カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • ホンダF1 カナダGP展望 折原伸太郎「ドライバビリティを強化」

    ホンダF1 カナダGP展望 折原伸太郎「ドライバビリティを強化」

    ホンダは2026年F1シーズン第5戦カナダGPに向け、エネルギーマネジメントとドライバビリティのさらなる最適化に取り組む。

    舞台となるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは長い直線と低速コーナーを併せ持つストップ&ゴー型レイアウトで、2026年レギュレーション下ではパワーユニット制御の完成度が大きく問われる週末となる。

    今大会はスプリントフォーマットで開催され、現地時間5月22日(金)にFP1とスプリント予選、23日(土)にスプリントと公式予選、24日(日)に決勝レースが行われる。限られた走行時間の中でセットアップとエネルギー戦略をまとめ上げる必要があり、各メーカーにとってFP1の重要性が例年以上に高まっている。

    マイアミGPの成果をカナダで継続検証
    ホンダ F1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、前戦マイアミGPで得たデータを踏まえ、モントリオールでも継続検証を行うと説明した。

    「マイアミGPでは、バッテリー振動対策の効果と、パワーユニット全体の信頼性を確認することができました。また、2026年新レギュレーションにおけるエネルギーマネジメントについて重要な学びの機会となり、カナダGPでも継続して取り組んでいきます」

    ドライバビリティ向上が週末の鍵
    折原伸太郎は、特にドライバビリティ向上が週末の重要テーマになると語る。

    「ストロール選手のホームレースでもあるモントリオールでは、ドライバーがさらに自信を持って走行できるよう、ドライバビリティとエネルギーマネジメント戦略の強化に注力します。これは週末を通じた重要な目標です。コーナー進入時により高いスピードを維持できるような自信を持つことができれば、ラップタイムの向上につなげられます」

    ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでは、バックストレートへ向かう低速コーナーやターン1〜2の立ち上がりでのトラクション性能が重要となる。2026年仕様のパワーユニットでは、MGU-Kによる回生とデプロイメント制御がラップタイムに与える影響も大きく、ドライバーが安心してアクセルを踏める特性づくりが鍵になる。

    ホンダ F1 カナダグランプリ

    スプリント週末で重要となる60分FP1
    さらに、スプリント週末特有の制約も大きなポイントとなる。

    「カナダはスプリントレースのフォーマットで開催されるため、FP1が非常に重要になります。今大会では通常通り60分のセッションとなるため、時間内にあらゆる要素を最適化する必要があります。また、このサーキットは長い直線があり、この区間に向けたデプロイメントの最適化も重要です」

    「バックストレートの手前には低速コーナーがありますし、ターン1、2も同様に低速で難しいセクションです。加えて、ウェットコンディションとなる可能性や気温の低下も考慮しなければなりません。こうした条件下ではグリップの確保が難しく、MGU-Kの制御精度やトルク供給の精度など、ドライバビリティの重要性がさらに高まります」

    マイアミGPで確認した信頼性改善を実戦で再び証明できるか。そして、2026年F1で重要性を増すエネルギーマネジメント戦略をどこまで洗練できるか。ホンダにとってカナダGPは、今後を占う重要な検証の場となる。

  • アストンマーティンF1 AQUAMEと提携 “水分補給”でパフォーマンス向上へ

    アストンマーティンF1 AQUAMEと提携 “水分補給”でパフォーマンス向上へ

    アストンマーティンF1は、2026年F1シーズンに向けて新たなパートナーシップを発表した。新たにチームの独占ウォーターボトルサプライヤーとなるのは、スマート水分補給技術を展開するAQUAMEだ。

    この提携により、アストンマーティンはAQUAMEの「高度な水分補給パフォーマンステクノロジー」を活用する。専用アプリを通じて水分摂取量をリアルタイムで追跡し、個別の水分補給インサイトを提供する仕組みで、チームが2026年シーズンを通じて最適な水分補給状態を維持することを目的としている。

    水分補給を“パフォーマンス要素”として扱う新提携
    AQUAMEは、アストンマーティン向けに5種類のデザインを用意する。単なるチームグッズではなく、日常的に使えるプレミアムなデザインと実用的なスマート機能を組み合わせたコレクションとして展開される。

