カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • エイドリアン・ニューウェイ F1 2026年の技術刷新に「興味深く少し怖い」

    エイドリアン・ニューウェイ F1 2026年の技術刷新に「興味深く少し怖い」

    元レッドブルF1のチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューウェイは、今年からアストンマーティンF1でマネージング・テクニカル・パートナーとしての職務を開始し、チームをタイトル争いに加わる陣営へと変革することを目指している。

    その最大のチャンスとなるのが、2026年に実施されるシャシーとパワーユニット(PU)の両面に及ぶ技術レギュレーションの大規模な変更だ。

    新レギュレーションでは、車両の最低重量が724kgに引き下げられるほか、アクティブ・エアロダイナミクスの導入、そしてPU側では電気エネルギーの比重が増す構造変更が盛り込まれている。

    この大幅な技術変更によって、中団チームが一気にタイトル争いに加わる可能性について評価したニューウェイは、「少し怖さを感じる」と率直な見解を語っている。

    「私の2026年レギュレーションへの考え方は、2022年に大幅なレギュレーション変更があったときと似ている」とニューウェイはアストンマーティン公式サイトで語った。

    「最初は、規則があまりにも細かく定められていて、設計者としてやれることはほとんど残っていないと思った」

    「でも細かく見ていくと、最初の印象よりもずっと多くの柔軟性があることが分かってくるし、革新や異なるアプローチの余地も見えてくるんだ」

    「2022年の序盤には、各チームがかなり異なる方向性を取ったことが実際に見られた。もちろん今では4シーズン目で全体的に収束してきたけれど、当初はそうじゃなかった」

    エイドリアンニューウェイ F1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「チームごとの違いがあるというのは素晴らしいことだよ。全部のクルマが見た目も性能も同じで、カラーリング以外で見分けがつかないなんて、退屈だからね」

    「おそらく2026年も、2022年と似たような展開になる可能性が高いと思っている。レギュレーションにはまだ十分な自由度が残されていて、きっと各チームが異なる解決策を打ち出してくるはずだ」

    「そのうちいくつかは、最初の2~3年のうちに淘汰されていくことになるだろうけれどね」

    「それに加えて、私の記憶の限りでは初めて、シャシーとPUのレギュレーションが同時に変わるんだ。これは……興味深いけれど、少し怖いとも言える」

    「空力の新レギュレーションも、PUの新レギュレーションも、それぞれにチャンスを提供してくれる。だから、空力設計のアプローチにも幅が出るだろうし、PUの性能にもグリッド上で差が生じる可能性がある。これは2014年にハイブリッドPUが導入されたときにも起きたことだ」

    エイドリアンニューウェイのフルインタビューはこちら

  • ニューウェイが語るアストンマーティン移籍の真意と2026年F1への展望

    ニューウェイが語るアストンマーティン移籍の真意と2026年F1への展望

    アストンマーティンF1チームでの生活が始まって2カ月。率直な語り口で人気のインタビューシリーズ「UNDERCUT」最新号で、F1界随一のカーデザイナーが新天地についての本音、2026年レギュレーションに潜む革新の可能性、そしてランス・ストロールとフェルナンド・アロンソの思考に入り込む必要性を語った。

    エイドリアン・ニューウェイは、ただ自分自身であり続けている。彼は製図板に向かい、自動芯出しの鉛筆を手に、目の前のA0サイズの紙に完全に没頭している。

    このインタビューはスケジュールに記載されており、本来なら15分前に始まっているはずだった。他の誰であれば、丁寧に声をかけて中断させるところだろう。しかし、相手はエイドリアン・ニューウェイだ。彼は「5%のインスピレーションと95%の努力」でF1の設計を行うという考えを強く持っているが、もし今がその「5%」の瞬間だとしたら? あなたはそれを邪魔したいだろうか? 決してそうは思わない。

    幸いなことに、彼はトランス状態のような集中からふっと目を覚まし、AMRテクノロジー・キャンパスのオフィスから出てきて、3月のチーム加入以来初となるインタビューに臨む準備を整えた。

    エイドリアン・ニューウェイのキャリアは、すでに5つ目の10年に突入している。スポーツカーやインディカーの設計でも成功を収めてきたが、彼の名声を決定づけたのはF1における実績だ。35年にわたり、彼は勝利を重ねるマシンを、そしてしばしば支配的な強さを誇るマシンを設計してきた。

    F1デザイン界の歴史に名を連ねる中で、彼のキャリアの長さと、それに伴う膨大なトロフィーの数が、彼を他の偉人たち――フォルギエリ、チャップマン、バーンといった名前――と肩を並べさせ、あるいはそれを凌駕する存在へと押し上げた。

    そのような名前と比較する方が、むしろ現代の設計者たちと比べるよりもしっくりくるかもしれない。ニューウェイは、敬意をこめて言えば“古き良き時代”の設計者だ。F1において、車全体を「描く」スキルを磨いた最後の設計者であり、数人で食事を囲めるような小規模チームで働いた最後の世代の人物である。

    しかし彼は、そうした時代の手法を今に持ち込みながら、同時に現代の分業化された開発体制――数百人のスペシャリストたちが、それぞれの領域で設計を行う現代F1――をマネージできる数少ない存在だ。その両方の世界を理解し、橋渡しできることこそが、彼のキャリアを唯一無二のものにしている。

    栄光の頂点に立つ者が受ける称賛。それは、ニューウェイにとってあまり居心地の良いものではない。実際、彼はそうした称賛をあまり好まない。ただ、彼が心から好むのは、工学的な新たな課題への挑戦であり、それに共鳴する仲間たちと協力して取り組むことである。

