カテゴリー: F1ドライバー

  • 元F1ドライバーが8億円級パガーニをアデレードでドライブ

    元F1ドライバーが8億円級パガーニをアデレードでドライブ

    イタリアのスーパーカーメーカー、パガーニ・アウトモビリが手がけるサーキット専用ハイパーカー「ウアイラR エボ・ロードスター」が、2026年のレプコ・アデレード・モータースポーツ・フェスティバルで走行することが決まった。

    オーストラリア初上陸となるこの個体は、ヴァン・ディーメン・ファミリー・コレクションによって提供される。

    搭載されるのは、モータースポーツ由来の技術を注ぎ込んだV12-R EVOエンジンだ。最高出力は900馬力(662kW)に達し、8,750rpmまで回る。新たにオープントップ化されたエボ・ロードスターは空力性能も大きく進化しており、発生するダウンフォースは車重を上回る水準に達する。これは従来のウアイラRから45%増という数値だ。

    このウアイラR エボ・ロードスターは、フェスティバルのハイパーカー・カテゴリーにエントリーし、ステアリングを握るのはパガーニの開発兼テストドライバー、アンドレア・モンテルミーニとなる。モンテルミーニは1994年から1996年にかけて、シムテック、パシフィック、フォルティといったチームでF1に19戦出場した経験を持つ元F1ドライバーで、アデレード市街地で行われた最後のF1オーストラリアGPにも参戦している。

    車両価格は390万ポンドとされ、日本円換算で約8億3,100万円に相当する。モンテルミーニの走行は、2026年大会の目玉のひとつになる見込みだ。

    2026年のアデレード・モータースポーツ・フェスティバルには、ミカ・ハッキネン、デビッド・クルサード、バルテリ・ボッタスといったF1経験者も参加予定で、F1マシンからスーパーカー、スポーツカー、ツーリングカー、バイクまで多彩なカテゴリーが揃う。なお、パガーニ・アウトモビリは大会公式VIPスイートのネーミングライツ・スポンサーも務める。

    2026年レプコ・アデレード・モータースポーツ・フェスティバルは、2月28日から3月1日にかけて開催される。

  • F1からオリンピックへ 元F1テストドライバー、異例すぎる転身が実現

    F1からオリンピックへ 元F1テストドライバー、異例すぎる転身が実現

    元ザウバーF1のテストドライバーで、インディカーやフォーミュラEでも活躍したシモーナ・デ・シルベストロが、2026年冬季オリンピックにボブスレー選手として出場することが明らかになった。開催地はイタリアで、彼女は開催国代表として大会に臨む。

    モータースポーツ界でも屈指の知名度を誇る女性ドライバーの一人であるデ・シルベストロは、2010年から2022年にかけてアメリカのインディカー・シリーズに71戦出場してきた。

    レーシングドライバーとしてのキャリアを築いてきた彼女が、冬季五輪という全く異なる舞台に挑戦することになる。

    インディカーからF1テスト、そして多彩なキャリア
    スイスとイタリアにルーツを持つデ・シルベストロは、インディカーで2013年に13位という自己最高位を記録。その後はフォーミュラEやオーストラリアのスーパーカー選手権にも参戦し、カテゴリーを超えたキャリアを重ねてきた。

    2014年にはザウバーと関係を持ち、「アフィリエイテッド・ドライバー」としてチームに参加。同年、フィオラノで2012年仕様のマシンを用いたプライベートテストを実施し、2015年のレースシート候補として期待が寄せられていた。

    しかし、その後チームと袂を分かつこととなり、F1参戦の可能性はその年のうちに消滅した。

    シモーナ・デ・シルベストロ

    再びレースカーに、そしてボブスレーへ
    デ・シルベストロは2024年11月、スペインのハラマ・サーキットで行われた女性限定テストに参加し、フォーミュラEマシンのコックピットに一時的に復帰している。一方で近年はボブスレー競技に本格的に取り組み、競技転向を進めてきた。

    37歳となった彼女の直近のレース出場は2023年で、その後は冬季競技への準備に集中。ついに冬季オリンピックの出場資格を獲得した。

    ミラノ・コルティナ五輪への思い
    2026年2月6日から22日にかけて開催されるミラノ・コルティナ冬季オリンピックで、デ・シルベストロはボブスレー競技に出場する予定だ。

    自身のSNSでは次のように綴っている。

    「私たちは正式に決めた。オリンピックに行く。少しの“クレイジーさ”と信念があれば、不可能を現実にできるという証明だ。怖がらずに追いかけた夢から、すべては始まった。ミラノ・コルティナ2026でイタリアを代表できるのが待ちきれない」

    現在も続くモータースポーツとの関わり
    競技転向後もモータースポーツとの縁は切れておらず、デ・シルベストロは現在、スイスの放送局SRF Sportで解説者として活動を続けている。

    F1テストドライバーから冬季オリンピック選手へ。異例のキャリアチェンジは、モータースポーツ界でも特異な成功例として注目を集めそうだ。

  • 2026年F1 バルセロナ・シェイクダウン総括 各チームとドライバーの声

    2026年F1 バルセロナ・シェイクダウン総括 各チームとドライバーの声

    2026年F1シーズンに向けたバルセロナ・シェイクダウンが、カタルーニャ・サーキットで行われた。新レギュレーション初年度という位置づけのなか、各チームは5日間のうち3日間を選択して走行を実施し、新車と新パワーユニットの信頼性確認、エネルギーマネジメントの検証、初期データの収集に取り組んだ。

    ウエットからドライまで変化するコンディションの中で、ドライバーとチーム代表、技術責任者たちは、それぞれの立場からシェイクダウンを総括している。

    ■ マクラーレン

    ランド・ノリス
    「今日は学びの多い一日だったし、またクルマに戻れて本当に良かった。チーム全員のハードワークとサポートに感謝している。今年もマクラーレンをドライブできるのは嬉しいし、シェイクダウン期間中に初めてNo.1を走らせたことは、チーム全員にとって特別な瞬間だった。改善の余地や取り組むべき点も見えてきたし、バーレーンに向けてウォーキングに戻って何ができるか楽しみにしている。今週はシミュレーターでも、シミュレーターおよび開発ドライバーとともに、まだ学ぶべきことがたくさんある。これらのクルマは明らかに新しい考え方やドライビングを要求するし、取り組む時間が多いほど、シーズン開幕に向けた準備も整う。週の締めくくりとして良い走行ができたことに感謝したい。今は数日休み、来週初めにはまたすぐ作業に戻り、その後バーレーンで再びクルマに乗ることになる。次に走るのが待ちきれない」

