アストンマーティンF1は4秒差から1秒差へ モントーヤが語るニューウェイの「奇跡」

アストンマーティンF1は4秒差から1秒差へ モントーヤが語るニューウェイの「奇跡」

アストンマーティンF1は、ハンガリーGPで投入したAMR26Bをきっかけに復調への兆しを見せている。

元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤは、その変化をエイドリアン・ニューウェイの影響力を示すものと評価し、さらにホンダのアップデートによってトップとの差が縮まると予想した。

モントーヤは、シーズン序盤に最大4秒規模だった差が、今後は「1秒」程度まで縮まる可能性があると分析。AMR26Bを事実上ニューウェイが本格的に手掛けた最初のマシンと位置づけ、2027年にはアストンマーティンとホンダがさらに大きな飛躍を遂げると期待している。

AMR26Bで流れが変わったアストンマーティン
2026年の新レギュレーション導入とともに始まったアストンマーティンのシーズンは、当初の期待とは大きく異なるものとなった。

ニューウェイの加入、ホンダとのワークス体制、新ファクトリーと新風洞。勝利を狙うための条件を揃えたように見えたが、AMR26は開幕から深刻な競争力不足に苦しんだ。

しかし、ハンガリーGPで大幅にアップデートされたAMR26Bが投入されると状況に変化が生まれた。まだトップ争いに加われる段階ではないものの、マシンの挙動や競争力には明確な改善が確認されている。

この変化を高く評価しているのが、ウィリアムズやマクラーレンで活躍したモントーヤだ。かつてマクラーレンでニューウェイと仕事をした経験を持つモントーヤは、67歳の英国人デザイナーがアストンマーティンの将来にとって極めて重要な存在だと考えている。

「アストンマーティンは最後尾から競争できるところまで来た。それはニューウェイの影響が実を結び始めていることを示している」

「これがニューウェイの最初の本当のマシン」
モントーヤは、AMR26Bについてニューウェイの思想が本格的に反映された最初のアストンマーティンだと評価する。

「これがニューウェイにとって最初の本当のマシンだと思う。エイドリアンが加入したときには、すでに多くのことが決まっていた。それは彼が望んでいたものではなかった。だから、すでに決められていたものを使って仕事をするしかなかったんだ」

ただし、この点については実際の開発経緯とは若干異なる。

ニューウェイ自身が明かしているように、2025年3月1日にアストンマーティンへ正式加入した時点で、2026年型マシンの開発はむしろ十分に進んでいなかった。

他チームがFIAの規定に従って1月1日から2026年型マシンの空力開発を開始していたのに対し、アストンマーティンは出遅れていた。さらに、新しい風洞の稼働を待ったことで実質的な作業開始は遅れ、ニューウェイは短期間で設計をまとめる必要に迫られた。

ホンダ側も、ニューウェイの加入後に多くの設計変更を求められ、パワーユニットについても修正が必要になったことを明かしている。

つまり、AMR26の問題はニューウェイが既存の完成されたコンセプトを引き継いだことよりも、開発開始そのものが遅れ、十分な検証時間を確保できなかったことにあった。

その意味では、シーズン途中まで開発を重ねたAMR26Bこそ、ニューウェイが落ち着いた環境で方向性を定め、現在の技術陣とともに作り込んだ最初の仕様と見ることができる。

ホンダの新パワーユニットがザントフォールトで投入へ
モントーヤが期待しているのはシャシーだけではない。ホンダも夏休み明けにパワーユニットのアップデートを投入する予定であり、これがアストンマーティンのさらなる前進につながると考えている。

「これからさらに新しいものが入ってくる。次のザントフォールトでは新しいエンジンが投入される。それがまた一歩前進になるはずだ」

そして、シーズン後半にはポイント争いへ加わることも可能だと予想した。

「マドリードやマレーシアの頃になれば、彼らがポイントを獲得していても驚かないよ」

ホンダが準備している新仕様は、ICEを中心に燃焼効率やフリクション、ターボなどを改善したものとなる。アストンマーティンはハンガリーGP後にテストを実施しており、夏休み明けのオランダGPで正式投入される見通しだ。

アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

「4秒差だった。それが1秒になる」
モントーヤは、ホンダが一度のアップデートですべての問題を解決するとは考えていない。それでも、パワーユニットの競争力は大きく改善すると予想している。

「エンジンにはまだ問題が残ると思う。でも、パワー面での差は半分くらいまで縮められるんじゃないかな」

そして、アストンマーティン全体の改善幅について具体的な数字を挙げた。

「それでも1秒くらいは離されると思う。でも以前は4秒だったんだ」

モントーヤが強調するのは、単純なラップタイムだけではない。2026年の新レギュレーションで多くのチームがマシン開発に苦戦するなか、ニューウェイが短期間でアストンマーティンの方向性を修正した点を評価している。

「ニューウェイがやっていることは、ウィリアムズやアルピーヌ、ハースが苦しんでいる状況を見るとよく分かる。この人がやって来て、最初のマシンですでに大半のチームより良いものを作っているんだからね」

本当の勝負は2027年
一方、モントーヤはアストンマーティンが夏休み明けから直ちに優勝争いを始めるとは考えていない。

2026年後半はAMR26Bとホンダの新パワーユニットによって着実に差を縮め、その成果を2027年につなげることが重要だと見ている。

「夏休み明けにはアストンマーティンが一歩前進すると期待している。でも、本当の大きなジャンプは来年になると思う」

ホンダにとっても、2026年シーズンを通じて得られる実戦データは大きな意味を持つ。

「ホンダには今、2027年に向けてさらに大きなステップを踏むための時間がある。ホンダとアストンマーティンは素晴らしい物語を作ると思うよ」

アストンマーティンにとってAMR26Bは、単なるシーズン途中のアップデートではなく、ニューウェイ主導の開発体制が本格的に機能し始めたことを示す最初の試金石となる。

モントーヤが示した「4秒から1秒」という数字はあくまで本人の見立てだが、夏休み明けにはホンダの新パワーユニットも加わる。2026年後半でどこまで差を縮められるかが、ニューウェイとホンダによる2027年のアストンマーティンF1の競争力を占う重要な指標となりそうだ。