カテゴリー: スクーデリア・フェラーリ

  • シャルル・ルクレールの転機「セットアップのコピペはセカンドドライバーの発想」

    シャルル・ルクレールの転機「セットアップのコピペはセカンドドライバーの発想」

    シャルル・ルクレールが2026年F1イギリスGPで今季初優勝を飾るまでには、大きな方向転換があった。苦戦が続く中でルイス・ハミルトンのセットアップを参考にしていたが、自身の強みを取り戻す決断が復活のきっかけになったという。

    長年ルクレールを支えるメンタルコーチのリカルド・チェッカレッリは、「他人のセットアップをそのまま真似するのは勝者の考え方ではない」と指摘。フェラーリF1のエース争いは、今後さらに激しさを増しそうだ。

    ルクレールはハミルトンのセットアップを参考にしていた
    シャルル・ルクレールは2026年シーズン序盤、フェラーリSF-26への適応に苦しみ、直近5戦ではルイス・ハミルトンに84対30と大きくポイント差をつけられていた。

    シルバーストンでは、ルクレール自身も「ルイスがやっていることを再現しようとしていた。実際にうまくいっていたから」と認めている。

    その一例がブレーキシステムだった。ルクレールは、それまで使用していたブレンボ製ディスクから、ハミルトンがシーズン序盤に切り替えたカーボン・インダストリー製ディスクへ変更していた。

    しかし、この試みは本質的な解決策にはならなかった。

    長年ルクレールを支えるメンタルコーチのリカルド・チェッカレッリは、Motorsport Italyに対して次のように語っている。

    「勝者を目指す人間にとって、それは決して解決策ではない。セカンドドライバーで満足する人なら構わないかもしれない」

    「シャルルは間違った方向へ進みかけていた。だから元に戻った判断は間違いなく正しかった」

    自分自身のスタイルへ戻したことが勝利につながった
    チェッカレッリによれば、他人のやり方を参考にすること自体は悪くないという。

    新たな考え方を取り入れるきっかけになる一方で、それをそのままコピーしてしまえば、自分本来の武器を失ってしまうからだ。

    「他人が何をしているかを見ることは視野を広げる刺激になる。しかし、それが自分の進むべき道とは限らない」

    「元の方向へ戻したことが勝利につながった」

    ルクレールはシルバーストンで2024年アメリカGP以来、37戦ぶりとなる勝利を挙げ、フェラーリでの苦しい流れを断ち切ることに成功した。

    シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    フェラーリF1の主導権争いはこれから本格化
    現在のドライバーズランキングでは、ハミルトンがルクレールを39ポイントリードしている。

    それでもチェッカレッリは、フェラーリがどちらか一方を優先する状況にはならないとみている。

    「2人は対等に戦うことになる。ハミルトンの方がここまでは安定していてポイントも多いが、実力は互角だ。どちらか一方が優れているとは思わない」

    「差を生むのは細かな状況や小さなディテールだ」

    さらに、チームメートのセットアップをそのまま真似することについては、改めて強い言葉で警鐘を鳴らした。

    「隣のガレージでチームメートが何をしているのか気になることはあるだろう。しかし、そのセットアップをコピー&ペーストした時点で、自分がセカンドドライバーであることを受け入れたことになる。それはシャルルらしくない」

    イギリスGP後には、ハミルトンが「スプリント後に自分の方向性をルクレールも取り入れた」と語る一方、ルクレールは異なる説明をしており、両者のライバル関係は今後さらに注目を集めそうだ。

  • ハースF1 2027年にラファエル・カマラ起用か 角田裕毅よりフェラーリの意向優先

    ハースF1 2027年にラファエル・カマラ起用か 角田裕毅よりフェラーリの意向優先

    ハースF1の2027年ドライバー候補として、ラファエル・カマラが最有力に浮上している。

    イタリアメディアは、チーム代表の小松礼雄が率いるハースが、2027年シーズンに向けてラファエル・カマラを起用することで合意したと報じた。当初は角田裕毅が有力視されていたものの、フェラーリの後押しによって情勢が逆転したという。

    フェラーリ育成ドライバーであるカマラは、FIA F3王者となった勢いのままFIA F2でもタイトル争いを展開しており、F1昇格は時間の問題との見方が強まっている。

    ハースF1の2027年シート争いでカマラが優勢
    イタリアの『Rossomotori.it』は、ハースが2027年にラファエル・カマラを起用する方向で動いていると伝えた。

