カテゴリー: スクーデリア・フェラーリ

  • フェラーリ、2026年F1テストで“プロジェクト678”二段構えを準備

    フェラーリ、2026年F1テストで“プロジェクト678”二段構えを準備

    フェラーリは、2026年F1プレシーズンテストの進行に合わせ、新車「プロジェクト678」にBスペック仕様を導入する計画であることが明らかになった。

    フェラーリは2025年シーズンを未勝利で終えた。シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの両ドライバーは、SF-25におけるライドハイトに関する根本的な欠陥に足を引っ張られた。

    2026年F1テストでBスペック投入を計画
    状況が決定的となったのは中国GP第2戦だった。ハミルトンはスプリントレース優勝から24時間後、スキッドブロックの過度な摩耗により失格処分を受けた。さらに上海では、ルクレールのマシンが最低重量を下回っていたことが判明し、こちらも失格となった。

    フェラーリは再発防止のため、より保守的なセットアップを採用し、プランク保護のためストレートでリフト&コーストを指示するなどの対策を講じた。しかし、その結果として2025年シーズンを通じてマシン本来のポテンシャルを引き出すことができなかった。

    2024年のタイトル争いではマクラーレンにわずか14ポイント差まで迫ったが、2025年はチャンピオンから435ポイント遅れのランキング4位に終わった。

    ルクレールはシーズンを通じて7度の表彰台獲得にとどまり、ハミルトンはキャリアで初めて1度もトップ3に入れないシーズンとなった。

    2026年F1レギュレーションとプロジェクト678
    2026年からF1はレギュレーションを大幅刷新し、電動化比率50%、完全持続可能燃料、アクティブエアロダイナミクスを導入する。

    2025年11月にPlanetF1.comが報じたように、フェラーリの2026年F1マシン「プロジェクト678」は、フロントおよびリアにプッシュロッド式サスペンションを採用すると見られている。

    このマシンは、2010年以来初めてリアにプッシュロッド式サスペンションを搭載するフェラーリF1シャシーとなる見込みで、レッドブルのRB22も前後ダブル・プッシュロッド構成になると予想されている。

    イタリアの報道によれば、プロジェクト678には「革命的」と評されるエンジンが搭載され、アルミニウム合金製シリンダーヘッドと「極秘の吸気システム」を備えるという。

    シャシーとパワーユニットの両方が同時に刷新される2026年F1規則は、各チームにとって極めて大きな技術的挑戦となる。このため、冬季テスト日程も拡大され、新時代への準備が後押しされる。

    フェラーリは2仕様体制でテストに臨む
    そして、フェラーリはテストにおいて、実質的に2種類のマシンを用意する戦略を採ることが判明した。

    まず初期仕様のプロジェクト678が、1月下旬にバルセロナで非公開開催されるF1テストに投入される。ここでは信頼性の確認を最優先とし、複雑化した新パワーユニットのパッケージングや電子系の機能検証に重点が置かれる。

    その後、2月11〜13日および2月18〜20日に行われるバーレーンでのテストでは、より完成度の高い仕様が登場する。新しいノーズコーンなどのアップグレードが導入され、焦点はパフォーマンスへと移る。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    フレデリック・バスールが語るテスト戦略
    フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールは、このテスト計画を最近認め、他チームも同様の戦略を取ると予想した。

    「そうだと思う。皆がそうするだろう。

    この状況で最も重要なのは走行距離を稼ぐことだ。パフォーマンスを追い求めることではなく、マシンの技術的選択を検証するために走行距離を重ね、その後で性能を引き出すことだ。

    皆、バルセロナには“本命仕様”ではなく、Aスペックで来ると思う。

    ここ最近4〜5シーズンはテストが3日間しかなかったが、今回は9日間ある。これは利点である一方、プログラムはまったく異なる。

    この種のシーズンで最初に重視すべきなのは信頼性だ。

    10年、15年前を思い出してほしい。シーズン序盤はリタイアが非常に多かった。

    まずは走行距離を稼ぐ必要がある。

    また、2025年のように中国での失格処分によってシーズン序盤に迷走することは避けたい。

    あの時は走行距離も基準も失い、そこから追いかける展開になった。それは長いプロセスになる。

    バルセロナでの最初の焦点は、パフォーマンス以上に走行距離を稼ぎ、マシンの実態を理解し、どこを改善すべきか、どこに対応すべきかを把握することだ。

    なぜなら、バーレーンのテスト2回目までに何かを持ち込もうとすると、オーストラリアに向けて反応する時間がなくなるからだ。

    最初のターゲットは、プロモーションデーではなく、間違いなくバルセロナでの走行距離だ」

    1月23日に正式発表、フィオラノでシェイクダウンへ
    フェラーリは今月初め、プロジェクト678を1月23日(金)に正式発表すると発表した。これはバルセロナでの非公開テスト開始の3日前にあたる。

    フェラーリの新車発表は、同日にフィオラノ・サーキットでのシェイクダウン走行が行われるのが通例となっている。

  • ハミルトンはフェラーリF1に溶け込めるのか ベッテルが助言した「イタリア語」

    ハミルトンはフェラーリF1に溶け込めるのか ベッテルが助言した「イタリア語」

    セバスチャン・ベッテルは、ルイス・ハミルトンがフェラーリF1へ移籍するにあたり、自身が伝えたアドバイスの中身を明かした。要点は極めてシンプルだ。「言語を学ぶこと」。それも、形だけではなく“本気で”学ぶことだという。

