2026年F1イタリアGPの予選では、ジョージ・ラッセルがスピードトラップで338.1km/hを記録し、全22台のトップに立った。一方、ポールポジションを獲得したピエール・ガスリーも334.6km/hで3番手につけており、アルピーヌの高い直線速度がモンツァでの躍進を支えたことがデータからもうかがえる。
対照的に、アストンマーティン・ホンダ勢は最高速ランキングの最下位に沈んだ。フェルナンド・アロンソが314.7km/h、ランス・ストロールが313.4km/hにとどまり、ラッセルとの差は最大24.7km/h。
ただし、スピードトラップの数値はPU性能だけでなく、ウイング設定、ドラッグ、スリップストリーム、エネルギーの使い方などにも左右されるため、この差をそのままホンダPU単体の性能差とみなすことはできない。
ラッセルが338.1km/hで最速 ガスリーも334.6km/h
モンツァはF1カレンダーでも特に最高速が重視されるサーキットだ。各チームは通常よりもドラッグを削った低ダウンフォース仕様を投入し、長い全開区間に合わせてマシンを仕上げる。
予選のスピードトラップでは、メルセデスのジョージ・ラッセルが338.1km/hでトップ。フランコ・コラピントが335.2km/hで2番手、ピエール・ガスリーが334.6km/hで3番手となった。
ガスリーは最高速そのものではラッセルを上回っていない。それでもQ3では1分21秒786を叩き出して自身初のF1ポールポジションを獲得した。
これは、モンツァで速いラップを作るためには単純な最高速だけでは不十分であることを示している。F1iの分析によれば、ガスリーがラッセルより明確に速かった区間はターン4〜5の第2シケインと、ターン8のアスカリへ向かう区間などに限られており、最終的にはラップ全体を高い水準でまとめたことがポールにつながった。
2026年F1イタリアGP予選 スピードトラップ
| 順位 | ドライバー | 最高速 |
|---|---|---|
| 1 | ジョージ・ラッセル | 338.1km/h |
| 2 | フランコ・コラピント | 335.2km/h |
| 3 | ピエール・ガスリー | 334.6km/h |
| 4 | カルロス・サインツJr. | 333.1km/h |
| 5 | オリバー・ベアマン | 332.5km/h |
| 6 | ルイス・ハミルトン | 330.2km/h |
| 7 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 330.1km/h |
| 8 | アレクサンダー・アルボン | 329.3km/h |
| 9 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 328.7km/h |
| 10 | シャルル・ルクレール | 328.7km/h |
| 11 | オスカー・ピアストリ | 327.7km/h |
| 12 | ガブリエル・ボルトレト | 327.6km/h |
| 13 | ランド・ノリス | 327.6km/h |
| 14 | アービッド・リンドブラッド | 326.9km/h |
| 15 | エステバン・オコン | 326.9km/h |
| 16 | マックス・フェルスタッペン | 326.7km/h |
| 17 | バルテリ・ボッタス | 324.0km/h |
| 18 | リアム・ローソン | 324.0km/h |
| 19 | セルジオ・ペレス | 322.6km/h |
| 20 | 角田裕毅 | 315.3km/h |
| 21 | フェルナンド・アロンソ | 314.7km/h |
| 22 | ランス・ストロール | 313.4km/h |
フィニッシュラインではコラピントが305.2km/hでトップ
計測地点が変わると順位も大きく変化する。フィニッシュラインではコラピントが305.2km/hで最速となり、サインツJr.が304.7km/h、アルボンが302.6km/hで続いた。
スピードトラップ首位のラッセルは297.9km/hで7番手。ガスリーは300.9km/hで5番手だった。
この違いは、各マシンの加速特性に加えて、計測地点までのコーナー脱出速度、DRS、スリップストリーム、バッテリーからの電力供給などが数字に反映されるためだ。したがって、一つの計測地点だけを見て「最もパワーがあるマシン」を判断するのは適切ではない。

2026年F1イタリアGP予選 フィニッシュライン速度
| 順位 | ドライバー | 速度 |
|---|---|---|
| 1 | フランコ・コラピント | 305.2km/h |
| 2 | カルロス・サインツJr. | 304.7km/h |
| 3 | アレクサンダー・アルボン | 302.6km/h |
| 4 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 301.0km/h |
| 5 | ピエール・ガスリー | 300.9km/h |
| 6 | ガブリエル・ボルトレト | 300.0km/h |
| 7 | ジョージ・ラッセル | 297.9km/h |
| 8 | マックス・フェルスタッペン | 296.4km/h |
| 9 | シャルル・ルクレール | 296.2km/h |