    彼がアストンマーティンのマネージング・テクニカル・パートナーに就任して2カ月。今回の「UNDERCUT」インタビューでは、ニューウェイがチームの現状をどう見ているか、今後成功するために必要なことは何か、そしてシャシーとエンジンのレギュレーションが同時に変わるという前例のない状況に、彼がどう備えているかについて、率直に語ってくれた。

    加えて、自身のこれまでの歩み――なぜ彼がその世代でも、あるいはあらゆる世代でも最高のF1デザイナーと見なされているのか――にも深く踏み込んでくれている。

    まず最初に伺いたいのですが、「マネージング・テクニカル・パートナー。という肩書にはどういった意図があるのでしょうか? F1界でも新しい役職名ですよね。

    ローレンス・ストロール(会長)と将来について話し合っていたとき、彼が“マネージング・テクニカル・パートナー”という肩書を提案してくれたんだ。ローレンスは非常にありがたいことに、私のことを信頼し、技術部門のパートナーとして迎えてくれた。つまり私は、チームの技術的側面を開発し、私たちのエンジニアリング能力をさらに前進させるための役割を担っているんだよ。

    すでに2カ月在籍されていますが、想像していた通りのチームでしたか?

    新しいチームに加わるときって、実際にどんな体験になるかは入ってみないとわからないものなんだ。これまでにも何度かチームを移ったことがあるけど、それぞれまったく違う文化や雰囲気があった。今回のチームについてまず言えるのは、皆がとても温かく迎えてくれたということ。これは素晴らしいことでね。私が過去に入ったチームすべてがそうだったわけではないから。このチームは、非常に短期間のうちに人員を大幅に増やしてきた歴史がある。その点ではとてもユニークだ。設備も非常に充実しているし、人々も意欲的で情熱がある。だから私たちの仕事は、そうした人材や設備をうまく機能させ、すべてが円滑に回るようにすることなんだ。F1というのは、確かに高度なテクノロジーの世界だけど、結局のところ、それを動かしているのは“人”なんだよ。

    勝つことが当たり前ではなかったチームに、“勝者のマインドセット”を植え付けるにはどうすればいいと考えますか?

    勝者のマインド――それはとても難しいものだ。もしチームが長年にわたって成功を経験していなければ、“勝たない”という状態がある種の“日常”になってしまう。だからこそ、『自分たちには勝つ力があるんだ』と、皆が心から信じられるようにする必要がある。それが“前へ進む”ということの一部だ。ただ、私は“鼓舞するタイプ”の人物ではない。アメリカンフットボールの監督のようにチームの前に立って熱く語る……そんなスタイルではないんだ。私は、みんなと一緒に働きながら、一緒に学び、共に成長していくタイプなんだよ。

    では、“模範を示す”という形でリードすることはありますか?

    私の仕事の仕方には、2つのアプローチがあるんだ。ひとつは、私たちのクルマをどうすればもっと速くできるかを考えること。つまり、レギュレーションを読んで、ドライバーたちと話して情報を集めて、そして製図板に向かって解決策を提案する。これが“設計者”としての側面だね。もうひとつは、エンジニアリング部門の人たちと一緒に働くこと。彼らの作業を見たり、彼らのアイデアについて議論したりしながら、チーム全体として前に進んでいくこと。この2つが私のやり方なんだよ。

    AMRテクノロジー・キャンパスにはF1で最先端のシミュレーターや風洞がありますが、それはF1界の最高の設計者にとって“究極の遊び場”と言えますか?

    ローレンスの構想によって、F1の中でも最高の施設が実現されたと思う。けれど大事なのは、それをどう使うかなんだ。私が以前いたチームには、F1でおそらく最悪レベルの風洞があったし、建物もごく普通の工業団地にあるような施設だった。それでも、皆が同じ目標に向かって一丸となって取り組むことで、非常に優れたチームになっていった。このチームにも多くの優秀な人材がいる。ただし、いくつかの分野では人数がまだ十分ではないところもある。だから、チーム全体をより良く機能させていく必要がある。そして、その設備を活用しながら私たち自身の技術力をさらに磨いていくんだ。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    あなたは勝てるマシンを設計してきた経験があり、アンディ・コーウェルは勝てるエンジンを作り上げてきました。お二人が一緒に働くのは、“完璧な組み合わせ”とも言えますが?

    アンディのことはマクラーレン時代から長年知っている。彼がメルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)にいた頃のことだ。彼には大きな敬意を抱いているし、彼の実績がすべてを物語っている。私たちの役割は少し異なるけれど、互いに重なる部分もある。アンディはチーム全体、会社全体をどう構成するかという点に強く関わっている。一方で私は、より“エンジニアリング寄り”の仕事を担っている。とはいえ、私たちは互いにアイデアを交換している。私が彼に考えを伝えることもあれば、彼から提案をもらうこともある。そういう意味で、非常に良い“シナジー”が生まれていると思う。

    現在のあなたの主な焦点は来季と2026年のレギュレーション変更に向けた準備だと思います。2026年レギュレーションについての印象は?

