カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • アストンマーティン・ホンダF1 苦戦脱却への現在地と後半戦の反撃計画

    アストンマーティン・ホンダF1 苦戦脱却への現在地と後半戦の反撃計画

    アストンマーティン・ホンダの2026年シーズンは、開幕から厳しい戦いが続いている。新レギュレーション初年度に向けて大きな期待を集めていたが、実際にはシャシー開発の遅れ、ホンダ製パワーユニットの出力不足、さらに両者の組み合わせによって発生した深刻な振動問題に苦しめられてきた。

    しかし、その状況は少しずつ改善へ向かっている。依然として競争力不足は深刻だが、チームは一つひとつ課題を潰しながら前進しており、後半戦に投入予定の大型アップグレードへ向けて土台作りを進めている。

    まず解決されたのは振動問題
    開幕当初のアストンマーティンを最も苦しめたのは、ホンダ製パワーユニットと新型シャシーの組み合わせによって発生した振動だった。

    この問題は単なる快適性の問題ではなく、ドライバーへの負担だけでなく、車両各部へのダメージも引き起こしていた。チームは開発リソースの多くをこの対策に投入し、空力アップデートを後回しにする決断を下した。

    その結果、最近ではAMR26が長距離走行を行っても大きなダメージを受けることは少なくなり、根本的な振動問題は徐々に抑え込まれつつある。

    ただし、一つの問題を解決すると新たな問題が見つかる状況は続いている。

    次に浮上したギアボックスの課題
    振動問題の改善後、新たに明らかになったのがギアボックスの同期問題だった。

    ギアチェンジ時の同期がわずかにずれることで、ドライバーの操作と実際の変速タイミングに遅れが発生する。その結果、本来最適な回転域でシフトアップできず、加速性能を損なう要因となっていた。

    もっとも、この部分についてはマイアミGPからカナダGPにかけて大きな改善が見られたという。

    アストンマーティンにとって今回のギアボックスは、2008年以来となる自社開発品だ。それまではマクラーレンやメルセデス製トランスミッションを使用しており、自前での開発は長年経験していなかった。

    そのため、今回の開発はチームにとって大きな学習プロセスになっている。

    アロンソが語る「小さな進歩」
    フェルナンド・アロンソはカナダGPで次のように語っている。

    「コースに出るたびに、クルマやエンジン、セットアップ、ギアボックスに新しい改善が加えられている」

    「マイアミからここにかけて、ギアボックスやシフト同期、ダウンシフトは大きく改善した」

    アロンソによれば、こうした改善がラップタイムにどれだけ寄与しているかを数値化するのは難しいものの、同じマシンでもカナダではマイアミより速かったという。

    一方で、彼は現状の限界についても率直に語っている。

    「根本的な問題や3秒近い差を埋めるには、エンジン性能と空力パッケージの改善が必要だ」

    「それはシーズン後半にならないと実現しないだろう」

    現在の改善はあくまで細部の最適化であり、本格的な競争力向上にはまだ至っていないという認識だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム 本田技研工業

    ホンダが見つけた改善の方向性
    ホンダ側も現状を冷静に分析している。

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、現在の課題として主に2点を挙げた。

    ■ 燃焼速度の向上

    ■ エンジン内部摩擦の低減

    折原伸太郎によれば、2027年に向けて検討されている60:40の出力配分変更の有無にかかわらず、この方向性自体は変わらない。

    つまりホンダは現在の性能不足を、燃焼効率と機械抵抗の改善によって解決しようとしている。

    さらにモントリオールでは新たなパラメータやセッティングを投入し、データ上では前向きな結果を確認したという。

    ドライバー要求とのギャップ
    ホンダが特に重視しているのが、ドライバーの要求トルクと実際の出力特性の差だ。

    折原伸太郎は、以前のレースではドライバーが求めるトルク特性を再現することが難しかったと説明している。

    しかしカナダGPでは、そのギャップを縮小する方法を見つけたという。

    これは絶対的なパワー向上ではないが、ドライバビリティ改善につながる重要な進歩だ。特に2026年型パワーユニットは電動比率が高く、出力特性が従来と大きく異なるため、ドライバーの要求にどれだけ近づけられるかが重要なテーマになっている。