    2015年から2020年までフェラーリで戦ったセバスチャン・ベッテルは、マラネロでの時間を「大好きだったし、後悔はない」と振り返る一方、文化への踏み込みが十分ではなかったと自己分析する。

    「違っていた。とても違っていた。でも楽しかった。僕は順応したし、その時間を愛していた。イギリスのユーモアも、人々も、レースへのアプローチも好きだった。ただ、母国語が英語ではない自分が、さらに別の国へ行くという状況を想像すると、その難しさは計り知れない」

    フェラーリの“心臓”はイタリア文化
    18年間、マクラーレンとメルセデスという英国系チームで戦ってきたルイス・ハミルトンにとって、フェラーリは大きな転換点になるとベッテルは語る。

    「言語としては英語で仕事はできる。彼はチームの誰とでも意思疎通できる。でも、英語を話せない、あるいは流暢でない人たちもいる。言葉が十分に分からなくても仕事は進む。でも、その人たちや文化を“本当に理解できているか”は別の話だ。フェラーリの心と文化はイタリアにある」

    ベッテルは、自身のフェラーリ時代を振り返り、イタリア語への向き合い方が足りなかったと率直に認めている。

    「今振り返ると、それは決定的なミスだった。イタリア語は学んだし、レッスンも受けた。でも完璧ではなかった。もっと本気で勉強すべきだったし、もっとイタリアで過ごすべきだった。文化とは、人そのものだからだ」

    ハミルトンに伝えた“唯一の助言”
    だからこそ、ベッテルは移籍前のハミルトンに、こう伝えたという。

    「僕ができる唯一で、最高のアドバイスは『言語を学べ。本当に、徹底的に学べ』ということだ。言語を学ぶには、環境に身を置く必要がある。その国で、人々と話し、文化に触れる。そうすれば、他のことは自然と噛み合ってくる」

    セットアップや技術的な会話においては不要だという意見もあるが、「大きな視点で見れば、文化とスピリットを理解するために、言語は極めて重要だ」と強調した。

    ルイス・ハミルトン F1 スクーデリア・フェラーリ

    ハミルトン本人の自己評価「今はあまり良くない」
    2025年7月のペローニのイベントで、イタリア語の習得状況を問われたハミルトンは、率直にこう答えている。

    「正直、あまり良くない。最初はたくさんレッスンを受けていたけど、シーズンが忙しくなりすぎて、完全に止まってしまった。Duolingoもやっていたし、数週間は順調だったけど、ここ数カ月は何もしていない」

    「本当はイタリアに住みたい。でも今年はそれがほぼ不可能だった。毎週のように行ってはいるけど、ちゃんとイタリア語を話せるようになるのが夢だ」

    ハミルトンはフェラーリでの初年度をドライバーズランキング6位で終え、キャリアで初めて“シーズン無表彰台”という結果も経験した。ベッテルの言う「言語と文化への没入」は、単なるコミュニケーション手段ではなく、フェラーリというチームの中核に溶け込むための鍵であり、今後の巻き返しに向けた重要な要素になっていく。

  • フェラーリF1技術陣の思考を変えたロイック・セラの発想と2026年設計哲学

    フェラーリF1技術陣の思考を変えたロイック・セラの発想と2026年設計哲学

    フェラーリの2026年F1プロジェクトに関して、前向きな兆しが伝えられている。ロイック・セラは、プロジェクトにおいて「純粋なパワー」中心の発想から、「システム全体の効率」を重視する思考様式への転換を提案した。

    この方針は承認され、実際に技術陣によって新車の設計思想として実装されている。新たな規則体系に挑むうえで、あえて踏み込んだ決断だ。

    フェラーリがロイック・セラを信頼する理由
    ロイック・セラはスクーデリア・フェラーリのテクニカルディレクターだ。マラネロ加入当初、彼に想定されていた役割は現在とは異なっていた。実際、当時そのポストはフレデリック・バスールが暫定的に兼任していた。その後、他チームからトップクラスの技術者を引き抜く試みが実らず、フェラーリは方針転換を決断する。

    これが、加入から約1年2か月が経過した現在に至るロイック・セラの立ち位置だ。期待値と比べると、これまでの成果は必ずしも際立っていたとは言い切れない。ただし、問題の多かったSF-25は彼の統括下で生まれたマシンではなく、その点を踏まえれば、ナンシー出身のフランス人技術者に対する信頼が揺らいでいないのも当然だ。2025年シーズンにおいて、タイヤ関連の貢献が十分でなかったという評価があるにせよ、だ。

    タイヤ問題とセラの経歴が示すもの
    セラはミシュランで15年間勤務したのち、メルセデスに移籍し、ブラックリー拠点で車両ダイナミクス部門の中核を担った。そこでの評価は高く、専門性は疑いようがない。一方で、2025年型フェラーリはシーズンを通してタイヤマネジメントに苦しみ続けた。これは否定しようのない事実だ。

    そもそもフェラーリは、タイヤを適正な作動領域に入れ、それを維持する能力を欠いていた。状況を好転させるのは容易ではなく、しかも作業の大半は2026年型マシンに割かれていた。この点を踏まえると、新レギュレーションに向けてセラに託す判断は、理にかなっている。

