カテゴリー: アウディ

  • アウディF1の将来性にスメドレー太鼓判「PU施設は他の追随を許さない」

    アウディF1の将来性にスメドレー太鼓判「PU施設は他の追随を許さない」

    アウディF1は2026年からワークスチームとしてF1に参戦し、現時点ではパワーユニット(PU)の性能面でトップとの差を抱えている。しかし、元フェラーリのレースエンジニアであるロブ・スメドレーは、ドイツ・ノイブルクに構えるPU開発施設を「他の追随を許さない」と高く評価し、長期的な飛躍につながる可能性を指摘した。

    ザウバーを完全にワークスチームへと移行させたアウディにとって、2026年は大規模なF1プロジェクトの本格的なスタートとなった。

    スメドレーは、現在の成績だけでは見えない規模の投資が進められているとして、その将来性に期待を寄せている。

    「ここ2、3年のザウバーはひどかった」
    スメドレーは、ジェイク・ハンフリーが司会を務め、元アルピーヌF1代表のオトマー・サフナウアーも出演した『High Performance Racing』ポッドキャストで、アウディF1について語った。

    まず、アウディによる本格的な変革が始まる以前のザウバーについて、スメドレーは厳しい評価を下している。

    「ザウバーは、ここ2、3年はかなり悲惨だった。とにかくひどかった。それ以外に言いようがない」

    これに対しサフナウアーは、その時期にはすでにアウディがチームを所有しており、十分な資金力に加えて一定水準の技術インフラも備えていたと指摘した。

    スメドレーも、スイス・ヒンウィルのザウバーが以前から優れた風洞を所有していたことは認めている。ただし、現在ドイツで進められているPU部門への投資は、それとはまったく異なる規模だという。

    「彼らは以前から非常に優れた風洞を持っていた。かなり長い間そうだったと思う。でも今、ドイツにある彼らの施設、エンジン施設、パワーユニット施設を見れば、他の追随を許さないレベルだ。それでもまだ建設と拡張を続けている」

    「だから、これは彼らにとって巨大なプロジェクトだ。F1施設としてのヒンウィルには、少し物足りない部分もあるかもしれない。でも、そこも拡張していて、将来どこまで持っていきたいのかという計画もある。彼らにとって本当に重要なプロジェクトなんだ」

    ノイブルクのPU施設を「他の追随を許さない」と評価
    アウディは2026年の新しいF1パワーユニット規則への参入にあたり、既存メーカーからPUの供給を受けるのではなく、独自のPUをゼロから開発する道を選んだ。

    その中核となっているのが、ドイツ・ノイブルクに置かれたPU開発拠点だ。スメドレーによれば、アウディはすでに非常に高い水準の設備を整えているだけでなく、現在もさらなる拡張を続けている。

    一方で、初年度となる2026年の競争力という点では、アウディはまだトップメーカーに追いついていない。

    FIAが新たに導入した追加開発・アップグレード機会(ADUO)の最初の評価では、アウディのPUは基準となったレッドブル・フォードのPUに対して4%以上の性能差があると判定された。

    その結果、アウディはフェラーリ、ホンダとともに最大限の開発優遇措置を受ける対象となった。2026年と2027年にそれぞれ2回の追加ホモロゲーション機会が与えられるほか、テストや開発費についても追加枠が認められる。

    アウディ F1

    ADUOの追加開発機会も追い風に
    F1で独自PUを立ち上げたばかりのアウディにとって、この追加開発機会は大きな意味を持つ。

    現在はレッドブル・フォードに対して明確な性能差を抱えているものの、PUそのものを改善する余地が通常より多く与えられるため、ノイブルクの充実した設備と豊富なリソースを実際の性能向上へと結びつけるチャンスが増える。

    また、アウディのF1プロジェクトはPU部門だけで完結するものではない。スメドレーが指摘したように、シャシー開発の本拠地であるヒンウィルについても拡張計画が進められており、ワークスチームとして組織全体の能力を引き上げようとしている。

    スメドレーの評価を踏まえれば、現在のアウディF1が抱える性能差は、プロジェクトの将来性をそのまま示すものではない。ノイブルクのPU施設への大規模投資とヒンウィルの強化、さらにADUOによる追加開発機会を生かせるかどうかが、アウディがF1のトップ争いへ近づくうえで重要な鍵となりそうだ。

  • FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1で導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)制度について、最初の2回の公式評価結果を発表した。

    レッドブル・パワートレインズのパワーユニット(PU)が基準となり、メルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには性能差に応じた追加開発の機会が与えられる。

    なかでもフェラーリ、アウディ、ホンダは基準から4%を超える差があると判定され、2026年と2027年にそれぞれ2回ずつの追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で認められる最大の開発機会となる。

    レッドブル・パワートレインズがADUOの基準PUに
    ADUOは、F1が新しいパワーユニット規則を導入した2026年から採用された制度である。新規則では内燃エンジンと電動部分の出力比率が大きく変更され、各メーカー間に生じる性能差を一定の範囲内に収めるため、後れを取ったメーカーに追加の開発機会を与える仕組みが設けられた。

    FIAは今回、最初の2回の公式レビューの結果を明らかにし、レッドブル・パワートレインズが現在の基準となるPUを持っていると判定した。

    レッドブルにとって2026年は、自社製パワーユニットでF1に参戦する最初のシーズンである。それにもかかわらず、FIAによるADUOの評価では他メーカーが追うベンチマークとなった。