    後任候補となるのは、2026年限りで契約満了が見込まれるエステバン・オコンのシートだ。当初はレッドブルのリザーブドライバーである角田裕毅がチーム代表の小松礼雄の本命候補とみられていたが、フェラーリが強く働きかけたことで状況が変わったという。

    この報道では、フェラーリが育成ドライバーであるカマラをF1へ送り出すため、パワーユニット供給先でもあるハースへの起用を後押ししたとされている。

    フェラーリ育成ドライバー起用の流れを継承か
    今回の報道は、ドイツの『Auto Motor und Sport』が6月に伝えた内容とも一致している。

    同誌は、フェラーリがカマラをハースでF1デビューさせる構想を持っていると報じており、シャルル・ルクレールがザウバー、オリバー・ベアマンがハースを経てフェラーリ入りした流れを踏襲する可能性を指摘していた。

    また、F1ジャーナリストのクリストファー・リンデンは6月、スペインGP期間中にカマラが小松礼雄のオフィスを訪れていたと伝えている。当時は、トヨタとの関係から角田裕毅の起用案も検討されており、2027年にドライバーラインアップを全面刷新する可能性があると報じられていた。

    F2でタイトル争いを続けるカマラ
    21歳のラファエル・カマラは、2025年にFIA F3で圧倒的な強さを見せてチャンピオンを獲得。2026年はFIA F2でもランキング3位につけ、タイトル争いを演じている。

    パドックでは、すでにF1へ昇格できる実力を備えているとの評価が広がっており、フェラーリも将来の有望株として高く評価している。

    一方で、フェラーリのレースシートはシャルル・ルクレールが契約を延長し、フレデリック・バスール代表もルイス・ハミルトンが2027年も残留する見通しを示していることから、空席はない。そのため、ハースで経験を積ませるプランが最も現実的とみられている。

    角田裕毅

    角田裕毅とフォルナローリも候補に残る
    カマラ以外では、角田裕毅とレオナルド・フォルナローリも候補に挙がっている。

    フォルナローリは現FIA F2王者で、現在はマクラーレンのリザーブドライバーを務める。最近ではヘレスでハースのプライベートテストにも参加したが、現時点ではマクラーレンに残留する可能性が高いとみられている。

    一方の角田裕毅は、小松礼雄が高く評価しているとされるものの、フェラーリの育成戦略が優先されたことで立場が後退したと報じられている。ただし、2027年のドライバー市場はまだ流動的であり、正式決定には至っていない。

    今後の焦点
    今回の報道では、フェラーリの後押しを受けたラファエル・カマラが、2027年のハース加入に最も近い存在とされている。角田裕毅やレオナルド・フォルナローリも候補に残るものの、フェラーリの育成方針とカマラの実績を考えれば、現時点ではカマラが一歩リードしているとの見方が強まっている。ただし、ハースおよびフェラーリから正式な発表はなく、現段階では各メディアによる報道に基づく情報である。

    【関連】
    ・レッドブルF1 マックス・フェルスタッペン後任候補にオリバー・ベアマン浮上

  • ルイス・ハミルトンがメルセデスF1に警鐘 今季PUペナルティを予想

    ルイス・ハミルトンがメルセデスF1に警鐘 今季PUペナルティを予想

    ルイス・ハミルトンは、2026年シーズン中にメルセデスのジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリが、パワーユニット(PU)の使用制限超過によるグリッド降格ペナルティを受ける可能性があるとの見方を示した。

    フェラーリの高い信頼性を称賛する一方で、メルセデスは今季、特にパワーユニット関連のトラブルに苦しんでいる。ハミルトンは、この信頼性の差がタイトル争いを左右する重要な要素になると強調した。

    メルセデスの信頼性に懸念「いずれペナルティになるはず」
    今季のメルセデスは速さでは他チームをリードしているものの、信頼性が最大の課題となっている。

    ジョージ・ラッセルはカナダGPで首位走行中にバッテリー関連のトラブルでリタイア。さらにアンドレア・キミ・アントネッリもスペインGPで2番手走行中に同様のバッテリー系トラブルによりリタイアを喫した。

    こうした状況を踏まえ、ハミルトンはメルセデス勢が今後PU交換によるペナルティを受ける可能性があると語った。

    「本当に感心している。シーズン前から、プロセスやレースウイークの進め方を一段引き上げる必要があると分かっていた」

    「それは昨年から求めていたことだった。そしてチーム全員が最高の仕事を持ち寄っている。ガレージのスタッフはピットストップのために本当に懸命に働いているし、素晴らしいピットストップができている」