    創造性を重視する2026年型フェラーリの技術姿勢
    近年の議論で明らかになっているように、フェラーリは2026年型マシンを設計するにあたり、いくつかの明確な軸を据えている。そのひとつが、タイヤコンパウンドを最大限に活用できる能力の確立だ。マシンが路面と接する唯一の要素であるタイヤを使い切ることは、不可欠な課題となる。

    この文脈で注目されるのが、フロントサスペンションの柔軟性に関する取り組みだ。動的キャンバーを積極的に扱うため、前輪サスペンションの特性に手が加えられている。キャンバー制御は、タイヤの挙動に応じてサスペンション全体を最適化し、グリップと安定性を高める鍵となる。

    セラは最近、レギュレーションの「グレーゾーン」を抜け道ではなく、創造性を発揮する機会だと語っている。ここで言う柔軟性は、カーボンファイバーの積層構造により、異方性を持たせることで実現される。

    この手法により、サスペンションアームはFIAの静的検査には適合しつつ、荷重方向が変わった際には制御された変形を示す。結果として、規則の枠内で性能を引き出す余地が生まれる。この発想こそが、2025年に欠けていた先見性だ。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    過去を断ち切り、2026年に備える論理
    失敗した技術的選択を忘れることは前進の条件だが、その経験は将来の修正点を教えてくれる。2025年に導入されたフロントのプルロッド化は、新たな設計思想への扉を開く試みだったが、結果的には機能しなかった。

    SF-25には他にも構造的欠陥があり、それが開発計画を破綻させた。だが2026年の規則はまったく異なる領域を提示している。重要なのは、初年度から大きな成長余地を持つ技術的ダイナミクスを正確に捉えることだ。

    2022年のF1-75は序盤戦で高い競争力を示したが、開発余地は限られていた。その反省を踏まえ、現在セラが率いる技術陣は、2026年規則初年度に向けた進化志向の設計論理を選択している。バスールも、新世代マシンの性能曲線は急峻になると繰り返し強調してきた。

    避けるべき失敗と他チームの成功例
    最後に重要なのは、創造性と現実の裏付けをどう両立させるかだ。大胆な発想は必要だが、事実に支えられていなければ逆効果になる。

    その好例がマクラーレンだ。ロブ・マーシャルは2024年からマクラーレンF1のテクニカルディレクターを務め、アンドレア・ステラ自身が認めるほど、チームの思考様式を一変させた。元レッドブル・レーシングのDNAを、リスク管理と開発手法の両面で持ち込んだ形だ。

    このアプローチは、2026年以降のフェラーリにも導入されると見られている。戦略的・運用的にリスクを特定し、評価し、管理・軽減する体制だ。マクラーレンやレッドブルと同じ水準でそれを実行できるかどうかが、ロイック・セラ率いるフェラーリの真価を決めることになる。

  • シャルル・ルクレール 船のトラブルで婚約者との南極旅行が中止

    シャルル・ルクレール 船のトラブルで婚約者との南極旅行が中止

    シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、2025年シーズンを終えた束の間のオフに、F1の世界から可能な限り遠く離れた場所で心身をリフレッシュする計画を立てていた。目的地は南極。マラネロからもサーキットからも、文字通り最も遠い場所で英気を養うはずだった。

    しかし、その計画は年末を目前にして無情にも潰えることになった。ルクレールにとって不運続きだった2025年は、最後の最後まで彼を手放さなかった。

    2025年最後に待っていた“もうひとつの躓き”
    どれほど不運な年であっても、必ず何かをもたらすものだ。人として成長させてくれることもあるし、何より「悪い時期はいずれ終わる」という事実こそが最大の救いになる。

    南極旅行という特別な計画が頓挫したことを知ったとき、ルクレールもまた、そんな思いを胸に抱いたのかもしれない。F1の短いオフシーズンを利用しての大旅行は、乗船予定だった船に技術的な問題が発生したことで、出発直前にキャンセルされてしまった。

    年末メッセージで明かされた南極行き中止
    この事実を明かしたのは、ルクレール本人だった。恒例となっている年末のメッセージの中で、彼はファンに向けて率直に状況を説明している。

    「南極旅行の写真は期待しないでほしい。船に技術的な問題があって、3日前に旅行がキャンセルになったんだ」

    そう記したルクレールの言葉には、落胆と同時に冷静な受け止め方もにじんでいた。期待に満ちていた計画が消えた一方で、2025年が決して悪いことばかりの年ではなかったことも、彼は忘れていない。

    コース外では実り多かった2025年
    サーキット上では苦しいレースが続いたが、オフ・トラックでは確かな前進があった。ルクレールはこの1年で、グリッド屈指の実力を持つドライバーとしての評価を改めて確固たるものにし、私生活ではパートナーのアレクサンドラ・サン・ムリューとの関係を深め、近く結婚を控えていることも知られている。

