カテゴリー: アウディ

  • ジョージ・ラッセルのアウディF1移籍をシュタイナー予想「新たな機会を探している」

    ジョージ・ラッセルのアウディF1移籍をシュタイナー予想「新たな機会を探している」

    メルセデスF1のジョージ・ラッセルが、2028年にアウディF1へ移籍する可能性がある――。そんな見方を示したのは、元ハースF1代表のギュンター・シュタイナーだ。

    アンドレア・キミ・アントネッリの急成長によってメルセデス内の勢力図が変わるなか、ラッセルは長期的な将来を見据えて新たな選択肢を探しているのではないかと分析した。

    シュタイナー「ラッセルは新たな機会を探している」
    シュタイナーは『The Red Flags Podcast』で、アウディF1には2028年に向けて多くのドライバーが関心を寄せていると語った。

    「2028年にアウディへ行きたいと考えているドライバーはたくさんいる。来年のラインアップはほぼ固まっているが、2028年には可能性があるかもしれない」

    アウディF1のプロジェクトについても、高く評価している。

    「彼らは順調に前進しているように見えるし、計画どおり進んでいるようだ。候補者はかなり多いだろう。カルロス(・サインツJr.)は間違いなくその一人だ」

    そして、ラッセルについて次のような見方を示した。

    「ジョージも今は周囲を見渡していると思う。キミと組むことになった今、彼は一生キミと同じチームで過ごしたいとは思っていないはずだ。そこにいれば、自分の立ち位置がずっと決まってしまうことも分かっている。だから新たな機会を探しているんだ」

    アントネッリの台頭が将来に影響?
    2026年シーズン前半、アントネッリは中国GPや日本GPでの勝利を含む快進撃を見せ、史上最年少でドライバーズランキング首位に立った。夏休み前の時点で219ポイントを獲得し、169ポイントのルイス・ハミルトン、160ポイントのラッセルを上回っている。

    ラッセルも安定したパフォーマンスを見せているが、チーム内ではアントネッリの存在感が急速に高まっている。さらに、マックス・フェルスタッペン獲得の噂もたびたび浮上しており、メルセデスでの将来的な立場を巡る憶測は絶えない。

    アウディ F1

    アウディF1で中心人物となる可能性
    シュタイナーの見立てでは、アウディF1はラッセルにとって魅力的な新天地となり得る。

    アウディは2026年からザウバーを完全買収し、マッティア・ビノットの下でワークス体制を構築。2022年から独自パワーユニットの開発も進めており、長期的なプロジェクトへの期待は大きい。

    メルセデスではアントネッリとの競争が続く一方、アウディF1へ移籍すれば、ワークスチームの中心ドライバーとして新たな時代を築く役割を担える可能性がある。

    もちろん、これは現時点ではシュタイナー個人の見解に過ぎず、ラッセルの移籍を裏付ける事実はない。それでも、2028年に向けたドライバー市場を考えるうえで、興味深いシナリオの一つとして注目を集めそうだ。

  • アウディF1 2026年PU開発を事実上終了 2027年へ開発資源を集中

    アウディF1 2026年PU開発を事実上終了 2027年へ開発資源を集中

    アウディF1は、2026年シーズン中にパワーユニット(PU)の大規模アップデートを実施しない方針を明らかにした。限られた開発予算とリソースを2027年に向けた開発へ集中させる戦略で、今季の性能向上は最小限にとどめる。

    一方で、同じくFIAの追加開発制度「ADUO」の対象となっているホンダは、アストンマーティンF1向けにオランダGPで新仕様PUを投入予定であり、両社の戦略の違いが鮮明になっている。

    アウディF1は2027年に開発資源を集中
    アウディF1のレーシングディレクターを務めるアラン・マクニッシュは、ハンガリーGP週末に今後のPU開発方針について説明した。

    2026年シーズン開幕時点で、アウディ製PUはトップエンジンと比較して4%以上の性能差があると評価されていた。この差により、FIAの「ADUO(Additional Development Opportunity Units)」制度に基づく追加開発枠を獲得している。

    アウディはその制度を活用し、スペインGPでPUのドライバビリティを改善するアップデートを投入した。しかし、それ以降は大規模な性能向上を見送る決断を下した。

    「バルセロナではADUOを使って小規模な改善を行い、正しい方向性を示すことができた」とマクニッシュは語った。

    「ただ、本格的なアップグレードは2027年向けだ。それまではパワーユニットに大きな変更は予定していない」

    限られた予算で将来を優先
    マクニッシュは、この判断の背景には財政面の現実があると説明する。

    「シャシーとパワーユニットの両方について、いつアップデートを投入するか、そして予算をどこへ配分するかのバランスを取らなければならない」

    「すべてを一度に使い切ることはできない。将来の戦いに向けてリソースを残しておく必要がある。重要なのは1シーズンではなく、数年先まで見据えてマネジメントすることだ」

    アウディは今季後半にR26のシャシーアップデートを投入する予定だが、PUについては現行仕様を基本としながら2027年型の開発へ軸足を移す考えだ。

    アウディ F1

    ホンダとは対照的な開発方針
    アウディの判断は、同じくADUO制度の対象となっているホンダとは対照的だ。

    ホンダはアストンマーティンF1向けに新仕様PUをハンガロリンクで実走させ、オランダGPでレースデビューさせる予定となっている。トップ勢との差を縮めるため、2026年シーズン中も積極的な開発を継続している。

    一方のアウディは、短期的な性能向上よりも2027年シーズンでの競争力確保を優先する戦略を選択した。ADUOによる追加開発枠を活用しながらも、大規模な投資は翌年へ持ち越すことで、長期的な戦力強化を図る構えだ。

  • ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1で待望の初入賞「ようやくすべてが噛み合った」

    ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1で待望の初入賞「ようやくすべてが噛み合った」

    ニコ・ヒュルケンベルグは、2026年F1第11戦ハンガリーGPで9位入賞を果たし、アウディに今季初ポイントをもたらした。シーズン開幕から幾度となく入賞のチャンスを逃してきたベテランドライバーは、「ようやくすべてが噛み合った」と喜びを語った。

    アウディはヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトで異なる戦略を採用。ミディアムタイヤでスタートしたヒュルケンベルグは2ストップ戦略を選択し、終盤にタイヤの優位性を生かして順位を回復。9位でチェッカーを受け、チームに貴重な2ポイントをもたらした。

    「ようやくすべてが噛み合った」今季初ポイントを獲得
    ヒュルケンベルグは、待望の今季初ポイント獲得について、これまで何度もチャンスを逃してきただけに特別な喜びがあったと明かした。

    「ようやく今季初ポイントを獲得できて本当にうれしい。今年はポイントを獲得できるだけのペースがありながら、さまざまな理由で結果につながらなかったレースが何度かあった」

    「それは本当に悔しかった。でも、それがレースというものだ。僕もチームもポテンシャルはあると分かっていたし、あとはすべてをうまくまとめるだけだった。そして今回は、ようやくすべてのピースが噛み合い、その成果を手にすることができた」

    また、予選から決勝までミスなく戦えたことが結果につながったと振り返った。

    「昨日の予選では持っている力を最大限に引き出し、今日も力強いレースができた。週末を通して全員が素晴らしい仕事をしてくれたし、その結果としてポイントという報酬を得ることができた」

    ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディF1)

    夏休みは11戦を分析して後半戦へ
    ハンガリーGPを終えて夏休みに入るヒュルケンベルグは、前半11戦で得たデータを整理し、シーズン後半につなげたいと語った。

    「まずは11戦をしっかり振り返ることだ。たくさんの情報とデータがあるから、それを分析して消化したい。3週間の夏休みは長いようで短い。その後は8月末のザントフォールトに向けて準備を進めていく」

    チームとしても前半戦を総括し、さらなる前進を目指す考えだ。

    「ポイントを獲得した状態で夏休みに入れるのは本当に良いことだ。開幕からここまでで学んだことを振り返り、すべてを分析して、ザントフォールトではこの流れをさらに発展させたい」

    アウディは3戦連続ポイントを評価
    レーシングディレクターのアラン・マクニッシュは、チームが着実に前進していることを示す結果だったと評価した。

    「3戦連続でポイントを獲得できたことは、チームにとってまた一歩前進した証だ。ニコは週末を通して素晴らしい走りを見せ、力強いパフォーマンスを9位という結果につなげてくれた。ガブリエルも11位まで追い上げ、ダブル入賞まであと一歩だった」

    「マシンのパフォーマンスは競争力があり、チームもチャンスを最大限に生かすクリーンなレース運びができた。今回の進歩には勇気づけられている。夏休みでリフレッシュし、築き上げてきた土台をさらに発展させ、シーズン後半も開発を続けていきたい」

    ハンガリーGPで待望の今季初ポイントを獲得したヒュルケンベルグ。アウディは着実な進歩を示したまま夏休みに入り、ザントフォールトで迎えるシーズン後半戦ではさらなる飛躍を目指す。

  • ガブリエル・ボルトレト アウディF1に自信「レーシングブルズの前に出れる」

    ガブリエル・ボルトレト アウディF1に自信「レーシングブルズの前に出れる」

    アウディF1のガブリエル・ボルトレトは、2026年F1ハンガリーGPの金曜フリー走行を終え、レーシングブルズを上回って中団勢の先頭を争える可能性があると自信を示した。

    ボルトレトはハンガロリンクで行われたFP1を6番手で終え、FP2では11番手に後退した。ただし、路面グリップの低さやタイヤのオーバーヒートに苦しみ、代表的なラップタイムを記録できなかったとして、順位以上の競争力があると考えている。

    FP2ではソフトタイヤのバランスに苦戦
    直近2戦で連続してポイントを獲得しているガブリエル・ボルトレトは、サマーブレイク前の最終戦に向けてアウディが正しい方向へ進んでいると評価した。

    「ポジティブな1日だった。FP2はソフトタイヤで少し難しく、クルマがあちこちに動いてしまって、バランスにはあまり満足できなかった」

    「でも、試すべきことや取り組むべきことがあったし、全体としては成功した1日だったと思う。多くの情報を集めることができたので、明日はすべてをまとめて、いい1日にしたい」

    FP2では満足できるアタックを完了できなかったものの、決勝に向けたセットアップ作業やタイヤの理解という点では、有益な走行になったという。

    レーシングブルズとの中団首位争いを予想
    今季の中団ではレーシングブルズが安定した競争力を発揮しているが、ボルトレトはアウディにも上回るチャンスがあると語った。

    「いつものように接戦になると思う。すべてをうまくまとめて、すべてがかみ合えば、僕たちは彼らより前に出られると思う」

    ハンガロリンクは予選順位が重要となりやすく、オーバーテイクも容易ではない。ボルトレトの発言は、アウディが単にポイント圏内を狙うだけでなく、中団グループの先頭を現実的な目標として見据えていることを示している。

    ガブリエル・ボルトレト(アウディF1)

    ヒュルケンベルグも両セッションでトップ10
    チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグもFP1を8番手、FP2を9番手で終え、両セッションでトップ10入りを果たした。アウディは金曜の走行で新たなアップグレードのテストも実施している。

    テクニカルディレクターのジェームス・キーは、低速コーナーが連続するハンガロリンクのレイアウトについて、「我々のクルマには比較的合っている」と説明。さらなるポイント獲得には、小さな部分を正確に仕上げる必要があると強調した。

    「本当に細かな部分を確認していくだけだ。新しいレギュレーションが始まってまだ数戦だが、すでに差は非常に小さくなっている。そこを詳しく見ていく」

    「ロングランのペースも悪くなかった。予選でいい位置を獲得できれば、その順位を維持できる可能性はあると思う」

    FP1では2台そろってトップ10圏内の速さを示し、FP2でもヒュルケンベルグが9番手につけたアウディ。ボルトレトがセットアップをまとめられれば、予選ではレーシングブルズを含む中団上位勢との僅差の争いに加わる可能性がある。