    スクーデリア・フェラーリ vs メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    フェラーリの安定感を高評価
    ハミルトンは、フェラーリ全体の安定したオペレーションこそが今季の強みだと説明した。

    開幕から9戦を終えた時点で、ハミルトンは全レースで全周回を走破した唯一のドライバーとなっており、フェラーリの高い信頼性を象徴している。

    「ファクトリーのみんなも、この一貫性を実現するために本当に努力してくれた。そして最終的には、それが今年の違いを生むと思っている」

    「今年は例年以上にエンジン関連のトラブルが起きている。ジョージやキミのバッテリーの状況がどうなっているのか詳しくは分からない。でも、バッテリーは使える数に制限があるので、いずれはペナルティを受けることになるはずだと思う」

    実際の使用状況ではフェラーリとメルセデスは同数
    一方で、現時点のPU使用状況を見ると、ハミルトンの予想どおりとは限らない。

    メルセデスとフェラーリは、ICE(内燃エンジン)、ターボチャージャー(TC)、エナジーストア(ES)、コントロールエレクトロニクス(CE)の使用数はいずれも同じとなっている。

    一方で、フェラーリはエキゾーストの使用数が少ない反面、MGU-Kはメルセデスより多く投入している。

    そのため現時点では、両チームとも直ちにPU交換ペナルティが避けられない状況ではない。ただし、今季すでにメルセデスではバッテリー関連のトラブルが複数発生しており、今後の信頼性次第ではハミルトンの懸念が現実となる可能性もある。

    タイトル争いでも差を縮めるハミルトン
    ハミルトンはイギリスGPで3位表彰台を獲得。一方、アンドレア・キミ・アントネッリは不運な週末となり、ランキング首位との差を広げられた。

    その結果、ハミルトンはドライバーズランキングでアントネッリとの差を32ポイントまで縮めており、今後は速さだけでなく、PUの信頼性やペナルティ戦略も王座争いを左右する重要な要素になりそうだ。

  • フェラーリF1 キャデラック向けシェル燃料を採用 PU出力5馬力向上か

    フェラーリF1 キャデラック向けシェル燃料を採用 PU出力5馬力向上か

    フェラーリは2026年シーズンのタイトル争いに向けてパワーユニット(PU)の性能改善を続けている。その過程で、意外にもカスタマーチームであるキャデラックの存在が開発のヒントになったという。

    オーストリアGPで投入したエンジンアップデートの効果が期待を下回る中、フェラーリはシェルがキャデラック向けに開発した燃料を採用。さらなる出力向上を目指し、次なるPUアップデートの準備も進めている。

    キャデラック向け燃料がフェラーリの性能改善に貢献
    2026年からF1に参戦したキャデラックは、フェラーリ製パワーユニットを使用するカスタマーチームとして戦っている。しかし成績面では苦戦が続き、セルジオ・ペレスの最高位は14位、バルテリ・ボッタスも13位が最高となっている。

    一方で、イタリアの『Formula1.it』によると、フェラーリはキャデラックとの提携から思わぬ恩恵を受けたという。

    報道によれば、燃料パートナーであるシェルは当初、フェラーリとキャデラック向けに異なる持続可能燃料を開発していた。そしてフェラーリ関係者の証言として、キャデラック用燃料のほうが高い性能を発揮していたことが判明したという。

    そのためフェラーリは現在、キャデラック向けに開発された燃料へ切り替えたとされる。

    この燃料によって、フェラーリ製PUは約5〜6馬力の出力向上が見込めると報じられており、メルセデスやレッドブルとの差を縮めるための重要な要素として期待されている。

    オーストリアGPのPUアップデートは期待外れ
    フェラーリはオーストリアGPでエンジンアップデートを投入したが、実際の効果は期待を大きく下回ったようだ。

    『Formula1.it』によれば、アップデート後のデータを解析した結果、出力向上は約5馬力程度にとどまったという。

    フェラーリのPU部門を率いるエンリコ・グアルティエリも、このアップデートについて「効果は限定的になる」と事前に認識していたとされ、大幅な性能向上は見込んでいなかった。