    アストンマーティンのライセンシング&マーチャンダイズ責任者であるマシュー・チャップマンは、今回の提携について次のようにコメントした。

    「AQUAMEとのコラボレーションを開始できることをうれしく思う。革新的な水分補給技術とアストンマーティンならではのスタイルを組み合わせるものだ」

    「水分補給は回復と集中力にとって重要だ。そのため、このコレクションは日常生活に自然に溶け込むように設計され、プレミアムな美しさとスマートで実用的な機能を組み合わせている」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AQUAMEにとってもF1進出は大きな節目
    AQUAME創設者のスティーブ・アイドゥン・シエは、F1チームとの提携を「大きな節目」と表現した。AQUAMEのテクノロジーを「モータースポーツの頂点」に持ち込む機会になるとしている。

    F1ではドライバーやスタッフのコンディション管理が競争力の一部として扱われており、水分補給も集中力、回復、日々のパフォーマンスに関わる要素となる。今回の提携は、アストンマーティンがこうした細部にも目を向け、チーム全体の環境を整えようとしていることを示すものだ。

  • ホンダのF1継続に暗雲 経営悪化とV8回帰論がアストンマーティン計画を直撃

    ホンダのF1継続に暗雲 経営悪化とV8回帰論がアストンマーティン計画を直撃

    ホンダのF1活動をめぐり、経営面とレギュレーション面の双方から不透明感が強まっている。HRCの親会社である本田技研工業は厳しい財務状況に直面しており、一方でFIAとF1はサステナブル燃料を用いた内燃機関、とりわけV8エンジンへの回帰に前向きな姿勢を示している。

    現時点でホンダから撤退を示す確認は一切ない。むしろホンダは、少なくとも2030年までアストンマーティンとの契約を履行する意向を持っている。

    この2030年という期限は、現行のコンコルド協定がチームやメーカーをF1に結びつけている期間とも重なる。

    2020年撤退を想起させる財務悪化
    ホンダは2020年、レッドブルとのスポーツ面での成果が見え始めた時期に、F1撤退を突然決断した過去がある。その背景には、新型コロナウイルスのパンデミックが世界経済に与えた打撃があり、ホンダ本体の経営判断に大きな影響を及ぼした。

    今回も状況は穏やかではない。3月時点で予測されていた通り、今週発表された財務報告で、ホンダは1957年の上場以来で最悪の経済成績に直面していることが明らかになった。

    3月に終了した会計年度で、ホンダは4230億円の損失を計上した。これは2020年当時以上に厳しい状況とされ、F1へのコミットメントをめぐる憶測が広がる要因になっている。

    ただし、Motorsport.comがホンダ・レーシングに確認したところ、HRCはこの財務発表がレース活動に影響したとは認識していないと説明している。

    「HRCは、5月14日の財務発表によって影響を受けた競技活動に具体的な変更があるとは認識していない」

    ホンダは今回の損失について、電気自動車への投資拡大と関連づけている。これは多くの自動車メーカーがすでに経験してきた課題であり、ホンダも現在その局面に入っている。ただし、その投資は現時点で期待された成果を生んでおらず、特に北米市場では苦戦が目立つ。ホンダはカナダで計画していた電気自動車およびバッテリー生産への95億ユーロ規模の投資を停止する決定も下している。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム / ホンダF1(本田技研工業)

    F1の方向転換がホンダの参戦理由を揺さぶる
    もうひとつの問題は、F1の技術的な将来像だ。FIAとF1は、現行の高出力ハイブリッド路線を見直し、サステナブル燃料を使うV8内燃エンジンへの回帰を望む姿勢を示している。

    これは、アウディとホンダにとって大きな問題になる。両社は、電動出力を高めたハイブリッドパワーユニットが導入されることを前提に、現在のF1に参入・復帰する判断を下したからだ。

    ホンダは以前から、F1参戦の意義はハイブリッド技術が維持されることにあると明確にしてきた。しかし、現行レギュレーションへの批判やF1の技術的威信の低下をめぐる議論が強まるなか、F1の管理者と規則策定側はその逆方向へ進もうとしている。

