カテゴリー: F1ドライバー

  • F1オランダGP:記者会見 Part.2 – ノリス、アルボン、ハジャー

    F1オランダGP:記者会見 Part.2 – ノリス、アルボン、ハジャー

    2025年F1オランダGP木曜会見パート2には、ランド・ノリス(マクラーレン)、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)が登壇した。

    ノリスは「タイトル争いを意識しつつも1戦ごとに挑む」と冷静に語り、ブダペストでの勝利を振り返りながらも課題は多いと強調した。

    アルボンはザントフォールトとの相性について「不思議と悪くない」と笑いながらも、コンストラクターズ選手権5位死守を目標に掲げた。ハジャーは新人としての挑戦を楽しむ姿勢を崩さず、「学び続けることが重要」とシーズン後半への意欲を語った。

    Q: ランド、元気そうだね。夏休みの間にハンディキャップは改善した?どう過ごした?

    ランド・ノリス: いや、ウェントワースの前にすごく悪くなったんだ。少しは下がったけど、まだ満足できるレベルじゃない。でも友達とゴルフをしたり、いろいろなことをして楽しかった。良い休暇だったよ。

    Q: 直近4戦で3勝。チャンピオンシップでオスカーとの差は9ポイント。シーズン後半はいい状態で入れそう?

    ノリス: 前からいい気分だったし、今もそうだ。今年序盤は苦しい時期があって難しい瞬間もあったけど、自分とチームの両方で改善して軌道に戻すことができた。その成果が結果として現れてきたのは嬉しかったね。でも常に改善できる部分はあるし、もっと強くならなければいけない。それがF1というものだ。長くて厳しいシーズン後半に向けて準備はできている。

    Q: アプローチは変える?まだ1戦ごとか、それともタイトルを見据えている?

    ノリス: もちろんタイトルを意識するけど、それは1戦ごとに積み重ねるものだ。みんな言い方は違ってもやっていることは同じだと思う。毎レースで勝ちたいし、最大ポイントを取りたい。でも簡単なことじゃない。ブダペストではフェラーリがとても速かったし、ジョージ(ラッセル)も近かった。今後も激しい戦いになるはずだ。もちろん一番のライバルはチームメイトのオスカーだから、その戦いが楽しみだ。

    Q: 昨年のザントフォールトでは圧倒的な強さを見せた。今年も同じようなパフォーマンスを期待していい?

    ノリス: もちろん。今年はチーム全体が強くなっているけど、ここ数戦は他チームも追いついてきている。昨年ここで強かった要素を他も改善してきているし、逆に僕らも別の面で進歩している。だから20秒差で勝つなんて期待していない。でも同じような結果を狙いたい。毎レース勝ちを狙い、1-2を目指すのが目標だ。ただ簡単だと思ったことはないし、これからも難しい挑戦になると覚悟している。

    Q: ありがとう、ランド。アレックス、君もゴルフは?夏休みはどう過ごした?

    アレックス・アルボン: いや、全然やらなかった。でもランドには勝てると思う!トレーニングキャンプに行ったり、ハイキングや水泳をして過ごした。いい休暇だったよ。

    Q: このサーキットについて話そう。ザントフォールトではいい成績を残している。君やウィリアムズにとってここは特別?

    アルボン: ちょっと相性の悪いはずのサーキットなのに、毎年なぜか悪くない結果になる。不思議なんだ。ここの風向きがうちのクルマに有利なんだと思う。天候も変わりやすく、そういう条件の方が僕らは得意だ。あとは自信が重要なサーキットでもある。道幅が狭いから、周回を重ねてリズムを掴めばいい結果に繋がる。

    Q: シーズン後半の目標は?

    アルボン: コンストラクターズ5位を維持すること。それが明確な目標だ。ただライバルも速くなっているし、場合によっては僕らを上回っていることもある。毎週変わるだろうけど、簡単ではない。ハースも大きく進歩してターゲット圏内に入ってきた。残りシーズンは激しい戦いになると思う。

    Q: アイザック、夏休みを終えてリフレッシュできた?

    アイザック・ハジャー: とても良い状態だよ。休暇の最後の1週間はしっかりトレーニングして、シートに収まるようにした。気分はいいよ。

    Q: 今週末について。2022年にここでF2スプリントを勝ったね。自信になる?

    ハジャー: あれは赤旗でほとんど走れなかったレースだからね。ポイントももらえなかった。

    Q: でも前にいたんだよね?

    ハジャー: そう、先頭にはいた。ここはFRECAやF4、F2でも走ったことがある。特に好きなサーキットではないけど、速く走れるようにするだけだ。

    Q: F1デビュー後は素晴らしいスタートだったが、スペイン以来ポイントがない。何が必要?

    ハジャー: 特にないよ。リアムが直近2戦で8ポイント取っているから、クルマはちゃんと速い。大事なのはミスをしないこと。ここ2戦は自分のペースも強かった。信頼性の問題も少しあったけど、それでも僕自身もっと良い仕事をしないといけない。スピードはあるから心配していない。

    Q: 残りシーズンの目標は?

    ハジャー: 変わらないよ。いろいろ試して、学び続けたい。安全策でただポイントを稼ぐために走るつもりはない。自分のやり方を試して、ミスをするならそれも普通。新人だからね。挑戦して楽しむことが一番だ。

    オランダグランプリ

    QUESTIONS FROM THE FLOOR

    Q: 3人に質問。ランドから。直近4戦で3勝しているが、スポーツにおいて勢いはあると思う?前のレース結果が次のレースに影響する?

    ノリス: それは人によると思う。僕はあまり勢いというものを信じていない。レースは毎回リセットできるし、良い結果でも次に影響するとは限らない。ただ、自信や知識を得ることはできる。そういう意味では多少あるかもしれないけど、2戦良かったから次も良いとは限らない。F1は変数が多いからね。勢いと呼ぶより、学びや自信という方が正しいと思う。

    アルボン: ランドが言った通りだ。白黒はっきりしたものではない。毎週サーキットも状況も違うからね。僕にとってはシーズン全体が一種の勢いみたいなものだと思う。最初にマシンに乗った時に良いと感じられれば、その感覚を保てる。アップグレードや環境によって変わることもあるけど、本当にケースバイケースだ。

    ハジャー: 僕は勢いは統計にすぎないと思う。クルマに座って「勢いがある」なんて考えたことはない。

    Q: アイザック、レッドブルの所属だと将来は何が起こるか分からない。2026年について何か知っている?

    ハジャー: 自分でも分からないよ。だから答えられない。ごめん。

    Q: ランド、失ったポイントを振り返って後悔することはある?

    ノリス: もっと良い判断ができた場面はあったと思う。例えば中国のスプリント予選、最後のヘアピンでロックして8ポイントを失った。あの時「長いシーズンだ、無理するな」と思えていれば違った結果になっていただろう。カナダも少し賢く立ち回れていればポイントを落とさなかったかもしれない。でも後悔はしていない。その瞬間の判断だったし、それが自分だから。そういう経験から学んで次に活かすだけだ。

    Q: ランド、マクラーレンはシーズンを通して君とオスカーに自由に戦わせてきた。ブダペストでの件を受けて方針に変化はあった?

    ノリス: 特に変わっていない。ブダペストは少し特別なケースだった。僕が1ストップを選んだのは、前と同じ戦略を取る方がむしろ愚かだったからだ。あの判断はジョージを抜くためのものだった。結果的に完璧な展開になったけど、最初から勝ちを狙ったわけじゃない。チーム全体としていつも通りではなかったが、レースではそういうことも起きる。僕もオスカーも自由に戦いたいし、そういうチームでありたい。毎戦振り返って修正しているし、大きな変更はない。コンストラクターズを勝つのが最優先だ。

    Q: アレックス、ペレスとボッタスが1年ぶりに復帰する。自分もかつて休んだ経験があるが、復帰は難しい?

    アルボン: 僕の場合はピレリテストやシミュレーターで走れたから助かった。2人はもっと経験があるし、少し走らなくても大丈夫だろう。レギュレーションもリセットされるから経験の差は出にくい。僕にとってはウィリアムズに備える良い期間になった。彼らもすぐに順応できると思う。

    Q: ランド、君とオスカーがタイトル争いをする可能性が高い。ルクレールやマックスとの戦いではリスクの取り方が変わる?

    ノリス: もちろん変わる。いつリスクを取るか、相手が誰かで変える必要がある。勝ちを狙う時ならリスクを取るし、1ポイントのためなら取らない。相手が誰かも重要だ。チャンピオン争いを意識すればなおさら。中国での件はもう少し慎重にすべきだったと思う。今は学んでより良い判断ができるようになった。

    Q: ランド、アンドレア・ステラの役割についてどう思う?