    後半戦の大型アップデートが分岐点
    アストンマーティンはここまで空力開発を優先せず、まず車両の基本的な問題解決に集中してきた。

    そのため2026年シーズンのイベント前アップデート一覧では、他チームと違って大きな改良がほとんど見られなかった。

    しかしチームは現在、大型空力パッケージを準備しており、投入時期はスパ・フランコルシャンまたはザントフォールトになる見込みだ。

    このアップデートとホンダの性能改善が組み合わさったとき、初めてアストンマーティン・ホンダの本来のポテンシャルが見えてくる可能性がある。

    現時点では依然として厳しい状況に変わりはない。ただし開幕当初のような混乱状態からは脱しつつあり、チームは着実に課題をリストから消している。

    危機的状況において最も重要なのは派手な改革ではなく、現実的かつ着実な問題解決だ。アストンマーティンとホンダは、まさにその段階にいる。後半戦の大型アップデートが、この長い再建プロセスの成否を左右することになりそうだ。

  • アストンマーティンF1のアップグレードは8月末 ストロール「一夜では起きない」

    アストンマーティンF1のアップグレードは8月末 ストロール「一夜では起きない」

    ランス・ストロールは、アストンマーティンが次の大規模アップグレードを夏休み明けのF1オランダGPまで投入しない見通しであることを明らかにした。

    アストンマーティンは今季ここまで各戦でアップグレードを投入しておらず、まずはパワーユニットに起因する振動問題の解決を優先してきた。開幕戦オーストラリアGPを前に、チーム代表のエイドリアン・ニューウェイは、振動の激しさによってストロールとフェルナンド・アロンソが神経損傷のリスクにさらされていると明かしていた。

    その問題はマイアミGPで解決され、ストロールとアロンソはそろって完走を果たした。ストロールは進展についてこう説明した。

    「そうだね、マイアミで振動を直せた。それは良かった」

    「レースを完走できたし、今季初めて2台ともチェッカーフラッグを受けた。それは一歩前進だったと思う」

    「そして今は、もっと多くのダウンフォースとパワーを見つける必要がある。それができれば、もっといい状態になる。だから、そこに集中している」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ただし、AMR26のパワーとダウンフォース向上はすぐには実現しない見込みだ。新パーツの投入時期について問われたストロールは、スパもしくはその次のザントフォールトになると語った。

    「スパか、その次のレースにアップグレードがある。どちらかは分からない。ザントフォールトだね」

    「それでトップ争いができるようになるのか? いや、そうではない。でも、こういうことは一夜で起きるものではない。みんな可能な限り懸命に取り組んでいるし、できるだけ早くラップタイムをマシンにもたらすために、できることはすべてやっている」

    振動問題の解消は、アストンマーティンにとって最低限の土台を取り戻す作業だった。だが、ストロールの発言は、チームがまだ競争力そのものを引き上げる段階には入っていないことも示している。

    夏休み明けまでアップグレードが届かないという事実は、アストンマーティンの開発計画が短期的な修正ではなく、中期的な再構築に近い性格を持っていることを物語る。ストロール自身も、それだけでトップ争いに加われるとは考えておらず、AMR26の改善にはなお時間が必要だと認めている。

  • ホンダF1 モナコGPへDiLシミュレーターで専用対策「エネルギーマネジメントが鍵」

    ホンダF1 モナコGPへDiLシミュレーターで専用対策「エネルギーマネジメントが鍵」

    ホンダF1は、2026年F1第6戦モナコGPに向けたプレビューを発表した。モナコGPは6月5日(金)にモンテカルロ市街地コースで開幕し、初日にFP1とFP2、6月6日(土)に公式予選、6月7日(日)に決勝レースが行われる。

    市街地特有の低速コーナーとトラフィックが続くモナコでは、パワーユニットの絶対的な出力だけでなく、エネルギーマネジメント、冷却、そしてドライバビリティが重要な要素となる。ホンダF1にとっても、アストンマーティンとの連携の精度が問われる週末になる。

    モナコ特有のPU適応へDiLシミュレーターを活用
    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、モンテカルロ市街地サーキットの特殊性に合わせた準備が必要になると説明した。

