カテゴリー: スクーデリア・フェラーリ

  • フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』は「コンセプト設計に時間を割いた」

    フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』は「コンセプト設計に時間を割いた」

    スクーデリア・フェラーリのシャシー部門テクニカルディレクターを務めるロイック・セラは、2026年F1新レギュレーションに対応して開発された新車「SF-26」について、これまでとは根本的に異なるアプローチが求められたと明かした。

    2026年からF1は、シャシーとパワーユニットの双方で大規模な技術刷新を迎える。空力コンセプトの見直し、軽量化、そしてアクティブエアロの導入など、設計思想そのものが大きく変化する中で、SF-26はゼロから構想されたマシンだ。

    セラは、開発初期段階において「コンセプト設計」に多くの時間を割いたことを強調している。

    「SF-26の開発では、まったく新しいレギュレーション枠組みに適応する必要があった。そのため、コンセプトフェーズにかなりの時間を費やし、新しい技術的・規制的環境を可能な限り正確に捉えることに注力した」

    また、シーズン中の開発余地を確保することも、車体設計における重要な要素だったという。

    「マシンのアーキテクチャは、シーズン中の開発に十分な柔軟性を持たせる必要があった。限られた条件の中で、どれだけ発展性を確保できるかが非常に重要だった」

    スクーデリア・フェラーリ

    2026年レギュレーションでは、エネルギーマネジメントと空力効率の重要性がこれまで以上に高まる。その中で、アクティブエアロの統合は避けて通れないテーマだとセラは指摘する。

    「この環境では、効率性が極めて重要になる。アクティブエアロのような要素を含め、各機能をいかにうまく統合できるかがパフォーマンスを左右する」

    SF-26は、フェラーリのマラネロ工場に集う全スタッフによる総合的な協業の成果だとも語った。

    「SF-26は、ファクトリー全体による大規模なコラボレーションの結果だ。チーム全員の努力によって形になったマシンであり、シーズン開幕を迎えるのを楽しみにしている」

    フェラーリにとって2026年は、新たな技術時代への本格的な第一歩となる。その基盤を築く役割を担うSF-26について、ロイック・セラは「効率性」「柔軟性」「統合」を軸に、長いシーズンを通じて進化させていく考えを示した。

    ロイック・セラ スクーデリア・フェラーリ/シャシー部門テクニカルディレクター

  • ルイス・ハミルトン、フェラーリF1のマシン開発に深く関与「魅力的な挑戦」

    ルイス・ハミルトン、フェラーリF1のマシン開発に深く関与「魅力的な挑戦」

    ルイス・ハミルトンは、スクーデッリア・フェラーリとの2026年シーズンを「キャリアの中でも最大級のレギュレーション変更」と表現し、新時代のF1に向けた挑戦への強い意欲を語った。

    2026年から導入される新レギュレーションでは、車体コンセプト、空力思想、パワーユニット、燃料、タイヤサイズまでが一新される。フェラーリSF-26は、そのすべてを前提に開発された初のマシンとなる。

    ハミルトンは、この大きな転換期において、チームとしての成長と方向性の共有が何より重要だと強調した。

    「2026年シーズンは、誰にとっても非常に大きな挑戦だ。おそらく、僕のキャリアの中でも最も大きなレギュレーション変更になる。新しい時代が始まるとき、すべては開発、チームとしての成長、そして同じ方向に進むことに集約される」

    また、開発初期からドライバーとして深く関与できたこと自体が、非常に刺激的な経験だったとも振り返っている。

    「これほど大きく異なるマシンの開発に、最初から関わることができたのは、とても魅力的な挑戦だった。エンジニアと密接に協力しながら、明確な方向性を定義していく作業は、ドライバーとして非常に重要な役割だと感じている」

    2026年は、エネルギーマネジメントや新システムの理解において、ドライバーが中心的な役割を担う年になるとハミルトンは見ている。

    「技術的な観点から見ても極めて重要な一年になる。エネルギーマネジメント、新しいシステムの理解、そしてマシン開発への貢献において、ドライバーの役割はこれまで以上に大きい」

