レッドブル・レーシングは、アイザック・ハジャーとの契約を延長し、2027年もチームに残留させる方針だと報じられた。2026年のF1でマックス・フェルスタッペンのチームメイトを務めるハジャーのパフォーマンスを、チームは高く評価しているという。
その背景には、ローラン・メキース代表の下で進むレッドブルのドライバー運営の変化もあるとされる。
従来のように一人のドライバーを明確に中心へ据えるアプローチから距離を置き、2台をより近い立場で戦わせる方向へチームが変化しているとの報道もあり、ハジャーの契約延長はその新たな方針を象徴する動きとなる可能性がある。
レッドブルがハジャーとの契約延長へ
ドイツの『Auto Motor und Sport』によると、レッドブルは21歳のハジャーが今季ここまで見せてきたパフォーマンスに満足しており、現在ではミルトンキーンズとザルツブルクの組織にとって重要な存在とみなしている。
ハジャーの契約は年ごとに見直される形になっているとされるが、レッドブルは2027年に向けて契約を延長する意向だという。
フェルスタッペンはすでに2030年末までレッドブルとの契約を延長している一方、2027年のもうひとつのシートについては正式発表されていない。ハジャーとの契約延長が決まれば、レッドブルは早い段階で来季のドライバーラインナップを固めることになる。
フェルスタッペンの隣で評価を高めたハジャー
レッドブルにとって、フェルスタッペンのチームメイト選びは長年にわたる課題となってきた。
ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、リアム・ローソン、角田裕毅らがその役割を経験してきたが、フェルスタッペンの隣で長期的にポジションを確立することは容易ではなかった。セルジオ・ペレスは比較的長くその座を務めたものの、レッドブルは安定して結果を残せるセカンドドライバーを求め続けてきた。
そのなかで2026年にレッドブルへ加入したハジャーは、シーズン序盤から安定したパフォーマンスを披露。夏休み前には7戦連続でトップ6フィニッシュを記録するなど、フェルスタッペンのチームメイトとして存在感を示した。
今季ここまでドライバーズランキング8位につけており、モナコGPでは表彰台圏内でフィニッシュ。アルピーヌによるピエール・ガスリーをめぐるレース後の異議申し立てによって最終的に表彰台を失ったものの、その走りはレッドブル内部で高く評価されている。
メキース体制で変わるレッドブルのドライバー運営
ハジャーの評価上昇と並行して、レッドブルのドライバーに対する考え方そのものにも変化が生じていると報じられている。
ローラン・メキース代表は、従来のように一人のドライバーを明確に優先するアプローチを軟化させ、2台をより近い立場で戦わせる方向へチームを動かしているという。
もちろん、4度のF1ワールドチャンピオンであり、2030年までの長期契約を結んだフェルスタッペンがレッドブルの中心的存在であることに変わりはない。
一方で、セカンドカーを単なる補完的な存在として扱うのではなく、2人のドライバーがともにポイントを獲得できる環境を整えることは、コンストラクターズ選手権を戦ううえでも重要になる。
メキース自身も夏休み前、ハジャーの存在についてこう語っていた。
「かなり長い間いなかった強力なセカンドドライバーがいるというのは良いニュースだ」
「アイザックは安定して結果を出しているし、チームやマックスから多くのことを学んでいる。我々の2台が少し近づいていることは、マックスにとっても良いニュースだ」
この発言からも、レッドブルがハジャーの速さだけでなく、フェルスタッペンとの組み合わせそのものをポジティブに評価していることがうかがえる。
メキースはすでに「論理的な決断」を示唆
ハジャーの2027年残留について、メキースはハンガリーGP終了後の段階ですでに強いヒントを出していた。
「将来についてはまだ話し合っていないが、アイザックが素晴らしい仕事をしていることは誰の目にも明らかだ。だから我々は論理的な決断を下すことになる」
当時は正式な契約交渉について明言しなかったものの、ハジャーのパフォーマンスを考えれば継続起用が自然な選択になるとの考えを示した形だ。
今回、『Auto Motor und Sport』がレッドブルによる契約延長の方針を報じたことで、メキースが語っていた「論理的な決断」の方向性がより明確になった。
ハジャーの残留が正式決定すれば、フェルスタッペンのチームメイトが短期間で入れ替わってきた近年のレッドブルにとって、ドライバー面での安定を取り戻す重要な一歩にもなる。

イタリアGP出場可否は契約とは別問題
一方、今週末のF1イタリアGPにハジャーが出場できるかどうかは、2027年の契約問題とは切り離して判断される。
ハジャーはトレーニング中に手首を骨折したため、前戦オランダGPを欠場。ザントフォールトではレーシングブルズのリアム・ローソンが代役としてレッドブルに復帰した。
イタリアGPに向けてはハジャーの復帰が期待されているものの、モンツァで実際にマシンへ戻れるかどうかは手首の回復状態を確認したうえで最終決定される見通しだ。
ただし、今回の契約延長報道を見る限り、イタリアGPへの出場可否がレッドブル内部におけるハジャーの長期的な評価を左右するものではなさそうだ。
再建を進めるレッドブルにとって重要な残留
ハジャーとの契約延長は、大規模な組織再編を進めているレッドブルにとっても重要な意味を持つ。
近年のレッドブルからは、クリスチャン・ホーナー、エイドリアン・ニューウェイ、ジョナサン・ウィートリー、ヘルムート・マルコ、ロブ・マーシャルら黄金期を支えた主要人物が相次いで離脱。さらにフェルスタッペンのレースエンジニアを務めてきたジャンピエロ・ランビアーゼも、マクラーレンへの移籍が決まっている。
その一方で、新たな体制づくりも進められている。メルセデスで若手育成を担当してきたグウェン・ラグルーを迎え、アストンマーティンからトム・マッカローを獲得。チーフエンジニアのポール・モナハンについても、キャデラックへの移籍を阻止して残留させたと報じられている。
多くの主要スタッフが入れ替わるなか、ドライバーラインナップまで毎年変更することはチームにさらなる不確定要素をもたらす。
2026年にフェルスタッペンのチームメイトとして結果を残し、チーム内部からも高い評価を得ているハジャーを継続起用することは、再建を進めるレッドブルにとって合理的な選択といえる。
メキース体制でドライバー運営にも変化が生まれつつあるとされるレッドブル。ハジャーとの2027年契約延長が正式発表されれば、それは単なる若手ドライバーの残留にとどまらず、新体制が目指すチームづくりを示すひとつの象徴となりそうだ。
