カテゴリー: F1マシン

  • F1マシン分析:フェラーリF1はなぜモナコで速さを見せたのか?

    F1マシン分析:フェラーリF1はなぜモナコで速さを見せたのか?

    フェラーリF1のF1モナコGPでの速さはサプライズだった。なぜ、フェラーリF1はモナコであれほどの速さを見せたのか。序盤戦のアップデートから紐解いていく。

    F1モナコGPの木曜日のフリープラクティスでは、シャルル・ルクレールがトップ、カルロス・サインツが2番手に続いた。フェラーリがセッションでトップタイムを記録してのは2019年のF1ブラジルGP以来となる。

    そして、予選ではクラッシュによる影響はあったものの、シャルル・ルクレールがポールポジションを獲得。決勝ではカルロス・サインツは2位表彰台を獲得した。では、なぜフェラーリF1はタイトで曲がりくねったモナコでそこまで速さを見せたのだろう。

    多くの人がモンテカルロはレッドブル・ホンダ RB16Bに適したサーキットだと考えており、実際に勝利を挙げたマックス・フェルスタッペンが優勝候補と目されていた。しかし、木曜日の段階ではレッドブル陣営はフェラーリの速さに動揺を隠せなかった。

    モナコで、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツは、SF21に自信を感じているようであり、FP2で直近のライバルであるマクラーレンとの差は0.5秒以上だった。このような短いトラックで、その事実は決して無関係ではない。

    フェラーリのより短いホイールベースは、小さな利益を与えていたかもしれない。マクラーレン MCL35Mのホイールベースより長く、中/高速トラックでより良いパフォーマンスを発揮する。しかし、それが大きなギャップを説明するものではないのは確かだ。

    主な要因は、SF21のモナコへの適応に起因している。この種のサーキットでは低速コーナーを立ち上がる際に優れたトラクションを備えた正確なフロントエンドが必要となる。

    2週間前のF1スペインGPで、フェラーリ SF21は、カタルニア・サーキットのセクター3で輝きをみせていた。このセクターはモナコのトラック特性と非常によく似ている。

    昨年のSF1000の問題が主に空力とパワーユニットに関連していたとすれば、逆にメカニカルな側面は常にうまく機能していた。ギアボックスの変更とサスペンションアタッチメントの再検討に費やされた2つのトークンにより、空力とグリップとトラクションの観点から、SF21のリアを改善することが可能となった。
    フェラーリF1 SF21
    サスペンションの調整により、SF21はモナコのストリートでほぼ常に最適なセットアップを行うことができた。車載カメラではは、マシンがどれほど正確であるかが明確になり、街路の凹凸を吸収してドライバーに絶対的な自信を与えていた。

    リアの新たに発見された安定性は、フェラーリが2021年のレギュレーションをうまく解釈できたことにも起因する。リアホイールに向かって対角線で約100mm狭くなっても、床はなんとか十分なダウンフォースを発生させることができている。

    フェラーリF1は、イモラとポルティマオの両方にフロアのアップデートを投入した。その中で最も重要なのは今季のトレンドでもある“Z字型”のカットを実装したイモラでのものだった。
    フェラーリF1 Z字型フロア
    Zの最初に配置された小さなデフレクターのおかげで生成される渦により、グラウンドエフェクトを高める空力シールが生成できる。これは昨年まで非常に顕著であり、フロアにはこれを達成するための一連のスロットが装備されていたが、今年は禁止されている。

    ポルティマオでは、リアホイール前のフローデヴィエーターは合計7つだったが、それは今後のレースを考慮した実験的なデータ収集テストにすぎなかった。

    フェラーリF1は、2021年の制限にもかかわらず昨シーズンよりもさらに多くのダウンフォースを生み出すことに成功した。これらパワーユニット065/6の新たに発見されたパワーが追加され、チームはトップスピードをあまり失うことなく、より大きなダウンフォースを生み出すことができている。実際、フェラーリは木曜日のスピードトラップを最も速く通過したマシンのひとつでだった。

    フェラーリは、モナコ(およびスペイン)で、今年の初めのイモラと比較して、大きなリアダウンフォースを達成するために、はるかに角度のあるリアウイングを走らせていた。
    フェラーリF1 リアウイング
    フェラーリは、バーレーンやイモラのようにダウンフォースの少ないサーキットでも常に水平なメインプレーンを備えたセットアップを行ってきた。後イモラでは、スプーンのリアウィングがテストされたが、雨天のため使用されなかった。ポルトガルではバーレーンやバルセロナと同じタイプのウイングが搭載された。