    「モンテカルロ市街地サーキットは非常に特殊であり、その特性にPUを適応させるためには、専用の準備が求められます」と折原伸太郎はコメント。

    「エネルギーマネジメント最適化に向け、AMR Technology Campusで、ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーター(DiL)を使ったセッションを実施しました」

    低速区間とトラフィック下で冷却が課題
    モナコは低速区間が多く、パワーユニットの冷却にも厳しい条件が突きつけられる。折原伸太郎は、クリーンエア時だけでなく、モナコ特有のトラフィック下でも安定したPU性能を確保する必要があると語った。

    「また、低速区間が多いモナコでは冷却面も課題になります」

    「クリーンエア時だけでなく、このサーキット特有のトラフィック下でも安定したPU性能を確保できるよう、Aston Martin Aramco Formula One™ Teamと連携して最適な冷却仕様を追求しています」

    ホンダF1 モナコグランプリ

    ドライバビリティ向上がラップタイムの鍵
    今週末は合計3時間のフリー走行が予定されている。ホンダF1は、その限られた走行時間の中でエネルギーマネジメントの最適化と走行プログラムを効率よく進めることを重視している。

    「今週末は合計3時間のフリー走行が予定されており、エネルギーマネジメントの最適化と、走行プログラムを効率よくこなすことが極めて重要です」

    「また、エネルギーマネジメントはドライバビリティに大きく影響するため、ドライバーからのフィードバックを得ることも最優先事項となります」

    モナコでは、わずかな挙動の乱れがラップタイムだけでなく、ドライバーの自信にも直結する。折原伸太郎は、低速コーナーが連続するコースでドライバーが最大限の自信を持って走れる状態を作ることが重要だと強調した。

    「低速コーナーが連続するモナコにおいて、ドライバーに最大限の自信を持って走ってもらえるようドライバビリティを高めることが、ラップタイム向上につながると考えています」

  • アストンマーティンF1の“根本問題”をアロンソが嘆く「後半戦まで続く」

    アストンマーティンF1の“根本問題”をアロンソが嘆く「後半戦まで続く」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1シーズン序盤にアストンマーティンF1の回復を妨げている問題について、「根本的な問題」と表現した。

    アストンマーティンはホンダとの提携初年度に苦しいスタートを切っており、AMR26に起因する激しい振動など複数の問題によって、アロンソとランス・ストロールは開幕から厳しいレースを強いられている。

    「自然な位置である最後尾に戻っていく」
    マイアミとカナダでは一定の前進があったものの、アロンソはカナダでのチームのパフォーマンスについて、これまでと同じ状況の繰り返しだと振り返った。

    「いつもと同じだ」とアロンソはコメント。

    「スタートがうまくいくこともあるけど、完全に本来とは違う位置にいて、そこから少しずつ後退していく。毎周ひとつずつポジションを失って、最後には自然な位置である後方にたどり着く」

    「これが現状で、夏以降まではこういう状態が続く。だから僕たちはそれを受け入れているし、毎週末同じ質問に答えている。でも、この状況については落ち着いている」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    改善は進むも根本解決は夏以降
    アロンソは、アストンマーティンに進歩があることは認めた一方で、ホンダのパワーユニットの不足が依然としてチームを制限していると指摘した。

    「進歩は常にある」

    「コースに出るたびに、マシンにもエンジンにも、セッティングにもギアボックスにも新しいものがある」

    「マイアミからカナダにかけて、ギアボックス、ギアの同期、ダウンシフトは大きく改善した」

    「それがラップタイムにどう反映されるかを数値化するのは難しい。でも、まったく同じマシンでも、細かい部分を詰めたことで、ここではマイアミより明らかに速かった」

    「ここからモナコまでの間にも、多くの小さな改善があると思っているし、また一歩前進できることを願っている」

    「ただ、根本的な問題、そしてペースから3秒遅れている部分は、エンジンのパワーとエアロパッケージから来なければならない。それは今年後半になって初めて実現する」

    アロンソは短期的な苦境を受け入れながら、シーズン後半の改善に望みをつないでいる。さくらの施設とシルバーストンでは、現在の苦境を立て直すための大規模な作業が進められている。