    オスカー・ピアストリ
    「今日は最初の2日間よりもずっとスムーズだった。しっかりとした周回数を重ねることができ、リズムに乗れたのが良かった。クルマが本質的にどんなものなのかを感じ始めていて、レースウイークエンドを想定しながら、さまざまな仕様やセットアップを試して挙動を理解してきた。全体として、今週の優先事項は明確だった。クルマを理解し、改善することだ。特にパワーユニット面では、まだ学ぶべきことが多い。HPPとともに理解を深め、最大限のパフォーマンスを引き出そうとしている。僕とランドのフィードバックは有益なものになっている。シャシー面では、昨年と比べてダウンフォースが増している違いも確認でき、そのバランスに慣れることが重要な焦点だった。バーレーンに向けては、しっかり準備できていると感じている。ドライビングに関して大きな驚きはなく、すべてが想定通り機能することが最大のテーマだ。期待通りだった点、そうでなかった点、興味深かった点を振り返るつもりだ。全体としては、シーズンを始めるうえで前向きな一歩だった。クルマを準備し、このテストを実現してくれたチーム全員に感謝したい」

    ■ メルセデス

    ジョージ・ラッセル
    「今日もまずまずの一日だったし、全体としてバルセロナでのシェイクダウンはポジティブだった。クルマは運転していて良い感触だが、それ以上に重要なのは、多くの走行距離を重ねられ、大きな問題がなかったことだ。途中で起きた小さな問題についても解決できていて、まさにこうした走行の目的通りだ。クルマはしっかり機能しているが、大事なのは“ちゃんと走るか”ではなく、“どれだけ速く走れるか”だ。その点については、まだ何の指標もないので、相対的な序列が見えてくるのはバーレーンまで待つ必要がある。まだ本当に初期段階だが、ここで築いたこの最初の土台には満足していいと思う。僕たちのスポーツにとって、非常にエキサイティングな時期だ。おそらくこれまでで最も影響の大きいレギュレーション変更の1つになる。今日がカール・ベンツによる自動車発明140周年という節目の年で、メルセデスを代表して走れるのは光栄だ。これほど革新的なマシンのステアリングを握るのに、これ以上ふさわしい日はない。シーズンに向けた旅を続け、レースが始まるのを楽しみにしている」

    アンドレア・キミ・アントネッリ
    「全体として、僕たちにとって良いシェイクダウンだった。いくつか問題はあったが、走行に大きな支障をきたすほどではなかった。多くの周回を重ねることができ、今日は午前のセッションでさらに90周を走ることができた。W17について学び、データを集めるうえで、とても有益な走行距離だった。今日はC3タイヤに焦点を当てたが、パフォーマンスを狙うものではなく、あくまでロングランが中心だった。いくつか異なるセットアップを試しながら、クルマとパワーユニットがどう反応するのかを少しずつ理解できた。これから数日間、チームと一緒にバルセロナでの内容を整理する時間が取れるのを楽しみにしている。とはいえ、公式テストとなるバーレーンで再びクルマに乗るのが、すでに待ちきれない。そこでは、ここで得た理解を土台に、また良いスタートが切れるといい。カール・ベンツが自動車の特許を登録してから140周年という節目の年に、この新しいクルマを走らせる一員でいられるのは本当にクールなことだ。スリーポインテッド・スターを背負って戦うことを、僕たちは皆誇りに思っている。この新しいレギュレーションの下で、今後数か月、数年にわたってどんな革新を続けていけるのかを見るのが楽しみだ」

    ■ レッドブル

    マックス・フェルスタッペン
    「最初の朝は、天候の影響もあってあまり周回できなかったけど、今日は良かった。たくさん走れたし、多くのことを学べた。まだ見直したい点や、もっと良くしたい部分はたくさんあるけど、それは当然だと思う。新しいエンジンで、これだけの周回数をこなせたというのは、僕たちにとってとても良いことだし、良いスタートを切れた。全体としてはポジティブだけど、まだ本当に初期段階だ。[エンジンは] まだ開発途上だが、これらの点についてはかなり良い形で走り出せていると思う。誰にとっても、とても複雑なフォーミュラだと思うし、やるべき作業はまだたくさん残っている。でも、それは普通のことだ」

    アイザック・ハジャー
    「かなり生産的だった。正直、想像していたよりも多くの周回をこなせた。すべてがとてもスムーズに進んだ。小さな問題はあったけれど、初めて自分たちのエンジンを使った初日としては、本当に印象的だった。かなりスムーズだったと思う」

    ローラン・メキース (チーム代表)
    「自分たちのパワーユニットを搭載したRB22で、初めてここに来られたのは、本当に特別な瞬間だった。その分、特別な空気感や緊張感もあった。ここ数か月、そして数週間は、月曜日の朝に走行できる状態に持っていくために、本当に慌ただしい日々だった。しかし最終的に、月曜の朝9時過ぎに、自分たちのパワーユニットを積んだマシンをコースに送り出すことができた。ミルトンキーンズにいる、シャシー側、パワーユニット側、すべてのメンバーに心から感謝し、よくやってくれたと言いたい。我々は、段階を踏んでやるべきことをやり、宿題をこなしていく必要があることを分かっている」

    ■ フェラーリ

    シャルル・ルクレール
    「全体として、生産的なシェイクダウンだった。プログラムを完了し、十分な周回数を重ねることができた。新しいクルマと新しいシステムを理解し始めるうえで、それはとても重要だった。初日は完全に新しいクルマでのウエット走行となり、難しい部分もあったが、結果的には貴重な学習の機会になった。最後の2日間もポジティブだったし、これからはデータを分析し、バーレーンテストに向けてマラネロで作業を進めていく。全体として、生産的なシェイクダウンだった。プログラムを完了し、十分な周回数を重ねることができたのは、新しいクルマと新しいシステムを理解し始めるうえで重要だった。初日はウエットで難しかったが、学びの多い一日になったし、最後の2日間も良かった。これからはデータ分析と、バーレーンテストへの準備に集中する」

    ルイス・ハミルトン
    「本当に生産的で、楽しい一週間だった。冬の間に、個人的にもチーム全体としても膨大な作業があり、それが大きなトラブルなく走行距離として形になったのは良かった。序盤にウエットコンディションで走れたことも、新しいクルマという点では実際に価値があった。全体としては堅実なスタートだと思う。まだ学ぶべきことは多く、やるべき作業もたくさんあるが、チームの雰囲気は前向きで集中できている。ここで得たすべてを持ち帰り、データを分析し、バーレーンテストに向けて慎重に準備していく」

    フレデリック・バスール (チーム代表)
    「長い一週間だったが、全体としては生産的だった。ウエットからドライまで、さまざまなコンディションを経験し、この段階で重要となるデータ収集と信頼性確認のために、毎日かなりの走行をこなすことができた。大きな問題は発生しておらず、それは重要な成果だ。まだ本当に初期段階で、分析や改善すべき点は多いが、これからマラネロに戻り、学んだことを整理し、より代表的な条件となるバーレーンテストに備える」