    最後に、フェラーリのティフォシの存在がチーム全体を支えていることにも言及した。

    「この挑戦は、チームとして一緒に立ち向かうものだ。フェラーリのティフォシが持つ並外れた情熱は、僕たち全員にとって本当に大きな意味を持っている」

    ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ

  • フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』のシェイクダウンを完了

    フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』のシェイクダウンを完了

    フェラーリF1は、2026年F1マシン「SF-26」のシェイクダウンを完了した。舞台となったのは、チームのテストコースであるフィオラノ・サーキットで、記念すべき初走行はルイス・ハミルトンが担当した。

    SF-26の初走行を現地で見届けたF1コメンテーターのローレンス・バレットによれば、ガレージ内には緊張感と高揚感が入り混じった独特の空気が漂っていたという。エンジニアとメカニックが淡々と準備を進めるなか、ハミルトンが最初にステアリングを握り、シャルル・ルクレールは無線を聞くためヘッドホンを着けてマシンの横で見守っていた。

    エンジンに火が入ると、そのサウンドがガレージ内に反響し、ハミルトンは慎重にマシンを走らせてコースイン。初周回を終えてガレージに戻ると、チーム内には自然と笑顔が広がった。数か月にわたる開発作業を経て、SF-26はついに最初の一歩を刻み、フェラーリF1の2026年F1シーズンへの挑戦が正式に始動した。

    続く走行では、ハミルトンが2回目のランを担当。最初のインスタレーションラップではフルウエットタイヤを使用したが、このセッションではスリックタイヤに履き替え、2周を走行した。1周目はカメラカーの後方につき、2周目にはメインストレートでフル加速を披露。走行後にはスタート練習も行い、予定通りセッションを終えた。

    この日はデモンストレーションデーとして走行距離が15kmに制限されており、ハミルトンの走行はここで終了。フェラーリF1はマシンをルクレール用のセットアップに切り替え、準備が整い次第、ルクレールがSF-26で初走行を行う予定となっている。

    スクーデリア・フェラーリ

  • フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』を発表 通算72代目となるマシン

    フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』を発表 通算72代目となるマシン

    スクーデリア・フェラーリHPは23日、2026年F1世界選手権を戦う新型マシン「SF-26」を発表した。

    2026年シーズンは3月8日にオーストラリアで開幕する。SF-26は、マラネロを本拠とするフェラーリにとって通算72台目となるF1マシンであり、新たなテクニカルおよびスポーティング・レギュレーションの下で初めて設計されたマシンでもある。発表はフィオラノ・サーキットで行われた。

    2026年は、F1にとって大きな転換点となる年だ。マシンは軽量化され、空力コンセプトは根本から見直され、さらに新世代パワーユニットが導入される。SF-26は、こうした変革を体現する存在として誕生した。

    新時代への対応
    SF-26は、全面刷新されたレギュレーションに対応するため、車両アーキテクチャを一から再構築している。シャシーはグラウンドエフェクト空力を廃し、よりクリーンなラインを持つ新たなアプローチを採用した。全体の設計思想は軽量化と効率向上に重点を置き、F1が掲げる新時代の方向性に沿ったものとなっている。

    パワーユニットも大きな進化を遂げた。MGU-Hを廃止し、MGU-Kの出力を350kWへと引き上げた新世代ハイブリッドを採用し、電動システムの比重がさらに高められている。これにより、シャシーとパワーユニットの密接な統合を前提とした、完全に新しい設計アプローチが求められた。

    スクーデリア・フェラーリ

    デザイン、カラー、そしてアイデンティティ
    SF-26は、新レギュレーションに即したクリーンで流麗なラインを特徴とし、軽さと俊敏性を強く印象づけるプロポーションを備える。設計初期段階から、機能的なシンプルさが重視され、シーズンを通じて得られる走行データをもとに発展させていける、堅牢かつ柔軟なコンセプトが構築された。