    2026年のレギュレーションについて私が抱いている印象は、2022年の大幅変更のときとよく似ている。当初は、非常に制約の多いレギュレーションに見えて、“設計者が自由にやれることはほとんどないんじゃないか”と思ったんだ。けれども、実際に細部を掘り下げていくと、思っていたよりも柔軟性があって、独創的なアプローチや発想を取り入れる余地が残されていると気づいた。2022年の序盤もそうだった。各チームがまったく異なる方向性の設計をしていて、それぞれの解釈が興味深かった。もちろん、今では4年経ってだいぶ収束してきているけど、最初の年は本当に多様だった。2026年も同じような展開になる可能性が高いと思う。各チームが異なる設計に取り組み、そこから数年かけて洗練され、やがて収束していく流れがまた見られるんじゃないかな。

    私は「全チームのマシンが見た目も構造も同じで、カラーリングでしか区別できない」というのは面白くないと思っている。だから、こうした多様性が出てくるのは歓迎すべきことだ。さらに、今回が特に興味深いのは、“シャシー”と“パワーユニット”のレギュレーションが同時に変わるという点だ。私の記憶では、これは初めてのことだと思う。これは非常に…興味深いし、同時に少し恐ろしくもある。新しい空力ルールも、新しいPUルールも、それぞれに大きな課題がある。そして、その組み合わせは、設計上の複雑さをさらに増すことになる。でも同時に、そこには大きな可能性があるとも思っている。

    最初の1〜2年は、PUの性能にばらつきが出るかもしれない。それは2014年にハイブリッド規定が導入されたときと同じような現象だ。来年からは、私たちはホンダとのワークス・パートナーシップを開始する。私は、彼らに対して非常に大きな信頼を持っている。過去に一緒に仕事をしたことがあるし、彼らのエンジニアとしての姿勢には心から敬意を抱いている。確かに、彼らは1年F1から離れていたから、多少なりとも“巻き返し”が必要な部分はあるかもしれない。でも、ホンダは極めてエンジニア主導の会社であり、非常に優れた技術者集団だ。

    最初にあなたが関わるアストンマーティンF1カーは、どんな姿になるのでしょうか?

    うーん……たぶん“緑色”になるだろうね(笑)。

    設計の方向性をどのように選んでいますか? 単純にラップタイムに直結するかどうか、それとも将来的な発展性なども考慮していますか?

    私たちは今、さまざまなアプローチを試している。それが他のチームと違った方向なのかどうか、そしてそれが結果的に優れているかどうか――それはまだ分からない。そこがF1の面白いところだよ。特にこうした大きなルール変更のときにはね。大きなレギュレーション変更があるとき、すべてのチームは“リソースが限られている”という現実に直面する。それは予算上限による制約でもあるし、単純に人員の規模の問題でもある。私たちのチームに関していえば、例えば空力部門はさらに強化が必要な領域のひとつだ。でも短期的には、限られたリソースのなかで、どの方向が最も成果につながりそうかを見極め、そこに集中しなければならない。

    もちろん、そこには常にリスクがある。というのも、ある方向に“かなり深く”進んでみないと、それが有望なのかどうか分からないこともあるからだ。ときには、最初は魅力的に見えない道が、進めば進むほど“果実”が実っていく場合もある。その“道”がまだ未開拓なだけで、実は最も価値のある領域だった、ということもあるからね。

    そういった判断において、あなたの専門性や経験が果たす役割とは?

    私は本来、“これはやるべきじゃない”と他のエンジニアに言うのは好きじゃない。でも、今のように時間が非常に限られている状況では、やむを得ずそうせざるを得ないこともある。つまり、可能性のある選択肢のなかから“取捨選択”しなければならないということ。そしてその責任は、私が負うべきものだと考えている。

    2025年型マシン(AMR25)にも関わっているのですか?

    ローレンスが望んでいるのは、2025年もできる限りの成果を挙げること。だから、今季のクルマについても、小さなチームが空力の観点から開発作業を続けている。私は彼らとランチの時間などを使って、ちょっとした話し合いをしているよ。彼らが手がけているマシンについて意見を交わしたり、どうやって改善できるかを議論したりね。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム F1エイドリアン・ニューウェイ

    ランス・ストロールやフェルナンド・アロンソとの関わりはどうですか?

    2人とはかなり時間を取って話している。彼らからは、現行マシンの強みと弱みについてのフィードバックを受け取っている。それから、現行マシンと“ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーター”との相関についても聞いているよ。ドライバーは、技術的改善のループのなかで非常に重要な存在だ。彼らの感覚は、エンジニアリングの組織体制や作業プロセスのあり方に大きく影響を与える。単に“パーツを作る”という話ではないんだ。ドライバーの感じていることをどう読み取って、どう変化させるか――そこが非常に大切なんだよ。

    現代のF1において、ドライバーのフィードバックを車両開発に正確に反映させるのは難しいですか?

    このプロセスは、私がキャリアを始めた頃から比べて劇的に変わった。一番の変化は、やはり“データロガー”の登場だね。今は、ドライバーが何を感じているかを、データと突き合わせて見られる。それによって、彼らのコメントがマシンのどの挙動と結びついているかが、ある程度分かるようになった。でも一方で、ドライバーというのはとても直感的な生き物だ。彼らは無意識のうちに、自分のドライビングスタイルをマシンの弱点に合わせて変えてしまうことがある。そして、その変えた後の感覚について話してくれる。でも、自分でそれに気づいていないこともある。だから、単にデータを見るだけではダメで、彼らの“頭の中”に入り込む必要があるんだ。

    あなたご自身もレースに出場されていますが、その経験は役に立っていますか?

    私がレースを始めたのは40代も後半に入ってからだ。まあ、“中年の危機”みたいなものかもしれない(笑)。でも、ドライバーが“何を感じているのか”を理解する助けにはなったと思う。車両の動的な挙動を説明されたときに、たとえば“どの入力がどう車のバランスに影響するか”ということを、より直感的に理解できるようになったからね。

    あなたはクルマを“全体として捉える”設計思想で知られています。他の設計者にはない視点だと言われていますが、その発想はどこから来たのでしょうか?

