カテゴリー: WEC (FIA世界耐久選手権)

  • WEC:トヨタ7号車が接戦を制しポール・トゥ・ウィンで今季3勝目

    WEC:トヨタ7号車が接戦を制しポール・トゥ・ウィンで今季3勝目

    7月9日(日)イタリアのモンツァ・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦モンツァ6時間の決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRID 7号車がライバルの本拠地での接戦を制し、今季3勝目を挙げた。8号車は6位でフィニッシュし、ドライバーズランキング首位の座を守った。

    6万5千人の熱狂的な観衆が見守る中、ポールポジションからスタートした小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、ハイパーカー同士の激しいバトルを制し、地元フェラーリの追撃を16秒520差で凌ぎきっての勝利を飾った。

    ドライバーズランキングをリードしているセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、3番手スタートも序盤にペナルティを受け大きくポジションダウン。その後、猛烈な追い上げを見せ4位でチェッカーを受けたが、レース後にペナルティを科され最終結果は6位に。しかし、貴重なポイントを獲得しランキング首位の座を守り、2位との差を23ポイントに広げた。

    TGRにとっては、前戦ル・マン24時間での雪辱を果たす今季4勝目。マニュファクチャラーズランキングでも2位フェラーリとの差を26ポイントへと広げることとなった。また、7号車はこの勝利でドライバーズランキング2位タイへと浮上。再びチャンピオン争いに加わることとなった。

    猛暑の中で午後12時半より開始された6時間の決勝レースは、気温と同じくらい熱い展開が1周目から待ち受けていた。ポールポジションの7号車はコンウェイのドライブでトップをキープしたが、その後方では、3番手からスタートしたブエミのドライブする8号車が、狭い第1シケインへの進入でフェラーリ51号車と接触し、8位へと順位を落としてしまった。

    15分後、7号車のコンウェイはフェラーリ50号車とプジョー93号車を従え首位を走行していたが、8号車はGTクラス車両と接触し、セーフティカーが導入されることとなった。8号車にこの2度の接触による車両ダメージはなかったが、レーススチュワードより、最初の接触で10秒、さらに2度目の接触で60秒のピットストップペナルティが科された。

    セーフティカーの導入により、首位の7号車の後方には僅差でライバル勢が連なる形となり、再スタートが切られると、7号車のコンウェイは3位に順位を落とすこととなった。一方、ペナルティを消化した8号車は総合34位まで大きく順位を落とし、コースに復帰してまもなく周回遅れとなってしまった。

    3位に後退するも、離されることなく前を行くライバルへのプレッシャーをかけ続ける7号車のコンウェイは、1時間を経過したところで最初のピットへ向かったが、隣のガレージも同時にピットインしていたため、貴重なタイムをロス。一方で8号車のブエミは1回目のピット時にペナルティを消化し、追い上げを開始した。

    ハードタイヤを装着し3位を走行するコンウェイは、その時点での最速タイムで追い上げを見せて首位の座を奪還し、ロペスへと交代した。ロペスも首位争いを続け、3時間過ぎにポルシェ5号車をかわして首位に浮上。その直後、LMP2車両のアクシデントによりこの日2度目のセーフティカーが導入された。

    ピット戦略の異なるライバル勢がセーフティカー導入前にピットインを終えていたこともあり、首位に立ったロペスの7号車は、2度ファステストラップを更新する速さを見せ、2位のフェラーリ50号車との差を広げていった。8号車も平川へとドライバー交代し、猛烈な追い上げで7位へと順位を上げた。

    的確な戦略と平川の好ペースで8号車は周回遅れから脱し、ハートレーへとドライバー交代。ハートレーはトップ6フィニッシュへ向け更なる追い上げを開始した。一方、首位争いはロペスの健闘により2台のフェラーリに対し大きな差を広げて、4時間過ぎ、小林へと最後のドライバー交代を行った。

    しかし、再度導入されたセーフティカーにより、45秒あった2位との差は帳消しとなり、最後の1時間半、小林はフェラーリ50号車からの僅差での追撃を受けることとなった。さらに8号車の不運は続き、このセーフティカー導入のタイミングで緊急給油ピットインを余儀なくされ、レース再開時には8位へと順位を落としてしまった。

    一時は後続とのマージンを失った首位の7号車小林だったが、好調なGR010 HYBRIDと共に着実にリードを広げていき、残り45分で最後のピットイン時点で2位との差は10秒に。ピットクルーの迅速な作業でタイヤを新品に交換し、小林は最後のスティントへと向かった。

    新しいタイヤへと交換した7号車の小林は、ファステストラップを更新する素晴らしい走りで後続を突き放し、2位のフェラーリ50号車に16秒520の差を付けてトップチェッカー。8号車も最後まで諦めることなくプッシュを続け、ハートレーが残り15分でタイトルを争うフェラーリ51号車とポルシェ5号車を見事オーバーテイク。4位でチェッカーを受けた。しかし、レース後に8号車は、あるラップで意図せず短時間パワートレーンの出力制限を超えていたとしてレース結果に50秒加算のペナルティを科され、最終結果は6位となった。

    今大会で2023年シーズンWECのヨーロッパラウンドは終了。次戦は9月10日(日)、ハイパーカーによる激戦の舞台はTGRのホームレースである富士へと移り、そして、11月の最終戦バーレーンへと向かうこととなる。

