投稿者: dbcheck

  • オスカー・ピアストリ ハミルトンがF1王座を獲得したマクラーレンMP4/23で走行

    オスカー・ピアストリ ハミルトンがF1王座を獲得したマクラーレンMP4/23で走行

    2026年F1マイアミGPを前に、マクラーレンはファンイベントで歴史的マシンのデモ走行を実施し、オスカー・ピアストリがルイス・ハミルトンの2008年タイトル獲得マシン「MP4/23」をドライブした。中東での開催中止の影響で延期された“通算1000戦目”の節目を祝う形で行われた特別イベントだった。

    この体験は単なるデモ走行にとどまらず、現代F1との対比を浮き彫りにする機会ともなった。

    ピアストリはV8自然吸気時代のシンプルさと現在の複雑なハイブリッド時代の違いを実感し、現行レギュレーションや将来像についても率直な見解を示している。

    V8時代のマシンに「特別な感覚」
    ピアストリはマクラーレンのファンイベントで、ランド・ノリス、ミカ・ハッキネン、エマーソン・フィッティパルディとともに歴代マシンのデモ走行に参加した。

    「それはクールだった」とピアストリは語った。

    「昔のマシンを運転するのはいつだって楽しい。音はかなり特別だったし、もう少しシンプルで、その感覚自体がすごくいいものだった」

    「チームにとっても特別な日だったけど、自然吸気のV8をドライブできたのは良かった」

    現代F1との対比と“シンプルさ”への回帰
    この体験は、現在のF1に対する考えにも影響を与えている。木曜のFIA記者会見で現行レギュレーションについて問われたピアストリは、過去のマシンとの違いに言及した。

    「今でも自分はF1ドライバーだと言える。それはいつでもクールなことだ」

    「嫌いな点? ネガティブな部分はあまり思いつかない」

    「正直に言えば、昨日2008年のマシンに乗って、過去のクールなマシンを見たことで、そういう要素を将来に取り戻せたらすごくいいと思う」

    「プロダクトとしては、明らかに改善のための変更が行われていると思う」

    重量問題「本当の解決には50〜100kg必要」
    ピアストリは現代F1の大きな課題として車重の重さを改めて指摘した。2026年レギュレーションで約30kgの軽量化が予定されているが、それでは不十分だと語る。

    「昨日乗ったマシンの重量は分からないけど、大きな違いを出すには50kg以上、正直言えば100kgに近いくらいは必要だと思う」

    「マシンはまだとても重い」

    「600kg台に戻せれば良いと思う」

    「500kg台やそれに近いところに戻ることはないだろう」

    「そこに到達する唯一の方法はバッテリーを外してエンジンをシンプルにすることだと思うけど、必ずしもそこまでやる必要はないと思う」


    レギュレーション変更は「正しい方向だが表面的」
    FIAがマイアミに向けて導入した調整については前向きに評価しつつも、根本的な解決には至らないとの見方を示した。

    「協力体制は良いし、変更を試みているのは正しい方向への一歩だと思う」

    「パワーユニットのハードウェアを変えない限り問題は解決しない」

    「どれだけ効果があるかは見てみないと分からない」

    マクラーレンの現状とマイアミの見通し
    2026年シーズン序盤で苦戦が続くマクラーレンは、マイアミにアップデートを投入するが、ピアストリは慎重な見方を崩していない。

    「速くなっていることを期待している。それが計画だ」

    「でも今週末にメルセデスと戦えるほどではないと思う。ただ、正しい方向には進んでいる」

    スプリントフォーマットと天候の不確実性が重なる週末については、対応力が鍵になると強調した。

    「変化の多い週末になるだろうし、他よりもうまく適応することが重要になる」

    「それができれば、本来の位置より上でフィニッシュできるチャンスはあると思う」

  • バルテリ・ボッタス 2018年にF1引退寸前「ハミルトンのウイングマンだった」

    バルテリ・ボッタス 2018年にF1引退寸前「ハミルトンのウイングマンだった」

    バルテリ・ボッタスは『Players’ Tribune』への寄稿で、2018年シーズン終了後にF1引退を決意していたことを明かした。メルセデスでルイス・ハミルトンとコンビを組む中、未勝利に終わったシーズンが精神的に大きな影響を与えていたという。

    しかし、その決断は冬のある出来事をきっかけに覆される。自身のキャリアと向き合った時間が、ボッタスの思考を「過去」から「未来」へと切り替え、F1継続への転機となった。

    「ウイングマン」としての現実
    ボッタスは当時の立場について率直に振り返る。

    「彼はチャンピオンだった。僕は“ウイングマン”だった」

    メルセデスはナンバー1とナンバー2を明確に定めていないとしていたが、実際にはチームオーダーを受ける場面もあった。ボッタスは勝利の可能性があったレースでポジションを譲るよう指示された経験についても言及している。