    いくつかの要因があると思う。私は10歳くらいの頃にはもう、“レースカーの設計者になりたい”と決めていたんだ。当時は“エンジニア”という言葉すら知らなかったかもしれない。ただ、“設計したい”という気持ちだけがはっきりしていた。10代の頃は、レーシングカーの性能について書かれたあらゆる本を読み漁った。1970年代初頭のことだから、空力理論についてはほとんど情報がなかった。F1の世界で空力という概念がようやく注目され始めた時代だったからね。それもあって、私は大学で航空工学を専攻することにした。1980年にフィッティパルディF1チームで空力担当としてキャリアを始め、その後はマーチというレースカー製造会社に移って、平日は設計室でジュニアドラフツマンとして働き、週末はF2でレースエンジニアを務めていた。つまり大学を出てたった2年で、私は空力設計・メカニカルデザイン・車両ダイナミクスというF1の3大技術領域すべてに関わることができたんだ。

    “空気の流れが見える”という伝説がありますが、あなたの頭の中では実際にどう見えているのですか?

    うーん……私の頭の中を他人が見ることはできないし、私も他人の頭の中を知らないから、正確に比較するのは難しいんだけどね(笑)たぶん、ある程度は訓練で身についた能力なんだと思う。でも、おそらく多少の遺伝的要素もあるかもしれない。私の家系は、父方も母方も芸術的なバックグラウンドがあって、私は子どもの頃から探究心が旺盛だったし、学校では絵も得意だった。ずっとスケッチをしたり、設計図を描いたり、模型を作ったりしていた。私にとっては、“紙に描いた図を、立体の形として頭の中で組み立てる”という作業が自然だったんだ。そして、実際に模型を作ってみることで、立体としての空間認識を育てていった。要するに、“1万時間の法則”というやつだ。若いうちから何かを継続してやれば、脳内に新たな回路が作られて、その分野における“専門性”が育っていく。F1は、工学でありながら創造性も必要な分野だ。でも、“創造性”があるからといって、それが“速さ”に繋がらなければ意味がない。エンジニアリングとして意味を持つ創造性――それこそが、F1を面白くしているんだよ。

    100本の線を引いた図面には、消した100本の線がある――というのがあなたの設計哲学だそうですね。

    もし私の図面に100本の線が描かれていたら、実際には200本の線を描いていて、そのうち100本は消しているというのが実情だよ。アイデアを育てながら、何度も何度も修正していく。その過程そのものが“設計”なんだ。

    現代ではCADが主流ですが、あなたは今も製図板を使っています。それはなぜですか?

    「なぜCADを使わないのか?」とよく聞かれるけれど、私にとって製図板は“第一言語”なんだ。私は製図板の上で育ってきた世代で、CADが成熟したのは1990年代になってからだった。もちろん、私も基本的なレベルではCADを使えるけれど、それだと時間がかかってしまう。だから、設計の初期段階では製図板の方がずっと速いんだ。製図板では、図全体を常に視野に入れて作業できる。一方、CADでは部品ごとにズームインするから、全体を俯瞰するのが難しい。

    ただ、私のやり方には欠点もある。私が描いた図は、他の人がスキャンしてCADに変換しなければならない。本気で取り組んでいるときは、私の図面を3人がかりでデジタル化しているよ(笑)もしチーム内の全員が製図板で作業していたら、非効率になってしまうだろうね。近年では、パラメトリックモデリングの進化によって、最初からCADで作るのが当たり前になりつつある。この分野は今後もどんどん進化するだろうし、いずれ私のやり方も時代遅れになるかもしれない。でも、その頃には私はもう引退していると思うよ(笑)。

    グリッド上であなたがいつも持ち歩いている大きなノート。中には何が書かれているのですか?

    実のところ、あのノート自体にはあまり多くのことは書かれていないんだ。あれは単なる“ホルダー”のようなもので、中にはたくさんのA4用紙が挟まっている。その紙にはスケッチやメモ、アイデアの断片が書かれている。頭の中に浮かんだことを、すぐに紙に書き出すための手段として持ち歩いているんだ。たいていの場合、そのメモは私以外の人が見ても意味不明だと思う。いや、時々は自分でも読めないことがあるくらいでね(笑)。

    あなたがアストンマーティンに加わってから、まだグランプリに姿を見せていません。なぜですか?

    現代のF1では、昔と比べて“締め切り”がはるかに早くなっている。そして、2026年マシンに向けたマイルストーンが次々にやって来る。その作業に集中しているので、現場に足を運ぶ余裕がなかったんだ。

    では、今後レース現場に姿を見せる予定はありますか?

    モナコには行くつもりだよ……もちろん、ノートを持ってね。

  • アストンマーティンF1を変える男 ニューウェイ加入で内部に“革命”

    アストンマーティンF1を変える男 ニューウェイ加入で内部に“革命”

    2024年3月初旬にアストンマーティンのマネージング・テクニカル・オフィサーとして正式に業務を開始したエイドリアン・ニューウェイが、チームに早くも大きな影響を与えていると、ペドロ・デ・ラ・ロサが語った。

    66歳のニューウェイは、2026年に向けたアストンマーティンF1マシンの設計を率いる役割を担っており、ウィリアムズ、マクラーレン、レッドブルで数々のタイトルを獲得してきたF1史上最高のカーデザイナーと広く評価されている。

    そんなニューウェイが、アストンマーティンを2026年のF1グリッド最前列に導くという壮大な挑戦に挑んでいる最中だが、わずか数カ月の在籍期間にもかかわらず、すでにチーム内でその影響力が感じられているという。