    ノリス: 僕にとってアンドレアは最も重要な存在だ。チームを大きく変えたのは彼だと思う。人を理解し、まとめ、最大限の力を引き出す能力にかけては誰より優れている。マクラーレンは大きく変わったように見えるけど、実際には99%同じ人たちだ。ただトップが彼になった。それが最大の違いだ。だから僕は今季の成功の多くを彼のおかげだと思っている。

    Q: ランド、ジョリオン・パーマーはハンガリーでの戦略は運が良かっただけだと言っていた。どう思う?

    ノリス: 確かに少し運はあった。でも運だけじゃない。自分の成長と努力があったから勝てた。シーズンを通して改善してきたし、エンジニアやチームと一緒に頑張ってきた。運は誰にでも必要だけど、それだけで勝てるわけじゃない。ブダペストの勝利は努力の結果だ。

    Q: アレックスとランドに質問。このサーキットはパドックが広いけど準備に影響は?

    アルボン: あまり変わらない。スパと同じような感じだよ。僕らはガレージに装備を置いておくから問題ない。

    ノリス: 僕らは一番遠い場所だから歩いたりスクーターに乗ったりしている。でも特に問題はない。むしろファンが近くで見られるから良いことだと思う。僕はあまり気にしないし、リラックスしている。

    Q: アイザック、将来の不確実性について。集中するのは難しい?

    ハジャー: 正直、慣れている。F1に来るまでの道のりも不確実だったからね。先のことは考えすぎず、今に集中して全力を尽くすだけだ。心配はしていない。

  • F1オランダGP:記者会見 Part.1 – フェルスタッペン、ベアマン、ボルトレト

    F1オランダGP:記者会見 Part.1 – フェルスタッペン、ベアマン、ボルトレト

    2025年F1オランダGPを前に行われた木曜会見パート1には、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、オリバー・ベアマン(ハース)、ガブリエル・ボルトレト(キック・ザウバー)が登壇した。

    フェルスタッペンは後半10戦を「ベストを尽くす」と冷静に見据え、ザントフォールトの特別な雰囲気や今季の課題について言及した。

    Q: マックス、最初にお願いします。後半戦に向けて残り10戦です。2025年シーズン後半に向けた心構えは?

    マックス・フェルスタッペン: とにかくベストを尽くすだけだ。毎戦でチャンスを探して、クルマについてもっと学びたい。もちろん来年はマシンが大きく変わるが、今年のクルマについてももっと理解したいと思っているし、パフォーマンスを少しでも引き出して、僕らがもう少し楽に戦えるようにしたい。

    Q: チャンピオンシップに関して具体的な目標は?

    フェルスタッペン: いや、特にはない。

    Q: ザントフォールトでは素晴らしい戦績を持っている。3勝に加えて昨年は2位だった。今回のRB21の戦闘力についてどう考える?ハンガリーより前に出られると思うか?

    フェルスタッペン: そう願いたいね!ハンガリーは僕らにとって良い週末ではなかったから、今回はもっと前に行けるといい。残りのカレンダーの中で最高のサーキットではないと思うけど、天候が崩れる可能性もある。それが混乱を生むこともあるから、どうなるか様子を見ないといけない。

    Q: どのサーキットがマシンに合うと思う?昨年も後半は浮き沈みがあったが。

    フェルスタッペン: 自然に言えば、高速コーナーが多いレイアウトの方が僕らに合うと思う。低速や中速はおそらく少し難しいだろう。

    Q: ガブリエル、次は君だ。ブラジルから戻ったばかりだが、休暇はどうだった?

    ガブリエル・ボルトレト: 良かったよ。ブダペストの後は家族と過ごして、リラックスした。ブラジルに戻ってカートやドライブもしたし、家族と過ごして充電できた。シーズン後半に向けて準備は整ったよ。

    Q: 直近4戦で3度の入賞。勢いに乗っているように見えるが?

    ボルトレト: 確かにシーズン序盤に比べて大きく改善した。クルマに投入したアップグレードもうまく機能している。中団は非常に僅差で、コンマ05秒でQ3を逃すこともある。ブダペストも本当に接戦だった。だから予選の出来に大きく左右されると思う。今の流れを続けたい。ザウバーとしては6戦連続入賞で、こうした戦いができるのは素晴らしいことだ。

    Q: 初ポイントはオーストリアだったが、それが転機になった?

    ボルトレト: クルマに入れたアップグレードが効果を発揮して、ポイント圏で戦えるようになった。F1で突然状況が変わるなんてことはない。学び、改善しながらプロセスを積み重ねるものだ。オーストリアは僕が好きなサーキットで、クルマも合っていたし、とても良い走りができた。そこでチームや自分に自信がつき、その後のレースでもポイントを獲得できた。

    Q: ザントフォールトはフォーミュラ・リージョナル以来だと思うが、どう見ている?

    ボルトレト: 正直、予想は難しい。天候次第ではかなり荒れるだろうし。すごく好きなサーキットだし、これまで1、2回しか走ったことがないが、本当に楽しい。雰囲気も観客も素晴らしいし、F1ではさらにすごいだろう。特にこの人(フェルスタッペン)がいるからね。今週末が楽しみだよ。

    Q: オリー、次は君だ。休暇はどう過ごした?自転車にも乗った?

    オリバー・ベアマン: いい休みだった。楽しかったし、シーズン後半に向けたトレーニングもたくさんした。家族と過ごす時間も取れて、数週間レースを忘れるのも良かった。ただ、すぐにレースが恋しくなったから、ザントフォールトに戻ってこれて嬉しいよ。

    Q: 休暇中、P11のことをよく考えたと思う。直近は4戦連続で11位、ハンガリーではリタイア。これはマシンの実力なのか、それとももっと上に行けると思うか?

    ベアマン: いや、もっとやれると思う。シルバーストン以降は安定して結果を残していて、ずっとポイント目前というのは悔しい。けれど、4戦連続でそれだけ接近していたのは前向きに捉えるべきだとも思う。微調整ができれば、最後の一歩を踏み出せるはずだ。

    Q: シーズン前半を振り返って、そして後半に向けての目標は?

    ベアマン: 前半はとにかくタフだった。14戦はすごく濃密で、昨年F2ではこれがシーズン全体だった。それを8月前にすでに消化したわけだからね。僕にとっては大きな変化だった。休暇はリセットする良いタイミングになった。素晴らしい瞬間もあったけど、ミスも多すぎたと思う。

    オランダグランプリ

    QUESTIONS FROM THE FLOOR

    Q: マックス、今週キャデラックが来季のドライバーとしてバルテリとチェコを発表した。彼と話したか?そして彼が来年どんな走りをすると思う?

    マックス・フェルスタッペン: ニュースを見たときにメッセージを送ったよ。シートを得られて本当に嬉しい。彼は素晴らしい人間で、僕らはいつも良い関係だった。だから彼がグリッドに戻るのを見るのは嬉しいね。どういう走りをするかはクルマ次第の部分も大きいから現時点では言えないけど、新しい挑戦だし、彼自身すごくワクワクしているはずだ。

    Q: ガブリエル、このサーキットは挑戦が多い。どの部分に一番興味がある?マックスにアドバイスを求めた?

    ガブリエル・ボルトレト: いつも彼に少しは聞いているけど、特別な質問というわけではないよ。僕が一番気になるのはバンクの部分だ。今年は大きなF1カーでまだ経験していないからね。特にターン3は楽しみだ。最終コーナーは全開で行けるはずだから問題ないと思うけど、この一連のコーナーは面白そうだ。シミュレーターでも走ったし、準備はできている。

    Q: ターン3はアウト側?イン側?

    ボルトレト: これまでみんなアウト側を通ってると思う。イン側はどう?

    フェルスタッペン: イン側は無理だね。頂点がフラットすぎる。そこもバンクをつけるべきだったんだけどね。そうすればチャンスになった。まあ、試しに突っ込んでみればいいさ。4台並んで。ただ僕にぶつからないように。

    Q: マックス、今週アレックス・パロウが来年君のチームメイトになるのではという噂があった。実際どう思う?

    フェルスタッペン: 評価するのは難しい。アレックスのことはカート時代から知っているし、インディカーでの活躍は本当に素晴らしい。だけどF1でどうなるかは誰にも分からないし、その逆も同じだ。僕らがインディカーでどうなるかなんて分からない。だから議論しても時間の無駄だと思う。ただ、彼がインディカーであれだけ支配的に強いのを見るのは本当に嬉しい。

    Q: ローラン・メキースがチームに加わって少し時間が経った。彼と話した?彼のアプローチは変わってきた?

