カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • ホンダF1構造問題の核心 ニューウェイの低重心思想とバッテリー分割の代償

    ホンダF1構造問題の核心 ニューウェイの低重心思想とバッテリー分割の代償

    アストンマーティンとホンダが直面しているのは、単なる信頼性トラブルではない。AMR26を襲う振動問題の本質は、設計思想そのものに根差した構造課題にある。

    重心を極限まで下げるというエイドリアン・ニューウェイの思想。その実現のために選ばれたバッテリー分割構造とMGU-Kの低位置配置が、いまホンダF1パワーユニット全体を揺らしている。解決、あるいは緩和までに半年を要するとの見立ても出ている。

    テストで露呈した“想定内”の異変
    プレシーズンテストで見られた不具合は、完全な不意打ちではなかった。さくらのバーチャルテストトラック段階から、振動に関する兆候は存在していたという。

    幹部が日本へ足を運んだのも、状況が設計想定と一致していなかったからだ。机上では成立していたパッケージが、実走行で別の表情を見せ始めていた。

    低重心化が生んだ二層バッテリー構造
    ニューウェイは重心を可能な限り下げることを求めた。そのためMGU-Kを極端に低い位置へ配置する必要が生じ、結果としてバッテリーは上下二層に分割された。

    この変更は初期設計段階には存在していなかった後発の決断だった。取り付け方法や固定構造も再設計され、PU内部のレイアウトは他メーカーとは大きく異なるものとなった。

    振動連鎖のメカニズム
    ホンダのMGU-Kは約3万回転で作動し、熱機関部とともに強い振動を発生させる。問題は、その振動が極めて近接したバッテリーへ直接伝達される点にある。

    最初に損傷するのはOリングとされる。シールが破れ冷却水が漏れ、セル内部へ侵入。水冷式バッテリーにとってそれは致命的であり、化学反応が連鎖的に発生する。

    振動の原因は出力そのものではなく、配置と固定方法にあると見られている。設計思想が振動を吸収する余地を与えなかった。

    シャシーとの哲学的衝突
    AMR26のシャシーはミニマル設計を徹底している。これは空力と重量配分の面で利点を持つが、振動を“逃がす”余裕を持たない。

    ホンダ側は補強を求めたが、シャシー思想を崩すことへの抵抗があったとされる。バッテリー分割は後から加わった変更であり、構造全体との整合性が十分に確保されていなかった。

    本田技研工業 ホンダF1 / アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    燃料が緩衝材になる異例の現象
    興味深いのは、燃料満載時には振動が軽減される点だ。ガソリンが一種のダンパーとして作用し、共振を抑える。

    しかし軽量状態では問題が顕在化する。特に予選シミュレーションでは振動が増幅される傾向にあり、エンジン回転数を上げるほど損傷リスクは高まる。

    出力を追求するほど耐久性が削られるという構図に陥っている。

    構造修正か設計再考か
    ギアボックスや電気系統、ソフトウェア面にも再検討課題はあるが、それらは比較的対処しやすい領域とされる。真の問題は構造的な配置思想だ。

    短期的には振動緩和策でしのぐことになるが、根本解決には設計再考が必要になる可能性がある。完全な修正には時間を要する。

    ニューウェイの低重心思想は、理論上は大きな武器となる。しかし現段階では、その挑戦はホンダF1パワーユニットに重い代償を課している。

    半年後、この極端な設計思想は革新として結実するのか。それとも2026年F1シーズンを通じて試練を抱え続けるのか。構造問題の行方が、両者の未来を左右する。

    Source: motor.es

  • アストンマーティンF1 ホンダPU危機でオーストラリアGP“数周撤退”計画か

    アストンマーティンF1 ホンダPU危機でオーストラリアGP“数周撤退”計画か

    アストンマーティンは2026年F1開幕戦オーストラリアGPで、決勝を“数周で撤退”する可能性があるという。ホンダ製パワーユニットの深刻な信頼性問題が解決しておらず、完走を前提としない異例のレース運営が検討されていると、Motorsport.comイタリア版が報じている。

