カテゴリー: キャデラックF1チーム

  • 角田裕毅 キャデラックF1でボッタスと組む可能性は? 夏にも1人目発表か

    角田裕毅 キャデラックF1でボッタスと組む可能性は? 夏にも1人目発表か

    キャデラックF1チームの初陣となる2026年シーズンのドライバーラインアップに、バルテリ・ボッタスまたはセルジオ・ペレスのいずれかが含まれる可能性が高まっている。中でも、メルセデスのリザーブドライバーを務めるボッタスとの契約が最も早く進展する見込みだ。そこには角田裕毅の名前も含まれている。

    ゼネラルモーターズ(GM)が所有するこの新チームは、F1グリッド参戦を翌年に控え、現在利用可能なドライバーを慎重に精査中。

    チーム代表のグレアム・ロードンが率いるグループが選考を主導するが、最終決定はGMとTWGモータースポーツの共同経営陣に委ねられる。

    先週末のF1イギリスGPでは、TWGのCEOダン・トーリスを含むキャデラック関係者が現地入りし、複数の交渉を行った模様だ。現時点で契約が締結されたドライバーはいないものの、インディカーに参戦するアンドレッティ(TWGの関連チーム)のアイオワ戦ダブルヘッダー後に、主要関係者が再集結し、1人目の契約にゴーサインが出る可能性もある。

    キャデラックの有力候補は、いずれも複数勝利経験を持つ元F1ドライバーのボッタスとペレス。グレアム・ロードンは最近「初年度の新チームには経験豊富なドライバーが大きな助けになる」と語っており、この2人は理想的な選択肢と見られている。

    キャデラック F1

    ボッタスは今季メルセデスのリザーブドライバーとしてF1の現場にとどまりながら2026年復帰を目指しており、キャデラックに強い関心を示している。アルピーヌもドライバー候補としてボッタスに打診しているが、本人はより長期的な将来を見据えてキャデラックに傾いているようだ。

    一方ペレスは、レッドブルを2024年末で離れて以降F1から距離を置いているが、最近になってキャデラック首脳陣と対面で面談したことが確認されている(ただしイギリスGP現地ではなかった)。

    経験豊富なペレスとボッタスのコンビ起用も視野にあるが、経験者1名+既にF1参戦歴のある若手の組み合わせも選択肢として検討されており、完全なルーキードライバーを起用する可能性は低い。

    キャデラックはまず1人目の契約を夏休みまでに決定し、2人目についてはマーケットの動向を見ながら時間をかけて決める戦略を取っている。そのため、比較的交渉がスムーズとされるボッタスとの契約が8月にも正式発表される可能性がある。

    角田裕毅 キャデラック F1

    2人目の候補としては、角田裕毅の名前も挙がっている。角田は現在レッドブルにフルサポートを受けながらシーズン後半に向けて巻き返しを図っているが、来季以降の去就が流動的なため、キャデラック側は代替案として注視している状況だ。

    キャデラックはF1参戦初年度において最下位に甘んじる可能性も現実的に見据えており、困難な状況でもチームと一体となって取り組めるドライバーを求めている。自己中心的にならず、開発・成長に貢献できる姿勢が重要視されている。

    現役から離れているペレスに対し、リザーブとして活動中のボッタスやフェラーリ所属の周冠宇は、F1現場との関わりを保っている点でアドバンテージがある。特に周冠宇は、フェラーリの2026年タイヤテストにも参加しており、キャデラックのエンジン供給元がフェラーリであることを考えれば、その関係性が評価材料になる可能性がある。

    もっとも、GM側が米中間の地政学的リスクを踏まえて、中国人ドライバー起用に慎重姿勢を取る可能性も否定できない。状況の変化によっては再評価されるかもしれない。

    このようにキャデラックは、各方面と接触しながら時間をかけて慎重にラインアップを構築中だ。グレアム・ロードンは「他チームの動きに縛られずにじっくり評価できるのが我々の強み」と語っており、時間的余裕を活かして最適なチーム作りに努めている。

    候補者にはほかにも、元アルピーヌのジャック・ドゥーハン(現在リザーブとして活動中)、アストンマーティンのリザーブで2022年F2王者のフェリペ・ドルゴビッチ、アルピーヌのリザーブでルーキーのポール・アロンなどが含まれており、いずれもキャデラック側との接触が確認されている。

    ただし、実戦経験が少ない点や、他チームとの契約状況がネックになる可能性があるため、最終的な選考では経験豊富なドライバーが優先される見通しだ。

  • フェリペ・ドルゴビッチ キャデラックF1候補も「多くのドライバーが交渉」

    フェリペ・ドルゴビッチ キャデラックF1候補も「多くのドライバーが交渉」

    フェリペ・ドルゴビッチは、キャデラックF1チームの候補として名前が挙がっているが、新チームが多数のドライバーと交渉している現状に懸念を示している。

    2022年にF2王者となったブラジル人ドライバーのドルゴビッチは、以降アストンマーティンのリザーブとしてF1に帯同。これまでに数回のFP1出走経験があり、2023年のプレシーズンテストでは負傷したランス・ストロールの代役も務めた。ただし、F1での決勝デビューはいまだ果たしていない。

    今週末にはフォーミュラEのベルリンE-Prixで初めて世界選手権のシングルシーターで競技デビューを果たしたドルゴビッチが、最終目標はあくまでF1にあるという。

    RacingNews365にF1参戦の可能性を問われたドルゴビッチは、次のように語った。

    「正直なところ、どうなるか分からない。今は来年に向けてどんな可能性があるかを模索している段階だ」

    「来年何かがあるかもしれないし、ないかもしれない。でも同時に、1年を通してしっかりレースに集中できる環境も必要なんだ。単発の代役を探し続けるような状況ではなくて、腰を据えて取り組めるものを探している」

    キャデラック F1 フェリペ・ドルゴビッチ

    ドルゴビッチの名前は、キャデラックが関心を寄せている複数のドライバーの1人として挙げられており、そのリストにはバルテリ・ボッタスやセルジオ・ペレスも含まれている。

