かったり悪かったりの波が大きすぎる。その一貫性を見つけることが、このクルマで取り組まなければならない課題だ」

    シャルル・ルクレール

    「攻め続けることが重要」
    ルクレールは、ドライバーごと、さらにはスティントごとにマシンの挙動が変化してしまう点を問題視している。

    「ルイスにとって難しいスティントもあれば、僕にとって難しいスティントもあった。すべての挙動に相関性がないように感じられるのが少し不思議なんだ」

    その一方で、現在のF1では開発競争が勝敗を左右する最大の要素になっていると指摘した。

    「アップグレードの効果は以前よりもずっと大きい。大幅な性能向上を実現できるからだ」

    「だからこそ、開発競争で優位を維持し、これまでと同じように積極的な開発を続けていくことが重要になる」

    夏休み明け以降も各チームが大型アップデートを予定しており、2026年シーズン後半戦は開発競争がタイトル争いの行方を左右する重要な要素となる。フェラーリが積極的な開発を継続しながらマシンの一貫性という課題を克服できるかが、メルセデス逆転への鍵となりそうだ。

  • キミ・ライコネン フェラーリF1時代の“乾いた路面でフルウェット“事件の真相

    キミ・ライコネン フェラーリF1時代の“乾いた路面でフルウェット“事件の真相

    2009年F1マレーシアGPで、フェラーリがキミ・ライコネンに乾いた路面でフルウエットタイヤを装着した“珍事件”の舞台裏が、当時チームに所属していたロブ・スメドレーの証言によって17年越しに明らかになった。

    当時は「なぜあの判断を下したのか」と長年語り草となっていたが、スメドレーはポッドキャストで、雨雲を読み違えた結果、ピットウォールが混乱状態に陥っていたことを率直に振り返っている。

    雨を先読みしたフェラーリの賭けが裏目に
    2009年当時は給油が認められていたため、各チームは燃料搭載量に応じたピット戦略を組んでいた。

    ライコネンも18周目前後で予定されたピットストップを迎えるタイミングだったが、セパン上空には黒い雨雲が迫っており、フェラーリ首脳陣は「まもなくモンスーン級の豪雨が来る」と判断した。

    その結果、通常のレインタイヤではなく、最も排水性能の高いフルウエットタイヤを装着してコースへ送り出すという大胆な戦略を選択した。

    しかし、雨は予想どおりには降らず、ライコネンは完全に乾いた路面をフルウエットタイヤで走行することになった。

    「これは大混乱だ」ピットウォールで感じた違和感
    当時フェリペ・マッサ側のエンジニアだったロブ・スメドレーは、ポッドキャスト『High Performance Podcast』で当時を次のように振り返った。

    「同僚を悪く言うつもりはないが、あのマシンは僕の担当ではなかった」

    「クリス・ダイヤーとアンドレア・ステラが『雨が降り始めた』『ウエットタイヤにしよう』と話しているのが聞こえた」

    ところが実際には通常のウエットタイヤではなく、フルウエットタイヤを装着する決断が下されたという。

    スメドレーは、その瞬間に「これは大混乱になる」と感じたと明かした。

    さらにレーダー画面を見ると、確かに雨雲は存在していたものの、本格的な豪雨はまだ20分ほど先だったという。

    ライコネンも思わず困惑「何なんだこれは」
    当然ながら、ライコネン本人も状況を理解できなかった。

    スメドレーによると、ライコネンはピットレーンを出た直後に思わず驚きの声を上げたという。

    一方、当時ライコネンのレースエンジニアだったアンドレア・ステラ(現マクラーレンF1代表)は、「もうすぐ雨が来るからタイヤを労わって走ってほしい」と無線で説明し、ドライバーを落ち着かせようとした。