  • ガブリエル・ボルトレト アウディF1で2戦連続8位「チームの仕事は信じられない」

    ガブリエル・ボルトレト アウディF1で2戦連続8位「チームの仕事は信じられない」

    ガブリエル・ボルトレトは、2026年F1ベルギーGPで8位入賞を果たし、イギリスGPに続く2戦連続のポイント獲得を達成した。

    今季アウディでポイントを獲得しているのは依然としてボルトレトのみだが、予選Q3進出から決勝8位という結果を残したことで、中団争いにおけるチームの競争力向上を証明した。ボルトレトは、スタッフの努力を「信じられない仕事」と称賛している。

    2戦連続8位は「達成できるすべて」
    ボルトレトは開幕戦オーストラリアGPで9位に入り、アウディのF1参戦初年度に理想的なスタートをもたらした。

    しかし、その後は不運やあと一歩でポイントを逃すレースが続いた。モナコGP、スペインGP、オーストリアGPでは3戦連続で11位に終わり、チームはライバルとのポイント差を広げられていた。

    流れが変わったのはイギリスGPだった。ボルトレトはスタート位置から3つ順位を上げ、今季自己最高となる8位を獲得。続くベルギーGPでも再びQ3に進出し、決勝で同じ8位を手にした。

    「ものすごくうれしい。今週末に達成できるすべてを達成したと思う」

    「何と言えばいいのか分からないくらい、チームは信じられない仕事をしてくれた。スイス、ビスター、ノイブルクから500人以上のスタッフがここまで応援に来てくれた。その前で結果を出せたことも素晴らしい。間違いなく、とても良い結果だった」

    ベルギーGPは、アウディがF1参戦計画を初めて発表してからちょうど4年という節目のレースでもあった。ボルトレトの8位は、チームが積み重ねてきた進歩を示す結果となった。

    継続的にポイントを争える手応え
    今回の結果がチームに与える影響について問われたボルトレトは、自身にとって大きな自信になると語った。

    「チームにとっても大きな後押しになってほしい。少なくとも僕にとっては、とても大きな後押しになっている」

    「今はこうした結果を継続的に出せるようになって、ポイント争いができている。その感覚を持てるのは本当に素晴らしいことだ」

    ボルトレトとチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグは、ベルギーGPでレーシングブルズやアルピーヌといった中団上位勢と戦えるペースを示した。

    一方、ヒュルケンベルグは予選中に突然の油圧漏れに見舞われ、後方からのスタートを余儀なくされた。決勝終盤にはフランコ・コラピント、ピエール・ガスリー、リアム・ローソンと激しく争ったものの、13位でフィニッシュ。今季初ポイントには届かなかった。

    ヒュルケンベルグは10戦を終えた段階で、まだポイントを獲得していない4人のドライバーのひとりとなっている。マイアミGP、スペインGP、イギリスGPでのリタイアを除けば、多くのレースでトップ10に接近しており、信頼性問題が結果を妨げる要因となっている。

    ガブリエル・ボルトレト(アウディF1)

    ヒュルケンベルグ「中団を戦う速さはある」
    ヒュルケンベルグは、ベルギーGPでポイントを逃した最大の要因として、後方スタートと1周目のポジションダウンを挙げた。

    「悪くはなかった。中団でたくさんバトルをしたけど、スタート位置が後ろすぎた代償を払うことになった」

    「1周目のスタートでは、僕たちの2台ともかなり順位を落としたと思う。それでさらに難しいレースになった」

    それでも、マシンの純粋な競争力については前向きな評価を示した。

    「それ以外ではパフォーマンスはあるし、中団争いをするための速さもある。見た限りでは、僕たちはレーシングブルズと並んでベスト・オブ・ザ・レストだったと思う。それはかなりポジティブで、励みになることだ」

    ボルトレトの2戦連続8位により、アウディは中団争いで安定してポイントを狙える段階に近づいていることを示した。今後はヒュルケンベルグ側の信頼性問題を解消し、2台で結果を残せるかがさらなる浮上への鍵となる。

  • ニコ・ヒュルケンベルグ サインツJr.加入説にジョーク「リザーブなら空いている」

    ニコ・ヒュルケンベルグ サインツJr.加入説にジョーク「リザーブなら空いている」

    ニコ・ヒュルケンベルグが、カルロス・サインツJr.のアウディF1加入説をユーモアたっぷりに受け流した。夏の移籍市場で自身のシート喪失が噂される中、「リザーブなら空いている」とジョークを飛ばし、現在の立場に揺るぎがないことを強調した。

    アウディは2026年からワークスチームとしてF1に参戦し、ヒュルケンベルグとルーキーのガブリエル・ボルトレトを起用。最近はウィリアムズのカルロス・サインツJr.がアウディ移籍候補として取り沙汰されているが、ヒュルケンベルグはそうした憶測を一蹴した。

    「チームは僕たちに満足している」
    ベルギーGPを前に取材に応じたヒュルケンベルグは、現在のドライバーラインアップについて自信をのぞかせた。

    「チームはガビ(ガブリエル・ボルトレト)と僕にとても満足していることを知っている。僕たちはまだ始まったばかりだ。チームとしての最初のシーズンだからね」

    アウディは長期的なプロジェクトとしてF1参戦を進めており、ドライバー体制の継続を重視している姿勢を繰り返し示している。

    複数年契約を強調
    ヒュルケンベルグは自身の契約についても明確に言及した。

    「契約は非常に明確だ」

    アウディは契約期間の詳細を公表していないものの、加入時に複数年契約であることを発表している。今回の発言からは、少なくとも2027年シーズン終了までは契約が続くことが示唆されており、加入からわずか1年でシートを失うとの見方を否定した。

    ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディF1)

