カルロス・サインツJr.は、2027年もウィリアムズに残留する方向で契約交渉を進めている。ただし、新契約はわずか1年となり、チームの競争力次第では離脱できる条項が盛り込まれる可能性があるという。
スペイン紙『Marca』によると、サインツJr.とマネジメント陣は夏休み期間中、ウィリアムズとの交渉に集中している。
当初は2026年限りでチームを離れる可能性も取り沙汰されていたが、現在は2027年末までの契約延長に近づいているとされる。
一方で、サインツJr.側はウィリアムズの将来性を全面的に信頼しているわけではないようだ。長期契約ではなく1年延長を選び、さらにチームのパフォーマンスが改善しなかった場合に、より魅力的な移籍先へ動ける仕組みを契約に組み込もうとしているという。
サインツJr.側が求める「出口」 フェルスタッペン型の契約を参考か
サインツJr.の新契約で注目されるのが、パフォーマンスに関連した解除条項である。
報道では、その内容がマックス・フェルスタッペンとレッドブル・レーシングの契約に存在するとされる解除条項と完全に同じものになるとはされていない。ただ、一定の条件を満たした場合にドライバー側が契約を終了できるという考え方は共通している。
フェルスタッペンの契約では、レッドブルの競争力やドライバーズランキングの順位などが将来の離脱を可能にする条件として取り沙汰されてきた。サインツJr.のマネジメント陣も、ウィリアムズが期待した水準まで浮上できなかった場合に備え、同様に選択肢を残しておきたい考えとみられる。
これはサインツJr.にとって重要な意味を持つ。2027年にウィリアムズが上位争いへ近づけば、そのままチームに残る理由になる。一方、期待された進歩が見られず、他のトップチームや有力チームにシートが空けば、契約に縛られることなく移籍できる可能性が生まれるからだ。
つまり、ウィリアムズ残留を選びながらも、自身のF1キャリアにおける次の選択肢を閉ざさない契約を目指していることになる。
2027年までの1年契約が有力 長期残留には慎重
サインツJr.は2026年前半、ウィリアムズのパフォーマンスに不満を抱いていると報じられ、シーズン終了後の移籍説が浮上していた。
しかし、その姿勢には変化が生じているという。現在は2026年後半にチームの状況を立て直すことに加え、ウィリアムズが重点を置く2027年のプロジェクトを見届ける方向へ傾いている。
それでも長期契約には慎重だ。
『Marca』によれば、サインツJr.側が想定しているのは2027年末までの1年間の延長であり、複数年にわたって将来をウィリアムズに委ねる契約ではない。
ウィリアムズにとっては、実績のあるサインツJr.を長期間確保したいところだが、ドライバー側はチームが実際に競争力を高められるかを確認してから、その先を判断したいと考えているようだ。
年俸3000万ユーロ説には疑問 実際は増額にとどまる見通し
契約期間と解除条項をめぐるサインツJr.側の要求は、年俸交渉にも影響している。
最近では、新契約でサインツJr.が年間3000万ユーロ(約52億円)を要求しているとの情報が伝えられていた。しかし『Marca』は、この数字が実際に成立する可能性は低いと報じている。
現在のサインツJr.の年俸は約1300万ユーロとされる。3000万ユーロという数字については、より有利な条件を引き出すため、サインツJr.陣営から交渉材料として外部に伝えられた可能性もあるという。
ウィリアムズはサインツJr.に対し、フェラーリ在籍時に匹敵する条件を提示する用意があるとされる。しかし、1年契約に加えて途中離脱を可能にする条項まで認めるのであれば、チーム側が巨額の年俸を保証するメリットは小さくなる。
さらに、ウィリアムズの財務状況も3000万ユーロ規模の契約を難しくする要因として挙げられている。
そのため、契約延長が成立すれば現在より年俸が引き上げられる可能性は高いものの、報じられている3000万ユーロには届かないとの見方が強い。
ウィリアムズ残留と将来の選択肢を両立
今回の交渉から見えてくるのは、サインツJr.がウィリアムズとの関係を継続しながらも、自身の将来を完全には縛らない契約を求めているということだ。
2027年までの1年延長とパフォーマンスに連動した解除条項が実現すれば、ウィリアムズには経験豊富なドライバーを少なくとももう1シーズン確保できるメリットがある。一方、サインツJr.はチームの成長を見極めつつ、より競争力のあるF1シートが浮上した場合に動ける余地を残せる。
ただし、その柔軟性を得る代わりに、年俸面では当初求めていたとされる条件から譲歩することになりそうだ。
サインツJr.にとって2027年のウィリアムズ残留は単なる契約延長ではなく、チームの将来性をもう1年見極めるための選択となる可能性が高い。契約期間、解除条項、そして年俸という3つの条件をどこで折り合わせるかが、正式合意に向けた焦点となる。