    しかしライコネンは納得せず、不満を漏らしながら周回を重ねた。

    乾いた路面ではフルウエットタイヤは急速に摩耗し、ライコネンは1周あたり約10秒も失う苦しい走行を強いられた。

    雨は来たが時すでに遅し
    約3周後、ようやく本格的な雨が降り始めた。

    だが、その頃にはフルウエットタイヤはすでに使い物にならないほど傷んでおり、フェラーリはライコネンを再びピットへ呼び戻してインターミディエイトタイヤへ交換するしかなかった。

    雨のタイミングを完璧に当てれば戦略的な成功例となるはずだったが、実際には約3周早すぎた判断が裏目に出てしまった。

    結果としてライコネンは最後尾まで順位を落とし、最終的には14位でレースを終えた。

    17年経っても語り継がれるフェラーリ屈指の戦略ミス
    この2009年マレーシアGPは、その後モンスーンによる赤旗中断でレースが再開されず、ハーフポイントが与えられたことでも知られている。

    その中でもライコネンの「乾いた路面でフルウエットタイヤ」という判断は、F1史に残る戦略ミスのひとつとして語り継がれてきた。

    今回のスメドレーの証言によって、その背景には雨雲レーダーへの過信や現場での意思決定の混乱があったことが改めて明らかとなり、フェラーリ史に残る失策の舞台裏がようやく関係者自身の口から語られることになった。

  • ルイス・ハミルトン 初のトレーディングカード専門店をドイツに開業

    ルイス・ハミルトン 初のトレーディングカード専門店をドイツに開業

    ルイス・ハミルトンが、自身の新たなビジネスとして立ち上げたトレーディングカード事業『Card Culture by Lewis Hamilton』の第1号旗艦店をドイツ・フランクフルトにオープンした。

    この事業は、ハミルトンの投資会社と米国の大手カードショップ「Dave and Adam’s Card World」の共同プロジェクトで、今後は欧州をはじめ、オーストラリア、中東、アジアへの店舗展開も計画されている。

    「カード文化」を世界へ広げる新プロジェクト
    ハミルトンは、新事業について「Card Cultureを通じて、これまで誰も実現できなかった形でトレーディングカード文化を広げる大きな可能性があると信じている」と説明した。

    この構想の原点は、幼少期に夢中になったサッカーのトレーディングカードだったという。

    「学校でカードパックを開けるときのワクワク感を今でも覚えている」

    「当時は小さなコミュニティだったけど、スポーツとカードが好きという共通点でみんながつながっていた」

    ハミルトンは、その体験を次世代にも届けたいという思いから事業化を決意した。

    販売だけではない「コミュニティの拠点」
    ハミルトンは、アメリカには1000店以上の専門店が存在する一方で、それ以外の地域では本格的なカードショップが非常に少ないと指摘する。

    「アメリカには1000店以上あるけれど、世界の他の地域ではその何分の一しかない」

    「コレクターやプレーヤー、そして子どもたちがカードパックを開ける楽しさを共有し、コミュニティの一員になれる場所を作りたかった。ただ商品を売るだけの店にはしたくなかった」

    店舗ではカード販売に加え、イベントや交流の場も提供し、カードカルチャー全体を育てることを目指している。

    Card Culture by Lewis Hamilton

    ハミルトン自身も熱心なコレクター
    現在ハミルトンは、約500枚の価値あるポケモンカードを所有しているほか、F1、サッカー、バスケットボール、野球、さらには『スター・ウォーズ』関連のカードも収集している。

    「僕の目標は、コミュニティとカルチャー、そして競争の楽しさを融合させた現代的なカードショップを作ることだ」

    今回のフランクフルト店は、その構想を実現する最初の拠点となる。

    トレーディングカード市場は近年世界的に拡大を続けており、ハミルトンはF1ドライバーとしての知名度だけでなく、自らもコレクターである経験を生かしながら、新たなコミュニティづくりに挑戦していく考えだ。