    フェルスタッペン: もちろん、就任後すぐにレースがあって、すぐ夏休みに入ったから、急に何かが変わるわけではない。ただ、彼のアプローチは気に入っているし、チームの雰囲気が良くなっているように感じる。人々の様子を見ても前向きだ。誰かが就任して2週間や2か月で劇的に変わることはない。時間が必要なんだ。

    Q: マックス、ザントフォールトの特別な雰囲気について。観客が与える影響は?

    フェルスタッペン: すごく笑顔になるよ。ピットを出る時からあのオレンジの光景を目にすると特別だ。走ることだけじゃなく、3日間ずっと祭りのような雰囲気だ。

    ボルトレト: 祭りなのは彼のためだけだと思うけどね。

    フェルスタッペン: 僕にとっては残念ながらそうじゃないけどね。でも観客が楽しんでいるのは良いことだ。グランプリに来る意味のひとつだと思う。

    Q: マックス、今年は現実的にチャンピオン争いから外れている。残り10戦、モチベーションはどう保っている?

    フェルスタッペン: 正直、それほど難しくはない。いつかそういう時が来るのは分かっていた。今はその状況にある。でもフラストレーションを抱いたり声を荒げたりしても無駄だ。エネルギーの浪費だからね。そうではなく、クルマとチームの運営を見直して未来に向けて改善する。それが今僕らが取り組んでいることだ。

    Q: 2021年、ルイスとの間でマインドゲームがあったと当時のトレーナーが語っていた。例えばブラジルで彼のリアウイングを触ったのは意図的だったのか?

    フェルスタッペン: 正直、覚えていない。その時自分がそういう意識を持っていたことはない。だから特に言えることはないし、少なくとも僕にとってはそういう出来事ではなかった。

    Q: ガブリエル、ブラジルでカートに乗って若い子供たちと触れ合った。マックスとも昔カートで会ったと言っていたが覚えている?

    ボルトレト: 初めて走った場所に戻って、6歳や7歳の子供たちがカートを走らせているのを見ると、自分の幼い頃を思い出した。彼らと時間を過ごして、質問に答えて、とてもいい経験だった。マックスに初めて会ったのはアドリアだった。パドックに人が多くて直接話しかけられなかったけど、チームのボスにお願いして写真を撮ってもらった。当時の彼はまだ17、18歳でF1に上がったばかりで、僕にとっては最高の瞬間だった。

    フェルスタッペン: アドリアのことは覚えているよ。友達が走っていたし、CRGのファクトリーチームもいた。僕にとってもお世話になった場所だから顔を出したんだ。そこに小さなブラジル人がやってきて写真をお願いしてきた。今でもその写真を見ることがあるけど、今こうして一緒にF1にいるのは面白いものだね。

    Q: マックス、ザントフォールトがカレンダーから外れることについてどう思う?

    フェルスタッペン: 新しいストリートサーキットが増えなければ構わない。もちろん残念ではあるけど、何ができるわけでもない。ホームグランプリを数年間持てたこと自体が誇らしい。今後も楽しむつもりだし、F1が来なくても素晴らしいサーキットだ。だからまた戻ってくるよ。ただ2年後にカレンダーがどうなるかは誰にも分からない。

    Q: 皆さんに質問。グリッド順位やタイムを抜きにして、F1マシンは他のレーシングカーと比べて今でも楽しい?

    オリバー・ベアマン: 僕は基本的にシングルシーターしか乗ったことがないけど、GTやプロトタイプもちょっと経験した。その中でもF1はすごく楽しい。規則の限界ギリギリで作られたマシンだから、一周ごとに風が変わったり少しセットアップを変えるだけで完璧から難しくなる。自信を持つのが難しいこともある。でもこれまでで一番楽しいクルマだよ。

    フェルスタッペン: F1は楽しい。もちろん速ければ速いほど楽しいけど、他のクルマも別の意味で楽しい部分はある。僕にとっては週末で一番楽しいのはクルマに乗っている時だ。

    ボルトレト: 人生で一番すごいクルマだと思う。速ければ速いほど楽しいというのは同意だ。本当に最高にクールだよ。

    Q: オリーとマックスに質問。ヴァン・アメルスフォールト・レーシングで走っていた頃の思い出は?

    ベアマン: 僕はF4を1年走った。とても良いシーズンだったし、すごく楽しかった。コロナの時期でオランダに住んでいたから、食事はほとんどチョコスプリンクル入りのトーストばかりだった。

    フェルスタッペン: ハーゲルスラフ。

    ベアマン: そう、それ!本当に良いチームで、一生懸命働く人たちばかりだ。今でもフリッツが現場にいるのはすごいと思う。

    フェルスタッペン: 僕の場合は契約が決まったのがシーズン直前で、期待はされていなかった。でもすぐに結果を出して、6連勝もできた。とても競争が激しい中で勝てたのは特別だった。無線でオランダ語を話せたのも珍しいことだった。父との縁もあって、素晴らしい時間だった。そこからすぐF1に行けたのは大きかった。

    Q: マックス、昨年後半のチェコについて。彼の実力を正しく示していなかったのでは?来季復帰で再び力を見せられると思う?

    フェルスタッペン: これは新しいスタートだ。シーズン後半だけで彼の能力が決まるわけじゃない。彼は気にしすぎないタイプだし、新しいクルマでまた楽しめると思う。レッドブル以前からも素晴らしい実績を残してきたし、また楽しみながら結果を出すはずだ。

    Q: ガブリエルとオリーに質問。来年はバルテリとチェコがシートを得たが、若手が選ばれなかったことをどう思う?

    ボルトレト: それは大企業が決めることだから、僕が評価する立場じゃない。もちろん友人のフェリペ(ドルゴヴィッチ)はF2王者でチャンスを得るべきだと思うし、まだ可能性はあると信じている。彼は素晴らしい人間で、ふさわしいと思う。ただ決定権は彼らにある。

    ベアマン: 基本的には同意だ。新人を起用するより経験豊富なドライバーを選ぶ方がリスクは小さい。とはいえ、グリッドにいないけど実力のある人はたくさんいる。フェリペもそうだし、インディカーにも優秀なドライバーは多い。ただ新チームとしては妥当な判断だと思う。僕が経営者なら同じことをするかもしれない。

    Q: マックス、チェコがキャデラックに加わる価値は?

    フェルスタッペン: 彼は多くのチームで走ってきて、それぞれの違いを知っている。どのチームがどこに強みや弱みを持つか理解しているのは大きな財産だ。さまざまな規則の下で走ってきたから、良いクルマとは何か、そうでないクルマはどうかも知っている。それは新チームにとって非常に貴重だと思う。すぐにF1で戦うのは簡単ではないが、彼の経験が助けになるだろう。

  • F1ドライバー市場:角田裕毅のレッドブル含め2026年にまだ残る6つの空席

    F1ドライバー市場:角田裕毅のレッドブル含め2026年にまだ残る6つの空席

    キャデラックが2026年のF1ドライバーとしてセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスを発表した一方で、他チームには依然として意外な場所を含めて空席が残されている。

    6つのシートが2026年のF1グリッドでまだ未定のままだ。いくつかのチームは現行のラインナップを維持すると見込まれるが、裏では長引く駆け引きがあり、また別のチームでは大きな注目を集めている。

    レッドブルの体制では、2025年以降契約が保証されているのはマックス・フェルスタッペンだけで、残る3つは内部抗争や経営陣の気まぐれ、そして若手ドライバープログラムの「結果を出すか去るか」という方針に揺れている。

    ピエール・ガスリーはアルピーヌ残留が決まっているが、もう一方のシートはフラビオ・ブリアトーレの気分次第とも言える状況だ。

    ■ メルセデス
    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ
    「冷たく突き放して焦らせる」──というわけではないが、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは常に選択肢を開いたままにし、長期契約を急がない傾向にある。2023年にはルイス・ハミルトンと長期にわたる契約交渉を繰り広げ、最終的に「1+1」契約に落ち着いたが、それをハミルトンが不満とし、現在は赤いマシンに乗っている。

    2026年に向けてメルセデスの2つのシートはまだ空席で、ジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリはいずれも現契約が終了する。アントネッリの場合は1年契約だ。ヴォルフはフェルスタッペン陣営とも交渉したが、マックスは賢明にも来年は現状維持を選び、新レギュレーション下での競争力を見極めることにした。

