カテゴリー: F1マシン

  • F1上層部 「2021年F1マシンは3~3.5秒遅くなるがレース能力は向上する」

    F1上層部 「2021年F1マシンは3~3.5秒遅くなるがレース能力は向上する」

    F1は、オーバーテイクよりもスピードを優先したことは間違いだったことを認め、2021年F1マシンは“1周あたり3~3.5秒遅くなる”が、“レース能力”は向上することになると語る。

    10月31日(木)、FIA 世界モータースポーツ評議会で新しいF1レギュレーションが全会一致で承認された。リバティ・メディアとFIA(国際自動車連盟)はF1アメリカGPに先立って2021年F1マシンのデザインを発表した。

    新しいF1マシンは未来的な外観を備えているが、FIAのシングルシーター・テクニカルマターズ部長を務めるニコラス・トンバジスは、現行マシンよりもスピード面では遅くなることを明らかにした。

    「マシンはラップごとに約3〜3.5秒遅くなると予想している」とニコラス・トンバジスはコメント。

    「だが、我々はそれが重要なパラメーターだとは思っていない。レース性が主なターゲットだと感じている。パフォーマンスの正確なレベルには焦点を合わせていません」

    「現行マシンと比較してダウンフォースが最終的にどのようになるかを正確に予測することはない。開発が行われた後は少し少なくなるだろう。だが、CFDで開発され、風洞で開発された車でさえ、すでにかなりのパフォーマンスを獲得している」

    「それは、通常のチームと比較して、風洞で比較的少数の空気力学者と時間によって開発されたものだ」

    F1スポーティングディレクターを務めるロス・ブラウンは、F1は2017年にオーバーテイクよりもスピードを追求した際に構想を見失ったと認める。

    ロス・ブラウンは、新しい2021年F1マシンのデザインはその問題に対処していると考えている。

    「2016年から2017年までのマシンはダウンフォースが大幅に増加したが、それは私が理解できない理由で行われた。その経験を振り返る価値がある」とロス・ブラウンは説明した。

    「ダウンフォースを大幅に増加したのは『クルマの速度を上げましょう。F1を改善しましょう』という考えからだった」

    「しかし、我々が実際にやったことは、マシンはお互いにレースをすることができないことでF1をさらに悪化させた。」

    「現在、マシンは非常に高速だが、レースはできない。現実は、これらの新しいマシンのパフォーマンスは2016年の状況にある。誰もがマシンが遅くなることについて不満を抱いていないと思う」

  • 2021年F1マシン | 画像ギャラリー

    2021年F1マシン | 画像ギャラリー

    F1は10月31日(金)、2021年に導入する新しいF1レギュレーション(技術規則および競技規則)がFIA 世界モータースポーツ評議会で承認されたことを発表。2021年のF1マシンの画像を公開した。

    2021年のF1マシンは地上最速マシンを求めてつつ、F1は地上最高のレースを追求。これまでとは完全に異なるダウンフォース発生メソッドであるグラウンドエフェクトが導入される。

    F1には1970年代後半~1980年代初頭にかけてグラウンドエフェクトが流行した過去がある。しかし、スピードの向上による危険性増加に歯止めをかけるためにこのテクノロジーは禁止され、フラットボトムが導入された。新たなグラウンドエフェクトはベンチュリ構造のトンネルに流した空気を現行マシンより高い位置のディフューザーに向けて送る。ホイールカバーやハブなどその他の整流エレメントと連携し、前走マシンが生み出す気流がより細くより高く排出されるため、後走マシンは乱れていない気流の中で接近できるようになる。

    2021年のF1マシンには、抜本的なボディデザイン、シンプルなフロントウィング、より大きなリアウィング、アンダーボディエアロダイナミクスの向上、ホイールウェイクコントロールデバイス、シンプルなサスペンション、18インチリムのロープロファイルタイヤなど、抜本的な新しいデザイン哲学と印象的な新しい外観が与えられる。