    小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
    今日のこの結果は本当に嬉しいです。非常に強力なライバルと大接戦だったので、ハードにプッシュし攻め続けなくてはなりませんでした。鍵となったのはレース全体をミス無く戦ったことと、タイヤマネージメントでした。私の最後の長いスティントは緊張しましたし、本当に大変でした。しかし、フェラーリとのバトルは素晴らしかったですし、今日の勝利でル・マンでの雪辱を少しは果たせたかと思います。チーム、そして、ル・マンの後も本当に多大な支援を続けてくれているパートナーの皆様、及びサポートいただいている皆様に感謝いたします。8号車も追い上げてポイントを獲得し、チームにとって良い結果でした。彼らは絶対に諦めないという大事な気持ちを示してくれました。シーズンも残り2戦となりましたが、両チャンピオン防衛へ向け全力で臨みます。残り2戦も厳しい戦いになることは間違いありません。

    マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
    フェラーリのホームで彼らに打ち勝つことができて良かったですし、チームのみんなには本当に感謝しています。ピットストップは着実かつ迅速で、タイミングも全て的確でした。特に最後のピットは素晴らしく、おかげで首位を守ってコースに復帰できました。今回の勝利は嬉しいですし、ポイント面でチームにも貢献できました。本当に大変なレースでした。このレースはタイヤのマネージメントが全てだとわかっていましたし、選択肢は幾つかありました。我々の作戦は上手くいき、一時は順位を落としたものの、選択したハードタイヤで、路面温度の上昇やセーフティカーなどもある中、順位を取り戻すことができました。そして、ホセが後続とのギャップを築き、可夢偉が最後に素晴らしいスティントで勝利をもたらしてくれました。

    ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー):
    厳しい結果となったル・マンの後、ここで勝てたことはとても重要で、チーム全員が素晴らしい仕事をしてくれました。今日も大変なレースでしたが、GR010 HYBRIDは好調でしたし、ペースも良く、ピットストップもタイヤ戦略も完璧でした。今季3勝目を挙げ、チャンピオン争いに復帰できたのは本当に嬉しいです。今日は走っていても気持ち良かったですし、アタックして首位を奪還し、その後は差を広げることができました。同時に、耐久レースではせっかく築いたマージンがあっという間に無くなってしまうこともわかっていましたし、セーフティカー導入により最後は可夢偉に厳しい戦いを強いることとなってしまいました。しかし、彼はその大変な役割を果たし、トップで戻って来てくれました。フェラーリの熱狂的なファンの皆様の前で勝てたことは最高です。

    セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
    複雑な感情の入り交じる一日でした。7号車が勝ったことはとても良かったですし、彼らの素晴らしいパフォーマンスを祝福します。我々8号車にとっては厳しいレースとなってしまいました。私はスタートで接触を喫し、ペナルティを受け、さらにGTクラスのアストンマーティンとも接触してしまいました。彼らにはお詫びしたいと思います。もちろん、そこから全力で追い上げて、多くのポイントを獲得することができました。しかし、我々にとっては厳しい一日でしたし、次の富士ではもっと良い結果を狙います。

    ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
    まず初めに、勝利を挙げたチーム全員へ祝福を送ります。7号車は可夢偉のポールポジション獲得から、素晴らしい週末でした。彼らはフェラーリとの激戦を制しました。我々8号車は、序盤のアクシデントで周回遅れになってしまったこともあり、厳しいレースとなってしまいましたが、後方から追い上げて、私は最後にタイトルを争うフェラーリ51号車とホイール・トゥ・ホイールの素晴らしいバトルを楽しむことができました。この暑さの中、3スティント連続で走るのは本当に大変で大きな挑戦でしたが、楽しかったです。今日は表彰台に立つことはできませんでしたが、我々が見せることができたパフォーマンスには満足しています。

    平川亮(8号車 ドライバー):
    フェラーリのホームレースで7号車が優勝してくれたことは良かったですし、彼らの素晴らしい走りに祝福を贈ります。残念ながら我々の8号車はレース序盤にペナルティを受けることとなってしまいましたが、決して諦めることなく追い上げ、順位を上げていきました。チェッカーまで諦めずに戦い続けたことで、レース終盤にブレンドンがフェラーリとポルシェをかわしてくれました。最終的にチャンピオン争いで重要なポイントを稼ぐことができましたし、自分たちが見せられたパフォーマンスには満足しています。次は我々のホームレースである富士なので、母国ファンの皆様の前で多くのハイパーカーを相手に戦うのを楽しみにしています。

    トヨタ WEC FIA 世界耐久選手権

    佐藤恒治社長:
    WEC 2023 第5戦 モンツァ6時間レースでは、7号車がポールトゥウィンを獲得できました。モンツァのファンは、私たちも含めてレース全体を応援してくれて、素晴らしい雰囲気の中で闘うことができました。応援してくださったすべての皆様に、心から感謝申し上げます。

    「自分たちの本当の走りを見せたい」。そんな悔しさを胸に、私たちはル・マン以降、全員で心をひとつにして、次の闘いに向けて前に進んできました。とても大切な4週間でした。そのプロセスがあったからこそ、モンツァでは、真のワンチームとして闘うことができたのだと思っています。

    7号車のマイク、可夢偉、ホセは、8号車が想定外の事態に直面する中でも、冷静に、着実に走り続けてくれました。チームを背負ってミスなく走り続けることは大変な重圧だったと思います。

    8号車のセブ、ブレンドン、亮は、1つでも順位を上げるために、最後の最後まで挑戦し続けてくれました。

    勝利のために必死に努力を重ねてくれた現場のメンバー全員を誇りに思います。

    次戦の富士でも、可夢偉代表のもと、全員で、全力で闘います。たくさんの日本のファンの皆様の前で、さらに強くなったトヨタWECチームの姿をお見せしたいと思います。

    最後に、D’station Racingの星野選手、藤井選手、スティーヴンソン選手、チーム関係者の皆様に対しまして、8号車の接触により危険な事態を招いてしまったこと、そしてモンツァでの挑戦の機会を奪ってしまったこと、心よりお詫び申し上げます。全員が安全に気持ちよく走れるレースを実現できるよう、チーム全体で振り返り、意識を徹底してまいります。