    そのためラッセルは立場を強め、スパでは「何も心配していない」と発言。依然として「メルセデスに管理されている」状況であり、2026年以降の契約合意は細部の詰めだけとされている。今季の不安定なマシンでの走りを考えれば、他に彼以上の結果を出せるドライバーはいないという見方が強い。

    一方、アントネッリは不安定な状況だが、メルセデスがリアサスペンションを以前の形に戻したことで自信を取り戻しつつある。ヴォルフとメルセデスはアントネッリのキャリアに多大な投資をしており、1年で見切りをつけるのは時期尚早だ。ベンチ要員にして経験豊富なドライバーをラッセルの隣に置くという可能性は低い。長期的に見ても彼の自信を損なうだけであり、代わりの有力候補も少ない。

    ミック・シューマッハーの復帰は可能性が極めて低く、リザーブのフレデリック・ヴェスティは電動レースの道に進む方が現実的だろう。

    ■ レッドブル
    角田裕毅 レッドブル F1
    角田裕毅は現在、事実上の綱渡り状態にある。元代表クリスチャン・ホーナーを含む首脳陣の言葉とは裏腹に、今季の出来事はこのチームが「1台1人のドライバーのための組織」であることを改めて示した。さらにチームは不当にセカンドドライバーをスケープゴートにする習慣に陥っており、過去1年でペレスとリアム・ローソンがその犠牲になった。角田がまだその仲間入りを免れているのは、代替候補が枯渇しているためにすぎない。

    そのため角田裕毅は依然として旧仕様の扱いにくいマシンを背負わされている。

    夏休み最終週には、インディアナポリス・スター紙が「情報筋によればレッドブルが関心」と報じたことで、インディカー4度の王者アレックス・パロウの加入説がネット上を賑わせた。だがパロウとマネジメントは即座に否定。パロウはF1を望んでいるが、2026年のチップ・ガナッシとの契約を破棄してまで「最も不人気なシート」に飛びつくかは疑問だ。

    アイザック・ハジャーの可能性もあるが、本人は明確に消極的だ。次の候補とされるアービッド・リンドブラッドは、シルバーストンFP1に特例で出走したが、昇格するとしてもまずはレーシングブルズだろう。

    再びローソンにチャンスが回る可能性もある。

    ■ レーシングブルズ
    ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム
    アイザック・ハジャーとリアム・ローソンはいずれも1年契約だ。ローソンはレッドブルでの短命な挑戦の結果であり、ハジャーは一部関係者に評価されなかったためだ。

    しかし今季、ハジャーはメルボルンでのつまずき以降、懐疑的な声を黙らせる活躍を見せている。比較的扱いやすいマシンに助けられている面もあるが、ローソンより結果を残している。ローソンはいまだ自信回復途上だ。

    ハジャーはシニア昇格には強く抵抗しており、それも当然の判断だ。ただし彼は22 Ventures(キリアン・エムバペやブカヨ・サカも所属)にマネジメントを委ねているが、依然としてレッドブルのシステムの一部であり、最終的にはチームの意向に従わざるを得ないかもしれない。

    ■ アルピーヌ
    アルピーヌF1チーム
    F1における「毒杯」といえば、フェルスタッペン隣のレッドブルに次ぐのがアルピーヌのシートだ。ガスリーは2026年契約済みだが、もう1席は流動的だ。

    ジャック・ドゥーハンはチームに籍を置いているが、再起用の可能性は低い。今季序盤に代役として起用されたフランコ・コラピントは当初5戦限定の評価契約とされていたが、すでにそれを超えている。事実上の代表フラビオ・ブリアトーレは質問されても毎回答えが変わり、まるで壊れた計りのようだ。コラピントは走るごとに自信を失っており、実質的にレースごとの綱渡り状態だ。ドゥーハンのように突然外される可能性もある。

    まるでF1版「落とし穴と振り子」だが、操縦しているのはビンセント・プライスではなくブリアトーレなのである。

  • F1ドライバー夏休み2025 豪華ヨット・家族・非日常を満喫

    F1ドライバー夏休み2025 豪華ヨット・家族・非日常を満喫

    F1ドライバーの夏休みが終了。シーズン前半戦を戦い抜いた彼らは、ヨットでの休暇、家族との時間、そして非日常のアクティビティを通じて心身をリフレッシュした。休暇はトレーニングや競争と同じく重要な要素であり、最高の状態で後半戦に挑むための準備期間となった。

    ザントフォールトでの第14戦が8月29〜31日に迫るなか、各ドライバーはそれぞれ独自の方法で充電を終えた。海で過ごした者もいれば、新しい挑戦に取り組んだ者、完全にスイッチを切った者もいた。F1グリッドの夏休みの裏側を振り返る。

    それぞれが異なる方法でこの休暇を最大限に活かした。スリルを求めた者、家族との時間を楽しんだ者、完全に通信を断った者、トレーニングで体を維持した者……グリッドの夏休みの過ごし方を振り返る。

    ■ 海の上でリラックス
    陸上での数か月にわたる激しいレースを終え、道を離れて青く澄んだ海へと逃れたドライバーたちも少なくなかった。多くはアスファルトを離れてヨットに乗り込み、豪華な船上でのんびりと過ごした。

    ジョージ・ラッセル、シャルル・ルクレール、アレクサンダー・アルボンはパートナーと共に水上で過ごし、リラックスと大切な人とのひとときを両立させた。

    エステバン・オコンも家族や友人と海の上で特別な時間を過ごし、キミ・アントネッリも家族や親しい友人たちとギリシャの海での休暇を満喫した。

    一方でオスカー・ピアストリは、真のオーストラリア流に夏休みを祝った。マクラーレンの仲間と共にバーベキューを楽しみながら、休暇のさなかに待望のニュースを明かしたのだった。

    ■ 話題を振りまく
    この夏、ドライバーやその愛犬までもがサーキットの外で注目を集めた。ピアストリは母国ファンに朗報を届け、2026年からオーストラリアGPで自身のグランドスタンドが設けられることを発表した。

    一方、ピエール・ガスリーは新ブランドの立ち上げを思わせる謎めいた投稿でファンの関心を引きつけ、SNS上で大きな話題を呼んだ。

    さらにルイス・ハミルトンと愛犬ロスコーは『Vogue』誌──ロスコーのファンにとっては「Dogue」──の特集で主役を務めた。

    休暇中でも、海にいようと陸にいようと、彼らは人々の注目を集め続けていた。

    ■ アドレナリンを求めて
    F1ドライバーにとってレースのスリルは不可欠だ。そのため夏休み中も、異なる形でその高揚感を追い求める姿が見られた。マックス・フェルスタッペンはeFoilに乗って水上を滑走し、ゲーム好きのランド・ノリスはEsportsワールドカップに参加してバーチャルの世界に没頭した。

    運転席に戻ることを我慢できなかった者もいた。ガブリエル・ボルトレトはストックカーに乗り込み、パートナーを助手席に同乗させて疾走。オリー・ベアマンはGB3に参戦中の弟トーマスの誕生日を、もちろん運転で祝った。

    F1グリッドは、サーキットを離れても心拍数を高め続けていた。

    ■ 鍛錬を怠らず
    夏のシャットダウン中でも、アクティブに過ごすことを優先したドライバーも多かった。選手権リーダーのピアストリはモナコで縄跳びの技を披露。タイトル争いの勢いを維持する秘訣の一端をのぞかせた。

    一方、海の上で過ごしたドライバーが多いなか、水中に挑んだのはカルロス・サインツだった。家族と船上で過ごす合間に、11メートルもの深さへ潜水するアスリートぶりを見せつけた。

    ルクレールはパデルに打ち込み、チームメイトのハミルトンはウェイトトレーニングに励んだ。もちろん、夏休みにゴルフを楽しむドライバーも欠かせない。ガスリーはゴルフコースに姿を見せ、ランニングやサイクリング、ジムを組み合わせたトレーニングで身体を整えていた。

    ラッセルもまた例外ではなく、ヨットの上や休暇から戻った後でもトレーニングを欠かさなかった。休暇は単なる「スイッチオフ」ではなく、正しいバランスを探す時間であることを彼らは証明した。

    ■ DND(Do Not Disturb)
    一方で、完璧に「Do Not Disturb」を選び、電話からもパドックの喧騒からも距離を置いたドライバーもいた。投稿もなく、話題もなく、ただ静けさの中で心身をリセットする時間を満喫。シーズンが再び轟音と共に幕を開ける前の、貴重な休息の瞬間となった。