    フェルナンド・アロンソの側近としても知られ、アストンマーティンF1チームのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、ニューウェイ加入の効果についてこう語っている。

    「エイドリアンはF1史上最も才能ある空力設計者であるだけでなく、彼がチームにいるというだけで他のスタッフにとって大きなインスピレーションになるんだ」と、デ・ラ・ロサはF1sport.auto.czに語った。

    「皆がエイドリアンと働きたいと願い、彼の働き方を理解したいと思っている。彼がそこにいるだけで、チームの内側が変化する。それは数値化できるようなことではない。彼がもたらすのは知識だけじゃない。精神的な面やモチベーションの部分も大きいんだ」

    「エイドリアンはチームに加わったビッグネームではあるが、彼だけではない。そもそもチームにはすでに多くの才能があったという点も見落としてはいけない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    苦戦する2025年のアストンマーティンF1
    アストンマーティンF1は2025年シーズンの序盤戦で厳しい戦いを強いられており、現在のコンストラクターズランキングでは14ポイントで7位に位置している。

    この順位はやや幸運な結果でもあり、ランス・ストロールが混乱のオーストラリアGPで大量得点を挙げたことが大きい。さらに中国GPでは複数台の失格により繰り上げでトップ10入りを果たし、マイアミGPのスプリントでもポイントを獲得している。

    一方でフェルナンド・アロンソは、2025年シーズンにまだ1ポイントも獲得できていないという苦しい状況が続いている。

    アストンマーティンF1は2026年のレギュレーション変更に完全に焦点を移しており、ニューウェイが設計を手がける初のマシンに大きな期待が寄せられている。さらに、同年からはメルセデスとの関係を解消し、ホンダのワークスチームとして新たな一歩を踏み出すことになる。

  • ランス・ストロールがいなければ存在しなかった?アストンマーティンF1の逆説

    ランス・ストロールがいなければ存在しなかった?アストンマーティンF1の逆説

    父の支援でF1キャリアを歩んできたランス・ストロール。その存在はしばしば批判や冷笑の対象となってきたが、アストンマーティンF1の現在を形作ったのがまさに彼であったとすればどうだろうか。多くの資金と人材を呼び込んだストロール家の動きは、いまやフェルスタッペン移籍の噂にまで繋がっている――皮肉にも、“存在感がない”と評された男が、その始まりにいた可能性があるのだ。

    近年、ストロールには厳しい批判が相次いでいる。成績不振に加え、チーム内での存在感の薄さや、レースへの情熱が感じられないという指摘もある。元ハースF1代表のギュンター・シュタイナーは彼を「存在感がない」と評し、単なるノーポイントドライバーよりもタチが悪いとまで語った。

    さらに、一部では「ランス本人はF1を続けたいと思っていないのでは」との疑念も囁かれている。そのキャリアは、父親でカナダの大富豪ローレンス・ストロールの全面的な支援によって成り立っており、F1に留まり続けているのも父の強い意向が背景にあると見られている。

    ローレンスは、ランスがF1を目指し始めたカート時代から、息子のキャリアに巨額を投資。ウィリアムズ在籍時にもスポンサーとして関与し、その後フォース・インディアを買収すると、チームを完全に息子中心に再編。そして2021年、アストンマーティンへとチーム名を変更し、さらなる本格参戦へと舵を切った。

    その転機が、フェルスタッペンの将来に影響を与える可能性がある。

    ストロール家の影響力は凄まじく、ローレンスは2021年に約2億ドル(約1億8200万ポンド)を投じてアストンマーティン株の16.7%を取得。現在は27.7%にまで持ち株比率を拡大し、さらに5150万ポンドの追加投資により、3分の1近い株を保有する見通しだ。また、同社の市場評価を「馬鹿げている」と一蹴し、非公開企業化する意向まで示している。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    この積極的な投資の背景には、F1チャンピオンを目指す野望だけでなく、息子ランスを「王者の瞬間」に立ち会わせたいという思いも透けて見える。その象徴が、シルバーストーンに新設された最先端ファクトリーであり、F1史上最も成功したデザイナー、エイドリアン・ニューウェイの招聘である。

    ポッドキャスト『The Pitstop』に出演したF1系インフルエンサーのジェイク・ボーイズは次のように語った。

    「ランスがいなければアストンマーティンも存在しなかった。アストンがなければニューウェイも来なかった。ニューウェイがいなければ、マックスも移籍しない。つまり、すべてはランスが起点なんだ」

    一見、誇張に思えるこの主張も、背景を知れば一理ある。もしランスがF1に関わっていなければ、父ローレンスがここまでアストンマーティンに投資することはなかっただろう。かつては中堅どころの“伏兵”だったこのチームが、今や2026年のタイトル獲得を狙う勢いにあるのは、彼の存在なしには語れない。

    そしていま、レッドブルで不満を募らせるフェルスタッペンが、移籍候補としてアストンマーティンの名を挙げられている。

    2025年シーズン、RB21のバランス問題に悩まされる中、フェルスタッペンは明らかに苛立ちを見せている。彼は勝利を求めており、「永遠にF1に居座るつもりはない」とも語っている。

    もしニューウェイらが2026年の新レギュレーションに対応した“勝てるマシン”を作り上げれば、フェルスタッペンがアストンマーティンに移籍する可能性は現実味を帯びる。

    ただし、その場合に発生する最大の課題は「誰が席を譲るのか」だ。ランスか、あるいは2度の世界王者フェルナンド・アロンソか――。その選択は、このチームを支配する男、ローレンス・ストロールに委ねられる。

  • フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1で低迷も「気持ちは折れていない」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1で低迷も「気持ちは折れていない」