  • WEC:トヨタ7号車の小林可夢偉が0.017秒差でポールポジション獲得

    WEC:トヨタ7号車の小林可夢偉が0.017秒差でポールポジション獲得

    7月8日(土)イタリアのモンツァ・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦モンツァ6時間の予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRID 7号車を駆る小林可夢偉が自身今季2度目となるポールポジションを獲得、8号車は3番手グリッドとなった。

    小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブするGR010 HYBRID 7号車は、小林が予選を担当。

    上位2台が0.017秒という僅差の争いとなった予選で、小林はモンツァにおけるハイパーカーのコースレコードを更新する1分35秒358をマークし、見事ポールポジションを獲得した。

    セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車はハートレーが予選アタックを担当し、チームメイトのポールタイムと0.102秒差の3番手となった。

    TGRにとって今季3度目となるポールポジション獲得により、貴重な1ポイントを獲得。TGRはマニュファクチャラーズタイトル争いで2位のフェラーリとの差を19ポイントに拡げた。

    この日も夏の暑さとなったモンツァは、気温が30度を越え、路面温度も限りなく50度に近付く中で、現地時間午後3時半過ぎに15分間の予選セッションが開始された。2台のGR010 HYBRIDは、この予選に今大会使用可能な2種類のコンパウンドのうち柔らかい方となるミディアムタイヤを選択し、アタックに向かった。

    タイヤのウォームアップを終えた2台は、最初のアタックラップでハートレーが1分35秒640、小林がそれを上回り、この時点でのトップとなる1分35秒549をマーク。序盤からポールポジション争いを繰り広げた。

    翌周、小林は最初のシケインで僅かにタイムをロス。しかし、残りのラップで素晴らしいアタックを見せて挽回し、モンツァ・サーキットにおけるハイパーカーの新たなコースレコードとなるタイムを叩き出した。その直後、フェラーリ50号車が自身のタイムを更新するも、小林のタイムには僅かに届かず。

    ハートレーも2度目のアタックでタイムを更新したが、フェラーリ50号車には0.085秒及ばず、3番手。2台のGR010 HYBRIDはその後もアタックを続けたが、タイヤのグリップはピークを越えており、他の車両もタイム更新とはならず、7号車のポールポジションが決定した。

    この予選では、ハイパーカークラスの上位7台がコンマ5秒以内に入る接戦となりました。9日(日)の決勝はさらに気温が高くなる予報で、多数のハイパーカーによるエキサイティングなレースが予想される。6時間で争われる決勝レースは現地時間午後12時半(日本時間午後7時半)にスタートが切られる。

    小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
    通常、6時間レースであれば、ポールポジションはあまり意味をなさないといつも言ってきました。しかし、ル・マンの後、各車のラップタイムが非常に接近してきており、そんな中でポールポジションを獲得できたことは素晴らしいですし、本当に嬉しいです。セッション序盤、コース上のトラフィックは理想的とは言えませんでしたが、なんとかクリアラップを確保してアタックしました。ここモンツァでは、全てのハイパーカーが大接戦を繰り広げている中で、リスクを負わない守りの走りはできないので、思い切ってアタックしました。路面温度が午前中の練習走行の時とは少し異なったため難しかったですが、クルマには満足しています。決勝はさらに暑くなることが予想され、タイヤ戦略が重要になるでしょう。チームはタイヤ摩耗を理解しながら、最善の方法を見出すためにハードワークを続けてきました。この週末、我々のGR010 HYBRIDはとても良い仕上がりですし、特にイタリアのファンの皆様の前での決勝レースが楽しみです。激しい戦いになるはずです。

    ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
    全てのハイパーカーが非常にタイムの接近した予選だったので、それを考えれば3番手は満足いく結果です。可夢偉の結果からわかるとおり、我々のGR010 HYBRIDにはポールを狙える力がありました。素晴らしいアタックでポールを獲得した彼を祝福します。また、彼がポールを獲得したことで、ライバルにポイントを与えず我々のタイトル争いにとっても意味がありました。私のアタックラップでは、直前にいた車両に近付きすぎ、僅かにタイムをロスしてしまいました。しかし、ポールタイムとのコンマ1秒差は無いようなもので、誰でもどこかでわずかなタイムロスはしているものです。明日の決勝で我々の2台がトップ3からスタートできるというのは素晴らしいことで、チームの努力の賜物です。

    トヨタ WEC FIA 世界耐久選手権

  • WEC:トヨタ 2023年第5戦モンツァ6時間 公式練習レポート

    WEC:トヨタ 2023年第5戦モンツァ6時間 公式練習レポート

    FIA世界耐久選手権(WEC)第5戦モンツァ6時間の公式練習が7月7日(金)に開始され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はル・マン24時間以来となるサーキットでの走行を再開した。

    TGRは、シリーズチャンピオン争いにおいて重要な週末となるこの大会で、今季4勝目を挙げて、現在トップにつけているマニュファクチャラーズ、及びドライバーズ選手権でのリードをさらに広げることを目指しており、初日となったこの日は順調なスタートを切った。

    小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、1分36秒363というタイムをマークし、フェラーリ50号車を0.170秒抑えてのトップで終え、また、現在チャンピオン争いでドライバーズランキング首位につけるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車はフェラーリ50号車から0.153秒差の3番手につけた。

    伝統ある高速サーキットのモンツァで13台のハイパーカーが争うことになる今大会、そのバトルはさらに激しさを増しており、初日から上位8台が1秒以内に入る接戦となった。