    このアメリカ新チームが来季の選択肢のひとつであることをドルゴビッチも認めており、こう述べている。

    「うん、選択肢のひとつではあるよ。でも同時に、彼らは本当にたくさんのドライバーと話しているから、とても難しい」

    「もちろん僕はそこにいたいし、F1でレースをしたい。F1で走るのはずっと夢だったし、それを目指して努力している」

    「でも同時に、F1の外にもレースはある。F1の外にも人生はあるから、少し様子を見るしかないね」

  • キャデラックF1チーム代表 ダニエル・リカルドを候補から除外「計画はない」

    キャデラックF1チーム代表 ダニエル・リカルドを候補から除外「計画はない」

    キャデラックF1の代表を務めるグレアム・ロードンは、2026年のF1参戦に向けてダニエル・リカルドをチームのエースに据える計画は「ない」と明言した。

    リカルドは、前年のシーズン終盤6戦を残してレッドブルの姉妹チーム、レーシングブルズのシートをリアム・ローソンに奪われて以降、F1から離れている。

    前レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーは「キャデラックがリカルドの経験に目をつけるのも不思議ではない」と語っていたが、ロードンはそれを否定した。

    ロードンはポッドキャスト番組『High Performance Podcast』の中で、「彼自身、F1に興味がないとはっきり公言している」と述べたうえで、こう続けた。

    「もし私が誰かを説得しなければならないのであれば、それは間違った相手だ」

    「F1ドライバーにクルマに乗ってもらうのに説得は不要なんだ。私は何の問題も感じていないし、誰もが自分の意思で決断できると思っている」

    キャデラック F1

    10人規模の候補リスト 目標は「F1経験者の獲得」
    2026年のF1デビューに向けて、キャデラックはすでに複数の候補ドライバーをリストアップしており、その数は10名に及ぶという。

    ロードンは「我々は少なくとも1人はF1の経験を持つドライバーを起用したいと考えている」と明かした。

    その候補として挙がっているのが、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスだ。両者はともに現在のF1シートを失っているが、復帰への意欲を示している。

    とくにボッタスについては、ザウバーからの契約非更新後、精力的に復帰の道を模索している。キャデラックCEOのダン・トーリスもSky Sportsに対して次のように語っている。

    「バルテリはキャデラックのシート候補として非常に魅力的な存在だ。素晴らしいドライバーだし、選択肢は開かれている。我々は現在のプロセスの進捗に自信を持っている」

    一方で、ボッタスには2025年中にもアルピーヌが再度ドライバー交代を行う場合の選択肢として関心を示しているという報道もあり、ペレスも引き続きキャデラックの選択肢に残されている。

    レッドブルは2024年シーズン終了時にペレスとの契約を打ち切ったが、キャデラックは2024年に見せた不振について「懸念はしていない」としている。

    ペレスはレッドブル時代に複数の勝利を挙げており、さらに長年の個人スポンサーによる資金的後ろ盾もある点が、チームにとっては魅力となる。

    ロードンは「時間をかけてでも最良の組み合わせを見つける」として、ドライバーラインアップ選定に慎重な姿勢を貫いている。キャデラックは2025年からF1に加わる11番目のチームとして、2台の新シートを提供する予定だ。

  • バルテリ・ボッタス キャデラックとアルピーヌの両F1チームと交渉を認める

    バルテリ・ボッタス キャデラックとアルピーヌの両F1チームと交渉を認める

    2026年にF1参戦を控えるキャデラックと、最下位に沈むアルピーヌ。バルテリ・ボッタスは現在、両チームと交渉が行われていることを正式に認めた。

    10度のグランプリ優勝経験を持つボッタスは今季、メルセデスのリザーブドライバーとして全戦に帯同しているが、来季に向けたF1復帰が現実味を帯びてきている。

    2026年にF1参戦を控えるキャデラックと、最下位に沈むアルピーヌ。バルテリ・ボッタスは現在、両チームと交渉が行われていることを正式に認めた。

    10度のグランプリ優勝経験を持つボッタスは今季、メルセデスのリザーブドライバーとして全戦に帯同しているが、来季に向けたF1復帰が現実味を帯びてきている。

    F1オーストリアGPでは、メルセデス代表トト・ヴォルフとアルピーヌの首脳フラビオ・ブリアトーレとの間で30分にわたる会談が行われたと報じられた。その議題は、ブリアトーレがマネジメントするルーキー、フランコ・コラピントの後任としてボッタスを起用する可能性だった。

    「ええ、その通りだと思う」とボッタスはViaplayの取材に対し、ブリアトーレとの交渉を認めた。

    「彼が最初に関心を示したのはトトを通じてだった」

    アルピーヌは2025年から高額なメルセデス製パワーユニットのカスタマー供給を受けるため、ボッタスの起用は政治的な連携強化の意味も含まれていると見る向きもある。

    しかし、本人は短期契約には慎重な姿勢も見せた。

    「どこかで短期間だけ走ることが、自分にとって何か意味があるのかどうか、正直分からない」

    「自分の本当の焦点は2026年以降にある。今年よりも来年の話のほうが多くなるだろうと思っている」

    ボッタスが中長期的な選択肢として重視しているのが、キャデラックだ。新チームの代表グレアム・ロードンは、F1イギリスGPの週末にボッタスら候補ドライバーと接触したとされる。

    「今の状況としては、確かに交渉は行われている」とボッタスは明言した。

    「でもまだ話し合いの段階だ。去年学んだが、このスポーツでは紙に名前が載るまでは何も確定じゃない」

    「今のところ、あらゆる選択肢を探っている段階だ」

    その「選択肢」のひとつとして、2025年後半のアルピーヌ加入も視野に入っている。契約延長の保証はなく、あくまで暫定的な参戦となる可能性もあるが、ボッタスは即時参戦への準備もできていると語った。