    ■ レーシングブルズ

    リアム・ローソン
    「ここバルセロナでの3日間のテストは、ポジティブで興味深いものだった。2026年のクルマはドライビングが大きく異なるので、僕たち全員にとって学ぶことが多く、とにかく適応することに集中していた。クルマは以前よりダウンフォースが少なく、かなり動くし、バッテリーがフルデプロイされたときのパワーは非常に大きい。ただし、そのマネジメント方法はまったく新しいものだ。クルマではさまざまなことを試してきたし、新しいパワーユニットで走行距離を積み重ねられたのは良かった。信頼性の面ではかなり良いテストだったが、期待値という点では、他チームの状況が分からないので何とも言えない。しばらくは不透明なままだと思うが、自分たちの仕事に集中し、開幕戦メルボルンに向けて最善の状態を作りたい。月曜日の時点と比べると、ずっと良い位置でテストを終えられたと思う。次のバーレーンテストは2週間も経たないうちにやってくる。こことはまったく違うサーキットなので、その条件でクルマがどう振る舞うのかを見るのが楽しみだ」

    アービッド・リンドブラッド
    「バルセロナ・シェイクダウンでは良いテストができた。F1カーのステアリングを握り、2026年シーズンを本格的にスタートできたことは本当にエキサイティングだった。クルマについて多くのことを学べたし、次のテストに向けてシミュレーターでどう作業を進めるかも、すでに考え始めている。まったく新しいクルマとパワーユニットでここに来たので、未知の部分や不確実性は常にあったが、十分な走行距離を稼げたのはとても良かった。今の焦点は走行距離と一貫性を積み重ね、クルマをできるだけ理解し、すべての要素から最大限を引き出すことだ。昨年とは本当に違う。とても良いスタートを切れたと思うし、チームのサポートにも感謝している。このプロジェクトに関わるすべての人に大きな称賛を送りたい。収集したデータをもとに作業を続け、バーレーンに行くのを楽しみにしている」

    アラン・パーメイン (チーム代表)
    「カタルーニャ・サーキットでの3日間は非常に生産的だった。新しいクルマとパワーユニットで、最初の走行から順調にスタートできたと感じている。大きなストップもなく、走行するたびに新しいことを学べた。シャシーとパワーユニットの理解を深めるための一週間で、セットアップ変更やエンジンの異なるモードも試した。新世代のパワーユニットでは、エネルギーマネジメントの学習が大きなテーマで、異なる燃料搭載量でのテストも行った。リアムとアービッドの2人は本当によく取り組んでくれたし、互いの走行を見ながら協力し合う姿勢がすでに見られている。我々はシェイクダウンで設定した目標をすべて達成し、2週間後の公式バーレーンテストに向けて準備が整った。ファエンツァとミルトンキーンズで働く全員の仕事ぶりは素晴らしかったし、レッドブル・フォード・パワートレインズとの関係の始まりを見ることができた」

    ■ アストンマーティン

    フェルナンド・アロンソ
    「新しいクルマを初めてドライブする瞬間は、いつだって特別だし、特に新しいレギュレーションサイクルの始まりではなおさらだ。これまでF1で多くの変化を経験してきたが、クルマがどの方向に向かっているのかは、すぐに感じ取れる。今日はすべてがスムーズに進み、十分な走行プログラムをこなせた。現段階では、それが最優先事項だ。昨日、ランスがAMR26を初めて走らせる姿を見られたのも特別だったし、その翌日に自分がドライブできたのも良かった。ここまでクルマを仕上げるために、チーム全体が本当に大きな努力をしてきた。非常にハードな期間だったが、ここまでの成果には満足できると思う。エイドリアンがガレージにいてくれるのも良いことで、彼はメカニックやエンジニアと話しながら、クルマの細部を書き留めている。まだ本当に初期段階で、メルボルンに向けてやるべき作業は多い」

    ランス・ストロール
    「今年初めてコックピットに戻れて、良い感触だった。メカニックやチーム全体にとっては長い一日だったが、クルマを準備するために本当によくやってくれた。全力で取り組んでくれたことに感謝している。一日の終わりに何周か走ることができ、クルマのフィーリングも良かった。これらのクルマは新しい要素が非常に多く、とにかくデータを集めることを目標にしている。AMR26を初めてドライブできて良かったし、バーレーンで再び乗るのを楽しみにしている」

    マイク・クラック (チーフ・トラックサイド・オフィサー)
    「新しいクルマを初めて走らせる瞬間は、常に非常にポジティブなものだ。ここバルセロナでAMR26を走らせるまでには、AMRテクノロジー・キャンパスと現地チームの両方で、大きな努力が必要だった。この段階まで来られたことに一息つくことはできるが、まだやるべき作業は多い。両ドライバーが走行し、貴重なフィードバックとデータを提供してくれたのは、プレシーズン準備において重要だ。ホンダを含む新たなワークスパートナーとの関係構築にも役立った。我々は互いに学びながら統合を進めている。彼らはレーサーであり、このパートナーシップを発展させていくのを楽しみにしている。我々は長年ぶりに自社製ギアボックスを作り、これがエイドリアン・ニューウェイにとって初のアストンマーティンF1マシンでもある。学ぶべきことは多いが、それがシェイクダウンとバーレーンテストの目的だ」

    ■ ハースF1チーム

    エステバン・オコン
    「チーム全体にとって、本当にクレイジーな取り組みだったと思う。フィオラノで走行して、そこから2日後にはバルセロナで走っている。外から見ると分からないと思うが、ここ15日間ほど、チームは毎晩ほとんど数時間しか眠れていなかった。このテストでは本当に多くの学びがあったし、価値のある周回をたくさんこなせた。まだ掘り下げる必要があることは多いし、そのためにあと2回テストが残っている。でも、このクルマからパフォーマンスを引き出していくための、非常に良い最初のベースになったと思う」

    オリバー・ベアマン
    「良い朝だった。水曜日の倍の走行距離を、半分くらいの時間で走れたので、それはポジティブだ。水曜日は問題があったが、それは理解できて修正もできた。今日はクルマに戻って、とてもクリーンなプログラムを楽しめた。今日はクルマについて本当に多くのことを学べた。質の高い周回をいくつも記録できて、データ的にも非常に助けになった。水曜日は走行時間が限られていたので、そうはいかなかった。午後はエステバンが走るので、その流れをさらに積み上げていける。クルマのバランスなど、良い点とそうでない点についての第一印象も得られたし、それをどう改善できるかもすでに見えてきている。新しいクルマ、新しいパワーユニット、新しいレギュレーションと、F1にとっては大きな変化だ。こうした大きなレギュレーション変更を、ドライバーとして最初から経験できるのは初めてで、本当に良い機会だと思っている」

    小松礼雄 (チーム代表)
    「水曜日には信頼性の問題があったが、チーム全員が本当に素晴らしい仕事をしてくれて、金曜日の最終日に再び走行できる状態に戻してくれた。交換部品はかなり遅い時間に届いたが、夜通しの作業で朝9時には走行できる準備が整っていた。プログラムは予定通り進めることができ、本当に多くのことを学んだ。新しいレギュレーションでは、パワーユニット面でもシャシー面でも、パフォーマンスの引き出し方や、一発の速さとロングランの両立が大きく変わっている。今日の走行は、単に周回数を稼ぐだけでなく、その質も重要だった。その点で非常に良い一日だったと思う。大量のデータを得られたので、空力特性やパワーユニットについても含め、バーレーンに向けてさらに良い準備ができる」