    9日(日)の決勝へ向けた準備は暖かな陽気の下、午前11時半からの90分間にわたる公式練習第1回目で開始され、チームは2台のGR010 HYBRIDの空力やメカニカルセッティング、制御システムなどを比較し、レースウィークに向けた車両セットアップのベースを作るための作業に集中した。

    6日(木)の朝方サーキットを襲った雨の気配はこの日は全くなく、セッションは終了2分前に出された赤旗までクリーンに進み、7号車はコンウェイが序盤にマークしたタイムによりこのセッション4番手。8号車はブエミがマークしたタイムでセッション6番手となった。

    夕方から開始された公式練習第2回目では、2台共にモンツァで使用可能な2種類のタイヤコンパウンドの比較に集中し、また、路面温度が50度近くにまで上昇したこのセッションでは、クルマのパフォーマンスだけでなく、ミディアムとハードの両コンパウンドの耐久性の分析なども行った。

    この公式練習第2回目のセッション開始早々に小林とハートレーがそれぞれのベストタイムをマーク。7号車はそのタイムがこのセッションだけでなく、この日の総合ベストタイムとなり、また、8号車は3番手で続くこととなった。

    3時間に及んだこの日の練習走行は、ほぼ中断もトラブルも無く進み、最高速度とブレーキパフォーマンスがラップタイムの鍵となる1周5.793kmのモンツァ・サーキットで、チームは車両セットアップを最適化するための多くのデータを収集した。

    8日(土)は午前中に最後の練習走行を行った後、決勝のスターティンググリッドを決定する15分間の予選が、ハイパーカークラスは現地時間午後3時半(日本時間午後10時半)に開始される。6時間で争われる決勝は9日(日)現地時間午後12時半(日本時間午後7時半)にスタートが切られる。

    小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
    ル・マンの後、またGR010 HYBRIDをドライブできて良い気持ちです。今日は全てが順調で、良いレースウィークのスタートを切ることができました。今日の優先事項は、2種類のタイヤコンパウンドをテストし、どちらが決勝で我々にとって最適となるか見出すことでした。クルマのバランス面でも進展が見られたので、この方向で進めていきます。ハイパーカー上位勢のタイム差は非常に小さいので、クルマのパフォーマンス向上に取り組む必要があります。明日もハードにプッシュし、予選の結果がどうなるか待ちたいと思います。

    マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
    モンツァのような伝統的なサーキットでレースを戦うために、私の好きな国の一つであるイタリアを再訪できて嬉しいです。走り始めからバランスは良かったので、今日はさらなるパフォーマンスを引き出すために一日を費やしました。GR010 HYBRIDの感触はとても安定しているので、正しいタイヤを正しいタイミングで選択することが重要になってくると思います。ハイパーカー同士がコンマ数秒差で争っているのは素晴らしいです。予選も非常に接近した、エキサイティングなものになると思いますが、我々もベストを尽くし、日曜日の決勝で良い結果を残せるよう頑張ります。

    ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
    トラブル無く、充分な走行距離をこなすことができた順調な一日でした。ラップタイムは非常に接近しており、それぞれのパフォーマンスを推し量るのは難しいです。モンツァではブレーキングと空力での車両バランスが特に重要であり、その面でも今日の2回の練習走行は有意義でした。ここで速く走るためには、ブレーキングが安定し、最高速が速いクルマが必要です。今日は暑い一日でしたが、日曜日はさらに暑くなりそうです。

    セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
    モンツァに戻れて本当に嬉しいです。昨日は雨でしたが、今日は好天に恵まれたので、このような好コンディションで多くの周回をこなすことができ、異なるタイヤセットや空力などを試せたのは良かったです。2回の練習走行を追えた時点で見る限り、我々には競争力があると思いますが、まだレースウィークは始まったばかりです。これからさらに作業を続け、走行データから学び、可能な限りクルマからパフォーマンスを引き出す必要があることはわかっています。ハイパーカークラスの争いは非常に僅差なので、レースウィークをトラブル無く、また、ミス無く進めていくことが重要です。

    ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
    クルマに大きなトラブルもなく、順調な初日でした。上位争いは非常に接近しているように見え、現時点で予選へ向けてどのチームが強いのかを予想することは困難です。5つの異なるマニュファクチャラーによる争いになるでしょう。予選にも集中はしますが、決勝はこれまでにないほどの接近戦になる可能性があり、もちろんそこで勝利することこそが最大の目標です。我々は車両セットアップや異なるタイヤコンパウンドのテストをしながら、予定通りにプログラムを進めています。まずは良いレースウィークのスタートを切ることができました。

    平川亮(8号車 ドライバー)
    今日の2回の練習走行を通してクルマのバランスを最適化するため、車両セットアップのための幾つかのテストや暑いコンディション下でのタイヤテストなどを行いました。決勝日はもっと暑くなりそうなので、タイヤにはさらに厳しい状況になるでしょう。これまでのところは順調で、GR010 HYBRIDもとても力強く感じています。全ての最適化を進め、決勝へ向けて準備を整えていきます。

    トヨタ WEC FIA 世界耐久選手権

  • 元F1王者ジェンソン・バトン、2024年はフルタイムで耐久レース復帰を視野

    元F1王者ジェンソン・バトン、2024年はフルタイムで耐久レース復帰を視野

    元F1ワールドチャンピンのジェンソン・バトンは、2024年、日本でSUPER GTに参戦していた2019年以来初めてフルタイムレースに復帰する準備ができていると語った。

    今年、ジェンソン・バトンは、NASCARのガレージ56ル・マン24時間シボレー・カマロのハンドルを握った取り組みと、リック・ウェア・レーシングのフォード・マスタングでNASCARカップのロードコースとストリートコースにパートタイムで参戦した。

