カテゴリー: スクーデリア・フェラーリ

  • フェラーリ、2026年F1マシンの名称は「SF-26」に決定

    フェラーリ、2026年F1マシンの名称は「SF-26」に決定

    スクーデリア・フェラーリは、2026年のF1世界選手権に参戦するマシンの名称を「SF-26」とすることを明らかにした。シーズン開幕が近づく中、これまで伏せられてきた新車の正式名称が公表された。

    2025年シーズンのフェラーリは、グランプリ未勝利に終わる厳しい一年を過ごした。大きな注目を集めたルイス・ハミルトンの加入も、結果面では苦戦を強いられ、7度のワールドチャンピオンはF1キャリアで初めて表彰台に一度も上がれないシーズンとなった。

    こうした状況を受け、フェラーリはシーズン序盤から開発の重点を2026年F1マシンへと移していた。2026年はシャシーとパワーユニットの双方で大規模なレギュレーション刷新が予定されており、その影響を見据えた早期の方向転換だった。

    フェラーリは、この判断が将来的に実を結ぶことを期待しており、2008年以来となるチャンピオン獲得への回帰を目標に掲げている。2025年シーズン終了時点では、チーム代表のフレデリック・バスールは新車の名称を明かすことを避けていたが、その秘密はついに明らかになった。

    フェラーリは近年の命名規則を踏襲し、2026年のマシン名を「SF-26」と命名した。「SF」はスクーデリア・フェラーリを意味し、その後に参戦年を示す数字を組み合わせる方式で、この流れは過去4シーズンにわたって継続されている。

    新レギュレーション時代の幕開けとともに投入されるSF-26が、フェラーリにとって再起の象徴となるのか注目が集まる。

  • フェラーリ 2026年F1マシンのバッテリーとギアボックス軽量化にWEC技術活用

    フェラーリ 2026年F1マシンのバッテリーとギアボックス軽量化にWEC技術活用

    スクーデリア・フェラーリは、2026年のF1世界選手権に向けてマシン重量の低減にも重点的に取り組んできた。

    特にトランスミッションとハイブリッド関連コンポーネントは車両質量に大きく影響する要素であり、バラスト配置の自由度を高めることで、重量配分や重心管理を通じた車両運動性能の向上が狙いとなる。

    2026年F1 新たな最低重量規定
    2026年F1レギュレーションにおいて、FIAの主要な目的のひとつは、過去10年にわたって進んできた車重増加の流れを断ち切ることだった。マシンをより俊敏かつ効率的にすることが狙いである。

    2025年にはドライバー込みの最低重量が798kg(乾燥重量)に設定されていたが、2026年にはこの数値が大幅に引き下げられる。

    これまでと異なり、2026年F1(技術規則C4.1条)では車体重量とタイヤ重量が分離される。ドライバーを含む車体重量は、決勝で724kg、予選で726kgに設定され、タイヤ重量は別途「ノミナル・タイヤ・マス」として扱われる。

    新世代の小径タイヤ1セットの重量は推定で約40〜45kgとされ、走行状態での総重量は768〜770kg程度となる見込みだ。これは前世代マシンと比べ、車体+ドライバーで約30kgもの軽量化に相当する。

    最低重量以下を目指す各チーム
    各チームの目標は、FIAが定めた2026年F1の最低重量を下回ることにある。そうすることで、可能な限り多くのバラストを戦略的な位置に配置でき、重心を下げたり、前後バランスを最適化できるからだ。

    ただし、現実的には多くのチームが最低重量ギリギリでの設計を強いられ、大きな余剰重量を確保できるチームはほとんど存在しないと見られている。

    フェラーリが重量面で得られる優位性
    他のコンストラクターと同様に、マラネロのチームも独自の強みを持つ。自社製パワーユニットを使用するため、外部サプライヤーに依存せず、設計段階からエンジンやバッテリーの取り付け位置を自由に決められる点だ。

    例えば、2025年のコンストラクターズチャンピオンであるマクラーレンはメルセデス製パワーユニットを使用するため、内燃エンジンやバッテリーのマウント位置を事前に決定することはできず、結果として重量最適化のプロセスが制約を受ける。

    また、トランスミッションの重量も極めて重要な要素となるが、この分野においてフェラーリは近年、大きなノウハウを蓄積してきたとされる。

    コンパクト化されたギアボックス
    フェラーリは、非常にコンパクトなギアボックス設計に重点を置いているという。理由は2つある。ひとつは当然ながら軽量化、もうひとつはマシン後方のシルエットを引き締めることだ。