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    ・アストンマーティンF1首脳が反省 カナダGPで露呈したオペレーションミス

  • アストンマーティンF1首脳が反省 カナダGPで露呈したオペレーションミス

    アストンマーティンF1首脳が反省 カナダGPで露呈したオペレーションミス

    アストンマーティンF1のマイク・クラックは、2026年F1カナダGPで露呈したチームのオペレーション面の問題について反省の言葉を口にした。一方で、信頼性の向上やパフォーマンス面での小さな前進も確認できたとして、改善への手応えも示している。

    2026年シーズンのアストンマーティンは苦戦が続いているが、これまで比較的安定していたチーム運営の面でミスが重なったことが、カナダGP後の重要な議題となった。

    クラック「今週末はいくつかのミスがあった」
    レース後の振り返りについて尋ねられたマイク・クラックは、満足できる内容ではなかったと認めた。

    「想像できると思うが、あまり気分の良いものではなかった」

    「マシンのパフォーマンスが我々の望む位置にないことと、チームとしてきちんと仕事を遂行することは別の問題だ」

    クラックは、ランス・ストロールのマシンからホイールカバーが脱落した件や、スプリントでピットレーンスタートを強いられたことなどを例に挙げ、改善が必要だと説明した。

    「これまで我々はもっと良くやれていたし、今後ももっと良くできる。しかし今週末はいくつかの不具合があったので改善しなければならない」

    「ランスがホイールカバーを失った件もそうだし、スプリントではピットレーンからスタートすることになった。理想的な状況ではないし、再発防止に向けて取り組まなければならない」

    序盤は上位争いも現実は厳しく
    アストンマーティンはカナダGPで序盤こそ健闘を見せた。

    フェルナンド・アロンソは一時トップ10圏内を走行し、ストロールもピットレーンスタートからポジションを上げた。しかしクラックは、その順位が実際の競争力以上のものだったと冷静に分析する。

    「純粋なパフォーマンスという観点では、我々は予想していた位置にいたと思う」

    「レース序盤は良い判断がいくつかあり、期待以上のポジションを走ることができた。フェルナンドは一時10番手、ランスもピットレーンスタートから14番手を走っていたので、状況が実際以上によく見えた部分もあった」

    「だが現実はすぐに戻ってくる。常に我々がどこにいるべきかを思い出さなければならない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    信頼性向上には手応え
    一方で、クラックは信頼性の面では確かな前進があったと評価した。

    アストンマーティンは今季、パフォーマンス不足だけでなく信頼性面でも苦しんできたが、カナダではパワーユニット関連のトラブルが発生しなかった。

    「カナダでは何が起こるか分からないが、それ以上の波乱は起きなかった」

    「先ほど話したオペレーション面の問題を除けば、信頼性という観点では非常に良かった。パワーユニット関連のトラブルは一度もなく、故障もなかった」

    「我々は大きく前進してきたと思う。しかしパフォーマンスはまだ本来あるべきレベルには達していない」

    アストンマーティンは夏休み前後に大型アップグレードを投入する計画を進めている。今回のカナダGPでは運営面の課題が浮き彫りとなったが、クラックは信頼性向上という成果を土台に、さらなる前進を目指している。

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    ・エイドリアン・ニューウェイの“ホンダF1救済策”は成功? FIAルール変更の舞台裏

  • エイドリアン・ニューウェイの“ホンダF1救済策”は成功? FIAルール変更の舞台裏

    エイドリアン・ニューウェイの“ホンダF1救済策”は成功? FIAルール変更の舞台裏

    アストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイが、ホンダの2026年F1パワーユニット開発を巡る状況に大きな影響を与えた可能性が浮上している。

    F1では2026年から新たなPUレギュレーションが導入されたが、ホンダは開幕前から深刻な課題を抱えていると伝えられていた。そんな中、FIAは5月に開発支援制度「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」を拡充し、新たな救済枠を設けた。