  • F1史上最悪のチームが自らのドライバーに行った衝撃の行為

    F1史上最悪のチームが自らのドライバーに行った衝撃の行為

    1992年にF1参戦を試みたアンドレア・モーダ。その悪名高い運営の中でも、特に衝撃的な出来事がペリー・マッカーシーを襲った。

    1990年代初頭のF1は興味深い時代だった。アイルトン・セナとアラン・プロストの衝突劇や、ナイジェル・マンセルの引退とウィリアムズへの復帰が注目を集める一方で、金鉱を掘り当てようとする小規模チームが乱立していた。ジョーダンやザウバーのように生き残るチームもあったが、多くは姿を消した。

    その中に、今日ならFIAが申請段階で却下するであろうイタリアのチーム、アンドレア・モーダがあった。

    このチームはコローニの残骸から生まれ、イタリアの実業家アンドレア・サセッティが1990年にBMWの中止されたプロジェクト用に設計されたシャシーを入手。背後にジャッドV10を積み込み、開幕戦の南アフリカへと運んだ。ここから“喜劇”が始まった。

    アンドレア・モーダは新規参戦チームのための10万ドルの保証金を支払っていなかったため参戦を許可されなかった。サセッティは「コローニの名前を変えただけ」と主張したが、訴えは却下され、週末の出走は禁じられた。

    第2戦ブラジルではロベルト・モレノとイギリス人のペリー・マッカーシーのラインアップとなった。マッカーシーはF1参戦のために危険を冒してきたドライバーだった。しかしスーパーライセンスは当初下りず、第4戦スペインでようやく走行許可が与えられた。ここから悲劇的な道のりが始まる。

    F1 アンドレア・モーダ

    F1への道
    「長年F1の周りにいて、ノックを続けてきた。F1に上がりたいと言ってくれる人は多かったが、必ず“資金を持ってこい”と言われた。僕にはそれがなかった」とマッカーシーはRacingNews365に語る。

    「実力は分かってもらえていたと思うけど、チャンスを見つけるしかなかったんだ」

    だが資金不足は彼のキャリアを潰しかけた。モナコ直前、チームから外されたエンリコ・ベルタージアが100万ドルのスポンサー資金を持ち込んだため、サセッティはマッカーシーを切ろうとした。しかしシーズン内で4人以上のドライバー交代は禁止されていたため、FIAが介入。資金は流れ、マッカーシーは干される形になった。

    モナコの予備予選で彼に与えられたのは1周のみ。その結果、記録したタイムは「17分05秒924」。今なおF1史上最も遅いラップタイムである。

    「モナコを歩いた方が速かった」と彼は振り返る。

    「初めてのコース、合わないシート、風防なし、たわむステアリングラック。アンドレア・モーダでも加速は速いから、必死に突っ込んで行った。怖かったが引けなかった。僕がやってきた努力を無駄にしたくなかった。でも何をやっても無意味だった。ミッキーマウスの方がマシに思えるほどだった」

    アンドレア・モーダ

    どん底
    その後も各地を転戦し、フランスでは「出走せず」と記録された。だが決定的な出来事はベルギーGPで起きた。チームが意図的にマッカーシーを危険に晒したのだ。

    「スパでチームを去ると決めたのは理由があった。これまでは未熟さや資金不足だったが、スパでは欠陥のあるステアリングラックを取り付けられた」とマッカーシーは語る。

    「ウォームアップを飛ばして予選に臨んだが、オー・ルージュでハンドルが固まり、すぐに異常を察知してブレーキを踏んだ。だが速度はほとんど落とせず、壁に突っ込む寸前だった。ピットに戻り“ステアリングラックがたわんでいる”と伝えると、彼らは“知ってる”と言ったんだ」

    「何だって? と聞いたら“ロベルトの車で先週テストした”と。つまりそれを僕に使ったんだ」

    「これまでも危険な目には遭ってきたけど、これは度が過ぎていた。ジャーナリストのトニー・ドジンズにも“ペリー、嫌な予感がする、車に乗るな”と止められた。だが僕には選択肢がなかった」

    なぜそこまで?
    幸いなことに、アンドレア・モーダはスパのパドックでサセッティが逮捕されたことをきっかけにF1から追放された。マッカーシーにとってそれがF1キャリアの終焉となった。その後「Top Gear」で“覆面ドライバー”として知られるようになるが、資金不足のためF1に戻ることはできなかった。

    「油田で1日15〜18時間、週7日働いて資金を貯めた。必死でたどり着いたんだ」とマッカーシーは言う。

    「ティレルに行けそうだったこともあったがジャン・アレジに取られた。レイトンハウスでも資金が必要だった。フットワークにも行きたかった」

    ではなぜ、準備不足で無様なチームに加わったのか? 答えは単純だ。

    「30歳近くになっていて、F1のチャンスが来た。すべての努力が報われると思った。だが僕が飛び込んだのは前代未聞のサーカスだった」

  • F1のカラー混乱をデレック・デイリーが警告「ファン離れの危機」

    F1のカラー混乱をデレック・デイリーが警告「ファン離れの危機」

    F1人気が世界的に急上昇するなか、元F1ドライバーのデレック・デイリーが「カラー混乱」が新規ファン獲得の妨げになっていると警鐘を鳴らした。

    モナコGPでフェラーリとマクラーレンのドライバーが伝統の赤やパパイヤではなく白いスーツを着用したことに強い違和感を示し、「ブランドの一貫性を失えばファンは混乱し、最悪の場合F1観戦をやめてしまう」と強調している。

    デイリーは、2013年のアメリカGPで「どの車がルイス・ハミルトンか分からない」と困惑した新規ファンの体験を紹介。識別の手がかりとして勧めたヘルメットの色が、その日に限って変更されていたために説明できず、結局そのファンは観戦を諦めてしまったという。この出来事は「F1の複雑さがファン離れを生む危険」を象徴していると語った。

    モナコで見られた「白スーツ問題」
    2025年のモナコGPでは、フェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトン、マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリが、チームカラーを捨てた真っ白なスーツで登場した。デイリーは「ブランドを高めるべき舞台で逆に混乱を招いた」と指摘。

    フェラーリはイタリアの国民的カラーである「ロッソ・コルサ」とともに歴史を刻んできたチームであり、マクラーレンはザク・ブラウンの指揮下でパパイヤ色を復活させ、ブランド力を強化してきた。にもかかわらず、両チームが揃って「個性を消した白スーツ」で登場したことにデイリーは大きな疑問を投げかけている。

    「エンツォ・フェラーリが築いた赤の伝統を軽んじるような選択は、ファンとのつながりを弱める行為だ。ブランド認知を広げるはずの舞台で、一貫性を欠く演出をしてはいけない」と断じた。

    ヘルメットカラーも識別不能に
    問題はスーツだけではない。デイリーは、ドライバーのヘルメットデザインが頻繁に変わる現状も批判する。ルイス・ハミルトンはキャリア初期に「黄色=ハミルトン」という分かりやすいアイデンティティを確立したが、近年は白、黒、紫、虹色と変化し続け、今は再び黄色に戻している。

    社会的なメッセージ性のあるデザインも評価される一方で、「ファンにとって識別が難しい」という根本的な問題は解決されていない。実際、2022年のフランスGPでは解説のポール・ディ・レスタが、ハースのケビン・マグヌッセンをミック・シューマッハと誤認する場面があった。プロの解説者ですら迷う状況では、新規ファンが混乱するのも当然だ。

    ルイス・ハミルトン F1 スクーデリア・フェラーリフェラーリの赤、そしてハミルトンの黄色いヘルメットは、チームとドライバーにとって馴染みあるカラー・ブランディングの復活だ

    フェラーリの伝統と“黒スーツ”の違和感
    フェラーリの赤いスーツは「勝利の象徴」であり、モンツァのティフォシにとっては特別な意味を持つ。しかし2023年のイタリアGPでは、フェラーリは黒を基調としたスーツを導入。ルクレールが勝利を挙げたものの、スタンドを埋め尽くした赤一色のファンの熱狂と、表彰台に立つ黒いスーツのドライバーの姿はかみ合わず、「フェラーリらしさ」が損なわれた印象を残した。

    デイリーは「ブランドの色は単なる装飾ではなく、ファンとの感情的なつながりそのもの。これを曖昧にするのは最大の過ちだ」と語っている。

    過去のドライバーが示した「色の価値」
    2000年、マクラーレンのデビッド・クルサードとミカ・ハッキネンは、スポンサーの要望に応じて個人のヘルメットカラーを変える代わりに100万ドルの報酬を提示された。しかし二人は揃ってこれを拒否。「色はドライバーのブランドそのもの」という信念を貫いた。