    ただしFIAは、各PUメーカーの性能をどのような具体的な指標によって比較し、差を算出しているのかについて詳細を公表していない。

    メルセデスは2%超の差で追加アップグレード1回
    メルセデスは、基準となるレッドブル・パワートレインズに対して2%を超える差があると判定された。

    これによりメルセデスには、2026年に1回、2027年にも1回の追加アップグレードを実施する機会が与えられる。

    さらにADUOでは、性能差に応じて開発費とベンチテスト時間についても追加枠が設けられている。

    メルセデスにはコストキャップ上の追加枠として300万ドルが認められ、さらに70時間の追加ベンチテストが許可される。

    ホンダF1 エンジン ADUO

    フェラーリ、アウディ、ホンダは4%超 最大限の追加開発
    一方、フェラーリ、アウディ、ホンダについては、いずれもレッドブル・パワートレインズの基準から4%を超える差があるとFIAが判断した。

    その結果、3メーカーには2026年に2回、2027年にも2回の追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で許可される最大回数となる。

    性能差が大きくなるにつれて、コストキャップとベンチテスト時間の追加枠も段階的に拡大する。

    基準から4~6%の差がある場合は465万ドルと100時間、6~8%では635万ドルと150時間、8~10%では800万ドルと190時間の追加ベンチテストが認められる。

    ただしFIAは今回、フェラーリ、アウディ、ホンダの3メーカーが、それぞれこのスケールのどこに位置しているのかについては明らかにしていない。

    したがって現時点で公式に確認できるのは、3メーカーすべてがレッドブル・パワートレインズに対して「4%超」の差があると判定され、2026年と2027年に最大2回ずつの追加アップグレードを認められたという点までとなる。

    2026年最後のADUO評価はオランダGPからメキシコシティGP
    2026年に行われる最後のADUO評価期間は、第12戦オランダGPから第18戦メキシコシティGPまでが対象となる。

    この期間のデータをもとに再び各メーカーのPU性能が評価され、その結果が今後の追加開発機会に反映されることになる。

    2026年からF1のPUメーカーとして本格参入したレッドブル・パワートレインズが最初のADUO評価でベンチマークとなる一方、メルセデスには1回、フェラーリ、アウディ、ホンダには最大となる2回の追加アップグレードが認められた。新PU規則初年度の勢力図が、ADUOによる追加開発を通じて今後どこまで変化するのかも注目される。

    国際自動車連盟 F1 ADUO

  • ニコ・ヒュルケンベルグ 同僚ボルトレトとのニアミスに戦慄「パッセンジャーだった」

    ニコ・ヒュルケンベルグ 同僚ボルトレトとのニアミスに戦慄「パッセンジャーだった」

    アウディF1のニコ・ヒュルケンベルグは、2026年F1オランダGP決勝でチームメイトのガブリエル・ボルトレトが高速スピンを喫した際、間一髪で接触を回避した瞬間について「怖かった。パッセンジャーだった」と振り返った。

    ヒュルケンベルグはザントフォールトで8位に入り、2戦連続のポイント獲得を達成。アウディに貴重な4ポイントを持ち帰った一方、レース序盤にはチームメイトとの大事故につながりかねない危険な場面に遭遇していた。

    ボルトレトが360度スピン ヒュルケンベルグが間一髪で回避
    F1オランダGP決勝は、スタート前の雨によって路面の一部が濡れた難しいコンディションで始まった。

    オープニングラップではマックス・フェルスタッペンが高速の最終コーナーでコントロールを失い、バリアに激突。このクラッシュによってレースは赤旗中断となったが、その後方ではボルトレトもマシンのコントロールを失っていた。

    ボルトレトのアウディは高速で360度スピン。その直後を走っていたヒュルケンベルグの進路上にマシンが滑り込み、両者はあわや接触という状況になった。

    ヒュルケンベルグは、その瞬間について次のように説明した。

    「怖かったし、危険だった。パッセンジャーだった」

    「できるだけ遅くまで反応するのを待って、それから本能的にどちらか一方を選んだ。もちろん、彼が上側に滑っていくのか、下側に滑っていくのかを見極めようとしていた」

    「濡れた路面では危険だし、難しい。幸運にも避けることができた」

    高速域かつ濡れた路面では、スピンしたマシンがどちらへ動くかを予測することは難しい。ヒュルケンベルグはボルトレトの動きを可能な限り見極めた上で、最後は本能的に回避方向を選択し、接触を免れた。


    ガスリーを攻略して8位 アウディに貴重な4ポイント
    危険な序盤を切り抜けたヒュルケンベルグは、その後のレースでアルピーヌのピエール・ガスリーをオーバーテイク。トップチーム勢に続く8位でフィニッシュし、アウディに4ポイントをもたらした。

    ヒュルケンベルグにとっては2戦連続のポイント獲得。金曜日と土曜日に苦戦していたことを考えれば、価値のある結果となった。

    「チームにとってもチャンピオンシップにとってもすごく重要だ。でも、チームの雰囲気という意味でも、みんなを元気づけてくれる」

    「これまで取り組んできたことが正しくて、僕たちが正しい方向に進んでいることを確認できた。とても満足している」

    「個人的にも、金曜日と土曜日は決して楽な週末ではなかった。最後にこうして何かを持ち帰って、いい形で終えられたのは本当にうれしいし、格別な気分だ」

    アウディはランキング8位 ハースとの差は5ポイント
    ヒュルケンベルグの8位によって、アウディはコンストラクターズランキング8位を維持した。

    7位ハースとの差は5ポイントに縮まり、同時に9位ウィリアムズとの差を5ポイントに広げた。僅差の中団争いにおいて、今回ヒュルケンベルグが獲得した4ポイントは大きな意味を持つ。