    2021年F1マシン2021年F1マシン ②2021年F1マシン ③2021年F1マシン ④2021年F1マシン ⑤2021年F1マシン ⑥2021年F1マシン ⑦2021年F1マシン ⑧2021年F1マシン ⑨2021年F1マシン ⑩2021年F1マシン ⑪2021年F1マシン ⑫2021年F1マシン ⑬2021年F1マシン ⑭

    関連:
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (5)週末フォーマットの変更
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (4)コスト上限の導入
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (3)開発の制限と標準パーツ化
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (2)接戦バトルを可能にする空力変更
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (1)F1マシンのルックスの変化
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    ・F1 | 2021年の新レギュレーションを承認&F1マシンを公開

  • F1 | 2021年の新レギュレーションを承認&F1マシンを公開

    F1 | 2021年の新レギュレーションを承認&F1マシンを公開

    F1は、10月31日(金)に記者会見を行い2021年に導入されF1レギュレーションが承認されたことを発表。あわせてF1マシンの画像を公開した。

    サーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催された記者会見では、FIAのCEO兼会長のチェイス・キャリー、スポーティングディレクターのロス・ブラウン、シングルシーター・テクニカルマターズ部長を務めるニコラス・トンバジスが参加。FIA会長のジャン・トッドとはビデオ会議で繋がれた。

    新F1レギュレーションは満場一致で承認され、ビジネスモデルをさらに強化しながら、スポーツの成長と改善を可能にする新たなガバナンスと利益配分構造が組み込まれる。商業契約についてはチームとの交渉が進展しているという。

    2021年のF1レギュレーションは次の5つが大きなテーマとなる
    ・コース上で戦闘力の高いマシン
    ・コース上でバランスの取れた競争
    ・FIAルールで初めて完全に強制可能なコストキャップ(シーズンあたり1億7,500万ドル)を含む、チームが費やした金額ではなく、チームのお金をどれだけうまく使ったかによって成功が決定されるスポーツ
    ・参加者にとってより良いビジネスであり、潜在的な新規参入者にとってより魅力的なスポーツ
    ・世界最高のモーターレース競技であり続け、最先端技術の完璧なショーケースであるスポーツ

    F1の会長兼CEOであるチェイス・キャリーは「F1は素晴らしい歴史、ヒーロー、そして、世界中にファンがいる素晴らしいスポーツだ」と述べた。

    「我々はF1のDNAを深く尊重している。それは偉大なスポーツ競技、ユニークで才能のある勇気あるドライバー、献身的なチーム、最先端のテクノロジーの組み合わせだ。常に競争とコース上のアクションを改善し、同時にすべての人にとって健康で魅力的なビジネスにすることが目標としてきた」

    「世界モータースポーツ評議会によるレギュレーションの承認は、重要な瞬間であり、すべてのファンによりエキサイティングなホイールトゥ・ホイールのレースを提供するのに役立つ。新しいルールは、レギュレーションのパッケージを開発するために技術、スポーツ、および財政の問題を調査する詳細な2年のプロセスを経て生まれた」

    「プロセス中にチームや他の利害関係者からの意見を受け取り、多くの変更を加えた。我々は設定した目標を達成したと確信している。これらのレギュレーションは重要かつ主要なステップだが、継続的なプロセスであり、我々はこれらのレギュレーションを改善し、スポーツが成長し、その潜在能力を最大限に発揮できるようにするためのさらなる措置を講じていく」

    「今後の最も重要な取り組みの1つは、スポーツの環境への影響だ。我々はすでに世界で最も効率的なエンジンを保有しており、今後数週間で、スポーツとビジネスの環境への影響を削減し、最終的には排除する計画を開始する。我々は常に自動車産業の最先端におり、この重要な問題でもリーダーシップを発揮できると信じている」