    F1のステファノ・ドメニカリCEOは、サステナブル燃料こそ将来の中心になるとの見方を示している。

    「もちろん、それを提案するのはFIAの役割だが、私には明確に見えている。将来の中心軸としてのサステナブル燃料、そして電動化と強力な内燃エンジンとの異なるバランスだ」

    FIA会長はV8復活に強い意欲
    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムはさらに踏み込んだ発言をしている。V8エンジンについて「間違いなく戻ってくる。時間の問題だ」と述べ、将来的にはメーカーの意向からより独立した判断を下す考えを示した。

    「2031年には、FIAはパワーユニットメーカーの投票を必要とせずにそれを実行する権限を持つ。レギュレーションはそう定めている。しかし我々は、それを1年前倒ししたい。誰もがそれを求めている」

    メルセデス、フォード、その他のメーカーはこの戦略転換に一定の理解を示している。ただし、完全な内燃機関回帰ではなく、自動車市場の現実に沿う形で何らかの電動要素を残し、ハイブリッドであり続けるべきだという立場を取っている。

    それでも、その電動化の比重は現行フォーミュラよりも小さくなる可能性が高い。問題は、それでホンダがF1参戦を取締役会に正当化し続けられるかどうかだ。アストンマーティンとの2030年までの契約は存在するが、経営環境の悪化とF1の技術方針の変化が重なれば、ホンダのF1継続をめぐる議論は今後さらに敏感なテーマになっていく。

  • アストンマーティンF1 AMR26に“最初の変化” ホンダとギア制御を改良

    アストンマーティンF1 AMR26に“最初の変化” ホンダとギア制御を改良

    アストンマーティンF1は、苦戦が続くAMR26の改善に向けて、ホンダ製パワーユニットとギア制御の統合見直しを進めている。カナダGPでは、その成果として“最初の変化”が見られる可能性がある。

    『Motorsport.com Italia』によると、アストンマーティンはAMR26のギア制御とホンダ製パワーユニットの統合改善に取り組んでいるという。

    2026年F1シーズン序盤、AMR26はエイドリアン・ニューウェイが全面的に関与した最初のアストンマーティンF1マシンとして大きな期待を集めていた。しかし実際には、空力性能だけでなく、パワーユニットやトランスミッションの統合面でも深刻な課題を抱えているとみられている。

    メルセデス依存からの脱却で露呈した課題
    アストンマーティンは、これまでメルセデスからパワーユニットだけでなくギアボックスやリアサスペンションも供給を受けていた。事実上、リアエンド全体をメルセデスに依存する構造だった。

    しかし、ホンダとのワークス提携開始によって状況は一変した。シルバーストンのチームは、リアエンド全体を自ら設計・開発する必要に迫られた。

    特に大きかったのは、自社製トランスミッション開発への挑戦だ。新設された専門部門は経験不足にも直面しており、AMR26ではシフトチェンジの遅さや唐突さがドライバビリティを悪化させているという。

    ホンダPUとの統合でも苦戦
    問題はギアボックスだけではない。ホンダ製パワーユニット側でも、性能面と信頼性面の両方で苦戦が続いていると報じられている。

    特に問題視されたのは振動だった。有害な振動がシャシー側にも伝わり、バッテリー系統にまで影響を与えていたという。まずはその“有害な周波数”を抑え込むことが最優先課題になっていた。

    ホンダは2020年末に一度F1撤退を決断しており、その後に再参戦を決めた経緯もあって、開発体制の再構築には時間を要したとされる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    マイアミで投入された“見えない改善”
    F1マイアミGPでアストンマーティンが大規模アップデートを投入しなかったことには批判も集まった。しかし実際には、シルバーストンでは電子制御によるギア管理改善に取り組んでいたという。

    狙いはシフト時間の短縮だったが、ドライバーの不満を見る限り、期待された成果には届かなかったようだ。

    AMR26は依然としてブレーキング時の不安定さを抱えており、加速時もギア同期が難しい状況が続いているとされる。

    カナダGPが“最初の転機”になるか
    その後、エンジンとギアボックスは日本のホンダ施設でダイナミックベンチテストを実施。さくらで進められた電子制御面の細かな調整によって、モントリオールでは改善が期待されている。

    ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットはストップ&ゴー特性が強く、トラクション性能がラップタイムに直結するコースだ。ギア制御とパワーユニットの統合精度が向上すれば、AMR26にとって今季初の“小さな前進”になる可能性がある。

    ただし、これはまだ本格的な反撃というよりも、問題解決への第一歩に近い。ニューウェイの革新的な設計思想だけでなく、ホンダとの連携や組織全体の成熟度も、アストンマーティンF1の将来を左右する重要な要素になっている。

  • アストンマーティンF1スポンサーJCB 水素エンジンで世界最速挑戦

    アストンマーティンF1スポンサーJCB 水素エンジンで世界最速挑戦

    アストンマーティンF1のスポンサーを務める英国メーカーのJCBが、水素燃焼エンジンを搭載した専用車両で陸上速度記録に挑戦する。舞台は米ユタ州のボンネビル・ソルトフラッツで、FIAが公式に記録挑戦を認定する。

    JCBにとっては、2006年にディーゼル車両「ディーゼルマックス」で世界記録を樹立して以来、20年ぶりの記録挑戦となる。今回の新型車「ハイドロマックス」には、JCBが開発した水素内燃エンジン技術が投入される。

    水素エンジンで挑む“次の速度記録”
    JCBのハイドロマックスは全長32フィートの専用車両で、生産ベースのJCB製水素燃焼エンジンを2基搭載する。合計出力は1,600bhpに達し、5年間で1億ポンドを投じて進められてきたJCBの水素プログラムの一環として開発された。

    ステアリングを握るのは、アンディ・グリーン空軍中佐。グリーンは地上で音速の壁を破った唯一の人物であり、2006年8月にはJCBディーゼルマックスを駆り、350.092mphのFIA世界ディーゼル陸上速度記録を樹立した。この記録はいまも破られていない。

    FIAが認定する歴史的な挑戦
    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、この挑戦を「スピード、技術、革新にとって歴史的な瞬間」と位置づけた。

    「JCBが水素による陸上速度記録挑戦のためにボンネビル・ソルトフラッツへ戻ることは、決定的な章になる。これは空力、エンジニアリングの卓越性、人間の勇気の限界を押し広げる試みであり、野心と革新が結びついたときに何が可能になるかを示すものだ」

    「ブルーバードからスラストSSC、そして新たなJCBハイドロマックスまで、FIAにはこうした歴史的瞬間を認定してきた誇るべき歴史がある。これらの車両は、未来の革新者、科学者、エンジニアに刺激を与える。この水素車両は単に世界記録を破ろうとするだけでなく、高速で持続可能なモビリティの未来そのものを形づくることになる」

    英国でのテストを経てボンネビルへ
    チームはまず英国でテストを開始し、その後、世界有数の陸上速度イベントであるボンネビル・スピードウィークへ向かう。記録挑戦はFIAレギュレーションの下で行われ、正式に認定される世界記録を目指す。

    FIAスポーツ担当副会長のマルコム・ウィルソンも、JCBの復帰が持つ意味を強調した。

    「JCBがボンネビル・ソルトフラッツへ戻ることは、非常にエキサイティングな瞬間だ。同社がディーゼルマックスで成し遂げた過去の成功だけでなく、このプロジェクトが記録挑戦というものが今もエンジニアリングと革新の限界を押し広げ続けられることを示しているからだ」

    JCB会長「これはスピードだけの話ではない」
    JCB会長のアンソニー・バンフォードは、今回の挑戦を英国の技術力を示す機会と位置づけた。

    「英国には速度記録を樹立してきた誇るべき伝統があり、英国企業として、水素を使って新たな記録に挑戦できることをうれしく思う」

    「これは単にスピードだけの話ではない。英国にある世界水準のエンジニアリング人材と、我々の新しい水素エンジンの堅牢性を世界に示すためのものだ」

    アストンマーティンF1のスポンサーでもあるJCBにとって、今回の挑戦はモータースポーツの枠を超えた技術発信の場となる。20年前にディーゼルで築いた記録の歴史を、今度は水素燃焼エンジンで更新できるかが注目される。