    デイリーはこのエピソードを引き合いに出し、「当時のドライバーは自らのカラーの価値を理解していた。現代F1はそれを忘れつつある」と警告する。

    ファン離れの現実
    11年前にCOTAで出会った女性ファンは、結局F1観戦をやめてしまったとデイリーは振り返る。彼女のように「分かりにくい」という理由で離れていった人々が数多くいる可能性は否定できない。

    「プロの実況者が混乱するほどなら、新しいファンはさらに苦労する。ブランドの一貫性を取り戻すことは、F1がアメリカやアジアで人気を維持し、さらに拡大するための最低条件だ」と訴えた。

  • F1 2026年新ルールでルーキーが躍進?経験差が消える理由

    F1 2026年新ルールでルーキーが躍進?経験差が消える理由

    今年のF1ルーキーの中で、ベテランのように走っているのは1人だけ。来季の物議を醸す技術的リセットは、全員に新しい習慣を受け入れることを強いるだろう

    2025年、F1に若手ドライバーが次々と登場する流れが停滞したり、あるいは1年空白になることはなかった。2019年──ランド・ノリス、ジョージ・ラッセル、アレックス・アルボンらがF2から熱気を帯びて昇格してきた年──以来、これほど豊かな才能の流入はなかった。

    しかし、新人や“ほぼ新人”といえるドライバーたちの多くは、インパクトを残すことに苦労している。ジャック・ドゥーハンは──正当か不当かは別として──シーズン半ばに到達することすらできなかった。アルピーヌがエステバン・オコンを手放してまで彼をレースシートに昇格させたことを考えると、これは奇妙に思える。

    間違いなく、現行のグラウンドエフェクトカーは、多くのドライバー──経験豊富な者でさえ──が乗り越えられなかった障害を生み出した。そして規則最終年を迎えて性能が収束しつつあるなか、多くのチームはピークダウンフォースを追求するあまり、ドライバビリティを犠牲にしている。ブレーキを遅らせ、強く踏み込みながらステアリング角を増していくようなドライビングを好むドライバーたちは、最も苦しんできた。

    オリバー・ベアマンはフルシーズンのルーキーのひとりだが、昨年サウジアラビアでフェラーリに乗り鮮烈なデビューを果たしたときとは違い、今季のハースでの走りには波がある。サマーブレイク前に英オートスポーツ誌の単独取材に応じたベアマンは、来季の技術的「リセット」が経験値の優位性を減らすだろうと語った。

    「この世代のクルマを長い間ドライブしてきたドライバーが他にもいるのは確かだ」と20歳の彼は語った。

    「だから彼らは、このクルマがどう機能し、その限界をどう乗り越え、どうすれば最大限の力を引き出せるかを理解している。間違いなく、僕たちルーキーはこの世代のクルマでの経験が少ないから遅れを取っているんだ」

    「来年は状況がかなりフラットになると思うし、来年は(ハースの)マシンがしっかり走れることを期待している」

    これまでの技術規則変更──たとえ大規模なものであっても──とは異なり、来季のパッケージは、どのチームが最初に最良の解決策を思いつくかによって勢力図が並び替わるだけにはとどまらない。電気モーターと内燃機関の出力比が50:50へ移行することで、ドライバーはラップ全体を通じてパワーモードやその他の“ツール”を操作しながら走らなければならず、作業負荷は増すことになる。

    より細く軽くなり、アクティブエアロを備えるマシンは、まったく異なるパフォーマンス特性を持つだろう。そして全体として見れば、こうした変化はドライバーにスタイルを根本的に再考することを求める。フェラーリのシャルル・ルクレールは、それを「筋肉の記憶を捨てるようなもの」と例えた。

    複数のドライバーが、ラップを通じて限られた電力配分を管理するために必要となるスイッチ操作の多さについて否定的にコメントしている。オスカー・ピアストリは、それが観客にとって何のスペクタクルももたらさないだろうと指摘した。

    「ドライバーにとってもっと簡単にする必要があると思う」とウィリアムズ代表のジェームス・ボウルズは語った。

    「今のままではドライバーにとって本当に、非常に難しい作業負荷になっていると思う」

    だが、この適応の過程は同時にチャンスでもある。なぜなら、当然のことながら、移行を早く成し遂げられるドライバーとそうでない者が現れるからだ。ベアマンのように、捨て去るべき“荷物”が少ない者は有利になる可能性がある。

    フォーミュラ1カー

    現行世代のマシンの大きな問題は、フロアとドライバーの効果を最大化するために、車高を低く、剛性を高くして走らなければならない点だ。これがマシンをバンプに対して頑なで寛容性のないものにし、レーシングラインの多様性を減らし(縁石を踏む報酬は少ない)、さらにブレーキングや加速時の安定性も低下させる。ピッチの変化がダウンフォースに影響を与えるからだ。

    こうしたピッチ変化を抑えるために極端なサスペンションジオメトリーを採用すると、ドライバーの“フィーリング”は奪われ、自信喪失の悪循環につながる。現行ルーキーの中で一貫して最も印象的なのはアイザック・ハジャーだが、レーシングブルズのマシンはより扱いやすい。

    ザウバーではマシンがあまりに悪く、ガブリエル・ボルトレトの序盤の走りは、ベテランのニコ・ヒュルケンベルグにラップタイムでどれだけ接近できたか、という点で注目された。しかし新しいフロアとそれに関連するアップグレードが大きな効果を発揮し、ボルトレトは今では着実にポイントを積み重ね始めている。

    アルピーヌでドゥーハンの後任となったフランコ・コラピントもまた、自信を失っていると報告している。ハンガリーで彼はこう語った。

    「僕がピエール(ガスリー)に最も近づけたのは初戦のイモラだと思う。だから僕たちはその理由を理解しようとしているんだ」

    昨年ウィリアムズでの走りが総じて強かったことを考えると、コラピントには大きな期待が寄せられていた。しかし、アルピーヌをプッシュすればするほど、マシンが彼を痛めつけるようだ。

    アンドレア・キミ・アントネッリはメルセデスで波乱のデビューシーズンを過ごし、イモラで初めて投入された左リアの特殊サスペンションジオメトリーをチームが廃止してから、ようやく自信を取り戻し始めたように見える。

    「この時代のクルマは運転するのが難しいんだ」とベアマンは強調する。

    「そしてクルマに対して完全な自信が必要だ。なぜなら、ダウンフォースレベルはこれまでで最も高いから。だから、一度間違えば大きな問題になり、修正できないんだ」

    「もし自信が完全でなければ、ラップタイムは無限に失われる。予選でマシンに完全な自信を持てなかった場面では、失ったラップタイムは自信の差に比べてとてつもなく大きかった」

    「悪い自信レベルのスパイラルに陥るのは本当に簡単で、だからこそできるだけ早くそれを取り戻すことが本当に重要なんだ。でもそれは大きな問題であり、経験を積めば克服する方法を学べる。でも僕たちのキャリアのこの段階では、本当に難しい」

    はっきりしているのは、来季はグリッドの勢力図がどう並び替わるにせよ、成功するドライバーには特定のスキルが求められるということだ。すなわち、学習の速さ、最も適応力のある者、そして彼らを妨げている染みついた習慣を素早く捨てられる者だ。

    さらに「メンタルの帯域幅」にも価値が置かれるだろう──複数の刺激入力を処理しつつ、前後の直近視界を超えてレース全体で何が起きているのかを広く把握する能力だ。

    だから、マックス・フェルスタッペンやフェルナンド・アロンソといったドライバーは、自らの将来に比較的自信を持てるだろう。他の者たち?宿題に取りかかる時だ…。

  • 角田裕毅とライバルたちはいつまで残留? F1ドライバー契約 2025最新版

    角田裕毅とライバルたちはいつまで残留? F1ドライバー契約 2025最新版

    角田裕毅をはじめ、F1ドライバーたちの契約期間は常に注目の的だ。2025年シーズンも折り返しを迎え、誰が来季以降も残留できるのか、その行方に関心が集まっている。

    フェルスタッペンの長期契約やアロンソの延長、そして角田の去就など、各チームの判断がタイトル争いや将来の勢力図に直結する。ここでは全ドライバーの契約状況を整理し、2026年以降のシートがどうなるのかを見ていく。

    ■マクラーレン

    オスカー・ピアストリ:複数年契約
    2023年にF1デビューを果たして以来、大きな印象を残したピアストリは、少なくとも2027年末までマクラーレンと契約を結んでおり、それ以上に長い可能性もある。どの契約にも共通するように、双方にとってのオプションや条項が存在するとみられている。