    2026年シーズンのリバリーは、フェラーリの過去と現在をつなぎながら、新たな技術時代へ踏み出す姿勢を象徴するものとなっている。近年のスクーデリア・フェラーリHPの歴史と比べても、大きな変化が加えられている点が特徴だ。

    スクーデリア・フェラーリ SF-26

    最も象徴的なのは、7シーズン続いたマット仕上げから、再びグロス塗装へ回帰した点である。2026年のロッソ・スクーデリアは、より明るく、より力強い色調となり、2025年モンツァで披露されたスペシャルリバリーから着想を得た大胆な表情を持つ。この赤は、2000年前後に用いられていたフェラーリの赤とも連続性を保ち、情熱、勇気、そしてアイデンティティというフェラーリの核となる価値観を改めて強調している。

    赤に加え、歴史的に控えめながらも象徴的に使われてきた白が、新たな役割を担う。コックピット周辺やエンジンカバーに配された白は、強いコントラストを生み出し、マシンを瞬時にフェラーリと認識させる要素となっている。赤と白の組み合わせは、単なる配色を超え、伝統と未来志向の対話を表現するものだ。

    ドライバー用レーシングスーツ
    2026年用のレーシングスーツも、この新章のビジュアルアイデンティティを反映している。支配的なカラーはもちろん赤であり、スクーデリアを象徴する色として健在だ。一方で白は、チームの過去と意図的につながる形で用いられ、肩口から襟元を包み込むデザインとなっている。この配色バランスは、伝統と革新を融合させるフェラーリの姿勢を体現し、シーズンを通じて世界各地で着用される。

    スクーデリア・フェラーリ 2026年のF1世界選手権

    2026年シーズンに向けて
    来週からシェイクダウンとテストが始まり、その後はバーレーンで2回の公式テストが予定されている。焦点は設計フェーズから、実走行を通じた理解へと移行する。すべてのチームにとって未知の技術環境となる中でも、フェラーリのアプローチは変わらない。綿密な作業、細部へのこだわり、そして徹底したデータ分析を重ねながら、着実かつ堅実な進歩を目指していく。

  • フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』をお披露目(速報版)

    フェラーリF1、2026年F1マシン『SF-26』をお披露目(速報版)

    スクーデリア・フェラーリは1月23日、2026年のF1世界選手権を戦う新型マシン「SF-26」を発表した。F1の大規模レギュレーション刷新初年度となる2026年に向け、名門が再起を期す一台がついに姿を現した。

    発表はイタリア・マラネロのチーム本拠地で行われ、SF-26のデジタルイメージが公開された。マシンは同日中にフィオラノ・テストコースでシェイクダウン走行を行う予定となっている。

    2025年シーズンは未勝利に終わり、コンストラクターズランキング4位に沈んだフェラーリにとって、SF-26は体制立て直しの象徴となる存在だ。2026年はエンジン、空力、シャシーのすべてが刷新される新時代の幕開けであり、各チームの開発力が直接問われる。

    チーム代表のフレデリック・バスールは発表に先立ち、「発表前日にマシンを完成させるという非常にアグレッシブなスケジュールだが、全チームが同じ状況にある」と述べ、開発競争の激しさを強調していた。

    フェラーリは2026年シーズン、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールのラインアップで戦う。SF-26が新レギュレーション下で競争力を発揮できるかどうかは、両ドライバーの将来にも影響を及ぼす重要な要素となる。

    フェラーリはこのSF-26とともに、再びF1の頂点争いへ戻ることを目指す。

    スクーデリア・フェラーリ F1

  • オリバー・ベアマン、フェラーリF1代表と定期的に協議「将来ではなく今の走り」

    オリバー・ベアマン、フェラーリF1代表と定期的に協議「将来ではなく今の走り」

    オリバー・ベアマンは、フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールと、自身のF1でのパフォーマンスについて定期的に話し合っていることを明かした。