    FIA会長のジャン・トッドは「2年以上にわたる集中的な研究開発、F1のパートナーとの緊密な協力、そして、チーム、ドライバー、サーキットデザイナー、単独タイヤサプライターであるピレリ、すべてのF1利害関係者とともに、FIAは、2021年以降のF1の将来を定義する一連のレギュレーションを本日発表することを誇りに思っている」

    「モータースポーツの最高峰が運営方法は大きな変化であり、初めて、技術面、競技面、財政面に一度に取り組んだ。2021年のレギュレーションは協力的な取り組みであり、これは大きな成果だと思う」

    「FIAが前進させていく重要な要素は環境への配慮だ。F1はすでに世界で最も効率的なエンジンを備えており、これらの境界をさらに広げるために新しい技術と燃料に取り組んでいきく。FIAが今日発表したものは、我々のスポーツのエキサイティングな未来を確保しながら、競合他社や利害関係者に利益をもたらす可能性がある最高のフレームワークだ」

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    ・2021年 F1レギュレーション解説 (5)週末フォーマットの変更
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (4)コスト上限の導入
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (3)開発の制限と標準パーツ化
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (2)接戦バトルを可能にする空力変更
    ・2021年 F1レギュレーション解説 (1)F1マシンのルックスの変化
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    ・F1 | 2021年の新レギュレーションを承認&F1マシンを公開

  • 「2021年F1マシンはセクシーではない」とレッドブル上層部

    「2021年F1マシンはセクシーではない」とレッドブル上層部

    レッドブルは、2021年から導入が予定されている新しいF1レギュレーションを好ましく思っていないようだ。

    F1は、レースをよりエキサイティングで予測不可能なもののにしつつ、より低コストで参戦できることを目的として、2021年から新しい財政および技術ルールを導入する予定となっている。

    この新しいF1レギュレーションにより、F1マシンの外観は大きく様変わりすることになる。

    新レギュレーション策定の最終期限は10月31日に設定されており、先週、F1の利害関係者はパリで会議を行ったが、F1チームは懸念を表明している。

    レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、新レギュレーションの導入を1年遅らせて2022年からにするという手段もあるのではないかと示唆し、そうすれば“本当に良いルール”を仕上げるための“より多くの時間がとれる”はずだと主張する。

    「新しいフロントウイングのことを思い出して欲しいん。我々はそれに大金を投じたが、うまく機能しなかった」とヘルムート・マルコは Motorsport-Magazine.com にコメント。

    「それに2021年型F1マシンの写真やスケッチを見てもあまりセクシーだとは思えない。インディカーのようなフォーミュラにすることには絶対に反対だ」

  • F1ドライバー、18インチのF1タイヤ導入に不満?

    F1ドライバー、18インチのF1タイヤ導入に不満?

    GPDA(Grand Prix Drivers’ Association)の会長を務めるアレクサンダー・ヴルツは、F1ドライバーは低扁平の18インチタイヤを導入することを好んではいないと語る。

    2021年のF1世界選手権から現在の13インチに代わって18インチのタイヤが導入されることが決定している。アレクサンダー・ブルツは、F1マシンの重量が増加していく一方であることを好ましく思っていないと語る。

    「我々はこの非常に興味深いパワーユニットを使い続けていくことにある」とアレクサンダー・ブルツは Motorsport-Magazin.com にコメント。

    「しかし、それらは重い。何が問題か? それらが重い場合、遠心力はそれほど高くない。つまり、それほど肉体的に消耗しないということだ」

    「しかし、18インチタイヤの導入のような商業的な決定がある。ドライバーとして、我々は商業的な理由でより多くの重量がもたらせることに幸せではない。ドライバーには何ももたらさない」