    ホンダ向けとも言われる新たな救済措置
    ADUOは2026年に導入された制度で、メーカー間の性能差が長期間固定化されることを防ぐことが目的だ。

    従来は基準エンジンから2%以上遅れているメーカー向けの支援枠と、4%以上遅れているメーカー向けのより大きな支援枠の2段階が用意されていた。

    しかしFIAは今月、この制度に新たなカテゴリーを追加。基準性能から10%以上遅れているメーカーに対して、さらに大きな開発支援を与えることを決定した。

    パドックでは、この措置は事実上ホンダを念頭に置いたものだとみられている。

    メルセデスが2026年型PUのベンチマークと考えられている一方、プレシーズン段階ではホンダが約80馬力以上遅れているとの推定もあった。

    今回の制度変更により、ホンダは開発予算上限が数百万ドル規模で引き上げられ、性能向上に向けた追加開発が可能になった。

    ニューウェイ発言がパドックで波紋
    こうした流れの背景として注目されているのが、ニューウェイが開幕戦オーストラリアGP前に行った異例の発言だ。

    ニューウェイは当時、アストンマーティンとホンダが直面している問題について非常に率直に語った。

    特にバッテリー不足については「恐ろしい」と表現し、さらにPU由来の振動が深刻で、ドライバーが長時間走行すると神経への影響が懸念されるレベルだと明かした。

    通常、こうした技術的な問題はチーム内部に留められることが多いため、パドック関係者の間では大きな話題となった。

    アストンマーティン内部でも「話し過ぎではないか」と受け止める声があったとされる。

    意図的な“危機アピール”だったのか
    一方でパドックでは別の見方も存在する。

    ニューウェイは当初のADUO制度だけではホンダの立て直しには不十分だと考えており、FIAや関係者に追加支援の必要性を認識させるため、あえて問題の深刻さを強調したのではないかという見方だ。

    実際、ニューウェイはメディア露出が極めて少ない人物として知られる。そのニューウェイが自ら詳細な問題点を語ったことで、ホンダの置かれた厳しい状況は一気にF1界全体へ共有された。

    結果としてFIAは新たな救済カテゴリーを創設し、ホンダは追加予算を獲得した。

    もちろんニューウェイの発言と制度変更の因果関係が公式に認められているわけではない。しかしパドックでは「ニューウェイが意図的に流れを作ったのではないか」という見方が広がっている。

    ホンダの逆襲はここから始まるか
    興味深いのは、ホンダがこれまで性能向上よりも信頼性対策を優先してきたとみられている点だ。

    今回の追加支援によって開発余力が生まれれば、本格的なパフォーマンス改善に着手できる可能性がある。

    かつてマクラーレンとの苦闘を経て、レッドブルとの黄金期を築いたホンダは、一度大きく出遅れた状況から巻き返した前例を持つ。

    2026年の苦戦が一時的なものに終わるのか。それともアストンマーティンとの新プロジェクトが長期的な苦戦に陥るのか。ニューウェイの“マスタープラン”が真価を発揮するかどうかは、今後数カ月の開発成果によって明らかになりそうだ。

    Source: F1 OVERSTEER

  • アロンソがスペインDAZNを“出禁”に? アストンマーティンF1批判巡り関係悪化

    アロンソがスペインDAZNを“出禁”に? アストンマーティンF1批判巡り関係悪化

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)とスペインの公式F1放送局DAZNとの関係が悪化していると、スペイン国内で報じられている。

    発端となったのは、マイアミGP期間中およびその後にDAZNのF1中継チームが行ったアストンマーティンに関する発言だ。スペイン人ジャーナリストのルベン・カナレスによると、アロンソ陣営はDAZNによる取材やガレージへのアクセスを制限する措置を取ったとされている。

    問題視されたホンダPUとアストンマーティン批判
    報道によると、アロンソ陣営が不満を抱いた理由は大きく2つある。

    ひとつは、DAZNのF1解説者アントニオ・ロバトがマイアミGP期間中に、アストンマーティンとホンダのパワーユニットに振動問題があると報じたことだ。

    しかしアロンソ側は、その問題はすでに解決済みだったと認識しており、不要な憶測を広げたとして快く思わなかったとされる。

    さらに問題となったのが、マイアミGP後にロバトが行ったインタビューだ。

    その中でロバトは、2026年のアストンマーティンの苦戦について「F1史上最大級の失敗」と評したとされる。また、その状況をマクラーレンとホンダが苦戦した過去の提携と比較しながら、アロンソはチーム選択の判断を誤る傾向があるとの趣旨の発言を行ったという。