    ランド・ノリス:複数年契約
    ノリスはF1で7年目を戦っており、しかもずっとマクラーレンに所属している。ドライバーとチームの双方が忠誠を誓い合っている形だ。彼の契約は少なくとも2026年末まで続くが、さらに長く、途中解約条項もあると理解されている。

    マクラーレン

    ■フェラーリ

    シャルル・ルクレール:複数年契約
    7度のワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトンが2025年からチームメイトになると発表される直前の2024年初頭、ルクレールは新たな契約を結んだ。今回の契約も柔軟性を持たせた未公表の複数年契約だ。

    ルイス・ハミルトン:複数年契約
    メルセデスからフェラーリへの大型移籍も「複数年契約」と発表された。この契約は3年契約、つまり2027年までと報じられており、彼がメルセデスでも望んでいた契約年数と同じだ。

    スクーデリア・フェラーリ

    ■レッドブル

    マックス・フェルスタッペン:2028年
    2025年シーズンを通じて、レッドブルの不振や契約内の条項を理由にフェルスタッペンの将来について多くの報道があった。しかし彼の契約は2028年まで有効であり、現4度のワールドチャンピオンは来季も残留することを最近確認した。

    角田裕毅:2025年
    角田は5年目をレッドブルの姉妹チーム、レーシングブルズで迎えたが、リアム・ローソンの不振を受けて2戦後にトップチームへ昇格した。ただしフェルスタッペンの横で苦戦しており、2025年以降の残留をかけた戦いを強いられている。

    レッドブル・レーシング

    ■メルセデス

    ジョージ・ラッセル:2025年
    レッドブルのフェルスタッペン獲得に興味を示すトト・ヴォルフの動向から、ラッセルの将来も話題に上った。ラッセルの現契約は2025年末までだが、2022年以来所属しているチームで今後も続けることになりそうだ。

    キミ・アントネッリ:2025年
    ルーキーのアントネッリは起伏のあるデビューシーズンを送っているが、すでにポールポジションや表彰台で才能を示している。イタリア人ティーンエイジャーは2026年の新レギュレーション時代に向けて契約延長が見込まれている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ■アストンマーティン

    フェルナンド・アロンソ:2026年
    44歳のアロンソはグリッド最年長ドライバーだが、2000年代半ばにルノーで2度のタイトルを獲得した二冠王者は、2024年初頭に結んだ複数年契約により少なくとももう1シーズンはアストンマーティンで走る。

    ランス・ストロール:2026年
    父ローレンスのチームで2019年からシートを占め続けているストロールは、2024年半ばに契約延長を発表。オーナーの父がチームを率いる限り、シートは安泰とみられる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ■アルピーヌ

    ピエール・ガスリー:複数年契約
    ガスリーは2023年にレッドブルファミリーを離れアルピーヌに加入した。昨夏、新たな複数年契約を結んでおり、少なくとも2026年末まで続く。

    フランコ・コラピント:2025年(レースごと)
    ガスリーのチームメイト枠は2025年当初ジャック・ドゥーハンが務めていたが、2024年にウィリアムズで代役を務めたコラピントが起用された。「チームがレース単位で決めるのか、シーズン全体にするのかはチーム次第だ」と当時アルピーヌのエグゼクティブアドバイザー、フラビオ・ブリアトーレが説明しており、2026年の計画はまだ明かされていない。

    アルピーヌF1チーム

    ■ハースF1チーム

    エステバン・オコン:複数年契約
    ハースは2025年にドライバーラインナップを一新。キック・ザウバーに移籍したニコ・ヒュルケンベルグやスポーツカーに転向したケビン・マグヌッセンに代わり、グランプリ勝者のオコンを起用。契約は複数年となっている。

    オリバー・ベアマン:複数年契約
    2024年サウジアラビアGPでフェラーリの代役を務め、印象的な走りを見せたことでF1パドックに名を広めたベアマンは、小松礼雄率いるチームでフルタイムのシートを獲得。契約は非公表の複数年契約だ。

    ハースF1チーム

    ■レーシングブルズ

    アイザック・ハジャー:2025年
    デビュー戦のオーストラリアでフォーメーションラップ中にクラッシュするも、その後ルーキーシーズンでポテンシャルを見せてきた。2025年以降の将来はレッドブルの判断次第で、すでにトップチーム昇格の噂もある。

    リアム・ローソン:2025年
    2025年のシーズンは夢のようなレッドブル昇格で始まったが、2戦で厳しい結果に終わりすぐにレーシングブルズに戻された。現在は評価を立て直しており、姉妹チームでの来季残留を目指している。

    ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

    ■ウィリアムズ

    アレックス・アルボン:複数年契約
    かつてレッドブルに所属したアルボンは2022年にF1復帰を果たし、それ以来ウィリアムズを拠点としている。チーム代表にジェームス・ボウルズが就任した後の2024年に新契約を結び、少なくとも2027年末まで続くとされる。

    カルロス・サインツ:複数年契約
    アルボンの残留に加え、ウィリアムズは大物獲得に成功した。フェラーリでのシートをルイス・ハミルトンに譲ったサインツは2025年に加入し、少なくとも2026年末までチームに所属する。

    ウィリアムズ・レーシング

    ■ザウバー/アウディ

    ニコ・ヒュルケンベルグ:複数年契約
    ヒュルケンベルグは昨シーズン序盤に早々とドライバー市場を動かし、キック・ザウバーと契約。2025年に加入したこの契約は複数年で、2026年からアウディのワークスチームとなった後も、うまくいけば40代までレースを続ける選択肢を持つ。

    ガブリエル・ボルトレト:複数年契約
    F3とF2で連続タイトルを獲得し、アロンソのマネジメントの一員でもあるブラジル人のボルトレトは、少なくとも2026年末までザウバー(その後はアウディ)と契約を結んでいる。

    ザウバー/アウディ

    ■キャデラック

    キャデラックは2026年にF1の11番目のチームとして参入する予定だ。イギリス・シルバーストン近郊にヨーロッパ拠点を持つアメリカ主導のチームとなる。ドライバーはまだ発表されていないが、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスが有力候補と目されている。

  • F1ドライバーのバブルの内側:レースエンジニアの実際の役割とは?

    F1ドライバーのバブルの内側:レースエンジニアの実際の役割とは?

    Formula1.comは新しい特集シリーズで、グランプリレーシングのスターたちと密接に働く人々の生活をより深く理解するために「F1ドライバーバブル」の内側を探っている。本稿では、アストンマーティンのパフォーマンス最適化責任者ベン・ミッチェルが、ドライバーとレースエンジニアとの重要な関係について説明する。

    現代のF1チームは何百人もの従業員を抱える巨大な組織だ。

    しかし、その中にはさらに「チームの中のチーム」が存在し、各ドライバーが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう支える小さな集団がある。

    ドライバーがコクピットに収まるたび、彼らは世界で最も小さなオフィスのひとつに閉じ込められることになる。しかしガレージ内、そしてファクトリーには、ドライバーとマシンから一滴残らずパフォーマンスを引き出そうと専心する専門家たちが控えている。そしてそのドライバーを膨大な専門知識やデータとつなぐリンクがレースエンジニアだ。彼こそが、オンボード無線を通してドライバーと会話している人物である。

    ベン・ミッチェルはMotoGPやスポーツカーのエンジニアリングに携わった後、F1でケータハムやトロ・ロッソのタイヤエンジニアとして活動。ファエンツァではトラックサイド・パフォーマンスエンジニアを務め、2020年にレーシングポイント時代のアストンマーティンに加入した。

    彼はセバスチャン・ベッテルのパフォーマンスエンジニアを務めた後、2021年から2024年までランス・ストロールのレースエンジニアを担当した。

    「F1はスケールが大きいからこそ、多くの技術スペシャリストがいて、それぞれが非常に専門的な分野に特化している。でもドライバーはそのレベルの細かい情報を扱えない。彼らに必要なのは全体像なんだ」とミッチェルは語る。

    「つまり我々は、エンジニアリングの言語や概念を彼らに馴染みのある概念に翻訳する存在なんだ。どう車を運転するかという観点でも、彼らからのフィードバックを解釈する観点でもね」

    「ドライバーが車の中で何かを感じて、それを好ましいと感じるか、嫌だと感じるか──多くの場合は『嫌だから直してほしい』になるわけだが──彼らの運転スタイルや表現方法を理解しておく必要がある。そしてそれをエンジニア的な定義に変換して、テクノロジーキャンパスの専門家たちが問題に取り組めるようにするんだ」