    また、ヒュルケンベルグは今回の結果が、アウディが進めてきた取り組みとマシン開発の方向性を裏付けるものだと受け止めている。苦戦した金曜日と土曜日を経て、決勝で結果につなげたこともチームにとってポジティブな材料となった。

    ボルトレトとの接触を紙一重で回避する緊迫したオープニングラップから、最後は8位入賞。ヒュルケンベルグは難しいコンディションのザントフォールトで貴重なポイントを持ち帰り、アウディの中団争いを後押しした。

  • アウディF1マクニッシュが語るセナからの教え 「才能だけでは限界がある」

    アウディF1マクニッシュが語るセナからの教え 「才能だけでは限界がある」

    アウディF1のレーシングディレクターを務めるアラン・マクニッシュが、若き日にアイルトン・セナと仕事をした経験を振り返り、F1で成功するために必要な「仕事への姿勢」と「細部へのこだわり」を学んだと明かした。

    現在56歳のマクニッシュは、耐久レースで輝かしい実績を残す一方、若手時代にはマクラーレンのテストドライバーを務めた。そのキャリアの初期に間近で目にしたのが、当時すでにF1ワールドチャンピオンとなっていたセナの仕事ぶりだった。

    10代でマクラーレンF1を初テスト
    マクニッシュが初めてマクラーレンのF1マシンをテストしたのは1989年。当時まだ10代だった。

    そのテストはマカオGPに出場する直前にポルトガルのエストリルで行われ、そこにはセナもいた。マクニッシュはMotorsport.comのインタビューで、当時はその状況がどれほど特別なものなのか深く考える余裕すらなかったと振り返っている。

    「実際、マカオGPに行く直前だった。当時はあまり考えていなかった。とにかく目の前のことをやっていたからね」

    「彼はワールドチャンピオンのアイルトン・セナで、マクラーレンも当時のワールドチャンピオンだった。でも、そこへ行って自分の仕事をするだけだった」

    ただし、初めてF1マシンを走らせた際の衝撃については、今でも鮮明に覚えているという。

    「覚えているのは、マシンから降りたときに『なんて速いんだ!』と思ったことだ」

    1988年に初のF1ワールドチャンピオンに輝いたセナは、この時点ですでにマクラーレンを代表する存在だった。そんなセナがテストで議論していた内容が、若きマクニッシュに強烈な印象を残した。

    セナが議論していた「エンジンのフリクション」
    マクニッシュが注目したのは、単純なドライビングの速さだけではなかった。

    セナはエンジン内部のフリクション(摩擦)をはじめ、マシンの細かな要素についてエンジニアたちと議論していた。その姿を目の当たりにしたことで、マクニッシュはトップレベルで成功するためには才能だけでは足りないことを理解したという。

    「アイルトンはエンジンのフリクションや、その他いろいろなことについて話していた。それがひとつの基準になった」

    「この世界で成功したければ、あらゆるレベルで自分を引き上げなければならないということを、本当にすぐに理解させられた」

    「才能だけで行けるところには限界がある。そこから先には、仕事に取り組む姿勢と、細部に集中する力が必要になる」

    そして、その考え方はレーシングドライバーだけに当てはまるものではないとマクニッシュは考えている。

    「それはドライバーとしての話だったけれど、人生のほかの分野でも違いはないと思う」

    「僕にとって、あれはひとつの教育だった」

    今も残る1989年エストリルテストのデータ
    マクニッシュの手元には現在も、そのエストリルで行われた初テストのデータが残されている。

    ただし、現在のF1のように大量のデータをコンピューター上で瞬時に比較できる時代ではなかった。

    「エストリルで行った最初のテストの古いデータプリントアウトは、今でも持っている」

    「でも、当時は今のようなデータ比較なんてなかったから、2枚の紙を重ねて光にかざして比較していたんだ」

    マシンそのものも現在とは大きく異なっていた。

    「何しろ、まだクラッチペダルがあったんだからね。それにステアリングホイールに付いていたボタンは2つだけだった」

    「今のマシンと比べれば恐竜みたいなものだ」

    アラン・マクニッシュ

    F1への道は遠回り ル・マンで築いた名声
    マクニッシュはその後も複数回にわたってF1マシンをテストしたが、レギュラーシート獲得には長い時間を要した。

    最終的にF1デビューを果たしたのは2002年。32歳で新規参戦したトヨタからグランプリに出場したが、F1でのレギュラー参戦はこの1シーズンだけに終わった。

    一方、スポーツカーレースでは世界屈指のドライバーとして成功を収めた。1998年にポルシェでル・マン24時間レースを制した後、アウディのスポーツカープログラムの中心的存在となり、2008年と2013年にもル・マンで総合優勝を達成。3度のル・マンウイナーとなった。

    現役引退後もアウディとの関係を続け、フォーミュラEではチーム代表を経験。その後、アウディのF1プロジェクトに加わった。

    セナから学んだ哲学をアウディF1へ
    当初、マクニッシュはアウディのドライバー育成プログラムを率いる立場としてF1プロジェクトに参加していたが、2026年4月にはレーシングディレクターに就任した。

    現在はレース活動のオペレーションを担い、戦略、レース運営、ドライバーマネジメントを統括するとともに、引き続きドライバー育成プログラムも担当している。アウディの公式情報でも、その役割はチームのレース活動における運営面の責任者と位置づけられている。

    ドライバーとして見ていた「成功」と、チームを率いる立場で見る「成功」には違いがある。それでも、10代のころにセナから学んだ、細部まで突き詰める姿勢は変わらない。

    2026年からワークスチームとしてF1に参戦したアウディは、ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトを擁して新時代に挑んでいる。マクニッシュ自身もシーズン前半のパフォーマンスについて予想以上だったとの評価を示しており、特に予選での競争力をポジティブな材料として挙げている。