    アロンソが具体的にどの発言を問題視したのかは明らかになっていないが、こうした一連のコメントが関係悪化の引き金になったとみられている。

    長年の盟友ロバトとの関係にも亀裂か
    アントニオ・ロバトは長年にわたりアロンソを取材してきたジャーナリストとして知られ、スペイン国内では両者の関係は極めて良好と見られてきた。

    そのため、今回の報道が事実であれば、単なるメディア対応の問題ではなく、長年続いた信頼関係に亀裂が生じた可能性もある。

    現時点では、この措置がカナダGP限定だったのか、それとも今後も継続されるのかは不明だ。

    アロンソ自身もカナダGP後に不満を吐露
    こうした騒動の一方で、アロンソ自身もカナダGPでの競争力不足に強い不満を示していた。

    19番手スタートからオープニングラップで10番手まで浮上したものの、その後は徐々に後退。最終的にはシートトラブルによってリタイアを喫した。

    「リタイアそのものよりもフラストレーションが溜まったのはペースだ」とアロンソは語った。

    「スタートは良かった。でもその後は徐々に後退し、結局は本来のポジションに戻ってしまった。あの好スタートを維持できるだけのペースがなかった」

    「それでも楽しかった。スタートでいくつか順位を上げられたしね。ポイント圏外にいるときは、他のドライバーより少しリスクを取ることもできる」

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤から深刻なパフォーマンス不足に苦しんでおり、アロンソの苛立ちはチーム内部だけでなく、スペイン国内メディアとの関係にも影響を及ぼし始めているのかもしれない。

  • ランス・ストロールがアストンマーティンF1を食事に招待 母国GPの伝統を継続

    ランス・ストロールがアストンマーティンF1を食事に招待 母国GPの伝統を継続

    ランス・ストロール(アストンマーティン)は、母国レースとなった2026年F1カナダGPで厳しい週末を過ごしたにもかかわらず、チームの恒例行事を欠かさなかった。

    モントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで行われたカナダGPで、ストロールは15位に終わり、優勝したキミ・アントネッリから4周遅れという苦しい結果となった。アストンマーティンにとっても低迷が続くシーズンとなっており、ホームレースでの巻き返しは果たせなかった。

    幼少期から親しんだ店でチームをもてなす恒例行事
    それでもストロールは、毎年カナダGPの際に続けているチームとの食事会を今年も実施した。

    訪れたのはモントリオールの老舗デリ「レスターズ・デリ」。ストロールが子供の頃から通っていたお気に入りの店として知られている。

    アストンマーティンはSNSでチームの集合写真を公開し、次のように紹介した。

    「ホームレースウイークの伝統だ」

    「毎年カナダGPでは、ランスがチームを自身の思い出の場所であるレスターズ・デリに招待し、モントリオール最高のスモークミートサンドイッチを味わってもらっている。今年も例外ではなかった」

    チームの成績が低迷する中でも、ストロールはチームメンバーとの結束を深める恒例イベントを継続した形だ。


    深刻な不振が続くアストンマーティン
    2026年シーズンのアストンマーティンは極めて厳しい状況に置かれている。

    ホンダ製パワーユニットは出力不足や振動の問題に苦しんでおり、信頼性面でも課題を抱えている。ストロール自身もカナダGPを完走したものの、今季フルディスタンスの決勝レースを完走したのはわずか2回目だった。

    チームは開幕から5戦連続で無得点に終わっており、コンストラクターズランキングでは最下位に沈んでいる。

    巨額投資の成果が問われる局面
    オーナーのローレンス・ストロールは近年、フェルナンド・アロンソ、エイドリアン・ニューウェイ、エンリコ・カルディレといったトップ人材を招聘し、最新設備を備えた新ファクトリーへの投資も進めてきた。