    イギリス人ドライバーのベアマンは、2025年にルーキーとして好シーズンを過ごした後、ハースF1チームでF1フル参戦2年目のシーズンに向けた準備を進めている。

    現在はハースF1チームからレースに出場しているものの、ベアマンはフェラーリ・ジュニア・アカデミーの一員であり、将来的にシートに空きが生じた際の有力候補として名前が挙がっている。

    ただしベアマンは、バスールとの会話は将来のシートに関するものではなく、あくまで現在のドライビングパフォーマンスに関するものだと強調した。

    「シーズンを戦う中で僕が直面している課題について、ときどき話をしている」とベアマンはRacingNews365を含むメディアに語った。

    「本当にオープンな対話という感じだ。紙の上に出てくる結果だけを見るのは簡単だけど、それがすべてを物語っているわけじゃないからね。だから自分の側で何が起きているのかを、はっきり伝えるようにしている」

    「そこにはたいてい、もっと多くの要素がある。だけど将来については、何の話もない。ただ僕はクルマをドライブするだけだ。良いレベルで走れていれば、あとのことは自然とついてくると思っている」

    ベアマンはすでにフェラーリF1でのレース出走経験も持っており、2024年F1サウジアラビアGPでは体調不良となったカルロス・サインツの代役を務めている。

    その後フルタイムドライバーへと移行したベアマンは、フェラーリから改善点についてのコミュニケーションも受けていることを明かした。

    「ポジティブでもネガティブでもないフィードバックだ」とベアマンは述べた。

    「さっき言ったように、オープンな話し合いなんだ。僕が直面している課題について話す。それから将来、新しいレギュレーションも重要になる。僕は彼らと同じエンジンを使っているからね」

    「特定の部分を改善してほしいと言われた場面もあった」

    「でも僕にとっては、経験を積めば自然とそうした部分は良くなっていくものだ。経験値が上がれば、時間とともに自然に成長していくからね」

  • フェラーリF1、2026年版レーシングスーツ公開 ハミルトンとルクレールが着用

    フェラーリF1、2026年版レーシングスーツ公開 ハミルトンとルクレールが着用

    スクーデリア・フェラーリは2026年F1シーズンに向け、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが着用する新しいレーススーツを公開した。マシンの実走はまだ行われていないが、マラネロのチームは新時代に向けた“装い”をいち早く披露した形だ。

    公開はフェラーリの公式SNSチャンネルで配信された映像を通じて行われ、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが主役として登場した。暗がりの中で歩み寄る2人にスポットライトが当たり、2026年仕様のレーススーツが明らかになる演出となっている。

    スクーデリア・フェラーリは2026年F1シーズンに向け、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが着用する新しいレーススーツを公開した。マシンの実走はまだ行われていないが、マラネロのチームは新時代に向けた“装い”をいち早く披露した形だ。

    公開はフェラーリの公式SNSチャンネルで配信された映像を通じて行われ、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが主役として登場した。暗がりの中で歩み寄る2人にスポットライトが当たり、2026年仕様のレーススーツが明らかになる演出となっている。

    「マラネロに戻ってきた!」とハミルトンは語り、2人は新たなシーズンへの第一歩を象徴するかのようにカメラの前に立った。

    新レーススーツは、伝統のロッソ・コルサを基調としながらも、白のアクセントを大きく取り入れたデザインが特徴だ。首元、肩、そしてスーツの側面から脚部にかけて白いラインが配され、昨季のほぼ全面赤一色の印象から大きく刷新されている。

    昨年見られた胸部の水平ストライプは廃され、代わって胸から肩にかけて縦方向の白いラインが入ることで、よりシャープでスポーティなシルエットを強調している。スポンサーロゴは首元寄りにまとめられ、胸中央には跳ね馬のエンブレムが堂々と配置された。その下には、タイトルパートナーであるヒューレット・パッカードの青がアクセントとして映える。