    スプーンウィングは、非常に長いストレートがあるトラックであるF1アゼルバイジャンGPで再び登場する可能性がある。バクーでは、コンストラクターズランキング3位争いのためにも競争力を持つことが非常に重要になる。

    もう一つの興味深い事実は、フェラーリが暑さに苦しんでいないことだ。高温により、フェラーリは、バーレーンとポルトガルのタイヤマネジメントで危機的状況に陥ったが、バルセロナでは、フェラーリF1のエンジニアは、シャルル・ルクレールが1ストップでレースを終えることができたと認めている。

    熱に関しては、おそらくフェラーリのF1パワーユニットはライバルよりも冷却にもっと注意を払う必要がある。雨が降ってかなり肌寒いイモラでのみ、フェラーリは狭いエンジンカバー(V3)を採用した。チームには3つの異なるバージョンがあり、モナコはV2が使用された。これは、V1が必要だったバーレーンとは異なり、中程度の冷却要件を提供する。
    フェラーリF1 冷却
    より閉じたバージョンは、明らかに流体力学に最も適したバージョンであり、より少ないスペースを提供する。ただし、冷却の必要性については、フェラーリはほとんどの場合バージョン2を使用して、熱放散と空力効率のバランスを改善している。

  • ロス・ブラウン 「メルセデスの抗議でウイング論争が覆るとは思わない」

    ロス・ブラウン 「メルセデスの抗議でウイング論争が覆るとは思わない」

    F1のマネージングディレクターを務めるロス・ブルアンは、F1アゼルバイジャンGPでレッドブル・ホンダF1のリアウイングに対するメルセデスの抗議が成功するとは考えていないと語る。

    メルセデスF1(ルイス・ハミルトン)の指摘を受け、FIA(国際自動車連盟)は、リアウイングの剛性テストを強化することを目的とする技術指令を発行したが、それは6月15日まで導入されない。つまり、F1チームは論争となっているリアウイングをF1アゼルバイジャンGPで使用することができる。

    メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、レッドブル・ホンダF1や他チームがF1アゼルバイジャンGOで該当するリアウイングを走らせた場合、抗議すると警告している。バクーはロングストレートがあり、“曲がるリアウイング”のメリットは非常に大きくなる可能性がある。

    したがって、柔軟なボディワークについての議論が続くは、F1アゼルバイジャンGPでいくつかの主要な論点があるかもしれないが、ロス・ブラウンは、この問題が議論のために提起されたのはこれが初めてではないと語り、抗議にとってスチュワードがFIAの意見に反するとは思わないと考えている。

    「いいや、そうは思らない」とロス・ブラウンは ESPN に語った。

    「FIAは彼らのアプローチとかなり一致していると思う。スチュワードがFIAの意見に反対するなら私は驚くだろう。」

    F1のマネジメントに加わる前にいくつかのF1チームで働いていたロス・ブラウンは、議論が持ち上がったのはこれが初めてではないと語る。

    「これはおそらくF1史上でフレキシリアウィングのバージョン27くらいだと思う」とロス・ブラウンは付け加えた。

    「40年間のモーターレースで、私はこれを何度も経験してきた。パトリック・ヘッド(ウィリアムズ)がパルクフェルメでフロントウィングにジャンプしたのを覚えている。彼はそれが十分に硬くないと思ったからだ。彼はチャーリー(ホワイティング)に十分に硬くないことを示したかったので、実際にその上に立っった。その上で上下にバウンドして、それがどれほど柔軟であるかを示した」

    「一連のFIAテストがあり、それが我々ができることの限界を決定することができた唯一の方法だ。テストに合格し、一部のチームがそれを気に入らない場合、FIAはそれを調査することができる。“フェアポイント”と言って、テストを強化し、さまざまなテストを行う。それは永続的だ」

    「正直、問題を解決するために別のルートに行くケースはないと信じている。それをどのように定量化するかはわからないからだ。柔軟性が高すぎるという人の見方をする人もいれば、問題がないという見を据える人もいる。そのため、テストを実施している」

    「そこにメカニズムやヒンジを入っているのであれば、それは正しくないことに同意する。しかし、構造の通常のコンプライアンスの範囲内では、問題は見られない」

  • フェラーリF1代表 「2022年の空力コンセプトは1か月以内に定義される」

    フェラーリF1代表 「2022年の空力コンセプトは1か月以内に定義される」

    フェラーリF1のチーム代表を務めるマッティア・ビノットが、2022年F1マシンの開発における進捗状況を語った。

    F1は、2022年に完全に新しい次世代F1マシンを導入する。フェラーリF1は、2022年をターゲットにしていることを明言しており、すでに“90%~95%”のリソースを新車の開発に振り分けていることを明らかにしている。