  • アストンマーティンF1の“ニューウェイ依存”に警鐘 ホンダ批判で露呈した問題

    アストンマーティンF1の“ニューウェイ依存”に警鐘 ホンダ批判で露呈した問題

    アストンマーティンは2026年F1シーズン序盤から苦戦を強いられている。新パートナーであるホンダとの体制は、振動、信頼性、ドライバビリティの問題に悩まされ、期待された戦闘力を発揮できていない。

    そうした状況の中、元フェラーリおよびメルセデスのエンジニアリング責任者であるアルド・コスタが、エイドリアン・ニューウェイ加入後のアストンマーティンの組織運営に厳しい見解を示した。

    コスタは、ニューウェイ個人の能力を高く評価しながらも、チーム側の管理体制に重大な問題があったと指摘している。

    ニューウェイの“ホンダ批判”に違和感
    コスタはTerruzzi Raccontaポッドキャストで語った。

    「率直に言おう。シーズン開幕直後、自分たちのパートナーに対して、あれほど場違いで、しかも激しく公然とした攻撃をニューウェイが行ったのを見たのは初めてだった」

    「そんなことはしないものだ」

    コスタが問題視したのは、メルボルンでの苦戦後にエイドリアン・ニューウェイがホンダに対して行った公然の批判だった。

    さらにコスタは、その後にアストンマーティン側が説明した内容にも疑問を呈した。

    「その後、彼らは『11月に日本へ行き、以前のF1プロジェクトと同じ人材を使っていないことや、パワー面で遅れていることを知った』と語っていた」

    「11月? そんなことは11月より前に知っていなければならない」

    この発言は、アストンマーティンとホンダの連携不足だけでなく、プロジェクト全体を統括する管理機能が十分に機能していなかった可能性を示唆している。

    ニューウェイは“技術者”として最高峰
    一方で、コスタはニューウェイ自身の能力については疑いを持っていない。

    「私は彼と一緒に働いたことはないが、非常に大きな敬意を持っている。おそらく彼はF1で最も成功した人物だ」

    「彼の技術的能力には無限の敬意を抱いている」

    ただし、その強みはあくまで技術分野にあると分析する。

    「彼と仕事をした人たちから聞いた話では、彼の最大の才能は技術面にあり、組織運営やマネジメントの才能はそれより少し劣るという」

    コスタは、ニューウェイがレッドブルで成功できた背景には、周囲の組織構造があったと説明した。

    「だからこそ、彼にはサポートが必要だ。レッドブルのようなチームを見つけることが重要なんだ」

    「レッドブルでは彼は重要な役割を担っていたが、正式にはテクニカルディレクターという肩書きではなかった」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    “スター技術者依存”の危うさ
    今回のコスタの発言は、ニューウェイ個人を批判するというより、“スター技術者が加入すれば自動的に成功する”という考え方そのものへの警鐘とも言える。

    現代F1では、空力、パワーユニット、シミュレーション、運営管理まで含めた巨大な統合プロジェクトが求められる。特に2026年F1レギュレーションでは、シャシーとパワーユニットの統合開発がこれまで以上に重要視されており、単独の技術責任者だけでチームを機能させることは難しい。

    コスタはまた、アストンマーティンのドライバー体制にも疑問を示している。

    「ポテンシャル? わからない」

    「おそらく私はアストンマーティンの組み合わせが好きではない。メンタリティの観点から見ても、ストロールとアロンソのコンビには疑問がある」

    さらに、莫大な投資額に対して現在のパフォーマンスが見合っていないとも指摘した。

    「キャデラックはまだゲームに加わっていない」

    「しかしアストンマーティンは、本来持っていたポテンシャルと比較すると、それ以上に悪い」

    近年のF1では、“優秀な個人”よりも“機能する組織”の重要性が増している。コスタの発言は、アストンマーティンが現在直面している問題の本質が、単なるマシン性能ではなく、チーム全体の構造にある可能性を示している。

  • フェルナンド・アロンソ F1引退議論で本音「他カテゴリーの方がレースは楽しい」

    フェルナンド・アロンソ F1引退議論で本音「他カテゴリーの方がレースは楽しい」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、自身のF1での将来について揺れ動く心境を率直に明かした。

    2026年シーズン限りで契約満了を迎えるアロンソは、アストンマーティンとホンダの苦戦もあり、今季序盤から厳しい状況に置かれている。マシンは競争力と信頼性の両面で問題を抱えており、今季限りでF1を離れる可能性も取り沙汰されている。