    ■ アウディ

    ニコ・ヒュルケンベルグ
    「今日は間違いなく今週で一番良い一日だった。午前と午後の両セッションで140周以上を走り、すべてのシステムで非常に良い走行ができた。この段階では、こうした走行距離が本当に重要だ。新しいパワーユニットや多くの“初めて”がある中で、当然いくつかの問題は想定していたし、それをうまく乗り越えられたと思う。まだ道のりは長いが、僕たちは日々前進している。チームは同じ方向を向いて素晴らしい仕事をしている。これからはデータを見直し、数日シミュレーターとファクトリーで作業して、すぐにバーレーンに向かうことになる。タイトなスケジュールだが、またクルマに乗るのが楽しみだ」

    ガブリエル・ボルトレト
    「全体として、今日もポジティブな一日で、テストウイーク全体としても励みになる内容だった。今日はしっかりとした周回数をこなすことができたが、それは初日から大きく前進したことを示している。初日は技術的な問題で多くの時間を失ったが、それこそがシェイクダウンの目的だ。クルマを走らせ、走行距離を積み重ね、小さな問題を見つけて修正し、クルマへの理解を深める。チームはプログラムをしっかりやり遂げ、明らかに正しい方向に進んでいる。これからはファクトリーに戻り、相関作業を行い、バーレーンに備える。まだ学ぶべきことはあるが、これは非常に良いスタートだ」

    ジョナサン・ウィートリー (チーム代表)
    「バルセロナでの3日間は、チームとして非常に意味のある走行だった。今回のシェイクダウンは、単にクルマを走らせるだけでなく、トラックサイドの運営全体をテストする機会でもあった。信頼性から物流、作業手順、ピット機材に至るまで、すべてがチェック対象だった。両ドライバーのフィードバックは、今後の開発にとって非常に価値がある。いくつか初期の課題には直面したが、チームが一体となって解決策を見つけたことは印象的だった。バーレーンテストに向けて、最善の状態で臨みたい」

    ■ アルピーヌ

    スティーブ・ニールセン (マネージング・ディレクター)
    「今年は3回のテストがあり、我々にとって非常に忙しいスケジュールだ。ここに来る前にシルバーストンでシェイクダウンを行い、疑問点を多く抱えたままバルセロナに入ったが、ここでそのいくつかに取り組み、特にエネルギー回生の面で解決策を見つけることができた。新世代のクルマは直線速度が非常に高く、コーナーではダウンフォースが少ない。すべてのチームにとって学習曲線は急だ。今週はほぼドライで走行でき、十分な走行距離と有用なデータを得ることができた。他チームのデータを推測しても意味はない。我々の目標は、シーズンを通じて競争力を取り戻すことだ」

    ■ キャデラックF1

    バルテリ・ボッタス
    「素晴らしい一週間だったが、今は問題解決のフェーズだ。チームとして初めて本格的にクルマを走らせる週で、とても重要な節目だった。まだ解決すべき問題は多く、登るべき山は高いが、僕たちは一歩ずつ前進している。走るたびにチームとしてまとまり、問題を解決し、前に進んでいる」

    セルジオ・ペレス「多くの走行ができ、多くの情報を得られた。いくつか問題も見つかっているが、それは良いことだ。今日はまさにそれが目的だった。毎回の走行で改善しているし、クルマやセットアップ、進むべき方向性を探り始めている。スタートとしては良いと思う」

    グレアム・ロードン (チーム代表)
    「進み具合には本当に満足している。新品のクルマでは、必ずいくつかの細かな問題が出るが、それを着実に解決してきた。このチームがF1カーを走らせてまだ4日目だが、作業手順も人の連携も、日に日に良くなっている。やるべきことはまだ多いが、バーレーンには非常にポジティブな気持ちで向かえる」

  • 2026年F1マシンにドライバー初評価「とても違うがレーシングカーだ」

    2026年F1マシンにドライバー初評価「とても違うがレーシングカーだ」

    バルセロナで行われている非公開シェイクダウンで、2026年F1マシンが初めて本格的に走行した。空力レギュレーションの大幅な変更と電動比率50%という新時代の到来を受け、ドライバーたちは新型マシンについて「とても違う」と口を揃えながらも、その本質は変わらないと語っている。

    初日に走行したドライバーからは、エネルギーマネジメントや操作の複雑さへの戸惑いと同時に、ドライバビリティや可能性を評価する声も上がった。

    2026年F1マシンは、従来とは異なるアプローチを求めながらも、依然として“レーシングカー”であることを強く印象づけている。

    バルセロナで行われている5日間のシェイクダウン初日は、2026年F1マシンをドライバーが本格的に走らせる最初の機会となった。月曜日は11チーム中7チームが走行し、新世代マシンに対するさまざまな第一印象が語られた。

    ウィリアムズは今週の走行を完全に見送ることを余儀なくされ、アストンマーティンも各チームに許される3日間のうち、最低でも2日間の走行確保に向けて対応に追われている状況だ。

    今回のテストはクローズド形式で行われており、信頼できるラップタイムは一切公表されていない。仮に存在したとしても、この段階では意味を持たなかっただろう。それでも非公式ながら、最速はレッドブルのアイザック・ハジャー、続いてメルセデスのジョージ・ラッセルとされ、2レース分以上の距離を走ったエステバン・オコンが最も多くの周回を重ねた。初日から十分な走行量が確保されたことで、チームが当初懸念していたほど外部の目を避ける必要はなかったことも浮き彫りになった。

    この段階で注目すべきは、走行できなかったチームの状況とともに、実際に新型マシンをドライブしたドライバーの率直な感想だ。空力レギュレーションの大転換と電動パワーへの依存度増加は、ドライビングスタイルやレース運びそのものを変えようとしている。

    そうした中で、最も好意的な評価を集めたのは、アンドレア・キミ・アントネッリがドライブしたメルセデスの新型マシンだった。

    「オーバーテイクやオーバーライドなど、すべてのモードを試すにはまだ少し時間がかかる。そこは違いだ」とアントネッリは語った。

    「でも、このクルマはいい。とても運転しやすい。パワーユニットの面では去年とは明らかに違っていて、少しマネジメントが必要になるけど、十分に対応できる範囲だ」

    アントネッリはまた、新しいメルセデス製パワーユニットについても、「大きな疑問符だったが、今のところは良さそうだ」とドライバビリティを評価している。

    午後にマシンを引き継いだジョージ・ラッセルも、新型マシンに好感触を示した。

    「ドライバーにとってはかなり違うけど、理解してしまえば運転はとても直感的だ。ステアリングを握っていて楽しいし、新しいレギュレーションでファンが楽しめる要素はたくさんあると思う」

    一方、ハースで初期トラブルへの対応に追われたエステバン・オコンは、フェラーリ製パワーユニットを搭載するマシンについて、コクピット内の作業量が「とても複雑」だと表現した。