    「いつでも乗れる準備はできている」

  • 角田裕毅 キャデラックF1チームと代理人がモナコGPの週末に非公式な接触

    角田裕毅 キャデラックF1チームと代理人がモナコGPの週末に非公式な接触

    2026年にF1参戦を果たすキャデラックのドライバー候補として、角田裕毅の名前が再び注目を集めている。レッドブル本隊への昇格後は厳しい評価基準に晒され苦戦が続いており、ホンダとの提携終了も控える中、F1キャリア継続には新天地が必要となる可能性が高い。

    すでにモナコGPの週末にはキャデラック側と非公式な接触があったとされ、マーケティング面と経験値の両面で強みを持つ角田にとって、この新興チームは“第二章”の出発点となり得る。

    キャデラックは、初戦となるF1オーストラリアGPに向けて準備を加速させている。F1にとって11番目のチームとしてグリッドに加わるこのアメリカンブランドは、バルセロナとバーレーンでの10日間のプレシーズンテストを経て本格的なデビューを迎える。

    一方で、注目のドライバーラインアップはまだ発表されていない。チームは「今はマシン開発が最優先」としており、ドライバー決定はまだ先と明言している。

    マシン開発が最優先 ドライバー決定は「その後」
    キャデラックF1のチーム代表を務めるグレーム・ロウドンは、先日メディア向けに新ファクトリーの内覧会を実施。その場で「ドライバー選定が他チームほど優先事項になっていない」と語った。

    「ある見学者がこう言った。『ここまでの規模の準備が進んでいるのを見ると、他チームのようにドライバーを最優先にしない理由が分かる』と。まだ何も決まっていないが、我々はまずクルマを仕上げる必要がある」とロウドンは説明した。

    またF1のドライバー市場は、例年夏に活発化する“シリーシーズン”に突入しつつある。マックス・フェルスタッペンの将来的な移籍説など、トップドライバーの去就次第で市場全体が大きく動く可能性もあり、キャデラックとしても焦って動く必要はないと判断している。

    本命候補:セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタス
    ロウドンは「市場の状況は把握しているし、我々が必要とする人材像も明確だ。初年度のチームにとっては経験のあるドライバーが非常に有益になる」と述べ、経験豊富なドライバーを起用する方針を示唆した。

    そこで筆頭候補とされているのがセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスの2名だ。

    ペレスは2024年末でレッドブルを離れ、現在はフリーの立場。レッドブルではフェルスタッペンと比較され続けたことで苦しい時期が続いたが、2023~2024年の成績に対しては再評価の声もある。ESPNによると、キャデラックはペレスの契約終了後すぐにコンタクトを取ったという。現在は家族と過ごす時間を楽しんでいるものの、ペレスは今なおラテンアメリカ市場で絶大な人気を誇り、新興チームの顔としては理想的な存在だ。

    ボッタスもまた、メルセデス時代の経験に加え、ザウバーでの再起を果たした安定感あるベテランとして評価されている。最近では自身のSNSにキャデラックのシートに座る写真と共に「これは快適だ」と投稿し、ファンの注目を集めた。すでにキャデラック側と交渉が進行中とされ、加入の可能性は高い。

    角田裕毅にとってキャデラックは「救済」となるか
    そして注目すべきもう一人の候補が角田裕毅だ。

    2025年シーズン途中にレッドブル本隊へと昇格した角田裕毅だが、日本GP以降は苦戦が続いている。マックス・フェルスタッペンという絶対的エースと同じマシンで戦うという状況は、かつてペレスが直面したのと同様の厳しい比較に晒されており、実力の正当な評価が難しい環境にある。

    昇格の裏側には、ホンダによる2025年限りのエンジン供給契約と引き換えに、角田裕毅のレッドブル昇格を促す動きがあったとされている。しかし、そのホンダがF1から撤退する今、レッドブルにとって角田を残留させる理由は薄れつつある。

    そうした中で、キャデラックという新チームは角田裕毅にとって“第二のF1キャリア”を築くための理想的な舞台となる可能性を秘めている。

    ESPNの報道によれば、角田裕毅の代理人は2025年モナコGPの週末にキャデラックと接触しており、非公式な話し合いが進められていたという。4月の昇格によって一時中断されたものの、現在のパフォーマンス次第では再び交渉が活発化する可能性が高い。

    角田裕毅はレッドブル系チームでのF1経験が豊富で、マシン開発やチームとの連携にも定評がある。さらに日本と欧州をまたぐ広範なファンベースを持ち、マーケティング面でも価値が高い。新興チームであるキャデラックにとって、技術・経験・市場性のすべてを備えた角田は、まさに有力な候補だといえる。

    角田裕毅 キャデラック F1

    他の候補:周冠宇とアメリカ人ドライバー
    キャデラックのチーム代表であるロウドンがマネージャーを務める中国人ドライバー、周冠宇の名前も候補として挙がっている。F1での目立った成績は残せなかったものの、アジア市場での影響力を重視するキャデラックにとっては魅力的な存在だ。現在はフェラーリのリザーブとして活動しており、F1との関係を維持している。

    また、アメリカ企業であるキャデラックとしては、米国人ドライバーの起用も長年の目標だ。インディカーのコルトン・ハータはその筆頭候補とされてきたが、スーパーライセンス取得のためには今季ランキング4位以上が必要であり、条件を満たすかどうかは不透明だ。

    一方、F2で活躍中のアメリカ人ドライバー、ジャック・クロフォードは現在ランキング3位。モナコとイモラで勝利を挙げており、ライセンス条件を満たせばF1昇格も現実的となる。アストンマーティンのリザーブドライバーでもあり、将来性の高さが評価されている。

    リカルドは「完全引退」か
    一方で、長らくファンから復帰が待望されているダニエル・リカルドは、キャデラックの候補には入っていないようだ。2024年シンガポールGP後にレッドブルから契約を打ち切られた後、F1界から姿を消し、現在はパースの自宅で農場生活を送りながら、ワインやアパレル事業に注力している。

    昨年ニューヨークでのイベントでは、ファンに「キャデラック?」と尋ねられた際、「もう終わったよ」と返答。ESPNの情報によれば、本人はF1復帰には全く興味を示しておらず、事実上モータースポーツ界からの引退を決断したとされている。