    フェルナンド・アロンソは、実力に見合わないマシンでのレースが続いても「気持ちは折れていない」と語り、モチベーションの高さを強調した。

    2006年に史上最年少で2年連続F1ワールドチャンピオンに輝いて以来、アロンソは長年にわたりトップ争いから遠ざかっている。そして今季は、自ら「グリッドで最も遅いか、2番目に遅い」と認めるマシンをドライブしており、開幕からいまだにポイントを獲得できていない。

    「イモラでは何かしら前進が必要だよ。期待したいね」とアロンソはスペインのスポーツチャンネル『DAZN』に語った。「でも、いつ改善があるかは分からない。なぜなら、もし新しいパーツが来ても、他のチームにも同様に導入されるからね。アストンマーティンだけがアップグレードするわけじゃない」

    「イモラではどのチームもエアロパッケージを持ち込むだろう。だから僕らも、できるだけ大きな改良を用意したい。でも…現実は現実だよ」

    インタビュアーが「自分の才能に見合わないマシンで走ることに嫌気がさしていないか?」と尋ねると、アロンソは強い口調で否定した。

    「いや、全く嫌になんてなっていないよ。もしそうなら、金曜にQ3なんて行けていないさ」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    さらに記者が「今季続いている不本意な成績に、精神的な影響はないか?」と問い直すと、アロンソはこう続けた。

    「気持ちが折れたりはしない。というのも、シーズン序盤の時点で、今年は24戦のうち普通はポイントも取れず、Q1落ちが“当たり前”になると分かっているからだ」

    「だからこそ、日本で11位になった時に“今年最高のレースのひとつだった”と僕が言ったのは本気の気持ちなんだ。なのにそれをメディアの皆さんは誤解する。“11位でなぜ特別なのか?”って。でも、僕にとっては11位やQ3進出は実際に素晴らしい結果なんだよ」

    「そして、毎週末“期待を少しでも超える何か”を目指して小さな目標を立てて挑む。それがすごく励みになるし、自分を奮い立たせることができるんだ」

  • ランス・ストロール F1マイアミGPスプリントで5位「小さな勝利を重ねている」

    ランス・ストロール F1マイアミGPスプリントで5位「小さな勝利を重ねている」

    ランス・ストロール(アストンマーティン)は、2025年F1 マイアミGPでの5位入賞を“小さな勝利”と呼んだ。

    SQ1で敗退して16番グリッドからのスタートとなったランス・ストロールは、最初のラップで11番手まで順位を上げた。路面はすぐに乾き、11周目の終わりにドライタイヤに交換すると7位でチェッカー。スプリント後のペナルティを経て、ランスはトップ5フィニッシュを果たし、4ポイントを獲得した。

    ここまで、ランス・ストロールは、アストンマーティンの全14ポイントを獲得し、ドライバーズランキングでもトップ10に入っている。

    一転、予選ではQ1で敗退し、19番手だった。

    「現時点で自分たちには十分なペースがないことは分かっており、予選19位という結果もある程度想定していたものだった。スプリントの後にセットアップをいくつか変更し、マシンの感触は週末で一番良くなったが、それでも全体的にスピードが足りていない」とランス・ストロールは語った。

    「だからこそ、スプリントでまずまずの結果を残せたのは良かったと感じている。今は“小さな勝利”が意味を持つ段階にあり、今回はあらゆる要素がうまく噛み合った。チャンスを逃さず、いくつか良い判断も下せた。しかし、我々が本来いるべき位置にはまだ到達しておらず、さらなるペースの向上が必要だ」

    ランス・ストロール F1 マイアミGP (アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

  • フェルナンド・アロンソ 「ホンダF1とニューウェイ加入でチームの士気は高い」

    フェルナンド・アロンソ 「ホンダF1とニューウェイ加入でチームの士気は高い」

    アストンマーティンのフェルナンド・アロンソは、F1シーズン序盤の厳しい戦いにもかかわらず、「チームのモチベーションは非常に高い」と現在のチーム状況について語った。

    2度のF1ワールドチャンピオンであるアロンソは、エイドリアン・ニューウェイがマネージング・テクニカルパートナーとして加入したこと、2026年からホンダがパワーユニットサプライヤーとして加わること、そして新レギュレーション時代の到来や最新鋭の風洞施設の稼働開始などを、前向きな雰囲気の理由に挙げた。

    アストンマーティンとアロンソは、これまでのところ期待外れのシーズンを送っている。今季獲得した10ポイントはいずれもランス・ストロールによるもので、チームはコンストラクターズランキング7位に低迷している。

    アロンソにとっても、今季のスタートは2017年のマクラーレン時代以来最悪であり、その年は第8戦までノーポイントに終わっていた。

    しかし、ニューウェイが2026年の新規則に向けたマシン開発を率いること、さらにホンダがレッドブルから移籍することにより、チーム内には確かな楽観論が広がっている。

    昨年、アストンマーティンが失速した際、アロンソは翌シーズンに向けた勢い作りの重要性を訴えていた。しかし今年に関しては、冬にかけてのパワーユニットおよびシャシーの大幅変更が予定されているため、その必要性は薄れているという。

    新レギュレーションに向けた勢いの重要性について問われたアロンソは、次のように述べた。

    「昨年ほど重要ではない」とアロンソはRacingNews365を含むメディアに語った。

    「なぜなら今年のマシンは昨年の延長線上にあるからだ。アブダビでの最終戦と今シーズン最初の4戦を比べても、結果に大きな違いはないと思う。来年はまったく新しいレギュレーションになるので、今年学んだことは来年にはあまり役立たないかもしれない。」