    「とても違うし、とても複雑だ。シーズン開始前にシミュレーターで多くの日数をこなせたのは幸運だった。だから準備はかなり整っている」

    「すべては理解できているけど、正直かなり複雑だ。でも、これは全員にとって同じ状況だと思っている」

    フォーミュラ1カー

    アウディF1の初マシンで走行したガブリエル・ボルトレトも、「とても違うが、別世界ではない」と語った。昨年F1ルーキーだったボルトレトは、これまでの世代のF1マシン経験が比較的少なく、毎年異なるマシンに乗り換える環境でキャリアを積んできた。

    「すごく違う。少し感覚も違う。過去に似たクルマをほとんど運転していないから、うまく表現するのが難しい」

    「フォーミュラ2のクルマは旧レギュレーションのF1よりずっと遅かったし、この2026年のクルマも、結果的には少し遅くなると思う」

    「でも、パワーユニットが50%電動になったのは本当にクールだ。コーナー立ち上がりで一気にエネルギーが展開されるスピードを感じられるし、その強さがよく分かる。そこは違いだし、ドライビングスタイルを適応させていく必要がある」

    「それでも、やっぱりレーシングカーだ。別世界ではない。ただ、とても大きなレギュレーション変更というだけだ」

    アルピーヌのフランコ・コラピントも、予防措置として60周に制限されながら走行し、同様の見解を示した。

    「とても違うけど、最終的にはやはりレーシングカーだ。限られたグリップの中で速く走らせる必要がある点は変わらない」

    「技術は少し変わるし、エネルギーマネジメントも重要になる。タイヤはずっと細く、小さくなっている。だから僕たちもドライビングを適応させないといけない」

    レーシングブルズのリアム・ローソンは、レッドブルとフォードが共同開発した初の自社製パワーユニットに適応する過程について、「まだ完全には理解できていない」と率直に語った。

    「これから数日、そしてバーレーンに行ってからの数週間で学び続けていくことになる。とにかくとても、とても違う」

    「ドライバーが違いを生み出せる余地が、以前より大きい気がする。それは良いことだ。でも今はまだ本当に初期段階で、どこにいるのかは分からない。とにかくクルマをどう最適化するかを学んでいるところで、今のところは楽しめている」

    「今の最大のテーマは信頼性だ。今日はかなりの周回をこなせたし、問題はほんの少しだけだった。実際のトラブルというよりは、安全面の予防措置だった。パワーユニットに関しては、今のところ本当に良い。ただ、他と比べてどうかはまだ分からない」

    バルセロナでのF1シェイクダウンは火曜日も続行されるが、この日は今週で最も雨の可能性が高いとされている。コンディション次第では、マクラーレンとフェラーリも新型マシンを投入し、2026年F1シーズンに向けた準備が本格化していく見通しだ。

  • ナイジェル・マンセル、F1とインディカーの秘蔵品を一斉オークション

    ナイジェル・マンセル、F1とインディカーの秘蔵品を一斉オークション

    1992年F1ワールドチャンピオンのナイジェル・マンセルが、自身のプライベート・コレクションから複数の記念品をオークションに出品することが明らかになった。オークションは2026年2月10日にBuddsで開催され、すべて最低落札価格なしで競売にかけられる。

    「ナイジェル・マンセル・コレクション」と名付けられた今回の出品には、マンセルの個人アーカイブから選ばれた貴重なアイテムが含まれる。

    目玉となるのは、1993年インディカー・ルーキー・オブ・ザ・イヤーのトロフィー、1992年仕様のウィリアムズ・ルノーF1フルサイズ・レプリカヘルメット(本人サイン入り)、サイン入りレーシングブーツ、そして1992年イギリスGPの限定モデルカー(こちらもサイン入り)だ。

    最も高額になると見込まれているのはインディカーのルーキー・トロフィーで、予想落札価格は2500〜3000ポンド。続いて、サイン入りレプリカヘルメットが1000〜1500ポンドと見積もられている。

    マンセルは自身のインスタグラム動画で次のように語った。

    「みなさん、こんにちは。ナイジェル・マンセルのパーソナル・コレクションが、2026年2月にBudds.comでオークションにかけられることになった」

    「僕の個人コレクションの一部を手に入れてほしい。これらのアイテムを、ファンのみなさんに大切にしてもらいたいんだ」

    「とても特別な機会だけど、もしかしたら僕がいくつか買い戻すかもしれないから、急がないといけないよ」と冗談交じりに付け加えた。


    マンセルはF1キャリアを通じて、チャンピオン獲得1回、グランプリ優勝31回、表彰台59回、ポールポジション32回、ファステストラップ30回を記録した。F1以外にもインディカーやル・マン24時間レースに参戦している。

    近年、マンセルは自身のコレクションの一部を段階的に手放してきた。2023年には、元ウィリアムズF1ドライバーが所有していた324点の記念品コレクションが、RMサザビーズのオークションで200万ポンド超で落札されている。

    当時、RMサザビーズの欧州マーケティング・ディレクターであるピーター・ヘインズは次のように述べていた。
    「カート時代からF1、インディカーに至るまで、ナイジェルが獲得したほぼすべてのアイテムを購入できるというのは、非常に異例だった。
    トロフィーは本当に素晴らしく、中には驚くほど装飾的で、製作費も相当高価だったはずのものもある」

    またマンセル自身も、「これまで、市場に出回った僕のクラッシュヘルメットは非常に少なかった。今のドライバーとは違い、当時は1シーズンに2個ほどしか使わなかったからだ」と振り返っている。

    今回のオークションは、F1とインディカーの両方で輝かしい実績を残した名ドライバーの軌跡を、実物の記念品を通して手にできる貴重な機会となりそうだ。

  • 元F1ドライバーのアントニオ・ピッツォニアが暴行容疑で逮捕

    元F1ドライバーのアントニオ・ピッツォニアが暴行容疑で逮捕

    元F1ドライバーのアントニオ・ピッツォニアが、アメリカで起きた暴行事件に関連して先週逮捕されたと報じられた。

    45歳のピッツォニアは、2003年から2005年にかけてF1を含むさまざまなカテゴリーでレースキャリアを築いてきた。ピッツォニアは2003年シーズン、マーク・ウェバーとともにジャガーからF1に参戦したが、シーズン最終5戦ではジャスティン・ウィルソンに交代させられた。

    その翌年、負傷したラルフ・シューマッハの代役として出場していたマルク・ジェネがチームの期待に応えられなかったことを受け、ピッツォニアはウィリアムズで再びF1のコクピットに戻った。

    4レースに出場したピッツォニアは、そのうち3戦で7位入賞を果たしたが、シューマッハの復帰に伴い再びサイドラインに下がった。

    翌シーズンはニック・ハイドフェルドがウィリアムズのシートを得たため、ピッツォニアはレギュラーシートを逃したが、シーズン終盤にドイツ人ドライバーが負傷したことで、再び最終数戦に起用された。