    だが、マッティア・ビノットは、新しいレギュレーションが、フィールドを平準化し、オーバーテイクを容易にするという意図された目的を達成できないことを恐れていると語る。

    「全員が拮抗することにはならないだろう」とマッティア・ビノットは言った。

    「最初は、この目標は達成されないだろう。その後、時間の経過とともに、目標がどれだけ近づくかがわかるはずだ」

    「2022年のレギュレーションの2番目の目的は、オーバーテイクを容易にすることだった。だが、そこにたどり着くとは確信できていない。データから、スリップストリームで問題を引き起こす可能性のある非常にハイパフォーマンスなマシンがあることがわかっている」

    マッティア・ビノットは、フェラーリの2022年F1マシンの最初のシャシーがこの夏の終わりまでに準備が整うと語る。

    「プロジェクトを凍結するまであと数週間しか残っていないので、重要な期間だ」とマッティア・ビノットは語った。

    「来年から、数年間続くレギュレーションであり、2022年だけでなく、その後のすべてのものであるため、準備ができていなかったり、不注意だったりすることはできない」

    「これが優先事項であることは避けられない。現在、新しいマシンは私たちの予測に沿って開発されている」

    「我々は空力コンセプトに関して重要な選択が行われている段階にある。1か月以内に定義され、最初のパーツの製造が開始される。次に空力ジオメトリの詳細に取り組むことになる」

    「現在のマシンをアップデートはまだ終わっていないが、それでもまだ時間が不足していることを意味している。すべての努力が来シーズンに計画されている」

    「マシンは非常に異なるものなので、時間を無駄にしたり、スピードを落としたりする余裕はありません。毎週、どれだけ進歩しているかを目にしている」

  • F1技術解説:メルセデスはいかにしてパフォーマンスを取り戻したのか

    F1技術解説:メルセデスはいかにしてパフォーマンスを取り戻したのか

    メルセデスF1が前戦F1スペインGPで見せた安定した挙動は、W12のリアのグリップ不足とバランスに苦戦していたバーレーンの記憶をすでに過去のものにしている。

    3月の終わりから5月上旬までの2か月間でメルセデスは、空力規則の変更による問題を克服することができた。特にF1マシンの総合力が試されるカタルニア・サーキットでルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得してレースでもマックス・フェルスタッペンに圧勝したF1スペインGPでそれは明白だった。

    メルセデスが実際にトップに戻ったかどうかを判断するのは少し早すぎるかもしれないが、今後のいくつかのレースは物事をより明確にするはずだ。

    メルセデスは、開幕4戦で収集したデータをブラックリーのファクトリーで迅速に分析し、緊急に対策が必要なエリアを特定した。しかし、ライバルのレッドブル・ホンダF1とは異なり、特定のトラック特性にマシンを適応させるためのいくつかの小さな調整を除いて、W12に特に明白な技術革新は導入していない。

    シーズン序盤のメルセデスの問題は、技術規制の変更によるバランスの変化によって浮き彫りになった。フロアのカットとディフューザーの制限により、すべてのマシンのリアダウンフォースが約6〜8%減少したことで、フロントとリアの空力バランスが狂った。

    メルセデスとアストンマーティンとこれらの技術規則の変更に最も苦しんでいた。それは彼らの密接な関係を考えると驚くことではない。一方、レッドブル・ホンダF1は、フェラーリ、アルファロメオ、アルファタウリ・ホンダとともに最も被害が少なかった。

    多くの影響を与えた1つの要因は、メルセデスのローレーキであり、特にRB16Bの角度と比較して、かなりフラットなマシンで、ほぼ2度の差がある。この数値は小さいように聞こえるかもしれないが、大きば差だ。
    2021年F1マシン レーキ角
    メルセデスは常に、地面とほぼ平行なマシンで、フロアとディフューザーから多くの高効率のダウンフォースを生成することに成功してきた。チームは、技術指令の単純な解釈に限定されることなく、積極的な方法で規制に取り組んだ。

    バーレーンでのプレシーズンテスト以降にW12に導入されたフロアは、現在広く採用されている“Zカット”と、空力抵抗を低減するためのリアホイールの前にある一連のフローデビエーターによって区別された。そこからダイバータが水平ブリッジエレメントによって接続されている(以下を参照)。
    メルセデス W12 フロア
    2020年のフロアの空力状態を再現しようとすることは、技術者の主な焦点の1つであり、メルセデスはこれを達成するためにフロアの一部を犠牲にする必要があることにすぐに気付いた。Zカットのボディワークとより平行なエッジは、空気の流れの渦をフロアの下部にもたらし、流れを密閉するスカートを再現し、グラウンドエフェクト効果に似たものを生成する。