    2009年のF1世界チャンピオンであるジェンソン・バトンは、ブリティッシュGT、グッドウッド・リバイバル、ニトロ・ラリークロス、エクストリームEなどで散発的に出場してきた。

    来週末のNASCARカップ・シカゴ・ストリート・レースに先立ち、ジェンソンバトンは世界耐久選手権(WEC)への復帰か、IMSAスポーツカー選手権への初参戦のどちらかを目標にしていることを明らかにした。

    バトンは2018年、SMPレーシングのBRエンジニアリングLMP1マシンでWECのトップクラスで4レースを走り、その中には上海での総合表彰台獲得も含まれている。

    「いつもスケジュールが忙しいので、またフルシーズンをやりたいとは思っていなかったけど、来年はフルシーズンをやって何かでレースをしているような気がしている」とバトンは語った。

    「1回限りのレース出場は素晴らしいことだけど、自分自身のベストを引き出すことはでない。だからこそ、ここ(NASCAR)のカップで3レースを行うのは本当に良いことだ。なぜなら、チームやシミュレーターでより多くの時間を過ごすことができるし、エンジニアやクルーチーフと一緒に仕事をすることで、お互いのスキルを高め、理解を深めることができるからだ」

    「だから、来年は時間が許す限り、フルシーズンを戦いたい。今年はとても忙しかったので、いくつかのことを両立させる必要がある。IMSAかWECのどちらかの耐久レースになる予定だ」

    IMSAのGTPクラスでのレースに意欲的かと聞かれたバトンは「ああ、そうだね。WECやIMSA、あるいはNASCARのレースなど、将来的に何が起こるかは誰にもわからない。でも、そのためにジム(フランス)に少しは頼ることになるのは間違いない」と語った。

    バトンは、NASCARの会長であり、グランドアムの創設者でもあるフランス(グランドアムは現在IMSAに統合されているが、フランスは強い関心を持ち続け、アクションエクスプレスキャデラックチームを所有している)と過ごした時間は、ガレージ56プロジェクトがNASCARにもたらした大きな関心のおかげで、彼らの間に絆が生まれたと語る

    「ル・マンに参戦する機会を与えてくれたジムとリック(NASCARの有力チームオーナー)に感謝します」とバトンは付け加えた。

    「ジムはNASCARにとても情熱的だが、NASCARを耐久レースの世界に持ち込むことにもとても情熱を持っていた。彼はほとんどのテストに参加し、マシンが通過するたびに笑顔で興奮する姿を見て、彼のレースに対する情熱が伝わってきた」

    「週末はこれ以上うまくいかなかったと思う。ジムはとても幸せそうで、レース中もほとんど起きていたよ!その感情を一緒に共有できたことは、とても素晴らしいことだった」

    「バトンは、これまで不定期なレース活動を楽しんできたが、2024年にはさらに活躍の場を広げたいと考えている。

    「これまで何年にもわたっていろいろなことに挑戦してきたけど、それは基本的にそのシリーズでレースをしたいかったからだ。特定の車に飛び乗ってレースをすることができてとても幸運でした」とバトンは語った。

    「失うものは何もないと感じている。僕はF1でワールドチャンピオンを獲得し、目標を達成した。レースが大好きなので、今はレースに出場している」

    「新しいことを学ぶのが大好きで、挑戦が僕を前進させる原動力だ。そうでなければ、もうレースをしていないと思う」

  • ル・マン24時間レース:50年ぶりワークス復帰のフェラーリの51号車が優勝

    ル・マン24時間レース:50年ぶりワークス復帰のフェラーリの51号車が優勝

    2023年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦 第91回ル・マン24時間レースの決勝が6月10日(土)から11日(日)にかけて開催され、50年ぶりにル・マンのトップクラスにワークス復帰したフェラーリの51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツ)がポール・トゥ・ウィンで記念すべき100周年大会で優勝した。

    2位にはトヨタの8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)。2018年から5連覇を達成してたトヨタの連勝記録が途絶えた。

    姉妹車のトヨタ7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)は、8時間が経過した頃、他社の接触事故に絡む不運でリタイアを喫した。

    3位にはキャデラック2号車(アール・バンバー/アレックス・リン/リチャード・ウェストブルック)が入り表彰台を獲得。4位にはキャデラック3号車(セバスチャン・ブルデー/レンガー・バン・デル・ザンデ/スコット・ディクソン)が続いた。


    2023年 ル・マン24時間レース 結果

  • 小林可夢偉 「前のクルマを抜けばペナルティなのでブレーキをかけた」

    小林可夢偉 「前のクルマを抜けばペナルティなのでブレーキをかけた」

    小林可夢偉が、2023年のル・マン24時間レースでリタイアを喫することになった状況を説明した。

    8時間が経過する頃、小林可夢偉の駆るトヨタ7号車はアクシデントに巻き込まれた。LMP2のグラフレーシングの39号車とLMGTEPROのJMWモータースポーツの66号車が接触。すると低速で走行するトヨタ7号車にアルピーヌの35号車が追突してきた。

