レッドブル・レーシングのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェが、2026年F1マシン「RB22」の現状について厳しい評価を下した。サーキットに持ち込むたびに異なる問題が現れるとして、チームには現在「自信がない」と認めている。
かつてF1を圧倒したレッドブル・レーシングだが、2026年シーズン前半戦は11戦を終えて未勝利。単純なパフォーマンス不足以上に深刻なのは、RB22の挙動を十分に理解できず、コンディションの変化に対して極めて敏感なマシンになっていることだ。
「コースに出るたびに違う問題が見つかる」
レッドブル・レーシングは、2024年にドライバーズ選手権を僅差で逃し、2025年にはマクラーレンにタイトルを奪われた。そして新レギュレーションが導入された2026年も、シーズン序盤から苦戦を強いられている。
51歳のワシェは、レッドブルだけでなくマクラーレンも前年から出遅れた一方、ライバル勢がシーズン中に大きく進歩したと分析する。
「我々は最後まで戦った。マクラーレンも同じだと思うが、昨年やっていたことを基準にすれば、両チームとも少し遅れていると思う」
「他のライバルたちはモナコ以降、大きく進歩している。この新しいマシンでは、サーキットに行ってマシンを走らせるたびに、毎回違う問題が見つかる」
「我々はそこから最大限を引き出そうとしている。しかし、自信を持てる状態ではない」
RB22の問題は、単に特定のコーナーやひとつの性能領域に限定されたものではない。サーキットやコンディションが変わるたびに異なる弱点が表面化し、チームがマシンを完全には把握できていないことをワシェの発言は示している。
実際、その不安定さはコース上でも表れている。
マックス・フェルスタッペンはオーストリアGPとハンガリーGPの予選でスピンを喫し、オーストリアではバリアに接触してグラベルでストップした。
さらにフェルスタッペンとチームメイトのアイザック・ハジャーは、セッション中にマシンが自分たちの下で物理的に壊れていくように感じる場面についても言及しており、RB22の構造面を含めた挙動にも懸念が生じている。

進歩はしているが問題の全体像は見えず
一方でワシェは、レッドブル・レーシングが開幕時から何も改善できていないわけではないと強調する。
「最も重要なのは、我々が遅れた状態からスタートしたということだ。そして、間違いなく進歩している」
「ここまで改善し、現在の位置まで来られたことについては、チームが非常にいい仕事をしたと思う」
「まだ我々が望んでいる位置にはいないが、できる限りのことをして、何が機能していないのか、何を改善できるのかを理解しようとしている。そのうえで、自分たちがどこにいるのかを見ることになる」
「ただ、最も重要なのは、チームとしての進歩が非常に興味深いものだったということだ」
レッドブルはRB22を改善し続けている。しかし現在の問題は、単純にダウンフォースを増やしたり、特定の弱点をアップデートで修正したりすれば解決する性質のものではない可能性がある。
ワシェが明かしたように、サーキット、路面状況、気温、セットアップなどの条件が変化すると、それまでとは異なる問題が姿を現す。そのためチームは開発を進めながら、同時にRB22そのものへの理解を深めなければならない状況にある。
フェルスタッペンの母国オランダGPが次の試金石
夏休み明けのF1は、ザントフォールトで行われるオランダGPから再開する。
マックス・フェルスタッペンにとっては母国レースであり、大きな期待が集まる一戦となる。一方、レッドブルにとっては、変化するコンディションに敏感なRB22をどこまで安定したパフォーマンス領域に持ち込めるかが重要になる。
フェルスタッペンの将来をめぐっては依然としてパドックでさまざまな憶測が続いており、マシンへの「自信がない」というワシェの言葉は、レッドブルにとって決して軽いものではない。
それでも、チームが開幕時から着実に前進していることもワシェは強調している。残る課題は、その進歩を安定した速さへと結びつけられるかどうかだ。
かつて勝利を前提としてグランプリに臨んでいたレッドブル・レーシングは現在、RB22が次にどんな問題を見せるのか分からない状態で週末を迎えている。2026年後半戦では、速さそのものを追求する前に、まずマシンを理解し、ドライバーが信頼できる状態に仕上げることが最大の課題となる。