    ランス・ストロールとベン・ミッチェルシンガポールのグリッドでランス・ストロールと並ぶベン・ミッチェル(右)

    レースエンジニアは週末を通してドライバーと密接に関わり、セッション中に彼らを導く。放送で聞こえる冷静な声は、ほとんどが彼らのものだ。

    「特にレース中にドライバーと話すときには、簡潔で、しかも関連性のある情報を伝えなければならない。それが最大の課題だ。大量の情報を受け取る中で、ドライバーが即座に実行できる本当に重要な情報だけを選別しなければならないんだ」とミッチェルは語る。

    「彼らが意識的に考えなければならないことは、自然なパフォーマンスを削いでしまう。だから全てを伝えるわけではない。『これを伝えてほしい』と他のエンジニアに言われたら、『本当に重要か?パフォーマンスに直結するか?それとも単なる希望か?』と判断しなければならない。ドライバーの頭に余計な負担をかけるより、運転に集中させた方がいい場合もあるからね」

    もちろん、無線でのやりとりが短く、時には皮肉や苛立ちを含むこともある。それらが放送で拾われることもある。

    「結局のところ、僕たち全員がそういう経験をしているんだ。これは重要だと判断して伝えたメッセージが、ドライバーに受け入れられなかったこともある」とミッチェル。

    「だからこそ、どのドライバーとレースエンジニアの組み合わせにも『黙って運転させろ』というやり取りが存在するんだ。100%正しく判断できることなんて不可能だからね。それが常に課題なんだ」

    「そして外から見ている人々は時に辛辣だ。実際にはエンジニア同士やドライバーとの間で声を荒げることもあるが、その後一緒に食事に出かければ何事もなかったように過ごす。それがトップレベルのスポーツの現実だ。サッカー選手だって交代を嫌がってボトルを蹴ることがあるだろう。あれと同じさ。熱くなった瞬間に起こることなんだよ」

    F1ドライバー レースエンジニアドライバーが走行中、チームとの唯一のリンクはレースエンジニア

    ドライバーの近くで働く人々は、彼らがどんなタイプで、どんな情報量を好むのかを理解する必要がある。

    「オフィスに入ったらフェルナンド(アロンソ)がノートPCを広げて腕時計をトントン叩きながら『どこにいたんだ?』と言うこともあった。僕らは夜間外出禁止時間(カーフュー)だったのにね!」と笑う。

    「セバスチャン・ベッテルもそうだったし、ランスも同じだ。データに没頭していることがある。それが彼らにとって有益なときもあれば、逆に自由に運転できなくなるノイズになることもある。だからこそレースエンジニアの役割は、ドライバーがその情報を受け入れる状態にあるのかどうかを見極めることなんだ」

    「課題があるときに『余計な情報はいらない、ただ運転させてくれ』と言うドライバーもいる。朝の挨拶や仕草から彼らの気分を感じ取ることができる。今日は大量の空力データを見せる日ではなく、ただコース上でギャップを作って自由に走らせる日かもしれない。その感覚を学んでいく。もちろんいつもうまくいくわけじゃない。どんな関係でも同じで、時に踏み込みすぎることもある。でも話し合って学んでいくんだ」

    2024年、ミッチェルはアストンマーティンのパフォーマンス最適化責任者に昇格し、現在は本拠地で両ドライバーのためにスピードを見つける役割を担っている。

    「人々がよく知っているのは、現場の体制だ。チーフレースエンジニアがいて、各マシンにレースエンジニアとパフォーマンスエンジニアがいる。そして僕らはシルバーストンのテクノロジーキャンパスでも同じ構造を鏡写しのように再現している」と説明する。

    「僕は事実上“ミッショ ンコントロール”におけるチーフレースエンジニアだ。僕の下に複数のパフォーマンスエンジニアがいて、それぞれ車のパフォーマンスの異なる側面を調べ、現場をサポートしている。僕らはカーフューに縛られないから、より詳細にデータを分析できる。その結果を現場にフィードバックして実行してもらうんだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム現在ミッチェルはレース週末にシルバーストンのアストンマーティン・テクノロジーキャンパスに常駐している

    テクノロジーの進歩と走行時間の制限により、チームはファクトリー拠点のインフラを強化し、現場クルーとドライバーを支援するようになっている。

    「膨大な量の情報が生成される。それを『こう走らせるべきだ』という形に集約するのが僕らの仕事だ」とミッチェルは言う。
    「従来は現場のエンジニアが担っていたウイング角度の選定やサスペンションの基準セットアップ、車高設定といった作業も、今ではカレンダーが長くなり、カーフューもあるため、工場側が担えるようになった」

    「週末にはブリーフィングに参加し、金曜のセッションを監視してマシンに関して学んだことを理解する。制約がないので土曜までに最適化の提案をまとめられる。そしてセッション中はオンボード映像を見て、ドライバーやライバルの縁石の使い方や走行ライン、路面のバンプ、GPSデータなどを確認し、アドバイスを返す。そうやって現場とミッションコントロールが並行して作業しているんだ」

    現場でも工場でも、すべての目的はドライバーが可能な限りのパフォーマンスを引き出せるようにすること。レースエンジニアは、膨大な知識と情報を精査し、ドライバーに必要なものだけを届ける最終的なフィルターなのである。

  • F1ドライバーが毎レース後に義務的に計量する理由「なぜ毎グラムが重要か」

    F1ドライバーが毎レース後に義務的に計量する理由「なぜ毎グラムが重要か」

    フォーミュラ1は、精密さと規則遵守が何よりも重要なスポーツだ。レース後の最も重要な手続きのひとつが、義務付けられたドライバーの計量である。

    この手続きはFIA(国際自動車連盟)によって施行されており、公平な競争を保証すると同時に、ドライバーの健康を守るという2つの重要な目的を持っている。

    ドライバーはレース装備をすべて着用した状態──ヘルメット、防火仕様のレーシングスーツ、グローブ、シューズを含む──で計量される。これにより、チームが超軽量コンポーネントを使って不正なアドバンテージを得ようとするのを防ぐことができる。もしドライバーが重量要件を満たさなければ、失格となる可能性があり、チームにも罰則が科されることがある。

    ドライバーがレース後に計量される主な理由のひとつは、FIAが定める厳格な最低重量規定を、彼らとマシンが満たしているかを確認するためだ。マシンとドライバーを合わせた重量は、現在2025年シーズンにおいては800kgを下回ってはならない。もしマシンが規定重量を下回れば、空力やパフォーマンス面で不正な優位性を得ることになりかねない。軽いマシンの方が通常は加速が速く、トラックコンディションに対してより良いハンドリングを発揮できるからだ。

    もうひとつの大きな理由は健康面だ。F1ドライバーはレース中に極度の身体的ストレスにさらされる。コクピットの気温は50℃/122°Fを超えることもあり、そのため大量の汗によって体液を失うことが多い。

    FIAは計量を通じて急激な体重減少を監視しており、それは深刻な脱水やその他の医療上の懸念を示す場合がある。ドライバーはグランプリ1戦で3〜4kg(6.6〜8.8ポンド)もの体重を失うことがあり、そのほとんどは脱水によるものだ。

    もしドライバーが過度に体重を失えば、即時の医療介入──点滴による水分補給など──が必要になることもある。この手続きは、高温環境下での過酷な運動による長期的な健康リスクを防ぐのに役立っている。

    F1ドライバー 軽量 FIA(国際自動車連盟)シンガポールGPではドライバーが体重を3kgも失うことがある

    なぜ重要なのか
    F1ではわずかな差がすべてを決める。チームは1周のタイムをコンマ数秒削るために何百万ドルも費やし、重量はパフォーマンスにおいて決定的な要素となる。たとえ数グラムでも規定を下回れば罰則の対象となり、逆にわずかに上回ればラップタイムを失う可能性がある。

    ドライバーは自らの体重管理を細心の注意を払って行わなければならない。体重が重すぎれば、チームはバラストをあまり理想的でない位置に配置せざるを得ず、マシンバランスに悪影響を及ぼす。一方で、軽すぎれば失格のリスクを伴う。この微妙なバランスこそ、チームがすべての部品の重量を綿密に計算し、ドライバーが厳格な食事や水分補給のプランに従う理由だ。

    レース後の計量は、フォーミュラ1において公平な競争とドライバーの健康を同時に守るための重要な手続きである。厳格な重量規定を施行することで、FIAは公平な土俵を維持し、アスリートをこのスポーツ特有の極限的な身体的負荷から守っている。勝敗を分けるのがわずかな差である世界では、すべてのグラムが意味を持つのだ。