| 10 | ランド・ノリス | 295.4km/h |
| 11 | オスカー・ピアストリ | 295.3km/h |
| 12 | アービッド・リンドブラッド | 295.0km/h |
| 13 | オリバー・ベアマン | 294.9km/h |
| 14 | ルイス・ハミルトン | 294.5km/h |
| 15 | リアム・ローソン | 294.0km/h |
| 16 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 293.9km/h |
| 17 | エステバン・オコン | 291.5km/h |
| 18 | バルテリ・ボッタス | 289.6km/h |
| 19 | セルジオ・ペレス | 288.9km/h |
| 20 | 角田裕毅 | 288.6km/h |
| 21 | フェルナンド・アロンソ | 287.5km/h |
| 22 | ランス・ストロール | 282.9km/h |
アストンマーティン・ホンダは2つの計測地点で最下位
注目されるのがアストンマーティン・ホンダだ。スピードトラップではアロンソが314.7km/hで21番手、ストロールが313.4km/hで22番手。フィニッシュラインでもアロンソが287.5km/hで21番手、ストロールが282.9km/hで22番手だった。
スピードトラップ首位のラッセルとの差は、アロンソで23.4km/h、ストロールでは24.7km/hに達する。フィニッシュライン最速のコラピントとの比較では、それぞれ17.7km/h、22.3km/hの差となっている。
アストンマーティン・ホンダは前戦オランダGPから新スペックのパワーユニットを投入しているが、モンツァの結果を見る限り、ストレート性能が依然として大きな課題であることは明白だ。
ただし、このデータだけを根拠に「ホンダPUが他社より20km/h以上遅い」と結論づけることはできない。最高速はリアウイングやボディワークによる空気抵抗、セットアップ、スリップストリームの有無、ERSのデプロイメント、コーナー出口の速度などを含めたマシン全体の結果だからだ。
それでも、アロンソとストロールが異なる2つの計測地点でそろって21、22番手となった事実は、アストンマーティン・ホンダがモンツァのような低ドラッグ、高速型サーキットで抱える弱点を示す有力な材料となる。
角田裕毅も315.3km/hで20番手
レーシングブルズの角田裕毅もスピードトラップでは315.3km/hと伸びず20番手だった。フィニッシュラインでも288.6km/hで20番手となっており、アストンマーティン勢とともに下位3台を形成している。
一方、同じレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドはスピードトラップで326.9km/h、フィニッシュラインでは295.0km/h。角田裕毅との差はそれぞれ11.6km/h、6.4km/hと大きい。
予選の最高速は各ラップのトウの受け方や走行状況による振れ幅が大きいため、これをそのまま両者のマシン性能差とすることはできないが、角田裕毅の予選ラップがストレートでも理想的な条件ではなかった可能性を示すデータではある。
決勝は1ストップが基本 ミディアムからハードが最速予測
決勝では、純粋な最高速に加えてタイヤ戦略も勝敗を大きく左右する。
ピレリ・モータースポーツのダリオ・マラフスキによれば、シミュレーション上では1ストップが最も競争力の高い戦略になる見通しだ。
「我々のシミュレーションでは、モンツァでは1ストップ戦略が最も競争力のある選択肢になることを示している。ただし、総レースタイムではいくつかのバリエーションが非常に接近している」
「ミディアムは最も高い柔軟性を提供するように見える。これによって各チームはセーフティカーなどのニュートラリゼーションにも対応できる。理論上、最速なのはC4でスタートし、24周目から30周目の間にピットストップを行い、ハードでフィニッシュまで走る戦略だ」
C5ソフトからスタートする選択肢もある。
「C5はレースでも十分に使用可能であることが確認されており、より高い初期グリップを利用してターン1までの長いストレートで順位を上げたいドライバーにとって興味深い選択肢になる可能性がある」
この場合は19〜25周目がピットウインドウとなり、その後ハードタイヤでチェッカーまで走る形が想定される。
最高速だけでは決まらないモンツァ ガスリーは総合力でポール
予選データで際立つのは、338.1km/hを記録したラッセルの速さと、最高速3番手ながらポールを奪ったガスリーの対比だ。
低ドラッグが絶対条件となるモンツァでも、最高速だけでラップタイムは決まらない。ブレーキングの安定性、シケインでの方向転換、コーナー出口のトラクション、ERSの配分まで含めたパッケージ全体が重要となる。
一方で、アストンマーティン・ホンダが2つの速度計測でそろって最下位となったことは、決勝でも前車を追い抜く際に厳しい条件となる可能性がある。ポールのガスリーが直線でラッセルらを抑え切れるのか、それともメルセデスの最高速が決勝で武器になるのか。タイヤのデグラデーションが小さいと予想されるだけに、モンツァでは直線速度と戦略判断の両方が勝負を左右することになりそうだ。