    決断の時は近い
    F1の夏が深まるにつれ、ドライバー市場はさらに活発化する。キャデラックが誰をパートナーに選ぶのかは、単にチームの未来を左右するだけでなく、F1全体のシート争いに影響を及ぼすことは間違いない。

    経験豊富なベテランか、新たな才能か。あるいはアメリカの夢を託す地元ドライバーか――すべての視線がキャデラックの決断に集まっている。

  • キャデラックF1チーム 2026年F1参戦に「NASA式」管理体制で準備加速

    キャデラックF1チーム 2026年F1参戦に「NASA式」管理体制で準備加速

    キャデラックF1チームは、767日にも及ぶ過酷な申請プロセスを経て、2026年のF1グリッドに参戦する権利を獲得した。新シーズンに向けたカウントダウンが始まるなか、オートスポーツ誌はシルバーストンにある同チームの施設を訪問した。チームは現在、インディアナポリスに本拠地を建設中である。

    キャデラックF1チームにとって、すでにF1レースは始まっている。

    一からスタートして、F1マシンを設計し、製造し、テストしたうえで、開幕戦のオーストラリアGPへ向かう必要がある。しかも、時間は極めて限られている。チームがF1参戦の正式承認を受けたのはわずか11か月前のことで、それまでの申請は却下されていた。

    このチームの登場は特別な意味を持つ。F1に新たなチームが加わること自体が重要だが、既存の10チームとは異なり、主な拠点がアメリカに置かれる点が際立っている。キャデラックF1チームは、インディアナ州フィッシャーズに広大な専用施設を建設しており、そこが長期的な本部となる予定だ。

    キャデラックF1チーム

    現時点では、シルバーストン・サーキットの向かいにある一連の倉庫群にて、初のF1マシンの設計・製造が進められている。始動時にはわずか3名でスタートしたチームは、現在約600名の体制にまで成長している。

    そのひとりである元マルシャF1代表のグレーム・ロードンは、オートスポーツ誌に施設内を案内しながらこう語った。

    「現行のF1カレンダーに基づけば、我々には実質的に1年も猶予がない。フリープラクティスまであと364日ということになる。そして見ての通り、やるべきことは山ほどある」

    「これはアメリカのチームであり、本社はインディアナ州フィッシャーズにある。ここシルバーストンにあるのは、グリッドに立つために必要な“ナットとボルト”だ」

    「ただし、チームにはそれ以外の側面もあって、アメリカ側については適切なタイミングで発表できることを楽しみにしている」

    「チーム作りにおいて最大の課題、そして最も重要な要素は“人材”だ。109日前にこのプロジェクトが始まり、初戦まで残り約250日である。全体の3分の1を経過した段階で、すでに全体の67%の人員を確保できている」

    「F1チームとしてレースを戦うにはおよそ600人の体制が必要だが、我々はすでにその3分の2に到達している。もしかすると現時点でF1グリッドの中で最小チームではないかもしれない」

    シルバーストンにある施設群は、いずれは4棟に集約される予定であり、イギリス側の技術センター、生産センター、物流センターの3つが主要機能を担うことになる。小規模な機械加工施設も併設される見込みだ。

    「すでに約6,000点の図面を発行し、10,000点の部品を製造している」とロードンは明かした。

    「将来的にフィッシャーズは我々の製造拠点となるが、それには相当な時間がかかる。まず建物を建て、機材を導入し、人員を雇用し、トレーニングを行わねばならない」

    「そのため、現段階では外部サプライヤーへの依存度が高い。今週だけで30社の新規サプライヤーと契約した。これは膨大なサプライヤー管理業務を意味するが、将来的には内製化を進めていく」

    「IT分野では、すでに425台のノートPCを配布した。既存チームであれば機材の更新だけで済むが、我々は一からの導入である。この規模の導入は非常に印象的だ」

    「IT部門単体で6,000件の購買発注を行っており、CFDデータは5ペタバイト(5,000兆ビット)を保管している」

    「しかもこれらは、存在しなかったインフラを新たに構築して、雇用したばかりのスタッフたちが成し遂げている」

    キャデラック F1

    キャデラックF1チームは、米国と英国に加えて、GMの拠点があるミシガン州ウォーレンおよびノースカロライナ州シャーロットの施設も活用し、将来的にはGM製のパワーユニット供給も視野に入れている。これに伴い、管理体制は多国間・多拠点に対応可能な構造である必要があるとロードンは語った。

    「我々の管理体制について話し出すと止まらなくなるかもしれない」と彼は笑いながら語った。

    「やらなければならない仕事を見渡せば、締切は動かせず、エンジニア同士の直接対話も必須である。シルバーストンのエンジニアがシャーロットやミシガン、フィッシャーズのエンジニアと直接やり取りできなければならない」

    「そこで、ピラミッド型の指揮命令型組織ではなく、フラットな“ミッションコントロール”型の組織を採用している。これはNASAのアポロ計画に着想を得たものだ」

    「もちろん、我々は月に人を送ろうとしているわけではないが、時にはそう感じることもある」

    「モータースポーツチームはしばしば軍隊的に例えられる。トップに指揮官がいて、命令を出す。しかし、我々のような多拠点チームではそれはうまく機能しない。階層構造を上下に移動して、さらに国境を越えてまた上下に移動する……そんな非効率を避けるため、横の連携を重視する構造を導入している」

    キャデラック F1 TWGグループ

    F1の主たる拠点を米国に構えることで、キャデラックF1チームは独自の競争力を得られるとロードンは考えている。シルバーストンの施設は少なくとも10年間維持され、英国の熟練スタッフの採用拠点となる一方で、アメリカ国内ではエンジニアや技術者層の厚みを活かす。

    「我々はアメリカ人スタッフを採用していく。その中には、ここでトレーニングを受ける者も出てくるだろう」

    「F1は英国または欧州でしかできないという認識があるが、アメリカには非常に高度なエンジニアリングが存在する。彼らは本当に月に人を送ったのだから」

    「すでにGMと進めている複数のプロジェクトにおいても、技術レベルは非常に高いと感じている。もちろん法律の違いなどはあるが、人材の確保という面ではまったく問題ない。それどころか、むしろ競争力の源になると確信している」