    しかし、メルセデスは、シーズン序盤に中央エリアに“ウェーブ”フロアを導入したことで際立っていた。ポルティマオでこのソリューションをさらに開発した“いとこ”のアストンマーティンを除いて、これまでチームが採用しなかったソリューションだ。
    ウェーブフロア
    F1バーレーンGPでは、メルセデスが勝利にもかかわらず、レッドブル・ホンダF1が明らかに優れたマシンを持っているように見え、実際、次戦イモラで勝利を収めた。

    そのF1エミリア・ロマーニャGPでは、ディフューザーの抽出器の中央エリアと内部フィンの両方でマイクロ的な空力介入が行われた。当然、今季の開発エリアは主に技術規制の制限に苦しんでいるエリアに関係している。
    メルセデス W12 ディフューザー
    メルセデスは、イモラでのアップデートから最大値を引き出すことができなかったが、ポルトガルでは優れた位置にあるように見えた。

    また、メルセデス W12の適切なバランスを回復するために両方のドライバーが行った貢献を過小評価してはならない。たとえば、ポルティマオでは、リアでさまざまなダウンフォースを選択した。ポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタスは、ダウンフォースの高いリアウィングで予選に有利なセットアップを使用することを好んだ。
    メルセデス W12 リアウイング / F1スペインGP
    一方、ルイス・ハミルトンはリアをアンロードすることを好み、DRSフラップの傾斜の2番目の構成(FIAはシーズン全体で最大2つの異なる構成に制限)を採用した。メルセデスは、2人のドライバーの選択を補うために、ボッタスにシングルサポートの支柱を備えたリアウィングを提供した。昨年、シングルパイロンはより軽いウイングに使用されていたが、今回のケースでは、ハイダウンフォースバージョンで使用していた。

    一方、スペインでは、クラシックなダブルパイロン構成で、同じリアウィングが両方のドライバーに搭載された。

    近年、メルセデスF1が支配的であることを示してきたバルセロナのサーキットで、W12は今シーズン最高のパフォーマンスを発揮した。パワーユニットに関しても、信頼性の観点からある程度安全なスタートを切っていたが、最高速度を解放したようだ。

    技術面では、RB16Bのフレキシブルについて多くの話があったが、ルイス・ハミルトンがコックピットからマックス・フェルスタッペンのリアウイングの屈曲を見ることができたとは強く疑われている。実際、クリスチャン・ホーナーは、トト・ヴォルフでの入れ知恵だとコメントしている。

    ウイングを寝かせると翼端の形状が平らになり、抗力が少なくなるというメリットがある。後ろ向きのカメラから見た際、メインストレートでウイングがどのように平らになったかは明らかだった。その結果、F1フランスGP以降、屈曲に関するテクニカルチェックが厳しくなる。

    ダウンフォースの選択に関しては、レッドブルは予選とレースのために薄いリアウィングを搭載し、前のレースと同じようにスプーン方のメインプレーンを選んだ。対蹠的にメルセデスはモナコの事前構成的なハイダウンフォースのリアウィングを使用していた。メルセデスの選択は最終的に報われ、W12は予選とレースの両方で、特にルイス・ハミルトンが速さをみせた。
    メルセデス/レッドブル リアウイング比較 / F1スペインGP
    今週末のF1モナコGPは、歴史的にエイドリアン・ニューウェイがデザインしたレッドブルのマシン特性を高めてきたトラックであり、今年も優勝候補に挙げられている。しかし、特にW12が最高のパフォーマンスに戻った今、メルセデスは過小評価されるべきではない。

  • レッドブルF1幹部 「ベンディウイング負荷テストの対象は他にもいる」

    レッドブルF1幹部 「ベンディウイング負荷テストの対象は他にもいる」

    レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、来月FIA(国際自動車連盟)によって導入される新しい“ベンディウイング”負荷テストの対象となるF1チームはレッドブル・ホンダだけではないと語る。

    フレキシブルウイングは先週のバルセロナで話題の中心となった。メルセデスF1のルイス・ハミルトンは、レッドブル・ホンダのRB16Bはリアの“ベンディウイング”のおかげでカタルニア・サーキットでストレートで速かったと主張した。

    その後、FIAは来月ポール・リカールで開催されるF1フランスGPから実施される新しい一連の負荷テストを導入することにより、空力現象の精査を強化することを決定した。