    「空力に関しては少しシンプルかもしれないが、私はその議論は重要視していない。マシンははるかに重くなる。本当の利点はマーケティングだけだ」

    “マーケティング”とは18インチのF1タイヤが見栄えを良くするために導入されることを指しているが、外観はそれほど問題ではないとアレクサンダー・ブルツは語る。

    「多くのジャーナリストやファンが、ヘイローが登場したときにF1は死んだ言った。その時、私はMr.ヘイローと呼ばれていた」とアレクサンダー・ブルツはコメント。

    「しかし、我々はそれがドライバーを救ってきたのを見てきたし、その評価に悩むことはなかった。我々はそれを調整した。ヘイローなくしてはレースをしたくないと認めるドライバーもいるくらいだ」

  • ミカ・ハッキネン 「2020年のF1世界選手権は大いに期待できる」

    ミカ・ハッキネン 「2020年のF1世界選手権は大いに期待できる」

    2019年のF1世界選手権は、メルセデスがすでにコンストラクターズ選手権を確定し、ドライバーズ選手権もルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスというメルセデスドライバーの2人に絞られている。

    しかし、元F1ワールドチャンピオンのミカ・ハッキネンは、F1はかつてないほどエキサイティングで競争力があると考えている。

    「シーズンは後半は完全に異なるチャンピオンシップのように見えるので、楽しみがたくさんある。フェラーリは突然強力になったが、毎回そのスピードを勝利に代える方法をわかっていない。彼らが組織とドライバーのミスを避けることができれば、メルセデスに大きなプレッシャーをかけられるだろう」とミカ・ハッキネンは Unibet にコラムで綴った。

    2020年のF1世界選手権は大きなルール変更がないため、グリッドのペース差に大きな変更はないかもしれない。そのため、フェラーリはシーズンをもっと良いスタートを切り、最初からメルセデスに挑戦できることを期待している。

    「今シーズンの最終戦は、チームにとって来年のためのデータを収集するためにも重要になる。来シーズンは激しいバトルを期待している。レッドブルとホンダは全てのレースで優勝争いに絡むためにあらゆることをやってくるだろうし、3強チームはF1史上最も競争力があると思う」

  • 2019年 F1日本GP:各ドライバーのパワーユニット使用状況

    2019年 F1日本GP:各ドライバーのパワーユニット使用状況

    2019年のF1日本GPの開始に向けて、前戦ロシアGP終了時点の各ドライバーのパワーユニットの使用状況を振り返る。

    F1ロシアGPではレッドブルとトロ・ロッソの4台がホンダの“スペック4”エンジンを搭載してペナルティを初夏。トロロッソのダニール・クビアトは他にもターボチャージャーとMGU-H、MGU-を交換している。

    ウィリアムズのロバート・クビサも、新品のエンジン、ターボチャージャー、MGU-H、MGU-Kを投入して、上記5名がグリッド降格ペナルティを科された。

    チーム ドライバー ICE TC MGU-H MGU-K ES CE
    メルセデス ルイス・ハミルトン 3 3 3 2 2 2
    バルテリ・ボッタス 3 3 3 2 2 2
    フェラーリ セバスチャン・ベッテル 3 3 3 2 2 3
    シャルル・ルクレール 3 3 3 2 2 2
    レッドブル マックス・フェルスタッペン 5 4 4 3 3 3
    アレクサンダー・アルボン 5 5 5 4 3 3
    ルノー ダニエル・リカルド 5 4 4 4 3 4
    ニコ・ヒュルケンベルグ 6 4 4 3 2 3
    ハース ロマン・グロージャン 3 3 3 2 2 2
    ケビン・マグヌッセン 3 3 3 2 2 3
    マクラーレン カルロス・サインツ 5 4 4 4 4 3
    ランド・ノリス 4 4 4 4 4 4
    レーシングポイント セルジオ・ペレス 4 4 4 3 1 1
    ランス・ストロール 4 4 4 2 1 1
    アルファロメオ キミ・ライコネン 4 3 3 2 2 3
    アントニオ・ジョビナッツィ 4 4 4 2 2 4
    トロ・ロッソ ダニール・クビアト 7 7 7 6 3 3
    ピエール・ガスリー 7 5 5 5 3 3
    ウィリアムズ ジョージ・ラッセル 3 3 3 2 3 3
    ロバート・クビサ 4 4 4 2 1 1