    年末メッセージの中で、ルクレールは次のように綴っている。

    「コース外ではとても良い年だったけど、コース上ではとても難しい一年だった。こうした浮き沈みの中でも、僕をフォローし、支えてくれたみんなに感謝している」

    そして視線はすでに次のシーズンへと向いている。

    「僕にとって一番大切なのは、2026年にすべてを出し切って、より多くの勝利と成功をつかむことだ。良い休暇を。そして来年また会おう」

    南極には辿り着けなかったが、2025年の終わりにルクレールが見据えているのは、より確かな未来だった。

  • フェラーリは2026年F1マシンで変われるのか?プロジェクト678の核心

    フェラーリは2026年F1マシンで変われるのか?プロジェクト678の核心

    フェラーリは、失望に終わった2025年シーズンに別れを告ぎ、すでに2026年F1という次の戦いを見据えている。レギュレーション刷新という大きな転換点を前に、マラネロは新型マシン「プロジェクト678」に再起のすべてを託した。果たしてフェラーリは、この一台で本当に変わることができるのか。

    フェラーリが選んだ道は、無難さを排した攻撃的な設計思想だった。空力、サスペンション、タイヤマネジメント、そしてパワーユニットに至るまで、各分野で積み重ねられた技術的判断には明確な意図がある。

    失敗に終わった2025年と、避けられない再起への挑戦
    将来を見据えたとき、ひとつの問いが浮かぶ。跳ね馬は、長年自らを縛ってきた悪循環を断ち切ることができるのか。迫り来るレギュレーション変更は、確かに再起の好機だが、同時に容赦ない試金石でもある。新プロジェクトが誤った方向に進めば、再び不安定さに引き戻される危険性は現実的だ。

    チーム代表フレデリック・バスールの手腕は、いまだ完全な信頼を勝ち取れていない。ファンが待ち望んできた約束を、少なくとも現時点では十分に果たせていないからだ。勝利のサイクルを動かすには、経営面での安定が不可欠である。他チームが勝利を重ねる姿を眺め続けることは、1929年11月16日、エンツォ・フェラーリ率いるアルファロメオのレーシング部門として誕生したこのチームの本来の姿ではない。

    2025年の世界選手権は、チームの脆さを改めて露呈させた。問題を抱えたマシン、不適切なコミュニケーション、そしてサーキットに広がる失望。技術以前に、感情面での亀裂が大きかった。ルイス・ハミルトンは環境に適応できず、心理的にも肉体的にも深い落ち込みに陥った。一方、シャルル・ルクレールは懸命にチームを支えたが、理想と現実の乖離に対する失望がなかったわけではない。

    白紙から始まる2026年と、マラネロから聞こえる声
    新レギュレーションはゼロからの再出発を可能にする。白紙の状態で正しい設計を描ければ、期待に応えるプロジェクトを生み出すことは十分に可能だ。間もなく、フェラーリは最初のシェイクダウンを迎えるが、バルセロナでのテストは非公開となるため、実像が見えるのはバーレーンを待つ必要がある。では、その間にマラネロから何が伝わってきているのか。

    アウトウォッシュと動的キャンバー 回復を狙う空力と車体設計
    複数のF1技術者との意見交換から、車体形状が空力マネジメントにおいて極めて重要になるという認識が確認された。フロントウイングは空力作業の出発点として重要だが、実際に大きな仕事が集中するのはサイドポッド周辺だ。ここで将来のマシンに必要な渦構造を最適化することが鍵となる。

    フェラーリはこの領域に集中的に取り組み、車両全体の効率を最大化するための狙いを持ったコンセプトを練り上げてきた。このエリアは、FIA規則による空力的な制約を部分的に補うアウトウォッシュ効果を生み出す上で決定的だと見なされている。アンダーカット周辺も同様で、局所的な高圧を生み、流れを外側へと押し出す役割を担う。

    フロントサスペンションについても注目点がある。車両ダイナミクス部門は、上側ウィッシュボーンの最初のリンクに制御されたフレックスを持たせるコンセプトを綿密に研究してきた。これにより、サスペンション全体の剛性が状況に応じて変化し、特定の速度域でキャンバー回復量を動的に変化させることが狙いだ。

    こうしたパラメータ管理により、タイヤ挙動に応じたサスペンション制御が可能となり、特定条件下でのグリップと安定性を最適化できる。キャンバー角の設定は常に相反する要素の妥協点であり、剛性、異方性フレックス、変動荷重の管理が複雑に絡み合う。フェラーリは、この作業が実効性を示すことを期待している。

    スクーデリア・フェラーリロイック・セラ

    タイヤとパワーユニット 678の中核を成す二本柱
    マラネロが特に力を注いできた残るテーマは、タイヤとエンジンだ。近年のフェラーリは、コンパウンドを最大限に活かし切れない傾向が続いており、2026年に仕様が変わるタイヤをどう使いこなすかが、マシンの競争力を大きく左右する。

    技術責任者ロイック・セラは、この特性を新型マシンに必須の要件として強く押し出してきた。もうひとつの大きな柱がパワーユニットである。メルセデスが圧縮比で優位に立つ可能性は語られているものの、マラネロでは内燃機関とエネルギー回生を担うハイブリッドシステムの双方において、イタリア製ユニットへの強い自信があると伝えられている。

    最終的に、セラはプロジェクト678に対して極めて攻撃的なアプローチを選択した。無難な選択が良いマシンを生むことはあっても、勝てるマシンにはならない。勝利という言葉が深く刻まれたフェラーリにとって、進むべき道はこれしかなかったという判断だ。

    明確な構想と、残された最大の課題
    本稿は、フェラーリがすでに世界選手権を制した、あるいは当然の優勝候補だと主張するものではない。ここで整理した情報は、新型イタリアンマシンについて理解を深めるための材料に過ぎない。バルセロナ、そしてバーレーンでのプレシーズンテストで実際に走るまでは、技術者やエンジニアが抱く好感触が現実の結果として裏付けられることはない。