    そのためマラネロでは、すでに次のエンジンアップデートへ開発の重点が移っている。

    スクーデリア・フェラーリ キャデラック

    次期アップデートはターボチャージャー改良が焦点
    フェラーリは夏休み明け最初、もしくは2戦目となるザントフォールトGPまたはイタリアGPで、新たなPUアップデートを投入する計画と報じられている。

    次回の改良ではターボチャージャーが主な変更点になる見込みだ。

    フェラーリはこれまで小型ターボを武器としてきたが、現在ではスタート性能における優位性が薄れており、より高い出力を引き出す方向へ設計を見直す方針だという。

    ルイス・ハミルトンは現在ドライバーズランキング3位につけ、首位アンドレア・キミ・アントネッリとの差は32ポイント。シャルル・ルクレールも優勝争いに加わるなど、フェラーリはタイトル戦線への本格参戦を目指して開発を続けている。

    燃料の見直しによる数馬力の向上に加え、次期PUアップデートが期待通りの成果を発揮できれば、後半戦でメルセデスやレッドブルとの差をさらに縮める可能性がありそうだ。

  • フェラーリF1 ルクレールとハミルトンがマドリンク初走行 歴史的な第一歩

    フェラーリF1 ルクレールとハミルトンがマドリンク初走行 歴史的な第一歩

    2026年からF1スペインGPの開催地となる新設サーキット「マドリンク」で、フェラーリが現行F1マシンとして初めて走行を実施した。シャルル・ルクレールが記念すべきファーストラップを担当し、ルイス・ハミルトンも続いてコースを走行。フェラーリは新時代の幕開けを象徴する歴史的な役割を担った。

    今回の走行はF1の撮影日(フィルミングデー)として実施されたもので、走行距離やタイヤなどに制限はあったものの、新サーキットで最初に現行F1マシンを走らせたチームとして記録に名を刻んだ。

    フェラーリがマドリンクで歴史的な初走行
    フェラーリは7月9日、新たに建設されたマドリンクで現行F1マシン「SF-26」による走行を実施した。シャルル・ルクレールが最初にコースインし、マドリンクを走行した最初のF1ドライバーとなった。

    その後はルイス・ハミルトンもステアリングを握り、2026年からスペインGPの舞台となる新サーキットを体験した。

    今回の走行はF1のフィルミングデー規定に基づいて行われ、走行距離や使用タイヤには制限が設けられていた。そのため本格的なパフォーマンス評価は目的ではなく、プロモーション活動と初期確認が主な狙いだった。

    マドリンク スペイングランプリ

    2026年スペインGPの新開催地「マドリンク」とは
    マドリンクは公道区間と常設サーキット区間を組み合わせた全20コーナーのレイアウトを採用している。

    2026年9月11~13日に開催されるスペインGPでF1カレンダーに初登場する予定で、近年のF1開催地の中でも特徴的なストリート&常設複合型サーキットとして注目を集めている。

    フェラーリは走行映像や写真を公式SNSで公開し、現行F1マシンが初めてマドリンクを走る様子を世界へ発信した。

    フェラーリにとっても象徴的なイベント
    フィルミングデーでは本格的なセットアップ開発や性能比較はできないものの、ドライバーとエンジニアは路面状況やコースレイアウトの第一印象を確認する貴重な機会となった。

    フェラーリはイギリスGPでシャルル・ルクレールが優勝し、ルイス・ハミルトンも3位表彰台を獲得。好調な流れの中で迎えた今回のイベントは、2026年シーズン後半へ向けた象徴的な出来事となった。

    タイムアタックが目的ではなかったものの、フェラーリはマドリンクで現行F1マシンによる最初の走行を行ったチームとして歴史に名を刻んだ。2026年スペインGP開幕へ向け、新サーキットはここから本格的にF1の舞台として歩み始める。

  • フェラーリF1にハミルトン優先論 元エンジニア「極端な決断が必要」

    フェラーリF1にハミルトン優先論 元エンジニア「極端な決断が必要」

    2026年F1イギリスGPでシャルル・ルクレールが今季2勝目を挙げ、ルイス・ハミルトンも3位表彰台を獲得したことで、フェラーリのタイトル争いへの期待が高まっている。

    一方で、元フェラーリのレースエンジニアであるロブ・スメドレーは、ドライバーズタイトル獲得を本気で狙うのであれば、フェラーリはハミルトンを優先する「極端な決断」を下すべきだと主張した。