    “F1以外の楽しさ”を知るアロンソ
    アロンソはこれまでにもF1外のカテゴリーに挑戦してきた。2019年から2020年のF1離脱期間には耐久レースやインディカーに参戦し、2017年にはインディ500にもスポット参戦している。

    そうした経験を踏まえ、アロンソは現在の心境について次のように語った。

    「F1の外に何があるかは分かっている」

    「レースそのものだけを見れば、F1よりも優れているカテゴリーもあると思う」

    「今では他カテゴリーの方が楽しいと感じるドライバーもいる。それを僕は10年前、2017年にインディへ行ったときに感じていた」

    「1レースだけだったけど、ああいう感覚を経験した。だから外で何を期待できるかは理解している」

    アロンソは、純粋な“レース”という観点では、F1以外にも魅力的な世界があることを認めた形だ。

    それでもF1だけが持つ“特別な重圧”
    一方でアロンソは、F1にしか存在しない独特の空気感や緊張感も、自身を引き留める重要な要素だと説明している。

    「でも人生やキャリアには、F1が必要になる時期もある」

    「ドライビングやF1特有のアドレナリンだけじゃなく、F1にはパッケージ全体がある」

    「緊張感もあるし、スポンサーもある。いろいろな要素があって、そのバランスをF1寄りにしている」

    2026年のアストンマーティンは、ホンダとの新体制初年度ながら苦戦が続いている。しかし、2027年に向けてエイドリアン・ニューウェイ主導の本格開発が始まることもあり、アロンソにとっては“待つ価値がある未来”なのか、それとも別カテゴリーへの挑戦を優先するのかが大きな判断材料になりそうだ。

    “今の自分が幸せになれる場所”を模索
    アロンソは最後に、自身の決断基準について非常にシンプルな言葉で締めくくった。

    「今の僕は、自分が何を一番幸せだと感じるかを選べる立場にある」

  • アストンマーティンF1 ホンダ進展も後方低迷 クラック「多くの苛立ち」

    アストンマーティンF1 ホンダ進展も後方低迷 クラック「多くの苛立ち」

    アストンマーティンF1チーム代表のマイク・クラックは、2026年F1シーズン序盤の苦戦を受け、チーム内に「多くの苛立ち」があることを認めた。

    シルバーストンを拠点とするチームは、シャシー面とパワーユニット面の双方で課題を抱え、開幕から厳しい戦いを強いられている。前戦F1マイアミGPでは、ホンダが信頼性面で明確な前進を見せ、今季初めて2台そろって完走を果たした。

    それでも、マシンには依然として大きなペース不足があり、ポイント争いに加わることはできず、後方集団での走行を余儀なくされている。

    クラック「現実を見つめなければならない」
    マイク・クラックは、現状に落ち込むことに意味はないとしながらも、レーサーとして後方を走る状況に苛立ちを覚えるのは自然な反応だと語った。

    「我々はみんなレーサーであり、フィールドの後方を走りたいとは思っていない」とマイク・クラックはRacingNews365を含むメディアに語った。

    「だから年を追うごとに改善したいと思うものだが、同時に現実を冷静に受け止めなければならない」

    「問題があると分かったとき、苛立っても意味はない。ただ、それが人間として自然な反応であることは認めなければならない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソとストロールに求められる忍耐
    アストンマーティンにとって難しいのは、単にマシンの改善だけではない。チームが置かれた現実を受け止めながら、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールのフラストレーションをどう管理するかも重要な課題になっている。

    クラックは、最も厳しい立場に置かれているのはドライバーだとし、2人が苦境の中でプロフェッショナルに振る舞っていることを称賛した。

    「最もさらされているのはドライバーたちだ。以前にも触れたが、最も称賛されるべきなのも彼らだ」

    「ランスやフェルナンドのような経験豊富なドライバーがフィールドの後方を走るというのは、本来いるべき場所ではない」

    「我々が管理しなければならない苛立ちは確かに多い。一方で、彼らは素晴らしいプロフェッショナルでもある」

    アストンマーティンはマイアミで信頼性面の一歩を示したが、競争力という面ではまだ大きな課題を残している。クラックの発言は、チームが現実を直視しながらも、ドライバーの忍耐とプロ意識に支えられて苦境を乗り切ろうとしている状況を浮き彫りにしている。

  • エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイを語るとき、F1界では必ずと言っていいほど「空気が見える男」という表現が使われる。

    その象徴的な言葉を広めたのは、当時レッドブルのチーム代表だったクリスチャン・ホーナーだった。「ニューウェイは空気を見ることができる男だ」という表現は、彼の空力感覚を神格化する比喩として定着した。

    だが、本人はそのイメージを笑いながら否定している。

    2024年のポッドキャスト出演時、ニューウェイは「もちろん空気なんて見えない」と語った。

    それでも彼は、“見えているように感じさせる”何かを持っている。

    その本質は、現代F1のエンジニアリングが失いつつある“感覚的理解”にある。

    CFD以前の世代だからこそ身についた“想像力”
    ニューウェイがキャリアを築いた時代には、現在のような高度なCFD(数値流体解析)やCAD(コンピューター設計)は存在しなかった。

    設計者はドラフターに向かい、風洞実験を繰り返しながら、自分の頭の中で空気の流れを想像するしかなかった。

    ニューウェイはその時代を生き抜いた。

    だからこそ彼は、コンピューターが答えを出す前に、“どう流れるべきか”を直感で組み立てる癖が身についている。

    本人も「理解し、視覚化しようとする」と語っているように、彼の武器は計算能力ではなく“イメージ化能力”だ。

    これは単なるロマン主義ではない。

    むしろ、現代F1において極めて希少な能力になっている。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイが特別なのは“空力”ではなく“全体像”を見ているから
    ニューウェイが本当に優れているのは、単純なダウンフォース量の追求ではない。