    ヘルムート・マルコは、レッドブル・ホンダのF1マシンはレギュレーションに完全に準拠していると確信しているが、新しい負荷テストの対象となるチームはレッドブル・ホンダだけではなく、アルピーヌとアルファロメオも高速で屈曲するリアウイングを走らせていると主張する。

    「ウイングは負荷テストに合格している」とヘルムート・マルコはMotorsport-Total.comに語った。「それが非常に重要だ」

    「現在、負荷に関して異なるガイドラインを持った新しい基準がある。新しいレギュレーションが導入され、F1チームがグレーな領域を発見するケースはよくあることだ」

    「しかし、ターゲットにされているのはレッドブルだけではない。他のチームにも影響を及ぼす」

    また、ヘルムート・マルコはレッドブル・ホンダの“ベンディウィング”がラップあたり0.3秒のアドバンテージをもたらしたというルイス・ハミルトンの主張を却下し、バルセロナで金曜日のフリープラクティスで使用したよりダウンフォースが高いウィングを装着したRB16Bと比較してゲインが高かったためだと主張した。

    レッドブル・ホンダは、土曜日に、より小さく、より低いダウンフォースのリアウィングに戻している。

    「リアウィングが小さかったのは、ストレートで遅すぎたからだ」とヘルムート・マルコは説明した。

    「ハミルトンは、我々の後ろを運転しているときに、我々がストレートで比較的速く、そのウイングを搭載したのを目にした。そこで2つのことが一緒になったんだと思う」

    ヘルムート・マルコは、FIAの新しい負荷テストに準拠するためウイング翼構造の今後の変更が、ライバルのメルセデスと比較したパフォーマンスに影響を与えるとは思っていない。

    「世界選手権にとって決定的な不利益ではないのは確かだ」とヘルムート・マルコは言った

    「成功を収めたワールドチャンピオンシップ期間中、我々はシーズンに2~3回フロントウィングを再調整する必要があった」

  • 【検証動画】 レッドブル・ホンダF1の“曲がるリアウイング”

    【検証動画】 レッドブル・ホンダF1の“曲がるリアウイング”

    論争となっているレッドブル・ホンダF1の“曲がるリアウイング”を検証する動画がソーシャルメディアにアップされている。

    ルイス・ハミルトンは、F1スペインGPの予選後、レッドブル・ホンダF1が“曲がるリアウイング”によって1周あたり0.3秒あたりのゲインを得ていると語って物議を醸した。

    さらに決勝後も「僕は比較的密接にフォローしていたし、彼のマシンについて多くを学び、彼がそれをどのように使用するかについて多くを学んだ。だから、その点で良いレースだったね」と語っていた。

    ソーシャルメディアで公開された動画は、レッドブル・ホンダF1のマシンが、ストレートで寝て、コーナーで起き上がってくるオンボード映像。特にHONDAロゴの“D”でウイングの角度が変形しているように見える。

    このリアウイングの“変形”によって、レッドブル・ホンダF1は、ストレートではドラッグを減らし、コーナーではダウンフォースを稼いでいると考えられている。

    この疑惑を受け、FIA(国際自動車連盟)は、6月15日から新たな柔軟性テストを実施することをF1チームに通達している。

    関連:レッドブル・ホンダF1、FIAによるフレキシブルウイング規制にも動じず

  • アルファロメオF1、2022年の“エアロホイールカバー”をテスト

    アルファロメオF1、2022年の“エアロホイールカバー”をテスト

    アルファロメオF1は、今週バルセロナで行われている18イントタイヤのテストで2022年に導入される可能性のある技術革新を示した。

    5月11日(火)、カタルニア・サーキットでアルファロメオ、アルピーヌ、そして、レッドブル・ホンダが参加するピレリの18インチタイヤのテストが実施された。そして、ロバート・クビサがドライブするアルファロメオのF1マシンには、10年前に禁止されるまでF1で一般的だった“エアロホイールカバー”が搭載された。

    ロバート・クビサは「最初に適応する必要があるのは、マシンの下の空力パーツだ。18インチはマシンを大幅に持ち上げることになるからね」と Przeglad Sportowy にコメント。

    「これらのテストを使用して、来年のルールの重要な側面に関するデータと情報を収集したいと考えている」

    アルファロメオF1のリザーブドライバーを務めるロバート・クビサは、先週キミ・ライコネンの車のハンドルを握って金曜日のフリープラクティスに出走したときのスピンについても尋ねられた。

    「マシンに戻るのは不思議なフィーリングだったけど、全体的にはいつも素晴らしいことだ」とロバート・クビサは語った。

    「でも、このような長いブレイクの後は初心者のように感じるものだ。スピンはアルファロメオでの僕の最初の大きなミスだったけど、特にマシンを運転することがめったにない場合は、いつだってに発生する可能性があることだ」