    サインツJr.加入説にはジョークで返答
    サインツJr.がアウディ入りするとの噂について問われると、ヒュルケンベルグは笑みを浮かべながら応じた。

    「F1では毎年恒例の夏の噂話だよ」

    そして、こうジョークを飛ばした。

    「リザーブドライバーのシートなら空いていると思う。でも、彼は興味がないだろうね」

    さらに、自身の将来については「何の疑問符もない」と断言し、シートを巡る憶測を改めて否定した。

    アウディは長期プロジェクトを継続
    2026年にワークス参戦を開始したアウディは、ここまで苦戦が続いている。ボルトレトは2度のトップ10フィニッシュを記録している一方、チーム全体としては中団争いで安定した結果を残せていない。

    ヒュルケンベルグ自身も今季は4度のリタイアを喫するなど信頼性に苦しんでいるが、アウディは短期的な結果ではなく長期的な戦力強化を重視している。今回のヒュルケンベルグの発言は、そのプロジェクトの中で自身の立場が揺らいでいないことを示すものとなった。

  • アウディF1は勝つために誕生 ビノット「ブランド変更だけでは勝てない」

    アウディF1は勝つために誕生 ビノット「ブランド変更だけでは勝てない」

    アウディF1プロジェクトを率いるマッティア・ビノットは、チームが将来的なタイトル獲得を目標に掲げる一方で、短期間で競争力を完成させることはできないと強調した。

    シャシー面ではすでに高いポテンシャルが確認されているものの、パワーユニット開発や人材、設備、組織体制の構築にはまだ時間が必要だという。

    フェラーリでチーム代表やパワーユニット部門の責任者を務めたビノットは、アウディの組織拡大、2026年F1パワーユニット規則、追加開発機会制度のADUO、圧縮比を巡る議論、次世代エンジン、ドライバー体制、イギリスの技術拠点、そして2030年までの長期目標について語った。

    アウディF1の拡張計画は予定どおり進行
    アウディは数年にわたる準備期間を経て、2026年からワークスチームとしてF1に参戦している。ビノットによると、現在の拡張計画は当初設定したスケジュールに沿って進められている。

    「順調だ。我々が定めた計画に沿って進んでおり、現時点までに設定していた目標に関しては、すべて予定どおりだ」

    「最も重要なプロジェクトはすべて始動している。もちろん、始動したからといって、すでに完成しているという意味ではない。まだ構築しなければならないものは多いが、すべて計画していたとおりに組み立てられている」

    アストンマーティンやウィリアムズのように、組織を拡大しているチームが一時的にパフォーマンス面で代償を払うケースもある。しかし、ビノットは他チームとの単純な比較を避け、アウディには独自の事情があると説明した。

    「他のチームとは比較したくない。僕が知っているのは我々のプロジェクトであり、他のチームの内情ではないからだ」

    「アウディは非常に明確な野心を持って生まれた。それは勝てるチームになることだ。その意味で、我々の道のりは特別なものになる」

    「短期的に何らかの代償を払っていると言うより、奇跡を期待することはできないと言った方が正しい」

    「ブランドとカラーを変えるだけでは勝てない」
    ビノットは、アウディという名称やワークス体制への移行だけで、組織の能力が即座に変わるわけではないと強調した。

    「必要な人材、ツール、スペースがすべてそろっていないのであれば、一日で並外れた結果を求めることはできない」

    「実際のところ、現在の我々は、昨年のザウバーに、今まさに構築しているものを追加している段階だ」

    「オーナーやブランド、マシンのカラーリングを変えたからといって、突然300人のスタッフが増え、新しい施設や優れたツールが手に入るわけではない。本当の挑戦はまさにそこにある」

    高い目標を掲げながら、現実的な成長速度も受け入れなければならない。それが現在のアウディが置かれている状況だという。

    「一方には非常に高い野心があり、もう一方では成長には時間がかかるという事実を受け入れる必要がある」

    「僕自身、できるだけ早く結果を出し、このチームに何ができるのかを示したいと思っている。しかし、短期的には、現在持っているリソースで可能なことしかできない」

    「忍耐強くならなければならないし、ある程度のフラストレーションを管理することも学ばなければならない」

    シャシーはトップ4級もパワーユニットは発展途上
    ビノットは以前、アウディのシャシーがF1でトップ4に入る水準にあるとの見方を示していた。一方、パワーユニットについては、参入初年度から一定の遅れが生じることを想定していたという。

    「パワーユニットに関しては驚いていない。完全に新しい能力と知識を構築しているため、ある程度の遅れを抱えてスタートすることは分かっていた」

    「これは長期的なプロジェクトだ。数シーズンのうちに、アウディがトップレベルのパワーユニットを手にすることになると確信している」

    対照的に、シャシー部門の進歩には大きな手応えを感じている。

    「シャシーについては非常に満足している。このプロジェクトの構築を数年前に始め、現在は最初の成果が見え始めている」

    「このチームがすでに成し遂げたことは大きな成功であり、自信を与えてくれる。勝てるチームをつくるために必要な人材がいることを意味している」

    現在のアウディが純粋な競争力で4番手なのか、5番手なのかを明確に判断することは難しい。それでも、コーナリング性能については他チームのドライバーからも高く評価されているという。

    「現在の競争力が4番手なのか5番手なのかを判断するのは難しい。しかし、他チームのドライバーのコメントを聞くだけでもいい。誰もが我々のマシンはコーナーで非常に強いと認めている」

    「データ分析でもそれは確認できる。ストレートで失っているものの大部分を、コーナーで取り戻すことができている」

    勝者のメンタリティとは組織文化
    ビノットはアウディ加入後、繰り返し「勝者のメンタリティ」の重要性を語ってきた。ただし、その言葉は精神論ではなく、組織の文化や人間関係、連携の質を意味している。

    「勝者のメンタリティという表現は頻繁に使われる。しかし、最終的には文化であり、人々がどのように一緒に働き、どのように関わり合うかということだ」

    「現在、シャシー部門とパワーユニット部門を合わせると、我々も他のF1トップチームと同じように1000人を超える組織になっている」

    規模が同程度になれば、最終的な差を生むのは人数ではなく、組織としての機能性になる。

    「最終的な違いを決めるのは、人間関係の質、部門間の調整、そして全員が同じ方向へ進む能力だ」

    「僕にとって勝者のメンタリティとは、全員に野心的な挑戦を受け入れてもらい、共通の目標に向かって一緒に働けるようにすることだ」

    ADUO本来の目的は後れたメーカーの救済
    ビノットはフェラーリ時代にエンジン部門を率いた経験を持つ。その立場から、2026年に導入されたパワーユニットの追加開発機会制度ADUOについても見解を示した。