    誤差の余地が小さければ小さいほど、パフォーマンスは高まる。人は変わっていないのだから結果も変わらない、という声は根強い。フェラーリは、その論理を否定し、新たな規則の時代に主役となることを目指している。2025年に別れを告げ、2026年へ。答えは、まもなくサーキットで示される。

  • フェラーリF1 2026年にハミルトンとルクレールの要求でステアリング刷新

    フェラーリF1 2026年にハミルトンとルクレールの要求でステアリング刷新

    2026年F1レギュレーションの導入は、空力やパワーユニットといった大枠だけでなく、これまで大きな変化は不要と思われていた領域にも影響を及ぼしている。その象徴が、フェラーリF1が進めているステアリングホイールの抜本的な再設計だ。

    ドライバーの“オフィス”とも呼ばれるステアリングは、アクティブエアロと複雑化するエネルギーマネジメントに対応するため、根本から見直された。

    基本的な形状コンセプトこそ維持されているものの、ドライバーとマシンの関係性そのものが大きく変わろうとしている。

    2026年レギュレーション下では、エネルギー配分の管理が1周の中で極めて重要な要素となる。ストレート区間に十分な電力を確保するため、ドライバーはセクター単位に近い感覚でパワーユニットの使用状況を制御しなければならない。

    それに加えて、アクティブエアロの導入により、各ストレートの入り口で低ドラッグの「直線モード」を手動で作動させる必要がある。これらの操作は1周の中で何度も繰り返されるため、従来の操作体系ではドライバーの負担が過大になる。

    フェラーリF1はこの問題に対応するため、ステアリング上の情報と操作系の配置を大幅に整理した。これまで分散して配置されていた機能の多くは集約され、エネルギー回生、エネルギー展開、電子制御戦略に関連する操作は、中央ディスプレイ下に配置された3つのロータリースイッチにまとめられている。

    中央ディスプレイ自体は引き続き重要な情報表示を担い、選択中のギアや、センサーから取得されるタイヤ温度などのリアルタイムデータが表示される。全体としては、よりクリーンで視認性の高いインターフェースとなり、高速走行中の認知負荷を抑える設計が狙われている。

    物理的な形状にも大きな変化が加えられた。新しいステアリングは全体的に小型化され、特に下部が大きく切り詰められている。従来の6つのロータリースイッチを備えた厚みのあるレイアウトとは明確に異なる思想だ。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    ドライバー主導で進められた再設計
    このステアリング刷新の最大の特徴は、開発プロセスそのものにある。設計はエンジニア主導ではなく、ドライバーのフィードバックを軸に進められてきた。

    フェラーリF1のシミュレーターでは、すでにルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが新レイアウトをテストしており、その過程で継続的な意見交換が行われている。両者は特にエルゴノミクスの改善を重視し、頻繁に使用する操作系が直感的かつ確実に扱えることを強く求めてきた。

    フェラーリF1は現時点で、このステアリング設計を最終形とは考えていない。プレシーズンテストを通じてさらなる調整が行われ、シーズン開幕戦となるオーストラリアGPまでに最終仕様が確定される見通しだ。

    2026年F1では、ドライバーが担う役割はこれまで以上に複雑になる。その変化に真正面から向き合い、操作体系そのものを再定義しようとするフェラーリF1の取り組みは、新時代のF1マシン設計を象徴する一例と言える。

  • フェラーリ、2026年F1エンジンで鋼合金ヘッド採用を決断

    フェラーリ、2026年F1エンジンで鋼合金ヘッド採用を決断

    フェラーリは、2026年F1パワーユニットにおいて、アルミニウムではなく鋼合金製のシリンダーヘッドを採用する決定を下した。エンジン部門のテクニカルディレクターであるエンリコ・グアルティエリがこの解決策を承認し、ダビデ・マッツォーニが持ち込んだ案を、経験豊富なエンジニアであるグイド・ディ・パオラが再検討した。ディ・パオラは、ツィンマーマンとシュミットの離脱以前から、より積極的な役割に復帰していた。

    フェラーリは、プロジェクト678がマラネロの同一ファクトリーで設計・製造されたという利点を最大限に活かそうとしている。2026年型フェラーリは、エンリコ・グアルティエリ率いるエンジン部門と、テクニカルディレクターにロイック・セラを据えるシャシー部門との、極めて高い統合による成果だ。

    2026年パワーユニットは、ディエゴ・トンディおよびフランク・サンチェスが率いる空力部門に対し、空気抵抗低減に有効なコンセプトを極限まで追求する余地を与えるよう構想されている。すでに報じられている通り、新型フェラーリは放熱系のマスを縮小し、電動バッテリーも軽量かつ非常にコンパクトに設計されており、空力的により有利な形状設計を可能にするはずだ。

    フレデリック・バスールのテクニカルスタッフは、4月末に風洞でのSF-25開発を停止した判断が、新レギュレーション導入初年度に結果として現れることを示さなければならない。前例のない規模の規則刷新を前に、エンジン部門がもたらす大胆な設計解によって空力面を攻められる機会を、無駄にすることは許されない。