    精神的に追い込まれた2018年
    2017年に3勝を挙げた一方で、2018年は未勝利に終わった。この結果が、ボッタスに大きな精神的ダメージを与えた。

    「以前の自分に戻ってしまった。ネガティブなボッタス、強迫的なボッタスだ。SNSのコメントを読みすぎて、自分をどんどん嫌いになっていった」

    「正直に言うと、間違いなく落ち込んでいたし、燃え尽きていた。レースが嫌いだった」

    そして、彼は明確にこう振り返る。

    「その冬、僕は引退することを決めた」

    キャリアを変えた冬の決断
    転機となったのは、フィンランドで過ごした時間だった。

    「ある日、森の中を歩きに行った。真冬で、深い雪の中を何時間も歩いた。時間の感覚がなくなっていた」

    「家族の犠牲やこれまでのすべてを考えた。そして、自分がずっと過去ばかり見ていたことに気づいた」

    そこでボッタスは考え方を変える。

    「“これから何をするか”だけを考えると決めた」

    「もし戻るなら、グリッドで最高のドライバーとして戻る」

    森を出たとき、彼の考え方は完全に変わっていたという。

    この経験を経て、ボッタスはF1に復帰。その後もキャリアを続け、現在はキャデラックF1で戦いを続けている。

  • 2026年F1マイアミGP サーキット&タイヤ戦略解説

    2026年F1マイアミGP サーキット&タイヤ戦略解説

    F1は、バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止による長いブレイクを経て、今週末のマイアミGPで2026年シーズンを再開する。舞台はマイアミ・ドルフィンズの本拠地ハードロック・スタジアム周辺に特設されたマイアミ・インターナショナル・オートドローム。全長5.412km、57周で争われる。

    今季最初のアメリカ開催となる一戦では、ピレリがC3、C4、C5というレンジ内で最も柔らかい3種類のコンパウンドを持ち込む。路面は2023年に再舗装されており、粗さは低く、週末を通じて走行が進むにつれてグリップが向上していく特性を持つ。

    低デグラデーションが生む1ストップ基調
    マイアミ・インターナショナル・オートドロームは19のコーナーと3本の長いストレートで構成される。タイヤへの負荷は限定的で、過去のレースでもデグラデーションは小さく、ドライバーがスティントを長く引っ張り、決勝では1ストップ戦略を採りやすい傾向が続いている。

    そのため、日曜日の決勝ではタイヤ摩耗そのものよりも、セーフティカーやバーチャルセーフティカーといったニュートラル化のタイミングが戦略上の大きな変数になりそうだ。市街地コースではバリアとの接触を避ける精度が求められ、ひとつのミスがレース全体の流れを変える可能性がある。

    マイアミグランプリ

    スプリントで再び天候が波乱要素に
    昨年のマイアミで印象的だったのは、路面が急速に乾いていく特性だった。スプリントではスタート前に強い雨が降ったにもかかわらず、19周の短いレース中にドライバーたちがインターミディエイトからスリックへ交換する展開となった。

    今季もマイアミではスプリントが実施される。週末を通じて天候が変わりやすい状況になれば、低摩耗で読みやすいはずの戦略に、再び大きな揺らぎが生まれる可能性がある。

    F1 タイヤ マイアミグランプリ

    2025年はピアストリが勝利
    2025年のマイアミGPは、戦略面では比較的シンプルなレースだった。スタート時にはミディアムを選ぶドライバーとハードを選ぶドライバーに分かれ、ニュートラル化や天候変化に備える形となった。

    ピットストップのウインドウはおおむねレース中盤に集中し、選択された全コンパウンドのデグラデーションが非常に低かったことで、長いスティントが可能になった。レースはオスカー・ピアストリが制し、マクラーレンにとって2年連続のマイアミ勝利となった。

    マクラーレン勢は勝利もポールなし
    ドルフィンズのスタジアム周辺で開催された過去4回のマイアミGPでは、その半分をマックス・フェルスタッペンが制している。一方で、直近2年の勝者はマクラーレン勢だ。2024年にはランド・ノリスがF1初優勝を飾り、2025年にはチームメイトのピアストリがトップチェッカーを受けた。

    ただし、マクラーレンの2人はいずれもこのイベントでポールポジションを獲得していない。ポールはフェルスタッペンが2回、シャルル・ルクレールとセルジオ・ペレスがそれぞれ1回ずつ記録している。

    サポートレースもピレリ一色
    マイアミの週末は、サポートカテゴリーを含めてピレリ色の強いイベントとなる。F1のサポートレースとして行われる各シリーズはいずれもピレリのタイヤ供給を受けている。