    2026年マシンでは、ディフューザー上部を流れる空気の整流が極めて重要となる。そのため、リアエンドをスリムにまとめることは空力的にも大きな意味を持つ。

    スクーデリア・フェラーリ 2026年のF1世界選手権

    軽量化を狙ったバッテリー開発
    車重低減を目指す上で、もうひとつの重要要素がバッテリーパックだ。ハイブリッドシステムの中でもバッテリーは特に重量が大きく、フェラーリは以前から軽量化に向けた集中的な研究を進めてきた。

    この分野では、ハイブリッド初期時代に支配的な強さを見せたメルセデスに対し、フェラーリは劣っていると見られがちだった。しかし近年、状況は変わりつつある。

    フェラーリは、WECハイパーカープロジェクトであるフェラーリ499Pを通じて、バッテリー技術に関する優れたノウハウを蓄積してきた。WECでは最大200kW(約272馬力)の出力に制限される一方、2026年F1では350kW(約476馬力)が求められるため単純な流用はできないが、技術的知見は確実に活かされている。

    現時点で詳細は多く明かされていないものの、ハイパーカープログラムで得た経験を背景に、バッテリー軽量化と車体空力の両立において最適な解が追求されていることは確かだ。

    フェラーリはマシン全体にわたり、複数の技術的側面で限界まで攻めた開発を進めてきた。最終的な評価はサーキットでしか下されないが、新レギュレーションの深層を突いたチームが他に存在すれば、それだけでは十分でない可能性もある。

    新時代のF1は、まもなく幕を開ける。数週間後には、その輪郭が少しずつ見え始めるだろう。

  • ルイス・ハミルトン、2026年F1シーズンは個人チームと連携して効率化

    ルイス・ハミルトン、2026年F1シーズンは個人チームと連携して効率化

    フェラーリF1のルイス・ハミルトンは、2025年シーズンを「非常に消耗する一年だった」と振り返ったうえで、2026年F1シーズンに向けて自身の「個人チーム」と協力し、より効率的なスケジュールを構築する考えを明らかにした。

    水曜日に投稿したソーシャルメディアのメッセージで、ハミルトンはオフ期間に「内なる平穏」を見いだしたと記し、「変化の時が来た」として新たなルーティンを始め、不要なパターンを手放す意向を示した。

    ルイス・ハミルトン、2026年F1に向け「個人チーム」と共に取り組む
    ハミルトンは昨年、フェラーリ移籍初年度として過酷なシーズンを過ごし、キャリアで初めて、シーズンを通して一度も表彰台に上がれなかった。

    ドライバーズランキングでは6位に終わり、チームメイトのシャルル・ルクレールに対して実に86ポイントもの差をつけられた。

    現在のグリッドでは、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソに次いで2番目の高齢ドライバーとなるハミルトンは、水曜日に41歳の誕生日を迎えた。

    元メルセデスドライバーであるハミルトンは、この機会を記念してソーシャルメディアに投稿を行い、2025年が「非常に消耗する一年だった」ことを明かすとともに、オフ期間を通じて「少しの内なる平穏」を見いだしたと語った。

    さらにハミルトンは、「今こそ変化の時だ」と宣言し、2026年に向けて「新しいルーティンを始める」こと、そして「不要なパターンを手放す」ことを明らかにした。

    ベテランドライバーであるハミルトンは、2025年シーズン終盤において、フェラーリでの生活に適応することが「かなり大変だった」と認めており、その理由として「シーズンを通して行った[写真]撮影の量」を挙げていた。

    アブダビでの最終戦でメディアの取材に応じたハミルトンは、2026年F1に向けて、より負担の少ないスケジュールを確立するために「サーキット外の個人チーム」と協力すると誓った。

    新シーズンを自信を持って迎えるために何が必要かと問われたハミルトンは、次のように語った。

    「まずは、これまで自分たちが何をしてきたのか、何が良かったのか、そして改善できる部分はどこなのかを分析する必要があると思う。」

    「それがどこにあるのかは分かっている。年末にチームと腰を据えて話し合うことになる。」

    「サーキット外では、自分の個人チームと内省しながら、タイミングや移動、こうしたさまざまな点で、どうすればより効率的にできるかを見ていくつもりだし、チームとも同じことをやるつもりだ。」

    ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ 2026年のF1世界選手権

    ハミルトンは水曜日のソーシャルメディア投稿の中で、「巳年を終え、午年に入る」と象徴的に言及しており、これは2025年と2026年の中国の干支を指したものと見られる。