    バーレーンでのプレシーズンテストでは、AMR26は深刻な信頼性トラブルに見舞われた。

    走行時間の多くをガレージで過ごし、十分なデータ収集ができなかったとされる。複数回のエンジントラブルはスペアパーツの供給体制にも影響を与え、開幕戦への準備は整っていない状況だ。

    報道によれば、チーム内部では一時、不可抗力条項の適用によるメルボルン欠場も検討されたという。しかし、新レギュレーション時代の幕開けとなる初戦での不参加は大きなイメージ悪化につながるうえ、コンコルド協定に基づく補償問題も発生しかねない。最終的に参戦自体は維持される見通しだ。

    その代わりに浮上しているのが、“数周撤退”という異例の選択だ。まずは予選で107%ルールをクリアしてグリッドに並び、決勝では数周走行した段階でリタイアするという。限られたスペアパーツを温存しつつ、さらなる重大トラブルの発生を回避する狙いがあるとみられている。

    今回の混乱を受け、ホンダを支援するための“危機対応ユニット”も設置された。チーム代表兼テクニカル責任者のエイドリアン・ニューウェイのスタッフが、さくらのホンダ側技術陣と直接連携し、問題解決に取り組んでいる。

    ホンダ側は、V6エンジンから発生する振動が、シャシー内に搭載されたハイブリッドシステム用バッテリーの故障を引き起こしていることを認めている。振動対策と構造的な統合設計の見直しが急務となっている。

    さらに、メルセデスで数々のタイトルを支えたエンジン部門責任者として知られるアンディ・コーウェルも日本へ派遣された。ただし、時間は限られており、パフォーマンス改善以前に“最低限の信頼性確保”が最優先課題となっている。

    ニューウェイは内部で、内燃エンジンの出力が不足しており、バッテリーを十分に再充電できていないと皮肉交じりに指摘したとも伝えられる。条件次第では約80馬力不足しているとの見方もあるという。

    この状況では、AMR26の真の実力評価もアップグレード計画の立案も不可能に近い。開発ロードマップそのものが機能停止状態にある。

    シルバーストンに最新鋭施設を整備し、エイドリアン・ニューウェイらトップ人材を獲得してきたローレンス・ストロールの大規模投資戦略は、いま大きな試練に直面している。世界タイトル争いという目標は、少なくとも現時点では遠のいたと言わざるを得ない。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1 本田技研工業

    “早期リタイア戦略”が示す現実
    今回の報道が事実であれば、107%通過と数周完走を目的とする参戦は、信頼性確保のための時間稼ぎという色合いが強い。エネルギーマネジメントが鍵を握る2026年レギュレーション下において、ハイブリッド系統の不具合は致命的であり、振動問題が根本的に解決しない限り戦闘力以前の段階にとどまる。

    オーストラリアGPは、新時代の勢力図を測る最初の指標となるはずだった。しかしアストンマーティンにとっては、まず“完走できるかどうか”が焦点となる開幕戦になりそうだ。

  • アストンマーティン・ホンダF1苦戦の裏側 ホーナーの“人材戦略”が影響か

    アストンマーティン・ホンダF1苦戦の裏側 ホーナーの“人材戦略”が影響か

    2026年F1シーズンを前に、アストンマーティンの苦境が浮き彫りとなっている。バーレーンで行われたプレシーズンテストでは、新型ホンダ製パワーユニットに複数の問題が発生し、チームは十分な走行距離を確保できなかった。

    その背景に、かつてレッドブルを率いたクリスチャン・ホーナーの“抜け目ない決断”があった可能性が指摘されている。

    元F1ドライバーのイバン・カペリは伊ガゼッタ紙のインタビューで、ホーナーがレッドブル時代の晩年に行った人材戦略について言及した。

    「この功績はクリスチャン・ホーナーにある」とカペリは語った。

    「彼はここ数年、ホンダのエンジニアたちをレッドブル・パワートレインズのプロジェクトにとどまるよう説得し、同時にメルセデスからも重要な人材を確保した」

    「つまり、エンジンは新しいが、それを運営しているのは非常に有能な人々だ」

    ホーナーは2025年7月に20年務めたレッドブル代表の座を追われた後、アストンマーティンのチーム代表就任が噂された。しかしそのポストに就いたのは、かつての同僚エイドリアン・ニューウェイだった。