    サマーブレイクを終えたF1は次戦オランダGPからシーズン後半戦へ入る。

    かつてセナの仕事ぶりから「才能だけでは限界がある」と学んだマクニッシュ。30年以上を経た現在、その教訓を生かす舞台はコックピットからピットウォールへと移り、アウディF1を成功へ導くための仕事に受け継がれている。

  • アウディF1の現状は「1995年のフェラーリ」 ビノットが2030年王座へ描く再建計画

    アウディF1の現状は「1995年のフェラーリ」 ビノットが2030年王座へ描く再建計画

    アウディF1の責任者を務めるマッティア・ビノットは、現在のチームが「1995年のフェラーリ」に似た段階にあるとの見方を示した。

    施設や人員、組織体制ではトップチームとの差が残る一方、2030年までにF1世界選手権を争うという目標については「具体的な目標」であり、達成可能だと強調している。

    アウディは2026年、ザウバーを完全に引き継ぐ形でワークスチームとしてF1に参戦した。ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトを擁し、11戦終了時点で12ポイントを獲得しているものの、6レースで11位フィニッシュを記録するなど、トップグループとの差は依然として大きい。

    2030年のタイトル争いを見据えるアウディF1
    アウディはF1参戦当初から、短期間での成功ではなく長期的なプロジェクトとしてチームを構築する方針を明確にしてきた。そのなかで掲げているのが、2030年までに世界選手権を争えるチームになるという目標だ。

    現時点で競争力向上の最大の焦点となっているのは、自社開発するパワーユニットである。一方、ビノットは課題がパワーユニットだけにあるわけではないと考えている。

    アウディがザウバーから引き継いだスイス・ヒンウィルのファクトリーは、近年トップチームほど大規模な投資を受けてこなかった。ザウバーは2016年にスウェーデンの実業家フィン・ラウジングの支援を受けて以降、ザウバー、アルファロメオ、ステークと名称を変えながら参戦を続けたが、基本的には中団下位で戦うシーズンが続いていた。

    そのため、現在のアウディにはメルセデス、フェラーリ、マクラーレン、レッドブル・レーシングと競争するためのインフラ整備も求められている。

    ビノットはRacingNews365のインタビューで、トップチームとの差について率直に認めた。

    「メルセデス、フェラーリ、あるいはマクラーレンを訪れ、そのあとで我々のところを訪れれば、そこにギャップ、明確な違いがあることに気づくだろう」

    「我々の建物やインフラはトップチームと同じレベルにはない。ただ、それを誰かの責任だと言っているわけではない。以前のチームオーナーがどのような野心を持っていたのかという事実の結果だ。だから現在はギャップがあり、それを埋めていかなければならない」

    「もっと大きくならなければならない」
    アウディがタイトルを争うためには、単純に既存設備を改善するだけでは十分ではないとビノットは考えている。人員、製造能力、ファクトリーそのものを拡大する必要があるという。

    「将来的にはもっと大きくならなければならない。もっと多くの人材が必要だし、製造のためのスペースもさらに必要になる」

    「だから当然、拡張計画について検討している。拡張は将来の成功を左右する要素になるからだ」

    ただし、大規模な施設拡張は短期間で完成するものではない。

    「拡張は一夜にして実現するものではない。それでも、そうしたプロジェクトについて検討しているし、真剣に考えている。決定が下されれば、そのときに知らせることになる」

    ビノットが重ねる「1995年のフェラーリ」
    ビノットにとって現在のアウディの状況は、自身がフェラーリに加入した1995年と重なって見えるという。

    当時のフェラーリは、現在のようなF1を代表する巨大組織とは大きく異なっていた。ジャン・トッドの指揮下でチーム再建が始まっていた時期であり、その後、ミハエル・シューマッハ、ロス・ブラウン、ロリー・バーンらを迎え、2000年代初頭の黄金時代につながる基盤が築かれていった。

    ビノット自身も1995年にエンジンのテストエンジニアとしてフェラーリに加入。その後、技術部門でキャリアを重ね、最終的には2019年から2022年までチーム代表を務めた。

    「僕がここに来たときに目にしたものは、1995年のフェラーリのようだった。僕にとって比較対象になるのは1995年のフェラーリだ」

    「古くて小さなファクトリーで、人員も少なく、導入されているプロセスも限られている。だから僕にとっては、本当に当時のフェラーリとの比較になる。1995年のフェラーリと現在のフェラーリを比較するようなものだ」

    1995年のフェラーリは、まだタイトルを争える完成された組織ではなかった。しかし、その翌年にはシューマッハを迎え、その後の数年間をかけて組織、技術、人材を整備。最終的にコンストラクターズ選手権6連覇、ドライバーズ選手権5連覇という黄金期につなげた。

    ビノットが現在のアウディに重ねているのも、当時のフェラーリの成績そのものではなく、トップチームになるための土台を構築している「段階」だ。

    アウディ F1

    表から見えないところで進むアウディの再建
    2026年の結果だけを見れば、アウディはまだF1のトップチームとは大きな隔たりがある。しかしビノットは、レース結果には現れない部分で重要な変化が進んでいると説明する。

    「これまでやってきたことは正しい方向に進んでいると思う。チームは改善し、前進している。そしてファクトリーでは、メディアやファンからは見えないところで多くのことが起きている」