    小林可夢偉は、ミュルザンヌストレートでマシンを止め、レースをリタイアすることになった。

    「僕はスローゾーン前に備える“Next SLow”ノーゾンというエリアにいました。前のドライバーが何らかの理由でブレーキをかけました」と小林可夢偉は状況を説明。

    「そこで彼をオーバーテイクすれば、ペナルティを科されれることになるので、ブレーキをかけ、後ろのクルマが僕にぶつかってきました」

    「両方のリアタイヤがパンクして、左リアのドライブシャフトが壊れ、戻るための駆動がありませんでした。フラストレーションを感じています」

    「まだ1台のクルマが戦いっているので、彼らをサポートしていきます。僕はドライバーですが、チームプリンシパルでもありますからね」

    「僕たちはベストを尽くしていきます。これがル・マン24時間レースの厳しさですね」

  • WEC:2024年からLMP2クラスを廃止して2クラス体制に移行

    WEC:2024年からLMP2クラスを廃止して2クラス体制に移行

    FIA世界耐久選手権(WEC)は、2クラス体制への移行に伴い、LMP2クラスが2024年にグリッドから廃止になることを正式に発表した。

    2024年シーズンのWECには、ハイパーカーとLMGT3マシンだけが参戦できることになり、長年続いたLMP2クラスは、復活したトップカテゴリーのグリッド枠に対する需要の高まりの犠牲となる。

    2024年にはランボルギーニ、BMW、アルピーヌ、そしてブティックカーであるイソッタ・フラスキーニがトップクラスに参入が予定されており、来シーズンのトップクラス参入台数は最大20台、現在のフルエントリー台数は38台と予想されている。

    しかし、シリーズの主催者である西部自動車クラブ(ACO)は、金曜日の朝の公式記者会見で、昨年12月に初めて発表したように、ル・マン24時間レースではLMP2カテゴリーに「最低」15台のグリッド枠を確保することを発表しました。

    ACO会長のピエール・フィヨンは「我々にとって非常に重要なカテゴリーだが、決断を下さなければならない。だから、ル・マンではLMP2マシンの出場枠は最低でも15台となる」と語った。

    WECのボスであるフレデリック・ルキエンは、この動きはヨーロッパ・ル・マン・シリーズに参戦するLMP2マシンのル・マンでのグリッドに加わることになると付け加えた。

    「重要なのは、我々がLMP2を関心がないわけではないということだ」と彼は語った。「また、ヨーロッパおよびアジアのル・マン・シリーズでもトップクラスであり続けるだろう」

    WECがLMGT3車両のために確保するグリッド枠の数はまだ確定していないが、現在ハイパーカークラスに参加しているメーカーが優先されることが確認された。各メーカーには2つのグリッド枠が割り当てられる予定だ。

    LMP2は、2012年にWECが復活して以来、WECの主力カテゴリーとなっていた。このカテゴリーは、2000年にACOによって設立されたLMP675クラスがルーツである。

    当初は、より重く強力なLMP900(後にLMP1となる)と戦うために、メーカーが低コストでル・マンの総合優勝を狙うためのものだったが、すぐにプライベーターチームの唯一の保護区となった

    LMP2カテゴリの性質が変わったのは、2017年にクラスが4つのライセンスド・シャシ・ビルダー(オレカ、リジェ、ダラーラ、マルチマティック/ライリー)に制限されたときだ。

    この4社は、2026年に登場予定の次世代LMP2マシンを製造する会社であり、トップカテゴリーでル・マンハイパーカーと並走するLMDhマシンのベースとなる会社である。

    オレアはWECのLMP2クラスを事実上独占しており、2021年シーズン序盤戦以降、他のシャーシビルダーがグリッドに登場したことはない。

    LMP2クラスは、ヨーロッパ・ルマンシリーズとアジア・ルマンシリーズの主要なアトラクションであると同時に、IMSAスポーツカー選手権においても、LMDhやGT3マシンと共に、引き続き参戦することになる。

    ドライバーたちはLMP2の終焉を嘆く
    WECからLMP2が失われたことについて、ユナイテッド・オートスポーツのセカンダリー・プロトタイプ・カテゴリーに参戦し、2017年のル・マンで総合2位となったJOTAクルーの一員であるオリバー・ジャービスは「本当に残念」と表現しています。

    「一方で僕はそれを理解している。ハイパーカーは力強く前進しています。そしてGT3が導入されたことで、LMP2は純粋な数字の観点からは適合しなくなった」

    「でも、一時期はトヨタと1台か2台のハイパーカーしかなかったことを考えると、LMP2が長年にわたってバックボーンとなっていたことがわかる」

    「このP2マシンはすべてどこかに行くことになるのだから、アジアのル・マン、ヨーロッパのル・マン、IMSAのP2グリッドが強化されるということなのだろうか?価格や予算を考えると、今のところこれ以上のクラスはないと思うので、そうあってほしい」

    WRTのドライバー、ルイ・デレトラズも同様の感想を述べ、低速のハイパーカーの登場でペースダウンする前のORECA 07のラップタイムを指摘した。

    「少し時間をさかのぼれば、このORECA 07はここで3分24秒台が出せる。でも、新しいハイパーカーが登場したことで、我々は明らかにペースを落としている」

    「僕は今、(ORECAのボスである)ユーグ・ド・ショーナックと良い友人であり、脱帽と言わざるを得ません。この車は素晴らしいです。若いドライバーに多くのチャンスを与え、キャリアを生み出し、人々をハイパーカーに引き込んできた」

    「私は21年から始めたが、ELMSとWECの両方でこのLMP2カテゴリーがなければ、ファクトリードライブやトップクラスで走ることができる今の僕はなかっただろう」

    「ELMS(LMP2カーがレースできる場所)は今後も存在するし、若いドライバーたちにハイパーカー向けに学ぶ機会やチームを提供してくれることを願っている」

  • アルピーヌ、2024年WECハイパーカー参戦車両の前身「A424_β」を公開

    アルピーヌ、2024年WECハイパーカー参戦車両の前身「A424_β」を公開

    アルピーヌは、2024年からFIA世界耐久選手権(FIA WEC)の最高峰カテゴリーに参戦するハイパーカーの前身である「A424_β」を公開しました。

    アルピーヌとオレカの緊密なコラボレーションから生まれたこのLMDhプロトタイプは、A-arrowブランドを自動車とスポーツのエクセレンスへの道へと導く。そのレーシーなデザインはル・マン・サーキットの近くに新設されたアルピーヌ・パドックセンターで、多くの国際的なジャーナリストを前に発表された。