    「もう一度、戻ってきた。」

    「この休暇に心から感謝している。切り離し、充電し、少しの内なる平穏を見つける時間だった。非常に消耗する一年を終えたあと、家族や友人と過ごし、休息と笑いで満たされた時間は、まさに自分に必要だったものだった。」

    「とても速く動く世界の中で、私たちは常に多くの方向に引っ張られているが、本当に切り離されることができたことは、最も素晴らしい感覚だった。」

    「巳年を終え、午年に入るということを意識している。」

    「今こそ変化の時だ。新しいルーティンを始め、不要なパターンを手放し、成長に取り組む。」

    「自分に役立たないものを手放そう。これは時間がかかることもあるし、すぐには手放せないものもあるだろう。でも、すべては最初の一歩から始まる。」

    「世界が混乱しているように見えるときでも、あなたが人生を最大限に生きることに集中できていることを願っている。」

    「自分らしくいてほしい。そして、自分が誰であるかを決して忘れないでほしい。2025年に多くの人がそう伝えてくれたことで、私はそれを学んだし、二度と忘れない。」

    「あなたの支えは私にとってすべてだ。私もあなたのためにここにいる。あなたは決して一人ではない。」

    「一日ずつ、一歩ずつ進んでいこう。」

    ハミルトンは昨シーズン、リカルド・アダミとの無線でのぎこちないやり取りがいくつかあったことを受け、2026年F1に向けてレースエンジニア変更の可能性と関連づけられていた。

    フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールは12月、アダミの将来について問われた際、「すべての選択肢を評価している」と述べるにとどめ、変更の可能性を完全には否定しなかった。

    しかし、PlanetF1.comの報道によれば、サーキット外で行われた「非常に前向きな夕食の場」を経て、アダミは今季もハミルトンのレースエンジニアとして残留する見込みだとされている。

  • セルジオ・ペレスが語るF1移籍 フェラーリを断りマクラーレンを選んだ理由

    セルジオ・ペレスが語るF1移籍 フェラーリを断りマクラーレンを選んだ理由

    セルジオ・ペレスは、フェラーリとの契約を見送り、「マクラーレン史上最悪の年」に飛び込んだ理由を明かした。

    すべてのF1ドライバーには、ほんの一瞬の判断次第でキャリアが大きく変わっていたかもしれない、そんな分岐点の物語がある。

    セルジオ・ペレスもまさにその一人だ。10年以上にわたりF1のグリッドに立ち、2026年にはキャデラックとともに復帰を準備している彼は、自身のキャリアを左右した重要な決断を振り返った。

    ペレスは2011年にザウバーでF1デビューを果たした。フェラーリ育成アカデミー出身の若手にとって、当時これは定番のルートだった。

    その後、スイスのチームで2シーズンを戦っただけで、ペレスはF1屈指のビッグチームから注目を集める存在となる。

    通算6勝を挙げているペレスは、2013年F1シーズンを前に、キャリアの分岐点となる状況に置かれていた。

    ペレスは「Cracks Podcast」で、当時を次のように振り返っている。

    「本当に、すべてがあっという間に起きたんだ」

    「当時の僕は、グリッドで最も引く手あまたのドライバーだった。若いドライバーなら誰もが望む状況だよね。F1に来てすぐ結果を出すと、どこまで行けるか分からないから、全チームが欲しがるんだ」

    「実際、僕にはビッグチームから3つの選択肢があった」

    「そのうちの1つがフェラーリだった。フェラーリの育成アカデミーのおかげでF1に来られたわけだから、論理的にはそのままフェラーリの道を進むのが自然だった」

    「でも、フェラーリは2014年までシートを用意できなかった。僕は焦っていた。若くて、最高のチームに行って、すぐにチャンピオン争いをしたかったからね」

    「とにかく必死だったし、そんな中で突然チャンスが舞い込んできた」

    「僕たちは、マクラーレンとレッドブルだけは絶対に走ることはないと思っていた。どちらもアカデミーを重視していて、基本的に方針が固まっているチームだったからだ」

    「でも、そこにマクラーレンが現れた」

    「ハミルトンがチームを離れるタイミングで、マクラーレンはとても自信満々で僕のところに来た。そして契約を提示され、僕はそれを受け入れた。それが、僕の瞬間だったんだ」

    セルジオ・ペレス F1

    その決断がもたらした「マクラーレン史上最悪の年」
    ペレスにとってマクラーレンでの唯一のシーズンは、結果的に厳しいものとなった。

    チームはコンストラクターズ選手権5位に終わり、表彰台は一度も獲得できなかった。チームメイトのジェンソン・バトンには、シーズンを通して24ポイント差をつけられている。