    「本当に多くのことが進んでいる。我々は正直に、そして本当の意味で将来のための基盤を築いている」

    そのうえでビノットは、2030年という目標が単なるスローガンではないことを強調した。

    「だから、2030年までに世界選手権を争うという目標は間違いなく達成可能だと確認できる。2030年は具体的な目標だ」

    アウディにとって2026年は完成形を示すシーズンではなく、タイトルを争う組織へ変貌するための出発点に位置づけられている。ビノットが経験した1995年のフェラーリと同じように、現在の成績以上に、今後数年間でどこまで人材、設備、開発体制を積み上げられるかが2030年の成否を左右することになりそうだ。

  • ガブリエル・ボルトレト アウディF1との長期契約を明言「僕のシートは確保」

    ガブリエル・ボルトレト アウディF1との長期契約を明言「僕のシートは確保」

    ガブリエル・ボルトレトは、自身のF1での将来がアウディと強く結びついていることを明言した。ブラジル出身の21歳は、ドイツメーカーが進める長期的なF1プロジェクトにコミットし、チームをトップ争いができる存在へと成長させることを目指している。

    2025年にF2タイトルを獲得してザウバーからF1デビューしたボルトレトは、ルーキーシーズンに19ポイントを獲得。

    アウディのワークス体制初年度となった2026年は、ここまでチームの12ポイント中10ポイントを挙げ、ドライバーズランキング14位につけている。

    「来年だけではない」ボルトレトがアウディとの長期契約を明言
    アウディにとって2026年は、新しいマシンとパワーユニットを同時に立ち上げる基盤構築のシーズンだ。短期的な結果よりも長期的な成長を重視するプロジェクトのなかで、ボルトレトも自身の将来をアウディに託している。

    Motorsport.comブラジル版のインタビューで、ボルトレトは契約の詳細についてすべてを明かすことはできないとしながらも、アウディとの関係が複数年にわたるものであることを認めた。

    「機密事項だから言える範囲になるけど、条項はないとだけ言っておこう。僕はアウディと長期契約を結んでいる。すでに言っているけど、僕は来年もアウディにいる。来年だけじゃなく、その先の数年間もだ」

    ボルトレトにとって重要なのは、単に現在の契約期間を全うすることではない。アウディが掲げる長期的なビジョンそのものを信じているという。

    「狙いは、最初からずっと言っているように、これが長期的なプロジェクトだということだ」

    「マッティア(ビノット)はいつも2030年について話している。そういうふうに考えてもらえばいい。僕たちはこのプロジェクトを本当に信じている。僕は加入したときから信じていたし、彼らも僕のポテンシャルを信じてくれている。僕から言えるのはそこまでだけど、長期的なものだ」

    「すごく楽しみにしている。今年は新しいマシンと新しいエンジンを作る最初のステップだった。来年はまた次のステップになる。そして、そこからいろいろなものを実際の結果につなげていけるようになる」

    ヒュルケンベルグとのコンビを評価「僕のシートは確保されている」
    一方、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグの将来について、ボルトレトは具体的な発言を避けた。

    ヒュルケンベルグの豊富なF1経験は、ザウバーからアウディへと移行するチームにとって重要な財産となっている。ボルトレトも、その存在を高く評価している。

    「僕自身のシートが確保されていることは言える。他の人の契約について話すつもりはないけど、僕はニコと一緒に仕事をするのが本当に好きだ」

    「そこは言っておきたいし、はっきりさせておきたい。僕は彼のことが本当に好きだ。速くて経験豊富だし、チームに多くのポジティブなものをもたらしてくれている。将来がどうなるかは、これから分かるだろう」

    「でも、僕は満足している。自分自身を信じているし、自分のポテンシャルも信じている」

    ガブリエル・ボルトレト(アウディF1)

    F1デビュー時は「かなり未完成だった」18カ月で大きく成長
    ボルトレトは、現在の自信がF1参戦後の急速な成長によって築かれたものだと振り返った。

    F1昇格前に現行世代に近いマシンを走らせた経験は非常に限られており、2024年にオーストリアで旧型車テスト(TPC)を経験した程度だった。その年末にはアブダビでのテストにも参加したが、本格的な走行経験は乏しいままF1の実戦へと飛び込むことになった。

    また、マクラーレンのドライバー育成プログラムに所属していた期間もわずか1年だった。F2タイトル獲得後、ザウバーとアウディが獲得に動き、マクラーレンはボルトレトを契約から解放した。

    F1デビュー当時と現在の自分を比較し、ボルトレトは「まったく違う」と語る。

    「まったく違う。F1に来たときの僕はかなり未完成だった。すべてが本当に速いスピードで進んだ。F1のチャンスも突然やってきたし、テストもほとんど経験していなかった。TPCすらほとんどやっていなかった」

    「基本的には、そのままF1シーズンに入って、バーレーンでプレシーズンテストをやって、それだけだった。だから、その1年間で学んだことはものすごく多かった。今もまだたくさんのことを学んでいる。チームはずっと僕を支えてくれている」

    「昨年はいくつか素晴らしい瞬間があった。今年もここまで自分のシーズンにはとても満足している。一緒に多くのことを成し遂げてきたし、マシンもどんどん競争力を高めている」

    2030年を見据えるアウディのF1計画で中核を担うボルトレト
    アウディはF1参戦初年度から即座にトップ争いをすることではなく、複数年をかけてワークスチームとしての競争力を構築する方針を明確にしている。ビノットが繰り返し「2030年」をひとつの長期的な目標として挙げていることも、その姿勢を示している。

    そのなかで、ボルトレトが「来年だけでなく、その先の数年間も」と明言した意味は大きい。若手ドライバーを短期的な結果だけで評価するのではなく、チームとともに成長させるというアウディの方針が契約にも反映されていることになる。