    マラネロでは、2025年の厳しいシーズンを受けてトーンを抑えている。その中で明らかになったのが、メルセデスとレッドブルが、レギュレーション上は常温測定で16:1と定められた圧縮比を、エンジン作動時の温度上昇によって18:1まで引き上げる仕組みを有しているという事実だった。

    この情報は大きな反響を呼び、フェラーリはホンダおよびアウディとともにFIAに説明を求めた。しかしFIAは、ブリックスワースで生まれ、メルセデスからレッドブルへの技術者移籍後にミルトンキーンズでも採用されたこのアイデアを、完全に合法と判断した。

    一部の関係者によれば、計測上のアドバンテージは約13馬力とされている。1馬力あたりのラップタイム短縮が約0.02秒であるならば、効果は0.25秒程度であり、報じられていたような0.4秒以上にはならないという。

    フェラーリ F1 エンジン

    そして、これまでほとんど伏せられてきた事実として、エンリコ・グアルティエリが、アルミニウム製と並行開発されていた案に代わり、鋼合金製シリンダーヘッドを正式に承認したことがある。4基のパワーユニットを1シーズンで使用する耐久性が確保できない場合に備え、代替案として検討されていたものだ。

    ヴォルフ・ツィンマーマンと副官のラース・シュミットがアウディへ移籍したことで、銅やセラミックを含む鋼合金製ヘッドは短命に終わると見られていた。しかし、2026年パワーユニットのプロジェクトリーダーであるダビデ・マッツォーニはすでに以前から、グイド・ディ・パオラに対し、オーストリアのAVLと共同でまとめられたこの極端な解決策を見直し、信頼性の基礎を確立するよう指示していた。

    鋼はアルミニウムより重いものの、これまで到達したことのない燃焼室内の圧力と温度条件を試すことが可能になる。2026年のパワーユニットは重量が30kg増加し、150kgとなるため、この特性はむしろ利点になり得る。

    ディ・パオラにより積極的な役割を再び与えたことは、マラネロのエンジン部門における重要な柱が戻ったことを意味する。ルノーやメルセデスから加わった有能な人材も含め、結束力のある作業グループが再形成されつつあるようだ。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1再起計画「2026年までに修正すべき点は明確」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1再起計画「2026年までに修正すべき点は明確」

    ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、2025年シーズンに直面した課題を受け、冬のオフ期間を通じてチームと密に作業し、2026年に向けた立て直しを図る考えを明かした。

    2025年は、ハミルトンにとってフェラーリ移籍初年度という節目の年だったが、同時に望ましくない「初めて」も経験するシーズンとなった。上海でフェラーリF1として初のスプリントレース勝利を挙げた一方で、F1キャリアで初めてグランプリ表彰台なしでシーズンを終える結果となった。

    また、予選での一発の速さにも苦しみ、SF-25への適応に手こずったことは公然の事実だった。シーズン終盤の3戦では連続してQ1敗退を喫しており、これはマクラーレン時代の2009年以来の出来事だった。

    オフシーズンでの徹底的な見直し
    2026年に向けた2年目のシーズンを見据え、ハミルトンはオフシーズンに包括的な改善プログラムを実施する意向を示している。

    「これまでの歩みを分析して、何が良かったのか、どこを改善できるのかを見極める必要がある」とハミルトンは、メディアに語った。

    ハミルトンはすでに、改善点を詳細にまとめた資料をチームに提出するなど、フェラーリF1の作業に深く関与してきたことでも知られている。

    「どこに問題があるのかは分かっている。それをシーズン終了後にチームと一緒に腰を据えて話し合うことが大切だ」

    と述べ、具体的な修正点についてはすでに共有済みであることを示唆した。

    さらに、自身の体制についても見直す考えを明かしている。

    「サーキット外で支えてくれている自分のチームについても、タイミングや移動を含めて、もっと効率化できる点がないかを見直す。同じことをチームともやっていく」

    ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ

    2025年の苦戦は想定内だった
    ハミルトンのフェラーリ移籍発表は、2025年シーズン開幕前からティフォシの期待を大きく高めていた。2024年終盤にマクラーレンF1とコンストラクターズタイトルを争ったフェラーリF1の勢いもあり、期待値はさらに膨らんでいた。

    しかしハミルトンは、内部的には2025年に苦戦する可能性をすでに「想定していた」と認めている。

    「シーズン終盤に、ここまでの状況になるとは分からなかった。ただ、そうなる可能性は想定していたし、実際にはそれ以上に厳しく感じられた」と振り返った。

    フェラーリF1は4月の段階でSF-25の開発を打ち切り、2026年F1レギュレーションに集中する決断を下した。この判断について、ハミルトンはシャルル・ルクレールとともに、短期的にはパフォーマンス維持を難しくしたと認めている。

    「僕はその決断を強く後押しした一人だ。フレデリック・バスールに、2026年に向けた新車開発で他に後れを取るわけにはいかない、と伝えた。学習曲線はとても急だからだ」

    「タイトル争いをしていなかった状況を考えれば、あれは正しい判断だったと思っている。ただ、その結果として、シーズン序盤にあったパフォーマンスを維持するのが、より難しくなったのも事実だ」

    ハミルトンは、こうした経験を踏まえたうえで、2026年に向けたフェラーリF1の立て直しに全力を注ぐ構えだ。新時代のF1に向け、チーム全体の行動や体制そのものを変えていくことが、再起への鍵になると考えている。