    F1 エアロホイールカバーアルファロメオF1 エアロホイールカバー

  • レッドブルF1の“曲がるウイング”疑惑にFIAが柔軟性テストを強化

    レッドブルF1の“曲がるウイング”疑惑にFIAが柔軟性テストを強化

    レッドブル・ホンダF1が“曲がるウイング”を搭載しているとの疑惑を受け、FIA(国際自動車連盟)は、6月15日の新たな柔軟性テストを実施することをF1チームに通達した。

    F1スペインGPの予選後、メルセデスF1のルイス・ハミルトンが「レッドブルはストレートで本当に速かった。マシンのリアに曲がるウイングがついていた。あのウイングで少なくとも0.3秒のゲインを得ている」と発言。レッドブルF1がRB16Bに“フレキシブルウイング”を搭載しているとの疑惑が持ち上がった。

    過去にF1では、ストレートではリアウイングが後方に倒れてドラッグを減らし、コーナーでは従来の角度に戻ってダウンフォースを確保する“フレキシブルウイング”が使用されていたが、現在ではFIAが厳格な“たわみテスト”を実施して監視している。

    クリスチャン・ホーナーは、ルイス・ハミルトンの発言はメルセデスF1のチーム代表であるトト・ヴォルフの入れ知恵だったのではないかと推測している。

    「すでにそのことはトトが私に指摘していた」とクリスチャン・ホーナーは RacingNews365 に語った。

    「それがルイスの意見だったのかどうかは疑わしい。他の誰かの影響を受けた可能性がある」

    いずれにせよ、クリスチャン・ホーナーはRB16Bのウイングは完全に合法なものだと主張している。

    「もちろん、マシンは様々な検査を受けており、ウイングの柔軟性もチェックされている」とクリスチャン・ホーナーはコメント。

    「そのようなパーツはあらゆる種類のテストに合格する必要がある。FIA(国際自動車連盟)は我々のマシンに完全に満足しており、様々な厳しいテストをすべてクリアしている」

    しかし、Reuters の報道によると、FIAは全F1チームに書簡を送り、一部のチームが、検査には合格しているものの、ある速度を超えると変形するリアウイングを採用しているという懸念があると伝えた。

    FIAのシングルシーター責任者を務めるニコラス・トンバジスは「第3.9.3条および第3.9.4条の要件に準拠したリアデザインが、車両の走行中に過度のたわみを示す場合があることが判明した」と説明。

    「そのような変形は車両の空力パフォーマンスに重大な影響を与える可能性があり、第3.8条の規定への違反とみなされる可能性がある」

    FIAは、どのマシンのリアウイングが今回の判断につながった具体的な例は挙げていないが、新たな検査の開始時期に関しては6月15日となり、リアウイングを強化する必要があるチームには猶予が与えられる。つまり、それまで開催されるモナコGP、アゼルバイジャンGP、トルコGPでは、現在のデザインが有効となる。

  • F1技術解説:ブレンボ、2021年の技術革新と2022年にむけて

    F1技術解説:ブレンボ、2021年の技術革新と2022年にむけて

    ブレンボが、2021年のF1世界選手権で導入している革新について説明。また、2022年の新ルールに向けての状況も概説した。

    ブレンボ製ブレーキを搭載したF1マシンが、各チームに合わせて設計されたブレンボ製ブレーキシステムにより、26回のドライバーズチャンピオン、30回のマニュファクチャラーズチャンピオン、442回のグランプリ勝利を達成した過去46シーズンのF1で蓄積された経験に基づき、ブレンボは2021年もほとんどのマシンににブレーキシステム関連の油圧素材と摩擦部品を供給する。

    F1の現在の運営とCOVID-19パンデミックの抑制策に沿って、ブレンボは2021年に参戦するチームに対して、サーキットでの活動の制限下においてブレンボ・リモート・ガレージを活用しながら、支援を継続する。2020年にブレンボ・クルノ本社に導入されたこのソリューションは、F1がサーキットへのアクセスを最小限に抑え、異なるチームに属する人々の接触を禁止することを決定した後に必要となった高度な技術的ソリューション。運営方法の変更により、ブレンボのエンジニアがトラック上でチームを支援することができなくなったためだ。

    クルノでは、ブレンボ・リモート・ガレージがレースウィークごとににフル稼働している。ホールには少なくとも2人のエンジニアがいて、大容量のコンピュータ、データ受信用の専用回線、ライブ放送を追うための大画面、トラック上のボックスとドライバーの間で交わされる無線メッセージを聞くためのアプリケーションが用意されている。