    F1を離れた後もピッツォニアは他カテゴリーでレースを続けていたが、TMZは、彼が先週末、テキサス州の刑務所で暴行容疑により逮捕・勾留されたと報じている。

    詳細は現時点では明らかになっていないが、逮捕当日、ピッツォニアは息子が出場していた2026年スーパーカーツUSAウインターシリーズを支援するため、スピードスポーツ・レーシング・パークを訪れていたと伝えられている。

  • 元F1ドライバーでポルシェのレジェンド、ハンス・ヘルマンが97歳で死去

    元F1ドライバーでポルシェのレジェンド、ハンス・ヘルマンが97歳で死去

    ハンス・ヘルマンが、97歳で死去した。ポルシェにとって初のル・マン24時間総合優勝者であり、1950年代にF1で表彰台を獲得した最後の存命ドライバーだった。

    この訃報は、今週末に開催されるメキシコシティE-Prixを前に、ポルシェが金曜夜に発表した。ポルシェは同大会で、ヘルマンの功績を称える特別リバリーをすでに公開していた。

    今週末のフォーミュラEメキシコ大会が行われるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは、ポルシェがモータースポーツ参戦75周年を祝う一年間の記念行事の幕開けとなる。その黎明期において、ヘルマンは極めて重要な役割を果たした人物だった。

    特別リバリーは、ヘルマンが1954年のカレラ・パナメリカーナでクラス優勝を挙げたポルシェ550スパイダーに着想を得たものだった。カレラ・パナメリカーナは、メキシコで開催されていた伝説的な公道レースとして知られている。

    パン職人として働いていたヘルマンは、1953年にモータースポーツの世界へ本格的に足を踏み入れ、F1とル・マンに参戦した。F1では計18戦に出走し、メルセデスを含む複数のチームでステアリングを握っている。

    2022年にトニー・ブルックスが亡くなった後、ヘルマンは1950年代にF1で表彰台を獲得した最後の存命ドライバーとなっていた。1954年スイスGPでは、シルバーアローの一員として3位入賞を果たしている。

    F1での最終エントリーは1969年ドイツGPだったが、サスペンションまたはステアリング系のトラブルが予想されたため、レース前に出走を取りやめた。

    最大の成功を収めたのは、ポルシェのスポーツカーレースでのキャリアだった。1970年のル・マン24時間レースでは、リチャード・アトウッドと組み、ポルシェにとって初となる総合優勝を達成している。この勝利は、ポルシェの耐久レース史における大きな転換点となった。

    ハンス・ヘルマンは、F1とスポーツカーの両分野で歴史を刻んだ存在として、今後も語り継がれていくことになる。

  • F1の物議を醸す「ドライビングスタンダード・ガイドライン」問題の解決策

    F1の物議を醸す「ドライビングスタンダード・ガイドライン」問題の解決策

    2019年にF1レースディレクターを務めていたチャーリー・ホワイティングが急逝して以降、スチュワードやレースコントロールの介入は、F1における大きな論争の的となってきた。この問題は、ルールを増やすことで解決できるのか。それとも、むしろルールを減らすべきなのだろうか。

    ノスタルジーは、もはや昔ほど魅力的ではない。だが、そもそも本当にそうだったのだろうか。

    F1の「ドライビングスタンダード・ガイドライン」を巡る不満は、文書そのものが注釈や補足によって肥大化するにつれて、むしろ強まってきた。その一方で、かつてはレースコントロールが絶対的な権威を持ち、ドライバーたちがその判断を疑問視することなく受け入れていた“黄金時代”への郷愁も広がっている。

    こうした批判を受け、昨季終盤のラウンドではドライバーとFIA(国際自動車連盟)による協議が行われた。2025年シーズンの主要な5件のインシデントが検証され、議論は「率直で、オープンかつ建設的」だったと総括されたが、ガイドラインに即時の変更は加えられなかった。また、長年ドライバー側が求めてきた常設のプロフェッショナル・スチュワードを誰が負担するのかという問題でも、意見は一致しなかった。

    しかし、最大の対立点はさらに根本的なところにある。ドライバーたちは、ガイドラインがあまりにも複雑で抜け道が多く、そこに説明を重ねるほど実用性が損なわれていると感じている。

    「走っているのはルールブックじゃない」
    アレックス・アルボンは、カタールでの会合を前にこう語っていた。

    「まるで、コーナーに入るときに“これはOK、あれはダメ”という分厚いルールブックを頭に入れて走っているみたいだ。それは僕の感覚ではレースじゃない」

    「最初にルールがあって、その抜け穴を説明するための別のルールがあり、さらにその上に何層ものルールが重なっている。だからややこしくなる」

    「僕たちはカートからF4、F3、F2とステップアップしてきた中で、どこが限界か、クリーンな走りと汚い走りの違いを理解している。自分なりの基準があって、それは理にかなっている」

    「昔はルールが少なかった分、もっと流動的で、疑問符も少なかった。チャーリーが『これはこうだ』と言えば、みんな『分かった』で終わっていたと思う」

    このチャーリー・ホワイティングへの言及は象徴的だ。アルボンのF1デビュー以前の時代であるというだけでなく、ホワイティングが築いた信頼と権威は、後任たちがいまだ確立できていないものだった。

    彼が尊敬を集めた理由は明確だ。モータースポーツ界での長い経験、技術的知見、そしてかつてF1を事実上支配していたバーニー・エクレストンやマックス・モズレーの時代に築かれた強固な立場。そのすべてが彼の権威を支えていた。

    ホワイティングは“猟師から森番へ”の典型だった。1980年代初頭、ブラバムでネルソン・ピケのチーフメカニックを務めていた頃は、ルールを「曲げる」ことが日常だった時代でもある。エクレストンがチームを売却した際、ホワイティングはFIAに迎え入れられ、そこからキャリアを積み重ねていった。

    やがて彼はテクニカル・デリゲートにとどまらず、レースディレクターとしてスタート手順、安全対策、新サーキットの公認までを管轄する存在となった。メカニックとしての経験は、ドライバーの言い訳や駆け引きを見抜く力を与え、レースの物理的な理解も極めて深かった。

    さらに重要だったのは、彼が表舞台に出ることを好まなかった点だ。インタビューはまれで、私見を語ることもほとんどなかった。この姿勢が、ドライバーとの間に独特の敬意を生んでいた。FIA会長に就任したジャン・トッドが、前任の人事を整理する中でもホワイティングを留任させた事実は、その存在感を物語っている。

    F1ドライバーと国際自動車連盟

    チャーリー・ホワイティング時代は本当に理想だったのか
    しかし、現在のF1に同じような“無条件で受け入れられる人物”はいるだろうか。カルン・チャンドック、アンソニー・デビッドソン、ジョリオン・パーマーといった元ドライバーの解説者が、カルロス・サインツに皮肉交じりで名前を挙げられたことはあったが、彼らがその役割を担えるかと言えば疑問が残る。