    彼は「マシン全体のバランス」を最優先に考える。

    それが最も分かりやすく現れたのが、2022年のグラウンドエフェクト時代の幕開けだった。

    多くのチームが“最大ダウンフォース”を追求した結果、激しいポーパシングに苦しんだ。

    一方でニューウェイは、空力数値だけではなく「安定したプラットフォーム」の重要性を重視し、自らサスペンション設計に深く関与した。

    その結果、レッドブルRB18は他チームほど深刻なバウンシングに苦しまず、マックス・フェルスタッペンは2022年に15勝を挙げる支配的シーズンを築いた。

    翌2023年には、F1史上でも屈指の圧倒的マシンへと進化する。

    ここで重要なのは、ニューウェイが“空力だけ”を見ていなかったことだ。

    多くのライバルがCFDの数値を追い続ける中、彼は「ドライバーが扱えるか」「姿勢変化で破綻しないか」という現実側を見ていた。

    現代F1が失いつつある“職人的直感”
    この記事が面白いのは、単なるニューウェイ賛美で終わっていない点にある。

    むしろテーマは、「技術進化が人間の感覚を奪っているのではないか」という問題提起だ。

    スマートフォンが記憶力を代替し、AIが文章を代替し、CFDが空力感覚を代替する。

    便利さと引き換えに、人間は“自分の頭で補完する能力”を失いつつある。

    F1の設計現場も同じだ。

    現代の若いエンジニアはCADやシミュレーションに極めて強い。

    しかしニューウェイ世代のように、“頭の中で空気を流す”訓練は受けていない。

    だからこそ、ニューウェイのような人物は再現不可能とも言われる。

    彼の才能は「知識量」ではなく、「感覚」「経験」「直感」「芸術性」の複合体だからだ。

    レッドブル低迷が“ニューウェイ不在”を際立たせた
    この記事が強く示唆しているのは、ニューウェイ離脱後のレッドブルの変化でもある。

    2024年にニューウェイ退団が発表された後、レッドブルは次第に“他チームと同じ方向”へ進み始めた。

    ピエール・ワシェ自身も、後に「ドライバー向けではない特性を導入してしまった」と認めている。

    つまりニューウェイは、単に速いマシンを設計していたわけではない。

    「何をやってはいけないか」を知っていた。

    それが最大の価値だった。

    F1では、多くの場合“見えているもの”より、“他人が見落としているもの”のほうが重要になる。

    そしてニューウェイは、その“見落とし”を察知できる数少ない設計者だった。

    “最後の鉛筆世代”が去った後に残るもの
    ニューウェイはいずれ鉛筆を置く。

    そのときF1は、おそらくさらに高度なシミュレーション時代へ進んでいる。

    だが同時に、“感覚でマシンを理解する設計者”は減っていく可能性が高い。

    この記事が言いたいのは、「ニューウェイは空気が見える」という神話ではない。

    “コンピューターに頼り切らず、自分の頭の中で考え抜く能力こそが、本当の差を生む”ということだ。

    そして、それこそがエイドリアン・ニューウェイという存在の本質なのかもしれない。

    Source: PlanetF1

  • ランス・ストロール F1離脱説を否定「このまま終われば悔いが残る」

    ランス・ストロール F1離脱説を否定「このまま終われば悔いが残る」

    ランス・ストロールは、2026年F1レギュレーションへの不満を隠さない一方で、自身のF1キャリアを長期的に続ける意向を明確にした。

    アストンマーティンは今季、ホンダ製パワーユニットの性能不足と初期の振動問題に苦しんでおり、ストロールとフェルナンド・アロンソは厳しい戦いを強いられている。

    それでもストロールは、現在の状況がF1から離れる理由にはならないと語った。

    予想されていた問題が現実になった2026年F1レギュレーション
    2026年から導入された新パワーユニットは、内燃エンジンと電気エネルギーの出力比率を50対50とする構造を採用している。だが、バッテリーへの依存度が高くなったことで、ドライバーからはレースの自然さや走行感覚への不満が相次いでいる。

    ストロールは今季、そのシステムに対する最も率直な批判者のひとりとなっている。来季には60対40への調整が予定されているものの、現行パワーユニット時代は今後も続く見通しであり、根本的な不満は残っている。

    「まるで予想できなかったことではない」とストロールは語った。

    「この1年半か、それくらいの間、誰もが言っていた。バッテリーがこうなって、バッテリーを支えるためにクルマからダウンフォースを削って、そういうすべてのことを考えると、良い方向には見えなかった」

    「今、僕たちが手にしているものは、予想していたものだ。今のところメルセデスよりもアストンマーティンにとっての方が苛立たしい状況だろうけど、それがF1だ。そういうものだ。良くなることを願っている」

    ランス・ストロール アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    不満を抱えながらもF1を離れるつもりはない
    ストロールの発言で注目すべきなのは、レギュレーションへの批判と、自身の将来に対する姿勢が切り離されている点だ。彼は現在のF1に強い不満を持ちながらも、それを理由にF1を去る考えは示していない。

    むしろ、厳しい状況に置かれているからこそ、このまま終えることには納得できないという意識がうかがえる。アストンマーティンが競争力を取り戻せないまま離脱すれば、ストロールにとっては未完のまま終わるキャリアになりかねない。

    その意味で「It would bother me」という言葉は、単なる継続宣言ではなく、現在の苦境に対する反発でもある。ストロールは2026年F1レギュレーションを受け入れているわけではないが、それでも自分のキャリアをこの状況に規定されたくないという姿勢を示している。

    アストンマーティンにとって問われるのは改善速度
    アストンマーティンにとって問題は、ストロールの意欲ではなく、彼とアロンソに競えるマシンを用意できるかどうかにある。

    ホンダ製パワーユニットは性能面で苦戦し、初期には振動問題も抱えた。シャシー側も十分な競争力を示せておらず、チームはパワーユニットと車体の両面で改善を迫られている。

    ストロールの発言は、F1のレギュレーションそのものへの批判であると同時に、アストンマーティンが置かれた現実の厳しさを映している。メルセデスよりもアストンマーティンの方が苛立たしい状況にあるという言葉は、同じレギュレーションの下でもチームごとの差が大きく出ていることを示している。

    レギュレーション変更によって状況が多少改善したとしても、アストンマーティンが上位争いに戻るには、ホンダとの連携強化とマシン全体の底上げが不可欠になる。

    ストロールはF1に残る意思を明確にした。しかし、その決意が前向きな物語になるか、苦境の長期化を示す言葉になるかは、アストンマーティンがこのレギュレーション時代でどれだけ早く反転できるかにかかっている。