    ICE … 内燃機関(エンジン)
    TC … ターボチャージャー
    MGU-H … 運動エネルギー回生システム
    MGU-K … 熱エネルギー回生システム
    ES … エネルギー貯蔵装置(バッテリー)
    CE … コントロールエレクトロニクス

  • 【F1】 2021シーズンのレギュレーション変更:その理由と影響

    【F1】 2021シーズンのレギュレーション変更:その理由と影響

    2021年のF1は、グラウンドエフェクトの復活、ホイールの大型化、予算制限など大変革が予定されている。実際に何がどう変わり、F1というスポーツの未来にどのような違いをもたらすのだろうか?

    世の中には、ルールがほぼ固定されていて、ほんの少しの変更も大きな騒ぎと大変な作業を生み出すスポーツが存在するが、F1はそのようなスポーツではない。70年もの長い歴史の中で、モータースポーツ最高峰カテゴリーとされるF1世界選手権のテクニカルレギュレーションは、定期的に変わってきた。

    新たに開発されたエンジニアリングやテクノロジーが随時そのシステムに流入してくるF1は進化が不可避のスポーツだ。テクニカルレギュレーションが変更されずに新シーズンを迎えることは滅多にない。しかし、それでも大きな変化、てこ入れが必要になる時がある。リセットボタンが押され、テクニカルレギュレーションは “進化” から “改革” へ舵を切る。

    2021シーズンのF1はまさにこのような大改革が計画されている。今年8月にその詳細が公開され、各チームは開発プログラムのメインシーケンスをスタートさせている。2021シーズンのレギュレーション変更には、マシンのルックスをより魅力的なものにする様々な外観面での変更も含まれているが、より充実したレースの実現が主目標に設定されている。現在までに判明している主な変更内容について解説していこう。

    接近戦の実現
    F1の主な問題 — より正確に表現すれば “最大のチャレンジ” — は相反する2つの目標を掲げているところにある。F1は地上最速マシンを求めている一方、地上最高のレースを求めている。しかし、ほとんどの場合、前者が後者の妨げになってしまう。

    F1通算13勝を記録したデビッド・クルサードはこの問題について次のように要約する。

    「ひとつ確実に分かっているのは、隣接して走行できるマシンが好レースのカギだということだ。しかし、F1にはジレンマを抱えている。F1は世界最速のレーシングマシンを求めているスポーツでもあるからだ。つまり、エアロダイナミクスが高度に進化したマシンを求めているわけだが、この欲望は接近戦の欲望の真逆に位置している」

    F1のオーバーテイクは簡単であってはならないが、過去数シーズンは「オーバーテイクがあまりにも難しい」という声が大きくなってきている。この問題の元凶とされているのが “ウェイク・タービュランス”、つまり走行中のマシンが後方に生み出す激しい乱流だ。

    F1マシンのエアロダイナミクスは、ボディワークにスムーズで一定の空気流が当たる時に最大限の効果を発揮するようになっている。しかし、オープンホイールレーシングでは、露出したフロントホイールが空気流を阻害して後方にタービュランス(乱流)を生み出す。そのため、各チームはこのようなタービュランスをマシンの外側へ誘導し、スムーズな空気だけをマシンに当てられるようにする研究に長時間を費やしている。

    その研究の結果であるエアロダイナミクスはマシンの単独走行時は優れた効果を発揮するが、乱流の中でバトルをしなければならないレースでは効果が薄れてしまう。また、前走マシンが接近すればするほど乱流は激しくなるので、エアロダイナミクスのパフォーマンスはさらに低下する。結果、レース中のオーバーテイクが難しくなってしまうのだ。