    2025年のF1デビューから急速に経験を積み、2026年にはアウディの獲得ポイントの大半を担っているボルトレト。現在のポイント数はまだ大きくないが、アウディが長期的にトップチームを目指すうえで、21歳のブラジル人ドライバーはその計画の中核を担う存在となっている。

  • ガブリエル・ボルトレト アウディF1参戦で実感した変化「もう別のチーム」

    ガブリエル・ボルトレト アウディF1参戦で実感した変化「もう別のチーム」

    ガブリエル・ボルトレトは、アウディがF1に参戦してザウバーを引き継いで以降、チームが「まったく異なる状況」になったと語った。特に大きく変わったのは、資金面だけではなく、チーム全体のメンタリティだという。

    アウディは2026年のF1新パワーユニット規則導入に合わせてワークス参戦を開始。長年F1に参戦してきたザウバーを買収し、ヒンウィルのシャシー部門とノイブルクのパワーユニット部門を軸に、将来的なトップチーム入りを目指すプロジェクトを本格始動させた。

    「現実として今はまったく違う状況」
    ボルトレトは、過去18カ月ほどでザウバーからアウディへと移行していく過程を間近で見てきた。そのなかで最も強く感じているのが、チーム内部の意識の変化だ。

    「そうだね、本当に違いを感じる。特にメンタリティは大きく変わった」

    「昨年までのチーム、そしてそれ以前の長い歴史に対しては大きな敬意を持っている。でも、実際のところ、僕たちは今まったく違う状況にいる」

    ザウバーは長いF1参戦歴を持つ一方、近年はトップチームと比較して予算やリソースに制約があり、競争力を高めるうえで厳しい状況に置かれていた。

    しかし、アウディという大手自動車メーカーが全面的にプロジェクトを支える現在、その前提自体が変わったとボルトレトは説明する。

    「僕たちにはアウディの支援がある。メーカーとして参戦していて、自分たちでエンジンも作っている。アウディから多くの資金的なサポートも受けている」

    「だから、過去のザウバーが経験していたかもしれないような意味で、僕たちは苦しんでいるわけではない。そして、メンタリティも変わる。僕たちは将来、大きなことを成し遂げたいと思っている」

    明確になったアウディF1の目標
    潤沢な資金やメーカーとしての技術基盤だけでなく、それによって働くスタッフの姿勢にも変化が表れているという。

    アウディはF1参戦を単なるブランド活動として位置づけているわけではない。将来的にタイトルを争うことを目標に掲げ、そのためにヒンウィルとノイブルクの両拠点で体制強化を進めている。

    ボルトレトは、その目標がチーム内部で明確に共有されていることが重要だと考えている。

    「チーム内では目標が明確になっている。そして、その目標を達成するために取り組んでいる」

    「昨年から今年にかけて、本当に違いを感じる。みんなの振る舞い方もそうだし、仕事への取り組み方も変わっている」

    アウディへの移行によって変わったのは、マシンに投入できる予算や設備だけではない。チームが何を目指し、そのためにどう働くのかという組織文化そのものが変化しつつあるとボルトレトは感じている。

    ガブリエル・ボルトレト(アウディF1)

    初のF1パワーユニット開発を評価
    アウディF1プロジェクトの大きな特徴が、パワーユニットを自社開発する完全なワークス体制であることだ。

    ドイツ・ノイブルクではF1用パワーユニットの開発が進められており、ヒンウィルのシャシー部門とともにアウディのF1活動を支える重要な拠点となっている。

    ボルトレトは、前年までは直接一緒に仕事をしていなかったノイブルクのスタッフが加わったことで、組織の規模と可能性が大きく広がったと語る。

    「今ではノイブルクにも素晴らしいチームがある。昨年は基本的に一緒に仕事をしていなかった人たちが、そこでパワーユニットを作っている」

    「新しいレギュレーションの初年度に、しかも初めてF1エンジンを作って、彼らが成し遂げたことは、僕の意見では本当に素晴らしいことだ」

    2026年のF1ではパワーユニット規則が全面的に刷新され、アウディにとってはその新規則への対応とF1用パワーユニットの初開発を同時に進めるという大きな挑戦となった。

    その状況を考えれば、初年度から実戦で戦えるパワーユニットを完成させたこと自体をボルトレトは高く評価している。

    「まだ遅れている」課題も冷静に認識
    一方で、ボルトレトは現在のアウディがすでに目標とするレベルへ到達したとは考えていない。

    チームには改善すべき部分が残されており、特にトップ勢とのギャップを縮めるには継続的な開発が必要になる。

    「もちろん、まだ改善しなければならないことは分かっている。もっと良くしていく必要がある。僕たちが遅れていることも分かっている」

    それでも、F1参戦初年度に自社製パワーユニットを投入するという仕事の難しさを考えれば、現在までの成果を過小評価すべきではないと強調した。

    「彼らがやったことは簡単ではない。本当に称賛したい」

    「これからもプッシュし続けて、このやり方で仕事を続けていく。そして将来、僕たちは大きなことを成し遂げられると思っている」

    ザウバー時代には予算やリソース面で制約を抱えていたヒンウィルのチームだが、アウディのワークス参戦によって置かれた環境は大きく変わった。ボルトレトが強調するのは、単に資金が増えたという変化ではなく、それによって目標と働き方、そしてチーム全体の意識まで変わったという点だ。

    まだトップ勢との差を認めるアウディだが、自社製パワーユニットを含む完全ワークス体制を構築した初年度を土台として、長期的な目標であるF1のトップチーム入りに向けたプロジェクトを進めている。

  • ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1で長期参戦に意欲「望まれる限り走る」

    ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1で長期参戦に意欲「望まれる限り走る」

    ニコ・ヒュルケンベルグは、アウディとの将来について、チームから必要とされ、自身が楽しみながら速さを維持できる限りF1で走り続けたいとの考えを示した。

    38歳のヒュルケンベルグは2027年までアウディとの契約を結んでいる。2026年シーズンは結果だけを見れば苦戦が続いていたものの、第11戦ハンガリーGPでは9位に入り、今季初ポイントを獲得。本人はランキングに表れている数字と実際のパフォーマンスには大きな隔たりがあると強調している。

    ランキング以上の手応えを強調
    ヒュルケンベルグはドイツ紙『Sport Bild』に対し、2026年シーズンを単純にポイントだけで評価するべきではないと語った。

    「そこに見えているものと、実際にコース上で起きたこと、そしてチームとして僕たちがどの位置にいるのかには、大きな隔たりがある」

    「ランキングだけを見れば『なんてひどいんだ』と思うだろう。でも、それぞれのレースを振り返って全体像を見れば、状況はかなり明確に感じられる」

    アウディは2026年からワークスチームとしてF1に参戦。ヒュルケンベルグは経験豊富なドライバーとして、そのプロジェクトを支える重要な役割を担っている。

    シーズン序盤はポイント獲得に届かないレースが続いたが、ハンガリーGPでは9位に入り、ようやく結果としても前進を示した。

    2027年以降もアウディで走る可能性
    ヒュルケンベルグとアウディの現在の契約は2027年までとなっているが、それ以降についても本人は可能性を否定していない。

    「絶対にないとは言わない。でも、それを考えるにはまだ早すぎる。僕は今この瞬間に集中しているし、1年ずつ考えている」

    そのうえで、現役を続けるための条件について明確に語った。

    「僕が楽しめていて、ストップウォッチが正しい数字を示していて、チームが僕を必要としてくれる限り、僕はアウディで走る」

    「それがかなり長く続くことも想像できる」

    2027年シーズン終了時には40歳を迎えることになるが、年齢そのものを引退の基準にはしていない。自身のパフォーマンスとモチベーション、そしてチームからの評価が維持される限り、アウディとの関係をさらに長く続ける考えだ。

    ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1

    契約よりもアウディF1の成長を優先
    もっとも、現段階でヒュルケンベルグが重視しているのは、2028年以降の自身の契約ではない。アウディのF1プロジェクトそのものが正しい方向へ進んでいるかどうかだ。

    「今重要なのは、このプロジェクトが正しい方向へ進んでいることだけだ。そして、僕たちはそうできている」

    「それ以外のことは後からついてくる」

    アウディにとって2026年はワークス参戦初年度であり、マシンとパワーユニットの双方を含めたプロジェクトを成長させていく段階にある。ヒュルケンベルグも目先の契約交渉より、まずチームとして競争力を高めることを優先している。

    ハンガリーGPで今季初ポイントを手にしたヒュルケンベルグにとって、重要なのはランキング上の数字だけではない。自身の速さが維持され、アウディのプロジェクトが前進を続けるのであれば、その関係は現在の契約が満了する2027年以降も続く可能性がある。

  • アウディF1 着実な進歩も首脳は冷静「トップ4との差は大きい」

    アウディF1 着実な進歩も首脳は冷静「トップ4との差は大きい」

    アウディF1は2026年シーズン前半戦終盤で着実な進歩を見せ、3戦連続でポイントを獲得した。コンストラクターズ選手権ではウィリアムズを上回り8位へ浮上し、チーム全体の成長が数字にも表れ始めている。

    しかし、モータースポーツ責任者のアラン・マクニッシュは「トップ4チームとの差は依然として大きい」と現状を冷静に分析。空力アップデートの成果や車両理解の進展を評価する一方、2027年を見据えた開発戦略や改善すべき課題についても率直に語った。

    空力アップデートで低速域の弱点を改善
    アウディF1はシーズン序盤、速さを持ちながらも結果につなげられないレースが続いていた。しかし、シルバーストンから3戦連続でポイントを獲得し、ようやくパフォーマンスを結果へ結び付けられるようになった。

    マクニッシュは、その要因としてオーストリアGPで投入した空力アップデートを挙げた。

    「オーストリアで空力アップデートを投入し、それが非常に効果的だった。特に少し弱点だった低速コーナーで大きな助けになった」

    「さらに、マシンをより運転しやすくする変更も加えた。これも主に低速コーナーで効果を発揮している」

    また、エンジニアがマシンの特性をより深く理解できるようになったことも進歩の要因だという。

    「重要なのは、マシンが何を好み、ドライバーが何を求めているかを理解することだ。その点でも私たちは前進している」

    PU大型アップデートは2027年まで見送り
    アウディF1は今季、パワーユニットの開発機会をすべて使い切る方針は採らない。予算上限を考慮し、大規模なアップデートは2027年まで温存する考えだ。

    「バルセロナでは小規模な改善を実施し、それは期待どおり機能した」

    「より大きなアップデートは2027年になる可能性が高い。そのため、それまでパワーユニットに大きな変更はないだろう」

    その理由についても次のように説明した。

    「資金を一度に使い切るわけにはいかない。そうすれば、その後に戦うための余力がなくなってしまう。だからこそ期待値を適切に管理する必要がある」

    アラン・マクニッシュ(アウディF1)