    そのニューウェイは、今週のバーレーンテストで厳しい表情を浮かべていた。アストンマーティンは新型ホンダ製パワーユニットに起因する複数のトラブルに見舞われ、最終日にはランス・ストロールが計測タイムなしの6周しか走れない状況に陥った。

    ストロールは、グリッド最上位勢から最大で4秒遅れていると認めており、ホンダ側も信頼性とパフォーマンスの両面で満足していないと述べている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    一方、レッドブル・パワートレインズのディレクターであるベン・ホジキンソンは、オートスポーツ誌に対し、新たなパワーユニット体制の立ち上げについて次のように語っている。

    「我々は短期間で700人規模の組織を築くところから始めた」

    報道によれば、その約700人はレッドブル内部の人材に加え、メルセデス・パワートレインズから移籍したスタッフ、そしてかつてレッドブルとホンダのパートナーシップに関わっていたホンダの人員も含まれている。

    ホンダが2021年に突如F1活動終了を発表した際、ホーナーはレッドブル・パワートレインズ構想を急速に具体化させ、ホンダのエンジニアに対して「レッドブルの名の下で残る」という道を提示した。

    2026年のアストンマーティンとホンダの苦戦を、この一手だけに帰することはできない。しかし、ホンダとの提携が2025年末で終わると理解した段階で、レッドブルが迅速に組織体制を整えたことは事実だ。

    その差が、2026年開幕を前にした両者の明暗を分けている可能性は否定できない。

  • ホンダF1振動問題の技術構造 エンジン起振と車体共振の連鎖

    ホンダF1振動問題の技術構造 エンジン起振と車体共振の連鎖

    2026年F1プレシーズンテストで露呈したホンダの“異常振動”問題。その発生源はエンジン側にあると断定されながらも、実際にダメージが及んだのはバッテリーシステム系だった。単体の不具合ではなく、エンジン起振が車体側の条件と重なり合うことで増幅される“複合共振”の構造が、今回の本質とみられている。

    さくらの施設ではモノコック搭載状態に近い条件で振動解析が進められているが、伝達経路と共振条件の特定は容易ではない。

    開幕を目前に控えるなか、ホンダF1は設計変更ではなく現行仕様の最大化と振動抑制で信頼性を成立させるという、極めて難しい局面に立たされている。

    起振源はエンジン だが問題は“車両全体”
    会見で武石伊久雄は「起振源がエンジンなのは間違いありません」と明言した。

    この発言は、振動の一次入力がエンジン回転に同期していることを示唆する。しかし同時に武石は、「トランスミッションやエンジンなど1個に限定できれば攻め込みやすいのですが、それぞれが連携しながら振動を発生させていると思われます」とも語っている。

    つまり、エンジン単体の欠陥という単純な構図ではない。エンジンから発生した振動が、ギアボックス、マウント、シャシー剛性、さらには路面入力と絡み合い、特定の条件下で増幅される構造が存在している可能性が高い。

    問題の本質は「振動がある」ことではなく、「どの経路を通り、どの条件で危険域に入るか」という連鎖構造にある。

    バッテリー“システム系”損傷という重い事実
    テスト中に発生した異常は、安全上看過できないレベルだった。

    「詳細は避けますが、そのまま走行してはいけないような異常です。漏電の危険性という意味で走るのをやめました」と武石は説明している。

    ここで重要なのは、バッテリーそのものが設計不良と断定されたわけではないという点だ。

    「バッテリーそのものが問題かどうかは分かりません」とも語っており、セル内部なのか、搭載部の剛性や締結条件なのか、あるいは周辺系統なのかは特定されていない。

    しかし、漏電リスクが発生するレベルのダメージである以上、信頼性が成立していない状態にあることは明確だ。これではパフォーマンス評価や回生最大化といった議論に進むことはできない。