  • オリバー・ベアマン フェラーリF1に固執せず「王座を争えるならどこへでも行く」

    オリバー・ベアマン フェラーリF1に固執せず「王座を争えるならどこへでも行く」

    オリバー・ベアマンは、レース優勝やF1世界選手権を争えるチャンスがあるなら、フェラーリの育成プログラムを離れる可能性もあることを示唆した。

    現在21歳のベアマンは、厳しいシーズンを送るハースで存在感を示しており、チームは契約継続を望んでいるとみられている。一方で、エステバン・オコンの後任候補としてF2王者レオナルド・フォルナローリやフェラーリ育成のラファエル・カマラの名前も取り沙汰されている。

    また、フェルナンド・アロンソの将来が不透明なことから、アストンマーティン移籍の可能性も噂されている。

    しかし、アロンソのマネジメントにも関わるフラビオ・ブリアトーレは、現時点で来季以降について決定はないと説明した。

    「フェルナンドはアストンマーティンでレースをしている」

    「以前と比べてアストンマーティンは大きく前進したように見えるし、彼自身もチームに満足している」

    「それ以上に言うことは何もない。彼はアストンマーティンのドライバーであり、シーズン終了時点でもアストンマーティンのドライバーだ」

    ハミルトン復調でフェラーリ昇格はより困難に
    ベアマンは、ルイス・ハミルトンが2026年シーズンに復調したことで、自身のフェラーリ昇格への道が以前より厳しくなったことも認めた。

    「もちろん、自分の将来という意味では理想的な状況ではない」

    「でも、僕はまだ若い。まだ21歳だし、そこまで焦っているわけではない」

    「当面ハースに残ることも、僕にとって悪いことではない」

    一方で、ハースにはさらなる競争力向上を求めている。

    「メキシコや他のレースで味わえたような好調な状態を、もう一度取り戻したい」

    「僕との最初のシーズンだけ良かったチームとして終わりたくない。またパフォーマンスを改善して、多くのポイントを獲得できることを願っている」

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    夢はフェラーリ しかし最優先は世界王者
    ベアマンはフェラーリ加入が今でも夢であることを強調した一方、それだけに固執するつもりはないと明言した。

    「フェラーリは夢のチームだ。いつかフェラーリのドライバーになることが僕の目標であることに変わりはない」

    「でも、3年も4年も5年もシートが空くのを待ち続けたいとは思わない。保証なんてないし、自分にとって一番いい時期を無駄にしてしまう可能性もある」

    そして、自身の最大の目標は世界タイトル獲得だと語った。

    「僕の究極の目標は少し自分勝手かもしれない。でも、それでいいと思っている。それが僕がここにいる理由だからだ。僕は世界選手権を争いたい」

    「もしどこかでそのチャンスが得られるなら、その機会をつかむ。フェラーリがその環境を用意できず、別のチームで戦うことになるなら、それも人生だ」

    アストンマーティンとの噂について問われると、ベアマンは将来性を認めながらも、現時点では移籍先として考えているわけではないと語った。

    「いつかアストンマーティンが非常に強いチームになることは間違いないと思う」

    「でも、現時点でそのチームを目指しているわけではない」

    ベアマンはフェラーリへの憧れを隠さない一方で、キャリアの最優先事項は世界タイトル獲得だと強調した。ハースで成長を続けながらも、将来的に優勝やタイトル争いができる環境が他チームにあるなら、その機会を逃さない姿勢を明確に示している。

  • ニキ・ラウダ大事故から50年 エンツォ・フェラーリも驚いた42日後の復帰

    ニキ・ラウダ大事故から50年 エンツォ・フェラーリも驚いた42日後の復帰

    1976年8月1日、F1史上最も衝撃的な事故のひとつとなったニキ・ラウダのニュルブルクリンク事故から50年を迎えた。

    炎に包まれたフェラーリ312T2から奇跡的に救出されたラウダは、生死の境をさまよいながらもわずか42日後にF1へ復帰。その驚異的な復活劇は現在もモータースポーツ史に残る伝説として語り継がれている。