    COVID-19の状況が落ち着いた後は、ブレンボのリモートガレージと一緒に、通常のフルサービス体制でサーキットに戻り、レースに参加するお客様に最も完璧なサービスを提供することを目標としている。

    2022年に向けて
    ブレーキシステムの観点から見ると、2021年のチャンピオンシップでは、ブレーキシステムを含むマシンの一部のコンポーネンツに変更なしの制限が課せられるため、2020年のシーズンと比較して大きな変化はない。

    2022年には、F1のレギュレーションが大幅に変更されます。プロや愛好家、ファンの注目を集める最も目に見える変更点の一つは、18インチのホイールとタイヤへの移行だ。

    現在の13インチから将来的には18インチになることで、リム内のブレーキハウジングにスペースができるため、レギュレーションが変更され、より大きな寸法のブレーキディスクが使用できるようになる。

    カーボンディスクの外径は、現在の278mmから最大330mmになるが、厚さは最大32mmのままで変更はない。また、各GPでは、フロントとリアのアクスル間で4枚のディスクと8枚のパッドで構成される1セットの使用が制限されているため、ブレンボにとっては、摩擦材料の開発という新たな課題が待ち受けている。

    有効半径の増加に伴い、ブレンボはディスクの構造だけでなく、キャリパー、パッド、ポンプの形状も見直さなければならない。

    もうひとつの重要な変更点は、エアインテークやバスケットなどのホイールコーナーの構成部品に関するもので、これらは全車共通の「規定部品」となる。

    そのため、これらの部品を空力的負荷を高める要素として使用することが制限され、ブレーキシステムの冷却がその機能の中心となる。

    この制限は、ブレンボのデザイナーの創意工夫にも影響を与えます。特にディスクの冷却に関しては、現在は規制規定による最低限度の制限がないものの、その穴の直径は最低3mmでなければならない。つまり、同じディスクの厚さであれば、現在よりも大きな穴は必然的に少なくならざるを得ず、冷却の可能性が減ることになる。

    6種類のカーボンディスクの選択肢
    2021年のチャンピオンシップでは、大半のマシンが厚さ32mmのフロントディスクと厚さ28mmのリアディスクを使用する。グランプリ期間中に予想されるディスク温度(最高で1,200度に達することもあります)や具体的なレース戦略に応じて、各ドライバーはブレンボ製ディスクを6種類の中から選択することができる。また、それぞれの仕様には、外径に「グルーブ」と呼ばれる加工が施されており、ディスクのベンチレーションホールから出てくる空気から分岐する部分が作られている。この形状により、冷却効率を高めることができる。

    フロントブレーキシステムには、3つのディスクソリューションが確認されている。
    – 1480ホールのディスクは、7列に配置された “Very High Cooling “と呼ばれる最も冷却効果の高いソリューションであり
    – 1250ホールのディスクは「High Cooling」と呼ばれ、6列に配置されている。
    – 800ホールのディスクは「Medium Cooling」と呼ばれ、4列に配置されている。

    リアブレーキシステムでは、2つのディスクソリューションが確認されている。
    – 1250穴の「High Cooling」と呼ばれるディスクソリューションを5列に配置
    – 3列に配置された800穴の “Medium Cooling “と呼ばれるディスクソリューション
    その結果、フロントアクスルのみで6種類、リアアクスルで2種類のベンチレーション仕様が用意されている。

    軽さをより追求した研究
    ブレンボは、ブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)システムによる最大限の小型化と、アルミニウムリチウムキャリパーのさらなる軽量化に重点を置いて、ブレーキシステムの開発を続けていru
    。

    ブレンボは、レギュレーションで定められた最大値である従来の6ピストンキャリパーを10チーム中8チームに供給する。

    同時に、ベルガモに本拠地を置くブレンボは、システムの迅速な応答性とBBWユニットの反応精度を高めようとしている。車両との統合レベルは常に向上しており、2021年には4チームがブレンボのBBWを使用することになる。

    カスタマイズ、テレメトリー、メンテナンス
    各チームは、車の具体的なニーズに対応するため、ブレンボの技術者とともに、ブレーキキャリパーが備えるべき重量と剛性の最適な比率を定義する。ブレンボの技術者は社内に有する洗練された設計手法により、各チームのために、重量と剛性の比率を最適化するブレーキキャリパーモデルを設計することが可能になる。そのため、剛性の高さよりも重量を重視して軽量のキャリパーを好むチームもあれば、剛性を重視して重量が増えることを許容するソリューションを選ぶチームもある。この微妙なバランスにより、ブレンボは完全に自律的な方法でブレーキシステムを開発することができる。