    ADUOは、各パワーユニットメーカーの性能を一定期間ごとに評価し、基準を下回ったメーカーに追加の開発機会を与える制度である。

    「FIAが行った作業を疑問視するつもりはない。FIAには評価に必要なツールとデータがすべてそろっている。もちろん、どのような測定システムにも避けられない限界はある」

    「ただし、ADUOの本来の目的が何だったのかを思い出すことは重要だと思う」

    制度が最初に議論された段階では、新規則の導入直後に大きく出遅れたメーカーを救済するセーフティネットとして構想されていた。

    「最初にこの制度が議論されたとき、その考え方は一種のセーフティネットだった」

    「規則サイクルの序盤でメーカーが大きく後れた場合、規則が事実上凍結され、開発の可能性もほとんどない状況では、その不利を5年間にわたって抱え続ける危険がある」

    そのために導入されたのが、パワーユニット性能の収束を促す仕組みだった。

    「そこからパフォーマンス・コンバージェンスという概念が生まれた。後れたメーカーに、追いつくためのより大きな可能性を与えるものだ」

    「基本的にはシャシーや空力ですでに採用されている原則と同じだ。選手権で下位にいるチームには、より多くの風洞使用時間が与えられる」

    「同様に、パワーユニットで後れたメーカーには、他メーカーとの差を縮め、選手権をより均衡させるための追加開発機会が与えられる」

    アウディ F1

    コース上の性能だけでは実力を測れない
    ビノットが問題視しているのは、ADUOの評価が実際にコース上で発揮されたパフォーマンスを中心に行われる点だ。

    総合的に優れたマシンを持つチームは、パワーユニットを常に最大出力で使用する必要がない可能性がある。その場合、本来は高いポテンシャルを持つパワーユニットでも、評価上は性能が低く見える恐れがある。

    「僕の考えでは、限界はコース上で発揮されたパフォーマンスだけを測定していることだ」

    「マシン全体に優位性があれば、パワーユニットのポテンシャルを完全に引き出さずに走ることができる」

    「例えば、メルセデスがより高いポテンシャルを持つエンジンを持っていたとしても、マシンによる優位性があれば、限界まで使う必要がなかった可能性がある」

    「仮にそうであれば、追加の開発マージンまで得られた可能性がある」

    ビノットは、パワーユニットの本当の能力をより正確に評価できるよう、制度を再検討する必要があると主張する。

    「その点で規則を見直す必要があると思う」

    「ADUOの本来の意図は、本当に後れたメーカーを助けることだった。パワーユニットの実際のポテンシャルを評価することが難しくなるような状況を生み出すことではない」

    圧縮比のグレーゾーンは2027年規則で明確化
    2026年のF1では、パワーユニットの圧縮比を巡る規則解釈も議論の対象になった。ビノットによると、この論争が以前ほど大きく取り上げられなくなったのは、2027年に向けた規則変更について合意が形成されたためだ。

    「最終的に規則変更について合意したため、議論は少し落ち着いた」

    「今年中の対応も予定されていたが、本当に重要な変更は2027年に関するものだ。そのため、この問題はある意味で沈静化した」

    技術者、メーカー、チームの間では、2027年から圧縮比に関する規則上のグレーゾーンが明確化されるとの共通認識がある。

    「技術者、メーカー、チームは、グレーゾーンを明確にする規則上の目標があることを理解している」

    「圧縮比が技術的なアドバンテージになり得ることは明らかだ。しかし、2027年からは規則がこの領域をより明確に扱うことも分かっている」

    「それまでの間、現在アドバンテージを持っているメーカーは、当然ながら2026年もそれを最大限に活用しようとするだろう」

    次世代F1エンジンでアウディは効率を重視
    F1ではすでに、2030年代に導入する可能性がある次世代パワーユニットについて議論が始まりつつある。自然吸気V8を支持する案がある一方、アウディはターボを維持する方向を望んでいるとも伝えられている。

    ただし、ビノットは現時点で正式な議論は始まっていないと説明した。

    「現在はまだ正式な議論が存在していない」

    「まずアウディは、FIAや他のメーカーと同じテーブルに着き、どのような選択肢があるのかを理解したい。そして、全員で最善のフォーマットをつくることに貢献したい」

    「何が最善の解決策なのか。それこそが、これから議論すべきテーマだ」

    アウディが重視しているのは、パワーユニットの効率と市販車への技術移転である。

    「アウディは常に効率の重要性を支持してきた」

    「高効率なエンジンを実現する技術は、その後、市販車にも応用される。効率について話すとき、それは燃料消費、排出量、モータースポーツと量産車の間の技術移転を意味する」

    一方で、現行パワーユニットの複雑さや重量、コストは、次世代規則で改善すべき課題になる。

    「本当の挑戦は、高い効率を維持しながら、より複雑ではなく、より軽く、持続可能なコストで運用できるF1エンジンをどのように設計するかを理解することだ」

    FIAとメーカーの双方が必要
    2026年の新パワーユニット規則は、導入初期にメーカー間の性能差や複数の技術論争を生んだ。こうした経験が次の規則策定に影響する可能性について、ビノットはFIAが議論を主導すべきだと述べた。

    「規制当局であるFIAには、この議論を導く役割があると思う」

    「F1にはメーカーが必要であり、メーカーにもF1が必要だ」

    「最終的には、これまでと同じように、単なる妥協ではなく、全員にとって可能な限り最善の解決策を見つけなければならない」

    ヒュルケンベルグとボルトレトを高く評価
    アウディは経験豊富なニコ・ヒュルケンベルグと若手のガブリエル・ボルトレトを起用している。両者は2027年も残留する可能性が高いとみられている。