    将来的にはタイトル争いを目指す構想を掲げているが、現在の競争力を見る限り、その目標達成には大幅な改善が必要な状況だ。

    カナダGPでの食事会はチームの結束を示す温かいエピソードだった一方で、アストンマーティンには結果という形で浮上の兆しを示すことが求められている。ホームレースを終えた今、チームは苦境からの脱出に向けて正念場を迎えている。

  • ジェンソン・バトンが語るF1モナコGPの魅力「街全体が勝利を祝ってくれる」

    ジェンソン・バトンが語るF1モナコGPの魅力「街全体が勝利を祝ってくれる」

    ジェンソン・バトンは、F1キャリアを通じて長年暮らしたモナコについて、単なる華やかな街ではなく、レーシングドライバーにとって理想的な拠点だったと振り返った。

    2009年のF1モナコGPを制したバトンは、モナコでの勝利を「興奮、アドレナリン、安堵が一度に押し寄せる瞬間」と表現し、フェルナンド・アロンソが今後インディ500に再挑戦すれば、モータースポーツのトリプルクラウン達成の可能性があるとも語った。

    モナコはレーシングドライバーにとって理想的な生活拠点
    ジェンソン・バトンは、モナコにはヨット、華やかさ、ナイトライフという一般的なイメージがある一方で、実際に暮らすとまったく違う側面も見えてくると語る。

    「モナコはいつも、自分にとって小さな別世界のように感じられた」

    「レーシングドライバーにとって、そこは生活の一部になる。F1キャリアを通じて何年もそこに住んでいたけど、モナコを特別にしているのは華やかさ以上に、レーシングドライバーの拠点として本当に素晴らしい場所だということだ」

    フランスとイタリアがすぐ近くにあり、海沿いから山道、イタリア国境付近のカフェまで簡単に移動できる環境は、ドライバーやアスリートにとって理想的だったという。

    バトンは、モナコ在住時代に多くのスポーツ選手やF1のライバルたちと顔を合わせ、一緒にサイクリングすることもあったと振り返る。

    モナコGPは「ミスがまったく許されない」特別な一戦
    バトンにとって、モナコGPは他のどのグランプリとも違う存在だった。

    「F1での勝利はすべて意味がある。でもモナコには、歴史があるからこその特別な重みがある。これまで何人もの偉大なドライバーがここで勝ってきたことを考える」

    「そして、ミスの余地がまったくないことにすぐ気づく」

    予選が週末全体を決めるほど重要である一方、決勝も精神的には極めて厳しい。バトンは、周回を重ねるごとにバリアが近づき、コースが狭くなっていくように感じると表現した。

    「半秒たりともリラックスする機会はない。特に勝利のチャンスがあると分かっているときはなおさらだ」

    2009年の勝利と“スーパーマンデー”
    2009年にモナコGPを制したバトンは、チェッカーを最初に受けた瞬間について、興奮と安堵が同時に訪れるものだったと振り返る。

    「モナコを特別にしているのは、街全体が一緒に祝ってくれることだ」

    「バルコニーの人々、ピットウォールから身を乗り出すメカニック、港のヨットにいるファン、どこを見ても満員のグランドスタンド。公国全体が表彰台の祝福の一部になるように感じる」

    バトンは、2009年の勝利翌日を「スーパーマンデー」と呼び、月曜の正午から深夜、あるいは翌朝早くまで祝ったと明かした。

    トリプルクラウンはアロンソに可能性
    モナコGPは、ル・マン24時間レース、インディ500と並ぶモータースポーツのトリプルクラウンの一角を成す。

    バトン自身はモナコを制しているが、3つすべてを獲得する未来は想像していないという。ル・マンには挑戦したものの勝利には届かず、インディ500については強い敬意を示しながらも「自分向きではない」と語った。

    一方で、フェルナンド・アロンソについては、トリプルクラウン達成に最も近い存在だと見ている。

    「フェルナンドはおそらく、誰よりもトリプルクラウンを達成するチャンスがある。彼はすでにモナコとル・マンで勝っていて、インディでもリードしたことがある。もしもう一度挑戦したいなら、間違いなくチャンスはある」