    危険すぎたニュルブルクリンクとラウダの警鐘
    1976年当時、ニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)は全長22.8kmを誇り、高速コーナーや激しい高低差、ブラインド区間が連続する世界屈指の難コースだった。

    一方で、安全設備は現代の基準から見れば極めて不十分だった。コースが長大すぎるため、事故が発生してもマーシャルや救急隊が迅速に現場へ到着することは困難だった。

    当時GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の会長を務めていたラウダは、その危険性を誰よりも理解していた。

    決勝当日の朝、ラウダはドライバーたちを集め、レース中止を提案した。

    レース直前には雨が降ったものの、コース全体ではなく一部だけが濡れている難しいコンディションとなっていた。22kmを超えるコースでは場所によって路面状況が大きく異なり、ラウダは重大事故につながる危険性を強く懸念していた。

    しかし、選手権首位だったラウダに有利な提案だと受け止めるドライバーも多く、最終的な投票ではレース開催が支持された。

    ラウダはその決定を受け入れ、ジェームス・ハントと並ぶフロントローから決勝へ臨んだ。

    炎に包まれたフェラーリ
    決勝は大半のドライバーがレインタイヤでスタートしたが、1周目終了時には路面の乾燥が急速に進み、多くのマシンがスリックタイヤへ交換した。

    ラウダもピットインし、冷えたスリックタイヤで再びコースへ戻った。

    しかし2周目、ベルクヴェルク手前の高速左コーナーでフェラーリ312T2が突然コントロールを失う。

    原因はリアサスペンションのトラブルとする説が有力だが、正式に断定されたことはない。冷えたタイヤと乾き切っていない路面も事故の一因だったと考えられている。

    マシンはガードレールへ激突した後、コース中央へ跳ね返され、燃料タンクが破損して激しく炎上した。

    命を救ったドライバーたち
    衝撃でラウダのヘルメットは脱げ、コクピットは瞬く間に炎に包まれた。

    すぐ後方を走っていたブレット・ランガーやハラルド・アートルは炎上するマシンへ衝突。ガイ・エドワーズは接触を避けてマシンを止め、救助へ向かった。

    そして最も大きな役割を果たしたのがアルトゥーロ・メルツァリオだった。

    メルツァリオは迷うことなく炎上するフェラーリへ駆け寄り、自ら炎の中へ飛び込んでシートベルトを外し、ラウダをコクピットから引きずり出した。この救助でメルツァリオ自身も両手に火傷を負っている。