    ただし、ビノットは2人を単純に「若手とベテラン」の組み合わせとして見るべきではないと語った。

    「このコンビは、若手とベテランの組み合わせとして表現されることが多い。しかし、僕は非常に速い2人のドライバーだと表現したい」

    「年齢よりも先に、僕にとって重要なのは速さだ」

    「若手と経験豊富なドライバーをそろえていても、競争力がなければ意味はない」

    「僕には非常に速い2人のドライバーがいると思っている。それには満足している。2人とも自分たちの価値を示しており、非常に良い仕事をしている」

    フェラーリとアウディで責任の重さは変わらない
    ビノットは長年、フェラーリで大きなプレッシャーの中に置かれてきた。現在は世界有数の自動車グループを背景に持つアウディのF1プロジェクトを率いているが、責任から生じるプレッシャーの本質は変わらないという。

    「プレッシャーは常に責任と結びついていると思う」

    「ブランドに対する責任、結果に対する責任、一緒に働く人々に対する責任がある」

    「その観点では、フェラーリとアウディで大きく変わることはない」

    プレッシャーへの向き合い方は人によって異なる。ビノットは外部の報道から距離を取り、組織の仕事に集中する方法を選んでいる。

    「それぞれが自分なりの方法でプレッシャーを管理している」

    「僕は単純に、ジャーナリストの記事をあまり読まず、やらなければならない仕事に集中するようにしている」

    技術論争もF1の競争の一部
    2026年シーズンは、ADUO、圧縮比、規則解釈を巡る論争が相次いだ。ビノットは、こうした話題がメディアによって増幅されているだけではなく、実際の技術競争が背景にあると指摘する。

    「現在の競争は、あらゆる分野で行われている」

    「コース上で競争するだけでなく、技術面や規則面でも競争している」

    「今年のように、シャシーとパワーユニットの両方で完全に新しい規則が導入されれば、全員があらゆる細部や解釈の可能性を利用しようとするのは避けられない」

    論争が生じるのは、それだけ各チームやメーカーが技術的、スポーツ的に激しく競っている証拠でもある。

    「論争が起きるのは自然なことだ。しかし、それは本当の技術的、スポーツ的な戦いが存在しているからだ」

    「最終的には、それもポジティブな側面だと思う」

    ビノットが特に驚いたのは、大幅な規則変更が行われたにもかかわらず、シーズン序盤から複数のチームが上位争いに加わっていることだった。

    「過去とは大きく異なる規則が導入されたにもかかわらず、わずか数戦の段階ですでに多くのチームがポールポジションや優勝を争えていることには驚いた」

    「見ていて素晴らしいスペクタクルだ」

    イギリス拠点は人材獲得のための技術アンテナ
    アウディはスイスのヒンウィルをシャシー部門の中心拠点としながら、イギリスにもサテライト拠点を設置している。

    ビノットによると、イギリス拠点の主な目的は、F1関連企業や人材が集中する地域で、新たな技術者を採用しやすくすることにある。

    「我々のシャシー拠点はスイスにあり、それは長所であると同時に短所でもある」

    「一度スイスに人材を呼び込むことができれば、その人が離れることは少ない。非常に安定しており、生活の質も高い」

    「一方で、地理的な位置によって、新しい人材を引きつけることはより難しくなる」

    イギリスのモータースポーツ産業に近い場所へ拠点を置くことで、人材や技術情報へのアクセスを改善できる。

    「イギリスに一種の技術アンテナを置くことで、専門知識や技術により近づき、優秀な人材を見つけやすくなる」

    2030年にF1タイトルを争えるチームへ
    アウディの長期目標は、2026年や2027年の短期的な成績だけを基準に設定されているわけではない。ビノットは2030年を重要な基準として挙げた。

    「実際には、2026年や2027年よりもはるか先を見据えた目標を定めている」

    「我々の基準は2030年だ。選手権を争えるチームをつくりたい」

    2030年までの道のりには、いくつかの重要な段階がある。ビノットは、そのひとつが2028年になるとの見通しを示した。

    「この道のりの中には、重要なステップがあることも理解している」

    「我々にとって最初の大きな段階は、おそらく2028年になる。そこで、さらに大きな質的進歩を遂げたい」

    そのため、2026年と2027年は、純粋なレース結果だけで評価するシーズンではなく、組織を構築する期間として位置づけられている。

    「2026年と2027年は、スポーツ面の結果だけで判断される年というより、主に構築の年だと考えている」

    「この段階で僕が最も見たいのは、会社と組織が成長していることだ」

    サーキットの約100人を1400人が支える
    グランプリの現場で働くスタッフは、アウディF1プロジェクト全体の一部にすぎない。ビノットによると、シャシーとパワーユニットを合わせた組織全体では約1400人が働いている。

    「サーキットで働いているのは100人強だが、その背後では、シャシーとパワーユニットを合わせて約1400人が毎日働いている」

    「多くの場合、人々が見ているのはサーキットへ行くチームだけだ。しかし、それはプロジェクトの目に見える部分にすぎない」

    ビノットはレース結果をケーキの上に載せる飾りに例え、まずはそれを支える組織を完成させなければならないと説明した。

    「サーキットはケーキの上の飾りだ。しかし、その前にケーキそのものをつくらなければならない」

    「僕にとって、今後2年間で最も重要な成果は、組織の成長に関するものになる」

    アウディは勝利とF1タイトルを最終目標に掲げているが、ビノットはブランド変更だけでその目標に到達できるとは考えていない。2026年と2027年を組織構築の期間、2028年を次の成長段階と位置づけ、2030年に選手権を争える体制を完成させることが、アウディF1プロジェクトの長期的な道筋となっている。

  • ガブリエル・ボルトレト アロンソに異論「2026年F1は魔法を失っていない」

    ガブリエル・ボルトレト アロンソに異論「2026年F1は魔法を失っていない」

    ガブリエル・ボルトレトが、2026年F1マシンを厳しく批判した恩師フェルナンド・アロンソとは異なる見解を示した。アロンソが「ドライバーの才能が追い抜きに影響しなくなった」と主張する一方で、ボルトレトは「F1は魔法を失っていない」と反論し、新時代のレギュレーションへの適応が必要だと語った。