    これを受けて、2021シーズンのレギュレーション変更に向けて、これまでとは完全に異なるダウンフォース発生メソッドの研究開発を推進させようという動きが出ている。

    グラウンドエフェクト
    複雑怪奇な形状に進化した現在のフロントウイングやバージボードに代わり、F1は “グラウンドエフェクト” ソリューションを推進しようとしている。マシン底面でダウンフォースが発生されるようになるのだ。しかし、ここにも「二兎を追う」性格が確認できる。接近戦を熱望しているが、スピードやパフォーマンスを犠牲にするのも嫌なのだ。

    FIAのシングルシーター・テクニカルマターズ部長を務めるニコラス・トンバジスは次のように説明する。

    「(2021年レギュレーションのマシンは)底面が丸ごとディフューザーになっていて、ベンチュリ構造の気流路が貫いている。サイドポッドの入り口からリアにかけてトンネルのような形状になる。2017シーズンのデータに基づくと、前走マシンに接近すると通常約50%のダウンフォースが失われるが、グラウンドエフェクトを採用すれば約5〜10%のロスに留まる見込みだ。つまり、前走マシン接近時に失われるダウンフォース量を大幅にセーブできるのだ」

    F1には1970年代後半〜1980年代初頭にかけてグラウンドエフェクトが流行した過去がある。しかし、スピードの向上による危険性増加に歯止めをかけるためにこのテクノロジーは禁止され、フラットボトムが導入された。

    新たなグラウンドエフェクトはベンチュリ構造のトンネルに流した空気を現行マシンより高い位置のディフューザーに向けて送る。ホイールカバーやハブなどその他の整流エレメントと連携し、前走マシンが生み出す気流がより細くより高く排出されるため、後走マシンは乱れていない気流の中で接近できるようになる。

    トンバジスはさらに説明を続ける。「ふたつの強力なボーテックス(空気の渦)が、ホイールが起こした乱流を持ち上げてマシン後方へ飛ばす。結果として、マシン後方の気流はよりクリーンになる」

    クルサードは、グラウンドエフェクトカーのドライブは現行マシンと大きく変わらないだろうと考えている。

    「ドライバーがマシンの底面と上面で発生するダウンフォースの “違い” を感じることはない。ただダウンフォースを感じるだけだ。スリップストリームの効果は異なるものになるはずだが、個人的にはそれがどれほど大きな効果になるのかは分からない。オーバルレーシングはハイスピードでも接近走行できるマシンのノウハウに長けているので、米国から何かを学べるかもしれない。成り行きを見守っていく必要がある」

    タイヤ
    過去数シーズンに渡りドライバーたちが不満を述べ続けているのはオーバーテイク(とその不足)だけではない。ドライバーの大半は、現行よりデグラデーション(性能劣化)が少なくてグリップに優れているタイヤを熱望している。後者はかなり前から存在するリクエストだが、前者はタイヤサプライヤーがブリヂストンからピレリに替わった2011シーズン以降のリクエストだ。

    2021シーズンにF1はタイヤへの考え方を変える予定だが、タイヤのルックスにも変化を加える。マシンをより魅力的なルックスにすべくホイールサイズが現行の13インチから18インチに変更される。

    トンバジスが説明する。「デグラデーションが少なく、ドライバーがタイヤマネージメントにそこまで頭を悩ませないで済むタイヤを実現するにはどうすれば良いのかについてピレリと細かく話し合っている。2021シーズンのタイヤは対応範囲を広げる必要がある。現行タイヤほど繊細なものにはならないだろう」

    F1のチーフテクニカルオフィサーを務めるパット・シモンズは、タイヤ性質の変更は接近戦を生む重要な要素だとしつつ、ル・マンで使用されているタイヤのように劣化しない超ハードタイヤをピレリにリクエストすることは考えていないと語っている。