    ラウダは約1分間にわたって炎と煙にさらされ、顔や頭部に重度の火傷を負った。右耳の一部を失い、まつ毛や眉毛、まぶたにも深刻な損傷を受けた。

    さらに命を脅かしたのは、高温の有毒ガスを吸い込んだことによる肺へのダメージだった。

    病院へ搬送されたラウダは危篤状態となり、昏睡状態に陥ると司祭から終油の秘跡(最後の秘跡)を授けられた。医師たちも生存を確信できないほど深刻な状態だったという。

    一方、レースは再開され、ジェームス・ハントが優勝。ジョディ・シェクター、ヨッヘン・マスが続いた。

    ニキ・ラウダ

    エンツォ・フェラーリが動かした後任探し
    当時、多くの関係者はラウダが二度とF1へ戻ることはないと考えていた。

    そのためフェラーリ創設者エンツォ・フェラーリは、チームマネージャーだったダニエーレ・アウデットにラウダの後任探しを指示したと伝えられている。

    現地で事故を取材していたジャーナリスト、レオ・トゥッリーニによれば、エンツォは「未来を見据える」立場からすぐに代役の確保へ動いたという。

    アウデットはまずエマーソン・フィッティパルディへオファーを出したものの断られ、その後アルゼンチン人ドライバーのカルロス・ロイテマンとの契約をまとめた。

    この判断は、ラウダの生存すら危ぶまれていた状況で後任探しを始めたとして、当時のパドックで物議を醸した。

    誰も予想しなかった42日後の復帰
    しかし、誰も想像していなかった出来事が起こる。

    事故からわずか42日後の1976年9月12日、ラウダはフェラーリの母国レースであるイタリアGPでF1へ復帰した。

    頭には包帯が巻かれ、傷はまだ癒えていなかった。

    ラウダは後に、この復帰が恐怖に満ちたものだったと明かしている。それでもライバルたちに弱さを見せたくないという思いから、再びマシンへ乗り込んだ。

    あまりにも早い復帰だったため、ロイテマンとの契約を済ませていたフェラーリは、モンツァでラウダ、クレイ・レガツォーニ、ロイテマンの3台体制で参戦することになった。

    これはスクーデリア・フェラーリの歴史でも極めて珍しい出来事となった。

    ラウダは復帰戦で4位入賞を果たし、タイトル争いへ復帰。その年の世界選手権は最終戦日本GPまでもつれ込み、豪雨の富士スピードウェイでラウダが自らの安全を優先してリタイアを選択し、ハントがわずか1ポイント差で初のワールドチャンピオンに輝いた。

    ニュルブルクリンクでの炎上事故と、そこから42日後の奇跡の復帰は、半世紀が経った今もなお、F1史上最も壮絶で感動的な物語のひとつとして語り継がれている。

  • ルイス・ハミルトン 子犬「ヘイロー」を家族に迎える キム・カーダシアンが写真公開

    ルイス・ハミルトン 子犬「ヘイロー」を家族に迎える キム・カーダシアンが写真公開

    フェラーリF1のルイス・ハミルトンが、新たな家族となる子犬を迎えたことが明らかになった。愛犬家として知られるハミルトンは、昨年9月に長年の相棒だったブルドッグのロスコーを肺炎で亡くしており、その後新たな一歩を踏み出した形だ。

    今回迎え入れたのは、ゴールデン・レトリバーのメス「Halo(ヘイロー)」。今週ロサンゼルスに到着し、ロスコーや愛犬ココを担当していたドッグトレーナーのカースティン・マクミラン氏が引き続きトレーニングを担当する予定となっている。

    キム・カーダシアンがヘイローとの写真を公開
    話題をさらに集めたのは、米実業家でタレントのキム・カーダシアンが自身のInstagramでヘイローとの写真を公開したことだ。

    ハミルトンとカーダシアンは交際を正式には認めていないものの、近年はたびたび一緒にいる姿が目撃されており、海外メディアでは交際説が繰り返し報じられている。今回の投稿も、その関係を裏付ける新たな動きとして注目を集めている。

    ルイス・ハミルトンの愛犬ヘイローを公開したキム・カーダシアン

    ハンガリーGPでは戦略に不満
    夏休み前最後のハンガリーGPでハミルトンは5位でフィニッシュしたが、フェラーリの戦略には不満を示した。

    「シーズンを通して確実に進歩はあった。でも今週末はシャルル(ルクレール)も僕も、トップ3を争えるマシンがあったと分かっていた。それなのに4位と5位で終わってしまった。完璧なレース運びではなかった」

    さらにSky Sportsの取材では、「結果という意味では完全にチームのチャンスを逃した。今週末は勝てるレースだった」と振り返っている。

    終盤のピットストップについても疑問を呈し、次のように語った。

    「ピットインの指示はピットレーン入口の直前だったので、議論する時間はなかった。ポジションを失うと分かっていたら、僕なら絶対に入らなかった」

    ハミルトンは「マックス(フェルスタッペン)には新しいタイヤがあったので最終スティントで抜かれていたかもしれない。それでも2位、少なくとも3位は守れた可能性があった。結果的には多くのポイントを失ってしまった」と悔しさをにじませた。

    今回のヘイローとの新生活は、昨年ロスコーを失った悲しみを乗り越える大きな出来事となりそうだ。ハミルトンは夏休み期間を新たな家族とともに過ごし、オランダGPから始まるシーズン後半戦へ向けて英気を養うことになる。