    またセンサーを活用することで、チームはディスクとキャリパーの温度を瞬時に把握することができる。そのため、ディスクとパッドの摩耗を瞬時に計算することが可能となる。これらのデータを評価し、技術者はドライバーにブレーキバランスの調整を指示することができる。これは、異常が見つかった場合に行われる。

    カーボンパッドについては、2021年にブレンボは2種類のコンパウンドをチームに提供する。

    各チームは、平均して年間10~15セットのブレンボ製キャリパーを注文している。この数量は、イレギュラーが発生しても安全に対応でき、一部のセットが修正可能となる。一方で、シーズン中の開発を見越して最初は数を減らして発注し、その後、さらに最適化されたキャリパーを追加発注するチームもある。

    多くのブレーキゾーンが連続するサーキットでは、キャリパーの温度は200℃に達する。

    F1キャリパーの耐用年数は10,000kmを超えないが、その間に定期的な修正が予定されており、ブレンボの生産部門内で直接実施される。

    摩擦材に関しては、シーズン中、ブレンボは各チームに150~300枚のディスクと最大600枚のブレーキパッドを供給している。

  • 2021年 各F1ドライバーのパワーユニット使用状況(第2戦終了時点)

    2021年 各F1ドライバーのパワーユニット使用状況(第2戦終了時点)

    2021年のF1世界選手権 第2戦 F1エミリア・ロマーニャGP終了時点の各F1ドライバー(マシン)のパワーユニットのコンポーネント使用状況を振り返る。

    2021年シーズンは、F1マシンあたり内燃機関(エンジン)、MGU-H、ターボチャージャー、MGU-Kは年間3基、エネルギーストア、コントロールエレクトロニクスは2基までの使用が認められている。また、今季からエキゾーストにも制限が、各マシンあたり年間8基まで使用可能となっている。それを超過するとグリッド降格ペナルティが科される。

    F1エミリア・ロマーニャGPでは、初日にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が2基目のエキゾーストを投入。電気系のトラブルが発生した角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は、エネルギーストアとコントロールエレクトロニクスを2基目に交換した。

    土曜日にはアルピーヌF1勢がさらにエキゾーストを交換し、フェルナンド・アロンソが3基目、エステバン・オコンが2基目となった。

    予選では角田裕毅がクラッシュを喫して、エキゾーストを含めたパワーユニット一式を交換。エナルギーストアとコントロールエレクトロニクスが起用基数制限を今シーズン初のエンジンペナルティを科せられた。しかし、予選でタイムを計測していなかった角田裕毅は最後尾だったため、事実上ペナルティの影響は受けなかった。

    チーム ドライバー ICE TC MGU-H MGU-K ES CE EX
    メルセデス ルイス・ハミルトン 1 1 1 1 1 1 1
    バルテリ・ボッタス 1 1 1 1 1 1 1
    レッドブル マックス・フェルスタッペン 1 1 1 1 1 1 1
    セルジオ・ペレス 1 1 1 1 2 2 1
    マクラーレン ダニエル・リカルド 1 1 1 1 1 1 1
    ランド・ノリス 1 1 1 1 1 1 1
    アストンマーティ セバスチャン・ベッテル 1 1 1 1 1 1 1
    ランス・ストロール 1 1 1 1 1 1 1
    アルピーヌ フェルナンド・アロンソ 1 1 1 1 1 1 2
    エステバン・オコン 1 1 1 1 1 1 3
    フェラーリ シャルル・ルクレール 1 1 1 1 1 1 1
    カルロス・サインツ 1 1 1 1 1 1 1
    アルファタウリ ピエール・ガスリー 1 1 1 1 2 2 1
    角田裕毅 2 2 2 2 3 3 2
    アルファロメオ キミ・ライコネン 1 1 1 1 1 1 1
    アントニオ・ジョビナッツィ 1 1 1 1 1 1 1
    ハース ミック・シューマッハ 1 1 1 1 1 1 1
    ニキータ・マゼピン 1 1 1 1 1 1 1
    ウィリアムズ ジョージ・ラッセル 1 1 1 1 1 1 1
    ニコラス・ラティフィ 1 1 1 1 1 1 1

    ICE … 内燃機関(エンジン)
    TC … ターボチャージャー
    MGU-H … 運動エネルギー回生システム
    MGU-K … 熱エネルギー回生システム
    ES … エネルギー貯蔵装置(バッテリー)
    CE … コントロールエレクトロニクス
    EX … エキゾースト