    FIA F2は、本来予定されていた過去2戦が中止されたため、第2戦がフロリダへ移された。さらに、アルトゥーラ・トロフィーEvoを使用するマクラーレン・トロフィー・ノースアメリカ、そして新型ポルシェ911カップを投入するポルシェ・カレラカップ・ノースアメリカも開催される。

    ポルシェ・カレラカップ・ノースアメリカは今年からピレリの供給を受けており、他のGT選手権と同様に、昨季導入されたPゼロDHGが使用される。

    特別仕様のポディウムキャップも登場
    マイアミGPでは、ピレリデザインのためにデニス・デコビッチが手がけた特別仕様のポディウムキャップも用意される。デザインの着想源は海の捕食者で、サメの肌を思わせるグレーの濃淡が採用されている。

    バイザー部分には、その動物を連想させるステッカーが貼られ、顎や体を描いたデザインが用いられる。このピレリのキャップは、すでに公式オンラインストアで購入可能となっている。

    マイアミグランプリ 2026年のF1世界選手権

    2026年ホットラップはマイアミで開幕
    マイアミは、2026年のピレリ・ホットラップ・プログラムの開幕戦にもなる。このプログラムは8年間にわたり、F1の象徴的なサーキットで、ファンに高速ラップの体験を提供してきた。

    ゲストやVIPは、ピレリタイヤを装着した市販スーパーカーの助手席に座り、プロドライバーの運転でコースを1周することができる。マイアミ後は、モナコ、シルバーストン、モンツァ、オースティン、ラスベガス、アブダビへと続く。

    今年はアルピーヌ、アストンマーティン、アウディ、フェラーリ、フォード、マクラーレン、メルセデスAMGの7メーカーが最新モデルを提供する。2025年には、32回のオン・トラックセッションで2,500周以上が実施され、現役F1ドライバーを含む69人のドライバーがステアリングを握った。

    Source: Pirelli

  • ランス・ストロール F1レギュレーションを痛烈批判「F3の方が1000倍楽しい」

    ランス・ストロール F1レギュレーションを痛烈批判「F3の方が1000倍楽しい」

    ランス・ストロール(アストンマーティン)は、2026年F1レギュレーションに対してこれまでで最も強い言葉で批判を展開した。マイアミGPを前にしたメディア対応で、現行マシンのコンセプトやレースの在り方そのものに疑問を投げかけている。

    一方で、同じパドック内でも見解は分かれており、バルテリ・ボッタスやF1首脳陣は現状をより冷静に評価している。ドライバー体験と競技全体の方向性、そのギャップが改めて浮き彫りとなった。

