フェルナンド・アロンソがアストンマーティンで再びF1の頂点を目指すうえで、「時間」が大きなテーマになりつつある。
2026年7月に45歳を迎えたアロンソに対し、アストンマーティンのワークスパートナーであるホンダは、パワーユニット(PU)がトップレベルに到達する目標時期として、2027年後半から2028年初頭という時間軸を示している。
アロンソが2028年シーズンまでF1を続ければ、その途中で47歳を迎えることになる。
45歳のアロンソに残されたタイトル挑戦の時間
アロンソがアストンマーティンに加入した大きな目的のひとつは、F1で再び勝利を挙げ、2005年と2006年に続く3度目のワールドチャンピオン獲得に挑戦することにある。
その期待を大きくしたのが、2026年から始まったホンダとのワークスパートナーシップと、エイドリアン・ニューウェイの加入だった。
しかし、新レギュレーション初年度となった2026年は期待通りには進んでいない。AMR26はシャシーとPUの双方に課題を抱え、アストンマーティンはシーズン前に期待されたトップ争いから大きく離された。
アロンソにとって問題なのは、単に2026年が苦戦していることだけではない。競争力を取り戻すまでにどれだけの時間が必要なのかという点だ。
ホンダF1「2027年初めも最高のPUではない」
ホンダ・レーシング(HRC)のF1プロジェクトでチーフエンジニアを務める折原慎太郎は、ホンダがトップレベルへ戻るまでには、まだ時間が必要だという現実的な見通しを示している。
ホンダはオランダGPで内燃機関(ICE)を中心としたアップデートを投入し、2027年にはさらに大きなステップを計画している。
「夏休みが終わったら、またレースの現場に戻ります。そしてファクトリーでは、2027年にさらに大きなステップを持ち込めるよう懸命に取り組んでいます。ただ、やはり現実的に考える必要があります」
そのうえで折原慎太郎は、2027年開幕時点でホンダが最強PUになっているとは考えていない。
「2027年の初めの段階では、おそらくまだ最高のパワーユニットにはなっていないと思います。ただ、トップの競争相手にはもっと近づいているはずです」
「そこからさらにプッシュを続けて、2027年、あるいは2028年にはトップコンペティターになりたいと思っています」
ホンダの時間軸とアロンソの年齢
この「2027年あるいは2028年」という時間軸は、アロンソにとって特に重要な意味を持つ。
アロンソは現在45歳。ホンダがトップコンペティターになる目標として挙げた最も遅い時期である2028年には47歳になる。
もちろん、ホンダが2028年まで競争力を持たないという意味ではない。折原慎太郎は2027年にはトップとの差を縮め、より大きな性能向上を実現することを目標としている。
それでも、アロンソが3度目のタイトルを狙える時間が限られていることを考えれば、ホンダとアストンマーティンにとって2027年の進歩は極めて重要になる。
2027年は燃焼性能をさらに向上
ホンダはすでに2027年型PUの開発に重点を移している。
2027年には燃料流量に関するF1レギュレーションが変更されるが、基本的な開発方針は変わらない。最大の焦点となるのはICEの燃焼性能だ。
「2027年には燃料流量について少し異なるレギュレーションになりますが、僕たちの開発プログラム自体は変わりません。燃焼性能をさらに改善していく必要があります」
「そのため、引き続き内燃機関の性能向上に集中します。2027年にはそこで、より大きなステップを持ち込みたいと考えています。それが僕たちの主な重点項目です」
さらにホンダは、単純なPU単体の性能だけではなく、アストンマーティンの2027年型シャシーとの統合にも力を入れている。
「新しいシャシーに僕たちのパワーユニットをよりうまく統合するため、アストンマーティンとは緊密に話し合っています」
「今は2027年に向けて良いエンジンを開発することに集中していますし、その裏側ではアストンマーティンとも密接に協力しています」

それでもアロンソはホンダを信じている
興味深いのは、厳しい2026年を経験しても、アロンソ自身はアストンマーティンの将来性に対する信頼を失っていないことだ。
アロンソはハンガリーGPで、ニューウェイについて「遅かれ早かれグリッドで最高のマシンを届けてくれることに疑いはない」と語り、ホンダについても同様の信頼を示している。
「パワーユニットについても疑いはない。ホンダが問題を解決するのは時間の問題だと思っている。彼らは過去40年間、モータースポーツでそうしてきたからだ」
アロンソの言葉と折原慎太郎の発言には、実は共通する部分がある。
ホンダが現在の問題を解決できるかどうかではなく、「いつ解決できるのか」が焦点になっているということだ。
アロンソはホンダが最終的に競争力を取り戻すことを信じている。一方、ホンダはその到達点について2027年から2028年という現実的な時間軸を示している。
45歳のアロンソにとって、その差は決して小さくない。
アストンマーティンとホンダのプロジェクトが成功するまでアロンソのF1キャリアが続くのか。それとも、アロンソが現役でいる間にホンダとニューウェイが勝てるパッケージを完成させるのか。2027年は、アロンソ最後のタイトル挑戦の可能性を左右する重要なシーズンになりそうだ。