    アウディF1の若手ドライバーであるボルトレトは、アロンソが設立したマネジメント会社「A14マネジメント」に所属している。それでも、恩師への敬意を示しながら、自身の考えを率直に明かした。

    アロンソの批判に異論「F1は魔法を失っていない」
    シルバーストンでアロンソは、2026年型マシンではバッテリーのエネルギー展開が追い抜きの決定要因となり、ドライバーの技術や勇気が以前ほど重要ではなくなったと主張した。

    「前のクルマを追い抜くのに、ドライバーの技術や才能は必要ない」

    「誰かをブレーキングで抜く必要もないし、アウト側から仕掛ける必要もない。リスクを負う必要もない」

    「ただボタンを押すだけだ」

    しかし、ボルトレトはこうした見方に同意しなかった。

    「このスポーツが魔法を失ったとは思わない」

    「今でもコプス・コーナーは時速280kmで走っているし、そこで一瞬アクセルを戻さなければならない」

    「確かに、以前のグラウンドエフェクト以前のマシンのように全開で駆け抜ける感覚とは違う。でも、それは単に違うというだけなんだ」

    「文句を言っても2030年まで続く」
    ボルトレトは、2026年から始まった新時代を受け入れるべきだと強調した。

    「2026年型マシンで、僕たちは新しい章を開いた」

    「それでもまだ不満を言う人がいるなら、もう慣れるしかないと言いたい。だって、このルールは2030年まで続くんだから」

    「つまり、3年間ずっと文句を言い続けるつもりなのかい?」

    「これが現実なんだ」

    「マシンは今でも十分に楽しい。ただ以前とは違うだけだ。僕たちは適応しなければならない。それが人生というものだ」

    ガブリエル・ボルトレト

    恩師アロンソへの感謝は変わらず
    ボルトレトはアロンソ率いるA14マネジメントに所属しており、今回の発言は恩師と異なる立場を示したことで注目を集めている。

    それでも、アロンソへの感謝の気持ちは変わらないと強調した。

    「アロンソとA14は、僕にとって本当に大きな存在だった」

    「彼らは僕に良いチームでF3へ参戦する機会を与えてくれたし、その後はF2でも良いチームを用意してくれた。そしてF1への扉も開いてくれた」

    「僕は彼らにいつまでも感謝し続ける」

    さらに、現在のF1で最も知性的なドライバーとしてアロンソの名を挙げた。

    「その点では、フェルナンド・アロンソは誰よりも先を行っている」

    ボルトレトは恩師の功績を高く評価しつつも、2026年レギュレーションについては異なる考えを示した。新世代ドライバーらしく「変化を受け入れ、適応することが重要だ」との姿勢を鮮明にしている。

  • アウディF1代表 ADUO制度見直し訴え「本来の目的から外れている」

    アウディF1代表 ADUO制度見直し訴え「本来の目的から外れている」

    2026年から導入されたF1の新パワーユニット(PU)規則に合わせて設けられた「追加開発・アップグレード機会(ADUO)」制度について、アウディF1プロジェクトを率いるマッティア・ビノットが、評価方法の見直しをFIAに求めた。

    ビノットは現行制度ではPU本来の性能を正確に評価できず、本来救済されるべきメーカーとは異なる結果を生む可能性があると指摘。制度の目的である「性能収束(コンバージェンス)」に立ち返るべきだと訴えている。

    ADUO制度とは何か
    2026年からF1では、内燃機関と電動システムの出力比率が50対50となる新世代パワーユニットが導入された。開発難度が大幅に高まることを受け、FIAは競争力が不足するメーカーに追加開発を認める「Additional Development and Upgrade Opportunities(ADUO)」制度を創設した。

    対象となったメーカーは通常より多くの開発機会を得られる一方、その判定は主にV6エンジンの実戦パフォーマンスを基準として行われる。

    その結果、今季最も競争力の高いPUを持つと見られるメルセデスもADUOの対象となった一方、フォードとの共同開発による初年度PUを投入したレッドブル・レーシングは対象外となった。この判断に対しレッドブル・レーシングは異議を申し立てたものの、FIAは認めなかった。

    一方、ザウバーを引き継いで今季からワークス参戦しているアウディは、ADUOの適用対象となっている。

    ビノット「マシン性能がPU評価を歪める」
    ビノットは『Motorsport.com』の取材に対し、現行制度はマシン全体の競争力がPU評価に影響を及ぼしてしまうと指摘した。

    「私の考えでは、限界は実際のコース上のパフォーマンスだけを測定していることだ。マシン全体に優位性があれば、パワーユニットの性能を限界まで引き出す必要はない」

    「例えばメルセデスは、実際にはさらに高い性能を持つエンジンを搭載していても、シャシーに十分な優位性があるため限界まで使う必要がなかった可能性がある。もしそうなら、そのメーカーは追加の開発余地まで得ることになる」

    「だから私は、この点について規則を見直す必要があると考えている。ADUOの本来の目的は、本当に遅れているメーカーを支援することであり、パワーユニットの真の性能を判断しづらい状況を生み出すことではなかった」

    アウディ F1 ADUO

    「本来の目的は5年間の格差固定を防ぐこと」
    ビノットは一方で、制度を設計したFIAの取り組み自体を否定するものではないと強調した。

    「結果についてFIAの仕事を疑っているわけではない。FIAは評価に必要なデータと手段を持っているし、どのような測定方法にも限界があることは理解している」

    そのうえで、制度創設時の理念を忘れてはならないと訴えた。

    「重要なのは、ADUO本来の目的を思い出すことだ。当初この制度が議論された際には、一種のセーフティネットという考え方だった」

    「もし規則サイクルの序盤であるメーカーが大きく遅れ、しかも規則がほぼ凍結されて開発余地も限られていれば、その不利を5年間引きずることになってしまう」

    「そこで生まれたのが性能収束という考え方だ。遅れているメーカーに追いつく機会を与えるというもので、これはシャシーや空力で採用されている考え方と同じだ」

    「ランキング下位のチームほど風洞使用時間が多く与えられる。同じように、パワーユニット性能で遅れているメーカーにも、より多くの開発機会を与え、チャンピオンシップ全体の競争をより均衡させるべきだ」