    精神的な優位性を築くためには良い形でシーズンを終えることが重要だとしつつも、アロンソはチームのモチベーションがすでに「非常に高い」ことを強調した。

    「もちろん、シーズンを良い形で終えて、みんなのモチベーションを高めたいという気持ちはある」とアロンソは付け加えた。

    「でも、すでにチームのモチベーションは非常に高い。数週間前から風洞も稼働しているし、エイドリアンもチームに加わった。ホンダも来るし、新しいレギュレーションも控えている。だからモチベーションは本当に高いんだ」

  • F1王者マックス・フェルスタッペンにホンダ&アストンマーティン熱視線

    F1王者マックス・フェルスタッペンにホンダ&アストンマーティン熱視線

    2025年、マックス・フェルスタッペンはレッドブルでホンダ製パワーユニットを搭載する最後のシーズンを迎えている。しかし、これは単なる「さよなら」ではないかもしれない。

    ホンダ・レーシングの渡辺康治社長は、将来的にフェルスタッペンと再びタッグを組みたい意向を明らかにしており、ホンダが2026年から新たにアストンマーティンとパワーユニット供給契約を結ぶ準備を進めている中で、この可能性が現実味を帯びている。

    フェルスタッペンは、サウジアラビアGPにてレッドブルへの忠誠を改めて表明したものの、彼の将来を巡る憶測は依然として絶えない。彼の契約には「成績条項」に基づく離脱オプションが存在しており、契約期間は2028年末までとされている。この中で、イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』は、アストンマーティンがフェルスタッペン獲得のために3億ドル(約460億円)もの超大型オファーを準備していると報じた。

    アストンマーティンは、現在のフェルナンド・アロンソとランス・ストロールのラインアップに「コミットしている」と強調するも、この噂を完全には否定しなかった。チーム広報は「ドライバーマーケットについてメディアの憶測があるのは自然なこと」としつつ、「我々は素晴らしいドライバーたちに競争力のあるマシンを提供することに集中している」とコメントしている。

    フェルスタッペンは、これまでに獲得した4度のワールドチャンピオン全てをホンダパワーで達成。しかし、2026年にF1のシャシーおよびパワーユニット規則が刷新されるのを機に、ホンダはアストンマーティンへ供給先を移し、レッドブルは自社開発のパワーユニットに切り替える。

    また、アストンマーティンに加入することになれば、フェルスタッペンはレッドブル時代に数々の成功を共に築いたエイドリアン・ニューウェイと再びタッグを組む機会も得られる。ニューウェイ氏は2024年にレッドブルを退団後、アストンマーティンのテクニカルパートナー兼株主として合流しており、現在は2026年マシン開発に専念している。

    マックス・フェルスタッペン アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1レッドブルはマックス・フェルスタッペンが退団する可能性を懸念している

    渡辺社長は、オランダ『デ・テレグラフ』紙の取材に応じ、次のように語った。

    「まず、今年彼が5度目のワールドチャンピオンを獲得できるよう、全力を尽くします。そしてその後は、アストンマーティンとの新たなパートナーシップに集中します。しかし正直に言うと、将来的に再びマックス・フェルスタッペンと仕事ができる機会が訪れることを心から願っています。」

    渡辺社長は、フェルスタッペンのホンダエンジニアに対する高いコミュニケーション能力にも賛辞を送り、「スポーツマンとしてだけでなく、人間としても深く尊敬している」と述べた。

    ホンダは、マクラーレン復帰後の3年間の苦難を経て、2018年からトロロッソ(現ビザ・キャッシュアップRB)へのエンジン供給を開始。翌2019年にはレッドブルにも供給を拡大し、2021年にはフェルスタッペンが初のワールドチャンピオンを獲得した。

    渡辺社長は、フェルスタッペンとホンダの思い出の中で最も印象に残っている瞬間について、こう振り返った。

    「やはり2019年のオーストリアGPでの初勝利です。表彰台で彼が胸のホンダロゴを指さしてくれたこと、それが我々スタッフ全員にとって大きな誇りと喜びを与えてくれました。復帰後の3年間、苦しみ続けてきた我々にとって、忘れられない瞬間です。」

    現在、フェルスタッペンはホンダの技術と共に4度のタイトルを手にしている。ホンダとフェルスタッペン、そして未来への再タッグが実現する日は来るのだろうか。

  • アストンマーティンF1 低迷続く2025年シーズン――新風洞施設に不安の声

    アストンマーティンF1 低迷続く2025年シーズン――新風洞施設に不安の声

    アストンマーティンの苦戦がサウジアラビアGPの週末に改めて浮き彫りとなった。2度のF1ワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソは、チェッカーフラッグ後にスペインメディアに対し、「50周の予選ラップを走ると内側から消耗していく」と語り、43歳のベテランは今季ここまで未だに1ポイントも獲得できていない現状を嘆いた。

    巨額の投資、エイドリアン・ニューウェイの加入、さらにはマックス・フェルスタッペン移籍の噂まで巻き起こる中、アロンソは「今のアストンマーティンはグリッド上で『最後尾のチーム』」だと評した。

    さらに、ランス・ストロールも厳しい現実を認めた。「このクルマには基本的に強みがない」と語り、自らもQ1突破に最も失敗したドライバーとして記録を更新してしまった。ストロールは「マクラーレンのドライバーを10年間ザウバーに乗せたら、同じ記録になるだろう」とも皮肉った。

    アロンソは、2025年がキャリア初年度だった2001年のミナルディ時代以来、シーズンノーポイトに終わる可能性があると認める。しかし彼は「ルールが来年も変わらなければもっと辛かっただろう」と述べ、2026年の大規模レギュレーション変更に期待を寄せている。