    ペレスは当時の状況をこう語っている。

    「マクラーレンは、史上最高のマシンを作ったと思っていた」

    「フロントはマクラーレン、中央はレッドブル、リアはフェラーリ。理論上は最高のクルマだった」

    「前年はチャンピオン争いをしていたし、レギュレーションもほとんど変わっていなかった。これほど大きく後退するのは、非常に珍しいことだ」

    「そして、結果的にそれがマクラーレン史上最悪の年になってしまった」

    「これは僕がF1参戦3年目のときで、契約更新に関する条項もあった」

    「最終的に契約は更新されなかったが、そのことを知らされたのはシーズンの本当に終盤だった。本当に遅いタイミングで、その結果、僕はシートを失った」

    ペレスは1年でマクラーレンを離れることになり、その後はフォース・インディア、レーシング・ポイントでキャリアを立て直し、最終的にはレッドブルへとたどり着いた。

    マクラーレンにとっても、この時期は歴史的に厳しいものだった。チームは2015年と2017年にコンストラクターズ選手権9位に低迷し、2008年にはスパイゲート問題によって選手権から除外されるという不名誉な記録も残している。

  • フェラーリがキャデラックF1チームに託した“先行データ”の価値

    フェラーリがキャデラックF1チームに託した“先行データ”の価値

    2026年F1参戦を控えるキャデラックF1チームにとって、フェラーリとの技術的連携は単なるエンジン供給にとどまらない意味を持つ。マラネロから提供されるのは2026年F1パワーユニットそのものだけでなく、これまで蓄積されてきた膨大な知見と実務経験だ。

    新レギュレーションは未知数が多く、各チームにとって“走り出す前”の準備段階こそが成否を左右する。そうした状況で、キャデラックF1チームは、フェラーリから得られる事前情報を武器に、参戦初年度から確かな地盤を築こうとしている。

    このプロジェクトを率いるグレアム・ロードンは、フェラーリの2026年F1パワーユニット計画に強い信頼を寄せており、その完成度が次世代F1で十分に戦える水準にあると確信している。

    マラネロで共有された“現場の時間”
    ルーキーとしてF1に参戦するチームにとって、最大の課題は経験値の不足だ。キャデラックはこの弱点を補うため、シミュレーターと実地作業の両面で徹底的な準備を進めてきた。

    2025年末、フェラーリはフィオラノでの作業にキャデラックの多数の技術者を受け入れ、実車とシミュレーションを結びつけるプロセスを共有した。これは単なる視察ではなく、トップチームが長年かけて築いてきた運用ノウハウに直接触れる機会だった。

    この経験によって、キャデラックは新レギュレーション下で必要となる作業フローや判断基準を、参戦前の段階で具体的に理解することができた。

    キャデラック F1 フェラーリ

    周冠宇という“経験の橋渡し役”
    キャデラックの体制構築において、決定的な役割を担うのが周冠宇だ。彼はフェラーリでリザーブドライバーを務め、2026年F1マシン開発の中核となる「プロジェクト678」に深く関与してきた。

    周冠宇は3シーズンにわたるF1参戦経験を持ち、若手候補とは一線を画す実戦的な知識を備えている。キャデラックが彼を選んだ理由は明確で、不確実性を極力排除し、確かな判断ができる人物を据える必要があったからだ。

    シルバーストンの欧州拠点を拠点に活動する周冠宇は、イタリアで培ったフェラーリ流の開発思想を、アメリカとイギリスにまたがるキャデラックの組織へと伝える役割を担う。

    フェラーリのノウハウを“使いこなす”ために
    周冠宇はレース出走こそしないものの、その存在価値は極めて大きい。彼はバルテリ・ボッタス、セルジオ・ペレスと連携し、シミュレーター相関や開発方向性の精度向上に貢献する。

    フェラーリで培った知識、2026年タイヤへの初期対応、トップチーム特有の運用プロトコル。これらすべてが、キャデラックにとっては“時間を買う”ための資産となる。

    新たなF1チームが短期間で競争力を得るためには、技術だけでなく、それを扱う人材の質が問われる。フェラーリのノウハウを理解し、翻訳できる存在として、周冠宇はキャデラックF1にとって欠かせない触媒となっている。