    仮にそうした人物がいたとしても、常に正しい判断を下せるのか。今のようにファンが巨大化し、意見が分極化し、莫大な資金が動く時代に、ドライバーたちは本当に抗議せず受け入れるだろうか。現実的ではない。

    加えて、過去を美化しすぎるのも危険だ。ホワイティングは在任最後の10年で、しばしば批判の対象にもなった。特に2016年には判定の一貫性を巡る不満が高まり、メキシコGPではセバスチャン・ベッテルが無線で「チャーリーにクソくらえと言ってやれ」と叫んだ場面もあった。

    「昔は良かった」と人は言う。だが、それはいつの話なのか。

    当時も今も、レースコントロールとスチュワードの判断は本質的に主観的であり、その精度は人の経験に依存していた。現在のガイドラインは、その期待値を文書化し、透明性を高めようとする試みだ。

    現代のF1は、かつてないほど巨大なビジネスである。チームは数十億ドル規模の評価額を持ち、商業権保有者も株主や規制当局への説明責任を負っている。リバティ・メディアが権利を取得した後、エクレストン体制が速やかに終焉を迎えたことが象徴するように、密室での合意や曖昧な運営は許されなくなった。

    レース結果を左右する判断が、正体不明の権力者によって下される時代ではない。ガイドライン自身も「これは規則ではなくガイドラインである」と明記し、「多くの事案には主観的判断が必要」であり、「レースは動的なプロセスである」と認めている。

    煩雑であることは否定できないが、その目的は可能な限り透明な“交戦規則”を示すことにある。とはいえ、すべてのケースに当てはまる文言を作ることは不可能だ。

    ホワイティングが理解していたように、ドライバーは常に限界を試す存在だ。そのため、かつては「コーナー頂点でのフロントアクスル位置」という単純な基準だったものが、後に多くの注釈を伴う形へと変化していった。

    それでもグレーゾーンは残る。ブラジルでは、オスカー・ピアストリがターン1でコースのバンク変化に影響されてコントロールを失い、アンドレア・キミ・アントネッリと接触した結果、ペナルティを科された。他のドライバーはピアストリを擁護したが、F1は民主主義ではない。

    協議では、ブレーキング中のロックアップをどう評価するかも議題となった。前方のマシンの挙動を避けるためにロックアップした場合、それでも過失と見なすべきなのか。この問いは、さらなる注釈を必要とし、「走らせる」原則から一層遠ざかる。

    ドライバーが迅速で客観的な裁定を望むなら、「クリーン」や「ダーティ」といった共有定義に答えを求めても見つからない。それらは本質的に主観的だからだ。そして、過去に答えを求めても無意味である。時代は変わった。

    常設のプロフェッショナル・スチュワードを導入し、しかも最近のF1経験を持つ人物で固めることは、解釈に一定の権威を与えるかもしれない。しかし、それこそが多くの人がチャーリー・ホワイティングの時代に抱くノスタルジーの核心でもある。

    問題は、ルールやガイドラインそのものではない。それを運用する人々への、尊敬と信頼なのである。

  • F1ドライバーたちの冬休み ~2025年オフの素顔~

    F1ドライバーたちの冬休み ~2025年オフの素顔~

    2025年シーズンを終え、メルボルン開幕戦へのカウントダウンが始まるなか、ドライバーたちは冬休みを満喫している。

    スイッチオフして家族と過ごす時間から、休養、旅行、トレーニング、そしてお祝いまで。ここでは、フェスティブ・ホリデー期間中にグリッドがどのようにリフレッシュしていたのかを、ソーシャルメディアの投稿をもとに振り返る。

    忙しかった2025年シーズンを終え、F1ドライバーたちは1か月にわたる待ちに待った冬休みに入っている。では彼らはどこへ行き、何をして過ごしているのだろうか。F1.comが、その多彩な過ごし方をまとめた。

    ■ オージー(的)なアッシュズ観戦
    クリケット好きのオーストラリア人ドライバー、オスカー・ピアストリは、“グリッド公認オーストラリア人”のバルテリ・ボッタスとともに、オーストラリア対イングランドのアッシュズを観戦するため母国に戻っていた。ピアストリはオーストラリア代表チームの選手たちとも交流し、母ニコールがコーディネートしたシャープな装いも相まって、そのままチームに加われそうな雰囲気だった。

    一方のボッタスも、いつも通り現地文化を存分に満喫。新たにマレットヘアに刈り込み、観客席で過ごしたりファンに挨拶したりしていた。2人にとっては祝杯をあげる理由も十分で、オーストラリアはアッシュズの保持に成功した。

    ■ アドレナリン中毒者たち
    2025年最終戦のチェッカーフラッグからまだ1か月も経っていないが、多くのドライバーはすでに再び刺激を求めていた。それは四輪であれ、それ以外であれだ。

    F1とGT3レースを両立させた成功の年を経て、マックス・フェルスタッペンの仕事はアブダビで終わらなかった。4度のワールドチャンピオンはポルトガルへ向かい、メルセデスGT3をテスト。これまで使用していた33から3へとカーナンバーを変更したことを発表して以降、その新しい「3」を初めて走らせた。F1から離れる時間の過ごし方も、人それぞれというわけだ。

    同じく四輪で限界に挑んでいたのがフェルナンド・アロンソで、XCクロスカーに乗り込みダートトラックを豪快に走破した。あの男に運転できないものがあるのだろうか。原点回帰という点では、エステバン・オコンとガブリエル・ボルトレトがそれぞれのカートコースに足を運び、懐かしの走行を楽しんだ。一方、キミ・アントネッリは偽名を使ってデイトナのミルトンキーンズに忍び込み、ウエットコンディションで驚異的なペースを披露していた。

    また、カルロス・サインツは全面的に父をサポート。ラリーレジェンドであるカルロス・サインツSrが1月のダカール・ラリーに挑むのに同行し、2週間にわたる壮大な戦いを見守った。2010年、2018年、2020年、2024年の優勝経験を持つサインツSrは、今年も好結果を狙っている。

    今冬、ゲレンデに向かった人はいるだろうか。F1グリッドは、まさにその通りだった。ジョージ・ラッセル、ピエール・ガスリー、シャルル・ルクレール、ランス・ストロールらは、フェスティブ期間中にスキーを楽しんだドライバーたちだ。山で過ごす時間は、トレーニングに変化をつけつつスピード感を味わえることもあり、ドライバーのお気に入りとなっている。

    ■ 家族との大切な時間
    過酷なF1シーズンは、さまざまな意味でドライバーにとって厳しいが、家族と離れて過ごす時間こそが最も辛い部分かもしれない。そのため、冬休みが自宅での家族時間中心になるのは自然な流れだ。ラッセルとリアム・ローソンは“叔父役”として活躍し、フェスティブ期間中に姪たちと過ごす様子を楽しんでいた。

    アントネッリとボルトレトは、クリスマスツリーの下で家族と過ごす写真とともにホリデーの挨拶を投稿。ストロールはカナダでの休暇の様子を公開し、卓球や雪遊び、そして微笑ましい家族時間を披露した。パドックの日常とはまた違った、穏やかな時間だ。