    この“ファッション発表”は単なる衣装変更にとどまらず、間近に迫る2026年F1マシンへのヒントとも受け取れる。SF-26は1月23日にフィオラノで公開予定となっており、レーススーツで強調された白の要素が、マシンのリバリーや2026年シーズンのチームキット、公式マーチャンダイズ全体に反映される可能性が高い。

    スクーデリア・フェラーリ,F1

    さらにフェラーリは、新たなテクノロジーパートナーシップも発表した。ウェアラブルデバイスメーカーのWHOOPが、チームの「公式ヘルス&フィットネス・ウェアラブル・パートナー」に就任する。

    2026年F1では100%持続可能燃料の使用や大規模な電動エネルギー展開により、マシンだけでなくドライバーやチームスタッフにもこれまで以上の負荷がかかる。WHOOPのデバイスは24戦のシーズンを通してチームメンバーに装着され、身体状態やストレス、回復度合いをモニタリングすることで、マラネロの陣営が常に最高のコンディションを保つことを目的としている。

    新しいレーススーツと最新の健康管理体制。フェラーリF1は、2026年という大胆な新時代に向け、コース内外の準備を着実に進めている。

  • フェラーリ 2026年F1パワーユニット 低回転域で効かせるターボ設計

    フェラーリ 2026年F1パワーユニット 低回転域で効かせるターボ設計

    フェラーリは2026年F1パワーユニットにおいて、低回転域でのレスポンスと効率を重視したターボ設計に注力している。MGU-H廃止という大きな技術転換を受け、マラネロのエンジン部門は、寸法が厳しく制限されたターボの中で、材料、慣性、ブレード形状、そしてハイブリッド制御の最適化を進めてきた。

    FIAが定めるタービンおよびコンプレッサーのサイズ制限により、単純な大型化による出力向上は不可能となった。

    フェラーリが選んだのは、低回転域からターボを効果的に作動させ、電動と内燃機関の役割分担を精密に制御することで、2026年F1レギュレーション下でも安定したパフォーマンスを引き出すアプローチだ。

    フェラーリSF-26では、ターボに多くの検討が重ねられてきた。2026年F1では、新レギュレーションの主要な技術要件のひとつがパワーユニットの効率であり、MGU-Hの廃止と、それに代わる「スーパーMGU-K」の導入が前提となっている。フェラーリは重量低減、慣性の最適化、そしてハイブリッド側によるタービン制御を通じて、出力特性のカーブをより効果的なものにすることを目指している。

    2026年F1におけるタービンとコンプレッサーのFIA規定
    2026年F1技術レギュレーションのC5項、より正確には3.5条では、ターボチャージャーのコンプレッサーおよびタービンに対し、厳格な寸法制約が定められている。使用できるのは、FIA技術部門により承認されたコンプレッサーおよびタービンのインペラのみだ。

    注記Aによると、コンプレッサーのエクスデューサー(出口)側ブレードの外径は100mmから110mmの範囲に収めなければならない。ブレード、ハブ、ブレードとハブをつなぐR部を含め、コンプレッサーインペラのいかなる部分も最大径を超えることは許されず、また最小径を下回ることもできない。

    この数値制約は、すべてのチームのエンジン部門が回避できない条件だ。整理すると、コンプレッサーの外径は100mmから110mm、タービンは90mmから100mmの範囲に制限されている。この規定が、2026年F1におけるターボ設計の考え方を大きく変える要因となっている。

    もはや使えない従来の出力向上策
    これまでのF1では、より多くのパワーを得るために、より大きなコンプレッサーを採用するという方法が一般的だった。インペラ径を拡大すれば、同じ回転数でもより多くの空気をエンジンに送り込むことができるからだ。

    しかしFIAは、わずか10mmの許容幅しかない厳密な寸法枠を設定することで、この手法を封じた。結果として、現行レギュレーションの下では、パワー向上の唯一の道は効率の追求に限定されることになった。すべてのチームが最大110mmという同一条件のコンプレッサーを使う以上、サイズによる優位性は存在しない。