    ストロール「レギュレーションは完全に間違っている」
    ストロールは、2026年レギュレーションについて明確に否定的な見解を示した。

    「うまくいけば、ハーフスロットルや、レースや予選を台無しにするあらゆる要素が改善されることを願っている」

    「まだ“本来のF1マシン”には程遠いと思う。バッテリーのことを気にせず、常に全開でプッシュできる状態じゃない」

    「僕たちはあるべき姿から大きくかけ離れている」

    「レギュレーションは本質的に完全に間違っている。僕はエンジニアじゃないけど、できることはたくさんあるはずだ」

    その不満は、単なるパフォーマンスではなくドライビング体験そのものにも及んでいる。

    「今のF1は、運転していてそこまで楽しくない」

    「休みの間に他のカテゴリーのクルマにも乗った。フォーミュラ3のマシンもテストしたけど、あれは1000倍楽しかった」

    「なぜなら、自分の右足次第だからだ。どれだけパワーを使うかは自分で決められるし、それがそのまま返ってくる」

    “かつてのF1”との決定的な違い
    ストロールは過去のF1と比較し、現在のカテゴリーが持つ個性の希薄化にも言及した。

    「V8やV10時代のオンボード映像も見たけど、当時はもっと激しくて、もっとエキサイティングだった」

    「今と比べると、あの頃の方がずっと濃密だった。残念だけど、またああいう方向に戻ってほしい」

    さらに、この問題については多くのドライバーが同様の考えを持っているとしつつも、自由に発言できない状況があると示唆した。

    「同じことを言えるドライバーもいれば、契約の関係で言えないドライバーもいる」

    「それがF1だ。とても政治的な世界になり得る」

    ランス・ストロール F1レギュレーション

    ボッタスは慎重姿勢「正しい方向への一歩」
    一方で、キャデラックF1のバルテリ・ボッタスはより抑制的な評価を示した。

    「まだ小さな一歩だけど、正しい方向への一歩だ」

    「もっと大きな変更もできるだろうが、同時に結果を出しているチームを不当に不利にしてはいけない」

    現行レギュレーションの課題を認めつつも、バランスを重視する立場を取っている。

    ドメニカリは危機論を否定「F1は非常に健全」
    こうしたドライバーの不満とは対照的に、F1 CEOのステファノ・ドメニカリは強く現状を肯定した。

    「F1にはまったく問題はない。非常に良い状態にある。それだけははっきりさせておきたい」

    ドライバーの“現場感覚”と、運営側の“全体最適”の間にある温度差は明確であり、2026年レギュレーションを巡る議論は今後も続いていく可能性が高い。

  • FIA メルセデスF1の“圧縮比トリック”を不正否定 6月に測定ルール変更へ

    FIA メルセデスF1の“圧縮比トリック”を不正否定 6月に測定ルール変更へ

    FIA(国際自動車連盟)は、メルセデスが2026年F1パワーユニット規則のグレーゾーンを利用していたとの見方について、「不正」ではなかったと否定した。

    問題となっていたのは、圧縮比を測定する際の温度条件だ。FIAは6月から、エンジンが高温の状態だけでなく、室温でも圧縮比を測定する方針で、開幕前から議論を呼んでいた抜け道を封じることになる。

    トンバジス「注目されすぎた話題」
    FIAのシングルシーター部門ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、イタリア紙『コリエーレ・デラ・セラ』に対し、この問題が過剰に扱われてきたと語った。

    「これは大げさに扱われすぎた話題だ」とトンバジスは語った。

    「これほど注目される価値があったとは思わない。我々は、誰かが不正をしようとしていたとは一度も考えていなかった」

    論点は、各チームが異なる温度条件で圧縮比を最適化する方法を探っていたことにあった。特にメルセデスの手法が注目を集めたが、トンバジスはそれがレギュレーション違反ではなかったと説明している。

    「いくつかの判断は、より有利な温度で圧縮比を変化させようとするものだった。そして、それらは合法だった」

    FIAは開発競争の拡大を防ぐために介入
    FIAが対応に動いた理由は、特定チームを罰するためではなく、グリッド全体が同じ方向の開発競争に突入することを防ぐためだった。

    「我々は2月末にいくつかの判断を下した。F1全体が、エキゾチックな素材や解決策を探す競争に入ることを避けるためだ。それはスポーツの精神に反するものになる」

    「これは、特定の状況に直面したときに我々がよく行うことだ。我々はそれを禁止するのではなく、長く引きずられすぎないようにする」

    今回の変更により、FIAは6月から圧縮比の測定条件を明確化する。高温時だけでなく室温でも測定することで、温度変化を利用した最適化の余地を狭める狙いがある。

    国際自動車連盟 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    メルセデスは「不正」ではなくグレーゾーンの範囲内
    トンバジスは、メルセデスが一線を越えたという批判を明確に否定した。

    「誰かが不正をしようとしていたという批判は受け入れられない。たとえその解決策が、レギュレーションが意図していたものではなかったとしてもだ」

    FIAの説明から見えるのは、今回の問題が「違反」ではなく、2026年F1レギュレーションの初期段階で生じた解釈の幅だったという点だ。メルセデスの手法は合法とされる一方で、FIAはその方向に開発が過熱することを望まず、6月から測定基準を広げることで事実上の歯止めをかける。

    2026年F1レギュレーションは、パワーユニットとシャシーの両面で新しい解釈が次々に生まれている。今回の圧縮比問題もその一例であり、FIAは違反認定ではなく、早期の明確化によって競争の方向性を管理しようとしている。

  • マイアミGPに潜むF1戦略リスク マクラーレン幹部が語るスプリント週末の難しさ

    マイアミGPに潜むF1戦略リスク マクラーレン幹部が語るスプリント週末の難しさ

    F1は1か月の中断期間を経て、マイアミGPで再開する。華やかな雰囲気や多くのセレブリティに注目が集まりやすい一方で、マイアミ・インターナショナル・オートドロームは、ドライバー、マシン、そして戦略部門に複雑な判断を求めるサーキットでもある。

    特に2026年のマイアミGPは、スプリント形式によってプラクティス時間が限られるうえ、新たなレギュレーション変更や各チームのアップデート投入も重なる。

    限られた走行データのなかで、どのタイヤを温存し、どのタイミングでリスクを取るかが、週末全体の流れを左右する。

    本記事は、F1公式リスクパートナーであるMarshとの提携企画「THE RISK PERSPECTIVE」として、各チームの判断に潜むリスクの視点からマイアミGPを読み解く。

    スプリント週末で増すタイヤ判断のリスク
    マクラーレンは過去2年のマイアミGPを制しており、2025年にはランド・ノリスとオスカー・ピアストリがスプリントと決勝でワンツーを分け合い、スプリント時代で初めて週末最大ポイントを獲得したチームとなった。