  • なぜハミルトンのフェラーリF1初年度は苦戦したのか バスールが語る誤算

    なぜハミルトンのフェラーリF1初年度は苦戦したのか バスールが語る誤算

    ルイス・ハミルトンにとって、フェラーリでのデビューシーズンは決して満足のいくものではなかった。中国GPでのスプリント勝利は一時的な希望をもたらしたが、SF-25の開発が早期に打ち切られたこともあり、成績は次第に伸び悩んだ。結果として、7度のワールドチャンピオンはランキング6位でシーズンを終え、獲得ポイントは156点。チームメイトのシャルル・ルクレールに86点差をつけられる形となった。

    フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールは、F1公式サイトの取材に対し、「内部では多くの議論を行った」と明かしている。

    「ルイスとも話し合い、今季どこで正しい道から外れてしまったのかを理解しようとした。私自身、ルイスにとっての挑戦を過小評価していた。メルセデスからフェラーリへの移籍だ」

    ハミルトンは12年間在籍したメルセデスを離れ、フェラーリという新たな挑戦に踏み出した。それ以前も、彼は長年マクラーレン・メルセデスでキャリアを築いてきた。

    「彼は20年間、マクラーレン・メルセデス、あるいはメルセデスという環境にいた。その後にフェラーリへ移ったわけだが、ここでは本当にすべてが違う」とバスールは説明する。

    「天候や食事の話だけではない。周囲の人々、言語、ソフトウェアの名称、マシン部品の呼び方まで、すべてが異なる。だからこそ、何か一つでも取りこぼすと、完全に掌握できていない部分があれば、たとえばコンマ1秒を失うことになる。そして今のF1では、そのコンマ1秒がグリッドで5ポジションに相当する」

    その影響で、ハミルトンは予選で「頻繁に大きな問題を抱えているように見えた」とバスールは振り返る。

    「だが実際には、ほとんど差がなかっただけで、Q1敗退になってしまっていた。ブダペストのことは特によく覚えている。彼にとって非常に厳しい状況だったが、Q2に進めた途端、一気に上位に顔を出した。シャルルはコンマ1秒差でQ3に進み、その後ポールポジションを獲得した」

    ルイス・ハミルトン F1 スクーデリア・フェラーリ

    ルクレールがチームを前進させた
    一方で、ガレージの反対側では、より明るい光景も見られた。ルクレールはシーズン中に7回の表彰台を獲得している。

    「シャルルは本質的にチームと強く結びついていて、チームもまたシャルルと結びついている存在だ」とバスールは語る。

    「彼は今季、本当に素晴らしい仕事をした。困難な局面に直面したとき、チームを前に押し出したのは彼だった。なぜなら、彼は全員のことを完璧に理解していて、状況から最大限を引き出す方法を知っているからだ。正直に言って、彼は非常によくやってくれた」

    もっとも、ルクレールにとってもすべてが順調だったわけではない。

    「時には不運もあった。たとえばブラジルだ。あれは間違いなく厳しいレースだったし、その時点で我々はコンストラクターズランキング2位を失った可能性が高い」とバスールは述べている。

    「そういう場面では、ひとつの問題が18ポイントを失うだけでなく、同時にライバルにポイントを与えてしまう。それは我々にとって大きな打撃だった。とはいえ、全体として見れば、彼は非常に強いシーズンを戦った」

  • フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッド開発をAVLが支援

    フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッド開発をAVLが支援

    2026年F1レギュレーションに向け、フェラーリが進めている新型パワーユニット開発の一端が明らかになった。報道によれば、フェラーリは鋼製シリンダーヘッドという新たな技術的アプローチに取り組んでおり、その開発をオーストリアのエンジン技術専門企業であるAVLが支援しているという。

    電動比率の大幅な引き上げや持続可能燃料の全面導入など、2026年F1ではパワーユニット規則が根本から刷新される。フェラーリはこの転換期において、従来の常識にとらわれない技術選択を模索している。

    2026年から導入される新パワーユニットでは、1.6リッターV6ターボ・ハイブリッドが、電気エネルギーと内燃エンジン出力を50対50で分担する構成となる。電気エネルギーの比重は現在の約3倍に引き上げられ、シーズンを通じたエネルギーマネジメントがこれまで以上に重要な要素となる。

    また、内燃エンジンは100%持続可能燃料での運用が認められ、F1は2030年のカーボンニュートラル達成に向けて大きく舵を切る。こうした背景の中で、パワーユニットの効率、耐久性、そして重量配分は、各メーカーにとって極めて難しいバランスを求められることになる。

    新世代パワーユニットではドライバーの役割も拡大する。新たに導入されるオーバーテイクモードの使用判断に加え、1周を通じたバッテリー残量の管理がパフォーマンスに直結するため、マシン特性とドライビングの融合がより重要となる。