    初めてのモナコGPで起きたヘアピンの接触
    バトンは最後に、自身初のモナコGPにも触れた。初めてモナコを走ったのは、実はF1マシンでのレースだったという。

    その年、バトンはペドロ・デ・ラ・ロサとレース序盤にヘアピンで接触した。

    「今でも彼は、あれは自分のコーナーだったと言っている。でもヘアピンのアウト側から抜こうとするのは、うまくいくはずがなかった」

    バトンはその出来事を今では笑い話として振り返っており、デ・ラ・ロサについては今年後半の別の「Jenson’s Journal」で改めて登場すると予告した。

  • エイドリアン・ニューウェイが190万円寄付 F1界が名コーチ救済へ結束

    エイドリアン・ニューウェイが190万円寄付 F1界が名コーチ救済へ結束

    エイドリアン・ニューウェイが、腎不全と闘う著名ドライバーコーチのロブ・ウィルソンを支援する募金活動に1万ポンド(約190万円)を寄付したことが明らかになった。F1関係者や現役ドライバー、元ドライバーらも続々と支援に加わり、モータースポーツ界全体で“知られざる名コーチ”を救おうという動きが広がっている。

    ウィルソンはF1ファンにはあまり知られていない存在かもしれないが、パドックでは伝説的なドライバー育成コーチとして高い評価を受けてきた人物だ。

    キミ・ライコネンやニコ・ロズベルグをはじめ、ファン・パブロ・モントーヤ、デビッド・クルサードなど数多くのトップドライバーを指導してきた。

    F1ドライバーが頼った“秘密兵器”ロブ・ウィルソン
    現在73歳のウィルソンは、イギリスのブラントソープ飛行場で一般的なロードカーを使った独自のドライビング指導で知られる。

    その中心にあるのが「フラットカー哲学」と呼ばれる考え方だ。4輪へ均等に荷重をかけることでクルマの挙動を安定させ、より速く、そして再現性の高いラップタイムを実現するという理論である。

    近年ではキャデラックF1のセルジオ・ペレスやバルテリ・ボッタス、アストンマーティンのランス・ストロールら現役ドライバーも指導を受けてきた。

    ニューウェイ自身も長年の友人として知られ、今回の募金活動では最高額クラスとなる1万ポンドを寄付した。

    F1界の著名人が続々と支援
    募金ページによると、ニューウェイ以外にも多くのF1関係者が寄付を行っている。

    ■ エイドリアン・ニューウェイ:1万ポンド(約190万円)
    ■ ザク・ブラウン:7500ポンド(約143万円)
    ■ バルテリ・ボッタス:5000ポンド(約95万円)
    ■ スティーブ・ロバートソン:5000ポンド(約95万円)
    ■ セルジオ・ペレス:4298ポンド(約82万円)
    ■ カルン・チャンドック:2000ポンド(約38万円)
    ■ ジョナサン・ウィートリー:950ポンド(約18万円)

    そのほかにもマクラーレンやアウディ、アストンマーティンの関係者、さらにはNASCARやWRCなど他カテゴリーの著名人物も支援に名を連ねている。

    命を救うための募金活動
    ロブ・ウィルソンは約2年間にわたり腎不全を患い、腎臓移植を待っている状態にある。

    募金ページによると、生体腎移植の提供者が現れたものの、ドナーとなる医師の診療所運営代替費用や術後の支援費用など、多額の関連費用が必要になるという。

    主催者は「この募金は文字通りロブの命を救うためのものだ」と説明している。

    執筆時点で募金総額は16万2621ポンド(約3090万円)に達しており、目標額18万5000ポンド(約3515万円)まであとわずかとなっている。

    なぜこれほど多くの関係者が支援するのか
    今回の募金活動が大きな反響を呼んでいる背景には、ウィルソンが長年にわたり見返りを求めることなく多くのドライバーや関係者を支えてきたという事実がある。

    募金ページでも「ロブは常に真っ先に手を差し伸べ、助言を与え、人を紹介してきた人物だった」と紹介されている。

    F1の表舞台に立つことは少なかったが、その影響力はグランプリの勝者や世界王者たちの背後に存在していた。今回の支援の輪は、そんな“パドックの名脇役”に対するF1界からの恩返しと言えそうだ。