    そのマクラーレンで戦略グループを率いるレーシングディレクターのランディ・シンは、マイアミに向けて多くの変数があると語る。

    「どのレースでも、タイヤの挙動には常に未知の部分がある」

    「通常は、サーキットについては年を追うごとに学び、マシンについてはシーズンを通じて学んでいく。戦略にとって現時点で最大の未知数は後者だ。まだ3レースしか終えていないからだ」

    フロントランナーの戦略担当者にとって重要な判断のひとつが、予選でどのタイムを“安全圏”と見なすかだ。最初のアタックで十分なタイムを出したマシンは、それ以降の走行を見送り、週末後半に向けてタイヤを温存できる。

    だが、その判断には、路面がどれだけ進化するか、遅いマシンがどの程度のペースを出せるかを読む必要がある。

    「今年は簡単ではない。他チームのペースに関する実測データが十分にないからだ」

    「通常、シーズン序盤は勢力図がより動きやすいし、スプリントイベントでは金曜の最初の予選セッションが難しい。あまり走行を見ていない状態で臨むことになるからだ。さらに、さまざまなマシンのアップデートも考慮しなければならない」

    「ただし、少し簡単になる点もある。スプリント予選のSQ1とSQ2の判断は、通常の予選とは微妙に異なる。もう1セットのタイヤを使うかどうかではなく、許されている1セットをどれだけ使うかを決めるだけだからだ」

    1回のフリー走行で問われるミディアムかハードかの選択
    スプリント週末では、各車にハード2セット、ミディアム4セット、ソフト6セットが割り当てられる。さらにスプリント予選では、SQ1が新品ミディアム、SQ2も新品ミディアム、SQ3進出車は新品ソフトの使用が義務づけられる。

    シンによれば、最も難しい戦略判断は、唯一のフリー走行でどのタイヤを使うかだ。

    「最も難しい戦略判断は、1回しかないフリー走行でどのタイヤを使うかになることが多い」

    「通常はミディアムかハードの選択だ。ハードを使えば、決勝で使えるハードは1セットだけになる。しかしミディアムを使えば、スプリント予選の2セグメント、スプリント、決勝を乗り切るにはミディアムが十分ではなくなる」

    「その判断を助けるための走行データはない。だから、今年の他イベントから得た情報、昨年のマイアミでの情報、そしてファクトリーでのシミュレーションや分析に頼る必要がある」

    もうひとつの重要な判断が、スプリントのスタートタイヤだ。ソフトは立ち上がりで有利になる可能性がある一方、スプリント距離でどう機能するかは十分に分からない。ミディアムを選ぶ場合でも、新品を使うか、スプリント予選で使った中古を使うかという選択が残る。

    新品タイヤはスプリントで有利かもしれないが、日曜の決勝スタートに温存したいという考えもある。

    マイアミ攻略の鍵はターン11から16の低速区間
    マイアミ・インターナショナル・オートドロームにはオーバーテイクの可能性が多いが、ドライバーが大きな差をつけるのはターン11から16にかけての複雑なスタジアム区間だ。

    この区間は低速コーナーと高低差が組み合わされ、フロリダ・ターンパイクのアクセスランプ下を縫うように走る。橋のクリアランスやクレスト通過時の安全要件を満たすため、速度は低く抑えられる。

    F1マシンは高速コーナーを駆け抜ける姿が最も映えるが、低速区間ではドライバーの精度がより明確に表れる。針の穴を通すようなライン取りで、得るものも失うものも大きい。

    2026年型マシンで変わるセットアップの考え方
    過去のマイアミでは、予選ラップに最適なダウンフォース量よりもわずかに削り、ストレートエンドでの速さを確保する妥協が一般的だった。

    しかし2026年は事情が少し異なる。3本のストレートはいずれもストレートモードゾーンとなり、マシンは自動的に低ドラッグ構成へ移行するためだ。

    第1セクターの高速スイーパーはマイアミを高速サーキットのように見せるが、実際にはF1が訪れるなかでも低速寄りのサーキットだ。各チームは低速コーナーで縁石を使い、走行ラインを狭めるため、ロール剛性を少し柔らかくする方向に向かう。

    一方で路面は非常に滑らかなため、ヒーブ剛性は高めに保つことができる。それにより、空力荷重を最適化しやすくなる。

    ノリスが語る2026年マイアミのレース像
    ランド・ノリスにとって、マイアミは特別な場所だ。2024年にF1初優勝を挙げ、2025年にはスプリントで勝利し、決勝でも2位に入った。

    2026年のマシンは大きく変わっているが、ノリスはそれがレースの性質を根本的に変えるとは考えていない。

    「ある意味では、それほど多くのことは変わらない」

    「高速の第1セクターがあり、非常に低速の中間セクターがある。ストレートとコーナーの配置を考えると、バッテリーをどう使うか、あるいはどう温存するかという点で、かなり良いレースになる可能性がある」