    そんな中、新たに完成したアストンマーティンの風洞施設に関しても不安な噂が浮上。旧風洞でのデータと新施設での結果にズレがあるとの指摘だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    新たにチーム代表に就任したアンディ・コーウェルは、スペイン紙『AS』に対し、「昨年は風洞や各種ツールが示す開発データと、実際に速さをもたらすものの区別がつかなかった」と振り返り、現在も相関性の問題に苦しんでいると明かした。

    「素晴らしい新施設とツールは揃っているが、それをどう最適活用するかが課題だ。だからこそ、2025年型にリソースを全投入するのではなく、2026年に向けた開発を最優先している」と説明。「今パニックになってやり方を変えるのではなく、信じて進まなければならない」と強調した。

    エイドリアン・ニューウェイについては、「彼はほぼずっと製図版に向かって設計を続けている。ミーティングにも出ないし、メールも返さない。ただ、速いクルマを作るために集中している」と語り、ファクトリーでの影響力を最大限に発揮していると述べた。

    また、コーウェルはスペイン『DAZN』にも「ニューウェイは我々のキャンパスや風洞設備を非常に高く評価している」と述べたうえで、「彼は風洞作業、CFD(数値流体力学)解析、シミュレーション運用のすべてに改善のアイデアを持っている」と、前向きな変化への期待を示した。

  • フェルスタッペン アストンマーティンF1移籍が「最も理に適う」とハーバート

    フェルスタッペン アストンマーティンF1移籍が「最も理に適う」とハーバート

    元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは、マックス・フェルスタッペンにとって最も理にかなった選択肢は、2025年末をもってレッドブルを離れ、2026年からアストンマーティンの一員となることであると断言した。

    今季、レッドブルは苦戦を強いられており、フェルスタッペンが2028年まで残るとされる契約を果たし得るのかに疑念が生じ始めている。

    フェルスタッペン自身も、今年のタイトル争いにおいて自らが主役となる見込みはないと認めた。マクラーレンは2024年のコンストラクターズチャンピオン獲得を機に、更なる飛躍を遂げている。

    来たる2026年、技術規則は大幅な刷新を迎える。それゆえ、どの陣営も新たな勢力図に備えるべく、今まさに布石を打つべき時期にある。後れを取れば、差を埋めることは容易ではない。

    フェルスタッペンが、これまで四度の世界王座をもたらしたレッドブルに別れを告げるならば、移籍先の選択肢はメルセデスか、あるいはアストンマーティンとなるだろう。

    メルセデスは2026年仕様のパワーユニットにおいて圧倒的な優位を築いていると伝えられる一方、アストンマーティンはホンダと提携し、さらにエイドリアン・ニューウェイという巨匠を開発陣に迎え入れている。

    また、フェルスタッペンがF1から一時的に離れ、2026年を休養に充てるという選択肢も依然として取り沙汰されている。

    ハーバートは現在スカイスポーツでTV解説者を務めており、フェルスタッペンにとっては新レギュレーション施行のタイミングでチームを変える方が良いと述べ、その中でもアストンマーティンへの移籍が最善だと語った。

    「フェルスタッペンが1年間の休養を取った場合、レース感覚が鈍るか? いいえ、私はそうは思いません」と、60歳のハーバートはCoinCasinoに語った。

    「マックスは、いかなるブランクを経ようとも、直ちに最高峰の舞台へと返り咲く資質を備えている。彼に与えられた選択肢は三つ。レッドブルに留まるか、アストンマーティンまたはメルセデスへ新たな挑戦を求めるか、あるいは一年の猶予を自らに課すかである。」

    「メルセデスは、マックスがF1に参戦する以前からフェルスタッペン一家との関係を築き、2026年型マシンにおいてはアストンマーティンよりも優れたパフォーマンスを発揮する可能性が高い。かつての覇権を失いはしたが、今季、その地位を取り戻しつつあるとの報もある」

    「現時点では、総合的に見てメルセデスがアストンマーティンを凌駕している。しかし、アストンマーティンにはエイドリアン・ニューウェイという唯一無二の天才が加わった。新たな時代を迎えるにあたり、その存在は計り知れぬ価値をもたらすだろう。メルセデスも競争力のあるパッケージを持っているという話は聞こえている。もし仮に交渉が水面下で進行しているならば、フェルスタッペンはこの事情を十分に理解しているに違いない」

    「確かに、1年の休養を経てから情勢を見極め、最適な移籍先を選ぶ手もある。しかし、彼の気性を考えれば、新レギュレーション施行初年度から参画し、自らの手でマシンを作り上げる道を選ぶのが自然であろう。」

    「もしもメルセデスが圧倒的な力を取り戻し、キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルが覇権を握るならば、フェルスタッペンに割って入る余地は失われる。そのとき彼は、アストンマーティンの台頭に一縷の望みを託さねばならなくなるだろう。」

    「一度支配体制が築かれれば、わざわざ陣容を崩す愚は誰も犯さない。ゆえに、現時点において最も理に適うのは、アストンマーティンへの移籍である」

    フェルスタッペンは現在、ドライバーズランキングで87ポイントを獲得し、マクラーレンのオスカー・ピアストリ(99ポイント)に続く第3位につけている。

    また、レッドブルはコンストラクターズランキングで第3位に位置しているものの、首位マクラーレンとの差は既に99ポイントにまで広がっている。

    ハーバートは最後に、アストンマーティンに対し、サウジアラビアからの更なる投資を活用し、フェルスタッペン獲得に向け「全力を尽くすべきだ」と強く促して締めくくった。