    ■ 休暇と冒険
    F1カレンダーを転戦する中で世界を旅するドライバーたちだが、休暇中も旅が止まらない者もいる。グリッドは冒険好きで、もしルクレールの南極旅行がキャンセルされていなければ、彼らは全大陸を制覇していたことになる。

    フェラーリのルイス・ハミルトンは「お気に入りの街」だというニューヨークを訪れ、ハリウッド俳優のマイケル・B・ジョーダンと時間を過ごした。ボルトレトは母国ブラジルでの休暇中にもジムでのトレーニングを欠かさず、新レーシングブルズ・ドライバーのアービッド・リンドブラッドはインドのムンバイへと飛んだ。

    タイ国籍のアレクサンダー・アルボンは、自身が代表する国でリラックスした後、壮大で人里離れたブータンを探索。オコンはパートナーのフラヴィ・バルラとともにディズニーランド・パリでクリスマスを過ごし、マーベル作品を満喫した。メルセデスのラッセルは、寒い山岳地帯と温暖な砂漠の太陽を組み合わせ、ケニアでのサファリを楽しんだ。実に多彩な目的地が並ぶ。

    ■ 表彰の場で
    冬は、過ぎ去った一年の成功を祝う機会でもある。新たにワールドチャンピオンに輝いたランド・ノリスは、ウズベキスタンで行われたFIAプライズギビングでその栄誉を祝福された。ノリスは「人生でずっと待ち望んでいた夜」と表現し、舞台裏の様子をSNSで共有している。

    一方、ガスリーは社会貢献に光を当て、メイク・ア・ウィッシュ・フランスのガラに出席。年間アンバサダーとして活動してきたなかで、自身のヘルメットの1つがチャリティオークションに出品された。フランス人ドライバーが自身の影響力を使い、支援を必要とする子どもたちを助ける素晴らしい形だ。

    ■ 復帰への渇望
    メルボルンでのスタートを誰よりも心待ちにしているのは、ボッタスとセルジオ・ペレスかもしれない。1年のブランクを経て、2人は2026年に新設のキャデラックチームで待望のF1復帰を果たす予定で、その準備に余念がない。

    ボッタスとペレスは“サバティカル”を十分に満喫してきたが、最近ではレース復帰に向けたハードワークの様子をSNSで共有している。待ち時間はもう長くない。

    ■ 振り返りの時間
    12月らしく、ドライバーたちは人生を変えたこの1年を振り返る時間も持っていた。特に2025年のルーキーたちだ。アイザック・ハジャーとオリバー・ベアマンは、節目の年を締めくくる年末リキャップを投稿。印象的なデビューシーズンを経て、2年目となる来季に彼らが何を成し遂げるのか、今から楽しみでならない。

  • F1ドライバー同士で選ぶ2025年ベストドライバーはマックス・フェルスタッペン

    F1ドライバー同士で選ぶ2025年ベストドライバーはマックス・フェルスタッペン

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)は、2025年シーズン終了後に実施されたF1ドライバー同士による匿名投票「Drivers’ Driver of the Year」で、5年連続となる年間最優秀ドライバーに選出された。2025年のドライバーズタイトルはランド・ノリスに譲ったものの、同業者であるライバルたちからの評価では、再び頂点に立った。

    この投票は今回で8回目を迎え、F1グリッドの大半のドライバーが参加。各ドライバーがライバル10人を順位付けし、現行F1ポイントシステム(1位25点〜10位1点)に基づいて集計される。投票は匿名で行われ、自身への投票も可能だが、例年通り多くのドライバーは自分を最上位には置いていない。

    フェルスタッペンは、シーズン後半に驚異的な追い上げを見せた。8月のオランダGP終了時点で首位から104ポイント差をつけられていたが、最終9戦で6勝を挙げる猛反撃を展開。最終的にはノリスにわずか2ポイント差まで迫った。その印象的な戦いぶりが評価され、6人のドライバーがフェルスタッペンを1位に指名し、総合トップとなった。

    2位は、2025年に初のF1世界タイトルを獲得したランド・ノリス(マクラーレン)。フェルスタッペン、そしてチームメイトのオスカー・ピアストリからの強いプレッシャーを受けながらも、シーズンを通して安定した戦いを続け、ドライバーズ投票でも2年連続の2位となった。

    3位にはジョージ・ラッセル(メルセデス)がランクイン。2025年は2勝と7回の表彰台を記録し、堅実さと勝負強さを兼ね備えたシーズンを送ったことで、前年から1つ順位を上げた。

    4位はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)。夏休み前にはランキング首位に立ち、一時は34ポイント差を築いたが、秋以降に勢いを落としてタイトル争いから後退。それでも評価は高く、前年より1つ順位を上げた。

    5位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)。フェラーリがコンストラクターズ選手権4位に終わる厳しいシーズンの中で、7回の表彰台を獲得し、与えられたマシンのポテンシャルを最大限に引き出したが、順位は前年から2つ下げる結果となった。

    6位にはカルロス・サインツ(ウィリアムズ)が入った。グローブでの新生活は厳しいスタートとなったものの、シーズン後半にかけて見事に立て直し、2度の表彰台を獲得。前年と同じ順位を維持した。

    7位はフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)。AMR25で印象的な走りを何度も披露し、順位を2つ上げてトップ10に食い込んだ。

    8位はアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)。ウィリアムズでの自己最高のシーズンを送り、ドライバーズ選手権8位と同じ順位でライバルたちからも評価された。

    9位と10位には、ルーキーのオリバー・ベアマン(ハースF1チーム)とアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)が名を連ねた。ベアマンはメキシコGPでの4位を含む5戦連続入賞の活躍を見せ、ハジャーはザントフォールトで初表彰台を獲得するなど、デビューシーズンながら強い印象を残した。

    一方で、アルピーヌのピエール・ガスリーは10回のQ3進出を果たす健闘を見せたものの、わずかにトップ10入りを逃した。

    そして注目すべきは、7度の世界王者ルイス・ハミルトン(フェラーリ)が、このランキングで初めてトップ10圏外となった点だ。フェラーリ移籍初年度となった2025年は苦戦を強いられ、同業者からの評価にもそれが反映される形となった。

    今回の投票に参加したドライバーは、アレクサンダー・アルボン、フェルナンド・アロンソ、アンドレア・キミ・アントネッリ、オリバー・ベアマン、ガブリエル・ボルトレト、フランコ・コラピント、ピエール・ガスリー、アイザック・ハジャー、リアム・ローソン、シャルル・ルクレール、ランド・ノリス、エステバン・オコン、オスカー・ピアストリ、ジョージ・ラッセル、カルロス・サインツ、マックス・フェルスタッペンの16名だった。

    タイトルを逃してもなお、ライバルたちから最も高く評価されたフェルスタッペン。その存在感と影響力が、2025年シーズンを通じていかに大きかったかを物語る結果となった。

    2025年のF1世界選手権 マックス・フェルスタッペン