中東情勢の不透明感が続くなか、F1は2026年シーズン終盤だけでなく、2027年シーズン開幕についても代替開催プランの準備を進めている。
イタリア自動車クラブ(ACI)は、カタールGPまたはアブダビGPの開催が困難になった場合、イモラで今季2度目のイタリア開催を受け入れる用意があることを正式に認めた。
さらに2027年についても、バーレーンとサウジアラビアでの開幕が難しくなった場合に備え、中国GPを開幕戦とし、日本GP、オーストラリアGPへと続く代替カレンダーが検討されているという。
ACIがイモラでの緊急開催に向けて準備
2026年F1シーズンはカタールGPとアブダビGPが終盤戦に組み込まれているが、中東を取り巻く国際情勢を受け、F1は万一に備えた代替案を用意している。
イタリアメディアによれば、欧州での代替開催地として最も有力視されているのがイモラだ。イモラは2025年までエミリア・ロマーニャGPを開催しており、F1を受け入れるための施設や運営体制がすでに整っていることが大きな強みとなる。
ACIのジェロニモ・ラ・ルッサ会長は、イタリア政府およびスポーツ当局との間で具体的な準備を進めていることを明らかにした。
「中東の複雑な国際情勢を踏まえ、数カ月後、つまり現在の選手権期間中であっても、我が国で2回目のF1グランプリを開催できるよう、政府およびスポーツ関係機関と協力して準備を進めている」
ラ・ルッサ会長は、緊急時の開催地としてイモラを「理想的な解決策」と表現している。
La Gazzetta dello Sportによれば、各F1チームはすでに11月下旬から12月上旬にかけてイモラ周辺のホテル予約を始めているという。現段階で代替開催が決定したわけではないものの、単なる机上のプランではなく、実際の開催を想定した準備段階に入っていることを示す動きだ。
小松礼雄「決定は早ければ早いほどいい」
シーズン終盤の開催地変更となれば、チーム側にも物流やスタッフ配置など大きな影響が及ぶ。
ハースF1チーム代表の小松礼雄は、事情の難しさに理解を示しながらも、可能な限り早い判断を求めた。
「もちろん、もっと早く決定できればよかったと思いますが、難しい状況なのは理解しています」
「決定は早ければ早いほどいいです」
F1は世界各地を転戦するため、開催地が変更されればマシンや機材の輸送計画だけでなく、チームスタッフの移動や宿泊なども組み直す必要がある。そのため、代替開催の可能性を想定した事前準備が重要になる。
ボウルズ「イモラなら天候も興味深いものになる」
ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズも、イモラが代替開催地となる可能性について言及した。
「もしイモラになるのであれば――はっきりさせておくと、決定したわけでも、その逆でもない――天候はかなり興味深く、刺激的なものになるだろう」
「それでも、シーズン最後にヨーロッパのレースへ戻るのはいいことだと思う」
イモラで11月下旬から12月にF1を開催することになれば、通常の春開催とは大きく異なる低温条件となる可能性が高い。タイヤのウォームアップを含め、通常とは異なるコンディションがレースの大きな要素になることも考えられる。
2027年F1開幕戦にも代替プラン
中東情勢を巡るF1の対応は、2026年シーズンだけにとどまらない。
AutosprintとLa Gazzetta dello Sportによれば、F1が現在優先している2027年の計画は、3月14日にバーレーンGPでシーズンを開幕し、その1週間後にサウジアラビアGPを開催するスケジュールだ。
一方、中東での開催が難しい状況が続いた場合に備え、すでに代替カレンダーも準備されているという。
その場合、2027年F1世界選手権は中国GPで開幕。その後、日本GP、オーストラリアGPという順番でアジア・オセアニアを転戦する構想が浮上している。
オーストラリアGPをさらに早い時期へ移動させることは難しいとされている。アルバート・パークではピットレーンの改修工事が進められており、開催可能な時期に制約があるためだ。
バーレーンとサウジアラビアはシーズン後半へ移動も
中国、日本、オーストラリアという流れで2027年シーズンをスタートさせた場合でも、バーレーンGPとサウジアラビアGPを完全にカレンダーから外すことが前提ではない。
情勢が安定すれば、両レースをシーズン後半の別の日程へ移動させる可能性があると報じられている。
F1のステファノ・ドメニカリCEOは、2027年も全24戦の開催を維持する意向を持っているとされ、そのため中東2戦が当初の日程で実施できなくなった場合でも、シーズン中の別の時期に組み込むことが選択肢となる。
2026年についてはイモラが緊急時の欧州代替開催地として具体的に準備を進める一方、2027年については中国を起点とする開幕プランまで用意されている。現時点ではいずれも正式決定ではないが、ACIによる準備の確認やチームによるイモラ周辺のホテル確保など、F1が複数のシナリオを現実的な選択肢として準備していることが明らかになってきた。