    Sakuraでの解析が示す“共振経路”の複雑さ
    現在、さくらの施設ではモノコック搭載状態に近い条件で振動解析が行われている。

    「センサーやゲージを貼りながら測定しており、バッテリーの振動数値は確認しています。再現もできるかなと思っています」と武石は述べた。

    PU単体ベンチではなく、車両条件に近い状態での解析が必要になっているという事実は、問題が車両全体の固有振動と結びついていることを示している。

    単体性能の改善ではなく、車両としての成立性が問われている段階にある。

    ホンダ F1 本田技研工業

    設計変更より“現行最大化”という現実
    3月1日のホモロゲーションを前に、大幅な設計変更は現実的ではなかった。

    「当面は今承認を取ったものを最大化させるオペレーションに注力します。それ以上はもうできないという状況ですね」と渡辺康治は語った。

    武石も「バッテリーを2階建てから1階建てにするような話は今からはできません」と明言している。

    つまり短期的には、現行仕様の範囲内で振動の抑制、伝達経路の管理、運用面での最適化を組み合わせて信頼性を確保するしかない。

    回生出力の憶測よりも優先されるもの
    一部で報じられたMGU-Kの回生能力に関する憶測については、「そのような話は聞いていません」と否定された。

    「350kW/250kWの話とは関係ないと思います」と武石は述べている。

    しかし現段階で重要なのは、最大回生出力の達成ではない。振動による損傷リスクを排除し、車両を走らせ続けられる状態を作ることが前提条件となる。

    開幕までに何を成立させるか
    「長引く可能性も否定できません」と武石は率直に語った。

    一方で、「問題が解決すれば、本来のポテンシャルは出てくると思います」とも述べている。

    開幕戦オーストラリアGPに向けての現実的な目標は、最大パフォーマンスではなく、振動条件を管理下に置き、バッテリーシステムの耐久性を成立させることだ。

    エンジンを起点とする振動が、どの経路を通って車体共振を引き起こし、どの条件で損傷に至るのか。その連鎖構造を解き明かせるかどうかが、2026年ホンダF1の序盤戦を左右することになる。

  • フェルナンド・アロンソ 2026年F1開幕戦で「勢力図は変わる」

    フェルナンド・アロンソ 2026年F1開幕戦で「勢力図は変わる」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、2026年F1シーズンの開幕戦オーストラリアGPで、現在予想されている勢力図が覆る可能性があると警告した。

    バーレーンで行われた6日間のプレシーズンテストでは、メルセデスとフェラーリが早くも有力候補として浮上。だがアロンソは、新レギュレーション初年度ゆえに“サプライズ”が起きる余地は十分にあると見ている。

    新レギュレーションがもたらす不確実性
    2026年F1は、内燃機関とハイブリッド出力が50対50に分かれる新パワーユニット時代に突入。各チームに“白紙”の状態からの開発機会が与えられた。

    テストの印象では、メルセデスとフェラーリがその機会を最も有効に活用したとみられている。マクラーレンとレッドブルも注目を集め、特に自社製パワーユニットを投入したレッドブルはエネルギーマネジメント、とりわけデプロイメント性能で際立った存在と評価された。

    一方で、アストンマーティンはホンダ製パワーユニットの信頼性問題に苦しみ、バーレーン最終日は事実上走行を断念。エイドリアン・ニューウェイ設計のAMR26は一定の速さを示したものの、不安要素を抱えたままメルボルンを迎えることになる。

    キャデラックも静かなテストを過ごし、5チームがひしめく中団勢は拮抗。現時点の序列はあくまで暫定的なものにすぎない。

    フェルナンド・アロンソ

    「トップの誰かが予想より遅いかもしれない」
    「新レギュレーションは常にサプライズの機会を与える」とアロンソは語った。

    「誰がそのサプライズになるのかは分からない。でも、トップチームのうちのどこか1つは、我々が思っているほど速くないかもしれない。そして中団のいくつかは、少し速いかもしれない」

    現在の勢力分析はパワーユニット性能に大きく依存している。メルセデスは走行距離を着実に重ね、フェラーリも車体・パワーユニット両面で好感触を示した。だがテスト終盤にかけて各陣営の差は縮小傾向にあった。

    レッドブルのデプロイ優位性は抑えられ、フェラーリのロケットスタートも目立たなくなった。アロンソは、こうした“収束”の流れがシーズンを通じて続くと予想している。

    シーズン後半は別の勢力図に
    「シーズン後半は、できれば違った様相になるだろう。特に我々の場合、たとえスローペースでスタートしても、良くしていくことはできる」