    こうした中でフェラーリが着目したのが、シリンダーヘッドの素材変更だとされている。Motorsport.Itによれば、フェラーリはアルミニウム製シリンダーヘッドと、新たに開発された鋼製シリンダーヘッドを並行してテストしてきたという。

    従来、シリンダーヘッドには軽量で加工性に優れるアルミニウムが最適と考えられてきた。しかし、2026年からパワーユニットの最低重量が150kgに引き上げられることで、素材選択における制約条件が変化した。

    フェラーリは、やや重量のある鋼製合金を採用することで、燃焼室内の圧力と温度をより高いレベルまで引き上げることが可能になると見ているとされる。これにより、点火過程における燃焼効率の向上が期待されている。

    一方で、2026年シーズンに使用できる内燃エンジンは最大4基までに制限されるため、耐久性は極めて重要な課題となる。鋼製シリンダーヘッドは高負荷条件に耐えやすい反面、長期使用における信頼性や重量配分への影響が懸念点として挙げられてきた。

    この課題に対応するため、フェラーリはハイブリッドエンジン分野で豊富な実績を持つAVLの知見を導入したと報じられている。AVLは量産車からモータースポーツまで幅広いエンジン開発に関わっており、特に熱管理や燃焼解析の分野で高い評価を受けている企業だ。

    Motorsport.Itは、ここ数カ月で技術的な進展があり、フェラーリが最終的に鋼製シリンダーヘッドに全面的に注力する決断を下したとも伝えている。これは、アルミニウム製ヘッドとの比較検証を経たうえで、性能面で明確な利点が見出されたことを示唆している。

    スクーデリア・フェラーリ

    2026年の勢力図を左右する技術的賭け
    フェラーリは2025年シーズンを1勝も挙げられないまま終え、過去7年間で3度目となる無勝利の年を経験した。この結果は、タイトル奪還を目指していたチームにとって大きな痛手となった。

    2025年から加入したルイス・ハミルトンにとっても厳しいシーズンとなり、グランプリで一度も表彰台に立てなかった。一方で、シャルル・ルクレールもSF-25の不安定さに苦しみ、安定したパフォーマンスを引き出すことができなかった。

    2026年の新レギュレーションは、こうした状況を一変させる可能性を秘めている。現在はメルセデスが最も有利な立場にあるとの見方もあるが、パワーユニット開発の成否次第で勢力図が大きく塗り替えられる可能性は否定できない。

    鋼製シリンダーヘッドという選択は、フェラーリにとって小さな改良ではなく、パワーユニット全体の思想に関わる大きな賭けと言える。AVLの支援を受けながら進められるこの開発が実を結ぶかどうかは、2026年シーズン序盤で明らかになることになりそうだ。

  • ルイス・ハミルトン、2026年F1シーズンを見据えた公開書簡を発表

    ルイス・ハミルトン、2026年F1シーズンを見据えた公開書簡を発表

    ルイス・ハミルトンはF1のウインターブレイク期間中、自身が共同創業したノンアルコールのブルーアガベ飲料ブランド「Almave」とともに、2025年シーズンを振り返り、来る年に目を向ける公開書簡を発表した。

    書簡の中で、7度のF1ワールドチャンピオンは、「立ち止まり、振り返り、次に何が来るのかを導くために、節目となる瞬間を土台に築いていくことがいかに重要か」を強調している。

    これは、フェラーリ移籍初年度となった2025年シーズンが厳しいものだったことを考えると、象徴的な言葉と言える。ハミルトンはこのシーズン、グランプリで一度も表彰台に立つことができなかった。これは彼のF1キャリアにおいて初めての出来事だった。また、チームメイトであるシャルル・ルクレールに対して、終始ペースで劣る場面が目立った。

    フェラーリのSF-25は本来あるべき姿から程遠いマシンだったが、それでも40歳のハミルトン自身も期待を下回る内容に終始し、メディア対応では苛立ちや落胆を隠さない姿が多く見られた。

    それでも書簡の後半で、通算105勝のグランプリウィナーは次のように綴っている。

    「2026年に向けて、僕が考えているのは、喜び、情熱、そして好奇心だ。」

    2025年シーズンは情熱的なフェラーリファンにとって歓喜をもたらす年とはならなかったが、2026年には新たなF1レギュレーションが導入される。その中で、スクーデリア・フェラーリとハミルトンがどのようなパフォーマンスを見せるのか、大きな好奇心が集まることになる。