    一方、ドライバーラインアップについては未定である。10回のグランプリ勝利経験を持つ現メルセデスF1リザーブドライバー、バルテリ・ボッタスや、2024年限りでF1を離れたセルジオ・ペレスの名が挙がっているが、ロードンは詳細を語らなかった。

    「ある人が現場を見てこう言っていた。『これだけの作業を見れば、ドライバーが優先事項じゃないのも分かる』と。実際、その通りである」

    「もちろん、現在のドライバー市場や必要な人材についての理解はあるが、まだその段階に達していない。経験豊富なF1ドライバーがいることは、新チームにとって非常に大きな助けになるのは確かだ」

    F1参戦への道のりは始まったばかりで、課題は山積している。それでも、もしこのプロジェクトが“NASA方式”で進められているのだとすれば、キャデラックF1チームが本当に“月を目指す”チームであることに疑いの余地はない。

  • キアヌ・リーブス キャデラックF1参戦の裏側に迫るドキュメンタリーでホスト役

    キアヌ・リーブス キャデラックF1参戦の裏側に迫るドキュメンタリーでホスト役

    映画『マトリックス』などで知られるハリウッド俳優キアヌ・リーブスが、F1ドキュメンタリーのホストとして再び登場する。今度のテーマは、2026年からのF1参戦を目指すキャデラックF1チームの挑戦だ。

    リーブスは昨年、「ブラウンGP:不可能を可能にしたF1の物語(原題:Brawn: The Impossible Formula 1 Story)」でナレーター兼ホストを務め、2009年にジェンソン・バトンとともにタイトルを獲得した奇跡のシーズンを描いた4部構成のシリーズを成功に導いた。

    今回の新作でも前作と同じNorth Oneの制作チームと、リーブス自身のプロダクション「KR+SH」と再びタッグを組み、未脚本の複数パートからなる新シリーズのホスト兼エグゼクティブプロデューサーを務める。

    このシリーズでは、2026年3月のF1オーストラリアGPでのデビューを目指すキャデラックF1の舞台裏に完全密着。「F1という世界でもっとも排他的なスポーツへの参入に向けた、アメリカ発の新チームの創造過程を追う内容になる」としており、キャデラック側はリーブスと制作チームに独占的な取材アクセスを許可したという。

    キャデラック F1

    リーブスはこのプロジェクトについて次のように語っている。

    「キャデラックF1チームの驚くべき物語と、F1という世界に飛び込んでいく壮大な旅を描くことに関われることを非常に光栄に思っている。このドキュシリーズでは、その中心にある挑戦の本質を視聴者に届け、F1の舞台に立つために何が必要なのかを伝えていきたい」

    キャデラックF1のCEOであるダン・トーリスも、次のようにコメントしている。

    「加速されたタイムラインの中でゼロからF1チームを立ち上げる――その大胆な野心と執念を描く物語になる。キアヌの創造力は、F1の新たな世代のファンを迎え入れる火種として最適だ」

    シリーズのリリース日はまだ明かされていないが、2026年のF1開幕戦(オーストラリアGP)より前に公開される予定だ。

  • キャデラックF1 2026年参戦で求められる成功の条件とは

    キャデラックF1 2026年参戦で求められる成功の条件とは

    キャデラックは2026年にF1の11番目のチームとして参戦する予定だが、そのドライバーラインアップやマシンカラーリングなど、多くの不確定要素が残されたままだ。では、過去にF1に新規参入したコンストラクターたちは何を教えてくれるのだろうか。

    F1には時に、甘さを打ち消すような鋭さが必要になることがある。レモンソルベやラズベリークーリのような存在だ。2026年からのキャデラックの参入は、そのような要素をF1にもたらす可能性を秘めている。

    チームはフェラーリのパワーユニットを搭載し、シルバーストンを拠点に元F1関係者を中心とした体制を構築している。親会社のTWGグローバルとゼネラルモーターズから強力な支援を受けていることも確かだ。

    しかし、現時点でドライバーは未発表であり、リバリーやスポンサー(トミー・ヒルフィガーを除く)も明らかになっていない。2026年シーズンの序盤に向け、今後数か月の間に主要な契約が次々と決まっていくとみられる。GMが支援する「真のアメリカンチーム」として注目されることに疑いはない。ハースも自らをアメリカンチームと称してきたが、その運営モデルは実質的にヨーロッパ中心であり、イメージとは乖離していた。

    F1の歴史には、新規参戦チームが成功するために通るべき道筋が刻まれている。それは長く、困難に満ち、時に致命的な落とし穴もある。キャデラックもそれに足を取られる可能性があるが、それもまた学習の一環と言える。ただし、過信は禁物だ。自信過剰は失敗のもとであり、そこに陥ってはならない。

    本稿では、1990年以降に初参戦したチームを例に挙げる。資金難や組織の未熟さから短命に終わった多くの例を除外し、チーム買収ではなく純粋な新規参戦に絞っている。

    ポイント1:優れた信頼性のあるドライバーを惹きつけること
    成功例:ザウバー(1993)、スチュワート(1997)、BAR(1999)、ロータス・レーシング(2010)

    これらのチームは、F1で実績を持つ経験豊富なドライバーを説得し、チームに迎え入れるだけの魅力と競争力のある報酬を提供していた。ザウバーは、F1で2シーズン半の経験を持つJJレートを獲得し、メルセデスのプロテジェ(庇護下)であるカール・ヴェンドリンガーとコンビを組ませた。このうちヴェンドリンガーの方が輝きを放ったが、レートもキャラミでのデビューレースでチームに初ポイントをもたらす役割を果たした。

    スチュワート・グランプリは、ヤン・マグヌッセンと組ませる形でルーベンス・バリチェロを起用することに成功した。マグヌッセンの起用は期待ほどには機能しなかったが、彼は1994年の英国F3選手権で、ハッキネンやセナ以上の圧倒的な成績を残したことで高い評価を受けていた。なお、スチュワートは1996年王者のデイモン・ヒルの獲得も検討していたが、ヒルは新興チームへの加入はリスクが高すぎると判断して断った。