    「見てみよう。マクラーレンは2023年、ここバーレーンで周回遅れになっていた。それでもオーストリアかシルバーストンか、どこかでレースに勝った」

    「これは複雑なスポーツだ」

    開幕戦オーストラリアGPでの勢力図は、バーレーンで見えた構図とは異なる可能性がある。アロンソの言葉は、2026年F1がまだ流動的な段階にあることを改めて示している。

  • アストンマーティンF1の苦戦に元メルセデス幹部「ニューウェイを見くびるな」

    アストンマーティンF1の苦戦に元メルセデス幹部「ニューウェイを見くびるな」

    メルセデスの元モータースポーツ責任者ノルベルト・ハウグが、苦戦スタートとなったアストンマーティンとエイドリアン・ニューウェイを擁護した。

    2026年F1シーズン開幕を前に、アストンマーティンは厳しい立ち上がりを見せているが、ハウグは「今、見限るのは早すぎる」と強調している。

    「彼らを過小評価すべきではない。歴史は繰り返すものだ」とハウグはスカイ・ニュースF1のインタビューで語った。

    ハウグは1990年から2012年までメルセデスのモータースポーツ活動を率い、1997年にはウィリアムズで成功を収めていたエイドリアン・ニューウェイの獲得にも関与した人物である。1998年にはマクラーレンがコンストラクターズ王座を獲得し、ミカ・ハッキネンがドライバーズタイトルを2度制覇した。

    そのニューウェイは2005年にレッドブルへ移籍し、2024年末にチームを離脱。2025年からアストンマーティンに加わった。

    ホンダの立て直し力を強調

    アストンマーティンの不振の一因は、パワーユニット供給元であるホンダの準備不足にもあるとされている。だがハウグは、状況は急速に変わり得ると見る。

    「ホンダは過去にいくつか大きなミスを犯してきた。それは我々も知っている。しかし彼らは決して諦めない。体制を立て直し、より強くなって戻ってくる。私は彼らを見限らない」

    「特にホンダは、一夜にして山を動かすことができる存在だ。だから長く後れを取るとは思わない。メルボルンでは本命ではないだろうが、大きな前進を見せると期待している」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26には「目を引くソリューション」
    ハウグはAMR26の競争力について断定は避けつつも、技術的アプローチには好感を示した。

    「この段階で最終的な結論を出すのは不可能だ。いくつか非常に目を引くソリューションがある。例えばリアサスペンションがリアウイングの回転支点に固定されている。あの形で見たのは初めてだ」

    「ただし走行距離が不足している。十分な距離を走らなければ、誰もアストンマーティンの真の競争力を評価することはできない」

    ニューウェイは常に限界へ挑む
    ハウグは最後に、ニューウェイの開発哲学にも触れた。

    「私はエイドリアン・ニューウェイと長く仕事をしてきた。かつて完全に使い物にならないマシンを作ったこともある。その結果、前年のシャシーに戻らざるを得なかった」

    「しかしニューウェイは常に限界まで攻める。だから私は彼らを見限らない」

  • アストンマーティンF1 ホーナーに株式提示か ニューウェイ共同リーダー構想

    アストンマーティンF1 ホーナーに株式提示か ニューウェイ共同リーダー構想

    アストンマーティンF1が、レッドブル・レーシングを離脱したクリスチャン・ホーナーに対し、シルバーストン拠点での上級リーダー職と株式取得の機会を提示していたと報じられている。

    2025年7月にレッドブルを退任したホーナーに対し、ローレンス・ストロールがステークホルダーとしての参加と、エイドリアン・ニューウェイと並ぶ指導的ポジションを打診していたという。

    ホーナーとニューウェイはレッドブル時代に約20年にわたり協働。ホーナーはチーム代表兼CEO、ニューウェイはチーフデザイナーとして体制を築いてきた。

    その後ニューウェイは2025年にアストンマーティンへ移籍。株式を持つマネージング・テクニカル・パートナーとして加入し、2026年からはアンディ・コーウェルに代わりチーム代表を務めている。