  • エンリコ・カルディレが語るフェラーリとアストンマーティンF1の決定的な違い

    エンリコ・カルディレが語るフェラーリとアストンマーティンF1の決定的な違い

    エンリコ・カルディレは、フェラーリで培われた長い歴史と完成されたプロセスを離れ、アストンマーティンF1で“ゼロから築く組織”に挑んでいる。

    勝利を目指す情熱は同じでも、文化、意思決定、そしてチームの成長段階は大きく異なる。確立された基準をなぞるのではなく、自らが新たな基準になる──カルディレはその思想とともに、2026年F1レギュレーションを見据えたアストンマーティンF1の現在地と長期的な改革の方向性を語った。

    フェラーリ一筋からの転身──エンリコ・カルディレが語るアストンマーティンF1の現在地
    2005年にフェラーリへ入社し、ピサ大学で航空宇宙工学の学位を取得したのち、GTプログラムの空力を統括。2016年にF1チームのエアロ開発責任者、2017年には車両プロジェクトマネージャーへ昇格した エンリコ・カルディレ は、2024年7月に アストンマーティンF1 の最高技術責任者(CTO)に就任した。

    当初は2025年初頭の着任予定だったが、慣例的な調整期間を経て実際のスタートは7月中旬。チーム公式サイトのインタビューで、フェラーリと新天地の文化的違いを率直に語っている。

    「違いはある」とカルディレは言う。

    「目標は同じだ。誰もが勝利に集中している。ただ、フェラーリのF1チームは非常に長く安定した歴史を持ち、プロセスやツールが確立されている。一方で、ここではそれらをまだ構築している最中だ」

    新設のコアウィーブ風洞や新シミュレーターの活用、そして“無駄を避けるリーンな組織”の構築が、当面の課題だという。

    「最初にチームへ伝えたメッセージのひとつが、アイデンティティを見つけ、我々のビジョンで組織を形作る必要があるということだ。他所から着想を得るのは構わないが、単にコピーするのは違う」

    「我々は既存の基準のクローンではなく、基準そのものになりたい。誰かの成功例をそのまま真似るのは、追随者になるということだ。それは成功への道ではない」

    “混沌”を恐れない創造性
    カルディレは、 アンディ・コーウェル や エイドリアン・ニューウェイ、そして ローレンス・ストロール と合意した明確なビジョンと計画があると語る。

    コーウェルが掲げる「創造的で、混沌としたイノベーション・マシン」という表現について、カルディレはこう説明する。

    「他チームと違うことをするためには、革新的でなければならない。そして、その過程には多少の混沌が伴う。それを管理する必要はあるが、極端に構造化され硬直した組織では、マシンに大きな価値は生まれない」

    「一度うまくいっても、次に何をするかを探し続ける。人を前向きにプッシュし、野心的な目標を設定する。困難は個人の問題ではなく、組織全体で解決すべき課題だ。我々は結果を出すための“大きな家族”でなければならない」

    スター集団のマネジメントと意思決定
    ニューウェイやコーウェルなど“スター”が集まることでの摩擦について問われると、カルディレは否定的だ。

    「問題はない。むしろ、どう協力し、努力を融合させるかを探っている。情報共有と統合が鍵で、サイロ化を避けなければならない」

    会議での自身の役割については明快だ。

    「ビジョンを示し、明確さをもたらし、決断すること。正しいタイミングで正しい質問をするのが私の仕事だ」

    判断に必要な情報量についても現実的な姿勢を見せる。

    「100%の情報がなくても決断する必要がある場合がある。後から追加情報で誤りが分かれば、方向転換すればいい。重要なのは勝つことだ。非難の文化ではない」

    エンリコ・カルディレ 元スクーデリア・フェラーリ F1

    2026年への賭けと長期プロジェクト
    2026年はレギュレーション刷新と新パワーユニット導入が同時に訪れる大転換期だ。

    「空力コンセプトは完全に変わる。最低重量の引き下げは巨大な挑戦だ。新PU、新燃料……不確定要素が多く、誰がどこに行き着くか予測は難しい」

    短期的な速さと長期的な組織改革を並行して進める考えを示す。

    「このプロジェクトは、マシンが発表されたら終わりではない。ツール、プロセス、人の働き方、つまりチーム文化そのものを改善している」

    “失敗は許されない”
    新時代への心境を問われると、カルディレは即答する。

    「興奮だ。自分たちだけでなく、他の10台を見るのが楽しみだ。今は何をしても十分だとは言えない。すべてが未知数だからだ」

    「我々は来年、正しいところに辿り着く。ただ、それが開幕戦なのか、第2戦なのか、第7戦なのかは分からない。あるのは、コミットメント、集中、そして最終的には正しくなるという自信だ」