    「オーバーテイクのために使いすぎれば、次のストレートで相手がすぐに抜き返してくることは分かっている。でも、素晴らしいレースになるかもしれない。本当に様子を見る必要がある」

    「過去数年、このサーキットでは僕たちは非常に良いパフォーマンスを発揮してきた。ドライバーとしてだけではなく、チームとしてだ。昨年はペースという点でシーズン最高のサーキットのひとつだったし、今年も他の場所より少しマシンに合っているかもしれない」

    2024年ノリス初優勝を決めたセーフティカーの妙
    マイアミGPは2022年に初開催された。そのなかで最も印象的なレースのひとつが、2024年のノリス初優勝だった。

    ノリスは6番手スタートで、フロント集団の後方につけていた。ほかの上位勢と同じくミディアムでスタートし、タイヤを労わりながら無理に攻めすぎず、前のマシンがピットに入るなかで順位を上げていった。

    27周目には首位に立ち、オーバーカットを機能させていたが、決定的だったのは29周目に出たセーフティカーだった。

    通常のグリーンフラッグ下でのピットストップは17秒を失うが、セーフティカー中ならそれが9秒に縮まる。ノリスはピットに入りながら首位を守ることができた。

    ノリスにとって幸運なタイミングだったのは事実だが、早めにピットへ入り、アンダーカットを仕掛けたり、新しく速いタイヤでアンダーカットを防いだりする側は、まさにこうした展開をリスクとして背負っている。

    2023年フェルスタッペンのハードタイヤ戦略
    2023年のマイアミでは、マックス・フェルスタッペンが9番手スタートから異なる道を選んだ。トップ10のうち8台がミディアムを履くなか、フェルスタッペンはエステバン・オコンとともにハードを選択した。

    速いマシンが本来より後方にいる場合、ロングスティントを狙い、ミディアムやソフト勢がピットインしたところでトラックポジションを得る戦略は珍しくない。

    ただしフェルスタッペンの場合、より頑丈なハードで長く攻め続け、コース上で順位を上げていった。3周目に8番手、4周目に6番手、8周目までに5番手、9周目には4番手に浮上。14周目にカルロス・サインツ、15周目にフェルナンド・アロンソを攻略し、チームメイトのセルジオ・ペレスの背後に迫った。

    ペレスが20周目終わりにピットインすると、フェルスタッペンは首位に立った。その後もプッシュを続け、45周目に自らのピットストップを行った時点で、ペレスのわずか1.7秒後方に戻った。

    大きなタイヤ差を生かして容易に抜き返し、そのまま勝利へ向かった。マイアミでフェルスタッペンが越えるべき山は大きかったが、完璧な戦略によって、その登りを穏やかな散歩のように見せた。

    華やかさの裏で問われるリスク管理
    マイアミGPはショーとしての華やかさが際立つ一方で、F1チームにとっては判断の連続となる週末だ。限られたプラクティス、タイヤ配分、スプリント形式、新レギュレーション、アップデート投入、そして低速区間とストレートモードの組み合わせが、戦略とセットアップの難度を押し上げる。

    速さだけではなく、どのリスクを取り、どのリスクを避けるか。その判断の精度が、2026年マイアミGPの結果を大きく左右することになる。

    Source: Formula1.com / Marsh

  • F1マイアミGP 雨予報もアービッド・リンドブラッドは冷静「結局は全員同じ条件」

    F1マイアミGP 雨予報もアービッド・リンドブラッドは冷静「結局は全員同じ条件」

    2026年シーズン序盤を終え、レーシングブルズのルーキーであるアービッド・リンドブラッドは、マイアミGPを前にしたインタビューでここまでの戦いを振り返った。天候悪化が予想される週末にもかかわらず、18歳のドライバーは冷静な姿勢を崩していない。

    短いインターバルを経て迎えるマイアミでは、エネルギーマネジメントや新レギュレーションへの適応が引き続き重要なテーマとなる。リンドブラッドは休養と準備の両面で手応えを感じつつも、まだ学ぶべきことが多い段階にあると強調した。

    短い休養期間でのリセットと準備
    アービッド・リンドブラッドはシーズン序盤からマイアミまでの期間について次のように語った。

    「良かった。正直に言って、シーズンのスタートがかなり早かった。ほとんどオフシーズンがなかったから、少し自由な時間があったのは良かった」

    「同時に、こんなに早い時期に休みを取るのは少し不思議な感じもあった。でも友人や家族と過ごしてリフレッシュできたし、シミュレーターでエンジニアと作業して、最初の数戦を振り返ることもできた。何が良くて何が悪かったのかを整理できた」