    スクーデリア・フェラーリ

    寸法固定時代のターボ開発
    同一寸法でライバルを上回るために必要なのは、ブレード形状の空力設計と内部流路の最適化だ。技術者は、限られたサイズの中で、インペラがより効率的に空気を切り裂き、過度に加熱せず、かつ素早く応答するよう設計しなければならない。

    寸法が固定された要素では、設計はブレードプロファイルに対する“マイクロ手術”のような作業になる。断熱効率の向上、応答性の改善、そして低回転域での扱いやすさが重要な評価軸となる。

    フェラーリが注力した低回転域効率
    編集部の取材によれば、フェラーリが特に注力したのがこの分野だった。ターボからより高いパワーを引き出すため、チームは素材面にも手を入れ、重量を最小限に抑え、インペラの慣性を可能な限り低減することを目指した。

    これにより、排気からのわずかな流れでもインペラが回転しやすくなり、低回転域での効率向上につながる。ターボが立ち上がるまでの遅れを抑えることは、2026年F1パワーユニットにおいて重要なテーマとなっている。

    MGU-H廃止後の制御戦略
    2026年F1では、これまでターボと直結していたMGU-Hが廃止される。排気ガスのエンタルピーからエネルギーを回収するだけでなく、タービン回転数を維持する役割も担っていたMGU-Hがなくなることで、新たな制御戦略が求められることになった。

    低回転域でアクセルを踏み込んだ際に発生するターボラグは、電動側がトルクの谷間を埋めることで補われる。ターボの回転数が上がるにつれ、電動側の補助は段階的に減少していく。

    回転数の上昇に応じて、電動と内燃機関それぞれの寄与率を正確に管理することは大きな不確定要素だ。出力特性のカーブを滑らかに保ち、常に適切なターボ回転数を維持することは、新世代パワーユニットにおける最大の課題のひとつといえる。

    最終的に、これらの解決策の成否を判断するのはサーキットだ。パワーユニットの各要素を限界まで引き出すことは、それらが推進系全体と正しく連携して初めて成果を生む。フェラーリ内部にはパワーユニットに対する一定の楽観論があるが、バルセロナでの走行を通じて、その性能と信頼性が検証されることになる。

  • フェラーリF1、BingXと初の暗号資産取引所パートナーとして複数年契約

    フェラーリF1、BingXと初の暗号資産取引所パートナーとして複数年契約

    スクーデリア・フェラーリは、暗号資産取引所を運営するBingXと複数年契約を締結し、新たなチームパートナーとして迎えることを発表した。

    2026年のF1世界選手権を戦う新車SF-26の発表を1週間後に控えるなか、マラネロのチームは、パートナーシップのポートフォリオにBingXを加えたことを明らかにした。

    フェラーリとBingXの契約は複数年にわたるもので、イタリアのチームによれば、継続的なイノベーションの推進と、新技術やグローバルな新規オーディエンスとのエンゲージメント拡大に貢献することが期待されている。

    両者に共通する価値観として挙げられたのは、パフォーマンスの追求、精度、そして継続的な進歩だ。BingXにとっては、今回がモータースポーツ界への初参入となり、フェラーリF1とチームパートナーとして手を組むことは、国際的な成長戦略において重要な第一歩となる。

    フェラーリのチーフ・レーシング・レベニュー・オフィサーであるロレンツォ・ジョルジェッティは、BingXとの複数年契約について次のようにコメントしている。

    「フェラーリF1として、初の暗号資産取引所パートナーとしてBingXを迎えられることを嬉しく思う。このコラボレーションは、未来志向の哲学に沿って新興テクノロジーを受け入れていく我々の姿勢を反映したものだ」

    「FIAによる2026年F1レギュレーションというモータースポーツの新時代を見据えるなかで、この提携は、伝統である精度と卓越性の追求に忠実でありながら、サーキット内外で最先端のイノベーションを探求していく我々の意欲を示している」