    新しい時代
    2013年から耐久レースに参戦しているアルピーヌは、FIA世界耐久選手権(FIA WEC)の最高峰カテゴリーに参戦することで、競争への情熱を新たにし、再確認している。A424_βは、アルピーヌのレースの伝統とDNAを引き継ぎ、この新しい章をスタートさせる。そのデザインには、将来の市販モデルのスタイリングキューが表れている。LMDhレギュレーションにより、このプロトタイプはアルピーヌのスポーティさを表現すると同時に、モータースポーツ界の有名ブランドに挑戦するカテゴリーにおけるアルピーヌの野心を具現化している。

    刺激的な名前
    A424_βは、アルピーヌのDNAを再確認させるとともに、その未来を予感させるデザインとなっている。A424_βという名称は、それを象徴している。Aを先頭に4から始まる3桁の数字で構成される用語は、アルピーヌの耐久レースの勝利の伝統を尊重し、24はルマン24時間レースと2024年を、そしてβは発売前の最終段階を示している。

    A424_βは、アルピーヌのエレガンスとスポーティさを表現している。アルピーヌの未来を象徴するライトシグネチャーを非常にレーシーで主張のあるフロントエンドに、リアにはひときわ目を引く2本のAアローを配したまさに自動車の芸術品と呼ぶべきモデル。アルピーヌの雪の結晶を象徴する三角形のモチーフは、ダガーボードとリアウィングにも同様に輝きを放っている。

    コックピットでは、ドライバーは、ロードゴーイングスーパーカーのように洗練された、なめらかでスムーズなボディワークの中に座ることができる。アルピーヌのマニフェストである「アルペングロー」にインスパイアされた側面は、アルピーヌの市販モデルや競技用モデルの魅力的な未来を体現している。

    アルピーヌ A424_βアルピーヌ A424_βアルピーヌ A424_βアルピーヌ A424_βアルピーヌ A424_βアルピーヌ A424_β

  • トヨタ:2023年 第4戦 ル・マン24時間レース ハイパーポール レポート

    トヨタ:2023年 第4戦 ル・マン24時間レース ハイパーポール レポート

    6月8日(木)、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間の公式練習とトップ8のスターティンググリッドを決定するハイパーポールが行われた。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の2台のGR010 HYBRIDは、記念すべき100周年大会での連続ポールポジション記録更新を目指したが惜しくも叶わず、それぞれ3番手、5番手グリッドから決勝レースのスタートを切ることになった。

    サルト・サーキットで昨年まで6年連続ポールポジションを獲得してきたTGRは、新記録更新へ向けハイパーポールへの進出を果たしたが、驚くべき速さを見せたライバルと、不運なタイミングで出された赤旗、そして、トラックリミット違反によるタイム抹消もあり、望みは絶たれることとなってしまった。

    昨年のル・マン勝者であるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、ハートレーのアタックによる3分24秒451というタイムで3番手グリッドとなった。ハートレーのこのタイムは、圧倒的な速さで最前列グリッドを独占したイタリアンメーカー、フェラーリ50号車のポールタイムと1.469秒差だった。

    小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、ジャッキー・イクスの持つポール獲得記録5回に並ぶチャンスであった小林がアタックを担当したが、ポールから1.951秒遅れの5番手となった。

    ハイパーポールでの結果は残念なものとなったが、チームの目標であるル・マン6連覇と、今シーズンでの無敗記録更新へ向け、この日も2度にわたって行われた公式練習で、車両セットアップとレース戦略を徹底的に練り上げる作業が続けられた。

    30分間で争われるハイパーポールセッションでは、前日行われた予選での各カテゴリー上位8台が進出し、スターティンググリッドが決定されます。現地時間午後8時、まだ明るく、気温も約29度と暖かな陽気の下でセッションが開始され、直後のアタックから、前日の予選同様にフェラーリ勢が速さを見せた。小林とハートレーも計測2周目でさらにタイムを更新したが、ポールまでには届かなかった。

     2台のGR010 HYBRIDはピットインしタイヤを交換、残り10分というところで再アタックに入った。2台共に第1セクターでは自己ベストタイムを更新するペースで、ポールポジションへの望みを繋いだが、このアタック中に他のハイパーカーがトラブルによりコース中でストップ。2台共にアタックラップを終える前に赤旗が出され、セッションは中断となった。

    車両排除のために11分間中断されたセッションは、残り約5分で再開され、2台のGR010 HYBRIDは最後のアタックに向かった。再スタート時の好ポジションを得るため、セッション中断時のままのタイヤでのアタックとなり、ベストな状況ではなかったものの、2台はそれぞれタイムを更新。小林が3番手、ハートレーが4番手につけたが、ここでの小林のタイムはトラックリミット違反を取られたため、抹消となってしまった。

    これによりハートレーの8号車が3番手グリッド。7号車は5番手となった。TGRの車両がル・マンで最前列以外からスタートするのは、2016年以来のこととなる。

    ポールポジション争いとは別に、ハイパーポールセッションを挟む形で、決勝レースへ向けた懸命な車両セットアップ作業がこの日も2回の練習走行で続けられた。3時間にわたって行われた練習走行第3回目では大きなトラブルも無く、7号車は小林が3番手タイム、8号車はハートレーのタイムで4番手となった。