    現行のADUO制度は導入初年度から判定基準を巡る議論が起きている。ビノットは制度そのものを否定しているわけではなく、当初掲げられた「性能差の是正」という目的をより正確に実現するため、評価方法の改善が必要だとの考えを示した。

  • カルロス・サインツJr.去就に新展開 レッドブルF1も候補浮上も「つなぎ役」扱いか

    カルロス・サインツJr.去就に新展開 レッドブルF1も候補浮上も「つなぎ役」扱いか

    カルロス・サインツJr.の2027年去就を巡り、新たな動きが浮上した。ウィリアムズ残留か移籍かを夏休みまでに決断するとみられる中、移籍先候補として名前が挙がるアウディとアルピーヌの首脳が相次いで現状を説明した。一方で、マックス・フェルスタッペンの去就次第ではレッドブルもサインツを獲得候補に挙げていると報じられている。

    ただし、それぞれのチームの事情は大きく異なる。アウディは現在のドライバーラインアップを高く評価し、アルピーヌはフランコ・コラピントの今後のパフォーマンスを見極める姿勢を示した。

    一方、レッドブルではオスカー・ピアストリ獲得が最優先とされ、サインツは代替案という位置付けにとどまるようだ。

    ウィリアムズで揺らぐサインツの将来
    2026年シーズンのウィリアムズは、新レギュレーションへの対応で苦戦が続いている。

    チーム代表のジェームズ・ボウルズは、新世代マシンで上位進出を狙えると考えていたものの、FW48はプレシーズンテスト初週を欠席する事態となり、開幕時点では重量超過と空力開発の遅れも抱えていた。

    サインツJr.は当初こそ失望を隠せなかったが、マイアミGPで投入されたアップデートによって一度は楽観的な見方を示した。しかし、その後は再び失速し、ウィリアムズはグリッド後方へ逆戻り。プロジェクトへの期待は再び揺らぎ始めている。

    スペイン『Motor.es』によれば、サインツJr.は8月の夏休みまでに自身の将来を決断する意向だという。現在の契約には2027年、2028年まで延長できるオプションが盛り込まれているが、移籍も視野に入れているとされる。

    アウディは現ラインアップ維持を強調
    移籍先候補の一つとみられるアウディだが、最高執行責任者のマッティア・ビノットは現体制を高く評価している。

    2027年もガブリエル・ボルトレトを将来の柱として起用する考えは変わらず、38歳のニコ・ヒュルケンベルグについても信頼を口にした。

    「私たちは素晴らしいドライバーラインアップを持っている。よく『ベテランとルーキー』と言われるが、実際には速いドライバーが2人いる。それが私には何より満足だ」

    さらにビノットはヒュルケンベルグについても高く評価した。

    「ニコにはまだ十分な力が残っている。集中力も素晴らしく、速さと安定感を兼ね備えている。まるで若いドライバーのようだ。まだ何年も活躍できるし、仕事ぶりにも非常に満足している」

    現時点ではサインツJr.だけでなく、新たなドライバー獲得に動く考えは示していない。

    アルピーヌはコラピント次第
    もう一つの有力候補とされるアルピーヌでは、ピエール・ガスリーが2027年まで契約を結んでいるため、サインツJr.加入にはフランコ・コラピントとの交代が前提となる。

    チームのマネージングディレクターを務めるスティーブ・ニールセンは、コラピントの成長を評価しつつも、来季残留は実力次第との考えを示した。

    「フランコは、言っていいなら少しスロースタートだった。でも改善している。今年はいくつか良いレースもあった。マイアミも中国も良かったし、着実に前進している。だから彼は実力でそのシートを勝ち取っていると思う。そして時が来れば決断を下す」

    さらにニールセンは率直にこう続けた。

    「彼が十分に良ければ残る。そうでなければ、もっと良い選択肢がある。それがF1だ」

    一方で、コラピントの安定感は大きく向上していると評価している。

    「特に決勝での安定感は以前よりかなり良くなった。ピエールとの差も縮められるようになっている」

    「昨年も少しそういう場面はあったが、当時のマシンはあまりに競争力がなく判断が難しかった。今年はピエールと互角に戦えたレースもあり、それを見るのは良いことだ」

    レッドブルもサインツを候補視か
    こうした中、F1 Oversteerは、フェルスタッペンが契約解除条項を行使してレッドブルを離れた場合、サインツJr.が後任候補の一人になっていると報じた。

    ただし、レッドブルの最優先ターゲットはマクラーレンのオスカー・ピアストリとされている。ピアストリにはアウディ移籍の可能性も取り沙汰されており、レッドブルは当初想定していた獲得プランの見直しを迫られているという。

    その結果、サインツJr.が有力な代替候補として浮上したものの、レッドブル内部では長期的な後継者ではなく、2027年を乗り切るための「つなぎ役(ストップギャップ)」との位置付けだと伝えられている。

    また、レーシングブルズで実績を積むアービッド・リンドブラッドやリアム・ローソンについては高く評価しているものの、現時点ではフェルスタッペンの後継を任せるには時期尚早との見方だという。

    サインツの決断が2027年市場を左右
    ウィリアムズはアレックス・アルボンとサインツJr.のコンビ継続を最優先に掲げており、ジェームズ・ボウルズ代表も「私が望むラインアップに疑いは全くない」と残留を強く望んでいる。

    しかし、フェルスタッペンの去就、ピアストリとアウディの交渉、アルピーヌのコラピント評価など、2027年に向けたドライバー市場は複数の要素が複雑に絡み合っている。

    サインツJr.が下す決断は、自身の将来だけでなく、レッドブル、アウディ、アルピーヌ、そしてウィリアムズを巻き込む2027年F1ドライバー市場全体の動向を左右する重要な分岐点となりそうだ。