    チーム全体の成長を実感
    今季からジョナサン・ウィートリーに代わってスポーツ部門を率いるマクニッシュは、チーム内部の変化を強く感じているという。

    「私が直接関わるようになってから、人材が着実に成長しているのを感じる。チーム全体の自信も高まっている」

    「ブダペストはさまざまな理由で難しい週末だったが、その中でもオペレーションは非常に良かった」

    さらに予選パフォーマンスについても予想以上だったと評価した。

    「純粋なパフォーマンスという意味では、予選は予想以上だった。これほど速く、しかも安定して速さを発揮できるとは思っていなかった」

    「その速さを引き出せるようになっているが、さらに一段階成長する必要がある」

    改善すべき課題はスタート
    一方で、改善すべき課題としてスタートを挙げた。

    「満足できていない分野の一つがスタートだ。今回もそこで不利になってしまった」

    「リアム・ローソンの後ろに入ってしまい、本来ならレーシングブルズの1台を上回るチャンスがあったにもかかわらず、最終的には2台とも前でフィニッシュされた」

    それでも夏休み前の手応えには満足しているという。

    「改善すべきことは本当にたくさんある。しかし、ここまで示してきた内容は非常に前向きなものだ」

    トップ4との差は依然として大きい
    アウディF1は現在、コンストラクターズランキングでウィリアムズを抜いて8位に浮上。Q3進出や入賞も常連となりつつある。

    マクニッシュは、この成長が今後も続くと確信している。

    「私たちはウィリアムズをランキングで上回った。Q3にも安定して進出し、レースでもトップ10に入り、ポイントを獲得している」

    「オペレーション面でも技術面でもチームは着実に前進している。この流れは今後も続くだろう」

    ただし、現状を過大評価することはなかった。

    「今感じているのは自信というより安心感だ。チームが着実に強くなり、正しい方向へ進んでいるという安心感がある」

    「しかし正直に言えば、私たちの現在地は中団であり、トップ4チームとの差は依然として大きい」

    それでも、F1参戦からまだ11戦しか経験していない新チームであることを踏まえれば、現在の位置は十分に評価できると締めくくった。

    「私たちはF1でまだ11戦しか戦っていない。そのことを考えれば、現在の位置は非常に良いものだと思っている」

  • アウディF1代表 ピアストリ&サインツ移籍説は「プロジェクトの信頼性の証」

    アウディF1代表 ピアストリ&サインツ移籍説は「プロジェクトの信頼性の証」

    アウディF1代表のマッティア・ビノットは、オスカー・ピアストリやカルロス・サインツJr.がチームへの移籍候補として報じられていることについて、「非常にうれしい」と歓迎する姿勢を示した。

    ビノットは現時点でドライバー交代の予定を否定しつつも、有力ドライバーの名前がアウディと結び付けられること自体が、F1界でプロジェクトへの評価が高まっている証拠だと強調した。

    ピアストリやサインツとの移籍報道を歓迎
    アウディは2026年からザウバーを引き継ぎ、ワークスチームとしてF1へ本格参戦した。ドイツ・ノイブルクのパワーユニット部門と、スイス・ヒンウィルのレースチームという2拠点体制でプロジェクトを進めており、ビノットは2024年7月からその指揮を執っている。

    2027年に向けたドライバー市場では、現ウィリアムズのカルロス・サインツJr.や、マクラーレンのオスカー・ピアストリがアウディ移籍候補として報じられている。一方で、アウディ側はニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトのコンビを維持する方針を繰り返し示している。

    そうした状況について、ビノットは『RacingNews365』に次のように語った。

    「まず、私は新聞をほとんど読まないので、その話はあなたから初めて聞いた」

    「カルロスは私がとてもよく知っている人物だ。だから彼とアウディが結び付けられるのは自然なことなのだろう。しかし、私が言えるのは、現在のラインアップにとても満足しているということだけだ」

    ヒュルケンベルグとボルトレトを高く評価
    ビノットは現在のドライバーラインアップについても高く評価し、経験と若さのバランスだけではなく、純粋な速さを重視して起用していると説明した。

    「ガブリエルとニコについて語られるとき、多くの人は経験豊富なドライバーと若手の組み合わせだと言う」

    「だが私は別の見方をしている。2人とも非常に速いドライバーであり、だからこそ満足している。我々には良いラインアップがある」

    ヒュルケンベルグは2026年ハンガリーGPで9位に入り、アウディとして今季初ポイントを獲得。チーム内部でも、そのパフォーマンス自体は高く評価されており、成績不振の主因はマシンにあるとの認識から、2027年契約に盛り込まれている解除条項を行使する考えはないと報じられている。

    アウディ F1 マッティア・ビノット

    「アウディは競争力を持てる」という評価の表れ
    ビノットは、有力ドライバーとの移籍報道そのものがアウディの将来性を物語っていると受け止めている。

    「他のドライバーが我々のチームと結び付けられることについては、とてもうれしく思っている」

    「それは我々のプロジェクトに対する信頼性が高まっていることを示しているからだ」

    「外部から見ても、いつかアウディが競争力のあるチームになるという認識は、もはや単なる噂ではなく事実として受け止められ始めている」

    サインツJr.については、フェラーリ時代にビノットとともに仕事をした経験があり、再びタッグを組む可能性がたびたび取り沙汰されている。また将来的にはジョージ・ラッセルが2028年以降の候補として浮上するとの見方もあり、アウディのシートは今後さらに注目を集めることになりそうだ。

    アウディは現時点ではヒュルケンベルグとボルトレトの体制を維持する方針だが、ピアストリやサインツJr.といったトップドライバーの名前が移籍候補として挙がるようになったことは、新興ワークスチームとしての存在感が着実に高まっていることを示している。