    日が落ちた午後10時から1時間にわたり、決勝前のセッティング最終確認の機会となる練習走行第4回目が行われたが、多くのチームの慎重なアプローチがそのままラップタイムに反映される結果となった。7号車はロペスのタイムが6番手、8号車は少ない周回数でブエミのタイムが14番手となった。

    チームの意識は既に決勝レースに移っている。明日9日(金)はコース上での走行こそないが、チームにとっては重要な一日となる。チームは2台の車両を整備し直し、レースへ向けたセットアップと戦略を決定する。10日(土)は正午から行われる15分間のウォームアップ走行を経て、現地時間午後4時(日本時間午後11時)に第91回ル・マン24時間のスタートが切られる。

    小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
     今日は全力を尽くしましたが、現実的には我々にポールポジションのチャンスはありませんでした。ポールを獲得したフェラーリを祝福します。彼らのラップタイムは非常に速く、我々にとっては困難なタイムでした。もちろんル・マンでのポール獲得は特別なものであり、そのために私も可能な限りハードにアタックしましたが、やや攻めすぎてトラックリミット違反を取られてしまいました。レースは長時間にわたるので、ポールでなければ、3番手と5番手というスターティンググリッドにあまり意味はなく、決勝レースは全く別物になることもあり得ます。今日の結果から、1周のアタックという点では我々は最速ではなく、決勝も容易な戦いにはならないでしょうが、24時間レースで勝つためには、チームスピリット、正しい戦略、そして、ミス無く戦うこと、その全てが必要です。日曜午後のチェッカーへ向け、ベストを尽くすだけです。

    ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
     最終的に3番手グリッドを獲得できたことには満足しています。フェラーリの2台が速すぎ、グリッド最前列獲得は不可能でした。彼らのポール獲得に祝福を贈ります。私の最初のアタックはそれほど好感触では無く、ラップタイムもあまり良くありませんでした。次のアタックはとても良い感触だったので、赤旗に阻まれることになってしまい残念でしたが、最後はクリーンな状況でアタックが出来ました。ベストなラップではありませんでしたが、3番手が獲得できました。最善を尽くしたので、ポールを獲得できれば良かったのですが、3番手は悪くない結果です。みんなが知っているとおり、決勝レースは全く別ですし、気持ちを切り替える必要があります。今シーズン、我々は決勝での戦い方やチームワークで結果を残してきたので、それをまた披露する時です。チーム一丸となり、これまでの全ての経験を活かし、日曜日にトップを取るために集中しなくてはなりません。戦う準備はできています。

    トヨタ ル・マン24時間レース

  • ジェンソン・バトン 「NASCAR車両のル・マンでの予選ペースは予想以上」

    ジェンソン・バトン 「NASCAR車両のル・マンでの予選ペースは予想以上」

    元F1ワールドチャンピオンのジェンソン・バトンは、ル・マン24時間レースにガレージ56として参戦したシボレー・カマロZL1 NASCARの予選成績は予想以上だったと語った。

    ヘンドリック・モータースポーツのマシンは、イベント前にはGTE Amの中位に位置するという控えめな予想をしていたが、水曜日の予選1回目のセッションで最速のGTE Amエントリーより4秒近く速いタイムを記録した。

    2010年のル・マン優勝者であるマイク・ロッケンフェラーが3分47秒976秒を記録し、LMP2勢の最下位からわずか8.5秒遅れのラップを刻んだ。

    「僕たちは大きく進歩したと思うし、GTEカーよりも4秒も速く予選を通過できたのは、チーム全体の驚異的な努力だと思う」とジェンソン・バトンは語った。

    「僕たちは上位に食い込めると思ってここに来たし、GTEカーがアマチュアドライバーを乗せれば、彼らと同じくらい、いや、それ以上に速くなれるだろうとは思っていたけど、最速のGTEカーに4秒差をつけて予選を通過できるとは予想していなかった」

    「すべてが的確で、このチームが行ってきたすべての宿題は驚異的だった。このチームは、僕がこれまで一緒にレースをしてきた中で、世界最高のチームのひとつに数えられるほど、素晴らしいチームだ」

    ロッケンフェラーは、ル・マンに到着する前に速いラップタイムはシミュレーションされていたというが、それでも予選のパフォーマンスは予想以上だったと感じている。
    「カップカーで始めたとき、僕たちは非常に大きなポテンシャルがあると感じた。そしてそれを微調整し、シム上のル・マンでどんどん速くなった。でも、実際のトラックに行くまではわかりません」とロッケンフェラーは語った。

    「シミュレーターで予想以上の速さで予選を通過し、今ここにいることは、誰もが誇りに思うことだろう – これまでのところ、我々は成果を出しすぎているね」

    F1王者 ジェンソン・バトン NASCAR ル・マン24時間レース

    しかし、ジェンソン・バトンは、レースではGTE Amランナーの前でフィニッシュすることはより困難になる可能性が高いと警告。今週末のイベントで予想される雨の可能性など、複数の要因が接近戦に寄与する可能性があると説明した。

    「レース中にブレーキを交換する必要があるけど、それには5分かかる。でも、他の選手たちは1分だ。つまり、1周以上だ」とバトンは付け加えた。

    「目標は、GT勢に勝つことだ。まず完走すること、そしてGTの前でゴールすること。そして、もしそれができれば、素晴らしい成果だ」

    2009年のF1チャンピオンで、ル・マンに出場したのは2018年にSMPレーシングからBRエンジニアリングのBR1で出場したのみだが、NASCARマシンのドライビングをどれだけ楽しんでいるかを語った。

    「サウンドが大好きだし、見た目も大好きだ。挑戦も大好きだ。これはリアルなチャレンジだ。カップカーをベースにヘンドリック・モータースポーツのように迅速に何かに組み込むことは本当に印象的だ」