  • フェラーリが明かす2026年F1パワーユニット革命 電動50%時代の実像

    フェラーリが明かす2026年F1パワーユニット革命 電動50%時代の実像

    2026年から施行されるF1レギュレーション大改定を前に、フェラーリのパワーユニット技術責任者エンリコ・グアルティエリが、RacingNews365のテクニカルエキスパートであるパオロ・フィリセッティらの取材に応じ、エンジン面で何が起きるのかを語った。

    2026年シーズンに向けたF1レギュレーションの刷新は、空力だけにとどまらない。パワーユニットもまた、この変革の中心的存在となり、新エンジンこそが来季に目にする変化の真の要になると言っていい。

    1月26日から30日にかけて行われるバルセロナ=カタルーニャ・サーキットでの最初の非公開テストまで、残りは1か月あまり。パドックでは、いまだ不確実性が支配している。

    すべてのチームにとって、確かな事実はほとんど存在しない。だからこそ、イタリアチームのシーズン終了後プレスデブリーフの場で、RacingNews365はフェラーリのパワーユニット技術責任者であるエンリコ・グアルティエリに話を聞き、今後の見通しに少しでも光を当てようとした。

    フェラーリは1月23日に新車を発表予定であり、マシン発表と初走行に向けたカウントダウンが進む中での取材だった。

    2026年パワーユニットの大きな変更点
    2026年仕様のパワーユニットは、2025年まで使用されてきたものと比べて、2つの根本的な違いがある。

    最も際立つのは、内燃エンジンと電動コンポーネントの最大出力が等分される点だ。おおよそ内燃エンジンが500馬力、電動側も500馬力という構成になる。

    具体的には、電動側は350kWを発生し、これまでの120kWからほぼ3倍に増加する。従来の80/20という内燃優位の配分から、50/50へと完全に変わる。

    もう一つの大きな変更はエネルギー回生だ。2026年からは、減速時やアクセルオフ時にMGU-Kのみでエネルギーを回収することになる。

    ターボシャフトに接続されたモータージェネレーターであるMGU-Hは、完全に廃止される。

    グアルティエリによれば、これら2つのレギュレーション変更によって、新パワーユニットの設計思想そのものが根本から作り替えられたという。

    最大の課題
    エンジニアたちが直面してきた最も明白な課題は、電動出力が3倍に増えたことだ。

    これにより、2つの重要な結果が生じている。第一に、バッテリーはもはや1周を通して電動パワーを供給し続けることができなくなった。

    サーキットによっては、最も長いストレートの終わりを迎える前に、電動ブーストが尽きてしまうケースもある。

    第二に、バッテリーの再充電がはるかに複雑になった。MGU-Hが廃止されたことで、MGU-Kが唯一の回生源となり、ブレーキング効率と全体的なエネルギーマネジメントの重要性が飛躍的に高まっている。

    サーキットで何が見られるのか
    こうした大きな変更がある一方で、グアルティエリは、ドライバーが電力を温存するためにアクセルオフを多用する「リフト&コースト」がレースを支配するような展開にはならないと見ている。

    代わりに決定的な要素となるのはソフトウェアだ。エネルギーの放出と回収を司るマネジメントシステムが性能の中核となり、重要な競争上の差別化要因になり得る。

    純粋な速さとバッテリー管理の最適なバランスを見つけたチームが、大きなアドバンテージを得ることになる。

    FIAが導入したアクティブエアロダイナミクスは、直接的な性能向上ではなく、エネルギー制約を補うための手段として位置づけられており、マシン間に大きな性能差を生むことはないとグアルティエリは説明する。

    その効果は、電子制御戦略とどれだけ巧みに統合されているかに、ほぼ完全に依存するという。

    またグアルティエリは、ドライバーの役割がこれまで以上に重要になると認めている。

    ピットウォールからの直接的な指示はレギュレーションで制限され続けるが、ドライバー自身がステアリング上のコントロールを使い、レース状況やバッテリー残量に応じてエネルギー展開モードを、より頻繁かつ体系的に調整する必要がある。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    すでに先行するチームはいるのか
    パワーユニットのレギュレーションは、2026年シーズンの2年半以上前に最終確定された。これは、安定した強固な枠組みを作るための措置だった。

    グアルティエリによれば、このアプローチにより、2014年から2020年にかけてメルセデスが築いたような、ハイブリッド時代初期の一方的な支配が再現される可能性は低いという。

    現時点では、どのチームもライバルに対する自分たちの立ち位置を明確には把握していない。ただし、信頼できる情報筋によると、ダイノテストでは各陣営で信頼性の問題が発生しているという。

    その多くは、100%持続可能燃料に関連している。ただし燃料そのものの品質ではなく、燃焼効率を極限まで高めつつ、同時に軽量化を進めていることが原因だとされる。

    これは、2026年に最低重量が798kgから768kgへと引き下げられることを考えれば、極めて重要な要素となる。

    フェラーリの進捗と全体像
    夏の終わりにヴォルフ・ツィンマーマンとラース・シュミットがフェラーリを離脱したことで、2026年パワーユニット計画に遅れが生じているのではないかという憶測が広がったが、グアルティエリはそれを確認しなかった。

    また、シリンダーヘッド素材を巡る噂についても、彼は明言を避けている。当初は熱伝導性に優れ、ラジエーターを小型化できる鋼材が有力とされていたが、信頼性の懸念や全開時テストでの最高出力低下を理由に、アルミニウムへ回帰する可能性が取り沙汰されていた。