    イギリスGPで縮まったタイトル争い
    シルバーストンではルクレールが優勝し、ジョージ・ラッセルが2位、ハミルトンが3位に続いた。一方、ランキング首位のアンドレア・キミ・アントネッリは5秒ペナルティの影響もあってノーポイントに終わり、選手権争いは再び接戦となっている。

    現在のランキングではアントネッリが首位を維持し、ラッセルが25ポイント差、ハミルトンが32ポイント差で続く。ルクレールは首位から71ポイント差となっている。

    メルセデスではラッセルとアントネッリの自由なレースが続くとみられるなか、フェラーリは異なる戦略を採るべきではないかとの議論が浮上している。

    「唯一の戦略」はハミルトン優先
    2004年から2013年までフェラーリで活躍した元レースエンジニアのロブ・スメドレーは、『High Performance Racing』ポッドキャストで、フェラーリがドライバーズタイトルを狙うにはハミルトンを全面的に支援するしかないとの見解を示した。

    スメドレーは、イギリスGP終盤にルクレールとハミルトンが1位と2位を走行していた場面で、順位を入れ替えるべきだったかと問われると、次のように答えた。

    「自分の論理には反するが、フェラーリが今年のワールドチャンピオンを獲得する唯一の可能性は、それほど極端な決断をすることだと思う」

    「マシン性能だけでメルセデスに勝とうとし、さらにルイスとシャルルを自由に戦わせ続ければ、ドライバーズタイトルを獲得できる確率は大きく下がる」

    「私の考え方には反するが、オトマー(・サフナウアー)が言ったように、この先は変数が多すぎる。だから普通ならそんなことはしない。しかし、ルイスがワールドチャンピオンになるためには、それが唯一の戦略だと思う」

    シューマッハならチームオーダーを求めた?
    さらにスメドレーは、「もしミハエル・シューマッハがハミルトンの立場だったら、チームオーダーを要求したと思うか」と質問されると、即座にこう答えた。

    「もちろんだ。答えは一言、『イエス』だ」

    フェラーリ時代のシューマッハは、タイトル争いでチーム全体の支援を受ける体制を築いており、スメドレーはハミルトンも同様のサポートを受けるべきとの考えを示した形だ。

    フェラーリが決断を迫られる時期は来るのか
    現時点では、フェラーリがルクレールを犠牲にしてまでハミルトンを全面支援する可能性は高くない。シーズンはまだ前半戦であり、両ドライバーともタイトル獲得の可能性を残しているためだ。

    しかし、ハミルトンが現在の好調を維持し、メルセデスに信頼性トラブルが再び発生するような展開になれば、フェラーリはチームオーダーを含めた戦略的な判断を迫られる可能性がある。

    次戦はベルギーGP。スパ・フランコルシャンでの結果は、フェラーリが「両ドライバー平等」の方針を維持するのか、それともタイトル獲得を最優先に戦略を切り替えるのかを占う重要な一戦となりそうだ。

  • フェラーリF1 ハミルトンのフォルススタート判定に異議「センサーは検知せず」

    フェラーリF1 ハミルトンのフォルススタート判定に異議「センサーは検知せず」

    ルイス・ハミルトンがF1イギリスGPで科されたフォルススタート(false start)による5秒加算ペナルティについて、フェラーリのフレデリック・バスール代表は「やや厳しすぎる判定だった」との見解を示した。

    チームのセンサーではマシンの動きは検知されなかったと説明し、ハミルトンのミスと断定する見方にも反論した。

    フォルススタート判定に「少し厳しすぎる」
    ハミルトンはイギリスGPのスタートで好発進を決めたものの、スタート直後にフォルススタートの疑いで審議対象となった。

    スチュワードは、5つある赤信号のうち3つ目が点灯した後、スタートシグナルが出る前に44号車が前進したと判断。オンボード映像では、タイヤ側面の黄色いピレリロゴが前方へ回転していることが確認できたとして、競技規則B5.11.1条違反で5秒加算ペナルティを科した。

    一方、バスール代表はチームの計測データと映像との違いを指摘した。

    「センサーではマシンがグリッド上で動いたことは確認できなかった。ただ、映像ではタイヤのステッカーが少し動いているように見える。それがフォルススタートかどうかを判断するのは私の役目ではない」