    その後継チームとなるBARは、1997年F1王者ジャック・ヴィルヌーヴを獲得し、1998年のFIA GT王者でもあるF3000王者リカルド・ゾンタと組ませた。BARの初年度は成功とは言えなかったが、ヴィルヌーヴ獲得は大きな成果だった。カナダ人の彼は、マクラーレンやベネトンでの可能性を断ってまで、旧友でチームマネージャーのクレイグ・ポロックの説得を受けてBARに残留した。

    2010年に「ロータス」としてF1に復帰したチームも、F1で勝利経験のあるヤルノ・トゥルーリとヘイキ・コバライネンという2人のドライバーを起用した。これは非常に魅力的なラインアップだったが、トニー・フェルナンデス率いるこのチームは既存チームに対抗するには至らず、初年度は無得点に終わった。2011年にはやや成績が向上したものの、2012年にはトゥルーリが直前でビタリー・ペトロフと交代した。ペトロフは堅実なレースを展開しつつ、チームの資金調達にも貢献した。

    失敗例:スーパーアグリ(2006)の第2ドライバー、パシフィック(1994)

    2名体制が基本となる現在のF1では、2人とも実力に欠けるという陣容は少ない。多くの場合、1人のベテランと1人の若手、あるいは経験者と資金提供者という組み合わせが主流だ。

    パシフィックの1994年体制を取り上げると、ベルント・ガショーは堅実かつ資金力もあるドライバーとして妥当な選択だったが、ポール・ベルモンドは完全に資金目当ての起用だった。F3000で5年間にわたってわずか3ポイントしか獲得していなかったベルモンドは、1992年に資金力を武器にマーチのシートを買い取り、11戦を走ったが非常に遅かった。その後1994年にガショーとともにパシフィックに加入した。

    F3000出身のこのチームは競争力のないマシンしか用意できず、ガショーはなんとか5回グリッドに並んだが、ベルモンドはモナコ(ザウバーの撤退)とバルセロナ(アンドレア・モンテルミニのクラッシュ)によって生じた空きで、かろうじて2戦に出場しただけだった。

    スーパーアグリも同様で、F1ファンに愛された英雄で後にインディ500を2度制する佐藤琢磨と、当時ほぼ無名だった井出有治を組ませた。チームはホンダの意向で日本人ドライバー起用を優先し、アグリ・スズキと旧知の間柄だった井出を起用。フォーミュラ・ニッポンでの成績も良好だったが、英国を拠点とするチームのエンジニアとまったく噛み合わず、わずか4戦でスーパーライセンスを剥奪された。その後、フランク・モンタニーが数戦に出走し、最終的には山本左近が残りのレースを走った。

    ポイント2:適切なパートナーを得ること
    成功例:スチュワート(1997)、トヨタ(2002)

    F1引退後、世界的なブランドと関係を築いてきたジャッキー・スチュワートは、世界中の有名企業のCEOの連絡先が詰まったローロデックスを手にしていた。まず彼が行ったのは、フォードにワークス支援を要請することだった。これによりスチュワート・グランプリの基盤が築かれた。さらに、HSBC会長のサー・ウィリー・パーヴスを説得し、銀行の取締役会にスポンサー契約の提案をさせることにも成功した。結果的に、テキサコ、SANYO、マレーシア政府観光局などがチーム初年度から名を連ね、上位中団のチームに匹敵する予算規模を確保することができた。

    トヨタは、莫大な資金を自らのプロジェクトに投じるだけでなく、白と赤のマシンに自身のブランドを掲げるために、多くの巨大企業と契約を結んだ。パナソニックとのタイトルスポンサー契約はF1参戦期間を通して継続され、Esso、Wella、Travelex、AOLタイムワーナーといった企業も名を連ねた。

    こうした一流スポンサーの集合は、1980年代後半以降の新規チームの常識を覆すものであった。それまで新チームの多くは、企業規模が小さいスポンサーからマシンのロゴスペースを細切れで売っていたからである。ジョーダンも1991年の初年度にはペプシコやフジフィルムなどのスポンサーを獲得したが、その契約規模はさほど大きなものではなく、また長期には至らなかった。

    失敗例:シムテック(1994)、マスターカード・ローラ(1997)、ヴァージン・レーシング(2010)、US F1(2010)

    ここに挙げた3つのチームはいずれも、マシンへのロゴ掲載と引き換えに収益を得るというビジネスモデルを採用していた。これにより、一見すると巨大ブランドとの契約を得たように見せられるが、実際にはチームの資金面にほとんど貢献していないことが多かった。

    シムテックは1994年にF1に参入する際、MTVヨーロッパと契約を結んだ。だが、MTVはスポンサー資金を提供するのではなく、自局のテレビ枠にチームの広告を流すという約束にとどまり、シムテックはその枠を再販することで収益を上げる必要があった。結果、チームは1995年半ばに1000万ドルの負債を抱えて撤退した。

    ローラが1997年にF1に復帰した際には、風洞での空力開発を一切行っていないマシンを投入するうえ、資金面でもマスターカードからの支援に頼っていた。ただし、マスターカードは一括で資金を提供するのではなく、「メンバーズクラブ」という制度を創設。年会費を支払えばチームの記念品を受け取れ、高額会員にはホスピタリティなどの特典が用意されたが、この仕組みはまったく機能しなかった。ローラは開幕戦オーストラリアで予選落ちし、第2戦ブラジルにも現れたものの、結局出走を断念した。

    2010年、マノーはタイトルスポンサー権をヴァージン・グループに売却。リチャード・ブランソン率いる同グループがそのロゴスペースを他スポンサーに売るという形を取った。しかし、グリッド最後方に沈んだチームに対し、資金を出す企業はほとんど現れなかった。

    また、US F1はYouTube共同創業者チャド・ハーリーからの投資を受けるとされていたが、参戦の見込みが薄れるにつれて彼は資金を引き上げた。結果、US F1は1台のマシンも走らせることなくプロジェクトが頓挫した。