    スカイスポーツのクレイグ・スレーターは、アストンマーティンがホーナーに対して出資とリーダー職の両面で正式なオファーを行ったと明かしている。

    「エイドリアンはおそらく『自分一人でやっていけるし、クリスチャン・ホーナーは必要ない』というシグナルを出した可能性がある。ただ、ホーナーにアストンマーティンの株式取得と、ニューウェイと並ぶリーダー職のオファーがあったのは事実だ」とスレーターは語った。

    2025年には、レッドブル末期における両者の関係悪化がニューウェイ離脱の一因だったとも報じられていた。ホーナーに対しては女性従業員に関する不適切かつ支配的行為の疑惑も浮上していた時期と重なる。

    ただしスレーターによれば、ニューウェイのミルトンキーンズ離脱後、両者は関係を修復したとされている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム クリスチャン・ホーナー

    アルピーヌF1への出資構想 9月が分岐点に
    一方、ホーナーのF1復帰先として最有力視されているのがアルピーヌだ。

    スレーターによれば、ホーナーはビジネスパートナーとともにアルピーヌへの出資を模索しており、現在売却対象となっているオトロ・キャピタルの24%株式取得を狙っているという。

    「アルピーヌの状況だが、ホーナーはビジネス関係者とともにアプローチしている。売却対象となっているのはオトロ・キャピタルの持ち分だ」

    「9月には交渉の形が変わる可能性があるポイントがあり、ホーナー側としてはそれまでにまとめる必要があるかもしれない」とスレーターは述べている。

    アルピーヌは2025年5月にオリバー・オークスが辞任して以降、正式なチーム代表不在の状態が続く。現在はフラビオ・ブリアトーレが事実上のリーダーを務め、スティーブ・ニールセンがマネージングディレクターとして加わっている。

    ホーナーが実際に出資を実現し、どのような役割を担うのか。2026年シーズン中盤に向け、パドックの勢力図は再び動く可能性がある。

  • ホンダF1に“異常振動”問題 バッテリー損傷の実態と開幕への課題

    ホンダF1に“異常振動”問題 バッテリー損傷の実態と開幕への課題

    2026年F1プレシーズンテストで、アストンマーティンF1とホンダが想定外の苦戦を強いられた背景が明らかになった。問題の核心は“異常振動”にあり、これがバッテリーシステムにダメージを与えていたという。

    バルセロナのシェイクダウンから走行は限定的となり、続くバーレーンでは状況がさらに悪化。2回目のテストでは3日間合計128周にとどまり、最終日はスペア不足によりわずか6周で終了した。

    ほとんどのライバルが300周以上を走破するなか、開発距離で大きく出遅れる形となった。

    異常振動がバッテリー系統に影響
    HRCの渡辺康治社長はテストを振り返り、次のように語った。

    「テストの結果として、我々の前に立ちはだかる壁は確かに高いと感じています」

    武石伊久雄専務は振動問題の実態について説明した。

    「走行中に通常より強い振動が発生しており、それがバッテリーパックにダメージを与えていることは確認できています」

    ただし、バッテリーそのものが根本原因とは断定していない。

    「単一の原因であれば対処は比較的しやすいのですが、複数の要素が連動して振動を生んでいる可能性があります。そのため、原因の特定には時間がかかる可能性があります」

    現在、栃木県のHRC Sakuraではシャシー、エンジン、ギアボックスを組み合わせた仮想トラックテストを実施。実走に近い条件で振動の再現と解析を進めているが、根本原因の特定には至っていない。

    本田技研工業

    ホモロゲーションとアップグレード制限
    3月1日がパワーユニットのホモロゲーション期限となる。バーレーンで走らせた仕様が登録の基礎となるが、信頼性向上を目的とした変更はFIAの承認を得ればシーズン中も可能だ。

    ただしパフォーマンス向上については「追加開発・アップグレード機会」制度により厳しく制限される。エンジン性能指数に基づき、一定割合以上劣る場合にのみ追加開発が認められる仕組みだ。今回のトラブル対応により、ホンダは開発リソースの一部を早期に消費することになる。