    「センサーが動きを検知していない状況であれば、少し厳しすぎる判定だったと思う」

    「ミス」との指摘にも反論
    記者から、このフォルススタートはハミルトンの「ミス」の一つではないかと問われると、バスール代表はその表現自体に異議を唱えた。

    「ミス? その言い方は少し厳しすぎる」

    「グリッド上で2mmほど動いた可能性はあるが、それをミスと言うのは少し厳しいと思う」

    フェラーリは、映像上ではわずかな動きが確認できたことは認めつつも、車載センサーでは動きを検知しておらず、判定基準との違いに疑問を示した形だ。


    ハミルトンとフェラーリの連携は着実に前進
    レース終盤にはセーフティカー中のピットストップによってハミルトンは2位から3位へ順位を落としたが、バスール代表はドライバーとチームの関係性は着実に深まっていると強調した。

    「これは双方から来ているものだ。我々はルイスをより深く理解し、彼もチームをより理解している」

    「彼はかなり前から2026年型マシンの開発プロジェクトに関わってきた。すべては小さな積み重ねだ。何か一つの劇的な変化があったわけではなく、一つひとつの積み重ねによって、今は全体がより噛み合うようになっている」

    今回のフォルススタート判定についてフェラーリは完全に否定しているわけではないが、車両データでは動きを確認できなかったとして、5秒加算という裁定は厳しかったとの立場を示した。一方でバスール代表は、ハミルトンとチームの連携は着実に向上しており、その成果が近年の競争力向上にもつながっているとの認識を示している。

  • フェラーリとレッドブルの“マカレナ”F1ウイングに安全性懸念 FIAが調査開始

    フェラーリとレッドブルの“マカレナ”F1ウイングに安全性懸念 FIAが調査開始

    FIA(国際自動車連盟)が、フェラーリとレッドブル・レーシングが採用する革新的なリヤウイング「マカレナ・ウイング」の安全性について調査を開始した。

    きっかけとなったのは、F1イギリスGP決勝でマックス・フェルスタッペンがリヤウイングのトラブルによってクラッシュした一件だ。FIAは両チームの技術責任者と協議を進めており、必要と判断すれば追加の安全対策や設計変更、さらには将来的な禁止措置も視野に入れている。

    フェルスタッペンのクラッシュがFIAを動かす
    今回の調査の発端となったのは、シルバーストンでのフェルスタッペンのクラッシュだった。

    レース終盤、ストウ・コーナーで突然マシンの挙動を乱したフェルスタッペンはグラベルに飛び出してリタイア。原因の詳細は公表されていないが、リヤウイングの不具合が関係していることが判明している。

    フェルスタッペンは、そのわずか1週間前のオーストリアGP予選でも、空力の気流再付着(エアフロー・リアタッチメント)の問題によって最終コーナーでコースアウトしており、短期間で2度続いたトラブルに強い危機感を示した。

    「本当に危険だった。ケガをしていてもおかしくなかった。オーストリアでも今回も運が良かっただけだ。だから腹が立つんだ」

    この発言を受け、FIAは安全面から状況を精査する必要があると判断した。

    「マカレナ・ウイング」とは何か
    問題となっているのは、パドックで「マカレナ・ウイング」と呼ばれる新世代リヤウイングだ。

    従来型DRSとは異なり、上部フラップが大きく回転する構造となっており、フェラーリでは直線モードに入る際に約225度も時計回りに回転するとみられている。

    この大胆な動きによって空気抵抗を大幅に低減し、さらにごくわずかな揚力を発生させることで転がり抵抗まで減らすことを狙っている。

    現在このコンセプトを実戦投入しているのはフェラーリとレッドブルのみで、他チームよりも積極的な可動機構を採用している。

    レッドブルは従来型への回帰も検討
    レッドブル代表ローラン・メキースは、ベルギーGPまでに原因究明を進め、安全性を最優先すると説明した。

    「安全面についてはあらゆる可能性を検証する。必要であれば、どんな対応でも行う」

    レッドブルはこの可動式リヤウイングをマイアミGPから使用している。

    そのため、今回の問題がウイング設計そのものによるものなのか、それとも別要因なのかを慎重に分析している段階だという。

    原因を完全に特定できなければ、シーズン序盤まで使用していた従来型リヤウイングへ戻す可能性も排除していない。

    FIAはフェラーリにも説明を求める
    今回の調査はレッドブルだけが対象ではない。

    FIAは同じコンセプトを採用するフェラーリとも技術協議を進めており、可動式リヤウイング全体の安全性を再評価している。

    両チームの設計は事前にFIAの承認を受けており、導入時点で安全性の確認も行われている。

    現在の技術規則では、リヤウイングはストレートモードからコーナーモードへ400ミリ秒以内に切り替わらなければならず、さらにシステムに異常が発生した場合は、自動的にコーナーモードへ戻る「フェイルセーフ設計」が義務付けられている。