    ポイント3:信頼性があり、競争力のあるマシンを構築せよ
    成功例:ジョーダン(1991)、ザウバー(1993)、ハース(2016)

    言うは易しだが、「信頼性がある」というだけでも十分な成功要因となる。キャデラックはルノー出身のエンジニアを多数抱えており、その知見には期待がかかる。

    ジョーダンの191は、新興チームが成し得るべき理想像としてしばしば語られる。ゲイリー・アンダーソンが設計した緑の美しいマシンは、扱いやすくシンプルで、ドライバーにとっても乗りやすい仕様となっていた。フォードHBのカスタマーエンジンとの契約も的確であり、当時の予備予選組が使用していたDFRユニットよりも明らかに高性能だった。

    ザウバーも同様で、ハーヴェイ・ポスルスウェイト設計のシャシーは扱いやすく、メルセデス支援のイルモア製V10を搭載。シーズン序盤の信頼性にはやや課題があったが、総じて競争力はあり、最終的に12ポイントを獲得してフットワーク、ジョーダン、ティレルといったチームを上回った。

    そして近年の最良例がハースだ。VF-16は、その設計の多くがフェラーリ2015年型と極めて近いと疑われたほどで、チームのマラネロとの関係が想像以上に深いのではないかとの憶測を呼んだ。だが実際にマシンは初戦でロマン・グロージャンに6位入賞をもたらし、次戦バーレーンでは5位を記録。その後3戦でしかポイントを獲得できなかったとはいえ、チームは選手権8位という上出来の結果を残した。

    失敗例:ライフ(1990)、パシフィック(1994)、フォルティ(1995)、ローラ(1997)、BAR(1999)、ヴァージン/ロータス/HRT(2010)

    一方、「悪い例」は数多い。というのも、F1に参戦するにあたって性能不足に陥ることは遥かに簡単だからだ。

    ライフは、FIRSTチームが開発しながら投入されなかったシャシーに独自開発のW12エンジンを載せ、F1史上最低レベルの参戦例として語り継がれることになった。

    パシフィックのPR01は1994年に登場したが、パフォーマンスは非常に低く、同年のベネトンB194と共通設計を持つという噂もあったが、実態はほど遠いものだった。

    フォルティのFG01は、1992年のフォンドメタルGR02の進化形とされたが、当の設計者セルジオ・リンランドはこの車に一切関与しておらず、話題にすることさえ避けている。FG01は登場時から時代遅れで、重く、手動ギアボックスを搭載し、エアインテークをロールフープに組み込む最新設計も採用していなかった。

    ローラのT97/30も、2年前のプロトタイプをベースにしていたが、オーストラリアGPでは予選で107%ルールをクリアできなかった。

    BARの01は速さこそあったが、スーパーTEC製エンジンのハーモニクス(振動)に関する知識が不足していたことから、信頼性が極端に低く、1年目は1ポイントも獲得できなかった。

    2010年の新規参戦組も苦戦した。ロータスはとにかく完走することを最優先にし、堅実で安全なマシンを設計したが、競争力には欠けた。ヴァージンのVR-01はCFD(数値流体解析)のみで開発され、風洞を一切使用しなかったことが裏目に出た。ヒスパニア(HRT)のF110はダラーラが設計したが、財政難の影響で開発が大幅に遅れ、CFDによるアップデートすら実現できなかった。

    カルン・チャンドックは2020年のAutosportの取材にこう語っている。「あのクルマは“もしも”の塊だった。スペインGPに向けてCFDで新しいサイドポッドを開発していた。それによって60ポイント分のダウンフォースを得られるはずだった。もし投入できていれば、トロロッソの領域に届いていたかもしれない」

    ポイント4:調和の取れたチーム体制を築くこと
    成功例:スチュワート(1997)

    スチュワートが短期間で成功を収めた理由のひとつに、ジャッキー・スチュワートの卓越したモチベーション能力がある。そして、それは1999年のシーズン終了後に彼が離脱し、チームがジャガーに移行して以降崩壊したことからも明らかだ。

    スチュワートは、フォードのコンサルタント、米国テレビの解説者、そしてポール・スチュワート・レーシング(PSR)のオーナーとしての経験を通じて、ゼロから強固なビジネスを築くために何が必要かを熟知していた。彼と息子のポール・スチュワートは、その知見を活かしてF1チームを築いた。

    彼らはまず、PSRで働いていたスタッフをそのままF1に引き上げ、そこに他チームから新たに採用した人材を融合させ、「スチュワートらしさ」のある一貫性のあるチーム文化を形成した。ディレクターのデイブ・スタッブスとアンディ・ミラーは、それぞれPSRのF3000とF3のチームからチーム運営の要として加わり、生産面でも中心的な役割を果たした。また、設計部門の責任者としてはフットワークからアラン・ジェンキンスを招聘した。

    初年度こそ、フォード製V10エンジンの信頼性に問題があり、完走率は低かったが、スチュワートは進化を重ね、1999年には表彰台を争えるチームにまで成長した。スチュワートの指揮下では、設計者が機動的に動き、自由にアップデートを導入することが可能だった。だが、フォードが買収し、チーム名を「ジャガー」に変えた後は、経費の一つ一つが米ミシガン州ディアボーンの本社にて承認を受けなければならなくなり、設計陣の自由は著しく制限された。スチュワート体制は理想的だったが、ジャガーはそうではなかった。

    失敗例:アンドレア・モーダ(1992)

    アンドレア・モーダは、チームをどう作ってはいけないかを示す教訓として今も語り継がれている。厳密には、同チームはコローニの買収により誕生したが、FISA(当時の国際自動車スポーツ連盟)にはこの買収が認められず、新規参戦扱いとなったため、5万ドルのエントリーボンドを支払う必要が生じた。

    アンドレア・モーダに関しては、1本の記事が書けるほどの話題があるが、ここではペリー・マッカーシーの扱いの例に絞って紹介する。

    アレックス・カフィとエンリコ・ベルタッジャは、開幕2戦に出走できなかったことを理由にチームを離脱。その後、アンドレア・サセッティ(チームオーナー)は、ジャーニーマンであるロベルト・モレノと、F3000出身のペリー・マッカーシーを起用した。マッカーシーは、バーニー・エクレストンの助けもあり、なんとかスーパーライセンスを取得した。