    「暗号資産取引所分野で初のパートナーとしてBingXを選んだことで、この分野が持つ変革のポテンシャル、そして新たなデジタル体験を通じて、より幅広いグローバルなファン層とつながる機会を認識している」

    このフェラーリF1とBingXのパートナーシップは、イベント、デジタルプラットフォーム、グローバルコンテンツ、そしてファンのために企画・制作された限定的な体験など、チームのさまざまな活動に統合されていく予定だと、マラネロのチームは説明している。

  • ルイス・ハミルトンがフェラーリF1で“ボノ”と再会しない理由

    ルイス・ハミルトンがフェラーリF1で“ボノ”と再会しない理由

    ルイス・ハミルトンがフェラーリで新たなレースエンジニアを探していることは周知の事実だが、ひとつだけ確かなことがある。それは、長年の盟友であるピーター・ボニントン、通称“ボノ”が、リカルド・アダミの後任としてマラネロに加わることはない、という点だ。

    ハミルトンとアダミの関係が2026年も続かない決定的な兆候は、2025年シーズン最終戦に表れていた。

    Q1敗退を喫し、中団からポイント圏を目指して追い上げていたハミルトンは、無線で「前に誰がいるかは伝えないでくれ」と要請したが、アダミは情報を伝えた。

    その直後、ハミルトンは「もういい、僕に任せてくれ」と応じた。このやり取りは、23戦以上を共にしてもなお解消されなかった“噛み合わなさ”を象徴する場面だった。

    アダミは、かつてセバスチャン・ベッテルやカルロス・サインツJr.を担当してきたフェラーリのベテランだが、現在はフェラーリ・ドライバー・アカデミーおよびTPC(旧型車テスト)運営を担当する役割へ異動している。一方で、ハミルトンの新レースエンジニアは、開幕戦オーストラリアGPを前にしても、まだ発表されていない。

    しかし、その後任がボニントンでないことだけは明白だ。

    ハミルトンは公の場では、フェラーリ加入初年度に苦しんだアダミを支持し続けていたものの、環境適応が容易でなかったのは事実だ。アダミが複数ドライバーとの仕事を経験していたのに対し、ハミルトンはメルセデスで12年間、ほぼ一貫して“ひとつの声”と共に成功を築いてきた。

    ハミルトンとボニントンのコンビは、F1史上最も成功したドライバーとエンジニアの関係とされ、6度のドライバーズタイトルと、メルセデスでの84勝中83勝を挙げている(ボニントンが不在だったのは2019年メキシコGPのみ)。ハミルトンのフェラーリ移籍が2024年2月に発表された際、「ボノも共にマラネロへ向かうのか」という疑問が浮上したのは自然な流れだった。

    だが、その答えは明確だった。

    ボニントンは、ルーキーのアンドレア・キミ・アントネッリを担当するだけでなく、メルセデスのトラックサイド・パフォーマンス部門責任者という拡張された役割を与えられた。ハミルトンは単身でイタリアへ向かうことになった。

    仮にハミルトンがフェラーリに対し、アダミの後任としてボニントンを求めたとしても、2026年シーズンに間に合う可能性は極めて低い。メルセデスの技術組織内で高い地位にあるボニントンが移籍する場合、機密情報の流出を防ぐため、1年以上に及ぶガーデニングリーブ(競業避止期間)が課されるのが通例だからだ。

    その場合、ボニントンがフェラーリのピットウォールに立てる最短時期は2027年になる。しかし、20年目のシーズンが19年目と同様に厳しいものとなれば、ハミルトンが21年目をF1で迎えている保証はない。

    結果としてハミルトンは、2026年に向けて、3シーズン連続で異なるレースエンジニアと組むことになる。2025年の苦難、そして自身が嫌悪してきたグラウンドエフェクト時代を振り払い、F1の“大胆な新時代”で再起を図るための、またひとつの不確実な挑戦が始まろうとしている。