    鍵となるエネルギーマネジメント
    今季の重要課題であるエネルギー管理について、リンドブラッドはその難しさを強調する。

    「結局、みんなが改善しようとしているのは新しいパワーユニットとエネルギーの使い方だと思う。予選でどう最大化するか、ドライビングの工夫も含めてね」

    「レースではブーストや攻撃・防御のためのツールがあって、状況によって使い方がまったく違う。追い抜く側ならエネルギーを使えるし、前にいれば防御になる。だからどう使うかを理解することが重要だ」

    さらに予選における違いについても言及した。

    「速いマシンほどコーナーで速くて全開区間が長いから、エネルギーを回収する時間が少ない。だからメルセデスやフェラーリ、マクラーレンのようなトップチームは予選でより多くのエネルギー管理が必要になる」

    「一方で僕たちはそこまで速くないから、ほぼ常に全開で走っている。理想的には常に全開で走れればいいけど、今のところ大きな問題ではない」

    アービッド・リンドブラッド マイアミグランプリ

    雨予報にも動じない冷静さ
    週末に向けては雷雨の可能性も指摘されているが、リンドブラッドは意に介していない。

    「結局は全員同じ条件だし、どうなるか見てみよう。ここは天候がすごく変わりやすい」

    「去年のスプリントでは大きな嵐が来てレースが遅れたけど、最終的にはドライタイヤになった。だから4日後に起きることを気にしても意味はないし、自分でコントロールできることでもない」

    開発競争の中での現在地
    今後のアップデートについては、極めてシンプルな方向性を示している。

    「基本的にはダウンフォースの追加だと思う。今は完全に開発レースの段階にある。この新しいマシンのサイクルはまだ始まったばかりだから、どのチームもできるだけ多くのダウンフォースを追加しようとしている」

    シーズン序盤の評価についても前向きだ。

    「最初のレースについても少し話したけど、全体としてはかなりポジティブだった。満足している部分もあるし、自信につながる瞬間も多かった」

    「もちろん改善できた場面もあって、そこから学ぶこともできた。ルーキーとしては、自信をつけながらも失敗でそれを失わないことが重要だと思う」

    マイアミでは天候、エネルギー管理、そして開発競争という複数の要素が交錯する。その中でリンドブラッドは、状況に左右されすぎることなく、自身の成長にフォーカスする姿勢を貫いている。

  • コラピントの将来に不透明感 アルピーヌF1で立場揺らぐ 角田裕毅が浮上

    コラピントの将来に不透明感 アルピーヌF1で立場揺らぐ 角田裕毅が浮上

    フランコ・コラピントの将来に不透明感が広がっている。アルピーヌF1チーム内での立場に揺らぎが生じているとされ、2027年に向けたドライバー市場の中で、その去就が焦点となりつつある。

    コラピントは商業面・政治面の強力な後ろ盾を持ち、母国アルゼンチンでの大規模イベントにも登場するなど注目度は高い。しかし、アルピーヌ内部の環境や近年のドライバー起用方針を踏まえると、長期的なシート確保は安泰とは言えない状況だ。

    アルゼンチンでの存在感と高まる注目
    週末にブエノスアイレスで開催されたデモンストレーションイベントで、コラピントは旧型アルピーヌをドライブし、さらにファン・マヌエル・ファンジオの伝説的マシンであるメルセデスW196のレプリカも走らせた。

    このイベントには約60万人の観衆が集まったとされ、アルゼンチンGP復帰への機運の高まりとともに、コラピントの存在感を強く印象づけるものとなった。

    揺らぐシートと浮上する代替候補
    こうした注目度の高さとは裏腹に、コラピントの立場は安定しているとは言い難い。アルピーヌは近年、ドライバー起用においてドライな判断を下してきたチームであり、状況次第では早期の方針転換もあり得る。

    その中で、2027年に向けた候補として名前が挙がっているのが角田裕毅だ。現在レッドブルのリザーブドライバーを務める角田裕毅は、複数のチームから関心を集めているとされ、アルピーヌもその選択肢のひとつと見られている。

    角田裕毅

    ブリアトーレ体制がもたらす不確実性
    アルピーヌの意思決定には、アドバイザーであるフラビオ・ブリアトーレの影響力も指摘されている。かつてF1に参戦したネルソン・ピケJr.は、ブリアトーレのマネジメントについて次のように語っている。

    「僕にとって最大のミスは、フラビオをマネージャー兼メンターにしたことだった」

    「それは僕と両親のミスだった。心から信頼できる人がいなかった」

    「彼は6人、7人、あるいは8人のドライバーを抱えていた。僕はその中の単なる一人に過ぎなかった」

    「彼は自分自身の利益を最大化するために、パズルのようにドライバーを扱っていた」

    現在もチーム内で影響力を持つとされるブリアトーレの存在は、ドライバーの立場をより流動的なものにしている可能性がある。

    ピケJr.は若手ドライバーに対しても警鐘を鳴らしている。

    「もしフランコに適切な導きがあるなら、彼の利益を守らなければならない。それが最も重要なことだ」

    「多くのドライバーを抱える大きなマネジメントに所属している場合、自分が最優先ではなくなる。本当に自分のために立ち上がってくれる存在が必要だ」

    2027年に向けたシート争いの行方
    コラピントは現在、ブレット・スポーツ・マネジメントに所属しているが、アルピーヌ内部の力学やドライバー市場の変動を踏まえると、その将来は依然として不透明だ。