    「私見を述べれば、過去2シーズンのピレリへのリクエストは完全に間違っていた。デグラデーションの早いタイヤは向かうべき方向ではなかった。しかし、私たちはピットストップをF1の重要な要素のひとつとして考えている。また、ファンが2秒台の素早いピットストップを楽しんでくれていることも理解している」

    コストキャップの導入
    F1は2021シーズンにコストキャップを導入する予定で、各チームの予算に上限(現在より少ない金額)が設定される。FIAはテクニカル面のリセットと合わせて予算制限を実施すればチーム間格差が少なくなると考えている。

    コストキャップ導入についてクルサードは次のような見解を示している。

    「年間予算の見直しが必要だという意見には賛成だ。なぜなら、どのチームもひとり勝ちを狙っているが、スポーツとして成立させるためには競争が必要だからだ。ファンは誰が勝つか分からない不確実性を期待してレースを観戦している。それでもトップチームとそうではないチームが生まれるだろう。コストキャップを導入しても、小規模なチームの助けにはならないはずだ。なぜなら、彼らの予算は設定される上限に満たないからだ」

    「レギュレーションが変更されるとビッグチームがさらに強くなりがちだ。なぜなら、変更に対応できるリソースがあるからだ。つまり、ビッグチームは2020シーズンを戦いながら2021シーズンのマシンを開発できる。しかし、小規模なチームにはできない。このため、コストキャップ導入直後はチーム間格差が生まれるはずだが、その差は徐々に縮まるだろう」

  • F1、2021年以降のエンジンの開発凍結を検討

    F1、2021年以降のエンジンの開発凍結を検討

    F1は、2021年から現在の“パワーユニット”の一部である内燃エンジンの開発を凍結することを検討している。

    現状、F1のエンジンルールは2025年まで安定していると考えられている。しかし、開発コストの高騰により、それまでにパワーユニットの電気パーツ以外の開発が凍結される可能性があると報じられている。

    最初のステップとして、ベンチテスト時間の制限が挙げられている。

    メルセデスのF1チーム代表を務めるトト・ヴォルフは「それはコストを5%削減することになるだろう。良い最初の一歩だ。だが、もっと削減する必要がある」と Auto Motor und Sport にコメント。

    トト・ヴォルフは、内燃エンジンの開発凍結が次のステップになるだろうと語る。

    「パワーユニットの電気パーツの開発を続けていけば、サステナビリティは向上していくはずだ」とトト・ヴォルフは語る。

    現在、MGU-Kはパワーユニットの総出力の20%を供給しているが「それを50%に増やすことを想像できる」とトト・ヴォルフは付け加えた。

  • F1、アントワーヌ・ユベールの事故死を受けてシャシーの強化を検討

    F1、アントワーヌ・ユベールの事故死を受けてシャシーの強化を検討

    F1チームは、F2ドライバーのアントワーヌ・ユベールの事故死を受け、F1マシンのシャシーの安全性の強化を検討している。

    アントワーヌ・ユベールは、F2ベルギー大会で大クラッシュに巻き込まれて命を落とした。事故に巻き込まれたファン・マヌエル・コレアも両足の骨折と脊椎損傷を負い、17時間の手術を受けた後、長いリハビリに直面している。

    この事故を受け、F1はシャシーの強度を上げることを検討している。

    「我々はシャシーの強度に関するレギュレーションの分析に招待された」とレーシングポイントの技術責任者を務めるアンディ・グリーンは Auto Hebdo にコメント。

    「この議題は次のテクニカルワーキンググループのミーティングで議論される」

    アンディ・グリーンは、2021年に最大の変更が施されるが、「全員が2020年にすでにできることについて認識している」とコメント。

    だが、アンディ・グリーンは、アントワーヌ・ユベールとファン・マヌエル・コレアほどの事故は“関与するエネルギーが絶対的に大きい”ため、やれることは限られていると付け加えた。