    「我々には、素晴らしい仕事をするためのすべてがある。失敗は選択肢にない」

  • フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッドの真相と重心の問題

    フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッドの真相と重心の問題

    2026年F1に向けて、フェラーリのパワーユニットに「鋼(スチール)製シリンダーヘッド」を採用しているのではないか、という話題が広く取り沙汰されている。パフォーマンス最適化を狙った特異なソリューションとして注目されているが、FIAレギュレーションを読み解くと、確かに理論上は許容される。一方で、潜在的なメリットの裏には、車両力学の観点から無視できない重要な論点が存在する。それがパワーユニット全体の重心位置だ。

    2026年F1におけるV6ターボICEとシリンダーヘッドの役割
    まず前提として、近年出回っている噂を整理する必要がある。対象となっているのは、マラネロの技術陣が開発しているとされるフェラーリ製V6ターボICE(内燃エンジン)のシリンダーヘッド部分だ。シリンダーヘッドとは、シリンダーブロック上部を覆う構造部材であり、バルブ、スパークプラグ、インジェクターを収め、燃焼室そのものを形成する。

    燃焼と点火が行われる中枢であるため、シリンダーヘッドは熱的・機械的負荷が最も厳しい部位のひとつとなる。したがって、材質の選択はエンジン性能や信頼性に直結する極めて重要なテーマだ。

    FIAレギュレーションが認める素材の範囲
    2026年F1パワーユニット規則の「materials and construction – internal combustion engine」の項目では、ICEの素材について明確な規定が存在する。そこでは、シリンダーブロックおよびシリンダーヘッドについて、「アルミニウム合金または鉄合金で製造してよい」と定められている。

    つまり、鋼(鉄系合金)を用いたシリンダーヘッドは、少なくともレギュレーション上は禁止されていない。この点から見ても、フェラーリが鋼製ヘッドを検討、あるいは実際に採用していたとしても、規則違反にはならない。

    鋼製シリンダーヘッドがもたらす可能性のある利点
    2026年世代のF1パワーユニットでは、燃焼室内の最高圧力が従来よりも大きく高まると考えられている。この点は、フェラーリのエンジニアが鋼を選択する動機として十分に合理的だ。鋼はアルミニウム合金と比べて機械的強度が高く、高圧燃焼への耐性という観点では有利になる。

    もうひとつの理由として考えられるのが熱特性だ。鋼はアルミニウムよりも熱伝導率が低く、燃焼時の熱エネルギーが外部へ逃げにくい。その結果、燃焼効率の向上につながる可能性がある。これはICEの熱効率が重視される2026年レギュレーション下において、見逃せない要素だ。

    このような背景から、鋼製ヘッドは内燃機関全体の効率を高めるポテンシャルを持つ。ただし、F1では常にトレードオフが存在し、ひとつの利点は別の不利を生み出す可能性も併せ持つ。

    スクーデリア・フェラーリ フォーミュラ1エンジン 2026年のF1世界選手権

    避けて通れない重心上昇という代償
    最大の懸念点は、設計上の純粋な物理問題だ。鋼はアルミニウムよりも比重が大きく、たとえ重量増がわずかであっても、エンジン上部に質量が集中することになる。

    これはICE全体、ひいては車両全体の重心を引き上げる要因となる。F1マシンの設計において、重心高の上昇はハンドリングや車両挙動に直接悪影響を及ぼすため、各コンストラクターが最も避けたい要素のひとつだ。

    そのため、仮にフェラーリが鋼製シリンダーヘッドを実際に採用しているのであれば、重心上昇を相殺するために、他の部分で相当な工夫と最適化が施されているはずだ。

    真偽とエンジニアリングの核心
    現時点では、この鋼製シリンダーヘッドが事実であるかどうかを外部から断定するのは難しい。仮に事実であったとしても、その背後には、メリットを最大化しつつ、重心上昇というデメリットを最小限に抑える高度なエンジニアリングが存在するはずだ。

    フェラーリは2026年F1パワーユニットに強い自信を持っているとされており、内燃機関と電動システムの両面で、期待に応える性能を実現できると考えている。鋼製シリンダーヘッドの噂は、その自信の一端を示す象徴的なテーマと言えるかもしれない。

    なお、この技術的選択の最終的な評価は、実際に2026年F1シーズンが始まり、各メーカーの競争力が明らかになったときに初めて見えてくることになるだろう。