    今回の協議では、これらの安全機能が実戦環境でも十分に機能しているかが重点的に確認されている。

    禁止措置に発展する可能性も
    FIAが安全性に十分な保証を得られない場合、チームに追加の安全対策を義務付ける可能性がある。

    例えば、機械的なバックアップ機構の追加や、コーナー進入時の作動ロジック変更などが選択肢として考えられる。

    さらに踏み込めば、このタイプのリヤウイング自体を安全上の理由から禁止する可能性もある。

    マクラーレンを含む他チームも低ドラッグ型リヤウイングの開発を進めており、このコンセプトは今後さらに普及するとみられる。そのため、FIAが早い段階で一定の方向性を示す可能性もある。

    技術規則第C1.2条では、危険と判断された部品を装着したマシンについて、スチュワードは即時に参戦を禁止できる権限を持つことも定められている。

    フェラーリでは大きな問題は発生せず
    一方、フェラーリでは同様のトラブルは発生していない。

    このリヤウイングはプレシーズンテストで初登場し、中国GPではフリー走行で使用されたものの、万全を期してレース投入は見送られた。

    その後、マイアミGPから本格投入されて以降は継続使用されているが、これまで重大な不具合は報告されていない。

    今回のFIAの調査は、レッドブルの連続トラブルをきっかけとしながらも、今後普及が見込まれる可動式リヤウイング全体の安全基準を見直す重要なケースとなりそうだ。

    Source: The Race

  • フレデリック・バスール ハミルトン残留を明言「2027年もフェラーリにいる」

    フレデリック・バスール ハミルトン残留を明言「2027年もフェラーリにいる」

    ルイス・ハミルトンの2027年以降の去就を巡る憶測が続くなか、フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールが、現時点で最も明確な形で残留を示唆した。

    一方で、契約延長交渉については「まだその時期ではない」と強調し、現行契約を尊重する姿勢を示している。また、シャルル・ルクレールについても全面的な信頼を口にし、チームは両ドライバーを平等に支えていると説明した。

    ハミルトンの2027年残留を明言
    ドイツの『Auto Motor und Sport』によると、ハミルトンのフェラーリとの契約には2027年まで継続できるオプションが含まれているとの見方が広がっている。その発動は成績、あるいは本人の意思が大きく影響すると報じられている。

    こうした状況のなか、イタリア紙『Corriere della Sera』から「ハミルトンは2027年もフェラーリに残るのか」と問われたバスール代表は、短く「はい」と答えた。

    その後、シルバーストンでも契約延長について質問を受けると、笑みを浮かべながら慎重な姿勢を崩さなかった。

    「契約延長について誰が話したんだい?」

    「彼とは契約延長について話し合うことになるし、ほかのドライバーとも同じだ。彼はまだ我々と契約中であり、契約延長を議論する時期ではない」

    ハミルトン「ここは自分の居場所」
    ハミルトンはシルバーストンでスプリント予選のポールポジションを獲得。フェラーリは今季中に2回目のADUOパワーユニットアップグレードを投入する計画を進めるなど、さらなる戦闘力向上を目指している。

    そんななか、ハミルトンは『Sky Italia』の取材で、フェラーリでの生活に完全に馴染んだと語った。

    「8回目のワールドチャンピオン? 現実的に考えているけれど、そのために努力している」

    「僕はこの仕事が大好きだし、それが前へ進み続ける力になっている。子どもの頃の自分との強いつながりも感じているし、ここは自分の居場所だと思っている」

    「まだ自分には与えられるものがあると思う。フェラーリへの移籍は文化もまったく違うから二重の衝撃だった。でも今は、このチームの一員でいられることを本当に光栄に思っている」