    グアルティエリが指摘するように、すべてのメーカーが、極めて複雑な初期認証フェーズを経験してきた。

    電動と内燃の出力が前例のない形で均衡することで、全チームが未踏の領域に足を踏み入れている。

    明らかなのは、F1が完全に新しい技術領域へ突入しているということだ。シーズンが始まり、実走行での効率や性能データが明らかになれば、開発曲線は極めて急峻なものになるだろう。

    マシンの進化は止まることなく続き、単にラップタイムを追い求めるだけでなく、場合によってはパワーユニット自体の弱点を補うための開発も求められていくことになる。

  • 2025年は苦戦でも別格 フォーブスが示すフェラーリF1チームの資産価値

    2025年は苦戦でも別格 フォーブスが示すフェラーリF1チームの資産価値

    2025年F1シーズンは成績面で厳しい戦いを強いられたものの、フェラーリの評価は揺らいでいない。フォーブスが発表した2025年版「世界で最も価値のあるスポーツチーム50」において、フェラーリF1は評価額65億ドルで26位にランクインし、F1チームとしてトップの座を維持した。

    同ランキングでトップ50入りを果たしたF1チームは、フェラーリとメルセデスのわずか2チームのみ。

    ドライバーズ、コンストラクターズ両タイトルを制したマクラーレンや、マックス・フェルスタッペンを擁するレッドブル・レーシングが圏外にとどまる中、フォーブスの評価はF1における「勝利」と「資産価値」が必ずしも一致しない現実を浮き彫りにしている。

    フォーブス2025年スポーツ資産価値ランキング F1は2チームのみ
    フォーブスが発表した2025年版「世界で最も価値のあるスポーツチーム50」において、トップ50全体の評価額は総額3,530億ドルを超え、前年から22%増加した。首位はNFLのダラス・カウボーイズで、評価額は130億ドルに達している。

    6年前の2019年、ダラス・カウボーイズは50億ドルで評価されていたが、2025年現在ではその金額ではトップ50入りすら果たせない。48位にはデトロイト・ライオンズ、リバプールFC、トロント・ラプターズが並び、いずれも54億ドルで評価されている。

    評価額上昇の背景についてフォーブスは、メディア放映権料の急騰を最大の要因として挙げている。リーグからの分配金が拡大したことで、NBAやNFLのフランチャイズ収益が大きく伸び、それがチームの売却価格や評価額を押し上げたとしている。

    フェラーリがF1勢トップ メルセデスも復帰
    2025年のトップ19はNBA、NFL、MLBといった北米スポーツチームが独占したが、20位にはレアル・マドリードが入り、評価額は67億5,000万ドル。北米以外のクラブとしては最上位となった。

    プレミアリーグではマンチェスター・ユナイテッドが24位で66億ドルと評価され、NFLのタンパベイ・バッカニアーズと並んでいる。

    F1チームとして最上位に入ったのはフェラーリだった。2025年シーズンは苦戦を強いられたものの、26位で評価額は65億ドル。フェラーリはピッツバーグ・スティーラーズと同額評価となっている。フォーブスは、7度の世界王者ルイス・ハミルトンの加入も含め、フェラーリが持つ圧倒的なブランド力を評価の要因として挙げた。

    もう1チームはメルセデスだ。2024年はF1チームが評価対象外だったが、2025年は34位に返り咲き、評価額は60億ドルとなった。チーム代表トト・ヴォルフが率いるブラックリー拠点のチームは、シカゴ・ブルズやロサンゼルス・チャージャーズと肩を並べる位置づけとなっている。

    マクラーレン F1

    王者マクラーレンとレッドブルは圏外
    一方で、リスト入りを逃したチームの顔ぶれは大きな驚きを呼んだ。2025年にドライバーズ、コンストラクターズの両タイトルを制したマクラーレンF1はトップ50圏外だった。過去5年間で評価額は約500%上昇し、直近ではおよそ45億ドルと見積もられているが、トップ層に食い込むには依然として数十億ドルの差がある。

    同様に、レッドブル・レーシングもランク外となった。マックス・フェルスタッペンの圧倒的な成績と世界的な存在感を誇りながらも、評価額ではトップ50に届かなかった。また、大規模な設備投資とスポンサー獲得を進めているアストンマーティンF1も、今回は選外となっている。

    フォーブスの評価基準とF1の現在地
    フォーブスは評価方法について、チーム価値は「株主資本と純有利子負債を合算したエンタープライズバリュー」に基づくと説明している。スタジアムの経済価値は含まれるが、不動産そのものの価値は含まれない。地域スポーツネットワークからの放映権料は反映される一方、ネットワーク自体の価値や、他スポーツ資産、複合不動産プロジェクトへの持分は除外されている。すべての数値は米ドル建てだ。

    評価プロセスでは、最近の取引データの分析に加え、チームやリーグの幹部、オーナー、投資家、投資銀行関係者、アドバイザーらへの取材、公的資料や業界調査の精査が行われたという。

    NFLが依然としてランキングを支配する一方で、F1の成長軌道は明確だ。アメリカ市場でのファン拡大と放映権料の上昇が続けば、マクラーレンF1やレッドブル・レーシングが将来的にフォーブスのトップ50、さらには上位層で存在感を示す可能性は十分にある。