    角田裕毅の動向とあわせて、2027年に向けたアルピーヌのシート争いは、今後さらに注目を集めていくことになりそうだ。

    Source: GMM

  • アントネッリ F1マイアミGP木曜に“珍事件” メルセデスが動画公開

    アントネッリ F1マイアミGP木曜に“珍事件” メルセデスが動画公開

    2026年F1第4戦マイアミGPの開幕を前に、選手権リーダーのアンドレア・キミ・アントネッリに思わぬ“ハプニング”が起きた。木曜日のパドックで、レースエンジニアのピーター・ボニントンとのやり取りの中で小さなトラブルが発生し、その様子がメルセデスの公式SNSに投稿された。

    一見するとトラブルではあるが、その内容は深刻なものではなく、むしろチーム内のリラックスした雰囲気を象徴する出来事だった。開幕から好調を維持するアントネッリとメルセデスの現在の空気感が、そのまま映し出された形だ。

    アントネッリとボニントンに起きた“珍事件”
    動画では、アントネッリが長いインターバルを経てボニントンと再会し、軽く挨拶を交わす場面が映っている。しかしその際、ボニントンの持っていた紅茶のカップに手が当たり、中身をこぼしてしまうというアクシデントが発生した。

    紅茶はデスク周りや衣服にかかってしまったが、アントネッリはすぐに反応し、自ら拭き取りを手伝った。軽いミスではあったものの、その素早い対応はドライバーとしての反応速度の高さを感じさせるものだった。

    この一連のやり取りはユーモラスな演出として編集され、チームの公式チャンネルに投稿。ファンの間でも好意的に受け止められている。

    好調維持へ向けたマイアミの重要な週末
    アントネッリは上海と鈴鹿で連勝を飾り、チームメイトのジョージ・ラッセルを上回ってランキング首位に立っている。マイアミ入りまでの期間は、スタートの改善に重点を置いて準備を進めてきたとされる。

    今回の“珍事件”で週末は始まったが、チーム内の関係性は良好で、すぐに通常の業務へと戻っている。ドライバーとエンジニアの連携は維持されており、競争力にも影響はない。

    マイアミでは連勝をさらに伸ばし、タイトル争いをリードする立場を確固たるものにできるかが焦点となる。現在の勢いを考えれば、アントネッリにとって重要な一戦となるのは間違いない。

  • ROOKIE Racing 小林可夢偉をスーパーGT富士で起用へ 鈴木斗輝哉から変更申請

    ROOKIE Racing 小林可夢偉をスーパーGT富士で起用へ 鈴木斗輝哉から変更申請

    ROOKIE Racingは5月1日、公式SNSを通じて、スーパーGT第2戦富士(5月3〜4日/富士スピードウェイ)に向けたドライバー体制について言及し、#32 TEAM ENEOS ROOKIEのラインアップ変更を申請する方針を明らかにした。

    発表によると、GT300クラスに参戦する同チームは、鈴木斗輝哉に代えて小林可夢偉を起用する方向で手続きを進める予定だという。

    ただし、この変更はあくまで申請段階であり、競技会組織委員会および審査委員会の承認を経て初めて正式決定となる。

    TEAM ENEOS ROOKIEは2026年からGT300クラスに挑戦しており、開幕戦岡山では石浦宏明と鈴木斗輝哉のペアで臨んだが、結果は16位だった。続く富士ラウンドに向けては、鈴木が交通違反に伴う影響でレース活動を一時見合わせる状況となっており、代替ドライバーの動向が注目されていた。

    その中で名前が挙がったのが小林可夢偉だ。F1での経験に加え、ル・マン24時間レース総合優勝という実績を持つほか、GT3マシンでの走行経験も豊富。スーパーGTでは近年レースから遠ざかっているため、規定上はルーキーテストの対象となる可能性があるが、過去には公式練習内で対応されたケースもあり、参戦に向けたハードルはクリア可能とみられる。

    なお、スーパーGTのレギュレーションでは、エントリー確定後のドライバー変更はやむを得ない事情がある場合に限られ、主催者側の承認が必須とされる。今回のケースもその手続きに従う形となり、最終的な可否は大会初日の確認を経て判断される見通しだ。

    石浦宏明との新たなコンビが実現すれば、GT300クラスにおける注目度は一気に高まりそうだ。まずは正式承認の行方に注目が集まる。