    武石専務は優先順位を明確にした。

    「現段階では、まず目の前の問題を解決することを最優先に考えています」

    MGU-K回生能力の憶測と実情
    バーレーン後には、MGU-Kの回生能力が最大350kWどころか250kWにも達していないとの見方も浮上した。

    しかしホンダ側は、走行プログラムの一部だけが切り取られた可能性を示唆している。信頼性問題とスペア不足を踏まえ、エンジンを保守的に運用した結果だと説明している。

    信頼性に問題を抱える場合、エンジンを完全なプログラムで走らせられないのは一般的だ。開幕戦オーストラリアGPでは恒久的解決ではなく、まず振動を抑え込む暫定対策が施される見通しだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    新設計バッテリーと相関問題
    2026年規定に合わせ、ホンダはバッテリーを完全新設計。350kW対応のため内部構造を刷新し、従来の一体型から二層構造へと変更している。

    また、アストンマーティン側の要望でパワーユニット全体のコンパクト化を図ったことで、補機類や搭載方法も見直された。

    武石専務は次のように語った。

    「ある程度の振動は想定していましたが、実際の数値はそれを上回っていました」

    Sakuraでの検証と実車条件の相関が完全ではなかったことも、問題の一因とみられている。

    過去の教訓と現在の挑戦
    今回の状況は、2017年にマクラーレンと組んだ際の苦戦を想起させる。当時も実走環境とシミュレーションの相関不足、予想以上の振動がトラブルを引き起こした。

    武石専務は次のように述べた。

    「もし事前に想定できていれば、もっと早い段階で対処できていたと思います」

    2026年F1は来週末、オーストラリアで開幕する。ホンダとアストンマーティンF1は、まず振動問題の抑制を最優先に、信頼性を確保しながらシーズンを戦うことになる。

  • アストンマーティンF1 元レッドブル設計責任者スキナー獲得に関心か

    アストンマーティンF1 元レッドブル設計責任者スキナー獲得に関心か

    アストンマーティンが、レッドブルで約20年にわたり活動してきたチーフデザイナー、クレイグ・スキナーの獲得に関心を示していると報じられた。

    レッドブルは先週、スキナーが即時離脱したことを発表しており、その動向がパドック内で注目を集めている。

    レッドブルは声明で次のように発表した。

    「20年にわたりチームに在籍したチーフデザイナーのクレイグ・スキナーが、レッドブル・テクノロジーを離れることになった」

    「クレイグは我々のチーム、そして成功にとって不可欠な存在だった。彼の努力と献身に感謝するとともに、今後の成功を祈っている」

    スキナーは、マックス・フェルスタッペンがタイトルを獲得した2021年から2024年にかけての黄金期を支えた設計グループの一員であり、2025年後半の復調にも貢献していた。

    伊紙の報道によれば、現在アストンマーティンのチーム代表を務めるエイドリアン・ニューウェイのもと、同チームがスキナーの招聘に動いているという。

    同紙によると、スキナーは現在“ガーデニング休暇”の期間中であり、上級技術職の場合は少なくとも6か月とみられている。だが突然の離脱というタイミングが、ライバルチームへの移籍観測を強めている。

    英国メディアの情報として、アストンマーティンが有力な移籍先になり得るとの見方も示された。

    シルバーストンを拠点とするアストンマーティンは、巨額投資を行っているにもかかわらず、2026年シーズンの滑り出しに苦戦している。特にホンダ製パワーユニットとの組み合わせにおいて課題を抱えているとされる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイ体制強化の一手となるか
    アストンマーティンは2026年から新レギュレーション下で戦っているが、開幕前テストの段階から安定性やパフォーマンス面で不安をのぞかせている。

    そのなかで、長年ニューウェイとともにレッドブルの黄金期を支えたスキナーの存在は、設計体制強化に直結する人材といえる。

    現在は契約上の制約により即時加入は不可能とみられるが、ガーデニング期間終了後の動向次第では、勢力図に影響を与える移籍となる可能性がある。

    アストンマーティンが再浮上への布石として動くのか、今後の動向が注目される。

  • アストンマーティンF1 AMR26は全域に問題「問題はホンダPUだけではない」

    アストンマーティンF1 AMR26は全域に問題「問題はホンダPUだけではない」

    アストンマーティンのトラックサイド責任者を務めるマイク・クラックは、バーレーンでのプレシーズンテストを経て、AMR26の問題は特定の一分野に限定されるものではないと認めた。