    ルクレールへの信頼も強調
    一方、最近のマシン開発がハミルトン寄りに進められているのではないかとの見方について、バスール代表は明確に否定した。

    「シャルルも毎日のようにチームへ多くの要求をしている」

    「我々がルイスを迎え入れた理由のひとつは、彼が持ち込む経験にある」

    また、「ハミルトン向けのマシンになっているのではないか」との指摘にも次のように反論した。

    「いや、我々は特定のドライバー専用のF1マシンを作っているわけではない」

    「ドライバーのフィードバックを反映することはある。彼らの意見は重要だが、その違いはごくわずかなものだ」

    さらに、開発への適応に苦戦していると認めているルクレールについても、心配はしていないと強調した。

    「決して速さの問題ではない」

    「彼はより多くの周回で、すべてをうまくまとめる必要がある。新しいマシンや最新アップデート、新しいブレーキに適応することも必要だ」

    「そして何より冷静でいることだ。私はまったく心配していない。ここには彼を支える1000人のスタッフがいる」

    今回の発言からは、バスール代表がハミルトンの長期的な残留に前向きな姿勢を示す一方で、ルクレールへの信頼も揺らいでいないことがうかがえる。フェラーリは両ドライバーの強みを生かしながら、タイトル獲得に向けた体制づくりを進めている。

  • フェラーリF1がマドリンクで撮影走行 ライバルに先駆けて新スペインGP攻略へ

    フェラーリF1がマドリンクで撮影走行 ライバルに先駆けて新スペインGP攻略へ

    フェラーリは今週、新たなF1スペインGPの開催地となるマドリード市街地サーキット「マドリンク」でプロモーションイベント(撮影日)を実施する。完成前のコースではあるものの、F1チームとして初めて実走データを得られることになり、2026年スペインGPに向けて一歩先んじる機会となる。

    ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールがSF-26を走らせる予定であり、走行距離はレギュレーションで定められた200kmまで。

    デモタイヤを使用するため本格的な性能評価はできないものの、新サーキットの特徴を実際に確認できる点は大きな意味を持つ。

    フェラーリがマドリンクで初走行へ
    フェラーリは7月9日(木)、2026年スペインGPの新開催地となるマドリンクでプロモーションイベントを実施する。

    F1のプロモーションイベントでは年間2回まで撮影日が認められており、各チームはデモ用のピレリタイヤを装着した現行マシンで最大200kmを走行できる。フェラーリは今季すでにモンツァで1回目を消化しており、今回が2回目となる。

    このイベントではハミルトンとルクレールがSF-26をドライブし、F1チームとして初めてマドリンクを走行することになる。

    完成前でも得られる貴重なデータ
    現時点のマドリンクは、まだFIA公認取得前の建設途中の状態にある。

    運営関係者はCrashに対し、「縁石もガレージもピットレーンも完成していない。ツーリングカーで周回できる程度だ」と説明している。

    そのため、本番と同じ条件での評価は不可能だ。

    さらに路面は新品で、使用するのはレース用ではなくデモタイヤであることから、タイムやグリップレベルを比較することに大きな意味はない。

    それでもチームはコースレイアウトや基本的なセットアップの方向性、高速バンクコーナー「ラ・モヌメンタル」の特性などについて実走から情報を収集できるとみられている。

    フェラーリ F1 スペイングランプリ(マドリンク)

    ライバルより一歩リードする可能性
    マドリンクで最初に走行するF1チームとなることは、フェラーリにとって一定のアドバンテージとなる可能性がある。

    もちろん完成前の路面やデモタイヤという制約から得られるデータは限定的だが、シミュレーションでは得られないドライバーの感触やコースの実際の印象を把握できる点は貴重だ。

    一方で、ウィリアムズのカルロス・サインツJr.は5月にプロモーション活動の一環として市販車で同コースを走行しているものの、F1マシンによる走行は今回のフェラーリが初めてとなる。

    勢いに乗るフェラーリ
    フェラーリは先週末のF1イギリスGPで通算250勝という節目を達成したばかりだ。

    シャルル・ルクレールはスタート直後にポールポジションのアンドレア・キミ・アントネッリをかわして主導権を握り、セーフティカー終了でフィニッシュした波乱のレースを制して今季初優勝、自身通算9勝目を挙げた。

    ハミルトンもスプリントでポールポジションを獲得したが、決勝終盤のセーフティカー導入時にフェラーリが2台ともピットへ入れる戦略を選択。ステイアウトしたジョージ・ラッセルに逆転を許し、3位でレースを終えた。

    今回のマドリンクでの撮影日は、完成前という制約はあるものの、フェラーリにとって新たなスペインGP開催地をライバルに先駆けて体験できる貴重な機会となる。実際の競争力へ直結するほどのデータは得られない可能性が高いが、ドライバーの感触やコース特性の把握は、9月のマドリード初開催へ向けた準備として価値ある一歩となりそうだ。