    しかし、マッカーシーがライセンスを得た後も、サセッティはチームに彼を「存在しない者」として扱わせ続けた。これは、より多くのスポンサー資金を持ち込んだベルタッジャが復帰を望んだものの、FIAの規定によりすでに年間ドライバー変更枠を使い切っていたため、マッカーシーを走らせないことで乗せ替えを画策した背景があった。

    マッカーシーは、スペインGPの際にホステルに放置され、18メートルでエンジンが止まるというプレ予選デビューを経験。シルバーストンではドライ路面にもかかわらずウェットタイヤを装着させられ、ハンガリーではプレ予選残り45秒の時点でようやくコースに出され、ベルギーではモレノ車から外した故障したステアリングを装着された。このステアリングはオー・ルージュでロックしかけ、マッカーシーはかろうじてマシンを制御した。危険と紙一重のその状況は、チームとしてのモラルと安全性を完全に欠いたものだった。

    まとめ:キャデラックがF1で成功するには
    キャデラックがF1で成功するためには、「経験豊富で信頼できるドライバーの獲得」「適切で実効性のあるスポンサーおよび技術パートナーとの提携」「信頼性を重視した堅実なマシン設計」、そして「一貫性と結束力のあるチーム体制の構築」という、4つの条件が不可欠となる。

    GMという巨大なバックボーンを持つことは、確かに他の新規参戦チームよりも恵まれた出発点だ。しかし、資金やブランド力だけではF1で戦い抜くことはできない。重要なのは、学ぶ姿勢と現実的なアプローチ、そして過去の成功と失敗から何を取り入れ、何を避けるべきかを的確に判断する力だ。

    過去のF1史が示すように、新規チームの挑戦は常に険しい。キャデラックが、レモンソルベのようにF1に新たな風味をもたらす存在となるか、それとも他の短命チームと同じ轍を踏むのかは、これからの選択にかかっている。

  • 角田裕毅 2026年のキャデラックF1チームの有力候補に浮上と報道

    角田裕毅 2026年のキャデラックF1チームの有力候補に浮上と報道

    アメリカの新F1チーム「キャデラック」が2026年のF1参戦に向けてドライバー選定を進める中、レッドブル所属の角田裕毅が候補リストに加わったとRacingNews365が報じた。

    2026年からホンダがワークスエンジンパートナーとしてキャデラックに加わるにもかかわらず、アストンマーティンとの関係が冷え込んだことで、角田裕毅のアストン入りの可能性は後退。

    その理由は、2026年もランス・ストロールとフェルナンド・アロンソの契約が継続されるため、角田裕毅がレースシートを得るにはリザーブドライバーとしての役割を受け入れなければならず、事実上ステップダウンとなるからだ。

    そうした中、キャデラックは今週末のF1イギリスGPを重要な節目と位置づけており、米国から幹部陣がシルバーストンに来訪。複数のドライバーと面談を予定しているという。その中には、セルジオ・ペレスとの交渉も含まれている。

    さらに、メルセデスのリザーブドライバーであるバルテリ・ボッタスもキャデラックとの再度の面談が予定されており、自身のSNSでキャデラックの市販車を紹介しながら「空いている2つのシート」を話題にするなど、含みのある投稿を行っている。

    角田裕毅 F12026年のF1参戦に向けて準備を加速させるキャデラックF1チームの幹部陣は、今週末のF1イギリスGP(シルバーストン)で重要な会合を実施する見通しだ。

    パドックでは他にも、フェリペ・ドルゴビッチ、周冠宇、ジャック・クロフォード、ジャック・ドゥーハンらの名前もキャデラックと関係があるとされており、11番目のF1チームとして2026年からグリッドに加わるこの新興勢力に多くの関心が集まっている。

    ただし、チームが経験豊富なベテランドライバーを揃える方針なのか、それとも若手と組み合わせるのかはまだ明確になっていない。ちなみに、アウディはニコ・ヒュルケンベルグとF2王者ガブリエル・ボルトレートのコンビを選択している。

  • バルテリ・ボッタス キャデラックF1入りの噂に言及「金なら山ほどあるはず」

    バルテリ・ボッタス キャデラックF1入りの噂に言及「金なら山ほどあるはず」

    キャデラックにはF1初年度を支えるためにベテランドライバー2人を獲得できるほどの「山ほどの資金がある」と、バルテリ・ボッタスは伝えられている。

    ボッタスはキャデラックが設ける空席の有力候補と見られており、今週初めにはSNSへの投稿でこの噂を軽く茶化すような一幕もあった。

    ポッドキャスト番組「Red Flag」に出演したバルテリ・ボッタスは、アメリカの新チームとの交渉が進行中であることを認めている。

    「正直に言って、キャデラックで走ることになるかはまだ分からない」とボッタスは語った。

    「もちろん話はしている。あっちはいろんなドライバーと話していると思うよ」

    「僕にとってはすごく興味深い選択肢だし、まあそのうち分かるだろうね」

    元フォース・インディアおよびレッドブルF1のドライバーであるセルジオ・ペレスも、キャデラックのシート候補として名前が挙がっている。ただしペレスとボッタスの両者とも、若手ドライバーと比べるとかなり高額の報酬を要求すると見られている。

    しかし、かつてハースF1のチーム代表を務めたギュンター・シュタイナーは、金銭面がキャデラックにとっての問題になるとは考えていない。

    「僕がチーム代表だったら、チェコ(ペレス)と君(ボッタス)を選ぶね」とシュタイナーは語った。

    「でも同時にこうも言わなきゃならない。僕にはチェコと君を雇えるだけの余裕はなかった。君らはいつも高すぎたからね」

    「でもキャデラックは“山ほど金を持ってる”から、確実に君らを雇えるだろう!」

    それを受けてボッタスもこう応じた。

    「理屈の上では、資金はあるはずだよ。どうなるか見てみよう」