    アストンマーティンはバルセロナでのテスト終盤にようやく走行を開始し、その後のバーレーンでも信頼性トラブルに見舞われるなど、厳しいプレシーズンを過ごした。2026年F1シーズン開幕を前に、チームは明らかに出遅れた状態にある。

    400周止まりのテスト走行 距離不足が浮き彫りに
    バーレーンテストでは継続的なトラブルが発生し、十分な周回数を重ねることができなかった。3回のプレシーズンテストを終えた時点で、アストンマーティンの総走行距離は400周にとどまった。

    これはバルセロナを欠席したウィリアムズの790周、参戦初年度のキャデラックの750周を大きく下回る数字である。

    さらにパワーユニットの観点から見ても状況は厳しい。ホンダ製パワーユニットを使用するのはアストンマーティンのみであり、400周という数字はメルセデス系(4チーム)の10%未満、フェラーリ系(3チーム)の13%、レッドブル・パワートレインズ(2チーム)の20%、アウディ(1チーム)の40%に過ぎない。

    十分な走行距離を確保できなかったことで、パフォーマンス追求や最適化に取り組む段階にはまだ至っていないのが実情だ。

    クラック「我々は他と同じレベルにない」
    水曜日の記者会見で、クラックは現状を率直に認めた。

    「それは妥当な判断だと思う」

    新たなパワーユニットパートナーとの“成長痛”の時期にあるのかと問われ、そう答えた。

    アストンマーティンは17年間使用してきたメルセデス製パワーユニットとギアボックスから決別し、ホンダとの提携を開始。さらに初めて自社製ギアボックスを製作している。

    「信頼性が必要だ。とにかくタイヤを回し続けなければならない。しかし我々は望んだほど走らせることができなかった」

    「1周ごとに学ぶことがある。走れなければ、その分だけ遅れを取る。素晴らしいスタートではない」

    「我々にはやるべき仕事があることを認識している。他のチームがいるレベルに、我々はいない」

    「すべてが新しい。ホンダとのパートナーシップ、ギアボックス、リアサスペンション。大きな作業だ」

    「これが初期トラブルであることを願っている。しかしスタートが難しくても、やるべき仕事が減るわけではないし、気を緩めることもできない」

    「問題を見つめ、一つひとつ解決していくしかない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    問題はPUだけではない
    ホンダ製パワーユニットの信頼性問題が目立つ一方で、クラックは問題がそれだけに限定されるものではないと強調した。

    「我々は出遅れていた。それはバルセロナで分かった。参加できたのは良かったが、準備は整っていなかった」

    「多くの小さな問題が走行を妨げている。それはクルマのあらゆる部分に及んでいる。新しい電子系、新しいパートナー、新しいギアボックス、新しいサスペンションだ」

    「一つの分野に限定できれば楽だが、そうではない」

    「最高の競争相手より3分の1の走行距離しかないのは現実だ。現実的に受け止め、追いつかなければならない。彼らは我々を待ってくれない」

    デ・ラ・ロサ「言い訳はしない」
    チーム広報のペドロ・デ・ラ・ロサも、状況を率直に認めている。

    「振り返れば簡単に言える。しかし“すべきだった”はモータースポーツでは通用しない」

    「もっと早く始めていれば、エイドリアン・ニューウェイが数カ月早く来ていれば、ホンダが一度離脱していなければ――そうした“もしも”はいくらでもある」

    「結論はシンプルだ。我々は遅い。望んでいる位置にいない」

    「何が問題かは正確に分かっている。それがある意味での自信につながっている」

    「来月かどうかは分からない。しかし徐々に、その差は縮まっていくはずだ」

    2026年F1レギュレーション初年度、アストンマーティンは明確なハンディキャップを背負ってシーズンを迎える。ただし、問題の所在を把握しているという自覚と、段階的に改善する姿勢がある限り、巻き返しの可能性は残されている。

    新体制、新パワーユニット、新ギアボックス。すべてを同時に刷新した代償は大きい。しかしその挑戦が実を結ぶかどうかは、ここからの数カ月にかかっている。